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研ぎ澄まされた映像と音楽により、映画は原作を超えている。

乾いた花  j.jpeg乾いた花 dvd.jpg 乾いた花ド.jpg 乾いた花 石原慎太郎_.jpg
乾いた花 [DVD]」池部良/加賀まりこ/藤木孝 『乾いた花 (1959年)』(文藝春秋新社)

乾いた花  ぽすたー80.jpg乾いた花02.jpeg ヤクザ抗争で敵対していた安岡組の男を刺して三年ぶりに刑務所から出所した船田組の村木(池部良)は、賭場で男達に混じり大胆な花札勝負をする「その少女」と出会う。彼女に乾いた花03.jpeg自分と同じ匂いを感じた村木は、愛人の新子(原佐知子)との逢瀬も気が入らない。次の賭場で村木は再びその少女に会い、彼女との乾いた花es.jpgサシで勝負する。有り金を全部張って挑みかかる彼女は、村木の心を楽しませる。その夜、村木は思いがけず屋台でコップ酒を飲む彼女と出会う。冴子(加賀まりこ)という名の彼女は、もっと大きな勝負のある場所へ行きたいとせがむ。約束の日、豪華なスポーツカーで現れた彼女に村木は眼を瞠る。大きな賭場での冴子の手捌きは見事だった。彼はふと隅に蹲って彼乾いた花29.jpg女を擬視する葉(藤木孝)という男に気づく。中国帰りで殺しと麻薬だけに生きているというその男の死神のような眼に、村木は危険を感じる。それでも勝負に酔った村木と冴子は、乾いた花22.jpg夜の街を狂ったように車を走らせ、充実感を味わう。勝負事への刺激を追い求める冴子が、勝負が小さくてつまらないと言うので、村木は弟分の相川(杉浦直樹)が主宰する、その筋の大物らが集まる花札賭場へ彼女を案内し、大勝負の刺激に心震える冴子の姿に村木は満足する。そこへガサ入れがあり、隠れる中二人はカモフラージュで恋人同士を演じるが、二人の間にキス以上の関係はない。更に刺激を求める冴子は、葉から麻薬の刺激を教わってしまう。一方の村木は、自分の組と大阪の組との抗争に巻き込まれ、再び鉄砲玉になる。標的の組長を殺る直前、村木は冴子に会い「あんたにヤクよりいいものを見せてやる。俺は人を殺すんだ」と襲撃現場に彼女を連れて行く。オペラBGMが流れる重厚ゴージャスなクラブで、冴子の目の前で村木はターゲットの組長(山茶花究)を刺す。その時、冴子は―。

乾いた花25.jpg 1964(昭和39)年公開の篠田正浩監督作で、原作は石原慎太郎が雑誌「新潮」1958(昭和33)年に発表した短編小説。公開前に配給会社側から難解という理由で8カ月間お蔵入りとなった後、反社会的という理由で成人映画に指定のうえ公開されたそうですが、確かに池部良演じる主人公の村木はヤクザだしなあ。但し、ヤクザと言ってもインテリ・ヤクザといったイメージでしょうか(本を読んだりしている場面があるわけではないが)。

乾いた花ges.jpg 主人公の村木が出所してみたら、船田組と安岡組が既に手打ちをしていて、安岡組のチンピラ・次郎(佐々木功)がかつての仇である村木を襲うが失敗、次郎は安岡(東野英治郎)の命令で指を詰め、安岡も船田(宮口精二)近しくなっていて、次郎もその後は村木の子分みたいになるという―ちょっと最初の方の勢力図が分かりにくいですが(この話は原作には無い映画のオリジナル)、結局、冴子との出会いを経て、村木は再び刺客として大阪の組の組長を殺ることになり、その際に冴子を連れれ行き、その刺殺現場を見せます。

乾いた花 池部.jpg 何のために村木は冴子を襲撃現場に連れて行ったのか。自分と同じく日常生活の刺激に対して不感症状態になっていて、生の充足を賭博でしか得ることが出来なくなってしまっている彼女に、葉が彼女に与える麻薬以上の刺激を村木は与えたかったのか。それが村木の冴子に対する愛の形であり、それが虚しいと分かっていても、彼はそれをしないではおれなかったのか―。

乾いた花01.jpeg 作家・石原慎太郎の初期の中短編作品は悪くないものが多く、この映画の原作「乾いた花」もその一つですが、映画はストーリーの根幹部分は原作を踏襲しながらも、映像や音楽を研ぎ澄ませて原作を超えているように思いました(マーチン・スコセッシはこの作品を30回は見ているという)。但し、音楽は、武満徹が賭場に響く花札の札の音にインスパイアされてテーマ曲を作ったとのことですが、劇中では殆ど使われていません(花札を切る音がバックミュージックの代わりになっていたりする)。

乾いた花zj.jpeg 加賀まりこ演じる冴子の小悪魔感と、賭場の緊迫した雰囲気との取り合わせが光っています。コラムニストの中森明夫は、この映画の美少女ヒロイン像を押尾守のアニメーションで観てみたいとしており、"萌え"系の感性がここにはあり、「やはり石原慎太郎は元祖おたく作家だ!」としています(『石原慎太郎の文学9』('07年/文藝春秋)解説)。

乾いた花ages.jpg 東京オリンピックの年に、こうした世間一般の感覚で言えば"退廃的"とも言える作品が公開されていて、その原作者が、「青春とはなんだ」('65年/日活)や「これが青春だ!」('66年/東宝)の原作者である石原慎太郎であるというのが興味深いです。原作が書かれたのは1958(昭和33)年ですから、映画の中にあるスポーツカーで冴子が走った首都高速は、映画撮影当時で一部が完成したばかりで、原作では一般道を走ったことになります。

 池部良が後に東映ヤクザ映画に出るきっかけとなった作品と言われています。乾いた花  東野.jpg安岡組のチンピラ役の佐々木功、村木の弟分役の杉浦直樹ともに若々しく、葉を演じた藤木孝に至っては、「シン・ゴジラ」('16年/東宝)に副知事役で出ていましたが、すっかり変わったあなと。東野英治郎と宮口精二が、ヤクザの親分同士と言うより、単なる年寄りの茶飲み仲間に見えてしまうという難はありますが、全体としては、緊迫感のある映像が密度濃く続いて(特に池部良、加賀まりこが出ている賭場シーンがいい)、ラストまで飽きさせずに一気に見せる作品でした。
東野英治郎(安岡組組長・安岡)・宮口精二(船田組組長・船田)

佐々木 功(安岡組のチンピラ・次郎) 杉浦直樹(村木の弟分・相川)  藤木 孝(中国帰りの男・葉)
乾いた花 佐々木功.jpg 乾いた花 杉浦直樹.jpg 乾いた花j.jpeg
佐々木 功     杉浦直樹     藤木 孝 in「シン・ゴジラ」('16年/東宝)
佐々木功.jpg 杉浦直樹.jpgシン・ゴジラ 藤木孝.jpg

乾いた花sim.jpg乾いた花  title.jpg「乾いた花」●制作年:1964年●監督:篠田正浩●製作:白井昌夫/若槻繁●脚本:馬場当/篠田正浩●撮影:小杉正雄●音楽:武満徹/高橋悠治●原作:石原慎太郎●時間:99分●出演:池部良/加賀まりこ/藤木孝/原知佐子/中原功二/東野英治郎/三上真一郎/宮口精二/佐々木功/杉浦直樹/平田未喜三/山茶花究/倉田爽平/水島真哉/竹脇無我/水島弘/玉川伊佐男/斎藤知子/国景子/田中明夫●公開:1964/03●配給:松竹(評価:★★★★)

完全な遊戯 新潮文庫2003L.jpg【1958年単行本[新潮社(『完全な遊戯』)]/1959年単行本[文藝春秋新社](『乾いた花』)/1959年文庫化[角川文庫(『完全な遊戯―他四篇』)]/1960年再文庫化・2003年改訂[新潮文庫(『完全な遊戯』)]】

完全な遊戯 (新潮文庫)
(完全な遊戯、若い獣、乾いた花、鱶女、ファンキー・ジャンプ、狂った果実) 

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"死者が顕われて生者に語りかける"という趣向において力を発揮する作家?

