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『大穴』の主人公が再登場。シリーズの中で『興奮』に比肩しうる傑作。

利腕 単行本.jpg『利腕』(ハヤカワ・ミステリ文庫).jpg利腕 文庫カバー.jpgI 利腕.jpg
利腕 (1981年) (Hayakawa novels―競馬シリーズ)』『利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-18 競馬シリーズ)

利腕.jpg 片手の競馬専門調査員シッド・ハレーのもとに、昔馴染みの厩舎から依頼が舞い込む。絶対とも言える本命馬が謎の調子の悪さを見せて失速、次々と原因不明のままレース生命を絶たれるというのだ。馬体は万全、薬物の痕跡もなく、不正が行われた形跡は全くないのだが...。厩舎に仕掛けられた陰謀か、それとも単なる不運か? 調査に乗り出したハレーを襲ったのは、彼を恐怖のどん底に突き落とす脅迫だった。「手を引かないと、残った右手を吹き飛ばすぞ」と―。

 ディック・フランシス(1920-2010/89歳没)の1979年発表作(原題:Whip Hand)で、作者の"競馬シリーズ"40作の中で、「英国推理作家協会(CWA)賞(ダガー賞)」(1979年)のゴールド・ダガー賞と、「アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)」(1981年)という、英米の両方の賞を受賞した唯一の作品です。

 "競馬シリーズ"の第4作『大穴』('65年)で登場したシッド・ハレーが再登場し、その後も『敵手』('95年)、『再起』('06年)に登場するという、基本的に毎回主人公が変わる"競馬シリーズ"の中では数少ないシリーズキャラクターとなっています。

 その主人公シッド・ハレーは、元は競馬騎手で、大障害レースでチャンピオンになったりしましたが、落馬事故をきっかけに左腕を義手にせざるを得なくなり、ラドナー探偵社の調査員に転職、さらに独立して競馬界専門の調査員となってこの作品に登場したというのが、それまでの経緯です。

 前作『大穴』は、絶望の中でだらしなく生きていたシッド・ハレーが、恐喝事件を解決するための任務で銃で撃たれてしまったのを機に再び燃え上がる復活物語になっていましたが、今回の作品のシッド・ハレーは、強い自制心を持って物事に相対する、本来の彼の姿となっているように思いました。身長は167センチと小柄ですが、幼少の頃から苦労を味わい尽くしていて、忍耐強さが彼の本分なのです。

 本命馬が突然不調になる事件を軸として、シンジケートの件、元妻の詐欺師事件、保安部の不正といったさまざまな事件が互いに関連し合ったり、あるいはまったく別個に発生して(全部で4人の依頼主と4つの事件があることになる)、うち2つの事件は、シッド・ハレーや相棒のチコ・バーンズへの先制攻撃・脅し・暴力に満ちており、前作が復活物語ならば、今回は、シッド・ハレーが恐怖を克服する物語となっていると言えます。

 周囲の人間はシッド・ハレーのタフガイぶりを「神経がない」と評しますが、内面はその反対で、彼はしばしば恐怖に苛まれていて、その辺りの人間らしさも魅力です。調査員という職業柄、ハードボイルド風でスパイ小説風でもある展開ですが、気球に乗って追っ手から逃れ、最後は取っ組み合いになるなどのアクション場面も豊富です。

このシリーズの主人公は、結構ラストで身体を張って、実際、身体を傷つけながら、さらには命を危険に晒しながら事件を解決するというのが多いように思いますが、シッド・ハレーはその典型。007シリーズで言えば、ショーン・コネリーが演じていた頃のジェームズ・ボンドではなく、最近のダニエル・クレイグの演じるボンドに近いかも。

 その分、最後までハラハラドキドキさせられました。今まで『興奮』が"競馬シリーズ"の最高傑作だと思っていましたが、この作品もそれに匹敵するくらいの出来ではないでしょうか。『大穴』の続編と見做されるせいか、人気ランキングで『興奮』の後塵を拝しているようですが、シリーズのファンの中には『興奮』よりこちらを上にもってくる人もいるようで、何となく分かる気がしました。

【1985年文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫]】

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主人公は競馬記者。終盤の逆転に次ぐ逆転はスリルたっぷり。

ディック・フランシス 罰金 ハヤカワ・ポケット.jpg『罰金』(ハヤカワ・ミステリ文庫).jpgI罰金.jpg
罰金 (1974年) (ハヤカワ・ミステリ)』『罰金

 「忠告だ!自分の記事を金にするな。絶対に自分の魂を売るな!」そう言い遺して、《サンディ・ブレイズ紙》の競馬記者のバート・チェコフは7階のオフィスの窓から転落した。同僚のジェイムズ・タイローンには、彼の遺した言葉の意味が解らなかったが、その後、バートが新聞記事で買いを勧めた馬が出走を取り消したのを知った時、彼の背中を冷たいものが走った。派手に人気を煽った馬の出走取り消しは、賭け屋に莫大な利益をもたらすのだ。何かある! 競馬の不正行為にバートが関連していたのだろうか? バートの死に際の言葉はこの不正を示唆していたのか? 記者の魂を売り渡し、追いつめられて死んだのだとすれば、背後には誰が? 調べだしたタイローンに危険が迫る―。

 ディック・フランシス(1920-2010/89歳没)の1968年発表作(原題:Forfeit)で、作者の"競馬シリーズ"の第7作で、1970年の「アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)」の受賞作です。原則として毎回主人公が変わるこのシリーズ(ただし、『大穴』『利腕』など4作に登場のシッド・ハレーといった例外あり)の今回の主人公ジェイムズ・タイローンの職業は競馬記者です。

 その主人公の'私'(タイ)の妻エリザベスは小児麻痺のために左手をほんの少ししか動かす事が出来ず、呼吸さえも機械の助けを借りないと出来ないという状況にあり、また夫婦生活ができないことで、自分は夫に見放されるのではないかとの扶南を抱いています。タイは正常で健康な男性でもあるので、自己嫌悪と罪の意識を感じながらも、やむを得ず他の女性と関係を持つことも。そこには愛は無いという前提だったのが、今回の事件の調査を続けるうちに知り合った女性とお互いに惹かれあったことから、相手の女性は自分では知らないままタイの敵に脅迫の手段を与えてしまうという皮肉な流れになります。

 事件の方もこのシリーズ特有の多重構造の様相を呈していますが、核となる不正行為のからくりは、重賞レースなら出走日以前にも賭けられる英国の障害競馬の賭けのシステムを悪用したもので、有力馬を探し、競馬専門紙の記者を脅迫・買収してその馬が絶対勝つと思い込ませるような記事を書かせ、国内にネットワークを持つ賭け屋と結託し、賭け金が吊り上がったところで、今度は馬主を脅迫して直前に出走を取り消させるというものでした。

 今回は核となる犯罪のミステリの構造はそれほど複雑なものではなく、主人公と妻や女性との関係にもかなりページを割いていることもその要因としてあったのかなあと思いましたが、終盤に来て、レース本番まで極秘に保護している有力馬をどこに隠すか、敵方との逆転に次ぐ逆転はスリルたっぷりで、結局いつも通り(笑い)ハラハラドキドキさせられました。しかし、このやり方は、ジャンルは少し違いますが、冒険スパイ小説のロバート・ラドラムなどを想起させ、これ、やりすぎると軽くなるような気も(途中、恋愛小説的要素もあった分、ラストでスパートをかけた?)。

 読み終わった直後は"ハラハラドキドキ"の余韻で、『興奮』や『利腕』よりも上かなと思いましたが、時間が経つとそこまでの評価にはならないかなという感じ(それでも星4つはあげられる)。町を行くすべての男性が振り返るような女性が、最後「パン屑を食べても一緒にいたい男を見つけても...自分の物にすることができない」(これ、タイのことなのだが)と嘆くのが印象的。でも、エリザベスとの関係が回復したのは良かったけれど、医者のトニオはエリザベスに、夫をもっと自由にさせるよう助言したということなのかな。

 因みに、ディック・フランシスは、騎手引退後に《サンディ・イクスプレス紙》で競馬記者をしており、愛妻メリイは小児麻痺に罹り、本書のエリザベスほど重症ではないものの人工呼吸器を使っていたとのこと。本書の'私'のモデルは作者自身とも言えるかと思います。

【1977年文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫]】

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個人的ベスト3は、①「女主人」、②「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」、③「豚」。

ダール キス・キス.jpgキスキス_0269.JPGキス・キス ダール.jpgキス・キス (異色作家短編集).jpg キス・キス (異色作家短編集) 2005.jpg
Kiss Kiss』『キス・キス (ハヤカワ・ミステリ文庫)』(田口俊樹:訳)'14年新訳版(カバーイラスト:ハッタノリカズ) 『異色作家短篇集〈1〉キス・キス (1974年)』『キス・キス (異色作家短編集)』(開高健:訳)'74年改訂新版/'05年新装版
キス・キス ダールes.jpg異色作家短編集1「キス・キス」ロアルド・ダール 旧版.jpgRoald Dahl.png 『キス・キス』はロアルド・ダール(Roald Dahl、1916-1990/享年74)の1946年刊行の第一短編集『飛行士たちの話』('81年/ハヤカワ・ミステリ文庫)、1953年刊行の第二短編集『あなたに似た人』('57年/ハヤカワ・ミステリ)に続く1960年刊行の第三短編集で、その後、1974年に第四短編集『来訪者』('89年/ハヤカワ・ミステリ文庫)が刊行されています。『キス・キス』は本邦では、1960年に早川書房より開高健(1930‐1989)の訳で「異色作家短篇集〈1〉」として刊行され('74年に改訂新版)、2005年に新装版が出ましたが、2014年にハヤカワ・ミステリ文庫で田口俊樹氏による新訳版がでました。
『異色作家短編集〈第1集〉キス・キス』ロアルド・ダール(開高 健:訳)(1960/12 早川書房)

「女主人」 "The Landlady"
 夜遅くようやく新しい赴任地に着いた17歳のビリーは、ふと目に入った『お泊りと朝食』という文字と値段の安さに惹かれてその家を滞在先に決める。そこには優しそうにみえる女主人がいた。宿帳を見るとそこに書いてある二人の名前に何となく見覚えが―。初っ端からブラック。徐々に真実が見えてくるところが怖いです。アメリカ探偵作家クラブ最優秀短編賞受賞作。この作品は、CBSで1955年から1962年に放映された「ヒッチコック劇場(Alfred Hitchcock Presents)」で第184話「ロンドンから来た男」(1961)(ヒッチコック劇場の「話数」は本邦のものを採用)として映像化されています。原作で17歳の主人公が22歳のちょうど大学を出るか出ないかくらいの若者(ディーン・ストックウェル)に変更されていて、冒頭、彼が酒場に立ち寄り、たまたま壊れた店のレジを直してあげるというエピソード付きで、意外としっかり者という感じ。泊まることにした宿の女主人(パトリシア・コリンジ)が終始機ヒッチコック 「サイコ」ノーマン.jpg嫌よく、その分怖さとユーモアが同居した(所謂ブラックAlfred Hitchcock 女主人01.jpgユーモアという感じか)作品でした。原作と同じく、女主人の意図を仄めかすところで終わっていますが、このことが原作の最大の上手さのポイントであり、それを生かしていると言えます。ちょっと「サイコ」('60年)を思い出しました。モーテル経営のノーマン青年も最初は親切な好青年として登場しますが、はく製作りが趣味らしいと分かったところから何だか不気味に見えてきます。
Alfred Hitchcock Presents - Season 6 Episode 19 #210."The Landlady"(1961)(「ロンドンから来た男」)
  
 また、BBCで1979年から1988年に放映されたドラマシリーズ「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(Tales of the Unexpected)」では、全9シリーズ112話の内の、第1シリーズ第5話(全シリーズ通し番号。以下、同)「女主人」(1979)としてドラマ化されています。女主人(シヴォーン・マケナ)の宿にやってくる青年(レオナルド・プレストン)は18歳と、原作に近い設定で、ヒッチコック劇場版より頼りない感じ。女主人公の意図を仄めかすところTales of the Unexpected- The Landlady (1979).jpgで終わっている原作に対し、こちらは、彼女がこれから「仕事」にかかろうとするところまで映像化していて、原作の"ネタ"解説的になっています(先行する二人の犠牲者も出てくる)。しっかり者に見える青年が女主人の罠に落ちるヒッチコック劇場の方が上でしょうか。ロアルド・ダール劇場版はロアルド・ダールが冒頭解説で登場しているくらいですから、仮に「原作で描かれなかったその先」を映像化するとこうなるものとみていいのでしょう。
Tales of the Unexpected - The Landlady (1979)(「女主人」)

「ウィリアムとメアリー」 "William and Mary"
オックスフォードの哲学教授ウィリアムは癌に侵され、余命いくばくもなくなったとき、医師ランディに、脳だけを生かす実験に協力するよう頼まれ、これを受け入れて死んでいく。遺書で事の次第を読んだ妻のメアリイは、ランディ医師の病院に赴く―。ラストの妻が怖いです。自分が長年押さえつけていた妻からどういう目に遭うかということも考えておかなければならなかったということか。Tales of the Unexpected' - William and Mary.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中で、第1シリーズ第3話「ウィリアムとメアリー」(1979)としてドラマ化されています。ドラマではウィリアムが既に亡くなっているところから始まって、ランディ医師がメアリーにいろいろと状況を説明するようになっていますが、基本的には原作通りです(映像化作品を観ても新たな気づきがあるという感じではない)。ちょっと不気味ですが、最後のメアリーのタバコの吸いっぷりでユーモラスに締めたという感じでしょうか。
Tales of the Unexpected - William and Mary (1979)(「ウィリアムとメアリー」)

「天国への道」 "The Way up to Heaven"
8The Way Up to Heaven.jpg10The Way Up to Heaven.jpg フォスター夫妻はニューヨークの6階建の大邸宅に住む富豪で何不自由ない暮らしに見えるが、妻は夫の底意地の悪さに辟易している。その妻がパリにいる娘に会いに出かける日、フライトの時間に間に合わないと焦る妻は、まだぐずぐず屋敷内にいる夫を呼びに玄関まで来た。そして鍵を開けかけて、中から聞こえる音に耳をすまし、瞬時ためらったものの、そのまま夫を置き去りにして空港へと急ぐ。それから3週間。妻が自邸に戻ってみると、どうやら夫は―。これって、"未必の故意"?「ロアルドダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第9話でドラマ化(「天国へのエレベーター」(1979))されていて、「エデンの東」('55年)、「刑事コロンボ/別れのワイン」('73年)Tales of the Unexpected - The Way up to Heaven.jpg8エデンの東ポスター.jpg天国へのエレベーター 000.jpgジュリー・ハリスが妻を演じています。ラストは暗示的な原作に対して、ああ、こーゆーことだったのかと"目に見える"結末となっていて、殆ど原作の"オチ"解説みたいな感じでした。つまり、彼女は、夫が乗っているはずのエレベーターが中空で停まっているのに気づいたけれど、知らない素振りをしたわけで、これは"未必の故意"以上かも。
Tales of the Unexpected - The Way up to Heaven(1979)(「天国へのエレベーター」)Julie Harris

