【007】 ○ 内田 研二 『成果主義と人事評価 (2001/10 講談社現代新書) ★★★★

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人と組織に対する冷静な分析は秀逸。組織心理学の本としても読める。

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成果主義と人事評価』 講談社現代新書 〔'01年〕

成果主義と人事評価4.JPG070115.jpg 企業内での人事実務の経験者の手による本で、内容は、著者が都銀から証券子会社に人事部課長として出向していたときの経験がベースになっているのではないかと思われますが、「成果主義」や「人事評価」に派生する問題に対しての、担当者として真摯な取り組み姿勢を感じます。

 本書の中で秀逸だと感じたのは、本書の主テーマよりもその周辺部分の説明にあたるのかも知れませんが、普通の会社でよくある、人と組織に関する様々な非合理的な事象に対する、著者の冷静な観察と分析で、例えば次のようなものです。

 ―現代の社員は、業務フィールドに貢献するように働こうとする意図がはたらきやすい。
 業務フィールドの人間関係の中でどのような役割を演じたいかを先に決め、仕事をそのために利用する場合さえある。(91p)

 個人的には、自分が個人の裁量度が比較的に高い業態である業界に身を置いていただけに、こうした事例をかなり見てきたような気がします。
 著者は本書執筆時30歳代で、比較的現場が見えているのかも知れないという気がしました。
 そうした意味では、組織心理学、組織行動学の本としても読めました。

《読書MEMO》
●社員の具体的行動を促すのが目標管理だが、評価に使うと、目標が低いほど評価が高くなるという問題が生じる(32p)
●職場ではなく「業務フィールド」で働く傾向(86p)
 ―業務フィールドでの人間関係を良好に保っている人は仕事をスムーズに進めることができ、コンスタントに成果も上げやすい。そして、自分が良い仕事をしているという満足感を得ることができる。ただときとして社員が自分の業務フィールドでの人間関係を重視するあまり、会社全体としての最適な判断がなされないことがある。」(90p)
●仕事にリアリティの乏しい会社では非常事態を歓迎する心理が働き、潜在意識で災害を求めてしまう。そして自ら引き寄せた災いに直面して始めて精神的な均衡を回復する(127p)

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