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判例を通して「解雇ルール」を探る実務家・企業の必携書。
『詳細!改正労基法「解雇ルール」のすべて―裁判例の整理と法的手続』 ('03年/日本法令)
副題に「裁判例の整理と法的手続」とありますが、メインは解雇に関する裁判例の解釈を通しての概念整理です。
解雇を「狭義の普通解雇」、「整理解雇」、「懲戒解雇」の3つに区分して概説し、以下それぞれの判例とその解釈を示しています。
裁判例がよく網羅されていて、部分的曲解を排するために比較的長文の引用になっていますが、判例タイトルが太字斜字体になっているので読みやすい。解釈も極めてシャープで、著者なりの考え方も明示されています。
個別労使紛争についても、同じ区分に沿って事例が紹介されていて、最後に本文でとり上げた300件以上の判例の検索が付いているのも丁寧だと思います。
労基法改正により解雇権濫用の法理が明定されたわけですが、それは「合理性」という抽象的な概念に拠るものでしかありません。
結局のところ、どのような解雇が有効となり、どのような解雇が無効となるか、要するに「解雇ルール」は、判例を当たるしかないというのが現実でしょう。
そうした意味において本書は、キャッチコピーの通り、まさに「実務家・企業の必携書」だと思います。
【2009年改訂版[日本法令(『詳細!最新の法令・判例に基づく「解雇ルール」のすべて』)]】
《読書MEMO》
●就業規則の絶対的必要記載事項に「解雇事由」が明定(2004.01〜)(47p)
●解雇の分類...「狭義の普通解雇」「整理解雇」「懲戒解雇」(57p)
●ナショナル・ウエストミンスター銀行事件(東京地裁・平成12年)(130p)...4要件は総合的に判断すべき(4要件論を排斥、「4要素」論)
●懲戒処分にかかわる諸原則(152p)
(a)罪刑法定主義
(b)効力不遡及の原則
(c)一事不再理の原則(二重懲罰の禁止)