「牧師の愉しみ」 "Parson's Pleasure"
 ロンドンの骨董商のボギス氏は、田舎の農家に掘り出し物があることを知り、怪しまれないように牧師の格好で家を訪れ、お目当ての家具を手に入れるために交渉する。今回は名人作の衣装戸棚が見つかり、これで大金持ちになり、業界での名声も得られると有頂天だったが、安く買い叩こうと「脚だけがほしいのだが...」と言ったのが運のつきで、車を取りに戻っている間に、売主は親切心から、戸棚の躯体部分を解体してしまう―。ダールの短編集でお馴染み、農家のラミンズ、バート、クロードの親子トリオが絶妙に可笑しいです。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第3シリーズ第31話でドラマ化(「アンティークの家具」(1980))されています。Parson's Pleasure 3.jpg原題タイトルは「牧師の愉しみ」ですが、骨董商ボギス氏が牧師に化けているのであっTales of the Unexpected - Parson's Pleasure.jpgて、ドラマでは、民家を訪ねたら本物の牧師が出てきて慌てるという場面が冒頭にあります。全体としては原作以上でも以下でもないですが、第6話「」にも執事役で出ていたジョン・ギールグッドの演技達者と、ラミンズ、バート、クロードの親子トリオが実写で見られるのが良いです。
Tales of the Unexpected - Parson's Pleasure(1980)(「アンティークの家具」)John Gielgud

「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」 "Mrs Bixby and the Colonel's Coat"
 ビクスビー夫人はニューヨークの歯科医の妻で、月に一度、伯母の介護という名目でボルチモアに出かけ、そこで「大佐」と呼ばれる渋い中年男との逢瀬を楽しんでいたが、やがて別れがやってきて、手切れ金代わりに高価なミンクのコートを貰う。彼女はコートを質屋に預け、質札を拾ったことにして夫への説明を切り抜けようとするが―。質屋にコートを自分で取りに行かなかったのが失敗原因ですが、夫も.........ということなのでしょう。この作品は「ヒッチコック劇場」で第193話「中年夫婦のために」(1960)としてドラマ化されています(「女性専科第一課 中年夫婦のために」)ヒッチコック劇場 中年夫婦のために 01.jpgヒッチコック劇場 中年夫婦のために 04.jpgヒッチコック劇場 中年夫婦のために tum.jpg。ヒッチコック自身が演出していて、原作がいいということもありますが、あらすじを知ったうえで観ていても楽しめました。主役のオードリー・メドウズはいかにもヒッチコックが好んで使いそうな感じの女優でした。
Alfred Hitchcock Presents - Season 6 Episode 1 #192."Mrs. Bixby and the Colonel's Coat"(1961)(「中年夫婦のために」)Audrey Meadows

Mrs Bixby and the Colonel's Coat.jpgヴィクスビー夫人と大佐のコートロード.jpgヴィクスビー夫人と大佐のコートロード  ド.jpg また、「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第1話「南部から来た男」に続く第2話「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」(1979)としてドラマ化されています。これも「天国へのエレベーター」と同じくジュリー・ハリス主演ですが、「ヒッチコック劇場」版と比べると弱いか。
Tales of the Unexpected - Mrs Bixby and the Colonel's Coat(1979)(「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」)Julie Harris

「ロイヤルゼリー」 "Royal Jelly"
Royal Jelly.jpgRoyal Jelly book.jpg 若き養蜂家アルバート・テイラーは、子宝に恵まれたばかりだが、乳飲み児の娘の食が細くて、妻ともどもとても心配している。そこで彼は、ミルクにロイヤルゼリーを混ぜることを思いつき、娘の食欲を回復させることに成功したが、娘は次第に女王蜂さながらになってきて―。シュSusan George.jpgールな恐怖です。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第10話でドラマ化(「新案育児法」(1980))されていて、妻を「わらの犬」('71年)のスーザン・ジョージが演じています。コレ、原作のラストはSF仕立てになっているわけではなく、「ノイロ-ゼ妻」が幻覚妄想状態になっているということなのでしょう。
Tales of the Unexpected - Royal Jelly(1980)(「新案育児法」)
Susan George
    
Tales of the Unexpected - Georgy Porgy.jpg「ジョージー・ポージー」 "Georgy Porgy"
 私ことジョージー・ポージーは若い牧師だが、幼い頃の母親の異常な性教育のお蔭で女性恐怖症となり、女性と付き合ったことがまだ無い。だが、劣情は人一倍強く、教区の独身女性たちの誘惑も激しいため、それらを押し留めるのに苦慮している。そんな折、珍しく清楚で溌剌としてミス・ローチと巡り会い、勧められるままアルコールの飲み物を啜り、気分が高揚して勢いで彼女に迫るも、やり方が拙かったらしく、彼女はいたくおかんむり。私は思わず彼女の口の中に飛び込み、今やその十二指腸の上に小部屋を作って、ほとぼりが醒めるまでしばらくのんびりをJoan Collins GEORGY PORGY3.jpg決め込んでいる―。ということで、これも終盤いきなりシュールになりますが、ネズミを使って雄と雌でどちらが性欲が強いか実験しているのが可笑しかったでJoan Collins GEORGY PORGY.jpgす。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第18話でドラマ化(「ママの面影」(1980)されており、牧師を誘惑するジョーン・コリンズは、第6話「」(1979)にも不倫妻役で出ていましたが、今回は母親との一人二役が楽しめます。これも映像化作品のラストからみるに、原作の終わりの方は、主人公の「ノイロ-ゼ牧師」が幻覚妄想状態になっているということなのでしょう。教会に来た女性たち全員が裸に見える(笑)というあたりが伏線でしょうか。
Tales of the Unexpected - Georgy Porgy(1980)(「ママの面影」)Joan Collins
     
「始まりと大惨事―実話―」 "Genesis and Catastrophe"
 ドイツの国境に近い町で、一人の男の子が生まれる。母親にとっては4人目の子だが、これまでは皆幼くして亡くなってしまっていた。健やかに育ってと母親は祈るような気持ちだが、様子を見に来た酔っ払いの税官吏の夫は、子供の小ささを指摘する。見るに見かねた医者がふたりの仲をとりもち、子供の未来をともに祝福するようにと諭す。さてその子とは―。最後の方になって、「実話」(邦題のみに付されている)の意味が分かります。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第21話でドラマ化(「父親になる日」(1980))されていて、酔っ払いの父親をTales of the Unexpected - Genesis and Catastrophe.jpgヘルムート・グリーム1.pngルキノ・ヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」('69年)で ナチ指揮官アッシェンバッハを演じたヘルムート・グリーム(「ルートヴィヒ」('69年)にも大佐の役で出ていた)が演じています(今回も税官吏と言うより軍人っぽい)。物語のオチは、原作以上に最後ぎりぎりまでわからないようになっています(ただ、原作を読み、オチを知っていて観るとイマイチか)。
Tales of the Unexpected - Genesis and Catastrophe(1980)Helmut Griem(「父親になる日」)

「勝者エドワード」 "Edward the Conqueror"
 ルイーザとエドワードは初老の夫婦。あるとき庭仕事をしていて、見慣れぬ猫を見つける。猫を家に入れTales of the Unexpected - Edward the Conqueror.jpgたまま、ルイーザがピアノEDWARD THE CONQUEROR.jpgを弾くと、猫はリストの曲に反応する。猫の顔にはリストと同じ位置にホクロがあり、ルイーザはこの猫がリストの生まれ変わりに違いないと思い込むが、エドワードは取り合わない。ルイーザが猫のために特別料理を用意している間、エドワードは猫を伴って庭に出て行く。料理が出来たが、肝心のリスト猫はどこなのか―。開高健は「暴君エドワード」と訳していますが、「暴君」としてしまうと、猫をリストの生まれ変わりだと思い込んで、夫そっちのけで猫に特別料理を作っている妻の方が「暴君」であるともとれるので、ここはやはり「勝者」が妥当でしょう。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中で、第1シリーズ第7話「暴君エドワード」(1979)としてドラマ化されています。夫婦を演じたのは、「旅路」('58年)、「オリエン暴君エドワード.jpgト急行殺人事件」('74年)のウェンディ・ヒラーと「市民ケーン」('41年)、「第三の男」('49年)のジョセフ・コットン。これは原作を更にひと捻りしたのか、それともこれがそのまま原作の解題なのか、どちらにもとれるラストが微妙でした。原作との関係において"傑作"と言え、第1シリーズのエピなので、ロアルド・ダール自身の案でこうなったのかもしれません。
Tales of the Unexpected - Edward the Conqueror(1979)(「暴君エドワード」)Joseph Cotten

「豚」 "Pig"
ダール キス・キス.jpg レキシントンは生後2ヶ月で孤児となり、大叔母に育てら、菜食主義者の彼女の手ほどきで料理を習い、腕前をめきめき上げた。その叔母が死ぬと、遺言に従いニューヨークに行って、さらに料理修行に励むつもりだった。ところが、菜食しかしていないレキシントンは、はじめて食べた豚肉の旨さにとりつかれる。豚肉の仕入先を求めて、屠殺場に赴くが、どうしたことか豚を絞め殺すためのベルトコンベアーに乗せられてしまう―。最後、やはりシュールでした。

Kiss Kiss

「世界チャンピオン」 "The Champion of the World"
ダニーは世界チャンピオン.jpg ガソリンスタンドの共同経営者クロードとゴードンは、ミスター・ヘイゼル所有の森で密猟をすることする。ミスター・ヘイゼルは成金で、上流階級に入り込むための手段として、年に一度、自分の森でキジの狩猟会を催している。その前に、睡眠薬入りのレーズンを使った狩猟法でごっそりキジをせしめ、ヘイゼルの鼻を明かしてやろうというわけだ。ことは予定通り進んだはずだったが―。開高健訳では「ほしぶどう作戦」。「クロードの犬」のクロードとゴードンがまたも登場し、何か企みをするのも同じですが、「クロードの犬」の時は金儲けのためでしたが、今回は成金の鼻を明かすため。そして、今回も失敗でした(おそらく逃げたキジは森に帰るのだろう)。因みに、この話はロアルド・ダール自身によって児童文学として翻案されていて、『チョコレート工場の秘密』などのロアルド・ダールの児童文学作品の代表的挿画家であるクェンティン・ブレイクの挿絵入りで子どもが読めるものとなっています。
ダニーは世界チャンピオン (ロアルド・ダールコレクション 6)

"Landlady(全文)
Roald Dahl The Landlady 2.jpgMrs Bixby and the Colonel's Coat cover.jpg 全体の中で個人的には「女主人」「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」「豚」が良かったでしょうか。順位をつければ、①「女主人」、②「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」、③「豚」。「女主人」「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」はヒッチコック劇場版の映像化作品(それぞれ「ロンドンから来た男」「中年夫婦のために」)も良かったです(映像化作品では「中年夫婦のために」が一番か)。好みはおそらく人によって違ってくると思いますが、「ウィリアムとメアリー」「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」「天国への道」に見られるように夫婦物は押しなべてブラックで、訳者あとがきで「O・ヘンリーの名短編集『賢者の贈り物』に出てくるような中睦まじくも麗しい夫婦とは言えない夫婦ばかりで、そのあたりがいかにもダールである」(笑)とあり、まさにその通りでした。
     
        
         
        
The Landlady
ロンドンから来た男()_.jpg
ロンドンから来た男 02.jpg「ヒッチコック劇場(第184話)/ロンドンから来た男●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 6 E 19-#210)THE LANDLADY●制作年:1961年●制作国:アメリカ●本国放映:1961/02/21●監督:ポール・ヘンリード●脚本:Robert Bloch●原作:ロアルド・ダール「女主人」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/パトリシア・コリンジ/ディーン・ストックウェル/Laurie Main●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
          
The Landlady  imdb.jpgロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 dvd.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第5話)/女主人●原題:Tales of the Unexpected -THE LANDLADY●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/21●監督:ハーバート・ワイズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「女主人」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/シヴォーン・マケナ/レオナルド・プレストン●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
予期せぬ出来事 3枚組BOX [DVD] JVDD1157」(「南から来た男」「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」「ウィリアムとメリー」「おとなしい凶器」「女主人」「首」「暴君エドワード」「海の中へ」「天国へのエレベーター」)
      
ウィリアムとメアリー メアリー.jpgウィリアムとメアリー ドクター.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第3話)/ウィリアムとメアリー●原題:Tales of the Unexpected -WILLIAM AND MARY●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/07●監督:ドナルド・マクウィニー●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「ウィリアムとメアリー」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/エレイン・ストリッチ/マリウス・ゴーリング/リチャード・ハンプトン/ジミー・マック●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)

The Way Up to Heaven h.jpgThe Way Up to Heaven 5.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第9話)/天国へのエレベーター●原題:Tales of the Unexpected -THE WAY UP TO HEAVEN●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/05/19●監督:サイモン・ラングトン●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「天国への道」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジュリー・ハリス/ローランド・カルヴァー/アンガス・マッケイ/ジェレミー・ロングハースト●日本放映:1980/06●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
     
Parson's Pleasure s.jpgParson's Pleasureード.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第31話)/アンティークの家具●原題:Tales of the Unexpected -PARSON'S PLEASURE●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第三集.jpg放映:1980/11/30●監督:ジョン・ブルース●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「牧師の愉しみ」●時間:27分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョン・ギールグッド/バーナード・マイルズ/リー・モンタギュー/ゴッドフリー・ジェームス●DVD発売:2006/09●発売元:JVD(評価★★★☆)
ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第三集 [DVD]」(「負け犬」「動かぬ証拠」「最高の同居人」「死者の悪口にご用心」「隠された悪意」「アンティークの家具」「音響捕獲機」「満ち潮」「望みすぎた女」「パーティ」「妻の遺産」「おとり捜査」)

Mrs. Bixby and the Colonel's Coat
ミセス・ビクスビーと大佐のコート 1960.jpg中年夫婦のために (1).jpg「ヒッチコック劇場(第193話)/中年夫婦のために●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 6 E 1-#192)MRS. BIXBY AND THE COLONEL'S COAT●制作年:1960中年夫婦のために   (1).jpg年●制作国:アメリヒッチコック劇場 第ニ集 バリューパック.jpgカ●本国放映:1960/09/27●監督:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:Halsted Welles●原作:ロアルド・ダール「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/オードリー・メドウズ/レス・トレメイン/ステファン・チェイス/サリー・ヒューズ/ハワード・ケイン●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
ヒッチコック劇場 第ニ集 バリューパック [DVD]」【Disc1】「兇器」「亡霊の見える椅子」「女性専科第一課 中年不夫婦のために」所収

