【276】 △ 立花 隆 『ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論』 (1995/12 文藝春秋) ★★★

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量的な部分で圧倒される「知」のデリバリー・システム。

ぼくはこんな本を読んできた3.JPGぼくはこんな本を読んできた 立花式読書論、読書術、書斎論.jpg 『ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論』 (1995/12 文藝春秋)

 著者の本を何冊か読んだ人ならば、その知識の源泉の秘密はどこにあるのか、情報の整理・分析のシステムはどのようになっているのかを知りたいと思うだろし、そうした意味では興味が涌く1冊。ただし、本書を読んでみて何よりも圧倒されるのは、質的なものよりも量的なものではないでしょうか。蔵書のために、地上3階、地下1階の「ねこビル」を建ててしまったわけですから。

 もちろん読書術として参考になる部分も幾つかあり、例えばある分野について知ろうとする場合、その分野に関する本をとりあえずまとめて購入してしまうとか...。ただし、その数が一度に50冊とか半端じゃない。一般の人にはマネしたくてもできない面も多く、はあ〜と感心させられて終わりみたいな部分もありました。
 イヤミに聞こえるとまでは言うと言い過ぎかも。ノンフィクション作家やルポライター、或いはそうした職業を目指す人とかの中には、実際、本書の読書法を参考にし、また実践している読者がいるかもしれませんから。

 後半は雑誌に連載した読書日記の再録になっていますが、すごく幅広い分野にわたってのかなりマニアックとも思える本までを、比較的常識人としての感覚で読める人という感じがします。
 ただ、この人の「追究」テーマの核となっているのは、宇宙とか臨死体験とか、極限的なものが多いような気がします(価格の高い本が多いので、あまり買って読む気はしないが...)。

 個人的には、この人はやはり「追究者」であって「研究者」という感じは受けず(もちろん単なるピブリオマニア(蔵書狂)でないことは確かですが)、「知識」を一般人にデリバリーしてみせる達人であって、「知の巨人」というこの人のことをよく指していう表現はちょっと的を射ていないのではないかという思いを、本書を読んで強めました。

 【1999年文庫化[文春文庫]】

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