【033】 ○ 堀之内 克彦 『経営者のための成果主義改革の正しい進め方―図で見てわかる成果主義賃金導入の具体例』 (2004/10 ぱる出版) ★★★★

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人事部まかせでいい、給与だけいじればいい、といった考えを正す本。

経営者のための成果主義改革の正しい進め方.jpg 『経営者のための成果主義改革の正しい進め方-図で見てわかる成果主義賃金導入の具体例

 人事・労務の総合コンサルタントとして、中堅・中小企業向けの経営コンサルを手掛ける著者による成果主義改革の手引きであり、本書で言う「成果主義」とは、「成果を重視した組織の考え方」で、小手先の給料いじりでは改革にならず、人事制度改革は、組織改革、経営改革というソフトをサポートするハードであるべきものだとしています。

0013.gif そうした考えに沿って、管理者のレベルアップやトップの強いリーダーシップ、社員との信頼関係などが必要であるとし、プロジェクト方式での人事制度改革の導入の進め方や、成果を出せる風土・環境はどうやって作るのか、目標管理制度や人事考課はどうあるべきかなどを説いています。

 全体を通して経営者向けにやさしく書かれているように思え、「トップの関心、支援が成否を分ける」というのはまったく同感で、目標管理制度や人事考課など給与制度の「周辺制度」が実は大切であるという視点にも共感を覚えます。

 ただ、表紙のキャッチに「人と組織を活性化させる給与制度を実現する」とあるものの、給与制度については、「図でわかる成果主義賃金の具体例」として付録的にあるだけなので(コンパクトに纏まってはいるが)、実務者にはやや物足りないかも。

 人事部へ丸投げすればいいと思っている経営陣や、給与だけいじれば済むと思っている人事担当者がいるとすれば、その誤謬を説いて諭すという意味ではたいへん良い指南書だと思います。
 
《読書MEMO》
●《年俸制の具体例》
①職位、評価ランクによる年俸制...職位、評価による絶対額洗い替え方式
②等級、評価ランクによる年俸制...等級、評価によるく絶対額洗い替え方式
  (評価ランクは役割の大きさ×達成度で決める)
③職位、役割、評価による年俸制...職位・役割ランク別基準額×評価係数
④資格年俸+役割年俸...何に対して支給するかが明確(日本的)
⑤レンジマトリックス方式...本人の基本給レンジと評価によって増減額が異なる
●《月給制の具体例》
⑥等級、評価ランクによる月給制...等級、評価による絶対額洗い替え方式
⑦業績等級制...⑥において給与ランクを決める際に、改定前の給与ランクによって同じ評価でもどの給与ランクになるか異なる
 (レンジマトリックスと似た概念)
⑧職能給と洗い替え方式の併用...定昇型職能給+洗い替え業績給

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