鉄道員(ぽっぽや)単行本.jpg 鉄道員(ぽっぽや)文庫.jpg 鉄道員poster.jpg 鉄道員 dvd.jpg 駅station poster.jpg
鉄道員(ぽっぽや)』『鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)』「鉄道員(ぽっぽや)」映画ポスター「鉄道員(ぽっぽや) [DVD]」「駅 STATION」チラシ

 1997(平成9)年上半期・第117回「直木賞」受賞作。

 道央の廃止寸前のローカル線「幌舞線」の終着駅「幌舞駅」の駅長・佐藤乙松(おとまつ)は。鉄道員一筋に生きてきたが近く定年を迎え、また同時に彼の勤める幌舞駅も路線と共に廃止の時を迎えようとしていた。彼は生まれたばかりの一人娘を病気で失い、妻にも先立たれ、孤独な生活を送っていた。ある雪の日、ホームの雪掻きをする彼のもとに、忘れ物をしたと一人の鉄道ファンの少女が現れる。乙松が近所にある寺の住職の孫だと思い込んだ彼女の来訪は、彼に訪れた優しい奇蹟の始まりだった―(「鉄道員」)。

 「鉄道員(ぽっぽや)」「ラブ・レター」「悪魔」「角筈にて」「伽羅」「うらぼんえ」「ろくでなしのサンタ」「オリヲン座からの招待状」の8編を収録し、何れも1995(平成7)年から1997(平成9)年にかけて発表された作品で、作者によれば「奇蹟」をモチーフにしたものを集めたとのことです。

井上ひさし2.jpg 直木賞の選評を見ると、8人の選考委員のうち田辺聖子、黒岩重吾、井上ひさし、五木寛之の各氏が◎で、他の委員も概ね推している印象ですが、故・井上ひさしが、「高い質を誇っていた」と評価しつつも、「8つの短編が収められているが、内4つは大傑作であり、残る4つは大愚作である」とし、「大傑作群に共通しているのは、"死者が顕われて生者に語りかける"という趣向」であると指摘しているのが興味深いです(「この趣向で書くときの作者の力量は空恐ろしいほどだ」とも述べている)。

 "死者が顕われて生者に語りかける"作品となると、冒頭の、鉄道員の男のもとへ亡き娘の甦りとも思える少女が現われる「鉄道員」と、ポルノショップの店長である主人公に、自分との偽装結婚の末に亡くなった戸籍上の妻で出稼ぎ外国人の白蘭という女性が、手紙を通してまだ見ぬ夫である自分への想いを語る「ラブ・レター」、海外配転が決まったサラリーマンの主人公が、40年前自分が幼い頃に自分を捨てた父親と歌舞伎町で再会する「角筈にて」、子どもの頃に肉親を亡くして身寄りが無くなり、薬剤師となって医師と結婚した主人公が、嫁いだ先で夫の親族に苛められているところへ亡くなった祖父が現われ、主人公の力になるという「うらぼんえ」の4つということになるのでしょうか。

 文庫解説の北上次郎氏が、この短編集を「すごくよかった」と言う人が「鉄道員」「ラブ・レター」「角筈にて」「うらぼんえ」の4派に分かれるとし、それを派ごとの主張争いに模して解説していますが、そもそもこの4作品が選ばれていることが、故・井上ひさしの"死者が顕われて生者に語りかける"作品という指摘と合致しているように思いました。

 それ以外の作品はどうかと言うと、ややベタが過ぎたり気味悪かったりして、やはり個人的もこの4つかなあと。更に自分の好みを言えば、「ラブ・レター」はやはりベタ過ぎる印象があるし(北上次郎氏は女性読者には好評な作品としている)、上手さから言えばやはり「鉄道員」になるのかなあ。これだって、斎藤美奈子氏に言わせれば、「怪談、死んだ娘だから父に優しい(生きていたらグレてる)」ということになるのであって、直木賞選考委員の中にも阿刀田高氏のように、「悪くはないけれど、あまりにも型通りで、涙腺をふくらませながらも、こんなことで泣けるかと、しらけるところなきにしもあらず」ということにもなるのかも(考えてみればすべて乙松の頭の中で起きたこととも取れるし)。

鉄道員  02.jpg 降旗康男監督、高倉健主演で映画化されましたが('99年/東映)、同じ降旗康男監督、高倉健主演の「駅 STATION」('81年/東映)が高倉健のプロモーション映画みたいでいいと思えなかったため(脚本は倉本聰が高倉健のために書き下ろしたものだが、日本映画ワースト・テンにいつも名を連ねる。自殺した円谷選手の遺書のナレーション自体は感動的だが、これを映画の中で使うことには抵抗を感じた)、そのイメージと何となく重なって、結局は劇場で観ることはなく、テレビがビデオで観たように思います。

鉄道員 志村けん.jpg 原作が短編なので、志村けんが酒癖の悪い炭坑夫として出て来きて炭鉱事故で亡くなる話や、その息子が成長してイタリアへ料理修業に行く話など、原作に無いエピソードで膨らませている部分はありますが、原作の持ち味(ひとことで言えば気持よく泣けるということか)はまずまず保たれていたのではないでしょうか(志村けんは自宅の留守番電話に主演の高倉健直々の出演依頼のメッセージが入っていて驚いたという。志村けんが俳優として映画出演したのは、ドリフターズの付き人時代に志村康徳名義で端役出演した「ドリフターズですよ!冒険冒険また冒険」('68年/東宝)、「ドリフターズですよ!特訓特訓また特訓」('69年/東宝)の2作以外ではこの作品のみ)。

鉄道員 02.jpg これも一歩間違えばどうしようもない映画になりそうなところを、高倉健をはじめとする俳優陣の演技力で強引に持たせていたという感じがします。実際、日本アカデミー賞の主要7部門のうち、作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞(高倉健)、主演女優賞(大竹しのぶ)、助演男優賞(小林稔侍)の6部門を受賞していて、高倉健主演映画で、主要7部門中"6冠"達成は山田洋次監督の「幸福鉄道員 大竹しのぶ.jpgの黄色いハンカチ」('77年/松竹)以来ですが、「幸福の黄色いハンカチ」の方は第1回日本アカデミー賞ということもあって、監督賞や脚本賞は「『男はつらいよ』シリーズ」との合わせ技でした(因みに、「駅 STATION」も作品賞、脚本賞、主演男優賞を獲っている)。「鉄道員」で獲らなかったのは助演女優賞だけで、これは広末涼子のパートになるかと思いますが、その広末涼鉄道員  s.jpg子さえもそう悪くなかったように思います(最優秀賞の候補にはなっている)。大竹しのぶは流石に上手ですが、やはりこの映画は高倉健なのでしょう。「駅STATION」の頃より年齢を重ねて良くなっていて、これなら泣ける? 泣けるかどうかと評価はまた別だとは思いますが。降旗康男監督、高倉健のコンビは2年後に再タッグを組み「ホタル」('01年/東映)を撮りますが、こちらも日本アカデミー賞で13部門ノミネートされ、高倉も主演男優賞にノミネートされましたが、後輩の俳優に道を譲りたい」として辞退しています。

鉄道員 s.jpg鉄道員  1s.jpg「鉄道員(ぽっぽや)」●制作年:1999年●監督:降旗康男●脚本:岩間芳樹/降旗康男●撮影:木村大作●音楽:国吉良一(主題歌:坂本美雨「鉄道員」)●原作:浅田次郎●時間:112分●出演:高倉健/大竹しのぶ/広末涼子/吉岡秀隆/安藤政信/志村けん/奈良岡朋子/田中好子/小林稔侍/大沢さやか/安藤政信/山田さくや/谷口紗耶香/松崎駿司/田井雅輝/平田満/中本賢/中原理恵/坂東英二/きたろう/木下ほうか/田中要次/石橋蓮司/江藤潤/大沢さやか●公開:1999/06●配給:東映(評価★★★☆)
高倉健、小林稔侍、田中好子(1956-2011)  大竹しのぶ、高倉健、奈良岡朋子
鉄道員 高倉健、小林稔侍、田中好子.jpg 鉄道員 大竹しのぶ、高倉健、奈良岡朋子.jpg

駅station dvd.jpg駅station 01.jpg「駅 STASION」●制作年:1981年●監督:降旗康男●製作:田中寿一●脚本:倉本聰●撮影:木村大作●音楽:宇崎竜童●時間:132分●出演:高倉健/いしだあゆみ/岩淵建/名古屋章/大滝秀治/八木昌子/池部良/潮哲也/寺田農/渡会洋幸/高橋雅男/榎本勝起/烏丸せつこ/田中邦衛/竜雷太/小林念侍/根津甚八/宇崎竜童/北林谷栄/藤木悠/永島敏行/古手川祐子/今福将雄/名倉良/平田昭彦/阿藤海/室田日出男●公開:1981/11●配給:東宝●最初に観た場所:テアトル池袋(82-07-24)(評価★★☆)●併映:「泥の河」(小栗康平)
駅 STATION [DVD]
駅 STATION 池部良.JPG 駅station 06.jpg 駅Station 大滝秀治.jpg

【2000年文庫化[集英社文庫]/2004年再文庫化[講談社文庫(『鉄道員/ラブ・レター』)]/2013年文庫化[集英社みらい文庫]】

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ここまで三島の作品と人生を再現していれば立派なもの。

Mishima dvd.jpgMishima dvd  .jpg Mishimages.jpg 三島由紀夫と一九七〇年.jpg
MISHIMA : LIFE IN FOUR CHAPTERS」/緒形 拳/『三島由紀夫と一九七〇年
Mishima - A Life in Four Chapters

