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アン・リー監督2度目の金獅子賞。原作短編を「長編に展開」し、女性映画として秀逸な「ラスト、コーション」。
ラスト、コーション チラシ.jpgラスト、コーション .jpg ラスト、コーション 集英社文庫.jpg ブロークバック・マウンテン dvd.jpg
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ラスト、コーション 03.jpg 1938年、日中戦争の激化によって混乱する中国本土から香港に逃れていた女子大学生・王佳芝(ワン・チアチー)(タン・ウェイ)は、学ラスト、コーション04.jpg友・鄺祐民(クァン・ユイミン)(ワン・リーホン)の勧誘で抗日運動を掲げる学生劇団に入団し、やがて劇団は実践を伴う抗日活動へと傾斜していく。翌1939年、佳芝も抗ラスト、コーション09.jpg日地下工作員(スパイ)として活動することを決意し、特務機関の易(イー)(トニー・レオン)暗殺の機を窺うため麦(マイ)夫人として易夫人(ジョアン・チェン)に麻雀・買い物友達として接近、易を誘惑したが、学生工作員の未熟さと厳しい警戒でラスト、コーション37.jpg暗殺は未遂に終わる。3年後、日中戦争開戦から6年目の1942年、特務機関の中心人物に昇進していた易暗殺計画の工作員として上海の国民党抗日組織から再度抜擢された佳芝は、特訓を受けて易に接触したが、度々激しい性愛を交わすうち、特務機関員という職務から孤独の苦悩を抱える易にいつしか魅かれていく。工作員としての使命を持ちながら、暗殺対象の易に心を寄せてしまった佳芝は―。

ラスト、コーション99.jpg 「ブロークバック・マウンテン」('05年/米)で2005年・第62回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞や2005年度アカデミー監督賞を受賞したアン・リー(李安)監督の2007年公開作で、1942年日本軍占領下の中国・上海を舞台に、日本の傀儡政権である汪兆銘政権の下で、抗日組織の弾圧を任務とする特務機関員の暗殺計画を巡って、抗日運動の女性工作員ワン(タン・ウェイ)と、彼女が命を狙う日本軍傀儡政府の顔役イー(トニー・レオン)による死と隣り合わせの危険な逢瀬とその愛の顛末を描いたもので、2007年・第64回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞と撮影賞をW受賞し、アン・リー監督はルイ・マルや張藝謀(チャン・イーモウ)と並んで、金獅子賞を2度獲った歴代4人目の監督となりました。

世界文学全集 第3集.jpgZhang_Ailing_1954.jpg 原作は、ドミニク・チャン南カリフォルニア大学教授によれば、「国民党と共産党の政治的分裂がなければノーベル賞を受賞していたはずだ」という作家・張愛玲(ちょう あいれい、アイリーン・チャン、1920-1995)による小説『惘然記』(1983)に収められた短編小説「色、戒」で、1939年に実際にあった暗殺事件にヒントを得て書かれたものです。1955年に作者は米国に移り住むことになりますが、その頃から既に構想されていたもののようです(1977年初出)。映画公開に併せて『ラスト、コーション 色・戒』('07年/集英社文庫)など訳書が刊行され、『短編コレクションⅠ(池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 Ⅲ‐05)』('10年/河出書房新社)にも収められていますが、池澤夏樹氏は、「『色、戒』はぼくには圧縮された長編小説と読める」としています。
短篇コレクションI (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

ラスト、コーション 0.jpg 原作は女性工作員・王佳芝(ワン・チアチー)の数日を描いていますが(それは劇的な結末で終わる)、映画も、その形をきっちり踏襲した上で、回想の部分に肉付けして2時間38分の作品にしています。そして、その肉付けの仕方が、ぎゅっと詰まった高密度の原作を分かりやすく展開して"長編小説"に戻したような形になっています。ジェーン・オースティン原作の「いつか晴れた日に」('95年/米・英)のように英国小説が原作の映画を撮れば英国の監督が撮ったように撮り、「ブロークバック・マウンテン」のように米国小説が原作の映画を撮れば米国の監督が撮ったように撮るアン・リー監督ですが、やはりこの中国を舞台とした小説の映画化で一番力を発揮したように個人的には思います。

ラスト、コーション 99.jpg ヒロインの王佳芝を演じた湯唯(タン・ウェイ)は、オーディションで約1万人の中から主演に選ばれたそうですが、当時28歳ながら学生を演じれば学生らしく見え、男を誘惑する女スパイを演じればそれなりに魅力的な女性に見えました(タン・ウェイは第44回台湾金馬奨最優秀新人賞受賞)。原作とイメージが若干違うのは、原作では「ねずみ顔の中年の小男」とされている特務機関の易(イー)をトニー・レオンが演じているため、"いい男"過ぎる点でしょうか(笑)(トニー・レオンはアジア・フィルム・アワード主演男優賞、台湾金馬奨最優秀主演男優賞受賞)。

鄭蘋茹(Zheng Pingru)/丁黙邨(てい もくそん)
Zheng_Pingru_02.jpg丁黙邨.jpg 因みに、「色、戒」の王佳芝のモデルは、父親が中国人、母親が日本人の女スパイ・鄭蘋茹(テン・ピンルー、1918 -1940/享年22)で、易のモデルは、汪兆銘政権傘下の特工総部(ジェスフィールド76号)の指導者・丁黙邨(ていもくそん、1903-1947)です。鄭は丁に近づき、1939年12月、丁の暗殺計画を実行するも失敗、特工総部に出頭して捕らえられ、1940年2月に銃殺されますが、後に中華民国より殉職烈士に認定されています。一方の丁は、戦後も蒋介石の国民政府に再任用されるなどしましたが、結局は漢奸として逮捕され、1947年に死刑判決を受け、南京で処刑されています(享年45)。

ラストコーション8735_l.jpg この映画は所謂「漢奸問題」を引き起こしました。佳芝を演じたタン・ウェイは、トニー・レオンが演じる戦時中日本の協力者と見なされた漢奸を愛するようになる役柄であることから、漢奸を美化し「愛国烈士」を侮辱する象徴として中国国内のネット上では批判された時期があったようです。張愛玲の原作では愛欲描写は殆ど無いものの、佳芝が易を逃がすのは原作も同じです。原作者の張愛玲は人生半ばで渡米して今は故人、そうなるとこの作品を選んだアン・リー監督に矛先が行きそうですが、当のアン・リーは台湾出身で米国国籍も有し普段は中国にはいないので、トニー・レオンと大胆なラブシーンを演じたタン・ウェイに批判の矛先が向けられたのかもしれません(タン・ウェイは2008年に香港の市民権を得て、その後は主に香港映画に出演、ハリウッドにも進出した)。

ラスト、コーション92.jpg 原作では、佳芝が易にどのような理由で愛情を抱くようになったかは明確に描かれていません。また、佳芝が易を逃がしたことが、同時に彼女が仲間を裏切ったことになり、そのため彼女だけでなく仲間が皆捕まって処刑されたということも、原作ではさらっと触れているだけで、この佳芝の言わば"裏切り"行為は、原作よりも映画の方がより前面に押し出されていると言えます。敢えてそうした上で(つまり批判を見越した上で)、それでもヒロインとして観る者を惹きつける佳芝の描きっぷりに、アン・リー監督による"原作超え"を感じました。3年も経ってからやっと佳芝に口づけをしたかつての学友に、「3年前にしてくれていれば...」と佳芝が言う場面で、「ああ、これは"女性映画"なのだなあと」とも思いました(アン・リー監督は女性映画の名手として定評がある)。

51eLWoDzrkL._SL250_.jpgアニー・プルー.jpg この作品の2年前に金獅子賞を獲った「ブロークバック・マウンテン」は、ワイオミング州ブロークバック・マウンテンの雄大な風景をバックに、2人のカウボーイの1963年から1983年までの20年間にわたる秘められた禁断の愛を綴った物語で、原作は『シッピング・ニュース』でピューリッツァー賞を受賞した女流作家E・アニー・プルーの同名中編で、1997年に雑誌「ニューヨーカー」に掲載され、1998年の全米雑誌賞とO・ヘンリー賞を受賞した作品です(これも佳作だった。彼女は「ブロークバック・マウンテン」がアカデミー作品賞にノミネートされるも受賞を逃したことで、代わりにアカデミー作品賞を受賞した「クラッシュ」を酷評した)。

"Brokeback Mountain"ペーパーバック

ブロークバック・マウンテンa5.jpg 1963年、ワイオミング。ブロークバック・マウンテンの農牧場に季節労働者として雇われ、運命の出逢いを果たした2人の青年、イニス・デル・マー(ヒース・レジャー)とジャック・ツイスト(ジェイク・ギレンホール)。彼らは山でキャンプをしながら羊の放牧の管理を任される。寡黙なイニスと天衣無縫なジャック。対照的な2人は大自然の中で一緒の時間を過ごすうちに深い友情を築いていく。そしていつしか2人の感情は、彼ら自身気づかぬうちに、友情を超えたものへと変わっていくのだったが―。

