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新しいアイデアを生み出すには、新しい流儀で考えること。

頭にガツンと一撃 2.jpg頭にガツンと一撃.jpg 『頭にガツンと一撃』 ('90年/新潮文庫) Awhackonthesideofthehead.jpg "Whack on the Side of the Head"
頭にガツンと一撃』('84年/新潮社)

 知識は新しいアイデアを作り出す素材であるが、知識だけで創造的になれるわけではなく、知識がただ眠っているのは、新しい流儀で考えようとしないからだ―と、著者のロジャー・フォン・イークは述べています。

 創造的思考とは何かを示す例で、グーテンベルグが、「ブドウ絞り器」と「硬貨打印器」の機能を組み合わせるというアイデアから、印刷技術を生み出したという話が紹介されていますが、こうした着想は、このモノはこれだけの為に使うのだというような思い込みからいったん離れる必要があるということです。

A Whack on the Side of the Head.gif 頭のこわばりをほぐすには、禅における"喝"ではないが、一度頭の横をガツンとやられる必要があり(原題は"A Whack: on the Side of the Head")、あのエジソンも、電信技術の改良発明をしたものの、電信事業が大手企業に独占されたことを知り、「頭にガツン」とやられて、それで電球、発電機、蓄音機など他分野の発明に乗り出し、成功をおさめたとのこと。

 そこで以下、頭のこわばりをほぐし、創造的に考えるということはどういうことなのかを、設問や事例で示していますが、最初に「次の5つの図形から、他のすべてと性格の異なるものを選べ」という設問があり、これが、どれもが正解になり得ることを示していて、のっけから、おおっという感じで、「物事の正解は一つだけではない」ということを端的に示しています。

 以下、全部で10か条、頭のこわばりをほぐす方法を示していて、紹介されている事例を読むだけでも楽しい本ですが...。

 一度決めたことはなかなか変えられないということの事例で、タイプライターの「QWERTY配列」が、タイプライター・メーカーの技術者が、速く打ちすぎるとキーがからむため、「速く打てなくしたらどうだろう? そうすれば、キーもそれほどからむまい」と考え、キーボードの配列を意図的に非能率的なものにしたものが今でも残っているのだという話があり(80p)、これは話としては面白いけれども、事実とは言えないとの指摘もあるらしいです。

 このように、所々に例証や論理の強引はありますが、大体、ビジネスアイデア・コンサルタントって昔からこんな感じでしょう。こうした発想は、プランナーやクリエイターの素養にも繋がる部分があるかと思います。

 役に立つかどうかは読む人次第かもしれませんが(本来ならば意外と読み手を選ぶ本?)、単に読み物としても楽しいため、誰が読んでも一応損はないと思います(読んで時間を無駄にしたということはないと思うのだが、やはり読み手次第?)。

 故・城山三郎自身が本書を読んで「ガツンと一撃くらって」自ら翻訳に乗り出したというだけのことはあります。とりわけプランナーやクリエイターを目指す人にはお奨めです。
 あらゆる仕事でこうした柔軟な発想は求められると考えれば、新入社員や内定者の課題図書としてはいいかも。そうした対象者に限れば★★★★です(実際、広告業界で本書を内定者の課題図書に選んでいる会社がある)。

頭脳を鍛える練習帳.jpg川島 隆太.jpg '05年に『脳を鍛える大人の計算ドリル』『脳を鍛える大人の音読ドリル』の川島隆太氏の訳で『頭脳を鍛える練習帳―もっと"柔軟な頭"をつくる!』(三笠書房)として改訳版が出ましたが、先に城山訳が刊行されていることに言及していないとのことで、それはいかがなものか(先んじて本書に着眼した故・城山三郎に対し失礼ではないか)。

頭脳を鍛える練習帳―もっと"柔軟な頭"をつくる!

 【1990年文庫化[新潮文庫]/2005年改訳[『頭脳を鍛える練習帳―もっと"柔軟な頭"をつくる!』]】

【2203】 ○ ジャック・コヴァート/トッド・サッターステン (庭田よう子:訳) 『アメリカCEOのベストビジネス書100』 (2009/11 講談社)

《読書MEMO》
●頭のこわばりをほぐす10か条
1)物事の正解は一つだけではない
2)何も論理的でなくてもいい
3)ルールを無視しょう
4)現実的に考えようとするな
5)曖昧のままにしておこう
6)間違えてもいい
7)遊び心は軽薄ではない
8)「それは私の専門外だ」というな
9)馬鹿なことを考えよう
10)「創造力」は誰でも持っている

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著名人のエピソードを軸とした読みやすいエッセイ。とりあげられている人物がバラエティに富む。

打たれ強く生きる.jpg 『打たれ強く生きる (新潮文庫)』〔'89年〕 静かなタフネス10の人生.jpg 『静かなタフネス10の人生』 新潮文庫

打たれ強く生きる 単行本_.jpg 『打たれ強く生きる』 ('85年/日本経済新聞社)は、財界人などの著名人の素顔や言動から窺えるその人間性や考え方などを中心に、著者が日常において感じたことなども含めてエッセイ風に綴ったもので、ベースとなっているのは'83(昭和58)年の日経流通新聞での連載。1篇3ページずつにまとまっており、読みやすいせいもあって、今まで何度か読み返しました。
静かなタフネス4.JPG 城山氏は財界トップへのインタビューなども本にしていますが(『静かなタフネス10の人生』('86年/文藝春秋))、本書『打たれ強く生きる』でも、渋沢栄一とか城山氏の好みの経営者にまつわるエピソードが多いものの(本田宗一郎や土光敏夫などはまだ本書刊行時は存命中で、著者は直接に親交があった)、財界人に限らず、歴史上の人物(毛利元就・山中鹿之助など)から、作家や演出家(和田勉・浅利慶太など)、さらには芸人・芸能人(桂枝雀・レオナルド熊など)まで取り上げていて、より作家的視点を感じるとともに、話のネタの広さに感心します。

聞き書き 静かなタフネス10の人生

 "山種証券"の山崎種二氏の「大きな耳を持て」という話や、"花王石鹸"の丸田芳郎の「会社の仕事以外に勉強するように」「文学や芸術に触れろ」という話はいい話ですが、ちょっとストレートすぎる感じも。

 むしろ、地方から家出同然で上京した村上龍に、父親が近況を伝える手紙を送り続けたという(その数7年間で2千通に及び、これに対して村上龍は一度も返信しなかったという)話などが、読み直して新鮮な面白さを感じました。

桂枝雀.jpg 表題の「打たれ強く生きる」については、作家・渡辺淳一が、医師としての死生観を通じて得た「死を思えば少々の挫折など何でもない」という「打たれ強さの秘密」という話の中で出てきます。
 更にその前に紹介されている落語家・桂枝雀の「ぼちぼちが一番でんな」という話も印象的でしたが、彼自身は、自分が気質的に考え込んでしまうタイプだということがよくわかっていたのでは。 

 【1989年文庫化[新潮文庫]】

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