【147】 ◎ ロジャー・フィッシャー/ウィリアム・ユーリー (金山宣夫/浅井和子:訳) 『ハーバード流交渉術』 (1982/09 TBSブリタニカ) ★★★★☆

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まず「人と問題を切り離す」というところから、意識して始めるべきか。

『ハーバード流交渉術』.jpg  ハーバード.jpg  Getting to Yes Negotiating Agreement Without Giving in.jpgハーバード流交渉術 (1982年)』/『ハーバード流交渉術』1998年改訂版(阪急コミュニケーションズ)/"Getting to Yes: Negotiating Agreement Without Giving in"

070113.jpg 日本人の場合、「交渉」というとすぐに「権謀術数」とか「手練手管」という言葉を思い浮かべ、交渉問題そのものよりも相手の性格や立場のことを考えがちではないでしょうか。本書は特に日本人向けに書かれたものではありませんが、ここに示されている交渉の戦術は、そうした日本的な交渉とは対照的で、要約すれば、
 1.人と問題を切り離せ
 2.立場でなく利害に焦点を合わせよ
 3.複数の選択肢を用意せよ
 4.客観的基準を強調せよ

 ということになります。これらの戦術をどう実践するかが平易かつ説得力をもって書かれていて、理論と実例のバランスもとれているように思えます(こうした書き方も含めて実に"アメリカ的"な本)。

 「以心伝心」とか「阿吽の呼吸」のようなものにすがることなく、自分の考えをロジックで通していく、多民族国家の根底にある「ディベート文化」を感じました。ただし、相手を叩きのめすということではなく、"お互いの"問題解決とその後の良好な関係維持のための交渉であるという目的意識がはっきりしているのがいいです。

 原著"Getting to Yes: Negotiating Agreement Without Giving in"は'81年刊行という"古典"ですが、ハーバード大に交渉学研究所があって、当時所長であった著者は国防省のコンサルタントもしており、その理論は中東和平交渉などでも応用されているというから恐れ入ります。その後、"Getting Together: Building a Relationship That Gets to Yes"(『続 ハーバード流交渉術―よりよい人間関係を築くために』('89年/TBSブリタニカ))、"Getting Past No: Negotiating Your Way from Confrontation to Cooperation"(『決定版 ハーバード流"NO"と言わせない交渉術』('00年/三笠書房))と続編が出ているところをみると、アメリカでも結構売れた?

 最後の方では、「相手の方が強い時」、「相手が話に乗ってこない時」、「相手が汚い手口を使ってきた時」などの対処法も書かれていたりして、通して読んで損はないですが、まず「人と問題を切り離す」というところから、今までより意識して始めるべきでしょうか。

 【1989年文庫化[知的生きかた文庫]/1998年単行本改訂[TBSブリタニカ]】

【2202】 ○ ダイヤモンド社 『世界で最も重要なビジネス書 (世界標準の知識 ザ・ビジネス)』 (2005/03 ダイヤモンド社 )

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