MISHIMA:A LIFE IN FOUR CHAPTERS .jpg  三島由紀夫の生涯を四つの章に分け、3つの章でその作品等を通して三島文学を描き、第4章で自決に至るまでを描くことで、三島の文学や生き方、そして死に方を探った作品で、監督と脚本は「ザ・ヤクザ」('74年/米)、「タクシードライバー」('76年/米)の脚本、「キャット・ピープル」('82年/米)の監督のポール・シュレイダー(「晩春」など小津安二郎監督作品の読み解きでも知られる)、製作総指揮はフランシス・フォード・コッポラとジョージ・ルーカス、公開に至らなかった日本版はロイ・シャイダーによる英語ナレーション付き、米国版は緒形拳による日本語ナレーション付きです(1985年度の第38回カンヌ国際映画祭最優秀芸術貢献賞受賞作)。

Mishima 01 Ken Ogata Yukio Mishima.gif 「今現在」を「1970年11月25日」に置いて、三島(緒形拳)が自決した当日の起床からの経過を現在進行形でカラー・ドキュメンタリー風に描き、その「今現在」の時の流れをベースに、三島の幼少期から「楯の会」結成までの半生をモノクロームで描いた「フラッシュバック(回想)」シーンを交える一方、第1章「美(beauty)」で『金閣寺』、第2章「芸術(art)」で『鏡子の家(Kyoko's House)』、第3章「行動(action)」で『奔馬(Runaway Horses)』(『豊饒の海』第2部)の各作品をダMISHIMA1-1.jpgイジェストで映像化しており、最後の第4章「文武両道(harmony of pen and sword)」で、三石岡瑛子 mishima.jpg島が市ヶ谷駐屯地に到着した場面から自決に至るまでを描いています。こうなるとかなり複雑な印象を与石岡瑛子.jpgえますが、回想部分はモノクロで、作品部分は「劇中劇」として極めて演劇的に作られているため(石岡瑛子(1938-2012)が美術担当)、観ていてたいへん分かり易いものとなっています。

Mishima 02 Naoko Otani.gif 冒頭で、三島が母(大谷直子)や祖母(加藤治子)との特異な幼少期を経て、思春期から同性愛的指向を自覚したことなどを紹介、第1章では簡略化された『金閣寺』が劇中劇として描かれ、ドモリでコンプレックスのMishima01 金閣寺.jpg塊のような学生(ある意味、三島のペルソナである)で金閣寺の住職になることを目指して修行する溝口(五代目 坂東八十助=十代目 坂東三津五郎)が、障害者でありながらをそれを逆手にとって高い階級の女を籠絡している柏木(佐藤浩市)と出会い、そのMishima 11 Yasosuke Bando Mizoguchi.gifMishima 12 Koichi Sato.gifMishima01 金閣寺s.jpg手ほどきで女性に接するも臆して何もできなかった後(ここでフラッシュバックで青年期の三島(利重剛)が病弱だったために戦争の徴兵を逃れ得たことなどが描かれる)、今度は老師(笠智衆)から施されたMISHIMA  ryu.jpg金で遊郭で遊女(萬田久子)を抱き、女に「どでかいことをする」と言うが、それは金閣寺を燃やすことだった―といMishima 13 Hisako Manda Mariko.gifうもの(ここで三島が自邸を出て「盾の会」のメンバーと市ヶ谷駐屯地へ向かうため車に乗り込む"現在"のシーンに切り替わり、更に今度は、モノクロで『潮騒』などの作品で作家として高い評価を得た頃の三島を描く)。

Mishima 21 Kenji Sawada Osamu.gifMishima 22 Setsuko Karasuma.gif 第2章では『鏡子の家』を演劇化しており、原作では鏡子というある種"巫女"的な女性を軸に、恵まれた結婚をし将来が嘱望されるエリート会社員「清一郎」、拳闘家でボクシングで王座を獲る「俊MISHIMA:A LIFE IN FOUR CHAPTERS sachiko hidari.jpg吉」、美貌の無名俳優でボディビルで鋼の肉体を得る「収」、天分豊かな童貞の日本画家で画壇での名声を博す「夏雄」の4人が登場しますが(それぞれが三島のペルソナと言える)、ここでは俳優の「収」(沢田研二)にフォーカスして、母親(左幸子)や恋人(烏丸せつこ)との関係を描いています(ここでまたモノクロのフラッシュバックになり、男とダMISHIMA:4X1.jpgンスし―ダンス相手のモデルは美輪明宏か―同性愛者として美醜にこだわり、ボディビルMISHIMA:A LIFE IN FOUR CHAPTERS kurata.jpgMishima 23 Tadanori Yokoo Natsuo.gifによって肉体改造に励む三島の姿が描かれる)。次に、ラーメン屋台のような所に収、俊吉(倉田保昭)、夏雄(横尾忠則)がいて芸術談義をしていると思ったら、収は清美(李麗仙)という女社長に会って母親の負債を相殺するためのある種"奴隷契約"Mishima kyoko no ie2.jpgMishima kyoko no ie.jpgを結ばされ(その間、三島のセミヌード写真の撮影模様や出演した映画のポスターなどがフラッシュバックで入る)、母親にはいい役がついたと報告し、最後はピンク色の部屋でその清美に自分の肉体をマゾヒスティックに傷つけられている―(ここで市ヶ谷に向かう車中の三島と「盾の会」のメンバーのシーンに切り替わる)。

Mishima 31 Toshiyuki Nagashima Isao.gif 第3章は、『奔馬』の主人公・飯沼勲(永島敏行)を描いた劇中劇で、剣道3段の飯島青年が政界Mishima honmaU.jpgの黒幕を倒すべく陸軍中尉(勝野洋)や同志らとクーデターを謀るという二・二六事件をモチーフにした原作通りMISHIMA:A LIFE IN FOUR CHAPTERS17.jpgの展開で(フラッシュバックで日本刀を振るって剣術に精進する三島が描かれる)、彼が首謀者となって同じ学生仲間らと決行を誓い合いますが(そこでまたフラッシュバックで「盾の会」の結成やその閲兵式の模様が描かれ、更に、'69年の東大全共闘との討論会の様子が描かれる)、事を起こす前に飯島らは逮捕され、飯島は聴取にあたった尋問官(池部良)に拷問してくれとミシマ ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ2.jpgMishima 32 Ryô Ikebe.gif頼むが叶わない。その後、飯島は脱獄に成功し、政界の黒幕・蔵原(根上淳)を暗殺Mishima honma.jpgすると、海を見渡す断崖へと直行し、暁の太陽を背に割腹自殺を図る―(ここでいきなり、映画「憂国」の切腹シーンを撮影中の三島のモノクロ・フラッシュバックになる。そして、映画「憂国」の完成記者会見の模様が入る)。

MISHIMA:A LIFE IN FOUR CHAPTERS.jpg 第4章は、これまで「今現在」として描かれてきた「1970年11月25日」の部分の続きで、三島らが市ヶ谷駐屯地に到着してから自決に至るまでが描かれており(間にフラッシュバックで「盾の会」の自衛隊体験入隊の模様が描かれる)、自決前のバルコニーでの演説をはじめ、「三Mishima4.jpg島事件」を克明に描いています(更に間に、ロッキードF104戦闘機に試乗した際の模様が描かれる)。最後に三島が切腹して雄叫びする場面に続いて、第1部から第3部の小説のラストMishimaR.jpgシーンがワンカットずつ描かれ、『奔馬』の最後の一行のナレーションと共に、冒頭のタイトルバックにあった太陽が正面に昇っている風景でエンドロールとなります。なお、「フラッシュバック」で描かれる半生の挿話やナレーションには、自伝的小説『仮面の告白』や随筆『太陽と鉄』などからの引用が使用されています。

 ポール・シュレイダーの実兄の故レナード・シュレーダー(同じく脚本家で、同志社大学と京都大学で英文学の講師をしていた)が生前の三島由紀夫と親交があり、10年間の構想を経て弟と共に脚本を書き始めたのが契機のようですが、よく出来ていると思いました(ハリウッドの知性派女ジョディ・フォスターs.jpg優として知られ、2013年のゴールデングローブ賞授賞式において、自身が同性愛者であることをほぼ公表したジョディ・フォスターが絶賛している)。主人公の三島の役は、最初は高倉健にオファー高倉健G.jpgされていたらしいのですが(高倉健はポール・シュレイダー脚本、シドニー・ポラック監督の「ザ・ヤクザ」('74年/米)に出演している)、右翼などの妨害や誹謗が危惧されて、一度は受けたものの降りてしまい、緒形拳になったったとか。撮影直前までの脚本では、第4章に『天人五衰』(『豊饒の海』第4部)が含まれていたのが、構成が複雑になりすぎるとの理由で割愛されたそうです。更に、ポール・シュレイダー監督は第2章で『禁色』を使うことを希望していたのが、三島の遺族側の承諾が得られず、『鏡子の家』になったとのこと。結局、全体4章の内、作品を再現したのは第1~第3章であり、また、『鏡子の家』で4人の登場人物の内1人のみにフォーカスするという形にはなったMishima irie.jpgものの、ここまで三島の作品と人生を再現していれば立派なものだと思います(それが理解できるかどうかはまた別の問題として)。細かい点で事実と異なるとの指摘もあるようですが(第2章のフラッシュバックに写真集『薔薇刑』の撮影模様があるが、三島はこの映画のように撮影の際に自らカメラのアングルを指示するようなことはなく、完全に「被写体」に徹していたという当のカメラマン細江英公氏の指摘など)、そうした細かい指摘がされるというのは、逆に言えばドキュメンタリーとしても一定の水準を満たしているからであるように思います(ジョディ・フォスターは「作品部分の凝った構成と、生涯の部分のドキュメンタリー・タッチの対比が絶妙」だと評価している)。

