「●年金・社会保険」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【727】 伊藤 雄一郎 『年金術』
この1冊で大方のケースに対応できる。問題は買い替えのタイミング。
『年金相談標準ハンドブック』 2006年版
国民年金、厚生年金だけでなく、厚生年金、共済組合の新制度から旧制度までカバーしていて、実務者が相談業務を行う際に、この1冊で大方のケースに対応できるかと思います。
巻頭に年金相談ツールがあり、「一部繰上げ」や「全部繰り上げ」も表を見て説明できるのが便利です。
しかし思えば、「特別支給の老齢厚生年金(在職老齢厚生年金)」というのは、将来の老齢厚生年金の給付額に影響しないという意味ではいい制度だったなあと。
それは段階的に縮小されて何れ無くなり、それを補うものとして「繰上げ制度」があるものの、「一部繰上げ」や「全部繰り上げ」の仕組みを個々に説明して理解してもらうだけでも大変なのに、将来の年金給付額にも影響するとなると、「損益分岐年齢」という問題にぶつかり、「あなたは何歳まで生きますか」という話になってくるので、複雑さが増します。
公的年金制度の仕組みを説明するにあたって、共済制度や旧制度まで加えると、基本事項を網羅するだけでこれだけのページ数になってしまうのか、という思いもあります。
'01年に初版が出て、その後法改正に合わせて毎年改訂版を出しているのは親切なのですが、だんだん分厚くなってきて600ページ近くなり、価格も上がって4.000円近い値段となり安くないので、利用頻度との兼ね合いですがどこで買い換えるかが難しいかもしれません。
著者らが悪いわけではないのですが、年金制度をこんなに複雑にした張本人は誰だと言いたくもなります(と、ほとんど愚痴になってしまいました)。