 2005年のアカデミー賞で8部門にノミネートされましたが、監督賞、脚色賞、作曲賞の3部門の受賞にとどまりました(保守的な傾向があるアカデミー賞では作品賞は難しいのではないかという事前予想はあった)。ただし、ゴールデングローブ賞作品賞、英国アカデミー賞作品賞、インディペンデント・スピリット賞作品賞ほか、ニューヨーク、ロサンゼルスブロークバック・マウンテン_c1.jpgブロークバック・マウンテン_c2.jpg、ロンドンなどの各映画批評家協会賞作品賞を受賞し、ゲイ・ムービーにはスティーヴン・フリアーズ監督の「マイ・ビューティフル・ランドレット」('85年)やウォン・カーウァイ監督の「ブエノスアイレス」('97年)など先行する作品が結構ありましたが、多くの賞を受賞したという点では画期的な作品でした。2000年代中盤以降LGBT映画がますますその数を増していく契機にもなり、最近では、バリー・ジェンキンス監督の「ムーンライト」('16年)がアカデミー作品賞を受賞し、ルカ・グァダニーノ監督の「君の名前で僕を呼んで」('17年)がアカデミー脚色賞を受賞するなどしています(「君の名前で僕を呼んで」の脚本は「モーリス」('87年)のジェームズ・アイヴォリー監督)。

ブロークバック・マウンテンes.jpg この映画の場合、主人公の2人の男性は共に家庭も持っていて、しかも時代設定が60年代から80年代にかけてということで、ゲイに対する偏見が今よりもずっと強かった時代の話であり、それだけ"禁断の愛"的な色合いが強く出ブロークバック・マウンテン4.jpgているように思います。一方で、その"禁断の愛"をブロークバック・マウンテンの美しい自然を背景に描いており、山の焚火%E3%80%80チラシ.jpgドロドロした印象はさほどなく、自然の美しさが浄化作用のように効いているという点で、アルプスの自然を背景に姉弟の近親相姦を描いたフレディ・M・ムーラー監督のロカルノ国際映画祭「金豹賞」受賞作「山の焚火」('85年/スイス)を想起したりしました。

ブロークバック・マウンテン ヒース.jpg イニスとジャックを演じた、故ヒース・レジャー(1979-2008/享年28)とジェイク・ギレンホールの演技も良かったです。この作品のイニス役でニューヨーク映画批評家協会賞主演男優賞などをヒース・レジャー.jpg受賞し、アカデミー主演男優賞にもノミネートされたヒース・レジャーは、映画の中でイニスと結婚したアルマを演じたミシェル・ウィリアムズと実生活において婚約しましたが、両者の間に女の子が産まれたものの婚約を解消、その後ヒース・レジャーは2008年1月に薬物摂取による急性中毒でニューヨークの自宅で亡くなっています。

ブロークバック・マウンテン 85.JPG イニスがジャックの事故死を彼のジャックの妻ラリーン(アン・ハサウェイ)から聞かされた時に、リンチを受けるジャックの姿をイメージしたのは、単にイニスのトラウマからくる思い込みというより、実際にリンチ死だったということだったのでしょう。原作では、イニスは最初、ジャックはリンチ死だったのか本当に事故死だったのか分からないでいますが、後になってリンチ死と確信するようになります。

ブロークバック・マウンテン (集英社文庫(海外))

 「ブロークバック・マウンテン」「ラスト、コーション」とも傑作映画です。原作に比較的忠実に作られている「ブロークバック・マウンテン」もいいですが、個人的には、原作からの"展開度"という点で(しかも"正しく"肉付けされている)「ラスト、コーション」の方がやや上でしょうか。

ジョアン・チェン(易夫人)/ワン・リーホン(鄺祐民(クァン・ユイミン))
ラスト、コーション ジョアン・チェン.jpgラスト、コーション ワン・リーホン.jpg「ラスト、コーション」●原題:色,戒/LUST, CAUTION●制作年:2007年●制作国:アメリカ・中国・台湾・香港●監督:アン・リー(李安)●製作:アン・リー/ビル・コン/ジェームズ・シェイマス●脚本:ワン・ホイリン/ジェームズ・シェイマス●撮影:ロドリゴ・プリエト●音楽:アレクサンドル・デスプラ●原作:張愛玲(ちょう あいれい、アイリーン・チャン)「色、戒」●時間:158分●出演:トニー・レラスト、コーション36.jpgオン(梁朝偉)/タン・ウェイ(湯唯)/ジョアン・チェン(陳冲)/ワン・リーホン(王力宏)/トゥオ・ツォンファ/チュウ・チーイン/ガァオ・インシュアン/クー・ユールン/ジョンソン・イェン/チェン・ガーロウ/スー・イエン/ホー・ツァイフェイ/ファン・グワンヤオ/アヌパム・カー●日本公開:2008/02●配給:ワイズポリシー)(評価:★★★★☆)
トニー・レオン(梁朝偉)/タン・ウェイ(湯唯)/アン・リー(李安)/ワン・リーホン(王力宏)/ジョアン・チェン(陳冲)〔2007年・第64回ヴェネツィア国際映画祭〕

アン・ハサウェイ(ジャックの妻ラリーン)/ミシェル・ウィリアムズ(イニスの妻アルマ)
ブロークバック・マウンテン アン・ハサウェイ.jpgブロークバック・マウンテン ミシェル・ウィリアムズ.jpg「ブロークバック・マウンテン」●原題:BROKEBACK MOUNTAIN●制作年:2005年●制作国:アメリカ●監督:アン・リー(李安)●製作:ブロークバック・マウンテンe2.jpgダイアナ・オサナ/ジェームズ・シェイマス●脚本:ワダイアナ・オサナ/ジェームズ・シェイマス●撮影:ロドリゴ・プリエト●音楽:グスターボ・サンタオラヤ●原作:E・アニー・プルー「ブロークバック・マウンテン」●時間:134分●出演:ヒース・レジャー/ジェイク・ギレンホール/アン・ハサウェイミシェル・ウィリアムズ/ランディ・クエイド/リンダ・カーデリーニ/アンナ・ファリス/ケイト・マーラ●日本公開:2006/03●配給:ワイズポリシー(評価:★★★★)

「ラスト、コーション」...【2007年文庫化[集英社文庫(『ラスト、コーション 色・戒』)]】
「ブロークバック・マウンテン」...【2006年文庫化[集英社文庫(『ブロークバック・マウンテン』)]】

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ウォン・カーウァイ監督がそのスタイルを確立した作品。且つ、主要出演者が全員トップスターになった作品。

欲望の翼 vhs_.jpg欲望の翼0.jpg 欲望の翼 dvd.jpg
欲望の翼【字幕版】 [VHS]」「欲望の翼 [DVD]

欲望の翼00.jpg 欲望の翼 title.jpg サッカー競技場の売り子スー・リーチェン(マギー・チャン(張曼玉))は、ある日突然遊び人風の客ヨディ(レスリー・チャン(張國榮))に交際を迫られ断るが、1分間だけ時計を見ているように言われる。1960年4月16日午後3時。やがてスーはヨデ欲望の翼01.jpgィを愛し始める。ヨディはナイトクラブを経営する養母(レベッカ・パン(藩迪華))と暮らしていたが、彼女が部屋に連れ込んだ男を叩き出し、男から取り返した養母のイヤリングの片方を、居合わせたクラブ欲望の翼03.jpgのダンサー、ミミ(カリーナ・ラウ(劉嘉玲))にやる。翌朝、ヨディと一夜を過ごしたミミが部屋を出ると、昨夜彼女と部屋で出会い、一目惚れしたヨディ欲望の翼 (aka A FEI JING JUEN), Carina Lau.jpgの親友サブ(ジャッキー・チュン(張学友))が階段で待っていた。一方、ミミの存在を知って放心状態で夜の町を彷徨うスーを、巡回中欲望の翼es.jpgの若い警官タイド(アンディ・ラウ(劉徳華))が見つけ、心配し彼女を慰める。彼はスーに恋心を抱き、巡回路の公衆電話に電話するように言うが、彼女からの電話は無かった。養母から恋人とのアメリカ移住を告げられたヨディは、実の欲望の翼mages.jpg母親の住むフィリピンへと旅立つ。残されて悲しむミミのために、ヨディのヨディに貰った車を売り、彼の後を追うようにとその金を渡す。ヨディが初めて訪ねた母親はフィリピン貴族の娘で、不義の息子である彼とは会おうとしなかった。自暴自棄になった欲望の翼  tony.jpgヨディは酔いつぶれ、船乗りに介抱されるが、その船乗りはかつてスーを慰めた警官だった。ヨディは偽造パスポートで渡米しようとしてギャングを殺してしまい、2人は南へと向かう列車に逃げ込むが、車中でヨディがギャングの報復で撃たれ、息を引き取る。その頃ミミはマニラに降り立ち、香港では誰もいない公衆電話のベルが夜に街角に響いていた。そして九龍のアパートの一室では、ギャンブラー(トニー・レオン(梁朝偉))が身支度を整えていた―。

欲望の翼384.jpg ウォン・カーウァイ(王家衛)監督の監督デビュー作「いますぐ抱きしめたい」('88年)に続く監督第2作の1990年香港映画で、第10回香港電影金像奨で最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演男優賞((レスリー・チャン))、第28回金馬奨で最優秀監督賞を受賞した作品。同監督の浮遊感と疾走感の入り混じる語り口と映像美独特のスタイルが確立された原点と言われている作品ですが、2005年以降日本での上映権が消失していて、その間DVDが再リリーズされたりはしていますが、スクリーンでの上映は今回が13年ぶりでした。

レスリー・チャン/カリーナ・ラウ

欲望の翼Maggie Chueng and Leslie Chueng in Days Of Being Wild (1990).jpg 最後にいきなりトニー・レオンが出て来るのは、続編を想定していたためということですが、当時"アイドルスター"だった主要出演者6人が全員"トップスター"になってしまったため予算的に再結集不可能ということで、続編を作ることができなかったとのこと。後に作られた「花様年華」('00年)、「2046」('04年)に役名や設定が一部受け継がれており、この両作品が実質的な続編とされていますが、話そのものは繋がっていません。個人的には、この作品の雰囲気を色濃く継承しているのは、ゲイ・ムービーですが、「ブエノスアイレス」('97年)であるように思います。
マギー・チャン/レスリー・チャン

