【039】 ○ 菊谷 寛之 『中堅・中小企業の業績連動賞与』 (2005/10 日本経団連出版) ★★★★

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賞与制度構築・見直しの基本的ポイントを押さえる上での良書。

tyuuken.jpg 『中堅・中小企業の業績連動賞与』 (2005/10 日本経団連出版)

 本書は、中堅・中小企業を対象に、経営者にも従業員にも納得できる、わかりやすい賞与の決定・配分方式を実務的に解説したものです。

 賞与の意味や人件費、賃金制度の中での位置づけなどをしっかり整理したうえで、実力主義、短期決済型賞与の実現形としての業績連動賞与の方法論を示しているので、実務者にとっては、制度策定だけでなく、賞与制度変遷の流れの中で自社の賞与制度がどういう位置づけにあるかを探るうえでも参考になるかと思います(根拠データや解説図表も豪富です)。

 著者は賃金人事コンサルタントですが、労務行政研究所などの出身であるためか、内容的には本書出版時点でのオーソドックスとも言えるべきものです。
 例えば賞与の配分ロジックは、責任等級と成績にもとづき個々の貢献度をポイント評価し、賞与総原資にもとづくポイント単価を乗じて個人支給額を決定する「ポイント制」賞与を推奨していますが、併せて、成績評価において「分布規制」を行うことを唱えています。

 「ポイント制」賞与において評価がインフレ化すると、会社業績が良いのにポイント単価が下がってしまうという矛盾が生じるため「分布規制」という考え方はセットになってくる―こうした制度の瑕疵を未然に防ぐための見落としがちなポイントについても、きっちり言及されています。

 170頁余で1,700円という価格ですが、制度構築の基本的ポイントを押さえるためのテキストとしての密度は、価格に見合ったものだと思います。

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This page contains a single entry by wada published on 2006年8月12日 09:10.

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【040】 ○ 滝田 誠一郎 『人事制度イノベーション―「脱・成果主義」への修正回答』 (2006/06 講談社現代新書) ★★★★ is the next entry in this blog.

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