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比較的楽しく読め、読んで頭に残り、また後で読み返しやすい。
国広 哲弥 氏(東大名誉教授)
『日本語誤用・慣用小辞典』 講談社現代新書 〔'91年〕カバーイラスト:南 伸坊
新書本で250ページほどの言わば"読む"辞典ですが、項目数を絞った上で1項目あたりの用例解説が充実しているので、類書の中では比較的楽しく読め、読んで頭に残り、また後で読み返しやすいものとなっています。
「浮き上がる」と「浮かび上がる」、「絵に描いた」と「絵に描いたような」の違いなどの、あまり今まで考えたこともないようなものもありましたが、基本的には典型的な誤用例などを拾っていて、そのままクイズの問題にもなりそうなものも多いです。
ただし、正誤もさることながら、背後にあるニュアンスの違いを重視し、必要に応じて、誤用の原因やどこまで許容されるかといことまで突っ込んで説明しているのが本書の特長でしょうか。
誤用例として、テレビや雑誌などからも拾っていますが、中には著名な文筆家のもののあり、ちょっと気の毒な部分もありました。
恥ずかしくない程度の常識は備えておくべきでしょうが、国語学者はどうしても語源や文法に縛られる面もあるので、自分なりの納得度というのも大切にすべきかも。
《読書MEMO》
●一姫二太郎→子供が生まれる順序○
●「おざなり」と「なおざり」
●「食間」に飲む薬○
●濡れ手で泡×→粟○
●逼塞→八方塞で手も足も出ず、世間の片隅にひっそり隠れていること○(多忙×)
●役不足→役目の方が軽すぎる○(力不足×)
●押しも押されぬ×→押しも押されもせぬ○
●体調をこわす×→体調を崩す○
●的を得る→的を射る、当を得る○
●嘘ぶく×→嘯く○
●折込済み×→織込み済み○
●亡き人を忍ぶ×→偲ぶ○