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2006年08月11日   書評:HUREC AFTERHOURS 人事コンサルタントの読書備忘録

【018】 △ 舞田 竜宣 『10年後の人事―成果主義はどう変わる?』 (2005/05 日本経団連出版) ★★★

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“変節”? コンサルタントは機を見るに敏でなければならないのか?

10年後の人事―成果主義はどう変わる?.jpg10年後の人事―成果主義はどう変わる?』 ['05年/日本経団連出版]舞田 竜宣.jpg 舞田竜宣 氏

10年後の人事p.bmp “10年後”と言うよりは、現在の人事制度の方向性とこれからの人事部のあり方といったところでしょうか。
 資格等級制度、報酬制度、評価、採用・育成、人事機能などについて書かれています。
 評価制度におけるコンピテンシーの位置づけや採用・育成におけるA&R戦略は、著者(現在はヒューイット・アソシエイツ株式会社社長)や著者が以前に属した戦略コンサルティングのマーサー社が書籍や専門誌で既に発表しているものとほぼ同じで、本書の中では「非金銭的報酬」について2章分を割いて説明しているのがひとつの特徴でしょうか。この部分は、ある程度参考になりました。

 個人的には資格等級制度において、職能等級と職務等級の混合型およびブロードバンドとナローバンドの組み合わせを提唱しているのに少し驚きました。
 マーサー社の最近までの主張は、職務主義(役割主義)一本のブロードバンドだったはず。これも“成果主義の揺り戻し”なのか。コンサルタントは機を見るに敏でなければならないのか?
 マーサー社の指導のもとに何とか職能資格制度を廃して職務主義に移行した結果、社内が少しギスギスしている会社があったとしたら、次はどうすればいいのだろうか?

 「非金銭的報酬の応用法」については、同社がこれまでにも提唱している“優秀人材の囲い込み”戦略の流れだと思いますが、本書ではより具体的ではあるものの、賃金や役職以外は極めて平等主義的な処遇をすることで、“そこそこの社員”を含むより大多数のモチベーションを維持してきた日本の企業風土の中で、どこまでこうした“仕掛け”が拡がっていけるのか未知数の部分も大きいと思います。
 とは言え、金銭的報酬での処遇には自ずと限界があるわけで、今後企業ごとに、自社に合ったいろいろな工夫が求められるようになるには違いないでしょう。

 むしろ評価のところで述べられているコンピテンシーとコーチングの結合(コンピテンシー・コーチング)という考え方に共鳴を覚えました。
 コーチングについてのノウハウが書かれた本は巷にあふれていますが、「How」の前に「What」があるべきであるという主張には頷かされ、今後の議論の深化を期待したいと思いました。

《読書MEMO》
●非金銭的報酬(71p)
A acknowledgement(感謝)/B balance of work/life (オンとオフのバランス)/C culture(組織文化)/D development (成長機会)/E environment(労働環境)
● 非金銭的報酬の応用法(73p)…すぐれた業績を上げた、またはすぐれた発明をした研究開発者に対し、
 1.予算報酬…さらなる研究開発のための自由に使える予算を与える
 2.環境報酬…望みどおりの設備や環境を整備する
 3.テーマ報酬…取り組む研究開発テーマを自由に選ぶ権利を与える
 4.時間報酬…自由な活動に使える時間や充電のための長期休暇を与える
 5.社会的報酬…トップの感謝や周囲による賞賛、表彰、特別な呼称の授与、記念の刻銘など(心理的報酬)
●目標管理(115p)
(「目標管理」はもともと、自分で考えて目標を立てるという発想に基づいているが、「目標参画」の理念は必ずしも正しくないことが、その後の行動心理学・組織心理学の研究でわかってきた。)
目標に対して社員がどれだけ情熱を燃やすかは、その目標にどれだけ納得感が得られるか、その目標をどれだけ受容できるかにかかっている。誰が目標を設定するかは一義的な要素ではない。
●コンピテンシー→プロセス評価→コーチング→コンピテンシー・コーチング(121p)
プロセス評価とは、処遇の決定のためだけではなく、教育的な意味も多分にあり、今日の成果に加えて将来の成果もめざす意味もある。→コンピテンシーを使った日々の教育が必要→コーチングにおける「What」の明確化→それぞれの職務におけるコンピテンシーをコーングの技法を使って日々、上司が部下に指導する



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和田泰明

投稿者 wadamy : 2006年08月11日 16:41