【042】 ○ 北見 昌朗 『図解 小さな会社の退職金の払い方』 (2001/11 東洋経済新報社) ★★★★

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退職金問題に悩む事業主向けにわかりやすく書かれている。

図解 小さな会社の退職金の払い方.jpg 『図解 小さな会社の退職金の払い方』  (2001/11 東洋経済新報社)

 税制適格年金、厚生年金基金の問題点や、確定拠出年金、確定給付企業年金、中退共のメリット、デメリットがわかりやすくまとめられています。
 いずれについても実務に踏みこんで書かれており、60歳以降の継続雇用や同族会社役員の退職金のあり方についても触れています。

 中小・零細企業向けには中退共を推奨していますが、手放しの評価ではなく、いい加減な辞め方をした社員や顧客を奪って辞めた社員に対しても支払われるなどのデメリットもきちんと説明しています。
 「退職金前払い制度」や確定拠出年金は中小企業に馴染まないとする著者自身の考えもしっかりと、その理由とともに述べられています。この点が一番参考になりました。

 あくまでも著者の考え方であり、また中小零細企業のすべてに著者の主張があてはまるかというと、業態や社員構成、企業風土などによって異なるかと思います。
 その点は著者も「この制度が一番いい」というような書き方はしていません。
 ですからこの本を読めばすべてが解決するというわけではありませんが、退職金問題に悩む事業主にはお薦めです。

《読書MEMO》
●前払い制度を導入して、退職金を廃止したらどうなる?→中小企業にとって退職金は老後資金とは限らず、手切れ金としの役割も→人員整理が困難に(32p)
●中退共のデメリット→問題のある辞め方をした社員にも直接払われてしまう(懲戒解雇したときは減額や不支給も可能だが、その分の積立金は戻らない(69p)
●適格年金制度の優れているところは自己都合係数を自由に設定可能(77p)
●確定拠出(401k)は中小企業に馴染まない面も(102p)
 ・1.入社間もない社員の退職金を減らせない
 ・2.突然辞めたり、ライバル企業に行く人の退職金を減らせない
 ・3.原則として60歳にならないと給付が行われないのは問題
 ・4.積立金の運用方法が選択できるとしても、そんなノウハウがない

 ★それでも規約型企業年金制度よりはいいのではないか
●退職金制度を減額変更する場合は、代替措置として他の面での労働条件の向上が必要→「定年後の継続雇用」がいい

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