欲望の翼ages.jpg 脚本もウォン・カーウァイで、フィリピンでヨディとタイドが偶然出会い、「1960年4月16日午後3時」というキーワードで同じ女性(スー)を介した経験があることに互いに気づくところなどは面白かったです。ヨディを巡るスー(マギー・チャン)とミミ(カリーナ・ラウ)のバトルの激しさもなかなかのものでした。こうして男性同士が偶然出会ったり、女性同士が最悪の状況で鉢合わせするのに、男女は行き違ってばかりいる感じだったなあ。

マギー・チャン/カリーナ・ラウ
カリーナ・ラウ/トニー・レオン夫妻
カリーナ・ラウ.jpg欲望の翼 days-of-being-wild.jpg ウォン・カーウァイの作風を愉しむと共に、後のスター俳優たちの若き日の演技が楽しめる作品でもあると思います(レスリー・チャンは2003年に自殺。一方、カリーナ・ラウは2008年にトニー・レオンと結婚した)。レスリー・チャンは、同じ破滅型の人間を演じた後の「ブエノスアイレス」に匹敵するか、その上を行く演技で、彼が演じるヨディは、警官から船乗りに転じたタイドが言うように"カス人間"なのでが、それでも女性たちが惚れる―彼の演技はそのことに説得力を持たせているように思いました(演技力と言うより演技センスがいいという感じ)。

Los Indios Trabajaras "Always in my heart"
「欲望の翼」●原題:阿飛正傳/DAYSS OF BEING WILD●制作年:1990年●制作国:香欲望の翼371c.jpg港●監督・脚本:ウォン・カーウァイ(王家衛)●撮影:クリストファー・ドイル●音楽:ロス・インディオス・タバハラスザビア・クガート●時間:97分●出演:レスリー・チャン(張國榮)/マギー・チャン(張曼玉)/カリーナ欲望の翼ド.jpg・ラウ(劉嘉玲)/アンディ・ラウ(劉徳華)/ジャッキー・チュン(張学友)/レベッカ・パン(藩迪華)/トニー・レオン(梁朝偉)●日本公開:1992/03●配給:プレノン・アッシュ●最初に観た場所:渋谷・Bunkamura ル・シネマ2(18-03-15)(評価:★★★★)

Xavier Cugat "Perfidia"

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歴史に翻弄される家族の愛と哀しみ。〈二・二八事件〉を世に知らしめた一大叙事詩。。

悲情城市 1989-2.jpg 悲情城市  1989-1.jpg 悲情城市76.jpg
悲情城市 [DVD]」「悲情城市 [DVD]」 辛樹芬(シン・シューフェン)/梁朝偉(トニー・レオン)

悲情城市 陳松勇2.jpg 1945年8月15日、日本統治からの台湾解放の日、港町基隆で酒家を営む林家では、長男・文雄(ウンヨン)(陳松勇(チェン・ソンヨン))の妾宅で男児が生まれる。の林家の主は75歳の林阿祿(リン・アルー)(李天祿(リー・ティエンルー))で、次男は軍医として南洋に、三男は通訳として上海に日本人として徴用され戻らない。耳が聞こえず話せない四男の文清(ウンセイ)(梁朝偉(トニー・レオン))は、郊外で写真館を営んでいた。文清は、写真館に同居している教師の呉寛榮(ヒロエ)(呉義芳(ウー・イーファン))の妹で、看護婦として病院に働きに来悲情城市024.jpgた寛美(ヒロミ)(辛樹芬(シン・シューフェン))を迎えに出る。寛榮は、小川校長(長谷川太郎)の娘で、台湾生まれの静子(中村育代)と秘かに愛しあっていたが、日本人であるため故国に帰らねばならなくなった静子は、寛美に寛榮への思いを託して台湾を去る。ある日、精神錯乱状態で生還してきた三男悲情城市 陳松勇.jpgの文良(アリヨン)(高捷(カオ・ジエ))のもとに、文雄の妾妻の兄・阿嘉(アカ)(張嘉年(ケニー・チャン))が、上海ボス(雷鳴レイ・ミン))を連れて来て阿片の密輸を唆すが、それが文雄にばれ、彼の幼なじみの阿城(林照雄(リン・ジャオション))との間の争いに発展、事件は一応決着するが、何者かの密告によって漢奸の疑いで文良が逮捕され、文雄は阿嘉を連れて上海ボスと対面、文良の釈放を頼むが、文良は大量の血を吐いて帰宅する。

悲情城市44.jpg 1947年2月27日、台北でヤミ煙草取締りの騒動を発端に本省人と外省人が争う〈二・二八事件〉が勃発、寛榮と文清は臨時戒厳令下の台北へ向うが、文清が無事帰宅した悲情城市77.jpg数日後、寛榮が足を折って戻る。台湾省行政長官として赴任した国民党の陳儀将軍は弾圧を命じ、やがて文清が逮捕される。口がきけずに釈放された文清は、次悲情城市65.jpg々処刑された仲間の遺品を遺族に届ける旅に出、山奥でゲリラとなって身悲情城市029.jpgを潜める寛榮と再会する。その頃文雄は、賭場で阿嘉の喧嘩に巻き込まれ、上海ボスの拳銃に命を落とす。数日後、文清と寛美の結婚式が行われ、やがて二人の間に男の子が生まれる。そんなある日、山からの使者が、軍隊が山に踏み込み寛榮たちが銃殺されたことを伝え、文清にも逃げるように言うが、彼らに行く場所は無かった―。

悲情城市88.jpg 侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の1989年公開作で、第46回ヴェネツィア国際映画祭「金獅子賞」受賞作品。終戦直後の台湾北部の基隆・九份を舞台に〈二・二八事件〉を取り扱っていますが、そもそも当時は〈二・二八事件〉そのものをタブー視する雰囲気も強く、公開自体が危ぶまれたのこと。幸いにしてノーカットで公開されるや台湾でも大ヒットしています。〈二・二八事件〉を直接的に描いた初めての劇映画であり、この映画がヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したこことで初めて、〈二・二八事件〉が世界的に知られる事となった(日本も含め)とのです。

 外省人が内省人を政治弾圧したわけで、とりわけ国民党は知識分子や左翼分子を徹底的に弾圧したため(白色テロ)、80年代終わりくらいまで、この事件に触れることはタブーとされていたようです(今世紀に入って、事件の最大の責任者は蒋介石だとする研究結果が発表されている)。1947年に敷かれた戒厳令が解除されたのが1987年であったことを思うと、当時まだそうした雰囲気が根強く残っていたのかもしれません。

 そうしたことは個人的には、1980年頃に始めて台湾に観光で行った時はよく分からなかったのですが(あちこちに麻薬撲滅の標語があったのと、写真を撮ることが禁じられてる場所が多くあったのが印象に残っている)、当時から現地の人々は日本人旅行者に親切で、当時は40代以上の人は皆日本語が話せたということもありますが、今思うと、日本人に親切なのもある意味、日本統治が終了した後の悲惨な歴史の反動と取れなくもない気がします。この映画が公開された後90年代にも台湾に行きましたが、その時点でもまだこの映画を観ていなかったことが悔やまれます(今だったらネットですぐに「台湾旅行に行く人が観ている」的な情報が入ったかも)。

悲情城市33.jpg悲情城市es.jpg トニー・レオンが若いです(役柄上、ややもっさい感じ)。台湾語が話せなかったため聴覚障害者の役(文清)になったと言われていますが、物語は主に、自らは筆談によってしか言葉を発することができないこの文清の視点で進行していきます。周囲の人が議論したり激昂したりしているのを、耳が聞こえないにしろその傍にいることで、間接的に"語り部"の役割を果たしていることになり、複雑な政治背景等がある程度分り易くなっているように思いました(因みに、この作品の日本語字幕を手掛けた台湾生まれの田村志津枝氏の著書『悲情城市の人びと―台湾と日本のうた』('92年/晶文社)によれば、映画では俳優達が日本語を知らないため台湾語が多用されているが、知識人達が当時使っていたのは日本語であったとのこと)。

悲情城市86.jpg それにしても重かったです。この映画の四兄弟も、軍医として南洋に行った次男は結局行方知れずのままであるし(おそらく戦死したということだろう)、三男は精神を病んで帰還、一人頑張っていた長男も(家長である父を継いでゴッドファーザー的な役割を担っていた)、入りびたっていた賭場で喧嘩に巻き込まれて撃たれて亡くなり(現地の闇社会を描いていて日本のヤクザ映画みたいな場面が何度かあった)、文清と一緒に思想犯として捉われた人たちは処刑され、文清の親友で寛美の兄である寛榮も、山に籠って妻帯し新たな生活を始めるも軍隊に踏み込まれて銃殺されます。兄弟でただ一人残った文清が寛美と結婚し、子供が生まれ新たな家庭を築いたことが唯一の救いかと思ったら、その文清も―。「歴史に翻弄される家族の愛と哀しみを描いた年代記」「侯孝賢畢生の一大叙事詩」という謳い文句に偽りは無い作品でした。

