【011】 × 清水 佑三 『数字と人情―成果主義の落とし穴』 (2003/07 PHP新書) ★★

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著者のウンチクは楽しいが...これでは単なるエッセイにすぎないのでは。

数字と人情―成果主義の落とし穴.jpg 『数字と人情―成果主義の落とし穴』PHP新書 〔'03年〕 shimizu.jpg 清水佑三 氏 (略歴下記)

 タイトルの意味は、数字ばかり追う成果主義を批判し、人情の復権を訴えるということだと思いますが...。
 随所に見られる著者のウンチクは面白く、こういうウンチクは個人的には嫌いではないのですが、本書の趣旨とどう関わるのかがわかりにくかったです。

 競争原理を否定するその帰結が、諺、落語、歌舞伎に耳を傾けよ、というのはどうでしょうか。
 「音楽を聴こう」「植木に水をやろう」で、成果主義が抱える問題が解決できるのでしょうか。

 書きたいことを書いただけのエッセイで、新書として(ましてや成果主義云々という副題で)出す類のものではないと思いました。

《読書MEMO》
●成績の時代...赤い羽根募金まで地域割当てが
●「虫の知らせ」を研究したベルグソンとユング
●オックスブリッジの入試はエッセイと面接が主体(言葉は階層を表す)
●アメリカで抗鬱剤セロトニンの服用者は2000万人
●ダイソンの掃除機
●川上弘美『センセイの鞄』に見る他者への気遣い
●山本常朝『葉隠』→隆慶一郎『死ぬことと見つけたり』と西洋人のユーモアへの執着
●プロジェクトX"伏見工業高校ラグビー部"
●韓国のべストセラー『カシコギ』父子ともに癌にかかる話

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清水 佑三 (日本エス・エイチ・エル社長)
1966年慶応大学工学部卒業、1968年同修士課程修了。多次元尺度構成法を専攻。河出書房新社、ダイヤモンド・ビッグ社を経て、文化放送ブレーンの創業とともに役員就任。20年の役員経験を経て、1987年日本エス・エイチ・エル社の創業とともに社長就任。『人は誰でもカリスマになれる』(東洋経済新報社)『数字と人情』(PHP研究所)『逆面接』(東洋経済新報社)等の著書がある。

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