ヴィクスビー夫人と大佐のコート32.jpgヴィクスビー夫人と大佐のコート33.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第2話)/ヴィクスビー夫人と大佐のコート●原題:Tales of the Unexpected -MRS. BIXBY AND THE COLONEL'S COAT●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/03/31●監督:サイモン・ラングトン●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジュリー・ハリス/マイケル・ホーダーン/リチャード・グリーン/フレデリック・ファーリー/サンドラ・ペイン●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
Julie Harris/Sandra Payne
Susan George
10 新案育児法 Tales of the Unexpected  Royal Jelly.jpg10 新案育児法  Royal Jelly.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第10話)/新案育児法●原題:Tales of the Unexpected -ROYAL JELLY●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/03/01●監督:ハーバート・ワイズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「ロイヤルゼリー」●時間:26分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ティモシー・ウェスト/スーザン・ジョージ/アンドリュー・レイ●日本放映:1980/07●放映局:東京12チャンネル(現テレビ予期せぬ出来事 第二集 BOX.jpg東京)(評価★★★☆)

予期せぬ出来事 第二集 BOX [DVD]」(「永遠の名作」「見知らぬ乗客」「ママの面影」「或る夜の事件」「新案育児法」「ヒッチハイク」「父親になる日」「男の夢」「疑惑」「ハエとり紙」「骨董屋の結婚」「太りすぎに注意」)
       
ママの面影.png18ママの面影Georgy Porgy.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第18話)/ママの面影●原題:Tales of the Unexpected -GEORGY PORGY●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/26●監督:グレアム・エヴァンズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「ジョージー・ポージー」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョーン・コリンズ/ジョン・アルダートン/ラリー・バウワーズ/マーガレッタ・ス>コット●日本放映:1980/07●放映局:東京12Joan Collins  pin-nap.jpgチャンネル(現テレビ東京)(評ジョーン・コリンズ  001.jpgGeorgy Porgy Joan Collins.jpgジョーン・コリンズ 002.jpg価★★★☆)

Joan Collins(pin-up/1980 in GEORGY PORGY/2012.Age79)

           
21 父親になる日 Genesis and Catastrophe.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第21話)/父親になる日●原題:Tales of the Unexpected -EDWARD THE CONQUEROR●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/05/17●監督:ハーバート・ワイズ●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「始まりと大惨事―実話―」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ヘルムート・グリーム/Zhivila Roche/ハナ・マリア・プラブダ/Alastair Llewellyn/グラハム・シード●日本放映:1980/08●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)

暴君エドワード EDWARD THE CONQUEROR.jpg07暴君エドワード Edward the Conqueror.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第7話)/暴君エドワード●原題:Tales of the Unexpected -EDWARD THE CONQUEROR●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/05/05●監督:サイモン・ラングトン●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「勝者エドワード」●時間:30分●出ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 dvd.jpg演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ウェンディ・ヒラー/ジョゼフ・コットン/フィル・ブラウン●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★★)

予期せぬ出来事 3枚組BOX [DVD] JVDD1157」(「南から来た男」「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」「ウィリアムとメリー」「おとなしい凶器」「女主人」「首」「暴君エドワード」「海の中へ」「天国へのエレベーター」)
 
  

Alfred Hitchcock Presents.jpgヒッチコック劇場00.jpgヒッチコック劇場01.jpgヒッチコック劇場_0.jpg■TVシリーズ「ヒッチコック劇場」Alfred Hitchcock Presents (CBS 1955.10.2~62.7.3)○日本での放映チャネル:日本テレビ(1957~63)声:熊倉一雄(アルフレッド・ヒッチコック)
 Alfred Hitchcock Presents  

Tales of the Unexpected  1979.jpgTales of the Unexpected.jpgロアルド ダール劇場 予期せぬ出来事 第二集 全4巻.jpg■TVシリーズ「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」Tales of the Unexpected (BBC 1979.3.24~88.5.13)○日本での放映チャネル:東京12チャンネル(現テレビ東京)(1980)/ミステリチャンネルなど
●「ロアルド ダール劇場 予期せぬ出来事」東京12チャンネルで1980年放映時のラインアップ(本国での全9シリーズ112作中)()内は放映時タイトル。
1 南から来た男 Man From the South [#1]
2 ヴィクスビー夫人と大佐のコート Mrs Bixby and the Colonel's Coat [#2]
3 ウィリアムとメリー(永遠の結婚) William and Mary [#3]
4 おとなしい凶器 Lamb to the Slaughter [#4]
5 女主人 The Land lady [#5]
6 首 Neck [#6]
7 暴君エドワード Edward the Conqueror [#7]
8 海の中へ(イチかバチか) A Dip in the Pool [#8]
9 天国へのエレベーター The Way Up to Heaven [#9]
10 永遠の名作 Skin [#11]
11 見知らぬ乗客 Galloping Foxley [#12]
12 ママの面影 Georgy Porgy [#18]
13 或る夜の事件 Poison [#14]
14 新案育児法 Royal Jelly [#10]
15 ヒッチハイク The Hitch-Hiker [#13]
16 父親になる日 Genisis and Catastorophe [#21]
17 男の夢 Mr Botibol's First Love [#22]
18 疑惑 The Umbrella Man [#20]
19 ハエとり紙 The Flypaper [#26]
20 骨董屋の結婚 The Ordery World of Mr. Appleby [#24]
21 太りすぎにご注意 Fat Chance [#15]
22 顔役 The Man at the Top [#25]
23 クリスマスに帰る Back for Christmas [#23]
24 風景画 A Picture of a Place [#27]
25 負け犬 The Stinker [#32]
26 動かぬ証拠 Shattorproof [#40]
27 最高の同居人 The Best of Everything [#38]
28 死者の悪口にご用心 Never Speak Ill of the Dead [#42]

【1960年単行本・1974年改訂新派版[早川書房・異色作家短編集〈1〉(開高健:訳)]・2005年新装版[早川書房(開高健:訳)]/2014年文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫(田口俊樹:訳)]】

《読書MEMO》
●早川書房・異色作家短篇集(新装版刊行年/写真は旧・改訂新版)
異色作家短編集.jpg1.ロアルド・ダール『キス・キス』開高健訳、2005年
2.フレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』星新一訳、2005年
3.シオドア・スタージョン『一角獣・多角獣』小笠原豊樹訳、2005年

4.リチャード・マシスン『13のショック』吉田誠一訳、2005年
5.ジョルジュ・ランジュラン『蠅』稲葉明雄訳、2006年
6.シャーリイ・ジャクスン『くじ』深町眞理子訳、2006年
7.ジョン・コリア『炎のなかの絵』村上啓夫訳、2006年
8.ロバート・ブロック『血は冷たく流れる』小笠原豊樹訳、2006年
9.ロバート・シェクリイ『無限がいっぱい』宇野利泰訳、2006年
10.ダフネ・デュ・モーリア『破局』吉田誠一訳、2006年
11.スタンリイ・エリン『特別料理』田中融二訳、2006年
12.チャールズ・ボーモント『夜の旅 その他の旅』小笠原豊樹訳、2006年
13.ジャック・フィニイ『レベル3』福島正実訳、2006年

14.ジェイムズ・サーバー『虹をつかむ男』鳴海四郎訳、2006年
15.レイ・ブラッドベリ『メランコリイの妙薬』吉田誠一訳、2006年
16.レイ・ラッセル『嘲笑う男』永井淳訳、2006年
17.マルセル・エイメ『壁抜け男』中村真一郎訳、2007年

「●た ロアルド・ダール」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【2568】 ロアルド・ダール 『キス・キス
「●「アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)」受賞作」の インデックッスへ 「○海外サスペンス・読み物 【発表・刊行順】」の インデックッスへ「●TV-M (ロアルド・ダール原作)」の インデックッスへ「●アルフレッド・ヒッチコック監督作品」の インデックッスへ(「兇器」「賭」「毒蛇」)「●あ行外国映画の監督」の インデックッスへ「●スティーブ・マックイーン 出演作品」の インデックッスへ「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ 「●海外のTVドラマシリーズ」の インデックッスへ(「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」「ヒッチコック劇場」「新・ヒッチコック劇場」)

個人的ベスト3は、①「南から来た男」、②「おとなしい凶器」、③「プールでひと泳ぎ」。

あなたに似た人Ⅰ .jpg あなたに似た人Ⅱ .jpg あなたに似た人hpm(57).jpg あなたに似た人hm(76)文庫.jpgあなたに似た人 (ハヤカワ・ミステリ文庫.jpg
あなたに似た人〔新訳版〕 I 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕』『あなたに似た人〔新訳版〕 II 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕』『あなたに似た人 (1957年) (Hayakawa Pocket Mystery 371)』『あなたに似た人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 22-1))』(カバーイラスト・和田誠)
南から来た男 指.jpg「ヒッチコック劇場(第136話)/指」('60年)スティーブ・マックイーン/ニール・アダムス/ピーター・ローレ
「新・ヒッチコック劇場(第15話)/小指切断ゲーム」('85年)スティーヴン・バウアー/メラニー・グリフィス/ジョン・ヒューストン/ティッピ・ヘドレン
New York: Alfred A. Knopf(1953)
Alfred A. Knopf 1st edition.jpgRoald Dahl2.jpg 『あなたに似た人(Someone Like You)』はロアルド・ダール(Roald Dahl、1916-1990/享年74)の1953年刊行の第二短編集で、1954年の「アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)」受賞作です(短編賞)。因みに第一短編集は1946年刊行の『飛行士たちの話』('81年/ハヤカワ・ミステリ文庫)、第三短編集は1960年刊行の『キス・キス』('74年/早川書房)になります(『キス・キス』所収の「女主人」で再度「エドガー賞」(短編賞)を獲っている)。また、この作家は、1964年に発表され映画化もされた『チョコレート工場の秘密』('05年/評論社)など児童小説でも知られています。

ハヤカワミステリ文庫創刊 あなたに似た人.png 『あなたに似た人』は、田村隆一訳で1957年にハヤカワ・ポケットミステリで刊行され、その後1976年にハヤカワ・ミステリ文庫で刊行(創刊ラインアップの一冊)されましたが、その際には、「味」「おとなしい兇器」「南から来た男」「兵隊」「わがいとしき妻よ、わが鳩よ」「海の中へ」「韋駄天のフォックスリイ」「皮膚」「毒」「お願い」「首」「音響捕獲機」「告別」「偉大なる自動文章製造機」「クロウドの犬」の15編を所収していました。そして、この田口俊樹氏による〔新訳版〕は、「Ⅰ」に「味」「おとなしい凶器」「南から来た男」「兵士」「わが愛しき妻、可愛あなたに似た人Ⅰ.jpgあなたに似た人Ⅱ.jpgい人よ」「プールでひと泳ぎ」「ギャロッピング・フォックスリー」「皮膚」「毒」「願い」「首」の11篇、「Ⅱ」に「サウンドマシン」「満たされた人生に最後の別れを」「偉大なる自動文章製造機」「クロードの犬」の4編と、更に〈特別収録〉として「ああ生命の妙なる神秘よ」「廃墟にて」の2篇を収めています。

  
「Ⅰ」所収分
「味」 "Taste"
 私はある晩餐会に妻を連れて参加していた。客の1人は有名な美食家リチャード・プラットで、招いた側のマイク・スコウフィールドは、銘柄を見せずにワインを出し、いつどこで作られたワインか当てられるか、プラットに尋ねる。君にも絶対わからないと自信満々のマイクに対し、プラットは絶対に当てると余裕の表情。そこで、2人は賭けをすることにし、賭けの対象となったのはマイクの娘。プラットが勝てば娘を嫁にもらい、逆にマイクが勝てば、プラットから家と別荘をもらうという約束が取り交わされる。プラットは、ワインの入ったグラスをゆっくりと持ち上げて―。面白かったですが、わりかしオーソドックスにあるパターンではないかなあ。

Tales of the Unexpected  1979.jpgTales of the Unexpected.jpg この作品は、BBCで1979年から1988年に放映された、ロアルド・ダール自身がシリーズ番組で毎回案内役を務める「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(Tales of the Unexpected)」の中では、全9シリーズ・112話の内の、第2シリーズ第16話(全シーズン通し番号。以下、同じ。)「ワインの味」(1980)(日本での放映時またはソフト化時の邦題。以下、同じ。)としてドラマ化されています。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」は日本では1980年、東京12チャンネル(現テレビ東京)で土曜夜10時30分の時間帯に28作品が初放送されていますが、「ワインの味」はそのラインアップには無く、後にCS放送(ミステリチャンネル)で放映されたりTales of the Unexpected - Taste(1979).jpgDVD化されたりしています(このように当時放映されず後にDVD化されたエピソードや、今も本邦未ソフト化のエピソードもあるため、ロアルド・ダール劇場の「話数」は原則通り本国のものを採用。ドラマ版は原作をどう表現しているかを観る楽しみもあり、この原作のドラマ化作品「ワインの味」に関して言えば、まずまず楽しめました(緊迫感のあとのスッキリした気分は、ドラマの方が効果大だったかも)。
Tales of the Unexpected -Roald Dahl、Season 2 #16."Taste"(1980)(「ワインの味」)

「おとなしい凶器」"Lamb to the Slaughter"
松本清張11.jpg 料理の支度をしながら愛する夫の帰りを待っている妻メアリ。しかし、帰ってきた夫からもたらされたのは別れの言葉だった。彼女は絶望して、とっさに夫を殺害するが、凶器の仔羊の冷凍腿肉を解凍して調理し、それを刑事たちにふるまう。刑事たちは何も知らずに殺人の凶器となった証拠を食べてしまう―。松本清張の短編集『黒い画集』('60年/カッパ・ノベルズ)の中に「凶器」という作品があって、殺人の容疑者は同じく女性で、結局、警察は犯人を挙げることは出来ず、女性からぜんざいをふるまわれて帰ってしまうのですが、実は凶器はカチンカチンの「なまこ餅」で、それを刑事たちが女性からぜんざいをふるまわれて食べてしまったという話があり、松本清張自身が「ダールの短篇などに感心し、あの味を日本的なものにヒッチコック劇場傑作選「兇器 vhs.jpgAlfred Hitchcock Presents - Lamb to the Slaughter.jpgAlfred Hitchcock Presents Lamb to the Slaughter 兇器.jpg移せないかと考えた」(渡辺剣次編『13の凶器―推理ベスト・コレクション』('76年/講談社))と創作の動機を明かしています。この作品は次に述べる「南から来た男」と同じく、CBSで1955年から1962年に放映された「ヒッチコック劇場(Alfred Hitchcock Presents)」で第84話「兇器」(1958)ヒッチコック劇場の「話数」は邦順を採用として映像化されています。映像化してどれくらいリアリティがあるかと思われるプロットですが、そこはさすがにヒッチコックでした。作品の核であるユーモアは、リアティによって支えられているのだなあと。ラストの主人公の笑みは、2年後に撮られる「サイコ」('60年)を想起させます。
Alfred Hitchcock Presents - Season 3 Episode 28 #106."Lamb to the Slaughter"(1958)(「兇器」)

