「●人事・賃金制度」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【039】 菊谷 寛之 『中堅・中小企業の業績連動賞与』
キャリアパスがどこまで描けるかがカギになるか。参考になる点は多い。
『3時間でわかる「職種別賃金」入門』 (2005/08 中央経済社)
著者は、中堅・中小企業に適合する人事・賃金制度を紹介した書籍などで定評のある人事コンサルタントですが、本書では、成果主義の問題点を解消する切り札として「職種別賃金」制度の導入を提唱しています。
必要性や概要だけでなく、管理職、営業職、販売接客職、技術職、SE職、製造職、事務職といった代表的な職種ごとに、具体的に賃金表や評価表の事例を示しながらわかりやすく解説していて、人事のキャリアが浅い担当者や経営者にとっても読みやすいかと思います。
この本を読んで、自社にある職種の数だけ賃金制度を入れようとする人は少ないと思います。
まず何のために変えるかということと、本書にもありますが、自社におけるキャリアパスをしっかり構築することが肝要かと思います。
そうした意味では、「コース別人事制度」をすでに導入している企業では「職種別賃金」制度は導入しやすいだろうし、中小企業などで職種転換が頻繁に行われるような企業であれば、導入に慎重を期すべきでしょう。
子会社などで、親会社とまったく業態が異なるのに、親会社と同じ賃金制度を採用している会社などでは、自社のメインとなる職種に合った賃金制度を検討する際に、本書が参考になるかもしれません。
その他にも、賃金制度だけでなく、例えば管理職であれば「進路選択制度」といった具合に、職種別に「その他人事制度」についての提案が盛り込まれていて、参考になる点は多いかと思います。