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「●ちくま新書」の インデックッスへ
ビジネスパーソンの"復習"用として身近な感覚でもって読める。
『経済学を学ぶ』 ちくま新書 〔94年〕 岩田規久男 氏 (略歴下記)
平易な言葉で書かれた経済の入門書で、学生時代に経済学を学ぶことなく社会に出た自分のような人間にも読みやすい本でした。
'94年の出版ですが、新書版という手軽さもあり(「ちくま新書」創刊ラインアップの中の1冊)、実際かなり幅広く読まれているようです。
「金さえ払えば入れる大学」がないのは何故か、といった身近な切り口は、高校生でも充分に引き込まれるのではないでしょうか。
ミクロ経済学の視点からは、個人だけでなく企業行動についてもとりあげているので、ビジネスパーソンの"復習"用としても身近な感覚でもって読めます。
それも、「なぜ映画に学割があるのにレストランにはないのか」「JRのフルムーンは高齢者福祉政策か」といったユニークな切り口での解説です。
後段ではマクロ経済の視点で、国民所得の変動や失業、インフレが発生する原因を解説し、財政金融政策について、「ルールか裁量か」という問題があることを示しています。
より突っ込んで学びたい人は、同じ著者の『マクロ経済を学ぶ』('96年/ちくま新書)に読み進めば良いかと思います。
こちらはレベル的には、大学の一般教養か経済学部の学部生になったばかりの人向けぐらいでしょうか。
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岩田 規久男 (学習院大学経済学部教授)
1942年(昭和17年)10月3日大阪府生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済研究科博士課程修了。上智大学専任講師、'76年助教授、'83年教授。'77〜'79年カリフォルニア大学バークレー校客員研究員。
●主な著書
『日経を読むための経済学の基礎知識』、『土地改革の基本戦略』、『土地と住宅の経済学』、『企業金融の理論』(共著)他多数。
《読書MEMO》
●ルールか裁量かについては、未だ決着はついていないが、次のような立場が比較的多くの支持を得ていると考えられる。すなわち、普通の状態では、市場の自動安定化装置に任せ、景気が大きく後退したり、激しいインフレが起きたりした場合には、裁量的な財政金融政策を実施するというものである。(204p)