【075】 ◎ 藤原 久嗣 『Q&A 人事労務相談室―迷ったときの判断基準84項目』 (2002/07 生産性出版) ★★★★★

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人事労務担当者の知っておくべき常識集。判例の抽出・解釈が適切。

Q&A 人事労務相談室.jpg 『Q&A 人事労務相談室―迷ったときの判断基準84項目』 (2002/07 生産性出版)

迷ったときの判断.jpg 企業には当然のことながらいろいろな社員がいるもので、何かと人事部にクレームをつけてくる社員の中には、「六法」や労基法関連書籍を肌身離さず持っている社員もいて、総務や人事の担当者の方がこうした社員に対して苦手意識を抱き、及び腰になっているケースが、中小企業などで時々あります。  

 しかし企業内で発生する労務管理上のトラブルには、背景や細部においては個々に事情が異なるものの、おおまかに見ればいくつかの類型があり、対応する側が労働法規を理解し、予め法的に落ち度の無いように社内ルールの策定・運用に心がけていれば、こうした相手には「法的にはこうなっている」という切り替えしが効くため、むしろ対応しやすいのではないかとも思えます。

 夜の接待はどのような場合が残業になり、どのような場合がならないのか?
 自宅への"持ち帰り"残業の扱いはどうなるのか?  
 欠勤を有給休暇に振り替えたいという社員がいるが申し出をきかなければならないのか?
 解雇した社員が貸付金を返さないがどうすればよいか?
 年俸制の社員の年俸を期中に下げることはできるか?

 本書は、社会経済生産性本部のウェブサイトに寄せられた種々の質問をベースに、その回答者である著者が、こうした労働時間・休暇、賃金、解雇・退職、懲戒などに関する疑問やトラブルについて、その法規上の扱いや具体的な対応方法をわかりやすく書いています。

 判断が微妙な事案に対しての、それに対応する判例の抽出や解釈も適切で、人事労務担当者にとって役に立ち、またある意味では本書は、"人事担当者が知っておくべき常識集"ではないかと思います。
 もちろん一般サラリーマンにとっても、"泣き寝入りしないための知識集"として読めます。

《読書MEMO》
●パートタイマーは短時間労働者、アルバイトは短期間労働者(2p)
●夜の接待は使用者の特命がない限り、商談でも労働時間にならない(60p)
●持ち帰り残業も、特殊ケースを除き労働時間にならないという説が有力(63p)
●欠勤の有給休暇への振替は、労働者の申し出と使用者が承認が必要(92p)
●解雇社員が貸付金を返さない→内容証明〒&身元保証人代位返済(175p)
●年俸の期中変更→就業規則の定めがない場合は個別同意でやる(252p)

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