【132】 × 米倉 誠一郎 『脱カリスマ時代のリーダー論 (2005/06 NTT出版ライブラリーレゾナント) ★☆

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若い読者への啓蒙書? 物足りない内容で、浮つきムード、パクリ感も。

脱カリスマ時代のリーダー論.jpg  『脱カリスマ時代のリーダー論 NTT出版ライブラリーレゾナント011』 (2005/06 NTT出版ライブラリーレゾナント)

 著者は一橋大学イノベーション研究センターの教授で、その著書や講演は比較的若い人に人気があうようでが、本書も「誰でもリーダーになれる」という考え方で貫かれていて、【第4章 ベンチャーにおけるリーダー】とあるところなどからも、起業などを目指す若い読者を対象にした啓蒙書という感じでしょうか。

 リーダーは別にカリスマである必要は無く、リーダーシップは勉強すれば身につくものであり、必要なものは〈ビジョン構築能力〉、〈目標設定能力〉、〈組織設計能力〉、〈制度設計能力〉の4つである―という"持論"を軸に、様々なビジネスリーダーの決断や行動を紹介しながら論を進めています【第1章 戦略としてのリーダーシップ】。
 さらに、「変革することこそリーダーの役割」であり【第2章 イノベーション・リーダー】、「部下はリーダーの"顧客"である」と考え、部下のデータを集めて部下とのコミュニケーションを図り、ミッションを刷り込むことでモチベーションを向上させよと【第3章 データベース・リーダーシップ】。

 「経理や総務にも成果がある」(42p)など部分的には共感する箇所もあり、人材マネジメントやキャリアに関する諸理論なども紹介されてはいるもののさほど目新しさは無く、中間管理職なども読者層として想定しているようですが、ある程度ビジネスキャリアがある人には物足りない内容です。
 有名経営者などの話を随所にちりばめ、「スローラーナーやアンカンファタブルな人材」「ディメンション・シフトのフェーズによってフレキシブルに...」(225p)などカタカナ用語を多用しているのも、むしろ浮ついた感じがします。

 リーダーシップは必要だが、カリスマ的リーダーは不要であると言ったのはピーター・ドラッカーで、その考えに共感し「エッジ」ということを強調したのはジャック・ウェルチですが、文中にその名は出てこず、多少経営書を読んでいる人ならば、本書がタイトルから中身まで"パクリ"の連続であるという印象は払拭できないのではないでしょうか。

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