悲情城市99.jpg「悲情城市」●原題:悲情城市/A CITY OF SADNESS●制作年:1989年●制作国:台湾●監督:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)●製作:邱復生●脚本:呉念真/朱天文(チュー・ティエンウェン)●音楽:立川直樹/張弘毅/S.E.N.S.●撮影:陳懐恩●時間:159分●出演:李天禄(リー・ティエンルー)/陳松勇(チェン・ソンヨン)/高捷(カオ・ジエ)/梁朝偉(トニー・レオン)/辛樹芬(シン・シューフェン)/呉義芳(ウー・イーファン)/陳淑芳(チェン・シューファン)/黄倩如(ホアン・チンルー)/柯素雲(クー・スーユン)/林麗卿(リン・リー悲情城市 77.jpgチン)/何璦雲(フー・アイユン)/張嘉年(ケニー・チャン)/林揚(リン・ヤン)/詹宏志(ヂャン・ホンジー)/呉念眞(ウー・ニエンジェン)/謝材俊(シエ・ツァイジュン)/張大春(ジャン・ダーチュン)/中村育代/長谷川太郎/頼徳南(ライ・ドゥーナン)/雷鳴(レイ・ミン)/文帥(ウェン・シュアイ)/比利(ビリー)/矮仔塗(アイ・ツートゥ)/陳郁蓉(チェン・ユーロン)/林照雄(リン・ジャオション)/林鉅(リン・ジュイ)/阿匹婆(ア・ピポ)/鷺青(ルー・チン)/梅芳(メイ・ファン)●日本公開:1990/04●配給:フランス映画社=ぴあ(評価:★★★★☆)

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地球の裏側が舞台だけに、一人でいることの孤独感がひしひしと伝わってくる。

ブエノスアイレス 1997 .jpgブエノスアイレス 00.jpgブエノスアイレス_d15.jpg
 ウィン(レスリー・チャン)とファイ(トニー・レオン)
ブエノスアイレス [DVD]

ブエノスアイレス_d5.jpg 香港から地球の裏側に当たるアルゼンチンをブエノスアイレス_d11.jpg旅するウィン(レスリー・チャン)とファイ(トニー・レオン)のゲイのカップルは、それが「やり直す」ための旅行にもかかわらず、イグアスの滝へ行く途中で道に迷って荒野のハイウェイで喧嘩別れしてしまう。一人になったファイは旅費不足を補うためブエノスアイレスのタンゴバーでドアマンとしてブエノスアイレス_d12.jpg働くが、そこへ白ブエノスアイレス 02.jpg人男性とともにウィンが客として現れる。以降ウィンは何度もファイに復縁を迫りその度ファイは突き放すが、嫉妬した男性愛人にケガを負わされたウィンがアパートに転がり込んで来たため、やむなく介護する。ウィンブエノスアイレス 09.jpgとの生活にファイは安らかな幸せを感じるが、ケガの癒えたウィンはファイの留守に出歩くようになり、ファイは独占欲からウィンのパスポートを隠す。一方、ファイは転職した中華料理店の同僚で台湾からの旅行者のチャン(チャン・チェン)と親しくなり、そんなファイのもとからウィンは去っていく。旅行資金が貯まったチャンは南米最南端の岬へ旅立ち、チャンの出発後、ファイは稼ぎのいい食肉工場に転職、旅費が貯まりイグアスの滝へと旅立つ。香港への帰途、ファイは台北のチャンの実家が営む屋台を訪れる―。

ウォン・カーウァイ「ブエノスアイレス」.jpgブエノスアイレス 11.jpg ウォン・カーウァイ(王家衛)監督の1997年の香港映画で、同年の第50回カンヌ国際映画祭監督賞受賞作品。主演のトニー・レオンは、1998年・第17回香港電影金像奨で最優秀主演男優賞を受賞しています。中華圏の監督による同性愛をモチーフとした映画は、陳凱歌(チェン・カイコー)監督の「さらば、わが愛/覇王別姫」('93年/香港)やアン・リー監督の「ウェディング・バンケット」(93年/台湾・米)が既にありましたが、「さらば、わが愛/覇王別姫」は1920年代の中国の京劇団が舞台で、「ウェディング・バンケット」はアメリカが舞台、一方、この「ブエノスアイレス」はタイトル通りアルゼンチンが舞台で、最後の方に台湾が出てきます(香港は出てこなかった)。

 ゲイ・ムービーですが、男同士の恋人感情の揺れやぶつかり合いが丁寧かつ生々しく描かれていて、恋愛映画としてもよく出来ているように思いました。監督の狙いも、異性間の恋愛感情と何ら変わることがない普遍性を示すことにあったのではないでしょうか。ただ、やはりゲイ・ムービーということもあって、公開時は男性には敬遠され、そのかわり女性客が押しかけたようです(「シネマライズ」で約10万人を動員し、これは同館の歴代上映作品の観客動員数の第5位にあたる)。

ブエノスアイレス_d17.jpg 撮影は難航したようで、トニー・レオン(梁朝偉)は「同性愛者役はできない」と一旦出演を辞退したものの、「亡父の恋人をアルゼンチンに探しに行く息子の物語」に書き改めた新企画を示されて了承、ところが現地に着いてみるとストーリーは大きく変更されていました(監督に騙された?)。男同士でのラブシーンにはかなり抵抗があり、撮影後に呆然としてしていたそうです。

ブエノスアイレス_de.jpg また、相方役のレスリー・チャン(張國榮)は、映画俳優と人気歌手の掛け持ちで、撮影当時コンサートツアーの予定があり、遅延を重ねた撮影の途中でやむを得ず香港へ帰国してしまい、収拾のつかなくなったストーリーを完結させるために、兵役直前で休業に入る予定だった台湾出身のチャン・チェン(張震)と、香港出身の歌手シャーリー・クワン(關淑怡)が招集されましたが、チャン・チェンが中華料理店でのファイの後輩にあたるチャンの役でかなり重要な役どころで出ているのに対し、シャーリー・クワンの出演シーンは本編ブエノスアイレス_d16.jpgでは1カットも使われていません。チャン・チェンはカンフー俳優でもあり、兵役からの復帰後、アン・リー監督の「グリーン・デスティニー」('00年/中国・香港・台湾レスリー・チャン3.gif・米)などに出演し、近年ではウォン・カーウァイ監督、トニー・レオン主演の武術映画「グランド・マスター」('13年/香港・中国)にも出演しています。レスリー・チャンは「さらば、わが愛/覇王別姫」で既に同性愛者を演じていましたが、2003年に香港の高級ホテル「マンダリン・オリエンタル」から投身自殺を図り、46年の生涯を終えています。

ブエノスアイレス sessi .jpg 元から撮影現場で脚本決めをしたりするところがあるウォン・カーウァイ監督なので、レスリー・チャンが現地に留まっていればストーリー的には違った展開になっていたと思われます。この作品のメイキング映画「ブエノスアイレス 摂氏零度」('99年/香港)によれば、シャーリー・クワンはファイの妻役で登場し、チャンとも絡みがある一方、ウィンとウィンのケガを診察した女医とファイとの間で三角関係になるようなシナリオが用意されていたようです。

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 結局、ファイはウィンと別れた後、チャンへとその想いを転じましたが、それはあくまでプラトニック・ラブということなのでしょうか(因みにプラトン自身は同性愛者で且つ実践派だった)。この終わり方に美学を感じる人もいれば、ウィンがフラれた形で可哀そうと思う人もいるかもしれません。でも、ファイは常に仕事をしていたのに、ウィンは仕事もしないで、ヒモみたいな暮らしぶりだったからなあ。ヒモだってウチを守るくらいのことはするだろうけれど、勝手に出歩いてファイの気を揉ませていたし、その癖、ファイへの猜疑心や嫉妬心は強かった...。

ブエノスアイレス_d24.jpg こうしたことも含め、全編を貫いているのは、人間は孤独であり、その辛さに耐えられるかという問いかけではないでしょうかか。舞台が地球の裏側だけに、そのことが一層ひしひしと感じられます。そうした中で、一人では生きることが出来ないのがウィンブエノスアイレス ges.jpgで、次第に破滅に向かって行くタイプかも(ラストの方では、男性の愛人を仮想ファイに見立てていた)。一方で意外と逞しいのが中華料理店の後輩のチャンで、先輩の代わりに南米最南端の岬へ行って悩みを捨ててきてあげるからとファイにテープレコーダーブエノスアイレスes.jpgを渡しますが、ファイはテープレコーダーを握りしめるも言葉はなく、涙を流すしかありませんでした。それまで何となく距離を置いてこの映画を観ていたつもりが、このシーンではこちらもブエノスアイレス_d27.jpg泣けました。ファイが仕事に打ち込んできたのは、ウィンとの別離の痛みを忘れるためというのもあったのではないでしょうか(でも忘れられないでいる)。というわけで、チャンは約束通りしっかり南米最南端のエクレルール灯台まで行き('97年1月)、そのファイが"自らの悩みを吹き込んだ"カセットを聴くも、そこにはファイの言葉は無く、泣き声のようなものしか聴こえませんでした。

ブエノスアイレス_d25.jpg 一方のファイも最後には、貯めた金で中古車を買って旅の目的地だったイグアスの滝へ行っており、そこでウィンの不在を再認識しながらも彼との過去を封印したような感じで、更に帰国時には台北に寄って('97年2月。テレビでは鄧小平死去のニュースが伝えられている。この辺りは物語が撮影とリアルタイムになっているようだ)、チャンの実家が営む屋台を訪れ、チャンの写真を一枚盗むことで、「もし会おうと思えば、どこでだって会うことができる」と確信します。こうした行為は何れも自らの過去を整理するための(同時に未来へ向けての再生のための)儀式のように思えました。

