【070】 ○ 酒井 和夫/立川 秀樹 『ITエンジニアの「心の病」―技術者がとりつかれやすい30の疾患』 (2005/07 毎日コミュニケーションズ) ★★★★

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IT時代特有のストレスからくる「心の病」をわかりやすく解説。

ITエンジニアの「心の病.jpgITエンジニアの「心の病」技術者がとりつかれやすい30の疾患』('05年/毎日コミュニケーションズ)

070109.jpg ITエンジニアがとりつかれやすい30の疾患を解説し、症例と対応策を述べています。その中にはITエンてんかん、VDT症候群、ドライアイ、手根管症候群など特にITエンジニアが罹りやすい病気もありますが、頭痛、慢性疲労症候群、自律神経失調症、社会不安障害(対人恐怖症)、うつ病、適応障害、インターネット依存症、過敏性大腸症候群、ディスペプシア(胃のもたれ)、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞など、ITエンジニアに限らず働く人のすべてが「心の病」が昂進して発症するおそれがあるものが多く含まれていることがわかります。

 冒頭に大手広告代理店社員の過労自殺事件を取り上げ、過労自殺は企業の責任であることを明言し、社員のストレスは企業のリスクであること、企業にメンタルヘルス対策が不可欠であることを強調しています。

 しかし実際には「心の病」を見抜くのはそれほど簡単ではありません(本書によると「腰痛」も30疾患の中に含まれていて、「心の問題」に起因することがあるらしい)。

 そこで後半部分では、過労自殺などに至るまでの見落としがちな危ない兆候を、「デフコン(警戒態勢)1〜4」までの危険度別に紹介し、予防法や効果的なストレス解消法を説いています。

 全体に平易な文章で、データもよく整理され用語解説も丁寧で、わかりやすい内容となっています。

 確かにIT時代特有のストレスというのは増えているのでしょう。
 携帯メールの普及などは、着信を常にチェックをしないと落ち着かないといった状況を生み、本人はその意識がないのかもしれませんが、著者からみれば一種の依存症であるとのこと。
 メールの返信に追われたり、相手からの返信がないとイライラしたりするのは、ストレスを増長させる原因になるのではないかと著者は言っています。

《読書MEMO》
●統合失調症(8p)
●スロー・フード運動(29p)
●うつ病と大うつ病(36p)
●A型人間(118p)
●昇進うつ病(142p)

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