【110】 ◎ ピーター・F・ドラッカー (上田惇生:訳) 『マネジメント―基本と原則 [エッセンシャル版] 』 (2001/12 ダイヤモンド社) 《抄訳マネジメント―課題・責任・実践』 (1975/10 ダイヤモンド社)》 ★★★★★

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マネジメントの総合書であり教科書であると同時に、質の高い啓蒙書。

ドラッカーマネジメント.jpgマネジメント 基本と原則 エッセンシャル版.jpg 抄訳マネジメント.jpg ピーター・F・ドラッカー03.jpg Peter Drucker
マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]』 〔'01年〕 『抄訳マネジメント―課題・責任・実践』 〔'75年〕

 1974年、ピーター・F・ドラッカー(1909‐2005)は大著『マネジメント-課題・責任・実践』('74年/ダイヤモンド社)において独自の経営論を体系化し、ドラッカー経営学ともいうべき大著に仕上げましたが、その「抄本」は、米国の大学やMBAコース、セミナーなどでもテキストとして使われており(ちなみに、この"圧縮版"も、著者とは別の人がサマリーを作ったのではなく、ドラッカー自身が書いている)、日本でも『抄訳マネジメント』('75年/ダイヤモンド社)として親しまれてきました。本書はその「抄訳」の内容をほぼ移植したものです。 

Peter Ferdinand Drucker.bmp ドラッカーは'70年代に既に、「経済学のフリードマン」と並び称される「経営学の泰斗」としてその名を馳せており、経営に「マネジメント」という考え方を入れたのも、「目標管理」という概念を開発したのもこの人ですが、にも関わらず「経営学者」というより「思想家」に近いかも知れず、'80年に出版されたThe Best of Everything という本では「教祖のベスト」としてその名が挙げられていて、本書なども「啓蒙書」的な感じがします。

 ただし、本書を読んで実感するのは、産業界の事実をよく観察した上でロジックをあてはめ、それに社会学や心理学的な視点からの人間的要素を加味し(この点が読者の共感を呼ぶ要因の1つだと個人的には思っていますが)、トータルな理論体系を構築している点です。

 企業とは何かということから説き起こしているように、先ず巨視的にマネジメントの使命・目的・役割論から入って、マネジメント課題の次元とそれぞれの次元に求められているものを整理したうえで、組織や人の問題、トップの役割やマネジメント戦略について語っています。

 企業の機能は「マーケティングとイノベーション」であるとスッパリ定義してみせるなど、切り口も纏め方も明快で読みやすく、マネジメントの総合書であり教科書であると同時に、ビジネスパーソンにとって質の高い啓蒙書でもあると思います。
 
【2298】 ○ 水野 俊哉 『明日使える世界のビジネス書をあらすじで読む』 (2014/04 ティー・オーエンタテインメント)
【2701】 ○ 日本経済新聞社 (編) 『マネジメントの名著を読む』 (2015/01 日経文庫)

《読書MEMO》
●企業=営利組織ではない。企業の目的は社会貢献であり、ただし、高い利益をあげて、初めてそれができる(14p)
●「企業の目的は、顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす」(16p)
●労働における5つの次元...生理的・心理的・社会的・経済的・政治的次元(59p)
●心理的支配...マクレガーの〈X理論とY理論〉に関し、産業心理学はY理論への忠誠を称するが、その前提たるやX理論そのものである(65p)
●働き甲斐を与えるのは「責任と保障」であり、責任の条件には
 1.生産的な仕事、
 2.フィードバック情報、
 3.継続学習
 の3つが不可欠(73p)
●「人こそ最大の資産である」必要なのは実際に行うことである(81p)
 1.仕事と職場に対して、成果と責任を組み込む
 2.共に働く人たちを生かすべきものとして捉える
 3.強みが成果に結びつくように人を配置する
●「目標管理の最大の利点は、自らの仕事ぶりをマネジメントできるようになることである」(140p)
●組織の条件(198p)...
 1.明快さ
 2.経済性
 3.方向づけの容易さ
 4.理解の容易さ  
 5.意思決定の容易さ
 6.安定性と適応性
 7.永続性と新陳代謝
●五つの組織構造(204p)...
 1.職能別組織
 2.チーム型組織
 3.連邦分権組織(事業部制?)
 4.擬似分権組織
 5.システム型組織(CFT?)

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