【076】 ◎ 藤原 久嗣 『Q&A 人事労務相談室 賃金・諸手当・退職金―迷ったときの判断基準84項目』 (2002/12 生産性出版) ★★★★★

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賃金・諸手当・退職金などの法的問題でふだん疑問に思っていることに的確回答。

賃金・諸手当・退職金.jpg 『Q&A人事労務相談室 賃金・諸手当・退職金―迷ったときの判断基準84項目』 ['02年]

070508.jpg 前著『Q&A人事労務相談室』('02年/生産性出版)が労務問題全般を扱った「基礎編」であったとすれば、第2弾の本書では、特に賃金・諸手当・退職金にまつわる問題やトラブルにターゲットを絞り、その法規上の扱いや現実の対応を、より突っ込んでわかりやすく書いています。

 実務上発生する解釈の微妙な問題について判例を引いてすっきりした形で答えているので、問題が発生した場合の解決の手引きとしても、また自社の制度等の法的整合性を確認するうえでも役立つと思います。

 労働条件の不利益変更を、会社側が就業規則の改定というかたちで一方的にやっても、一定の合理性があれば法的に認められる場合もあることがわかります(だからと言って一方的に就業規則を改定するのではなく、そこはやはり社員に対しては事前に充分説明をする必要はある)。

 管理職の深夜割増し残業代を時間単価の125%で払っている会社がありますが、この場合25%だけで払えばいいのです。
 給与の締切日を20日締めから月末締めにするにはどうすればよいのか? 毎月払いの原則があるので、注意が必要です。
 大企業などで部下を持たないスタッフ職を「管理監督者」とし残業代は支給していないケースがありますが、法的根拠はあるのでしょうか?―等々、何となく曖昧になりがちな部分や、実務担当者さえふだん疑問に思っている問題に、法令と実務の両面に沿ったかたちで回答しています。

 人事・労務担当者は知っておくべきことが多くて大変だと思いますが、書かれている内容は、そうした仕事に関わる上では知識として重要なことばかりで、また一般のビジネスパーソンにとっても、こうした賃金のことでの問題に直面した場合には役立つ本かと思います。

《読書MEMO》
●不利益変更を就業規則で包括的に→合理性あればOK(秋北バス事件)(16p)
●業務上災害のため休業中の者の賞与を欠勤控除してもよいか→OK(22p)
●割増算定除外→家族・通勤・別居・子女・住宅・臨時・1ヶ月超える(53p)
●管理職深夜割増は×1.25でなく×0.25でよく、割増込みの場合不要(74p)
●給与の締切日・支払日の変更方法(82p)
●半日休業の休業手当(100p)
●部下を持たないスタッフ職でも管理職と同等地位にある者は管理監督者(149p)

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This page contains a single entry by wada published on 2006年8月13日 18:16.

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