Lamb to the Slaughter 1979 2.jpglamb to the slaughter 1979.jpg 因みに、「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第4話でドラマ化(「おとなしい凶器」(1979))されていますが(主演は「わらの犬」('71年)のスーザン・ジョージ)、最初に実際に外部の者の犯行であったような映像を見せていて、観る者に対するある種"叙述トリック"的な造作になっています。好みはあると思いますが、個人的には、実際に無かったことを映像化するのはどうかなと思いました。
Tales of the Unexpected: Lamb to the Slaughter(1979)(「おとなしい凶器」)Susan George

「南から来た男」 "Man from the South"
ダール 南から来た男 ド.jpgダール 南から来た男.jpg プールそばのデッキチェアでのんびりしている私は、パナマ帽をかぶった小柄な老人が、やって来たのに気づく。アメリカ人の青年が、老人の葉巻に火をつけてやる。いつでも必ずライターに火がつくと知って、老人は賭けを申し出、あなたが、そのライターで続けて十回、一度もミスしないで火がつけzippo.gifられるかどうか、自分はできない方に賭けると。十回連続でライターに火がついたら、青年はキャデラックがもらえ、その代り、一度でも失敗したら、小指を切り落とすと言う。青年は迷うが―。この作品は、金原瑞人氏の訳で『南から来た男 ホラー短編集2』('12年/岩波少年文庫)にも所収されています。
 
●ヒッチコック劇場(第136話)「指」(1960)スティーブ・マックイーン/ピーター・ローレ(老人)/ニール・アダムス Alfred Hitchcock Presents - Season 5 Episode 15 #168."The Man from the South"(1959)
南から来た男.JPGダール 南から来た男es.jpg この「南から来た男」は「ヒッチコック劇場」で1960年にスティーブ・マックイーンニール・アダムス(当時のマックイーンの妻)によって演じられ((第136話「指」)、監督はノーマン・ロイド(ヒッチコックの「逃走迷路」('42年)で自由の女神から落っこちる犯人を演じた俳優でもあり、「ヒッチコック劇場」で19エピソード、「ヒッチコック・サスペンス」で3エピソードを監督している)、"南から来た男"を演じたのはジョン・ヒューストン監督の「マルタの鷹」('41年)でカイロという奇妙な男を演じたピーター・ローレでした。更に1985年に「新・ヒッチコック劇場」スティーヴン・バウアーメラニー・グリフィス主演でリメイクされ(第15話「小指切断ゲーム」)新・ヒッチコック劇場の話数は邦順を採用。「小指切断ゲーム」は本国ではパイロット版として放映された)、メラニー・グリフィスの母親ティッピ・ヘドレンも特別出演しています。"南から来た男"を演じたのは「マルタの鷹」の監督ジョン・ヒューストン、最後に出てくる"女"を演じたのは「めまい」('58年)のム・ノヴァクでした。共に舞台はカジノに改変されていますが、出来としてはマックイーン版がかなり良いと思いました。スティーブ・マックイーンはテレビシリーズ「拳銃無宿」('58-'61年)で人気が出始めた頃で、この年「荒野の七人」('60年)でブレイクしますが、この作品はアクションは無新・ヒッチコック劇場 小指切断ゲーム.jpg南部から来た男 11.jpg南部から来た男 ジョン・ヒューストン.jpgく、マックイーンは怪優ピーター・ローレを相手に純粋に演技で勝負しています。但し、マックイーンが演じるとどこかアクション映画っぽい緊迫感が出るのが興味深く、緊迫感においてスティーヴン・バウアー版を上回っているように思います(IMDbのスコアもマックイーン版は8.7とかなりのハイスコア)。
●新・ヒッチコック劇場(第15話)「小指切断ゲーム」(1985)メラニー・グリフィス/キム・ノヴァク/スティーヴン・バウアー/ジョン・ヒューストン(老人)/ティッピ・ヘドレン
●ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第1話)「南から来た男」ホセ・フェラー(老人)/マイケル・オントキーンTales of the Unexpected - Season 1 #1."The Man from the South"(1979)
The Man from the South 1979.jpgTales of the Unexpected - The Man from the South.jpg 「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では第1シリーズ第1話として1975年に、ホセ・フェラー(老人)、マイケル・オントキーン(青年)主演でドラマ化(邦題も「南から来た男」)されています。舞台は原作通りリゾートになっていて、老人はちゃんとパナマ帽を被っています。派手さは無いけれど原作にほぼ忠実です(IMDbのスコアは7.3)。映画化作品では、オムニバス映画「フォー・ルームス」('95年/米)の第4話「ペントハウス ハリウッドから来た男」(クエンティン・タランティーノ監督、ティム・ロス主演、ブルース・ウィリス共演)があります(内容はかなり翻案されている)。

吉行 淳之介.jpg 吉行淳之介はこの短編の初訳者である田村隆一との対談で、あのラストで不気味なのは「老人」ではなく「妻」の方であり、夫の狂気に付き合う妻の狂気がより強く出ていると指摘しています。そう考えると、結構"深い"作品と言えるかと思います。


「兵士」 "The Soldier"
 戦争で精神を病んでしまい、何もかもが無感覚になってしまった男。足を怪我しても気がつかず、物に触っても触っている感触が無い。女と暮らしているが、その女が誰なのかも分からなくなってしまう―。ホラー・ミステリですが、ミステリとしての部分は、女が妻であることはかなり明確であり、ホラーの方の色合いが濃いかもしれません。

「わが愛しき妻、可愛い人よ」 "My Lady Love, My Dove"(旧訳「わがいとしき妻よ、わが鳩よ」)
Tales of the Unexpected - My Lady Love, My Dove.jpg 私と妻はブリッジをやるためにスネープ夫妻が来るのを待っている。私も妻も夫妻のことはあまり好きではないが、ブリッジのために我慢する。妻はふと、いったい、スネープ夫妻が2人きりの時はどんな様子をしているのか、マイクを取り付けて聞いてみようと言う。そいて、それを実行に移し、聞こえてきた2人の会話は、ブリッジにおけるインチキの打ち合わせだった。それを聞いた妻は―。夫婦そろって悪事に身を染める場合、妻主導で、夫は妻の尻に敷かれていたという状況もあり得るのだなあ(「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第17話でドラマ化(1980)されているが、日本でDVD化はされていない)。
Tales of the Unexpected - My Lady Love, My Dove (1980)

「プールでひと泳ぎ」 "Dip in the Pool"(旧訳「海の中へ」)
 船旅中のミスター・ウィリアム・ボディボルは、ある時間帯までに船がどのくらいの距離を進むか賭ける懸賞Dip In The Pool 01.jpg(オークション・プール)に参加する。嵐が来ているので、ミスター・ボディボルは有り金全部を短い距離につぎ込むが、朝起きると嵐は収まり、船は快走していて、彼は大いに嘆く。しかし、ある作戦を思いつき、それは、船から人が落ちれば船は救助のため遅れるはずだというもので、自分が落ちた現場を目撃するのに最適な人を探し始める―。ブラックでコミカルと言うか、悲喜劇といった感じ。他人を突き落とすことを考えないで、自分で飛びこんだ分、悪い人ではないのでしょうが。この作品も「ヒッチコック劇場」で第103話「賭」(1958)として映像化されていて、「兇器」と同じく、ヒッチコックDip In The Pool 02o.jpg自身が監督しています。クルDip in the Pool.jpgーズ船は借り切ったのかなあ。主役の俳優は、この体形で海に飛び込んで大丈夫かな思ったけれど、見事な飛込みぶりでした。スタントだとは思いますが、「落ちる」のではなく「飛び込み」をしていました。老婦人が見ていない隙に落ちるのだから、これでもいいのかも(でも、アスリートぽかった)。
Alfred Hitchcock Presents - Season 3 Episode 35 #113."A Dip in the Pool"(1958)(「賭」)

ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事/海の中へ01.jpg この作品は「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第8話「海の中へ」(1979)としてドラマ化されていて、やはり主人公は太っていますが、こちらは「落ちて」いました。こちらも立派なクルーズ船を使っていましたが、ヒッチコック版の方がモノクロフィルムの強みと言うか、重厚感がロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事/海の中へ03.pngあったように思います。この映像化作品単独で観ても面白いのですが、それは原作の面白さに依るものであり、ヒッチコック版と比べると、同じ短編でありながら、ヒッチコック自身が演出したことで醸されている重厚感には及ばないでしょうか。繰り返しになりますが、コメディ映画は、リアルかつシリアスに作り込めが作り込むほど、ユーモアが映えるように思います(因みに原題が "Dip in the Sea"でなく"Dip in the Pool"となっているのは、"Dip in the Sea"だと「海水浴」になってしまうのと、"Dip"とすることで「賭場(Pool)に浸る」という意味に懸けたのではないか)。
Tales of the Unexpected - Dip in the Pool(1979)(「海の中へ」)
   
「ギャロッピング・フォックスリー」 "Galloping Foxley"(旧訳「韋駄天のフォックスリイ」)
 ある日私は、電車に乗ろうとした時、ホームに知った顔を見つける。"ギャロッピング・フォックスリー"と呼ばれ少年の頃に私を苛めていた相手ブルース・でフォックスリーだった。私は彼が自分にした仕打ちを一つ一つ思い出していき、彼にどんな復讐をしてやろうかと考える―。子どもの頃に苛められた記憶って大人になっても消えないのだろうなあ。苛められたことが無い人でも、主人公の気持ちは分かるのでは。それにしても、名乗り合ったら、相手の方がより名門校(イートン校)の出身で、しかも9つも年下だったというのが可笑しいです。こGalloping Foxley.jpgれもドラマシリーズ「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出01見知らぬ乗客.jpg来事」の中で第2シリーズ第12話「見知らぬ乗客」(1980)として映像化されています。主演のジョン・ミルズ(「ライアンの娘」('70年/英・米)のオスカー俳優でサーの称号が与えられている)はさすがの演技達者ぶりで、若き日のフォックスリーを演じたジョナサン・スコット=テイラー(前年に「オーメン2」('79年/米)でダミアン少年を演じている)のいじめっ子ぶりも強烈でした。
Tales of the Unexpected - Galloping Foxley (1980)(「見知らぬ乗客」)

「皮膚」"Skin"
 ドリオリという老人は、ある画廊でシャイム・スーチンの絵が飾られているのを見つける。それは自分がかつて可愛がっていた少年の描いた絵だった。画廊にいる人々かTales of the Unexpected' - Skin(1980).jpgら追い払われそうになったドリオリは、自分はこの絵描きの描いたものを持っていると叫ぶ―。タイトルから何となくどういうことか分かりましたが、さすがにラストはブラックで、ちょっと気持ち悪かったです。とは言え、同時に、主人公の哀れさも滲みます。これも「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中で第2シリーズ第11話「永遠の名作」(1980)として映像化されています。カンヌには画商が老人を住まわせると言っていたホテルは存在しないというところまではよく分からなかったですが、ラストの額縁に入った一枚の絵を見せられれば、それだけで充分でした。
Tales of the Unexpected - Skin(1980)(「永遠の名作」)

「毒」"Poison"
 真夜中のベンガル。私がバンガローに戻って来ると、ベッドで寝ていたハリーの様子が変で、「音をたてないでくれ」と言い、汗びっしょり。本を読んでいたら毒蛇がやってきて、今も腹の上に乗っていると言うので、私は医者のガンデルバイを呼び、どう刺激しないように毒蛇を毒 alfred hitchcock presents poison.jpg動かすか、万が一噛まれた時の処置はどうするか等々、様々な作戦を立てるが―。ハリーのインド人医師に対する人種差別意識と重なり、風刺っぽい皮肉が効いています。この作品もまた「ヒッチコック劇Alfred Hitchcock Presents - S 4 E 1 poison.jpg場」で第124話「毒蛇」として映像化されていますが、原作をいくつか変えています。大きなものとしては、ハリーと"ティンバー"(原作の「私」)の一人の女性をめぐる微妙な関係と、結末のドラマ独自のどんでん返しがあります。普通、原作をいじるとダメになることが多いですが(特に結末)、ヒッチコック自身が演出しているこの作品は原作とはまた違った"味"がありました。
Alfred Hitchcock Presents - Season 4 Episode 1 #118."Poison"(1958)(「毒蛇」)

Tales of the unexpected Poison 2.jpgTales of the unexpected Poison.jpg また、「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では第2シリーズ第14話「或る夜の事件」(1980)としてドラマ化されていて、こちらもハリーの妻と"ティンバー"の不倫などを織り込んで話を膨らませていますが、その部分をここまで"見える化"してしまったのはどうだったかなと思いました(同じく改変はしているが、ヒッチコック版の方がいいか)。
Tales of the Unexpected - Poison(1980)(「或る夜の事件」)

「願い」"The Wish"
 絨毯の上にいる少年は想像を膨らませる。絨毯の赤い所は石炭が燃えている固まりで、黒い所は毒蛇の固まり、黄色の所だけは歩いても大丈夫な所。焼かれもしないで、毒蛇に噛まれもしないで向こうへ渡れたら、明日の誕生日にはきっと仔犬がもらえるはず。少年はおそるおそる黄色の所だけを歩き始めて―。子供の他愛の無い空想遊びの話ですが、最後の一行で、本当に空想に過ぎなかったのか不安が残ります。

「首」 "Neck"
故ウィリアム・タートン卿所蔵の芸術品に興味のある私は、バシル・タートン卿の招待を受けて屋敷へ行く。執事の口ぶりから察するに、レディ・タートンとジャック・ハドック少佐はただならぬ関係らしい。庭園には様々な芸術品があるが、中でもヘンリイ・ムーアの木製の彫刻が素晴らしい。彫刻には穴がいつかあり、レディ・タートンがふく第6話「首」 .jpgざけて穴に頭を突っ込んで抜けなくなってしまう。バジル卿は、鋸と斧を持ってくるよう執事に命じるが、彼が手にしたのは斧だった―。芸術至上06 首 ジョン・ギールグッド.jpg主義の本分からして、実際、斧で妻の首を切落としかねない感じでしたが...。浮気妻への"心理的"復讐と言ったところだったでしょうか。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第6話でドラマ化(「首」(1979))されています。実際に広大な庭にムーアっぽい彫刻を幾つも据えていました。ラストは、斧を振り下ろすところでストップモーションになっています。
Tales of the Unexpected - Neck (1979)(「首」)John Gielgud Joan Collins