三島由紀夫と一九七〇年  .jpg 結局、上映自体が遺族側の了解が得られず、作品は日本では劇場公開されなかったわけで、惜しいことです(同性愛を示唆する場面は結構あったが、それ以外に政治的な理由があったともされている)。長年ビデオ・DVD化されない「幻の作品」であっため、自分自身も、中身がよく分からないのでやや"色物"的な作品ではないかとの先入観が以前はありましたが、近年しばしばネットで見かけ、更に"ゲリラ・リリース"された『三島由紀夫と一九七〇年』('10年/鹿砦社)付録の米国版DVDを観直して観ると、映像も綺麗だし、演技陣も錚々たるメンバーであり、また、よく演出したものだと思いました。作家とその作品の関係性を描くという意味でも非常に大胆な試みであり、それは100%成功しているわけではないですが、分かり易いというだけでも評価できるのではないでしょうか。

Chishu Ryu, Paul Schrader, and Yasosuke Bando on the set of Mishima: A Life in Four Chapters. MISHIMA_500.jpg
「MISHIMA:A LIFE IN FOUR CHAPTERS」●制作年:1985年●制作国:アメリカ・日本●監督:ポール・シュレイダー●製作:山本又一朗/トム・ラディ●脚本:ポール・シュレイダー/レナード・シュレイダー/チエコ・シュレイダー●撮影:ジョン・ベイリー/栗田豊通●音楽:フィリップ・グラス●美術:石岡瑛子●原作:三島由紀夫●120分●出演:●[フラッシュバック(回想)]緒形拳/利重剛/大谷直子/加藤治子/小林久三/北詰友樹/新井康弘/細川俊夫/水野洋介/福原秀雄 [1970年11月25日]緒形拳/塩野谷正幸/三上博史/立原繁人(徳井優)/織本順吉/江角英明/穂高Mishima A Life in Four Chapters (1985).jpg坂東三津五郎.jpg稔 [第1章・金閣寺]坂東八十助/佐藤浩市/萬田久子/沖直美/高倉美貴/辻伊万里/笠智衆(米国版のみ) [第2章・鏡子の家]沢田研二/左幸子/烏丸せつこ/倉田保昭/横尾忠則/李麗仙/平田満 [第3章・奔馬]永島敏行/池部良/誠直也/勝野洋/根上淳/井田弘樹●米国公開:1985/10●DVD発売:2010/11●発売元:鹿砦社(『三島由紀夫と一九七〇年』附録)(評価:★★★★)
十代目 坂東三津五郎(五代目 坂東八十助)(1956-2015.2.21/享年59)
Mishima: A Life in Four Chapters (1985)

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健さんの作品の中ではちょっと変わった味がある? この映画のお蔭で黒澤映画に出られなかった高倉健。

居酒屋兆治 poster.jpg居酒屋兆治 dvd.jpg
居酒屋兆治 昭和58年.jpg
居酒屋兆治 [DVD]

居酒屋兆治 2.jpg 函館で居酒屋「兆治」を営む藤野英治(高倉健)は、輝くような青春を送り、挫折と再生を経て現在に至っている。かつての恋人で、今は資産家と一緒になった「さよ」(大原麗子)の転落を耳にするが、現在の妻・茂子(加藤登紀子)との生活の中で何もできない自分と、振り払えない思いに挟まれていく。周囲の人間はそんな彼に同情し苛立ち、さざなみのような波紋が周囲に広がる。「煮えきらねえ野郎だな。てめえんとこの煮込みと同じだ」と学校の先輩の河原(伊丹十三)に挑発されても頭を下げるだけの英治。そんな夫を見ながら茂子は、人が人を思うことは誰にも止められないと呟いていた―。

居酒屋兆治 3.jpg 今月['14年11月]10日に亡くなった高倉健(1931-2014/享年83)の52歳の時の出演作。文春文庫ビジュアル版の『大アンケートによる日本映画ベスト150』('89年)に監督・男優・女優の各ベスト10のコーナーがあって、男優ベスト10は、1位・坂東妻三郎、2位・高倉健、3位・笠智衆、4位・三船敏郎、5位・三國連太郎、6位・森雅之、7位・志村喬、8位・石原裕次郎、9位・市川雷蔵、10位・緒形拳となっており、この中で存命していたのは高倉健のみだっただけに、その死は尚更に寂しく思えます。'12年の菊池寛賞の受賞式を欠席したのはともかく、'13年の文化勲章受賞式に出席したのを見て逆にもしかしてちょっとヤバいのかなと思ったけれど...。

居酒屋兆治 4.jpg この作品は最初に観た時は、大原麗子(当時37歳)のあまりの暗さに引いてしまいましたが(「網走番外地 北海篇」('65年)などで見せた勝気で明るい女性キャラとは真逆)、改めて観直してみるとそう悪くも感じないのは自分の年齢のせいか。その大原麗子(1946-2009/享年62)も亡くなってしまったわけですが、河原役の伊丹十三(1933-97/享年64)、居酒屋の親爺で英治の師匠役の東野英治郎(1907-94/享年86)、「兆治」の常連客役の池部良(1918-2010/享年92)(高倉健とは「昭和残侠居酒屋兆治 大滝秀治.jpg伝」シリーズ('65-'72年)以来、正確には「君よ憤怒の河を渉れ」('76年)、「冬の華」('78年)、「駅STATION」('81年)に続く共演)、英治が元いた会社の専務役の佐藤慶(1928-2010/去年81)、小学校長役の大滝秀治(1925-2012/享年87)など、初めてこの作品を観てから亡くなった人が随分いるなあと。高倉健、伊丹十三、池部良のスリーショットなんて、観ていてしみじみしてしまいます。

居酒屋兆治 1.jpg 一方で、原作者の山口瞳(1926-1995/享年68)や、この映画の題字を担当した山藤章二(共に右写真中央)、ミュージシャンの細野晴臣(水色のランニング姿。カメオ出演というより役者として出ている)なども出演していて、皆で楽しく作っている作品という印象もあり、ちあきなおみ加藤登紀子といった役者が本業ではない人が活き活きと演技しています。

 高倉健はこの「居酒屋兆治」への出演準備をしていた矢先に黒澤明監督から「鉄修理(くろがねしゅり)」役で「乱」への出演を打診されていますが、「でも僕が『乱』に出ちゃうと、『居酒屋兆治』がいつ撮影できるかわからなくなる。僕がとても悪くて、計算高い奴になると追い込まれて、僕は黒澤さんのところへ謝りに行きました」と述懐しています。黒澤明は自ら高倉宅へ足繁く黒澤明2.jpg4回も通って、「困ったよ、高倉君。僕の中で鉄(くろがね)の役がこんなに膨らんでいるんですよ。僕が降旗康男君のところへ謝りに行きます」と口説いたけれども、高倉健は「いや、それをされたら降旗監督が困ると思いますから。二つを天秤にかけたら誰が考えたって、世界の黒澤作品を選ぶでしょうが僕には出来ない。本当に申し訳ない」と断ったため、黒澤明から「あなたは難しい」と言われたそうです(結局、鉄修理は井川比佐志が演じることになった。高倉健はその後、偶然「乱」のロケ地を通る機会があり、「畜生、やっていればな」と後悔の念があったとも語っている。但し、高倉健の後期の黒澤作品に対する評価はイマイチのようだ)。

居酒屋兆治 7.jpg 今観ると、高倉健の降旗監督に寄せる信頼が、この作品のアットホームな雰囲気を醸しているのかもしれないという気もします。高倉健と田中邦衛がやり合う場面で、田中那衛のオーバーアクションに高倉健が噴き出したように見えるシーンがあって、最初に観た時はそれがものすごく引っかかったのですが(普通はNGではないかと)、そうした雰囲気の中で撮られた作品だと思うとさほど気にはならず、高倉健の出演作の中ではちょっと変わった味があると思えるようにもなってきました。

(下) 高倉健・ちあきなおみ / 高倉健・東野英治郎 / 伊丹十三・細野晴臣
居酒屋兆冶 ちあき.jpg 居酒屋兆冶 東野.jpg 居酒屋兆冶 細野.jpg

チャン・イーモウ監督と高倉健さん.jpg    高倉健 訃報.png
チャン・イーモウ監督と高倉健(2005年東京国際映画祭)[毎日新聞]/2013年文化勲章受章