花様年華75.jpg そう言えば、「花様年華」('00年/香港)のラストも、トニー・レオン演じる主人公がわざわざアンコールワット(こちらもイグアス同様に観光名所)まで行って、ある人妻女性との過去を封印したように見えました。マギー・チャン演じる当の相手女性はいちいちそんなことをしません。ひとり親として頑張って息子を育てていくのみ。よく女性は失恋旅行をすると言われますが、「ブエノスアイレス」と「花様年華」の2作を観ると、この種の儀式的行為をするのはむしろ男ではないかと思ってしまいます。ファイが、香港で父親の会社の金を盗み勘当されたと思われる、その父親に手紙を書くシーンがありました。人は一人では生きられない、では現実の孤独とどう向き合うか、ということと併せ、自らの過去とどう向き合うかというのも、この作品のテーマかもしれません。
「花様年華」より
チャン・チェン(張震)
ブエノスアイレス チャン・チェン(張震).jpg「ブエノスアイレス」●原題:春光乍洩/HAPPY TOGETHER●制作年:1997年●制作国:香港●監督・製作・脚本:ウォン・カーウァイ(王家衛)●撮影:クリストファー・ドイル(杜可風)●音楽:ダニー・チョンほか●時間:96分●出演:レスリー・チャン(張國榮)/トニー・レオン(梁朝偉)/チャン・チェン(張震)/グレゴリー・デイトン/スー・ピンラン(蕭炳林)●日本公開:1997/09●配給:プレノンアッシュ●最初に観た場所:渋谷・Bunkamura ル・シネマ(18-02-17)(評価:★★★★☆)

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第1話もシズル感があったが、第2話のファンタジー乃至寓話的な作りにハマった。

恋する惑星dvd.jpg 恋する惑星02.jpg 恋する惑星00.jpg
恋する惑星 [DVD]」トニー・レオン(梁朝偉)/フェイ・ウォン(王菲)

恋する惑星04.jpg 重慶マンションの無国籍地帯の雑踏で、刑事223号・モウ(金城武)は金髪サングラスの女性(ブリジット・リン)とすれ違う。その金髪女性恋する惑星 01.jpgはドラッグ・ディーラーで、密入国インド人に麻薬を運ばせる仕事をしていた。空港へ向かった女はそこにインド人の姿が無く、裏切られたことを知る。命を狙われた女は、偶然入ったバーでモウと出会い、ホテルへ。恋人にふられていたモウは次に出会った女性に恋をすると決めていたのだが、女は疲れ果てホテルに着くや爆睡してしまう。翌朝はモウの誕生日で、ポケベルに既に姿を消した女からのバースディコールがあった。女は裏切ったインド人を射殺し、金髪とサングラスを脱ぎ捨て去っていく。モウはファーストフード店〈ミッドナイト・エクスプレス〉で新入りの娘フェイ(フェイ・ウォン)とす恋する惑星 es.jpgれ違う。その店の常連客の警官663号(店主は633と呼ぶが、認識番号は663)(トニー・レオン)はCA(スチュワーデス)の恋人(チャウ・カーリン)と別れたばかりだった。元彼女のCAは店の主人に663号への手紙を封筒で託すが、主人はこっそり開封して手紙を読んでしまう。フェイも手紙を読むと、封筒には部屋鍵が入っていた。店に来た663号が封筒を受け取らないため、フェイは、その鍵恋する惑星ages.jpgで663号の部屋に密かに入り込み、毎日少しずつ模様替えをしていく。663号はある日そのフェイと部屋の入口で鉢合わせする。次にファーストフード店で会った時にデートに誘う633号だったが、彼女は待ち合わせ場所に来なかった。店の主人が渡しに来たフェイからの手紙を663号は一旦屑籠に捨てるが、拾って読み返すと手書きの航空券で日付は1年後の今日だった。1年後、フェイはCAとなってかつての店の前に現れる。シャッターを押し上げると、中にいたのは、改装開店を控えたその店の新たな店主になっていた663号だった―。

恋する惑星  08.jpg ウォン・カーウァイ(王家衛)監督の1994年の香港映画で、第14回香港電影金像奨で最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演男優賞(トニー・レオン)を受賞、日本でもミニシアターでの上映から始まってヒットした作品です。原題は「重慶森林」で、香港の九龍、尖沙咀にある「世界最大の雑居ビル」とも言われる重慶大厦(重慶マンション)を舞台に、すれ違う男女の物語をスタイリッシュ且つポップに描いた青春恋愛映画となっています。

 元々は3話のオムニバスを想定していたのが、第1話の金城武主演の刑事223号・モウの話と、第2話のトニー・レオン主演の警官663号の話の2話構成になっていて、第1話が約40分であるのに対し、第2話は約60分あり、当初想定していた第3話は、同監督の「天使の涙」('95年/香港)として独立した作品になったとのことです。

恋する惑星338.jpg 最初、金城武演じる刑事223号・モウが金髪サングラスの女性(ブリジット・リン)とすれ違った際に、「その時彼女との距離は0.5ミリ。57時間後、僕は彼女に恋をした」というセリフが流れ、次に、ファーストフード店の娘フェイ(フェイ・ウォン)とすれ違う場面を介して警官663号(トニー・レオン)の話に移る際に、今度は「その時彼女との距離は0.1ミリ。6時間後、彼女は別の男に恋をした」と流れます。なかなかお洒落だなあと。おそらく、想定されていた第3話も刑事または警官の話で、そこにに切り替わる時も、そうした手法が用意されていたのでしょう。

恋する惑星 kim.jpg 第1話と第2話でどちらが好きか人によって好みは分かれると思います。第1話で、広東語、北京語、英語、日本語を巧みに使い分けていた台湾出身の金城武(日本人の父と台湾人の母との間に生まれ、沖縄県出身の祖父を持つ)は、香港に仕事で訪れた際、ホテルのロビーで偶然居合わせたウォン・カーウァイ監督に見初められ、この映画への出演が決まったとのことですが、映画が日本でもヒットしたため、日本でも人気が出ました。外国映画に出て外国語を話しているわけですが(独白は北京語か。台湾の若者は福建語より北京語を好んで使うようだ)日本人っぽくて、その辺りの"等身大"的感覚がいいのかも。このエピソードは、許可無しのゲリラ的手法で尖沙咀の街中を撮っていて、香港の都会の裏側に潜入したようなシズル感があって良かったです(第1話のカメラ担当は自身が映画監督でもあるアンドリュー・ラウ(劉偉強))。第1話は、男女がすれ違ってもうおそらく会うことはないだろうという(会ったら会ったで殺し屋と刑事なのだからかなりまずいことになるのだが)けっして明るい話ではないですが、最後に、金髪女からバースディコールがあったのが、主人公の救いになっているように思いました。

恋する惑星 tony.jpg ただ、個人的には、トニー・レオン(梁朝偉)(こちらもまだ当時日本ではそれほど有名ではなく、この作品によって知名度と人気が出た)が主演の第2話の方が、40分の予定が60分に延びた分(?)ストーリー的には作恋する惑星 09.jpgり込まれていたように思います。中国出身の香港の歌手フェイ・ウォン(王菲)演じるファーストフード店の娘も良くて、やっていることは押しかけ女房風で、今の基準で言えばストーカー行為なのですが、むしろ一途さが健気で可愛らしく思われる不思議な魅力があります。彼女はこの作品の演技でストックホルム国際映画祭・最優秀主演女優賞を受賞しています。個人的にはフランス映画の「アメリ」('01年)が似た雰囲気だと思いました。第2話のカメラ担当は「ブエノスアイレス」('97年/香港)、「花様年華」('00年/香港)のクリストファー・ドイルです(オーストラリア人だが、杜可風という中国名を持つ)。

恋する惑星 ages.jpg トニー・レオン演じる663号が、自分の部屋が少しずつ様変わりしているのを、恋人と別れたショックによる幻覚のせいだと恋する惑星74.jpg勝手に思い込んで(?)変に納得してしまったりしているなど、男の鈍感さがユーモラスに描かれていました(元々石鹸や濡れタオルに感情移入して話しかける癖がある変わった男なのだが)。ラストで、フェイが663号の元恋人の職業であったCAになっていて、663号がかつてフェイが働いていた店の店主になっているといった作りなど、ある種ファンタジー乃至寓話的な作りになっているように思いましたが、個人的にはそこに嵌りました(「恋する惑星」という邦題も悪くない)。フェイの好みの曲ママス&パパスの「夢のカリフォルニア」など、音楽の使われ方が映画にしっくりマッチしたものになっていて、フェイ・ウォン自身が歌うエンディング曲「夢中人」も良かったです(フェイ・ウォンは、「広東語のアルバム累計売り上げ」世界一としてギネスブックで認定されている)。
 
王菲(フェイ・ウォン)「夢中人」/Mamas & Papas「California Dreaming」

Koi suru Wakusei (1994)  ブリジット・リン        チャウ・カーリン/トニー・レオン  
Koi suru Wakusei (1994).jpg恋する惑星ブリジット・リン.jpg恋する惑星チャウ・カーリン.jpg「恋する惑星」●原題:重慶森林/CHUNGKING EXPRESS●制作年:1994年●制作国:香港●監督・脚本:ウォン・カーウァイ(王家衛)●製作:ジェフ・ラウ(劉鎭偉)●撮影:(第1話)アンドリュー・ラウ(劉偉強)/(第2話)クリストファー・ドイル/●音楽:フランキー・チェン(陳動奇)/ロエル・A・ガルシア/マイケル・ガラッソ●時間:110分●出演:トニー・レオン(梁朝偉)/フェイ・ウォン(王菲)/金城武/ブリジット・リン(林青霞)/チャウ・カーリン(周嘉玲)/バレリー・チョウ●日本公開:1995/07●配給:アスミック・エース(評価:★★★★☆)

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「羅生門」「切腹」との類似(オマージュ?)。映像美的には飽きさせないが、演出は大味に。