「Ⅱ」所収分 
「サウンドマシン」 "The Sound Machine"(旧訳「音響捕獲機」)
 クロースナーは人間の耳では聞くことの出来ない音をとらえる機械を作った。早速、イヤホンをしてダイヤルを回すと、ミセス・ソーンダースの庭から、茎が切られる時のばらの叫び声が聞こえてきて―。昔、サボテンが、傍でオキアミを第41話 サウンドマシン  The Sound Machine 1.jpg茹でたりすると電磁波を発信するという話がありましたが、最近は園芸店やホームセンターで、「電磁波を吸収する効果があるサボテン」というのが売られています。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第4シリーズ第41話でドラマ化(「音響捕獲機」(1981))されていますが、 ハリー・アンドリュースが演じるクロースナーは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」('85年/米)でクリストファー・ロイドが演じた"ドグ"っぽい感じのマッドサイエンティストぶり(でも、こっちの方が4年早い)。ただ、映像化したからと言って何か新たな発見があるような内容でもなかったです。
Tales of the Unexpected - The Sound Machine (1979)(「音響捕獲機」)Harry Andrews

「満たされた人生に最後の別れを」 "Nunc Dimittis"
 私はある婦人からジョン・ロイデンという画家の話を聞く。ロイデンは素晴らしい肖像画を描くのだが、まず裸の絵を描いて、その上に下着を描いて、さらにその上に服を重ねて描くという手法を使っているらしい。その婦人から、恋人のジャネット・デ・ペラージアが自分のことを影では嘲笑っていると聞き、ある復讐を思いつく。ロイデンにジャネットの肖像画を描かせた私は、脱脂綿に液体をつけて、少しずつドレスの絵の具をこすっていく―。旧訳のタイトルは「告別」で、原題の意はシメオンの賛歌から「今こそ主よ、僕を去らせたまわん」。陰険な独身男の主人公はキャビア大好き男でもあり、復讐相手から和解の印にキャビアを贈られて...。

「偉大なる自動文章製造機」 "The Great Automatic Grammatizator"
大型自動計算器を開発しているアドルフ・ナイプは、自分の好きな物語を作ることのできる機械を発明する。ちょっとしたアイディアだけで、素敵な文章の面白い小説を作ることができるのだ。ナイプはミスター・ボーレンと組んで小説を次々と作り、既存作家の代作まで始めることに。リストアップされた作家の7割が契約書にサインし、今も多くの作家たちがナイプと手を組もうとしている―。2016年に、AI(人工知能)が書いた小説が文学賞で選考通過というニュースがあり(「星新一文学賞」だったと思う)、まったくのSFと言うより、今や近未来小説に近い感じになっているかも。

「クロードの犬」 "Claud's Dog " 
 「ねずみ捕りの男」 "The Ratcatcher"
 私とクロードのいる給油所に保健所の依頼を受けたねずみ捕りの男がやって来る。彼は、ボンネットの上に年老いたドブネズミをくくりつけ、私たちに手を使わずにねずみを殺せるということについて賭けを持ちかける―。このねずみ捕りの男、何者じゃーって感じです。
 「ラミンズ」 "Rummins"
 ラミンズと息子のバードが草山を束に切っていると、ナイフの刃がなにか硬いものをこするようなガリガリいう音を立てる。ラミンズは「さあ、続けろ!そのまま切るのだ、バート!」と言う。それを見ていた私は、みんなで乾草の束を作っていた時のことを思い出す。これって、純粋に事故なのでしょうか。
 「ミスター・ホディ」 "Mr. Hoddy"
 クラリスと結婚することを決めたクロードは、クラリスの父親のミスター・ホディに会いに行きく。どうやって生計を立てて行くか聞かれたクロードは、自信満々に、蛆虫製造工場を始める計画を語る―。こりゃ、破談になるわ。
 「ミスター・フィージィ」 "Mr. Feasey"
私とクロードは、ドッグレースで儲ける作戦を思いつく。クロードは走るのが速いジャッキーという犬を飼っているが、そのジャッキーとそっくりの走るのが全然早くない犬をも飼っていた。そこで、参加するドッグレースに初めはその偽ジャッキーを出しておいて、レベルの低い犬として認定されるようにし、本番の大勝負では、本物のジャッキーを参加させれば大穴になり、大儲けができるという作戦だった。この作戦はうまく行ったかに見えたが―。やっぱりズルはいけないね、という感じしょうか。

 (追加収録)
「ああ生命の妙なる神秘よ」北を向いてすれは雌が生まれる? 人間にも応用できるのかあ(笑)。

「廃墟にて」食料も無くなった未来の廃墟で、自分の脚を切って食べる男。それを見つめていた少女にも分けてやるが―。何となく、どこかで読んだことがあるような気がします。

 因みに、最後の2篇は、邦訳短編集としては初収録ですが、「ああ生命の妙なる神秘よ」は「ミステリマガジン」1991年4月号、「廃墟にて」は同誌1967年3月号に掲載されたことがあるとのことです。

 個人的ベスト3は、①「南から来た男」、②「おとなしい凶器」、③「プールでひと泳ぎ」でしょうか。とりわけ「南から来た男」は、吉行淳之介の読み解きを知った影響もありますが◎(二重丸)です。「ギャロッピング・フォックスリー」「首」もまずまずでした。

「人喰いアメーバの恐怖」 [VHS]/「マックイーンの絶対の危機 デジタル・リマスター版 [DVD]
マックィーンの絶対の危機_9.jpg人喰いアメーバの恐怖 .jpgマックィーンの絶対の危機(ピンチ)dvd.jpg 因みに、スティーブ・マックイーンの初主演映画は、「ヒッチコック劇場」の「指」に出演した2年前のアービン・S・イヤワース・ジュニア監督の「マックイーンの絶対の危機(ピンチ)」('58年)で、日本公開は'65年1月。日本での'72年のテレビ初放送時のタイトルは「SF人喰いアメーバの恐怖」で、'86年のビデオ発売時のタイトルも「スティーブ・マックィーンの人喰いアメーバの恐怖」だったので、「人喰いアメーバの恐怖」のタイトルの方が馴染みがある人が多いのではないでしょうか。宇宙生物マックィーンの絶対の危機_1.jpgが隕石と共にやって来たという定番SF怪物映画で、怪物は田舎町を襲い、人間を捕食して巨大化していきますが、これ、"アメーバ"と言うより"液体生物"でしょう(原題の"The Blob"はイメージ的には"スライム"に近い?)。この液体生物に立ち向かうのがマックイーン(当時、クレジットはスティーブン・マックイーンで、役名の方がスティーブになっている)らが演じるティーンエイジャーたちで、スティーブン・マックイーンは実年齢27歳で高校生を演マックィーンの絶対の危機_2.jpgじています(まあ、日本でもこうしたことは時々あるが)。CGが無い時代なので手作り感はありますが、そんなに凝った特撮ではなく、B級映画であるには違いないでしょう。ただそのキッチュな味わいが一部にカルト的人気を呼んでいるようです。スティーブ・マックイーン主演ということで後に注目されるようになったことも影響しているかと思いますが、「人喰いアメーバの恐怖2」(ビデオ邦題「悪魔のエイリアン」)('72年)という続編や「ブロブ/宇宙からの不明物体」('88年)というリメイク作品が作られています。
       


ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第四集.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第16話)/ワインの味●原題:Tales of the Unexpected -TASTE●制作年:1980年●制作ワインの味.jpg国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/12●監督:アラステア・リード●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「味」●時間:26分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ロン・ムーディー/アントニー・キャリック/Mercia Glossop/デビー・ファーリントン●DVD発売:2008/01●発売元:JVD(評価★★★☆)
ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第四集 BOX [DVD]」(「ワインの味 /Taste」「風景画 /Picture of a place」「盗み聴き /The Eavesdropper」 「動物と話す少年 /The Boy who talked with Animals」「 かも /There's One Born Every Minute」 「ブルー・マリーゴールド /Blue Marigold」 「確実な方法 /The Way to do it」「顔役 /The Man at tha Top」「クリスマスに帰る /Back for Christmas」)

Alfred Hitchcock Presents Lamb to the Slaughter. (1958) f.jpg「ヒッチコック劇場(第84話)/兇器●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 3 E 28-#106)LAMB TO THE SLAUGHTERヒッチコック劇場 第ニ集 バリューパック.jpg●制作年:1958年●制作国:アメリカ●本国放映:1958/04/13●監督:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:ロアルド・ダール●原作:ロアルド・ダール「やさしい凶器」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/バーバラ・デル・ゲデス/ハロルド・J・ストーン●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
ヒッチコック劇場 第ニ集 バリューパック [DVD]」【Disc1】「兇器」「亡霊の見える椅子」「女性専科第一課 中年不夫婦のために」所収

ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 dvd.jpgLamb to the Slaughter 1979 1.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第4話)/おとなしい凶器●原題:Tales of the Unexpected -LAMB TO THE SLAUGHTER●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/04/14●監督:アラン・ピックフォード●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「おとなしい凶器」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/スーザン・ジョージ/マイケル・バーン/ブライアン・ブレスト●日本放映:1980/05/10●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)
予期せぬ出来事 3枚組BOX [DVD] JVDD1157」(「南から来た男」「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」「ウィリアムとメリー」「おとなしい凶器」「女主人」「首」「暴君エドワード」「海の中へ」「天国へのエレベーター」)

マっクィーン 指.jpg「ヒッチコック劇場(第136話)/●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 5 E 15-#168)MAN FROM THE SOUTH●制作年:1959年●制作国:アメリカ●本国放映:1960/01/03●監督:ヒッチコック劇場 第四集.jpgノーマン・ロイド●製作:ジョーン・ハリソン●脚本:ウィリアム・フェイ●音楽:ジョセフ・ロメロ●原作:ロアルド・ダール「南から来た男」●時間:26分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/スティーブ・マックイーンニール・アダムス/ピーター・ローレ/キャサリン・スクワイア●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放ヒッチコック劇場 マックイーン版 南から来た男.jpgヒッチコック劇場 マックイーン版 南から来た男 2.jpg映局:日本テレビ(評価★★★★)
ヒッチコック劇場 第四集2 【ベスト・ライブラリー 1500円:第4弾】 [DVD]」(「脱税夫人(The avon emeralds)」「悪徳の町(The crooked road)」「指(Man from the south)」「ひき逃げを見た(I saw the whole thing)」)
      
スティーヴン・バウアー/ティッピ・ヘドレン/メラニー・グリフィス(背)/ジョン・ヒューストン
小指切断ゲーム2.jpg小指切断ゲーム3.jpg小指切断ゲーム4.jpg「新・ヒッチコック劇場(第15話)/小指切断ゲーム●原題:Alfred Hitchcock Presents - MAN FROM THE SOUTH●制作年:1985年●制作国:アメリカ●本国放映:1985/05/05●監督:スティーブ・デ・ジャネット●製作:レビュー・スタジオ●脚本:スティーブ・デ・ジャネット/ウィリアム・フェイ●音楽:ベイジル・ポールドゥリス●原作:ロアルド・ダール「南から来た男」●時間:24分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/スティーヴン・バウアー(青年)/メラニー・グリフィス(若い女)/ジョン・ヒューストン(カルロス老人)/キム・ノヴァク(女)/ティッピ・ヘドレン(ウェートレス)●日本放映:1988/01/07●放映局:テレビ東京●日本放映(リ小指切断ゲーム1.jpg小指切断ゲーム6.jpg小指切断ゲーム5.jpg新・ヒッチコック劇場 5.jpgバイバル):2007/07/08●放映局:NHK-BS2(評価★★★☆)
ヒッチコック(ストーリーテラー)/メラニー・グリフィス/キム・ノヴァク(特別ゲストスター) 「新・ヒッチコック劇場 5 日本語吹替版 3話収録 AHP-6005 [DVD](「誕生日の劇物」「ビン詰めの魔物」「小指切断ゲーム」)

Man From The South (1985).jpg新・ヒッチコック劇場 小指切断ゲーム.jpg新・ヒッチコック劇場「南部から来た男」(1985)"Man From The South"(日本放送時のタイトル「小指切断ゲーム」)  
ALFRED HITCHCOCK PRESENTS, John Huston, Tippi Hedren, The Man From the South , 1985, Universal Television

The Man from the South
ロアルド・ダール劇場The Man from the South.jpg「The Man from the South」1.jpg「The Man from the South」2.jpg「The Man from the South」3.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第1話)/南から来た男●原題:Tales of the Unexpected -MAN FROM THE SOUTH●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/03/24●監督:マイケル・タクナー●脚本:ケビン・ゴールドスタイン・ジャクソン●原作:ロアルド・ダール「南から来た男」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ホセ・フェラー/マイケル・オントキーン/パメラ・スティーヴンソン/シリル・ルッカム/ケティ・フラド●日本放映:1980/04/19●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)

Dip In The Pool 02.jpg「ヒッチコック劇場(第103話)/●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 3 E 35-#113)A DIP IN THE POOL●制作年:1958年●制作国:アメリカ●本国放映:1958/06/01●監督:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:フランシス・コックレル●原作:ロアヒッチコック劇場 第一集 バリューパック.jpgヒッチコック劇場1-25_.jpgルド・ダール「プールでひと泳ぎ」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/キーナン・ウィン/フィリップ・バーネフ/ルイーズ・プラット/フェイ・レイ/ドゥリーン・ラング●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
「ヒッチコック劇場 第一集 バリューパック」「生と死の間」「ペラム氏の事件」「酒蔵」「もうあと1マイル」「賭」「神よ許し給え」所収
        
ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 dvd.jpgロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事/海の中へ02.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第8話)/海の中へ●原題:Tales of the Unexpected -A DIP IN THE POOL●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/05/19●監督:マイケル・タクナー●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「賭」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジャック・ウェストン/グラディス・スペンサー/マイケル・トラウトン/ジャナ・シェルドン/ポーラ・ティルブルック●日本放映:1980/06●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)
   
「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第12話)/見知らぬ乗客●原題:Tales of the Unexpected -GALLOPING FOXLEY●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/03/15●監督:クロード・ウィーサム●脚本:ロビ予期せぬ出来事 第二集 BOX.jpgン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「ギャ02見知らぬ乗客.jpgロッピング・フォックスリー」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョン・ミルズ/アンソニー・スティール/ポール・スパリアー/ジョナサン・スコット・テイラー●日本放映:1980/06●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
      
予期せぬ出来事 第二集 BOX [DVD]」(「永遠の名作」「見知らぬ乗客」「ママの面影」「或る夜の事件」「新案育児法」「ヒッチハイク」「父親になる日」「男の夢」「疑惑」「ハエとり紙」「骨董屋の結婚」「太りすぎに注意」)
        
「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第11話)/永遠の名作●原題:Tales of the Unexpected -SKIN●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:●1980/04/28●監督:ハーバート・ワイズ11 皮膚 Tales of the Unexpected - Skin(1980).jpg●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「首」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/デレク・ジャコビ/ルーシー・ガッテリッジ/ボリス・イザロフ/ドナルド・ピカリング/Teris Hebrew●日本放映:1980/06●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
Derek Jacobi/Lucy Gutteridge/Boris Isarov/Donald Pickering/Teris Hebrew
Derek Jacobi.jpgLucy Gutteridge.jpgBoris Isarov.jpgDonald Pickering.jpgTeris Hebrew  Tales of the Unexpected'(1980).jpg                        


     
   
          
                      