池部 良 居酒屋兆治1.jpg池部 良 居酒屋兆治2.jpg「居酒屋兆治」●制作年:1983年●監督:降旗康男●製作:田中プロモーション●脚本:大野靖子●撮影:木村大作●音楽:井上堯之(主題歌「時代おくれの酒場」 歌:高倉健/作詞・作曲:加藤登紀子)●時間:125分●原作:山口瞳「居酒屋兆治」●出演:高倉健/大原麗子/加藤登紀子/伊丹十三/田中邦衛/小林稔侍/左とん平/池部良/ちあきなおみ/東野英治郎/佐藤慶/平田満/河原さぶ/小松政夫/美里英二/あき竹城/大滝秀治/石野真子/山谷初男/細野晴臣/三谷昇/石山雄大/武田鉄矢/好井ひとみ/伊佐山ひろ子/武田鉄矢/板東英二/山藤章二●公開:1983/11●配給:東宝●最初に観た場所:テアトル新宿(84-02-12)(評価:★★★☆)●併映:「魚影の群れ」(相米慎二)

大原麗子メモリー ずっと好きでいて」('10年/講談社)
大原麗子メモリー ずっと好きでいて200_.jpg 大原麗子メモリー ずっと好きでいてWL.jpg 大原麗子メモリー ずっと好きでいて1L.jpg

《読書MEMO》
●ロングインタビュー(時事ドットコム 2012年)より
 「降旗監督の「居酒屋兆治」の準備が進んでいたとき、黒澤さんの「乱」に(鉄修理=くろがね・しゅり=役で)出演できるという話があった。でも、僕が「乱」に出ちゃうと「居酒屋兆治」がいつ撮影できるか分からなくなる...。とても僕が悪くて、計算高いやつになるという風に追い込まれて、僕は黒澤さんのところへ謝りに行きました。
 あの時、黒澤さんは僕の家に4回いらして、「困ったよ、高倉君。僕の中で鉄(くろがね)の役がこんなに膨らんでいるんですよ。僕が降旗君のところへ謝りに行きます」とまで言ってくれた。でも、僕は「いや、それをされたら降旗さんが困ると思いますから。二つをてんびんに掛けたら、誰が考えたって世界の黒澤作品を選ぶのが当然でしょうが、僕にはできない。本当に申し訳ない」と謝った。黒澤さんには「あなたは難しい」って言われましたね。
 その後、「乱」のロケ地を偶然通ったことがあって、「畜生、やっていればな」と思いましたよ。
 ただ、黒澤監督の晩年の作品には、良いものがないと思うんですよね。僕は、監督が(作品の常連だった)三船敏郎さんと別れたのが大きい気がする。志村喬さんもそうだったけれど、三船さんは(黒澤作品の)エンジンの大きな出力だったのでしょう。二人が抜けたことで、その出力がどーんと落ちた。怖いですよね。映画は絶対に一人ではできないんですよ。」

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やや大味とも言える波乱万丈型ストーリーのお蔭で、高峰秀子の演技の幅を実感できる?

愛よ星と共に ポスター.jpg 「愛よ星と共に」ポスター 愛よ星と共に vhs.jpg VHS(国際放映・日本映画傑作全集) 下スチール写真中央:高峰秀子
愛よ星と共に 01.jpg 十年ぶりに北海道の北島牧場を訪れた邦彦(池部良)は、牧夫頭の娘はるえ(高峰秀子)と再会した。とても美しくなったはるえをみた邦彦はとても驚いたが、綺麗になったと言われ自分の姿を小川の水に映しては何時までも自分を見つめる彼女は、まだ無垢な乙女そのものであった。邦彦とはるえは、牧場の小川で一夜を過ごした。はるえは邦彦の語る美しい星の話を興味深く熱心に聞いていた。しかしその話はあまりにも美しくあまりにも巧みな運命の夢だった。邦彦が東京へ帰ってから数月、はるえの腹には美しい星の子供が宿っていた。父からの反対に耐え切れず、はるえは家を飛び出し東京の邦彦を訪ねるが、時すでに遅く、彼がフランスへ旅立った後だった―。

愛よ星と共に4.jpg 阿部豊(1895-1977)監督の1947(昭和22)年「新東宝」作品で(黒澤明の「野良犬」('49年)などと同じく製作会社は「新東宝」で配給会社は「東宝」)、池部良(1918-2010)、高峰秀子(1924‐2010)主演ですが、この2人、同じ2010年、池部良は10月18日(享年92)、高峰秀子は12月28日に(享年86)それぞれ亡くなっていることに改めて思い当った次第です(共に名エッセイストでもあった)。

阿部 豊 「愛よ星と共に」2.jpg 牧場主、つまり上流階級に属する男性と恋し合って一夜を共にするも、娘より自らが仕える本家の方を気遣う牧夫頭の親によって勘当され、北海道の家を出て東京にその男性を追うも、恋人は海外へ渡航した後。身重の身で生活すらままならず、独り寂しく赤ん坊を産むが、その赤ん坊にも病で死なれて、女給の生活に身を窶(やつ)す。しかし、やがてその世界で「花形女給」として名を馳せるようになり、そんな中、男女のもつれからある男を誤って銃で死なせてしまう。世間からは次々と男を渡り歩く毒婦のようにみられ、裁判でも死刑判決を受けるが、自身がこの世界に身を置くようになった契機が、赤ん坊が亡くなったことにあるとは判明するも、その赤ん坊が誰との間の子であったかは公判で明かすことなく、判決を受け入れようとする。そこへ―。

阿部 豊 「愛よ星と共に」3.jpg 女性映画と言うかメロドラマと言うか、しかもハーレクインみたいな波乱万丈(或いはシドニィ・シェルダン風か)。テレビがある時代なら13話連続のテレビドラマだろうけれど、まだテレビが登場する何年か前なので、TVドラマが担っているような役割を、その分も含め映画が担っていたのだなあと思わせる作品でした。

 やや強引な話の展開はともかくとして、やはり注目は、高峰秀子の演技でしょうか。彼女は、天才子役からアイドル女優、そして本格女優へと各ステップにおいて確実に成長を遂げた稀有なケースであり、様々な作品への出演を通して、純真無垢な娘から恋する乙女、社会の底辺に生きる女から生活のために水商売に墜ちる女、そうした世界で妾になったり売れっ子になったりする女などを演じ分けきたわけですが、この作品では、やや大味とも言える波乱万丈型ストーリーのお蔭で、彼女の演技のそうした(全てとまでは言わないまでも)多くのパターンを一作品の中で堪能することができます(結果的にその点がこの作品の一番の見所となっているのでは?)。

 高峰秀子は既に人気アイドル女優だった16歳の時(山本嘉次郎監督の「エノケンの孫悟空」('40年)などに出ていた頃)、豊田四郎監督の「小島の春」('40年)に出演した杉村春子(1909-1997)の演技にショックを受けて演技開眼したそうですが(やがて成瀬巳喜男監督の「流れる」('56年)で2人は共演する)、その後、実に演技の幅が広い女優になっていったように思います。但し、この作品出演時は、彼女自身初めて子を持つ母親役を演じ、タバコを吸う役柄も初めてであって、そのためにタバコを吸う仕草の特訓などもしたそうです。そうした努力の甲斐もあってか、娘役だけでなく、淪落の水商売女の演技なども板についていますが、やはり、当時23歳という若さにして「花形女給」(カリスマ・ホステスといった感じか)を堂々と演じ切っているのは、もともと素養的に華があった女優だったからでしょう。一方で、後の野村芳太郎監督の「張込み」('58年/松竹)などでは、そうした華やかさを完全に封印して市井の女を演じていたりもしています。やはり、スゴイ女優だったなあと改めて思います。

愛よ星と共に.gif愛よ星と共に55.gif 因みに、この作品は北海道・幕別町の新田牧場でロケが行われていますが、なぜ新田牧場がロケ地に選ばれたかというと、この映画のプロデューサーだった青柳信雄が札幌の雪印乳業を訪問した時に新田牧場愛よ星と共に ロケ地.jpgを紹介されたとのこと。戦後間もない食糧難の折、当地では白米、牛乳、玉子、肉等などの供給が豊かで、40日のロケ期間中、ロケ隊には毎日が天国のようだったとも言われています。

北海道・幕別町ロケ・新田牧場での集合スナップ(「映画俳優:伊豆肇と池部良」より)

池部良 宇宙大戦争.jpg「愛よ星と共に」●制作年:1947年●監督:阿部豊●製作:青柳信雄●製作会社:新東宝・映画芸術協会●脚本:八田尚之●撮影:小原譲治●音楽:早坂文雄●時間:95分●出演:高峰秀子/池部良/横山運平/浦辺粂子/川部守一/藤田進/逢初夢子/清川莊司/一の宮あつ子/田中春男/鳥羽陽之助/冬木京三/鬼頭善一郎/江川宇礼雄/山室耕/花岡菊子/條圭子/水島三千代●公開:1947/09●配給:東宝(評価:★★★)

池部 良 in 本多猪四郎監督「宇宙大戦争」('59年/東宝)

高峰秀子 in 小津安二郎監督(原作:大佛次郎)「宗方姉妹」('50年)/木下惠介監督(原作:壺井栄)「二十四の瞳」('54年)/成瀬巳喜男監督(原作:幸田文)「流れる」('56年)/野村芳太郎監督(原作:松本清張)「張込み」('58年)
宗方姉妹 高峰.jpg二十四の瞳0 1a.jpg流れる 1シーン.jpg野村 芳太郎『張込み』(1958).jpg

