【083】 ◎ 藤原 久嗣 『新・Q&A 人事労務相談室―採用、配置・異動から退職・解雇まで』 (2006/03 生産性出版) ★★★★★

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労務トラブル多発のポイントを重点的に解説。本格的かつ実務的。

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新・Q&A人事労務相談室―採用・配置・異動から退職・解雇まで』 (2006/03 生産性出版)

 '02年に刊行された『Q&A 人事労務相談室』(「基本編」と「賃金・諸手当・退職金編」の2冊)に続くもので、特に法律実務においてトラブルが多く、また判断が難しい事案も多い「採用、配置・異動から退職・解雇まで」を、Q&Aで82問とりあげています。

 「職安に出した労働条件と異なる条件で採用することは違法か」「退職後に同業他社で働くことを禁止する旨の契約を結ぶことはできるか」「内部告発によって会社に損害を与えた場合に懲戒処分をすることはできるか」「有期契約で雇用する契約社員を契約期間の途中で解雇することはできるか」等々、実際に企業内で起きそうな問題について、改正法規、判例に準拠し、明快・平易に解説しています。

 また、今日的なテーマとして、契約社員やアルバイトなどの非正規雇用の社員に関する質問や、高年齢者雇用安定法の改正に伴い、これからの企業経営や労務管理に及ぼす影響が大きいと思われる高年齢者の継続雇用に関する質問、さらには、労働者派遣に関する質問も取り上げています(本書刊行後に社会的問題になるまでに世間の注目を浴びるようになった「偽装請負」についても既に触れられている)。

 解釈が微妙な、それでいてどの企業でも起き得るような問題を優先して取り上げているという感じで、前シリーズでもそうでしたが、1つ1つの設問に対する回答が要約された形で示され、それに続いて、かなり突っ込んだ解説がされており、今回はさらに密度が濃い内容になっていると思いました。

 いわゆる簡単なトラブル対応型の実務書でここまで深く書いてあるものは少なく、学術的な労働法の専門書になると実務を離れて法解釈が主になってしまうものが多い気がしますが、結構、現場では、解釈が難しく、それでいて実際にいち早く対応を図らねばならないことが多いのではないでしょうか。

 企業内で「採用、配置・異動から退職・解雇まで」に関してのトラブルに遭遇することの多い実務担当者が(ほとんどが該当するような気がしますが)、そうした問題に直面した際に過たずに判断し対応するには必携の本のように思えます。

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This page contains a single entry by wada published on 2006年8月14日 00:54.

【082】 ○ 石田 仁 『小さな会社の労務トラブル「円満」解決法』 (2005/12 日本実業出版社) ★★★★ was the previous entry in this blog.

【084】 × 田中 章二 『社会保険料を安くする法』 (1999/09 WAVE出版) ☆ is the next entry in this blog.

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