       
ヒッチコック劇場 第二集 (2).jpgPoison_AL_.jpg「ヒッチコック劇場(第124話)/毒蛇●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 4 E 1-#118)POISON●制作年:1958年●制作国:アメリカ●本国放映:1958/10/05●監督:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:ケイシー・ロビンソン●原作:ロアルド・ダール「毒」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/ウェンデル・コーリー/ジェームズ・ドナルド/アーノルド・モス/ドゥリーン・ラング●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
ヒッチコック劇場 第二集 (2) (ユニバーサル・セレクション2008年第5弾) 【初回生産限定】 [DVD]」【Disc2】「毒蛇」「殺人経験者」「バアン ! もう死んだ」
  
Tales of the Unexpected  poison 009.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第14話)/或る夜の事Tales of the Unexpected  poison 00.jpg●原題:Tales of the Unexpected -POISON●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/28●監督:グレアム・エヴァンズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「毒」●時間:23分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/アンドリュー・レイ/アンソニー・スティール/ジュディ・ギーソン/サイード・ジャフリー●日本放映:1980/07●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)
   
06首ジョン・ギールグッド01.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第6話)/●原題:Tales of the Unexpected -NECK●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/28●監督:クリストファー・06首ジョン・ギールグッド02.jpgマイルズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「首」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョーン・コリンズ/マイケル・オルドリッジ/ピーター・ボウルズ/ジョン・ギールグッド●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)

第41話 音響捕獲機The Sound Machine.jpg第41話 サウンドマシン  The Sound Machine 2.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第41話)/音響捕獲機●原題:Tales of the Unexpected -THE SOUND MACHINE●制作年:1981年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第三集.jpg放映:1981/05/17●監督:ジョン・ゴリエ●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「サウンドマシン」●時間:30分●出演:ハリー・アンドリュース/ジェームズ・ワーウィック●DVD発売:2006/09●発売元:JVD(評価★★★)
ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第三集 [DVD]」(「負け犬」「動かぬ証拠」「最高の同居人」「死者の悪口にご用心」「隠された悪意」「アンティークの家具」「音響捕獲機」「満ち潮」「望みすぎた女」「パーティ」「妻の遺産」「おとり捜査」)

The Blob
The Blob (1958).jpgマックィーンの絶対の危機_.jpg「マックイーンの絶対の危機(ピンチ)(人喰いアメーバの恐怖)」●原題:THE BLOB●制作年:1958年●制作国:アメリカ●監督:アービン・S・イヤワース・ジュニア●製作:ジャック・H・ハリス●脚本:ケイト・フィリップス/セオドア・シモンソン●撮影:トーマス・スパルディング●音楽:ラルフ・カーマイケル●原案:アービン・H・ミルゲート●時間:86分●出演:スティーブ・マックイーン/アニタ・コルシオ/アール・ロウ/ジョージ・カラス/ジョン・ベンソンTHE BLOB 1958es.jpgTHE BLOB 1958  .jpg/スティーヴン・チェイス/ロバート・フィールズ/アンソニー・フランク/ジェームズ・ボネット/オーリン・ハウリン●日本公開:1965/01●配給:アライド・アーティスツ(評価★★★)


Alfred Hitchcock Presents.jpgヒッチコック劇場00.jpgヒッチコック劇場01.jpgヒッチコック劇場_0.jpg■TVシリーズ「ヒッチコック劇場」Alfred Hitchcock Presents (CBS 1955.10.2~62.7.3)○日本での放映チャネル:日本テレビ(1957~63)声:熊倉一雄(アルフレッド・ヒッチコック)
Alfred Hitchcock Presents  

新・ヒッチコック劇場 dvd amazon.jpg新・ヒッチコック劇場 5.jpg新・ヒッチコック劇場 4.jpg■TVシリーズ「新・ヒッチコック劇場」Alfred Hitchcock Presents (NBC 1985.4.5~89.6.22)○日本での放映チャネル:テレビ東京(1985~87)声:熊倉一雄(アルフレッド・ヒッチコック)
           
Tales of the Unexpected  1979.jpgTales of the Unexpected.jpgロアルド ダール劇場 予期せぬ出来事 第二集 全4巻.jpg■TVシリーズ「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」Tales of the Unexpected (BBC 1979.3.24~88.5.13)○日本での放映チャネル:東京12チャンネル(現テレビ東京)(1980)/ミステリチャンネルなど

●「ロアルド ダール劇場 予期せぬ出来事」東京12チャンネルで1980年放映時のラインアップ(本国での全9シリーズ112作中)()内は放映時タイトル。
1 南から来た男 Man From the South [#1]
2 ヴィクスビー夫人と大佐のコート Mrs Bixby and the Colonel's Coat [#2]
3 ウィリアムとメリー(永遠の結婚) William and Mary [#3]
4 おとなしい凶器 Lamb to the Slaughter [#4]
5 女主人 The Land lady [#5]
6 首 Neck [#6]
7 暴君エドワード Edward the Conqueror [#7]
8 海の中へ(イチかバチか) A Dip in the Pool [#8]
9 天国へのエレベーター The Way Up to Heaven [#9]
10 永遠の名作 Skin [#11]
11 見知らぬ乗客 Galloping Foxley [#12]
12 ママの面影 Georgy Porgy [#18]
13 或る夜の事件 Poison [#14]
14 新案育児法 Royal Jelly [#10]
15 ヒッチハイク The Hitch-Hiker [#13]
16 父親になる日 Genisis and Catastorophe [#21]
17 男の夢 Mr Botibol's First Love [#22]
18 疑惑 The Umbrella Man [#20]
19 ハエとり紙 The Flypaper [#26]
20 骨董屋の結婚 The Ordery World of Mr. Appleby [#24]
21 太りすぎにご注意 Fat Chance [#15]
22 顔役 The Man at the Top [#25]
23 クリスマスに帰る Back for Christmas [#23]
24 風景画 A Picture of a Place [#27]
25 負け犬 The Stinker [#32]
26 動かぬ証拠 Shattorproof [#40]
27 最高の同居人 The Best of Everything [#38]
28 死者の悪口にご用心 Never Speak Ill of the Dead [#42]
       

 【1957年新書化[ハヤカワ・ポケットミステリ(田村隆一:訳)]/1976年文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫(田村隆一:訳)]/2013年再文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫(田口俊樹:訳)(Ⅰ・Ⅱ)]】

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面白かったが、唐突なラストのドンデン返しが、どっちの解釈をしてもやや中途半端で惜しい。

女彫刻家 ミネット ウォルターズ 文庫.jpg女彫刻家 ミネット ウォルターズ.png   ミネット ウォルターズ.jpg ミネット ウォルターズ(1949- )
女彫刻家 (創元推理文庫)

 1995 (平成7) 年度「週刊文春ミステリー ベスト10」(海外部門)第1位。1996(平成8) 年「このミステリーがすごい!」(海外編)第1位。

 母と妹を切り刻むという凄惨かつ猟奇的な殺人事件を起こしたかどで、今は無期懲役囚として服役中の女オリーヴ・マーチン。その凶悪な犯行にも拘らず、精神鑑定の結果は正常で、しかも罪を認めて一切の弁護を拒んでいる。フリーライターのロザリンド(ロズ)・リーは、エージェントに言われて彼女についての本を書くことになるが、オリーヴと何度も接見し、また事件の周辺の人物への取材を進めるうちに、事件そのものに違和感を覚えるようになり、事件が本当に彼女の犯行によるものだったのか疑念を抱き始める―。

The Sculptress Minette Walters.jpg 1993年に原著刊行の、英国の女流推理作家ミネット・ウォルターズ(Minette Walters、1949- )の長編第2作(原題:The Sculptress )で、アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)長編賞受賞作でもある作品。

"The Sculptress"

 フリーライターのロズが、次第にオリーヴとの間で気持ちを通い合わせ、事件の真相を独自に調査して、最後は彼女を無罪へと導く―と思ったら...意外や意外、大岡昇平の『事件』やレイモンド・ポストゲートの『十二人の評決』を想起させる結末でした。

 ロズが、複雑な人物相関を読み解いていく過程はスリリングで、その過程で知り合った"ハードボイルド"タッチの元刑事ハルとの間に恋愛感情が芽生えていくプロセスもいいです。

 そうした「ロズ釈放」に向けての歩みが丁寧に描かれているのに対し、僅か1ページのエピローグの、しかもその最後数行での暗示的ドンデン返しはあまりに唐突で、余韻を感じさせる暇もないといった印象です。でも、その暗示をまともに受けると、それまでの展開に多々不整合があるような気もします。解説者ですら、このエピローグ、本当に必要なのかどうかは読者の判断に委ねるとしています(この解説のやや投げ遣りなトーンに疑問を感じる人もいるのではないかと思われるが)。

 そう言えば、犯人の、死体を「人間の形に並べて台所に血まみれの抽象画を描いた」という犯行後の行為については何も解明されていなかったなあ。おかしいとは思ったんだけど、世間的にはロズの活躍で事件は"新たな決着"をみたようになっているのがどうも解せないと言えば解せません。

 面白かっただけに、どっちの解釈をしてもやや中途半端という感じの結末がやや惜しいか。

女彫刻家 ミネット ウォルターズ dvd.jpg女彫刻家02.jpg 1996年にイギリスでTVドラマ化され、日本でもビデオがリリースされていますが、個人的には未見です。

女彫刻家【字幕版】 [VHS]
ポーリーン・クイーク/キャロライン・グッダール 出演

【2000年文庫化[創元推理文庫]】

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青春ハードボイルド・文芸ミステリであると同時に、ビルドゥングスロマンでもある。

『解錠師』.jpg解錠師 ハヤカワ・ポケット・ミステリ.jpg  解錠師 ハヤカワミステリ文庫.jpg 2解錠師 ハヤカワミステリ文庫.jpg  スティーヴ・ハミルトン.jpg Steve Hamilton
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)』『解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

The Lock Artist.png 2012(平成24) 年度「週刊文春ミステリー ベスト10」(海外部門)第1位。2013 (平成25) 年「このミステリーがすごい!」(海外編)第1位。早川書房の「ミステリが読みたい! 2013年版」(海外編)第2位。

 8歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイクだが、彼には。絵を描くこと、そしてどんな金庫の錠前も解錠することが出来る才能があった。孤独な彼は錠前を友に成長し、やがて高校生となったある日、偶然からプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師になっていくと同時に、犯罪の世界にどっぷり引き摺り込まれていく―。

"Lock Artist"

 IBM本社勤務社員との二足の草鞋を履く作家スティーヴ・ハミルトン(Steve Hamilton)が2009年に発表した長編小説(原題:The Lock Artist)で、物語は、刑務所に服役中の主人公のマイケルの独白という形で始まり、彼の半生が主に二つの時間―ポケベルで呼び出され、全米各地の泥棒たちに金庫破りの技術を提供して過ごす解錠師としての日々と、伯父に引き取られてミシガン州ミルフォードで暮らし始め、若き解錠師になるまでの日々―を行き来しながら進行し、その両方に、マイケルが高校生の時に知り合った恋人のアメリアとの関係が絡んできます。

 誰かがこの作品を"青春ハードボイルド"と呼んでいましたが、まさにそんな感じ。エルモア・レナードやドン・ウィンズロウのようなハードボイルド・タッチでありながら、10代の若者を主人公にした青春小説でもあり、また、マイケルの細やかな心の動きを精緻に描いている点では、文芸小説的でもあります。

 アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)最優秀長編賞、英国推理作家協会賞スティール・ダガー賞の英米2冠を受賞した作品で、この作品の前年に同じくエドガー賞を受賞をした、ジョン・ハートの『ラスト・チャイルド』(2010年/ハヤカワ・ポケット・ミステリ)(こちらも英国推理作家協会賞との2冠)なども、少年を主人公として"文芸"っぽい感じだったことを思い出しました。『ラスト・チャイルド』も、「週刊文春ミステリー ベスト10」(海外部門)で1位に選ばれており(「このミステリーがすごい」は5位)、殆ど純文学と言っていいローリー・リン・ドラモンドの『あなたに不利な証拠として』(2006年/ハヤカワ・ポケット・ミステリ)も、「週刊文春ミステリー ベスト10」「このミステリーがすごい!」の両方で1位。日本にも、こうした"文芸ミステリ"のような作品を好む人が結構いるのだなあと。

 但し、この作品においては、主人公が身の危険に晒される場面が多く登場し、特に後半は凄惨な場面も多く、一歩間違えば命を失う綱渡りの繰り返しになっていってハラハラさせ、一方で、終盤には、彼の口がきけなくなったトラウマの元となった事件について明かされていき、サスペンス感も充分にあります。

 社会の暗部、犯罪の世界にどっぷり染まった絶望的な状況で、自分なりに懸命に生きようともがく主人公の姿が、抑制されたトーンで描かれているだけに、じわーっと胸に迫ってくるものがあり、また、彼の唯一最大の武器である解錠のテクニックがかなり詳細に記されていて、リアリティ溢れるものとなっています。

 犯罪の場面が多く、仲間の裏切りといった局面も出てくる分、主人公のある意味ブレない生き方は爽快でもあり、読後感も悪くありませんでした。
 本作品は全米図書館協会アレックス賞も受賞していて、これはヤングアダルト世代に読ませたい一般書に与えられるものですが、確かに少年の成長物語としても読める点では"ビルドゥングスロマン(教養小説)"的要素もあるかも。

 となると、この作品、青春ハードボイルド・文芸ミステリであると同時にビルドゥングスロマンであるということになるね。

【2011年新書化[ハヤカワ・ポケット・ミステリ]/2013年文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫]】

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「不全家庭」の再生。環境に負けない少年の心意気が健気。ミステリと言うより"文学作品"的。

ラスト・チャイルド ポケミス.jpg ラスト・チャイルド ポケミス2.jpg  ラスト・チャイルド 上.jpg  ラスト・チャイルド 文庫上.jpg ラスト・チャイルド文庫下.jpg 
ラスト・チャイルド (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)』『ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)』『ラスト・チャイルド(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ジョン・ハ―ト.jpg 2010 (平成22) 年度「週刊文春ミステリーベスト10」(海外部門)第1位作品であり、早川書房の「ミステリが読みたい! 2011年版」(海外編)でも第1位。

 13歳の少年ジョニーの家庭は、1年前に起きた双子の妹アリッサの誘拐・行方不明事件のために一変し、共に優しかった両親は、父親はやがて謎の失踪を遂げ、母親は薬物に溺れるようになっていた。ジョニーは、妹の無事と家族の再生を願って、昼夜を問わない危険な調査にのめり込んでいくが―。

 ミステリ界の"新帝王"との呼び声も高いジョン・ハート(John Hart、1965-)が2009年に発表した作品(原題:The Last Child)であり、「アメリカ探偵作家クラブ賞」最優秀長篇賞と「英国推理作家協会賞」最優秀賞スリラー賞のW受賞作とのこと。また、「早川書房創立65周年&ハヤカワ文庫40周年記念作品」ということで(何だか"肩書"が長いが)、ハヤカワ・ミステリ文庫とほぼ同時期に、ポケット・ミステリからも刊行されるという早川書房の力の入れようです。