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小松崎茂デザインのンメカニックが、子供の頃の"懐かしい未来"を想起させる。テーマ曲がいい。

宇宙大戦争 東宝 チラシ.jpg  宇宙大戦争 東宝 チラシ(アメリカ版).jpg 本多 猪四郎 「宇宙大戦争」dvd.jpg  
日本版チラシ(1959)/アメリカ版チラシ(1960)/「宇宙大戦争 [DVD]伊福部昭「宇宙大戦争」のマーチ
「宇宙大戦争」ポスター
宇宙大戦争ポスター.jpg 地球軌道上の宇宙ステーションが謎の円盤の攻撃を受けて破壊され、地球上でも世界中で鉄橋や汽船が宙に浮き、凍結した海水が舞い上がるなどの怪奇現象が発生、急遽、国際会議が開かれて調査が行われ、それらは無重力状態を生み出す冷却光線を操るナタール人の仕業であり、ナタール人は既に月面に基地を建設し地球侵略の準備をしていることが判明する。ナタール人基地を破壊するため、勝宮一郎博士(池部良)ら科学者によって編成された攻撃隊が原子力ロケット2機で月へ。ナタール人の基地を発見し、攻撃して打撃を与えるが、ナタール人に操られた岩村(土屋嘉男)が味方ロケット1機を爆破し、残る1機にも危機が迫る。しかし、ナタール人の洗脳が解けた岩村が追撃を食い止め、月からの脱出に成功、地球へ帰還する。迫り来る決戦の時に向け、地球では大気圏外でナタールの円盤を迎撃する戦闘ロケットが建造され、やがてナタール円盤群が地球へ向かって来襲、壮絶な戦いが始まる―。

宇宙大戦争 エフェクト.jpg 日本初の宇宙人の侵略をテーマにした特撮SF作品「地球防衛軍」('57年)の姉妹作で、これも原作は丘美丈二郎(1918-2003)。前作では「地上戦」乃至「地対空戦」だった宇宙人との戦いの場を、この作品では「月面戦」乃至「宇宙空間戦」に移していますが、2年間で画像のエフェクト処理も含め、特撮技術がトータルに向上しているように思えました。伊福部昭のマーチ風のテーマ曲もいい(この曲は2016年の「シン・ゴジラ」にも使われた)。評論家の評価は2年前の前作「地球防衛軍」の方が概ね若干上のようですが、おそらく先駆的要素に対する評価が加味されているのでしょう。

「宇宙大戦争」1.jpg 「絶対零度近くにまで冷却された物体は無重量となる」とか「月面の一部に希薄な大気が存在する」といった、当時の段階で既に科学的には誤りであると「宇宙大戦争」2.jpg判明していたり、当時から曖昧だった学説を援用したりするなどの乱暴な点はありますが(ホバークラフトで月面を移動する場面がある!)、ナタール人の基地があるという想定の月の裏側の様子を、ソ連の無人探査機「ルナ3号」が当時世界で初めて撮影に成功した月面裏側の写真に基づき描くなど、科学性へのこだわりは随所に見られ、月に人類が到達する10年も前にしては、月面やそこを歩行する隊員の様子をよく描いていると思います。

宇宙大戦争 土屋嘉男 .jpg 三原山で撮影されたという月面歩行する隊員の無重力状態でのふわっとした跳ね方は、出演者の一人・土屋嘉男の発案によるもので、土屋嘉男は10年後にアポロ11号の月面着陸の様子をテレビの衛星中継で観て「間違ってなかった」と思ったそうな。因みに土屋嘉男は、前作「地球防衛軍」で日本映画で初めて宇宙人を演じた俳優になりましたが、今回はまともに"人間の役"でした。

土屋嘉男(岩村幸一)

宇宙大戦争 東宝.jpg ドラマ部分が定型的なのはSF作品であるため許せるとして、宇宙人が地球侵略するにあたってわざわざ一人ひとり洗脳するかなというのはあり、壮大なタイトルの割には結末もややショボイかも。

 但し、小松崎茂のデザインを入江義雄が図面に起こし、井上泰幸らによって制作したナタール側・地球人側のメカニックは、この作品の白眉とも言える素晴らしいもので、円谷英二の特撮技術と相俟って、宇宙戦をよりダイナミックに見せている共に、個人的には、子供の頃に想い抱いた"懐かしい未来"を想起させられます。

 この作品は、制作時の6年先の将来(1965年)という時代設定で、人類で初めて月面着陸に成功したのは勝宮一郎(池部良)、白石江津子(安西郷子)ら日本人であるということになり、実際のアポロ11号による月面着陸(1969年)の4年前ということになります。
宇宙大戦争」(サントラ)

東宝「宇宙大戦争」(1959).jpg安西郷子.jpg 当時"文芸路線"俳優だった池部良(1918-2010/享年92)がSF映画に出ているのが珍しく、その池部良とのしっとりしたラブシーンもある安西郷子(1934‐2002/享年68)は、エキゾチックな面立ちの美人女宇宙大戦争007s.jpg宇宙大戦争008s.jpg優でしたが、この作品の2年後、「ガス人間第1号」('60年/東宝)で主演した三橋達也(1923-2004/享年80)と結婚して芸能界を引退しています。

安西徹子(白石江津子)と本多監督と池部良(勝宮一郎博士)/勝宮と江津子のデートシーンの撮影

「宇宙大戦争」 (1959 東宝).jpg「宇宙大戦争」3.jpg「宇宙大戦争」●制作年:1959年●製作:田中友幸●監督:本多猪四郎●特技監督:円谷英二●脚本:関沢新一●音楽:伊福部昭●原作:丘美丈二郎●時間:91分●出演:池部良安西郷子/千田是也/土屋嘉男/伊藤久哉/宇宙大戦争 安西郷子.jpg村上冬樹/ジョージ・ワイマン/レオナルド・スタンフォード/ハロルド・コンウェイ/エリス・リクター/桐野洋雄/野村浩三/エド・キーン/堤康久/加藤茂雄/沢村いき雄/旗持貴佐夫/上村幸之/高田稔/熊谷二良/手塚勝巳/津田光男/岡部正/レオナルド・ウェルチ/緒方燐作●公開:1959/12●配給:東宝(評価:★★★☆)

安西 郷子(あんざい きょうこ 1934-2002)
安西 郷子(あんざい きょうこ 1934-2002).jpg

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文化大革命以降、意外な日本映画が中国で大反響。その背景を分析。

中国10億人の日本映画熱愛史2.jpg君よ憤怒の河を渉れ 高倉・原田 2.jpg 君よ憤怒の河を渉れ (1976年3.jpg
君よ憤怒の河を渉れ [DVD]」('76年)高倉健・原田芳雄/中野良子・大滝秀治
中国10億人の日本映画熱愛史-高倉健、山口百恵からキムタク、アニメまで』['06年] 

追捕.jpg君よ憤怒の河を渉れ.jpg 文化大革命以降の中国国内における日本映画の歴史を解説したもので、何よりも、文革直後に中国で公開された数少ない映画が、中国の一般の人々や映画人に与えた影響が絶大なものであったことを本書で知りました。その代表というのが、今は日本では殆ど顧みられることのない作品「君よ憤怒の河を渉れ」('76年/製作:大映、配給:松竹)で、西村寿行の原作を佐藤純彌が監督したこの作品は、'78年に中国で「追捕」というタイトルで公開されるや大反響を呼び、中国人の約80%以上が観たということで(スゴイ!)、主演の高倉健、中野良子は今でも中国で人気があるそうです。

サンダカン八番娼館 望郷.jpg これに続いたのが、山崎朋子の原作を熊井啓が監督した「サンダカン八番娼館・望郷」('74年製作)で、主演の栗原小巻の中国での人気は今でも高いそうですが、その後も「愛と死」('71年/中村登監督)、「人間の証明」('77年/佐藤純彌監督)、「砂の器」('74年/野村芳太郎監督)などが中国に輸入され、高い人気を博したとのこと(「愛と死」を80年代に日本人が観れば、既にノスタルジーの対象であったものが、当時の中国人にはオシャレに見えた。この点が、今の日本の"韓流ブーム"とは異なるところ)。

 本書では、中国に輸入された日本映画とその影響を、「第5世代」と呼ばれる中国の新映画人の台頭など国産映画の動向と併せて解説し、何故それら日本映画が中国の人々に受け入れられたのかを分析していて、先に挙げたものは、中国に輸入された日本映画の初期のものに過ぎないのですが、とりわけ反響が絶大であっただけに、その「ウケた理由」には自ずと興味が持たれます(こうしてみると、芸術性はあまり関係ないなあ)。

山口百恵 赤い疑惑.jpg 中国における高倉健の人気は、ハリウッドスターを含めた海外映画俳優の中で今でもトップという圧倒的なものだそうですが、女優で最大人気は、'84年から中国で放映されたTVドラマ「赤い疑惑」シリーズの山口百恵だそうで、殆どカリスマのような存在。

