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深い考察と確信。キャリア行動に関して読んだ本の中では最良の部類。
小杉俊哉 氏 (略歴下記)
『キャリア・コンピタンシー』('02年/日本能率協会)
本書では、キャリア・コンピタンシーを構成する9つの要素を示し、キャリア理論やカウンセリング理論を引きながら論を進めていますが、最終的には借り物の理論をなぞってスキルのみ伝授して終わるのでなく、著者自身がキャリア及び生き方について深く考察し、確信を持って読者をインスパイアしようとしているのが伝わってきます。それだけに、「読み手との相性」で評価が割れる本かと思います。
自分の場合は、最後の「自分自身であること」に至るまで物語を読み進むように引き込まれ、著者自身のキャリアの振り返りにも感動しました。知識を期待して読み始めましたが、既知のクランボルツの挿話にしても、高橋俊介、金井壽宏といった人の本の中で読むよりも深い印象を受けたりしたのは、自分だけでしょうか。
キャリア理論やカウンセリング理論の紹介も的を射ており、そうした知識の整理にも役立ちますが、個人的には知識以上のものが得られという読後感があり、キャリア行動に関する本で今まで読んだものの中では、自分にとっては最良の部類に入るものでした(相性が良かったのかも)。
《読書MEMO》
●専門プロフェッショナル(34p)とビジネス・リーダー(40p)
●キャリア・コンピタンシーを構成する9つの要素
1.自己認識
2.ビジョン
3.楽観・柔軟
4.環境理解
5.状況判断
6.アサーション・表現力)
7.影響力・対人手腕
(以下、コアコンピタンシー)
8.直感
9.自分自身であること
●モチベーション・ファクターとリベンジ・ファクター(66p)
●MBTI(マイヤーズ・ブリッグス・インディケイター)(76p)
●シャインのキャリア・アンカー(124p)
●クランボルツのプランド・ハップンスタンス(125p)
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小杉俊哉
1958年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、日本電気株式会社(NEC)入社。マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー インク、ユニデン株式会社人事総務部長、アップルコンピュータ株式会社人事総務本部長を経て独立。現在、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教授、株式会社コーポレイト・ユニバーシティ・プラットフォーム代表取締役社長。自律的キャリア開発・リーダーシップの研究とそれに基づく人材育成、組織・人事コンサルティング、およびベンチャー企業への経営支援を行っている【著書】「キャリア・コンピタンシー」(日本能率協会マネジメントセンター)「組織に頼らず生きる」(平凡社)「ラッキーをつかみ取る技術」(光文社新書)他多数