 実際、日本でも、各ミステリ・ランキングで上位に入るなど評判も良かったようで、自分自身も読んでみて感動しました。

 家族が崩壊して「不全家庭」状態になっているにも関わらず、そうした環境に押しつぶされることなく、自らを律し、家族の再生という目的意識を持って、親友と共に妹の行方を探し続ける少年の心意気が健気に感じられました。

 全体としてハードボイルド・タッチな中にも、登場人物の心理描写などにおいて詩的な表現が入り交ざったりして、ミステリと文学作品の中間のようなトーンであり、作者自身が「(テーマとしての)家族崩壊は豊かな文学を生む土壌である」と述べているそうです。

 前半部でジョニーの目の前で殺人事件が起き、被害者が死に際に「あの子を見つけた」というダイイング・メッセージを残したため、妹の生存に希望を抱いた少年は、犯罪歴のある近隣の住人たち(これが分かるというところがアメリカ社会らしい)を日々監視して過ごしますが、ここから物語の展開は遅々として進まず、ミステリとしては、必ずしもテンポはいいものではないように思えました。

 一方、人物描写はよく出来ていて、とりわけ殺人事件の捜査にあたるハント刑事の、少年の妹の誘拐事件を解決出来ていないという悔恨の情を抱え、少年の母親への愛情にも似た思い入れがありながらも、少年の行動を手掛かりに、上司の妨害や嫌がらせにも屈せず事件の核心に迫ろうとする姿勢には、共感を覚えました(自分の事件への深入りを、かつての少年の妹の誘拐事件からくる偏りによるものではないかと自問するなど、ストイック且つ自省的なところもいい)。

 「家族崩壊」は少年の家庭だけのことではなく、ハント刑事も息子とうまくいっておらず、またジョニーと探索行動を共にするジャックも、親兄弟とうまくいっていません。
 途中で発覚した事件(こっちの方がより大事件?)は小児性愛者によるものであるし、ある意味、アメリカの社会や家庭が抱えている問題を扱った"社会派"系でもあるなと、途中から、半分ミステリとして読むことを自分の中で抑えてしまった感もありましたが、読み終えてみて、これらの親子関係は実は事件の伏線でもあったんだなあと。

 但し、"予想通り"通常のミステリにおけるカタルシスが期待出来るような作品ではなく、むしろ、ずっしり重い気分にさせられる話でした(純粋にミステリとして見た場合の評価は★3つかも知れない)。
 そうした中で、悲惨な事実を知ってもそこから立ち直り、"お墓参り"をしたり、親友に"仲直り"の手紙を書いたりするジョニー少年の、あくまでも前向きな姿勢が"救い"であるような、そんな作品でした(少年1人にこれだけのものを負わせちゃっていいのかなあ)。

 【2010年新書化[ハヤカワ・ポケット・ミステリ]/2010年文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫(上・下)]】 

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非情さと人間臭さを併せ持ったスパイ像。ひと癖ありそうなドナルド・サザーランド向きだった?

針の眼.jpg 針の眼 創元推理文庫.jpg 針の眼 dvd.jpg 針の眼 映画チラシ.jpg  鷲は舞いおりた_.jpg
針の眼 (ハヤカワ・ノヴェルズ)』['80年]『針の眼 (創元推理文庫)』['09年]「針の眼 [DVD]」/映画チラシ 「鷲は舞いおりた [DVD]

針の眼 新潮文庫.jpg 第2次世界大戦の最中、英国内で活動していたドイツの情報将校ヘンリー・フェイバー(コードネーム"針")は、連合軍のヨーロッパ進攻に関する重大機密を入手、直接アドルフ・ヒトラーに報告するため、英国陸軍情報部の追跡を振り切り、Uボートの待つ嵐の海へ船を出したが、暴風雨の影響で離れ小島に漂着してしまう―。

針の眼 (新潮文庫)』['96年]

針の眼 .jpg 1978年にイギリスの作家ケン・フォレット(Ken Follett)が発表したスパイ小説で(原題:The Eye of the Needle)、1979年「アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)」を受賞した作品。この人は『大聖堂』以来、歴史小説家の趣きがありますが、この作品でエドガー賞などを受賞し、『トリプル』(Triple)、『レベッカへの鍵』 (The Key to Rebecca)と相次いで発表していた頃は、米国のロバート・ラドラム(1927-2001)に続くエスピオナージュの旗手という印象でした。

 この作品には相変わらず根強いファンがいるようで、集英社文庫、新潮文庫にそれぞれ収められ、'09年には創元推理文庫からも新訳が出たり、 映画化作品がWOWOWでハイビジョン放送されるなどしていますが、もともと原文が読み易いのではないでしょうか。畳み掛けるようなテンポの良さがあります。

ジャッカルの日 73米.jpg スパイの行動を追っていくという点では、同じ英国の作家フレデリック・フォーサイスの『ジャッカルの日』と似て無くもないし、『ジャッカルの日』を読む前からドゴールが暗殺されなかったのを知っているのと同じく、連合軍の欧州侵攻の上陸地点がカレーであるかのように見せかけて実はノルマンディだという"針"ことヘンリーが掴んだ"機密情報"が、結局ヒトラーにもたらされることは無かったという既知の事実から、彼が目的を果たすことは無かったということは事前に察せられます。

針の眼 映画eye-of-the-needle.jpg 但し、そのプロセスがやや異なり、マシーンのように非情に行動する"ジャッカル"に対し、ヘンリーは、同じく非情な人物ではあるものの、流れついた島の灯台守の夫婦に世話になるうちに、その妻と"本気"の恋に落ちてしまうという人間臭い設定になっています(夫針の眼 洋モノチラシ.jpgが下半身不随で、妻は欲求不満気味だった?)。そして、そのことが結局は、彼が任務を遂行し得なかった原因に―。

ドナルド・サザーランド in「針の眼」(1981)

 '81年にリチャード・マーカンド監督によって映画化され、ヘンリー役がドナルド・サザーランド(Donald Sutherland、1935‐)というのには当初は違和感がありましたが、実際に映画を観てみたら、結局は向いていたかもしれないと思いました。

 このひと癖もふた癖もありそうな人物を演じるのが上手いカナダ出身の俳優は、ロバート・アルトマン監督の「M★A★S★H」('70/米)からフェデリコ・フェリーニ監督の「カサノバ」('76年/伊)まで幅広い役柄をこなし、英国のジャク・ヒギンズ(1929-2022/92歳没)が1975年に発表したベストセラー小鷲は舞い降りた 完全版.jpg鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)_.jpg説『鷲は舞い降りた』('81年/ハヤカワ文庫NV)の映画化作品でジョン・スタージェス監督の遺作となった「鷲は舞いおりた」('76年/英)にも戦争スパイ役で出ていました(同じ年に「カサノバ」と「鷲は舞いおりた」というこのまったく毛色の異なる2本の作品に出ているというのもスゴイが)。

鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)』('97年改版版)
鷲は舞い降りた 完全版 (Hayakawa Novels)』 ('92年)

 「鷲は舞いおりた」は、原作『鷲は舞い降りた』は、第二次世界大戦中の英国領内にある寒村を舞台に、保養地滞在中の英国首相相ウィンストン・チャーチルを拉致しようとするナチス親衛隊長ヒムラーによる「イーグル計画」(架空?)という特殊任務を受けたナチス・ドイツ落下傘部隊の冒険を描いたもので、英米において発売直後から約6か月もの間ベストセラーに留まり続け、当時の連続1位記録を塗り替えたという作品であり、発表の翌年に映画化されたことになります。鷲は舞いおりた 00.jpg鷲は舞いおりた_.jpg鷲は舞いおりた サザーランド.jpgドイツのパラシュート部隊の精鋭を率いるシュタイナーを演じたマイケル・ケインが主役で、ドナルド・サザーランドの役どころは、部隊に先んじて英国に潜入する元IRAのテロリストで現大学教授のリーアム・デヴリン。スパイである男性(デヴリン)が潜入先で地元の女性と恋に陥るところが「針の眼」と似ていますが、シュタイナーの部隊の人間がどんどん死んでいく(計画を指揮したラードル大佐(ロバート・デュヴァル)も失敗の責を取らされ銃殺される。但し、ヒトラーの命令によ鷲は舞いおりた 11.jpg鷲は舞いおりた .jpgる形をとっているが、元々からヒムラー(ドナルド・プレザンス、本物そっくり!)の独断的計画であったことが示唆されていて、ヒムラー自身は何ら責任を取らない)という状況の中で、愛に目覚めたデヴリンは最後に生き残ります(ドナルド・サザーランドについて言えば、「針の眼」とちょうど逆の結末と言えるかもしれない。ケン・フォレットとジャック・ヒギンズの作風の違いか?)。

「鷲は舞いおりた」(1976)出演:マイケル・ケイン/ドナルド・サザーランド/ロバート・デュヴァル

カサノバ 1シーン.jpgカサノバ サザーランドs.jpg 「カサノバ」は全編スタジオ撮影で、巨大なセットがカサノバの人生の虚しさとだぶっていると言われているそうです(フェリーニ監督は彼の人生を演技的と捉えたのか)。カサノバ(ドナルド・サザーランド)が自らの強壮ぶりを誇示する"連続腕立て伏せ"シーンなどは凄かったというか、むしろ悲壮感、悲哀感があった...(ある精神分析家によれば、好色家には、"女性なら誰とでも"という「カサノバ型」と"高貴な女性を落とす"ことに喜びを感じる「ドンファン型」があるそうだが、何れもマザー・コンプレックスに起因するそうな)。

「カサノバ」.jpgカサノバ フェリーニ.jpg この映画のカサノバ役は、ロバート・レッドフォードをはじめ多くの自薦他薦の俳優が候補にあがったようですが、「最もそれらしくない風貌」をフェリーニ監督に買われてドナルド・サザーランドに決定したそうです。

ドナルド・サザーランド in「カサノバ」(1976)

Donald Sutherland and Kate Nelligan.jpg 「針の眼」の映画の方は、「カサノバ」及び「鷲は舞いおりた」の5年後に撮られた作品ですが、ここでのサザーランドは、冷徹非情ながらもやや"もっそり"した感じもあって、それでいて目付きは鋭く(こういう病的に鋭い目線は、後のロン・ハワード監督の「バックドラフト」('91年/米)の放火魔役に通じるものがある)、半身不随の灯台守の夫を自身の正体を知られたために殺害する場面などは、(相手を殺らなければ自分が殺られるという状況ではあるが)"卑怯者ぶり"丸出しで、普通のスパイ映画にある"スマートさ"の微塵も無く、それが却ってリアリティありました。

針の眼 シーン2.jpg ケイト・ネリガン(この人もカナダ出身で演技を学ぶためにイギリスに渡った点でドナルド・サザーランドと重なる)が演じる灯台守の妻がヘンリーの正体を知り、突然愛国心に目覚めたため?と言うよりは、ヘンリーの行為を愛情に対する裏切りととったのでしょう、「何もかも戦争のせいだ。解ってくれ」と弁解する彼に銃を向けるという、直前まで愛し合っていた男女が殺し合いの争いをする展開は、映像としてはキツイものがありましたが、それだけに反戦映画としての色合いを強く感じました。

ケイト・ネリガン in「針の眼」
       
ダーティ・セクシー・マネー.jpg 因みに、ドナルド・サザーランドの息子のキーファー・サザーランド(英ロンドン出身)も俳優で、今は映画よりもTVドラ24 -TWENTY FOUR-ド.jpgマ「24-TWENTY FOUR-」のジャック・バウアー役で活躍していますが(どの場面を観ても、いつも銃と携帯電話を持って、無能な大統領補佐官らに代わって大統領から直接指令を受け、毎日"全米を救うべく"駆け回っていた)、父親ドナルド・サザーランドの方も、「ダーティ・セクシー・マネー」の大富豪役などTVドラマで最近のその姿を観ることができるのが嬉しいです(相変わらず、どことなく不気味さを漂わせる容貌だが)。キーファーが自身の演じるジャック・バウアーの父親役として「24」への出演を依頼した際、ドナルドは「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」('89年/米)におけるショーン・コネリーとハリソン・フォードのような親子関係ならOKだと答えましたが、息子を殺そうとする役だと聞いて断ったということです。
 
針の眼ード.jpg針の眼 ド.jpg「針の眼」●原題:EYE OF THE NEEDLE●制作年:1981年●制作国:イギリス●監督:リチャード・マーカンド●製作:スティーヴン・フリードマン●脚本:スタンリー・マン●撮影: アラン・ヒューム●音楽:ミクロス・ローザ●時間:154分●出演:ドナルド・サザーランド/ケイト・ネリガン/イアン・バネン/クリストファー・カザノフ/フィリップ・マーティン・ブラウン/ビル・ナイン●日本公開:1981/10●配給:ユナイテッド・アーティスツ(評価:★★★☆)

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カサノバ HDニューマスター版.jpg「カサノバ」●原題:IL CASANOVA DI FEDERICO FELLINI●制作年:1976年●制作国:イタリア●監督:フェデリコ・フェリーニ●製作:アルベルト・グリマルディ●脚本:フェデリコ・フェリーニ/ベルナルディーノ・ザッポーニ●撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ●音楽:ニーノ・ロータ●時間:154分●出演:ドナルド・サザーランド/ティナ・オーモン/マルガレート・クレマンティ/サンドラ・エレーン・アレン/カルメン・スカルピッタ/シセリー・ブラウン/クラレッタ・アルグランティ/ハロルド・イノチェント/ダニエラ・ガッティ/クラリッサ・ロール●日本公開:1980/12●配給:フランス映画社●最初に観た場所:有楽町スバル座(81-02-09)(評価:★★★☆)

鷲は舞いおりた [Blu-ray]
「鷲は舞いおりた」09.jpg鷲は舞いおりた b.jpg鷲は舞い降りた9_2.jpg「鷲は舞いおりた」●原題:THE EAGLE HAS LANDED●制作年:1976年●制作国:イギリス●監督:ジョン・スタージェス●製作:ジャック・ウィナー/デイヴィッド・ニーヴン・ジュニア●脚本:トム・マンキーウィッツ●撮影:アンソニー・B・リッチモンド●音楽:ラロ・シフリン●原作:ジャック・ヒギンズ「鷲は舞いおりた」●時間:123分(劇場公開版)/135分(完全版)●出演:マイケル・ケイン/ドナルド・サザーランド/ロバート・デュヴァル/ジェニー・アガター/ドナルド・プレザンス/アンソニ鷲は舞いおりた ケイン サザーランド.jpg鷲は舞い降りた ロバート・デュヴァル.jpg鷲は舞い降りた D・プレザンス.jpgー・クエイル/ジーン・マーシュ/ジュディ・ギーソン/トリート・ウィリアムズ/ラリー・ハグマン/スヴェン=ベッティル・トーベ/ジョン・スタンディング●日本公開:1977/08●配給:東宝東和●最初に観た場所:池袋テアトルダイア (77-12-24)(評価:★★★☆)●併映:「ジャッカルの日」(フレッド・ジンネマン)/「ダラスの熱い日」(デビッド・ミラー)/「合衆国最後の日」(ロバート・アルドリッチ)(オールナイト)