コン・リー.jpg 大物女優の鞏俐(コン・リー)なども、中国が本当にオリジナルな芸術性を持った作品を作り始めた第五世代の代表的監督・張芸謀(チャン・イーモウ)の初期作品「紅いコーリャン」('87年)に出演した頃は、中国国内で「中国の山口百恵」と言われているという話を聞いた覚えがあります(本書によれば、その後すぐに彼女はそのイメージから脱却したそうだが、スピルバーグがプロデュースした「SAYURI」('05年)に、チャン・ツィイーと共に日本人女性役で出ているというのが興味深い。本来は日本人がやる役だけれど、ハリウッド進出は中国女優の方が既に先行している)。

 著者は映画芸術論を専門とする中国人の学者で('94年以降、日本在住)、本書は初めから日本語で書かれたもの。知らないことだらけで興味深く読めたけれど、1行当たりの"漢字含有率"がどうしても高くなってしまうのは、本の内容上、仕方がないことなのか。

君よ憤怒の河を渉れ poster.jpg君よ憤怒の河を渉れ 高倉・原田.jpg 冒頭で掲げた「君よ憤怒の河を渉れ」は(原作は「ふんぬ」だが映画タイトルには「ふんど」のルビがある。因みに監督の佐藤純彌は東大文学部卒)、高倉健の東映退社後の第一作目(当時45歳)で、高倉健が演じるのは、政界黒幕事件を追ううちに無実の罪を着せられ警察に追われる立場になる東京地検検事・杜丘冬人(上君よ憤怒の河を渉れ 池部s.jpg司の伊藤検事正を池部良が演じている)。原田芳雄が演じる彼を追う警視庁の矢村警部との間で、次第に友情のようなものが芽生えてくるのがポイントで、最後は2人で黒幕を追い詰め、銃弾を撃ち込むという任侠映画っぽい結末でした(検事と警官で悪を裁いてしまうという無茶苦茶ぶりだが、その分カタルシス効果はあったか)。健さんは逃亡過程においては、馬を駆ったりセスナ機を操縦したりと007並みの活躍で、その間、中野良子や倍賞美津子に助けられるという盛り沢山な内容です。

Kimi yo fundo no kawa wo watare (1976)
Kimi yo fundo no kawa wo watare (1976) .jpg君よ憤怒の河を渡れ  .jpg そこそこ面白いのですが、B級と言えばB級で、なぜこの映画が中国で受けたのか不思議というのはあります。中国人の約80%以上が観たというのが大袈裟だとして、たとえそれが30%であったとしても、最も多くの人が観た日本映画ということになるのではないでしょうか。張藝謀(チャン・イーモウ)監督のように、この映画を観て高倉健に恋い焦がれ、その想いがコラボ的に高倉健が主演することになった「単騎、千里を走る。」('05年)に結実したということもあります。やっぱり、中国で文革後に実質初めて公開された日本映画という、そのタイミングが大きかったのでしょう。今観ると、意外と2時間半の長尺を飽きさせずに見せ、また70年代テイスト満載の映画でもあり、その部分を加味して星半個オマケしておきます。
君よ憤怒の河を渉れ 大和田.jpg 君よ憤怒の河を渉れ nakano.jpg
大和田伸也/高倉健/原田芳雄                 高倉健/中野良子
君よ憤怒の河を渉れsp.jpg「君よ憤怒の河を渉れ」1.jpg「君よ憤怒の河を渉れ」●制作年:1976年●監督:佐藤純彌●製作:永田雅一●脚本:田坂啓/佐藤純彌●撮影:小林節雄●音楽:青山八郎●原作:西村寿行「君よ憤怒の河を渉れ」●時間:151分●出君よ憤怒の河を渉れ-s.jpg君よ憤怒の河を渉れ 倍賞.jpg演:高倉健/原田芳雄/池部良/大滝秀治/中野良子/倍賞美津子/岡田英次/西村晃/田中邦衛/伊佐山ひろ子/内藤武敏君よ憤怒の河を渉れ s.jpg君よ憤怒の河を渉れ 大滝秀治s.jpg君よ憤怒の河を渉れ サントラ.jpg/大和田伸也/下川辰平/夏木章/石山雄大/松山新一/木島進介/久富惟晴/神田隆/吉田義夫/木島一郎/浜田晃/岩崎信忠/姿鉄太郎/沢美鶴/田畑善彦/青岡田英次 君よ憤怒の河を渉れ.jpg木卓司/田村貫/里木佐甫良/阿藤海(阿藤快)/松山新一/小島ナナ/中田勉、/飛田喜佐夫/細井雅夫/千田隼生/宮本高志/本田悠美子●公開:1976/02●配給:松竹 (評価:★★★☆)

岡田英次(主人公・杜丘を自殺させようとする医師・堂塔)
君よ憤怒の河を渉れ 池部3.jpg池部良(杜丘の上司・伊藤検事正)/原田芳雄/高倉健

《読書MEMO》
君よ憤怒の河を渉れ415.jpg

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黒い画集  寒流                 .jpg "映画化率""ドラマ化率"の高い短編集。映像と比べるのも面白い。

黒い画集 松本 清張.jpg 黒い画集 新潮文庫.jpg 黒い画集.jpg 黒い画集 あるサラリーマンの証言 dvd.jpg証言32.bmp
黒い画集―全一冊決定版 (1960年) (カッパ・ノベルス)』 『黒い画集 (新潮文庫)』 「黒い画集 あるサラリーマンの証言 [DVD]」(出演:小林桂樹/原佐和子) 映画「黒い画集 第二話 寒流」(出演:池部良/新珠三千代)
黒い画集 全三集』(2005年12月刊行(1959年刊行の復刻版))
黒い画集 00_.jpg黒い画集2.png黒い画集3.png カッパ・ノベルズの「全一冊決定版」は、'59(昭和34)年4月から翌年7月にかけて光文社から刊行された『黒い画集』第1巻〜第3巻の抜粋で、珠玉の名編集ですが(新潮文庫『黒い画黒い画集 あるサラリーマンの証言 ポスター.jpg集』に同じラインアップで移植されている)、知る限りでは「遭難」「証言」「天城越え」「寒流」「凶器」「紐」「坂道の家」の所収7作中、「証言」などの4作が黒い画集 あるサラリーマンの証言.jpg映画化されており、"映画化率"の高い短編集ではないでしょうか。また、この短編集の中には何度もテレビドラマ化されているものもいくつもあります。

[右上]映画黒い画集 あるサラリーマンの証言('60年/東宝)主演:小林桂樹 /[下]映画黒い画集 ある遭難('61年/東宝)出演:伊藤久哉/児玉清/香川京子/土屋嘉男
黒い画集 ある遭難 ポスタード.jpg黒い画集%20ある遭難3_033.jpg黒い画集%20ある遭難.jpg黒い画集 ある遭難0_.jpg 「遭難」の映画化作品('61年映画化・杉江敏男監督「黒い画集 ある遭難」)は脚本は石井輝男で、児玉清が被害者役、伊藤久哉が犯人役、土屋嘉男が犯人の犯罪を暴く役でしたが、最後だけ「悪」(ワル)」が勝って終わってしまう原作を少し変えています。「証言」の映画化作品('60年映画化・堀川弘通監督「黒い画集 あるサラリーマンの証言」)は小林桂樹が好演、黒い画集 第二話 寒流.jpg黒い画集 第二話 寒流 ps1.jpg黒い画集 第二話 寒流 ps2.jpgこちらも、原作の後日譚を膨らませ、映画オリジナルの話が付け加わっています。「寒流」の映画化作品('61年映画化・鈴木英夫監督黒い画集 第二話 寒流)は池部良と新珠三千代の共演で、銀行員である主人公(池部良)が仕事上のきっかけで美人女将(新珠三千代)と知り合い、いい関係になったまではともかく、そこに主人公の上司である好色の常務(平田昭彦)が割り込んできて、主人公の仕事人生をも狂わせてしまうというものですが、主人公は原作と違って踏んだり蹴ったりの散々な目に遭うだけ遭って終わってしまう結末になっています。

映画「黒い画集 第二章 寒流」('61年/東宝)出演:池部良/新珠三千代

黒い画集 寒流01.jpg黒い画集 寒流03.jpg 「寒流」の原作でも主人公は踏んだり蹴ったりの目に遭いますが、主人公を陥れた常務に対して主人公が逆転劇を演じるのに対し、映画ではその逆転劇を前にもってきて、そこから二転三転して結局は主人公状況が絶望的な状況鈴木英夫監督.jpgに陥るところで終わります。映画化する際に原作の毒を薄めることはよくありますが、最後「悪」が勝つように原作を改変しているのが和製フィルム・ノワールの名手と言われた鈴木英夫(1916-2002/享年85)監督なら松本清張作品「黒い画集 第二話 寒流」.jpgではという気もします。銀行本店には昭和27年までGHQが総司令部を置いていた旧第一生命ビルが使われていて、いかにも大銀行の本店という感じがします。池部良演じる銀行員は原作以上に真面目そうに描かれていて、新珠三千代演じる女将に対しても最初は銀行員らしくかなり慎重に接しています。2人に割って入る平田明彦演じる常務のほかに、その常務の行内でのライバルの副頭取に中村伸郎、主人公が常務と女将の密偵を依頼する探偵社の男に宮口精二、味方かと思ったらとんでもない食わせ者だった総会屋に志村喬、常務が自分を陥れようとする主人公を脅すため差し向けたヤクザの親分に丹波哲郎―といった配役も楽しめました。

