【114】 ○ ピーター・F・ドラッカー (上田惇生:訳) 『経営の哲学― ドラッカー名言集』 (2003/07 ダイヤモンド社) ★★★★

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ドラッカーの著作に触れた人の復習用、初めての人の元本に至る橋渡しとして。

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上田 惇生.jpg 上田 惇生氏(1938-2019
経営の哲学― ドラッカー名言集』 (2003/07 ダイヤモンド社)

 昨年['06年]11月に95歳で亡くなったピーター・F・ドラッカー(1909‐2005)の著作から、その多くを翻訳してきた上田惇生氏が、「経営」についての言葉を選んで編集した名言集で、『仕事の哲学』、『変革の哲学』、『歴史の哲学』と合わせた4部シリーズのうちの1冊です。因みに米国などでも、ドラッカーの本で一番売れているのはこうした「金言集」のようです。

 1ぺージに1つの抜粋で、少し贅沢ですが余白が多くて読みやすく、しかし一言一言は重いと思います。ドラッカーの著作に触れたことのある人の復習用としても使えますが、彼の著作を初めて読もうという人が、そのニュアンスや自分との相性を測るうえでも良いのではないのでしょうか。

 本書では、マネジメントの役割、事業の定義、戦略計画、コア・コンピタンス、顧客、マーケティング、イノベーション、生産性、利益、コスト、意思決定、目標管理、人のマネジメント、組織構造、社会的責任の15の章立てに沿って、200近い名言が紹介されていますが、やはり、総合経営書である『現代の経営(上・下)』('54年著作/'65年/ダイヤモンド社)『マネジメント-課題・責任・実践』('74年/ダイヤモンド社)からの抜粋で約半分を占めているようです。

 こうした年代を経た著作の言葉が生きているというのは、1つには物事の本質をついているということの表れであり、またもう1つには、経営学者の言葉と言うよりも、社会学者、心理学者、思想家の言葉のような普遍的性質を持っているからではないかと思います。

 とりあえず今は時間が無いという人にお薦めですが、ドラッカー初体験の人の場合は、元本(もとほん)の文脈の中で捉えないとわかりにくい要素もあるので、あくまでも元本に至る橋渡しの書として、予め位置づけておいた方が良いと思います。

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上田惇生氏(うえだ・あつお=ものつくり大名誉教授、ドラッカー学会初代代表)
2019年1月10日、低酸素脳症のため死去、80歳。経団連事務局を経て平成13年、ものつくり大教授に就任。経営学者P・F・ドラッカーの研究で知られ、主要著作を翻訳した。

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