「●目標管理・人事考課」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1220】 元井 弘 『目標管理と人事考課』
目標管理制度も、最後は「上司力」に依るところが大きいということなのかもしれない。
『できる上司の「面談力!」』 (2006/02 すばる舎)
「目標管理制度」を「制度」としてだけ導入しても、設定された目標の内容やレベル、評価のあり方等についてスタッフの充分な理解が得られていなければ、運用に際して支障をきたすというのはよく言われることです。
本書は、部下に対し行う1対1面談について書かれていて、ここで想定している「面談」とは、そうした「目標管理」に関わる面談(目標設定面談、進捗状況の確認面談、評価のフィードバック面談)のほかに「キャリア」面談が含まれています。
そして、面談においていきなり本論に入るのではなく、導入においての投げかけを工夫し、また面談目的を明らかにすること、さらに本論においては、会社の方針や現状を理解させ、部下の本音を聞きだすことなどが大事であるとしています。
目標設定面談において大切なのは部下の「納得感」であるとしており、目標の根拠(会社の経営状況・基本方針)を示し、達成の必然性(部下への期待・目標数値・副次成果)、活動計画(概要の把握・活動内容の明確化・結果イメージ)を理解させよと。
著者はベテランの教育・キャリアコンサルタントで、書かれていることはオーソドックス、事例も含め全体にごく簡潔にまとまっており、さらさら読める分物足りなさもありますが、忙しい中間管理職が手引きとして読むには手頃かもしれません。
本書にある「部下の話を聴く」姿勢というのもつい忘れがちですし、間接・支援部門においては「数値化しにくい目標」をどう明確化するかということも重要なことだと思います。
ただし、〈キャリア〉面談ということになると、日常の相互の意思疎通の度合いもうまくいく・いかないを別ける要因となるのではないでしょうか(個人的には、直属上司が行うのが必ずしも良いとは思わない)。
いきなりストレスを抱えていないかなどと訊かれても、答えるスタッフもいれば何も言わないスタッフもいるでしょう。。
「目標管理制度」が、最後は「上司力」「面談力」に依るところ大なるものがあるというのは、避けられないことかも知れないと思いました。