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「論理療法」の創始者自身によるロールプレイの実演を通してその技法を学ぶ。
アルバート・エリス(Albert Ellis)
『論理療法にまなぶ―アルバート・エリスとともに・非論理の思いこみに挑戦しよう』['89年]
'Albert Ellis (Key Figures in Counselling and Psychotherapy series)'
アルバート・エリスのカウンセリングの模様
ALBERT ELLIS AND GLORIA COUNSELLING PT 3 (「グロリアと3人のセラピスト」より)
この本は「論理療法」の創始者アルバート・エリス(Albert Ellis)が来日した際の講演と、臨床心理士など専門家とのワークショップで自らカウンセリングをロールプレイした際の記録を中心に、クライエント役となった先生がたも含め、それを目の前で見ていた専門家たち(他派を含む)の寄稿により構成されています。
論理療法は、本書にもありますが、「〜ねばならない」という不合理な信念を持つ人に対して「どういう根拠でそういうのですか」「あなたの考えが正しいことを立証してほしいのですが...」などと聞いて自問自答を促進させ、その応答を論駁していくことで不合理な信念からの束縛を解いていこうとする心理療法です。
一般には"論理"という名のとおり、クライエントの〈思考〉に働きかける手法と解されていますが、そうした〈思考〉面だけでなく、クライエントに特定のイメージを描かせたり、宿題を与えるなど、〈感情〉や〈行動〉にも働きかける統合的手法であることが、創始者の実践(実演)場面における言葉を通して一般にもよくわかる1冊です。
私見ですが、"論理"という言葉が、この療法が日本人に不向きなような印象を与えている面もあるかと思います。しかし〈思考〉だけでなく〈感情〉や〈行動〉にも働きかける手法であるという観点に立つと、そう不向きでもなく、むしろ日本人に向いているのではないかと思います。
アルバート・エリス 2007年7月24日、心臓や腎臓の機能不全のためニューヨーク市マンハッタンの自宅において93歳で死去。