【182】 ◎ 渡辺 三枝子/エドウィン・L・ハー 『キャリアカウンセリング入門―人と仕事の橋渡し』 (2001/09 ナカニシヤ出版) ★★★★★

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「キャリアにはアップもダウンもない」という言葉に頷かされる。

キャリアカウンセリング入門57.JPGキャリアカウンセリング入門.jpgキャリアカウンセリング入門―人と仕事の橋渡し』 ['01年/ナカニシヤ出版]

C o n s u l t i n g   &  C o a c h i n g.jpg キャリアカウンセリングの入門書に触れ、もう少し突っ込んだ標準テキストを求める人には格好の本だと思います。歴史や背景理論から援助の具体的技法まで広く触れていますが、随所に明快な考察が見られます。

キャリアカウンセリング入門―人と仕事の橋渡し』 69.JPG 「キャリア」という言葉ひとつにしても、「職業」との対比で、キャリアは個人から独立して存在し得ず、時間をかけて創造していくもので、個々人にとって独自のものである、としています。確かに「職業」という概念は個人から独立して存在するが、「キャリア」と言う場合は「誰かのキャリア」だ...と納得。

 しかしこの本で一番心に残ったのは、著者の渡辺三枝子氏が"キャリアアップ"という言葉を用いたら、キャリアの権威である心理学者サビカスに「キャリアにはアップもダウンもないんだ」と即座に叱られたという話です。キャリアとは主観的なものであり、評価できるのは本人しかいないということです。"キャリアアップ"という言葉があまりにも一般化している中で、目からウロコが落ちる思いをしました。


《読書MEMO》
●キャリアにはアップもダウンもない(前書き3p)
●キャリアの特徴「個人から独立しては存在しえない」「時間をかけて創造していくものである」「個々人にとってユニークなものである」「職業との関わりにおける個人の行動(心理的過程)(19-20p)
●予測としては、一人の人が生涯に7回から8回転職するだろう(31p)
●自己効力感(71p)・クルンボルツの社会的学習理論(73p)
●コーチとメンターの違い(108p)

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