【043】 ◎ 日本生命保険企業保険数理室 『確定給付企業年金のすべて』 (2002/10 東洋経済新報社) ★★★★★

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退確定給付企業年金の理解に重宝する的を絞った1冊。

1確定給付企業年金のすべて.png確定給付.jpg 『確定給付企業年金のすべて』['02年/東洋経済新報社]

 既存の税制適格年金・厚生年金基金から新企業年金等への移行動向は、大雑把に言えば、大企業が確定拠出年金(日本版401k)、中企業が確定給付企業年金、小企業が中小企業退職金共済制度といったところではないでしょうか。

 この中で、大企業の日本版401k導入などは新聞等でも報じられ耳に入りやすいのですが、確定給付企業年金についての一般情報はやや不足気味で、関連の書籍も少ないので、その確定給付企業年金に絞った1冊となっている本書は重宝するかと思います。

 とりわけ、制度移行や企業合併の際の措置や手続き、制度間の関係(日本版401k〔確定拠出年金〕、前払い制度等との併設など)について、詳しくわかりやすく説明されています。 

 本書を読んで改めて認識を深めたことは、税制適格年金などが従業員の全員加入を原則としているのに対し、確定給付企業年金は確定拠出年金(日本版401k)などとの制度併存が可能であるため、従業員に選択可能な制度構築も可能であるということです。

 日本版401k(確定拠出年金)は自社にそぐわないが個々にはそれを望む従業員もいるかも知れず、と言って現在の適格年金には当面は手の着け様がなく、一方で中退共は加入要件を満たさない、とういうような困難なジレンマに陥っている企業の担当者には、特にお薦めの本です。

《読書MEMO》
●確定拠出年金(企業型)は、前払い、確定給付との選択が認められている
 =加入者となることを希望する者のみを加入者とすることが可(16p)
●確定給付は50歳で辞めたら即、年金受給が可能だが、49歳で辞めたら60歳まで「年金の」支給はされない(22p)
●適年から確定給付への移行は、移行前から加入者については、退職一時金の支給要件のままでいくことができる(但し、制度管理が二重になる問題)

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