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日経の「定年後大全」より広い範囲での実用性で優っている。
『定年前―50代サラリーマン危機管理マニュアル』 ('05年/朝日新聞社) 『定年後大全 2005-06』 (日本経済新聞社)
これから「大量定年時代」を迎えるにあたって、50代サラリーマンにとって、自分の周囲には、今後の雇用情勢はどうなるか、あるいは老後の年金はどうなるかなど、仕事、お金、健康、家族に関する諸問題が山積しているかように見えるのではないでしょうか。
中高年社員の方々を見ていても感じますが、「知らない」ということへの不安がまず大きいように思えます。
本書は「定年前」というのがひとつミソですが、その時になって慌てるのではなく、まだ時間のあるうちに予め知識を蓄え、心構えないし準備をしておく、つまり"自分でやる危機管理"という切り口で、今考えておくべき問題をとり上げていて、リストラへの対処から退職後の失業保険や健康保険、マネープラン、年金や生命保険に関すること、さらには老親・妻子を含めた家庭問題や生き方の指針まで、その内容は至れり尽くせりです。
「転籍命令は拒否できるか」「失業保険はいくらもらえるか」「退職後の健康保険はどれを選ぶか」「生命保険の保険額はいくら必要か」など57項目を4ページずつ簡潔にまとめ、定型マニュアル的文章ではなく読み物として読みやすいように、また見落としがちなことに注意を引くような書き方になっています。
この本とほぼ同じ趣旨で出版されているものに『定年後大全 2005-06』('05年/日本経済新聞社)がありますが、奇しくも朝日VS.日経、価格も発刊月も同じで、日経版の方は経済部が書いたもので若干マネープラン寄りです。
内容のバランスと30代・40代の人が読んでも損はないという実用性の点で、こちら朝日版の方をお薦めします。
網羅している範囲が広く、年金のことなどは突っ込んで書かれており、企業の労務担当者やライフプランセミナー担当者にも"使える"1冊だと思います。