【212】 ○ 福島 哲夫 『図解雑学 ユング心理学』 (2002/10 ナツメ社) ★★★☆

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広く浅くだが、一定の切り口でわかりやすく纏まっている。

図解雑学 ユング心理学 1.jpg図解雑学 ユング心理学.jpg   jung.jpg Carl Gustav Jung (1875‐1961)
図解雑学 ユング心理学』['02年]

 「心理学と錬金術」「黄金の華の秘密」「空飛ぶ円盤」「個性化とマンダラ」...これらはみんなユングの著作のタイトルであり、こうして見ると何が何だかわからなくなってくる?  しかもユングが一般向けに書いた著作は『人間と象徴』ぐらいしかない―となると、どうしてもユング心理学を知ろうとすると、入門書探しから始めざるを得ないのではないでしょうか。ということでの「図解雑学シリーズ」ですが、本書は"広く浅く"ですが、一定の切り口でわかりやすく纏まっていると思いました。

図解雑学 ユング心理学ig.jpg 第1章と第3章が「対話のためのユング心理学」「病者との対話」となっていて、「対話」というキーワードを切り口にコンプレックス、元型論(アニマとアニムスなど)、集合的無意識といった概念や、夢分析、箱庭療法などの心理療法についての解説がされています。

 また第2章でユングの生い立ちと生涯をとりあげ、1つの伝記として読めるとともに、彼の提唱した様々な概念が、彼自身の体験に由来するものであったことがわかり、興味深かったです。

 ユングはフロイトとの決別後に「中年の危機」状態となり、その後生涯にわたり幻覚に悩まされ続け、そうしたことが彼の神秘主義や錬金術への傾倒などと関係があることを知りました。

 最後の第4章ではユングが後世に与えた影響を紹介し、ユング派の3つの流れ(古典派・元型派・発達派)や「トランスパーソナル心理学」などを紹介しています。

 カール・ロジャーズらの提唱した「人間性の心理学」にユング心理学などの要素が加わったものが「トランスパーソナル心理学」(個を超えた心理学)であり、やはりこれもまたユングの系譜であることなどがわかります。
 
 この本だけで充分というわけではありませんが、右ページが図やイラストになっているため、とっつきやすく読み返しやすい"参考書"ではあります。

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