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講談社+α文庫「マンガ中国の思想シリーズ」。老荘思想に関心を持つための入門書として。
『マンガ老荘の思想』 講談社+α文庫 〔'94年〕/『マンガ 老荘の思想』(1987/11 講談社)
新装版
哲学や思想の解説書をマンガ仕立てにしてしまうと、エッセンス部分が抜け落ちて何だか俗っぽくなってしまうということはママあることですが、「講談社+α文庫」のこの台湾の漫画家による「マンガ中国の思想シリーズ」は、古典の捉え方がしっかりしていて、比較的そうしたマイナス面が少なくて済んでいるかも知れません。このシリーズは世界各国で翻訳されているそうです。
本書は、老子・荘子にある数多くの説話を親しみやすいマンガで簡潔に再現し、一般の人が老荘思想(に関心を持ってもらうための)入門書としてとっつきやすいものとなっています。
直感的な「老子」よりも形而上学的(論理的)な「荘子」を先にもってきているのもわかりやすいです。
「荘子」には、「朝三暮四」「蟷螂の斧」「亡羊の嘆」「井の中の蛙」「蝸牛角上の争い」といった我々に馴染みのある言葉も多いです。
老子や荘子などの人物が極端にカリカチュアライズされ愛嬌のあるものとなっていますが、描画全体に中国の山水画のようなシズル感があり、これらが老荘思想というものと雰囲気的に何となく"マッチ"しているのです。
単行本を文庫化したものなので、活字が小さくなり少し読みにくいのが難かなとも。
【1987年単行本〔講談社〕/1994年文庫化[講談社+α文庫]】