「●プレゼンテ-ション」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1190】 富士ゼロックスドキュメントマネージメント推進室 『プレゼンテーションの説得技法(テクニック)』
相手との共感的一致を得るための信頼関係(ラポール)形成の重要性を強調。
『プレゼンテーションの技術―言葉だけでは人を動かせない』(1987/06 TBSブリタニカ)
大手広告代理店・博報堂の営業部長が書いたプレゼンテーションの本で、'87(昭和62)年の刊行と少し古いですが、刊行当時はかなり読まれたようで、続編も出ました。
タイトルに「技術」とあり、ましてや広告代理店勤務のスペシャリストによるものであるため、テクニック一辺倒の内容かと想像しがちですが、確かにプレゼンのテクニック的なことにも触れられているものの、全体を貫くのは「"プレゼン心"とは何か」ということで、相手との共感的一致を得るためのラポール(信頼関係)の形成の重要性を強調しています。
情報収集やリハーサルも大切ですが、相手の課題をしっかり把握しなければ共感的一致は得られず、相手の立場になって考えることができなければ「ラポールの世界」は構築されない、そうした前提があっての情報収集やリハーサルであることを忘れてはならず、また導入部分のきっかけづくりというのも大事であるという、何れも著者が現場で感じ取ったプレゼンの核心が伝わってくるような内容です。
実際に著者が経験したビジネス・プレゼンテーションの事例が多く紹介されているとともに、著者自身が「"プレゼン心"とは何か」ということを探るために、業界内のプレゼンの名人と言われる人だけでなく、トップセールスマンや建築家などと接し、教唆を得たことをひとつひとつポイント整理していて、読みやすい内容です。
ちょうど広告業界の専門用語だった「プレゼンテーション」という言葉が広くビジネスの場面で使われるようになり始めたころのもので、さらに日常生活のあらゆる局面でプレゼンテーションというのものが役に立つということ著者は示しています。
冒頭に、ポール・ニューマンにクルマのCMへの出演を依頼し(これ、スカイラインですね)、困難な状況下で彼を口説き落とした経験が書かれていますが、これなども相手はポール・ニューマン1人で、プレゼンテーションといのは必ずしも大人数の前でやるものとは限らないということが分かり、ビジネスの(時として生活の)あらゆる場面がプレゼンの場になりうることを物語っていると思いました。