HERO~英雄~01.jpgHERO~英雄~ dvd.jpg  HERO~英雄~0.jpg
英雄 ~HERO~ スペシャルエディション [DVD]」章子怡(チャン・ツィイー)/梁朝偉(トニー・レオン)/李連杰(ジェット・リー)/陳道明(チェン・タオミン)/張曼玉(マギー・チャン)/甄子丹(ドニー・イェン)

hero_018.jpg 中国の戦国時代末期、後に始皇帝となる秦王(陳道明(チェン・タオミン))は刺客に狙われており、忠実な家臣を除いては常に百歩以内の距離には誰も近づけさせることはなかった。過去のとある一件以来、宮殿の中も刺客が人の中に紛れ込むことの無い様、宮殿の外を多くの衛兵が守りを固めているのとは対照的に、敢えてがらんどうにしていた。そんなある日、一本の槍と二本の剣を携えた無名(ウーミン)(李連杰(ジェット・リー))と呼ばれる名無しの男が刺客を倒したと告げ、宮殿にやってくる。槍と剣には、中国最強と言われる3人の刺客の名前が記されていた。そして彼は秦王の前で、槍の使い手・長空(チャンコン)(甄子丹(ドニー・イェン))、剣の使い手・残剣(ツァンジェン)(梁朝偉(HERO~英雄~ges.jpgHERO~英雄~s.jpgトニー・レオン)、残剣の恋人で同じく剣の使い手・飛雪(フェイシエ)(張曼玉(マギー・チャン))の3人の刺客を倒した経緯を語り始める。秦王は刺客を倒した褒美として無名に自分の側に近づくことを許すが、彼の話を聞いていくうちに不自然な何かに気付く―。

無名(ジェット・リー)/飛雪(マギー・チャン)・残剣(トニー・レオン)
如月(チャン・ツィイー)
HERO~英雄~05 チャン.jpg 2003年の張芸謀(チャン・イーモウ)監督による自身初の武術映画。台湾出身のアン・リー(李安)監督が、章子怡(チャン・ツィイー)らを起用して撮った「グリーン・デスティニー」('00年/中国・香港・台湾・米)で、トロント国際映画祭の最高賞「観客賞」や米アカデミー外国語映画賞を受賞したのに対抗したのでしょうか。こちらも、第53回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(アルフレード・バウアー賞)を受賞するなどしています(チャン・ツィイーはこの映画にも、密かに残剣に恋する鴛鴦鉞の使い手・如月(ルーユエ)の役で出ていて、本作は結局、ジェット・リー、ドニー・イェン、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイーによる「5剣士」の物語となっている)。

HERO~英雄~ 09.jpg ジェット・リー演じる無明が語る話に虚構があり、そのことに気付いた秦王に促されて、同一人物に関する話が何度か異なった話として彼の口から語られ、それらが何れも映像となっています。従って、ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞作した、黒澤明監督の「羅生門」('50年/大映)の実質的な原作は芥川龍之介の「藪の中」ですが、それと似た感じの、あたかも「羅生門」に対するオマージュのような構成になっていることは、多くの人が指摘しています。

無名(ジェット・リー)・飛雪(マギー・チャン)

HERO~英雄~  .jpg 但し、個人的には、まず最初に似ているなあと思ったのは小林正樹監督の「切腹」('62年/松竹)で、秦王の前で無名が3人の師客を倒した経緯を語るというのは、仲代達矢演じる津雲半四郎が、井伊家上屋敷に井伊家の3人の剣客の髷を持ってきて、家老・斎藤勘解由(かげゆ)(三國連太郎)に、無理矢理切腹させられた娘婿の仇である3人を斃した経緯を語るのとそっくりで、ラストもやや似ています(「秦王」と「家老」の物語における価値ポジションは、最終的に真逆のものとなるが)。「切腹」もカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞しているので、張芸謀監督も知っている作品であると思います(「切腹」へのオマージュも込められている(?))。

HERO~英雄~04.jpg 映像美的は飽きさせませんでした。「ストーリーを色彩で語る」をコンセプトに、赤は無名の語る創作の世界、青は秦王の語る想像の世界、緑は実際にあった過去の世界、白は真実の現在と分けられ、それぞれの色でエピソードが語られ、最HERO~英雄~012.jpg後にやっと真相が明らかになるという構成は凝っていた思います。雨の中で闘うシーンや、池や砂漠での戦闘シーンなどもたいへん美しかったです(カメラHERO~英雄~03.jpgは「花様年華」('00年/香港)のクリストファー・ドイル、衣装は、「乱」('85年/東宝)のワダ・エミ)。

HERO~英雄~9s.jpg 刺客達のワイヤーアクションやCGなどによる超絶的な技に関李陵・山月記22.jpgしては、物理的法則に反しているとか言わないことがもう"お約束"なのでしょう。中島敦の短編に「名人伝」というのがあって(『李陵・山月記 (新潮文庫)』所収)、名人同士が矢を放ってひじりがぶつかり合うといった場面があり、こうした極端な表現も中国では伝統的なのかもしれません。

HERO~英雄~06.jpg 但し、武術映画で且つCGを駆使して大掛かりに見せた分、個々の役者の演技が背景に埋没してしまって大味になった印象を受けました。それまでの作品で素晴らしい演出力を見せてきた監督が、折角トニー・レオン、マギー・チャンといった繊細な演技が出来る俳優を揃えながら、ちょっと勿体ない気がします(この2人はウォン・カーウァイ(王家衛)監督の「花様年華」('00年/香港)のコンビでもある。そのウォン・カーウァイも、トニー・レオン、チャン・ツィイー主演の武術映画「グランド・マスター」('13年/香港・中国)を撮っている)。

 CGの魅力(技術力・低コスト性)に抗しきれないというのは、「ジュラシック・パーク」('93年/米)で、恐竜の全体像をマイケル・クライトンの原作よりうんと早く観客に見せてしまったスティーヴン・スピルバーグが辿った道と同じでしょうか。張芸謀監督は2006年に、2年後に開催される北京オリンピックの開会式および閉会式のチーフディレクターに就任、2年間映画製作をせず、2008年の北京オリンピック開会式および閉会式の演出を行いましたが、後に開会式の演出において打ち上げられた花火の多くが事前に用意されたCG映像だったことが明らかとなっています。

「HERO」(「HERO~英雄~」)●原題:英雄/HERO●制作年:2002年●制作国:香港・中国●監督:張芸謀(チャン・イーモウ)●製作:ビル・コン/張芸謀●脚本:李馮/張芸謀/王斌●撮影:クリストファー・ドイルHERO~英雄~ro02.jpg●音楽:譚盾(タン・ドゥン)●衣装デザイン:ワダ・エミ●時間:99分●出演:李連杰(ジェット・リー)/甄子丹(ドニー・イェン)/梁朝偉(トニー・レオン)/張曼玉(マギー・チャン)/章子怡(チャン・ツィイー)/陳道明(チェン・タオミン)●日本公開:2003/06●配給:ワーナー・ブラザース(評価:★★★☆)
トニー・レオン/マギー・チャン/チャン・イーモウ/ジェット・リー/チャン・ツィイー/ドニー・イェン

グランド・マスター032.jpgグランド・マスター56.jpgトニー・レオンチャン・ツィイー
in「グランド・マスター」['13年/香港・中国]ウォン・カーウァイ(王家衛)監督

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「花様年華」の監督らしいカンフー映画(伝記映画)になったが、詰め込み過ぎで焦点がぼけた。

グランド・マスター poster .jpgグランド・マスター dvd.jpg グランド・マスター .jpg
グランド・マスター [DVD]」チャン・ツィイー(中国)/トニー・レオン(香港)

 1930年代中国。中国南部広東佛山の武術家・葉問(イップ・マン)(トニー・レオン(梁朝偉))が四十歳の頃、佛山に北部東北の八卦掌の宗師(グランドマスター)・宮宝森(ゴン・パオセン)(ワン・チンシアン(王慶祥)がやって来る。引退を考えている宝森は「自分は北の技を南に伝えたので、今度は南の技を北に伝えて欲しい」と言い、自分に勝った南部の武術家を南の代表とすると告げる。南の武術家の中から選ばれた葉問はこれに応えて宝森の試しに合格し代表となるグランド・マスター 06.jpgも、宝森ととも佛山を訪れていた宝森の娘の宮若梅(ゴン・ルオメイ)(チャン・ツィイー(章子怡))がグランド・マスターs.jpg異を唱え、葉問に試合を申し込む。葉問は若梅と試合い、試合いを通じて二人は心を通わせて、若梅は葉問を認める。若梅は父と共に東北に帰り、葉問と若梅は手紙を交し合うようになる。やがて準備の整った葉問は東北を訪れようとした時、日中戦争が勃発する―。

チャン・ツィイー、ウォン・カーウァイ(第8回アジアン・フィルム・アワード授賞式)
映画「グランド・マスター」が7部門で受賞.jpgグランド・マスター59.jpg 2013年のウォン・カーウァイ(王家衛)監督映画で、2014年・第38回香港国際映画祭「アジア・フィルム・アワード(第8回)」において、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀女優賞(チャン・ツィイー)、最優秀音楽賞(梅林茂)など14部門中7部門で最優秀賞を受賞、2014年・第33回「香港電影金像奨」でも最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、最優秀助演男優賞(マックス・チャン)を受賞した作品です。

葉問 ブルース・リー.jpg 原題は「一代宗師」。香港の武術家でブルース・リーの師匠でもあった葉問(よう もん、イップ・マン、1893-1972)がモデルで、この葉問をモデルにした映画には、ウィルソン・イップ監督、ドニー・イェン主演のイップ・マン・シリーズ3作(「イップ・マン 序章」('08年/香港)、「イップ・マン 葉問」(10年/香港)、「イップ・マン 継承」('15年/香港))やハーマン・ヤオ監督、デニス・トー主演の「イップ・マン 誕生」('08年/香港)、同じくハーマン・ヤオ監督でアンソニー・ウォン主演の「イップ・マン 最終章」('13年/香港)などもあります(ここ何年かブームっぽい印象)。