ロバート・デュヴァル(ラードル大佐)/ドナルド・プレザンス(ナチス親衛隊長ヒムラー)

24 (2001)
24 (2001).jpg24 TWENTY FOUR.jpg「24 -TWENTY FOUR-」24 (FOX 2001/11~2009) ○日本での放映チャネル:フジテレビ(2004~2010)/FOX
24 -TWENTY FOUR- ファイナル・シーズン DVDコレクターズBOX

Dirty Sexy Money.jpg「ダーティ・セクシー・マネー」Dirty Sexy Money (ABC 2007/09~2009) ○日本での放映チャネル:スーパー!ドラマTV(2008~)
Dirty Sexy Money: Season One [DVD] [Import]

 

 【1983年文庫化[ハヤカワ文庫(鷺村達也:訳)]/1996年再文庫化[新潮文庫(戸田裕之:訳)]/2009年再文庫化[創元推理文庫(戸田裕之:訳)]】

「●こ パトリシア・コーンウェル」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1028】コーンウェル 『証拠死体
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ケイとマリーノのやりとりがいい。テレビドラマに「BONES」のようなフォロアーを生んだ。

検屍官 (講談社文庫) ,200.jpg検屍官.jpg BONES.jpg 女検死官 天海1.jpg
検屍官 (講談社文庫)』['92年]/ "BONES"/ドラマ「女検死官」天海祐希/内藤剛志['00年]
文庫新装版

Postmortem.jpg 1992 (平成4) 年度「週刊文春ミステリー ベスト10」(海外部門)第1位。 

 1990年に発表されたパトリシア・コーンウェルの「検屍官シリーズ」の第1作であり(原題は"Postmortem")、主人公である40歳の女性検屍官ケイ・スカーペッタが、バージニア州リッチモンドで起きた女性連続殺人事件の犯人に迫るというストーリー(但し、シリーズの途中で、ケイの年齢は30代に改変されている)。

 1991年「アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)」の処女長編賞並びに「英国推理作家協会(CWA)賞」のジョン・クリーシー・ダガー賞(新人賞)を受賞した作品ですが、文庫で500ページを一気に読ませる力量は、その後のシリーズの人気を予感させます。ミステリとしての面白さもさることながら、女性主人公の魅力で引っぱられる感じがしますが、それだけで次作へ次作へと読み進みました。

 捜査に積極的に加わり捜査方針を左右する発言権を持つ検屍長官というのは超エリート、つまり彼女はスーパー・キャリアウーマンといったところでしょうが、彼女の一人称で語られる文章は、その冷静で知的な分析力だけでなく、人間的な感情の起伏をよく表していて、組織内での女性キャリアゆえのストレスや不安から幼い頃から抱えるコンプレックスまですべて吐露されていて、かえって親近感を覚えます。

 個人的には、部長刑事ピート・マリーノとの皮肉やユーモアに富んだやりとりが好きで、マリーノは時にセクハラともとれる言動があるが、実のところケイを大いに助けていて、イタリア系同士ということもあり、やはりこの2人、実は気が合っているということか。

 リッチモンドは当時、アメリカ随一の犯罪都市だったそうですが、地元新聞の警察担当記者として犯罪レポートを書いた著者の経歴が、物語のリアリティを高めていて、さらにこのデビュー作には、検屍局でコンピュータ・プログラマーとして勤務したという著者の経歴がよく生かされていると思いました。

 一方、事件が複雑なわりにはオチがあっさりしている傾向が、この作品も含めこのシリーズにあり、15年間で14作刊行されたのは、よく続いた方と見るべきかもしれません。2007年には ケイ・スカーペッタ主人公のシーリズ復活作『異邦人』が発表されています。

「Law & Order:性犯罪特捜班」   「BONES」
LAW & ORDER: 性犯罪特捜班.jpgBones (FOX).jpg テレビドラマなどに明らかにこのシリーズの影響を受けていると思われるフォロアーを多く生み、「Law & Order:性犯罪特捜班」(旧バージョンからスピンアウトして女性が主役になった)や「BONES」(こちらも有能な女性法人類学者が主人公で、殺人捜査班の男性捜査官と組んで仕事をする)、更には「女検死医ジョーダン」なんていうのも作られました。

「女検死官」
女検死官 天海2.jpg 日本でも2000年7月にフジテレビ系列の「金曜エンタテイメント」枠で「女検死官」という2時間単発ドラマが作られ、天海祐希が米国帰りの女性検死官を演じました(因みに、日本では検視(死)を担当する警察官のことを「検視官」と呼称している。「検視官」はあくまで組織上の名称であり、「検視官」や「検死官」といった資格が存在するわけではない)。FBI研修終了後、その優秀さが北海道警察本部長に認められ、北海道警の特別検死官として赴任した主人公(職場は道警本部別館にある法医学教室分室)が、ある殺人事件の被害者の死体に殺人者からのメッセージが隠されていることに気づき、事件解決に導くというものでした(主人公の元恋人で、商社マンから転職し、中央署の私服刑事になっている男を内藤剛志が演じている)。

女検死官 天海yuki.jpg内藤剛志-s.jpg 主演の天海祐希は、宝塚退団当初は宝塚時代のイメージから女優としての個性を確立するのに苦労したものの、後に女刑事や女弁護士などの役で生来の存在感を示すようになり、2004年以降は単独で単発及び連続ドラマの主演を務めることが多くなっていきますが、今思えばその足掛かりとなったドラマだったかもしれません。また、内藤剛志もこの年['00年]の10月-12月にテレビ朝日の「科捜研の女」シリーズSEASON2からプロファイラーの武藤要として初初登場しており(第5シリーズ('04年)より役を変え、京都府警捜査一課刑事の土門薫として再登場)、彼にとっても一つの契機となった作品かもしれません。

Law & Order:性犯罪特捜班 dvd.jpgLaw & Order:Special Victims Unit.jpgLaw & Order:性犯罪特捜班 2007.jpg「Law & Order:性犯罪特捜班」Law & Order: Special Victims Unit (NBC 1999/09~2010/05)○日本での放映チャネル:FOX CRIME

BONES3.jpg「BONES」7.jpg「BONES」Bones (FOX 2005/09~ ) ○日本での放映チャネル:FOX (2006~2015/09)

  
 
   

女検死官 天海3.jpg女検死官」-內藤剛志.jpg「女検死官」●演出:星田良子●プロデューサー:中山和記●制作:フジテレビ/共同テレビジョン●脚本:鎌田敏夫●出演:天海祐希/内藤剛志/仲谷昇/細川ふみえ/小野武彦/水島かおり/石井トミコ/鶴田忍/伊藤明賢/清水ひとみ●放映:2000/07/21(全1回)●放送局:フジテレビ

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傭兵部隊の男たちをリアルに描く。映画でも原作の"男の美学"をキッチリ描いて欲しかった。

戦争の犬たち 上.jpg 戦争の犬たち下.jpg  戦争の犬たち.jpg The Dogs of War (1980)2_.jpg ジャッカルの日2.jpg Jakkaru no hi (1973)2_.jpg
戦争の犬たち (上) (角川文庫)』『 (下) (角川文庫)』「戦争の犬たち [DVD]」 「ジャッカルの日 [DVD]
戦争の犬たち (海外ベストセラー・シリーズ)
戦争の犬たち (海外ベストセラー・シリーズ)_.jpgTHE DOG OF WAR 1974.jpg 英国の富豪が、西アフリカ某国に傭兵部隊を送り込んで独裁政権打倒クーデターを起こし、傀儡政権を樹立しようとするが、その真の目的は鉱物資源の採掘権を得るためである。傭兵隊長のシャロンは、傭兵となる腕ききの男たちを集めるが、シャロンも含め、傭兵となって危険な地に赴く男たちの目的は、多額の報酬だけなのだろうか―。

 1974年に発表されたイギリス人作家フレデリック・フォーサイスの第3作で(原題"The Dogs of War")、1971年発表され1972年「アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)」を受賞した出世作『ジャッカルの日(The Day of the Jackal)』('73年・角川書店)、1972年発表の第2作『オデッサ・ファイル(The Odessa File)』('74年・角川書店)に続くものです。

ジャッカルの日 (1973年) .jpgジャッカルの日.jpg 『ジャッカルの日』では暗殺の準備に明け暮れるスナイパーをリアルに描きましたが、目的の達成に向けて優雅かつ周到に計画を進めて行く"ジャッカル"ことスナイパーに対し、計画を察知したフランスの官憲側のちょっと見かけは野暮な警視が、スナイパーの動向を何度も見失いながらも、ギリギリのところで急速に彼との距離を詰めいく様が、手に汗握るタッチで描かれていました(評価 ★★★★)。

 本作『戦争の犬たち』では、クーデターの準備に明け暮れる傭兵の"日常"が、これもまた丹念に描かれていて、内外の政治や経済を巡る権謀術数もあり、う〜ん、リアルではあるが、前半は少し地味だなあと。でも、読み進むうちに、これもまたどんどんハマっていくから、やはり上手いんだろうなあ、この作家。

「戦争の犬たち」0.jpgThe Dogs of War.jpg フォーサイスは実際に、赤道ギニアの独裁政権打倒クーデターを、私費を投じて(『ジャッカルの日』が世界的ベストセラーになり、大金持ちになっていた)傭兵部隊を結成したりして支援もしたそうで、その際に「傭兵」に志願する人間というものに関心を抱いたのではないでしょうか。

第四の核.jpg フォーサイスの原作で映画化されたものは、作品の内容と主人公の配役がマッチしている気がします。「ジャッカルの日」('73年/米)でスナイパーを演じたエドワード・フォックスや、「オデッサ・ファイル」('74年/米)のルポライター役のジョン・ヴォイト、さらには「第四の核」('86年/英、劇場未公開)でソ連工作員を演じたピアーズ・ブロスナン(ボンド俳優)までも、どういうわけかピッタリはまっていました。

THE DOG OF WAR.jpg「戦争の犬たち」1.jpg そして「戦争の犬たち」('80年/米)のクリストファー・ウォーケンも、彼自身は良い、と言うか、頑張ってはいるのですが...。

 原作の静けさの中でのラストは衝撃的であり、"男の美学"と言うとやや陳腐ですが、シャロンが傭兵部隊に身を投じた気持ちを解するヒントが示されています。それが、映画になると、色恋に破れた男みたいな感じで、しかもラストは原作を捻じ曲げたドタバタ劇で少々ガッカリさせられました。

「ジャッカルの日」パンフレット
「ジャッカルの日」1.jpgジャッカルの日 パンフ.jpg フォーサイスの原作の映画化作品で、最も成功しているのは、やはりフレッド・ジンネマン監督の「ジャッカルの日」だと思いますが、フランスで'60年代初め、アルジェリア戦争を終結させてしまったシャルル・ド・ゴール大統領の暗殺を企てる戦争推進派のテロリストグループがあったことは事実であり、"ジャッカル"も実在のテロリスト「カルロス」(通称、カルロス・ザ・ジャッカル)がモデルとも言われています。

「ジャッカルの日」3.jpg 当時、フランスに特派員として駐在していたフォーサイスの経験がよく反映されている一方、巧みに虚構を織り交ぜていて、こうしたやり方は『戦争の犬たち』に通じるものがありますが、この小説でも、暗殺者はイギリス人"らしい"ということになっていて、エドワード・フォックスは"小説のジャッカル"のイメージにピッタリ(本物のカルロス・ザ・ジャッカルはベネズエラ人)。結局、彼が何者だったのかは、小説でも映画でも明かされませんが、フランス人でなかったことは確かで、フランス式儀礼の仕方を知らなかったがために...。 

 映画を観て思ったのですが、ジャッカルって、クルマを事故ったり、女性をナンパしたり、(プロとしてどうかというもはあるが)結構人間臭く、こうした部分が、観る者を彼に感情移入させて、それが、ラストの無名墓地のシーンの哀切さに繋がるのだろうなあ、と。

「戦争の犬たち」('80年/米).jpg戦争の犬たち .jpg「戦争の犬たち」●原題:THE DOG OF WAR●制作年:1980年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・アー中野名画座.jpgヴィン●製作:ノーマン・ジュイソン他●脚本:ゲイリー・デヴォア他●音楽:ジョフリー・バーゴン●原作: フレデリック・フォーサイス 「戦争の犬たち」●時間:163分●出演:クリストファー・ウォーケン/トム・ベレンジャー/コリン・ブレークリー/ヒュー・ミレース中野駅南口.jpgnakano.jpg/ポール・フリーマン/ジャン・フランソワ・ステヴナン/ジョージ・W・ハリス●日本公開:1981/03●配給:ユナイト映画 ●最初に観た場所:中野名画座 (81-09-05)(評価★★★) 中野名画座 中野駅南口駅前ロータリー地下(80席) 1989(平成元)年8月27日閉館。
菅野 正 写真展 「平成ラストショー hp」より

Jakkaru no hi (1973)
Jakkaru no hi (1973).jpg
「ジャッカルの日」2.jpgジャッカルの日 73米.jpg「ジャッカルの日」●原題:THE DAY OF THE JACKAL●制作年:1973年●制作国:イギリス/フランス●監督:フレッド・ジンネマン●製作:ジョン・ウォルフ●音楽:ジョルジュ・ドルリュー●原作:フレデリック・フォーサイス●時間:142分●出演:エドワード・フォックス/エリック・ポーター/ミシェル・ロンスダール/デルフィーヌ・セイリグ/シリル・キューザック/オルガ・ジョルジュ・ピコ/アラン・バデル/デレク・ジャコビ/ミシェル・オールレール/バリー・インガム/ロナルド・ピカップ●日本公開:1973/07●配給:CIC ●最初に観た池袋テアトルダイア s.jpg池袋テアトルダイア  .jpgテアトルダイア.jpg場所:池袋テアトルダイア (77-12-24)(評価★★★★)●併映:「ダラスの熱い日」(デビッド・ミラー)/「合衆国最後の日」(ロバート・アルドリッチ)/「鷲は舞いおりた」(ジョン・スタージェス)(オールナイト) テアトルダイア3.jpg池袋テアトルダイア  1956(昭和31)年12月26日池袋東口60階通り「池袋ビル」地下にオープン(地上は「テアトル池袋」)、1981(昭和56)年2月29日閉館、1982(昭和57)年12月テアトル池袋跡地「池袋テアトルホテル」地下に再オープン、2009年8月~2スクリーン。2011(平成23)年5月29日閉館。

 『戦争の犬たち』...【1981年文庫化[角川文庫]】/『ジャッカルの日』...【1979年文庫化[角川文庫]】

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