【161】 ○ ジョン・メイ (川勝 久:訳) 『プレゼンテーション必勝テクニック (1986/10 プレジデント社) ★★★★

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楽しく読めて役に立つプレゼンに関する100のアドバイス。

プレゼンテーション必勝テクニック.jpg 『プレゼンテーション必勝テクニック』(1986/10 プレジデント社) presentation business.jpg

 原著タイトルは"How to Make Effective Business Presentations-And Win!"('83年)で、英国の「話し方教室」の先生が、プレゼンテーションにおける話し方のコツなどをまとめたものですが、効果的プレゼンテーションとは何かということを、その準備の段階から説き起こし、〈かゆい所に手の届く記述〉や〈即効ノウハウ〉も多くて、得られるところ大でした。

 細かいテクニックもいろいろ紹介されています。「上着を脱ぐのが適切である場合もある」(60p)などいうのは、自分自身もプレゼンの研修で教わったなあ。聴衆が、これから大事なことを話すのかなって気になるのですね(外国人がこういうのをナチュラルにやるのがうまい)。「理解しにくい言葉で聞き手をバカにしない」(110p)というのも大事だと思います。専門用語を多用しすぎると、そのつもりがなくても、聞き手がバカにされているように感じてしまうことがある。 

 MAP理論
MAP理論.jpg それと、本自体が面白く読めるというのもいいです。例えば〈MAP理論〉というのを紹介していて、聴き手の座る位置によってその態度は決まるという。話し手から見て向かって左側に座るのが支持派、同意しそうもない人は右側に座り、プレゼンをメチャクチャにする人がいるとすればその真中あたりにいる。正面に座る人は"男爵"と呼ばれ、話し手が良ければ理性的だが、ダメだと思うと話し手にとって代わる。右列後方の壁際にいるのは"狙撃兵"で、仲間外れにすると銃弾を撃ち込んでくる...。

 〈MAP〉は May's Audience Positioning の略で、要するに〈MAP理論〉とは著者が勝手に創った理論だとわかりますが、何となく当たっているような気がして面白いです。要するに「聴衆の全員が話し手に好意的であるとは思わない方がいい」というアドバイスなのだというふうに、自分自身は解釈しました(でも、実感としても結構あてはまる?)。こうした機知とユーモアに富んだアドバイスが、あと99個あります。

 既に古書の部類に入る本ですが、最近読んだ『プレゼンなんて怖くない!―アメリカ人が教えるプレゼンテーションの秘訣53』(ロッシェル・カップ著/'06年/生産性出版)などと比べても、こっちの方が中身がずっと濃いと思いました。

《読書MEMO》
●MAP理論(44p)
・プレゼンをする人から見て左側に座る人は右派、保守的、支持的な「いい子」
・支持しない人たちは、向かって右側に座る、その真ん中に「ぶちこわし屋」
・プレゼンをする人の真正面に座るのは中立者「男爵」、社長がよく座り、プレゼンテーター(=「王様」)が頼りないときは自分がとって変わる
・向かって右列の奥にいる人は聞き手になろうとしない人「狙撃兵」

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