グランド・マスター03.jpg 「恋する惑星」('94年/香港)、「花様年華」('00年/香港)のウォン・カーウァイ監督が、同じくトニー・レオン主演でカンフー映画を撮ったらどうなるのだろうか、しかも今回の相手役は「初恋のきた道」('99年/中国)のチャン・ツィイーということで期待されましたが、いかにも「花様年華」の監督らしいカンフー映画(武術映画)になったかなという感じです。

グランド・マスター 09.jpg カンフー・アクションもありますが、しっとりとした美しい映像が続き、米雑誌「TIME」が発表した「2013年の映画ベスト10」では5位と高評価されたように、ウォン・カーウァイらしい映像美学が前面に出ています(1936年当時の娼館"金楼"のセットなどは凝っていた)。但し、欲を言えば、ストーリーの方をもう少し上手く作って欲しかったように思います。

グランド・マスター20a00.jpg 主要な役どころでは、ルオメイの父の敵役の馬三(マーサン)を演じたマックス・チャン(張晋)はカンフー俳優で(ウィルソン・イップ監督の「イップ・マン 継承グランド・マスター チャン・チェン.jpg」('15年/香港)にも出演している)、一線天(カミソリ)を演じたチャン・チェン(張震)は、台湾出身ですが(ウォン・カーウァイ監督の「ブエノスアイレス」('97年/香港)にも出演している)、中国武術・八極拳の全国大会で優勝経験もあり、トニー・レオンも、イップ・マンの最後の直弟子ダンカン・リョンから4年間にも及ぶ直接指導を受けたとのことです。それでもこの監督ですから、アクションを純粋に突き詰めただけの作品にならないことはほぼ予想通りでした。

チャン・チェン(張震)(一線天(カミソリ))

グランド・マスター チャン・チェン5.jpg しかし、結局は作品としてのテーマが、ルオメイの復讐劇だったのか、彼女の技の継承の問題だったのか、彼女のイップ・マンに対する恋心だったのか、あまりに沢山盛り込み過ぎて、やや焦点がぼけてしまった感じです。説明不足な所は説明不足で、チャン・チェン演じる一線天(カミソリ)などは、本筋の話とどう絡むのかが分かりにくかったです(日本に協力し満洲国奉天の協和会長となった敵役のマーサンに対して、中国国民党の特務機関所属の暗殺者として最前線にいたカミソリという対比か。最後は理髪店の店主になったようだが、床屋業の傍ら技を後世に伝えた?)。

グランド・マスター 07.jpg トニー・レオン演じるイップ・マンは、カンフーの技比べの場面でもいつも余裕の表情で、チャン・ツィイー演じるルオメイの十数年ぶりのグランド・マスター56.jpg告白を聴く時も穏やかな表情で、いくら抑制の効いた演技といっても、ちょっと現実ありえない?(好きな俳優なのでまあいいか)。チャン・ツィイーは、アン・リー(李安)監督 の「グリーン・デスティニー」('00年/中国・香港)の時からすれば、カンフーはかなり様になっている印象を受けました(「グリーン・デスティニー」の時は、いかにもワイヤーに吊られているという感じがしたが、あれから13年かあ)。

グランド・マスターed.jpg 男女が運命的に出会いその思いが行き違うのは、「花様年華」に似ているように思いますが、戦争に最も翻弄されたのは、韓国の人気女優・ソン・ヘギョ(宋慧敎)が演じた、先に東北に行って結局あとから来るはずだったイップ・マンと離れ離れになった妻の張永成(チャン・ヨンチェン)のようにも思えます。

 実際には葉問(イップ・マン)が1949年に香港に亡命した後、最初の2年間は大陸と香港の往来は自由であり、家族はしばしば葉問のもとを訪れていますが、1951年元日から大陸と香港の国境が突如封鎖され、家族に会えなくなった葉問は、その後1人の女性と暮らし始め、女性との間に息子を設けています。一方、1960年に妻の張永成が亡くなったのは映画にもある通りですが(彼女は佛山で亡くなっている)、1962年に長男と次男がともに香港へ密航し、父・葉問と再会を果たしています。葉問は1972年12月1日に、九龍・旺角通菜街の自宅で79歳で死去、その波瀾万丈の生涯を終えています。

 一応「伝記映画」ということになっているらしいです。ウィルソン・イップ監督、ドニー・イェン主演のイップ・マン・シリーズ3作の方が、カンフー映画としては面白いのかもしれないですが、こちらも「実話」を基にしたと謳いながら、どんどん史実から外れてきているので(イップ・マン・シリーズでは葉問の妻・張永成は夫と離別死しないなど)、共に葉問を主人公としながらも、片や「カンフー映画」、片や「伝記映画」ということで、バッティングはしないとの考えから作られた作品ではないでしょうか(ウォン・カーウァイ監督としては、自分は武侠映画でもここまで撮れるという自負の発露でもあったとは思うが)。

マギー・チャン/トニー・レオン花様年華」(2000)チャン・ツィイートニー・レオンHERO」(2002)
花様年華002.jpg トニー・レオン/チャン・ツィイー「HERO」(2002).jpg
チャン・ツィイー初恋のきた道」(1999)ミシェル・ヨー/チャン・ツィイーグリーン・デスティニー」(2000)
初恋のきた道 チャン011.jpg CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON22.jpg

チャン・チェン(張震) in「ブエノスアイレス」(1997)/「グランド・マスター」(2013)
ブエノスアイレス チャン・チェン(張震).jpg グランドマスター チャン・チェン(張震).jpg

グランド・マスター  .jpgグランド・マスター3.jpg「グランド・マスター」●原題:一代宗師/THE GRANDMASTER●制作年:2013年●制作国:香港・中国●監督:ウォン・カーウァイ(王家衛)●製作:ウォン・カーウァイ/ジャッキー・パン・イーワン●脚本:ゾウ・ジンジ/シュー・ハオフォン/ウォン・カーウァイ●撮影:フィリップ・ル・スール●音楽:梅林茂/ナタニエル・グランド・マスター チャン・チェン2.jpgメカリー●時間:123分●出演:トニー・レオン(梁朝偉)/チャン・ツィイー(章子怡)/チャン・チェン(張震)/マックス・チャン(張晋)/ワン・チンシアン(王ソン・ヘギョとチャン・ツィイーt.jpg慶祥)/ソン・ヘギョ(宋慧敎)/チャオ・ベンシャン(趙本山)/ユエン・ウーピン(袁和平)(アクション指導も)●日本公開:2013/05●配給:ギャガ(評価:★★★)

ソン・ヘギョ(韓国)とチャン・ツィイー(中国)
2014年4月16日中国・北京の北京ホテルで開かれた2人が再共演した映画「太平輪〜THE CROSSING〜」(ジョン・ウー監督)の製作発表会で[韓流エンターテインメント]

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強く惹かれ合いながらも一線を越えることが出来ない男女。魅せる"雰囲気"と幾つかの"謎"。

花様年華 [DVD].jpg花様年華dvd.jpg 花様年華 11.jpg
花様年華 [DVD]」「花様年華 [DVD]」 トニー・レオン/マギー・チャン

花様年華 01.jpg 1962年の香港。新聞社の編集者であるチャウ(トニー・レオン〈梁朝偉〉)が夫妻でアパートに引っ越してきた日、隣の部屋にもチャン夫人(マギー・チャン〈張曼玉〉)が夫と引っ越してくる。チャン夫人は商社で社長秘書として働いている。チャウの妻とチャン夫人の夫は仕事のせいであまり家におらず、二人はそれぞれの部屋に一人でいることが多かったが、大家のスーエン夫人(レベッカ・パン)の仲立ちもあり二人は親しくなる。ある日、一緒に昼食を取った際、それぞれの配偶者の日本土産の話などから、お互いの配偶者同士が浮気しているらしいと察する。隣同士の部屋に住む孤独な男と女―。チャウは夫人により接近するため、本の好きな彼女に自らの小説執筆の手伝いを依頼する。夫人がスリッパのままチャンの部屋にやって来たある日、偶然にアパートの住民ら花様年華 02.jpgが徹夜マージャンをすることになり、自分の部屋に戻るに戻れなくなった夫人は、一夜をチャンの部屋で過ごすも機会を窺い、自分のスリッパを置き足に合わないチャウ夫人のヒール靴を履いて、さも外出先から自宅に帰ってきたかのようにチャンの部屋を出て行く。更に二人は、チャウが小説を書くために借りたホテルの部屋で何度か逢引するが、チャウが夫人が夫を問い詰めることを想定した練習台になったりするものの、二人は自分たちの配偶者のように簡単に不倫関係を結ぶことは出来ないでいる。チャウは、シンガポールでの仕事に誘われて現地へ行くことにするが、その際に夫人を誘うも彼女は一緒には来ない。しかし、1963年のある日、彼女は突然シンガポールのチャウの部屋を訪ねる。チャウは無言の電話を受け、自分の部屋の灰皿に夫人のタバコの吸い殻を見つけるが、夫人とは会えなかった。時は流れ1966年、子どもを連れたチャン夫人が香港のかつてのアパートにスーエン夫人を訪ね、アメリカに移住するというスーエン夫人からかつて住んだ部屋を借り受ける。一方のチャンもその後アパートを訪れ、新しい管理人に、隣は「お母さんと息子」が住んでいると聞く。それが誰であるかを確認することなく、その後彼は取材でアンコールワットを訪問し、古跡の壁の穴に過去の秘密を封印する―。

