「●人事・賃金制度」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【037】 元井 弘 『役割業績主義人事システム』
ユニークな提案も多く含まれている。事業主、実務者、コンサルタントにお薦め。
『新型 人事制度・労務管理活用ガイドブック』 (2005/02 明日香出版社)
人事労務管理の諸問題とその対応、特に中小零細企業が雇用の多様化・流動化のなかでとるべき人材戦略・制度を重点的に扱っています。
採用/賃金/休暇/退社/勤務/育成/共伸のテーマ区分で、テーマごとに人事制度や労務管理の工夫、法規上の留意点などが書かれています。
例えば賃金面では範囲給、ジョブロール(役割)の概念、年俸制、ポイント制退職金などを、制度面では在宅勤務、社内FA、目標管理、キャリアコンサル、社内メンター、社内ベンチャーなどの制度を提唱し、最近の人事潮流に沿ったものとなっています。
さらに、中小零細企業のA&R(人材確保)戦略の一環として、サインオンボーナス(採用内定時に入社を条件に一時金を払う)のようなユニークな提案もあります。
企業型401kの前段階としての「個人型」の提案や、就業規則とは別に個別労働契約の締結を推奨している部分に、人事労務管理の個別化傾向を実感しました。
《読書MEMO》
●プロフィットシェアリング(利益配分)とパフォーマンスボーナス(業績賞与)
●〔採用〕サインオンボーナス
・1.一定期間の就労の強要はできない(前借金の禁止)
・2.金銭貸借契約とするのは可能だが、返済額が高額で強度のプレッャーを伴う場合は問題
・3.一定期間内の退職の場合違約金(労働契約不履行の場合の違約金の契約は違法)/税法上は一時所得(社保控除しない・確定申告)(21p)
●〔休暇〕有給休暇の買い上げ→原則。法定外は可(法定日数を超える分、退職・解雇により消滅する分、時効により消滅したもの)(80p)
●〔退社〕年俸制社員→民法:6ヶ月以上の期間で報酬を定めた場合、3ヶ月前までに解約(退職・解雇)の申し入れが必要→年俸制でも毎月1回以上払いのため、解雇予告は30日前(月給制と同じ)と考えるべき。民法→1ヵ月の期間で報酬を定めた場合、月の前半で解約申し入れの場合は次期以降、月の後半の場合は次々期以降解約可能、期間の定めのない雇用の場合は2週間前、会社からの解約の場合は30日前、となっている(109p)