【119】 ○ 岡本 吏郎 『会社にお金が残らない本当の理由 (2003/12 フォレスト出版) ★★★☆

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人生論と「一般向け」の経営財務の話をミックスしたような感じ。

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会社にお金が残らない本当の理由.jpg
  岡本吏郎氏.jpg 岡本 吏郎 氏(税理士)
会社にお金が残らない本当の理由』['03年/フォレスト出版]
会社にお金が残らない本当の理由 (フォレスト2545新書)』['10年]

 主に中小企業の経営者向けに書かれた本だと思いますが、タイトルの妙もあって?ベストセラーに。人生論と経営財務の話をミックスしたような感じなのも、広い読者層を得た一因かもしれません。

 有名経営者などではなく、若手の税理士の人が書いているというのも興味を引きますが、その著者の姿勢が、生き方において節制的で堅実、経営指南においても、上っ面に惑わされず実をとるという感じなのが面白い。ポイントを絞ってわかりやすく書かれているため、財務部門以外にいる一般会社員にも気軽に読めて、これから起業しようとする人などにも参考になる部分はあるかと思います。

 むしろ、当の経営者や現場の経理担当者の多くは、本書に書かれていている、決算書の作為性、耐用年数の現実との不整合、社会保険料の重さなどは、日常的に肌身に感じているはずのことで、「よくぞ言ってくれた」みたいな感じはあるかも知れませんが、耐用年数問題でも、会計上と税務上で使い分ける手法などは、既に本書以上の知識は頭にあるのではないでしょうか。

 「合法的裏金」というような表現はいかがなものかと思いますが、役員の報酬や賞与については、中小企業(零細企業?)なりの考え方(=給与の中に貯蓄しておくという)を示していると思います。この本に関して言えば、著者が属する「成功法則」本を"量産"しているグループの人たちが書いたものの中では、相対的にはマトモな方だと思います。

【2010年新書化[フォレスト2545新書]】

《読書MEMO》
●税金を取るために「耐用年数」は長くなっている-果たして4年もパソコンを使う人がどこにいるか(117p)
●本当のかっぱらいは「社会保険」(123p)-半分を会社が負担してくれていると思っているが、その分確実に給料は安くなっている
●決算書に潜むゾンビ(127p)-代表は「固定資産」。建物の耐用年数20年は長すぎ(価値が無いのに償却が終わっていない資産がある)
●「役員報酬」は合法的裏金(185p)-給与所得控除を受けるメリット。

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This page contains a single entry by wada published on 2006年8月16日 18:17.

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