花様年華00.jpg ウォン・カーウァイ(王家衛)監督の2000年作品で、同監督の「欲望の翼」('90年)の続編、「2046」('04年)の前編とも言われていますが、雰囲気のある映画と言うか、最初はその雰囲気だけで引っ込まれて観ました。60年代の香港の共同住宅、隘路のような廊下、屋台形式の共同炊事場兼食堂―そうした舞台を背景に、互いに強く惹かれ合いながらもどうしても一線を越えることが出来ないでいる男女をしっとりと描いていて、それはホテルで二人が密会するようになっても続いていきます。ナット・キング・コールの「キサス・キサス・キサス」などの曲がくぐもった感じで背後に流れるのもムーディでした(この作品は2000年・第53回カンヌ国際映画祭で、男優賞(トニー・レオン)を受賞したほか、撮影監督、美術監督など映画スタッフに対して贈られる技術賞である「フランス映画高等技術委員会賞」(現「バルカン賞」)を受賞している)。

花様年華 (00年/香港).jpg 一方で、観ていて大きな謎の部分もありましたが、それは後にネットなどでいろんな人の分析を読んで、ナルホドなあと思ったりもし、また、そうした中でも見方が分かれていたりして、どっちの解釈が正しいのか、それは"正解"があるのか、それとも元々が観客に解釈を委ねている作品なのか―などと考えてみる上で"面白い"作品であると思います。以下、個人的解釈―。

 チャン夫人は何故1963年になってシンガポールにチャウを訪ねたのか。これは、やはりチャウと一緒になろうと考えたのではないでしょうか(この時点でチャウの方は指輪をしておらず、シンガポール行きを契機に離婚をしている可能性が高い。勿論、離婚していなくても指輪はもうしなかったとは思うが)。夫人はそれでも、現地まで行ったにも関わらず、チャウに直接会って想いを伝えるまでには至らず、結果として訪ねた痕跡を残すに留まってしまった―ということではないか。

花様年華12.jpg 一説では、チャン夫人はスリッパを取りにシンガポールに行ったという見方もあるようですが、それは、後でチャウが部屋から無くなったものがあるとメイドに訴える、その"無くなったもの"とはスリッパであり、それは、例のマージャンの夜に夫人がチャウの部屋に置いてきたスリッパだったという。彼女がスリッパを"回収"するカットは実際にあり(スリッパが件(くだん)のものであったことそのものはまず間違いないだろう)、チャウにシンガポールでの仕事を紹介した人物がかつてのアパートの同居人でもあったことから、その人物がスリッパを見れば、どうして夫人のスリッパがここにあるのかと訝しがる、そのことを夫人は恐れたのか。仮にそうであるとしても、チャウが例のスリッパをシンガポールに持って行っていることを夫人は事前に知る由もなく、やはりここは、自分がチャウと付き合っていた「痕跡を消す」ためにスリッパを"回収"したのではなく(また、そのためにシンガポールまで行ったわけでもなく)、わざとタバコの吸い殻を残したのと同じように、チャウに想いを伝えに来たが踏み切れず、来たという「痕跡を残す」ためにスリッパを持ち帰ったと見るべきではないでしょうか。

 では、最後に出てくるチャン夫人が連れている子どもは誰との間にできた子なのか。チャン夫人が夫と縁りが戻り、男の子を儲けたと見る向きもありますが、そうすると先のスリッパ"回収"による「痕跡を消す」説と符合する面も出てくるものの、ややセコい感じも。但し、この説には一定の論拠が花様年華 06.jpgあり、チャウの妻(声のみで姿は画面には一度も出てこない)が電話で相手に対し(相手は不倫相手のチャン夫人の夫のようだが、こちらも声のみで姿は画面には一度も出てこない)、「話さないとダメよ」と言って泣いていることから(この部分も声のみ)、不倫相手に離婚を迫ったもののチャン夫人の夫が離婚を渋っているらしいことが窺え、更に、チャン夫人の夫が日本に出張中にチャン夫人の誕生日にラジオに歌のリクエストしていることで(その曲名が「花様的年華」)、これを聴いたチャン夫人が夫と和解し、結局は夫と別れなかったと解されるというもの。でも、そうだとしたら、どうしてわざわざチャウとの思い出が色濃く残るかつてのアパートに舞い戻ってくるのかが理解し難い気がします(この時、指輪はどうなっていた? 1962年時点では最後まで外さなかったようだが)。

トニー・レオン マギー・チャン1.png では、チャン夫人が連れている子どもはチャウの子なのか。だとしたら、二人はそれまでどうしても越えられなかった一線を最後に越えたことになりますが、それは何時だったのか。おそらく、夫人の夫への問い質し練習の延長としてやった、チャウとの別れの場面のロールプレイング(相手は夫を想定しているのかチャウを想定しているのか微妙)の後、夫人が泣き崩れ「今日は帰りたくない」というあの辺りでしょうか(2度目のタクシー内の場面)。その後、チャウがシンガポールに行っている間に妊娠・出産し、シンガポールにはそのことをチャウに伝えるためにも行ったとすれば、目的は果たさなかったものの行った動機としても説明がつくのではないでしょうか。

 個人的解釈としては、チャン夫人が最後、子ども連れて思い出の詰まったアパートに舞い戻ってきた割には結構さばさばして見えるのは、"思い出"に生きることで踏ん切りがついているためであって(その点でチャウとの間に生まれた子どもがい花様年華74.jpgるという意味は大きい)、一方、おそらくは隣の部屋にチャン夫人が戻って来ているのを知らないままにアンコールワットに行ったチャウは、そこまで割り切って"思い出"に生きられないからこそ(男女の生理的違いと言っていいのでは)、遺跡の壁の穴に口づけをするという行為を以って意識的に"思い出"を封印しようとしたのではないか―と考えます。

Kayô nenka(2000)
Kayô nenka(2000).jpg
花様年華7_jp.jpg花様年華2).jpg「花様年華」●原題:花様年華/IN THE MOOD FOR LOVE●制作年:2000年●制作国:香港●監督・製作・脚本:ウォン・カーウァイ(王家衛)●撮影:クリストファー・ドイル/リー・ピンビン(李屏賓)●音楽:マイケル・ガラッソ/梅林茂●時間:98分●出演:トニー・レオン(梁朝偉)/マギー・チャン(張曼玉)/レベッカ・パン(藩迪華)/ライ・チン(雷震)/スー・ピンラン(蕭炳林)●日本公開:2001/03●配給:松竹●最初に観た場所:渋谷・Bunkamura ル・シネマ1(01-04-25)(評価:★★★★★
  
Maggie Cheung2.jpgマギー・チャン2.jpgトニー・レオン.jpgトニー・レオン マギー・チャン(hero 2002).jpg


マギー・チャン(張曼玉)/トニー・レオン〈梁朝偉〉[2000年第53回カンヌ国際映画祭男優賞(「花様年華」)]/マギー・チャン&トニー・レオン in 「HERO」(2002年/中国・香港/張芸謀(チャン・イーモウ)監督)
 

Bunkamura ル・シネマ1.jpgBunkamura ル・シネマ内.jpgBunkamura ル・シネマ2.jpgBunkamura ル・シネマ1・2 1989年9月、渋谷道玄坂・Bunkamura6階にオープン


 
 
 
 
《読書MEMO》
●ポール・シュレイダー監督の選んだオールタイムベスト10["Sight & Sound"誌・映画監督による選出トップ10 (Director's Top 10 Films)(2012年版)]
 ●市民ケーン(オーソン・ウェルズ)
 ●暗殺の森(ベルナルド・ベルトルッチ)
 ●花様年華(ウォン・カーウァイ)
 ●レディ・イヴ(プレストン・スタージェス)
 ●オルフェ(ジャン・コクトー)
 ●スリ(ロベール・ブレッソン)
 ●ゲームの規則(ジャン・ルノワール)
 ●東京物語(小津安二郎)
 ●めまい(アルフレッド・ヒッチコック)
 ●ワイルドバンチ(サム・ペキンパー)

●英BBC Culture「21世紀の偉大な映画ベスト100」(2016.08.24発表)上位20位
1.「マルホランド・ドライブ」(01/デビッド・リンチ)
2.「花様年華」(00/ウォン・カーウァイ)
3.「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(07/ポール・トーマス・アンダーソン)
4.「千と千尋の神隠し」(01/宮崎駿)
5.「6才のボクが、大人になるまで。」(14/リチャード・リンクレイター)
6.「エターナル・サンシャイン」(04/ミシェル・ゴンドリー)
7.「ツリー・オブ・ライフ」(11/テレンス・マリック)
8.「ヤンヤン 夏の想い出」(00/エドワード・ヤン)
9.「別離」(11/アスガー・ファルハディ)
10.「ノーカントリー」(07/ジョエル&イーサン・コーエン)
11.「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」(13/ジョエル&イーサン・コーエン)
12.「ゾディアック」(07/デビッド・フィンチャー)
13.「トゥモロー・ワールド」(06/アルフォンソ・キュアロン)
14.「アクト・オブ・キリング」(12/ジョシュア・オッペンハイマー)
15.「4ヶ月、3週と2日」(07)クリスティアン・ムンジウ
16.「ホーリー・モーターズ」(12/レオス・カラックス)
17.「パンズ・ラビリンス」(06/ギレルモ・デル・トロ)
18.「白いリボン」(09/ミヒャエル・ハネケ)
19.「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(15/ジョージ・ミラー)
20.「脳内ニューヨーク」(08/チャーリー・カウフマン)

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