 「天城越え」の映画化作品('83年/松竹)は田中裕子の演技が高く評価された作品です(「天城越え」は'78年にNHKで大谷直子主演で、'98年にTBSで田中美佐子主演でテレビドラマ化もされている)。「天城越え」は、川端康成の『伊豆の踊子』に対する清張流の挑戦だという説もありますが(「踊り子を自分より下の弱い存在と見る東大生」vs.「旅の女性を憧憬のまなざしで見上げる少年」という対照的構図)、個人的にはこの説がある程度の説得力を持って感じられました。

天城越え05.jpgamagigoe.jpg 映画化作品は、テレビで途中から観ることになってしまったため評価を避けますが、田中裕子演じる件(くだん)の酌婦・大塚ハナが派出所で少年の弁明をするという、小説には無い場面があったのではなかったかと(これが先駆けとなってか、以降の映像化作品ではこうしたハナが尋問を受ける場面が必ずあるように思う)。'78年のテレビ版(大谷直子主演)ともしかしたら記憶がごっちゃになっているかもしれませんが(映画をテレビで観て、しかも別にあるテレビ版作品も観てしまうとこういうことになりがち)、警官の尋問中にハナがこらえ切れず失禁するシーンを、田中裕子が自らの申し出により仕掛け無しの体当たり演技でやったという逸話が知られているから、やっぱり映画の方をテレビで観たのでしょう。田中裕子はこの作品でモントリオール世界映画祭主演女優賞を受賞しています。
天城越え [DVD]」 ('83年/松竹)

天城越え 田中美佐子版 01.jpg「天城越え」●.jpg  更に、'98 年の田中美佐子主演のテレビ版では、少年(二宮和也)が大人(長塚京三)になってから大塚ハナと再会天城越え 田中美佐子版 dvd.jpgするという、原作にも他の映像化作品にはない独自の創作部分がありましたが、全体の出来としては悪くなく、ギャラクシー賞優秀賞などを受賞していることから一般の評価も高かったようです。この作品の翌年に「嵐」としてデビューした二宮和也のドラマ初出演作であり(当時、作中の「少年」と同じ14歳だった)、その演技が後々も話題になりますが、個人的には、田島刑事役を演じた蟹江敬三が(彼だけが同一人物の過去と現在の両方を演じているわけだが)渋みがあって良かったと思いました。 「天城越え [DVD]」('98年/TBS)

黒い画集・紐1.jpg紐.jpg '05年にテレビ東京で「紐」を放映しました。絞殺死体を巡って保険金殺人の疑いがあるものの、容疑者には完璧なアリバイがあるという話で、「サスペンス劇場」とか「愛と女のミステリー」で今も清張作品をとりあげているというのは、「清張」というネームバリューだけでなく、面白さに普遍性があるということだと思います。

松本清張スペシャル「黒い画集・紐」 ('05年/BSジャパン・テレビ東京)

 「紐」の過去のテレビドラマ化
 •1960年「紐(KR)」芦田伸介・北村和夫・千石規子
 •1979年「紐(ANB)」酒井和歌子・宇津宮雅代(宇都宮雅代)・中山仁
 •1985年「松本清張の黒い画集 紐(CX)」浅丘ルリ子・近藤正臣・佐藤允
 •1996年「紐(TBS)」名取裕子・内藤剛志・風間杜夫
 •2005年「黒い画集~紐(BSジャパン)」余貴美子・大地康雄・内藤剛志

 原作が短編なあなたに似た人 (ミステリ文庫.jpgので、それをどう脚色して映画や2時間ドラマにしているのか見比べるのも面白いです。

 映画化されていませんが、「凶器」という刑事が凶器として使われた"餅"を、そうとは気づかず犯人にご馳走になってしまう話も味があって好きです(この作品は、ロアルド・ダールの「おとなしい凶器」(『あなたに似た人』('76年/ハヤカワ・ミステリ文庫)に所収)を作者が日本風にアレンジしたものである)。

「黒い画集・証言」('92年/TBS)渡瀬恒彦・有森也実・岡江久美子
黒い画集・証言289e.jpg 「証言」は'84年には柳生博主演でテレビ朝日の「土曜ワイド劇場」で、'94年には渡瀬恒彦主演でTBSでテレビドラマ化もされていますが、'92年版の方を観ました。渡瀬恒彦は刑事ドラマにおける犯人を追いつめる「刑事」役のイメージが強いですが、こうしたドラマの追いつめられる側の「犯人」役をやらせてもうまいと思いました。

 原作と、映画やテレビドラマなどで映像化されたものとを比べてみるのも面白いかと思います。

証言0.bmp証言1.bmp「黒い画集 あるサラリーマンの証言」 (1960/03 東宝) ★★★☆


   


 
黒い画集 ある遭難 title.jpg黒い画集 ある遭難40.jpg「黒い画集 ある遭難」 (1961/06 東宝) ★★★☆

    

黒い画集 寒流 ド.jpg黒い画集 寒流02.jpg「黒い画集 第二話 寒流」 (1961/11 東宝) ★★★☆
       
    

   
  
 

黒い画集 あるサラリーマンの証言.jpg「黒い画集 あるサラリーマンの証言」(映画)●制作年:1960年●監督:堀川弘通●製作:大塚和/高島幸夫●脚本:橋本忍●証言2.jpg撮影:中井朝一●原作:松本清張黒い画集 あるサラリーマンの証言      .jpg「証言」●時間:95分●出演:小林桂樹/中北千枝子/平山瑛子/依田宣/原佐和子/江原達治/中丸忠雄/西村晃/平田昭彦/小池朝雄/織田政雄/菅井きん/小西瑠美/児玉清/中村伸郎/小栗一也/佐田豊/三津田健●公開:1960/03●配給:東宝●最初に観た場所:池袋文芸地下 (88-01-23)(評価★★★☆)
小林桂樹/原佐和子

黒い画集 ある遭難m.jpg黒い画集 ある遭難55.jpg黒い画集 ある遭難15.jpg「黒い画集 ある遭難」(映画)●制作年:1961年●監督:杉江敏男●製作:永島一朗●脚本:石井輝男●黒い画集 ある遭難43.jpg撮影:黒田徳三●音楽:神津善行●原作:松本清志「遭難」●時間:87分●出演:伊藤久哉/和田孝/児玉清/香川京子/土屋嘉男/松下砂稚子/天津敏/那智恵美子/塚田美子●公開:1961/06●配給:東宝(評価:★★★☆) 
香川京子/伊藤久哉/土屋嘉男

池部良/新珠三千代/平田昭彦
黒い画集 寒流 title.jpg黒い画集 寒流00.jpg「黒い画集 第二話 寒流(黒い画集 寒流)」(映画)●制作年:1961年●監督:鈴木英夫●製作:三輪礼二●脚本:若尾徳平●撮影:逢沢譲●音楽:斎藤一郎●原作:松本清志「寒流」●時間:96分●出演:池部良(沖野一郎)/荒木道子(沖野淳子)/吉岡恵子(沖野美佐子)/多田道男(沖野明黒い画集 寒流_0.jpg)/新珠三千代(前川奈美)/平田昭彦(桑山英己常務)/小川虎之助(安井銀行頭取)/中村伸郎(小西副頭取)/小栗一也(田島宇都宮支店長)/松本染升(渡辺重役)/宮口精二(伊牟田博助・探偵)/志村喬(福光喜太郎・総会屋)/北川町子(喜太郎の情婦)/丹波哲黒い画集 第二話 寒流12.jpg郎(山本甚造)/田島義文(久保田謙治)/中山豊(榎本正吉)/広瀬正一(鍛冶久一)/梅野公子(女中頭・お時)/池田正二(宇都宮支店次長)/宇野晃司(山崎池袋支店長代理)/西条康彦(探偵社事務員)/堤康久(比良野の板前)/加代キミ子(桑山の情婦A)/飛鳥みさ子(桑山の情婦B)/上村幸之(本店行員A)/浜村純(医師)/西條竜介(組幹部A)/坂本晴哉(桜井忠助)/岡部正(パトカーの警官)/草川直也(本店行員B)/大前亘(宇都宮支店行員A)/由起卓也(比良野の従業員)/山田圭介(銀行重役A)/吉頂寺晃(銀行重役B)/伊藤実(比良野の得意先)/勝本圭一郎/松本光男/加藤茂雄(宇都宮支店行員B)/細川隆一/大川秀子/山本青位●公開:1961/11●配給:東宝(評価:★★★☆)


黒い画集・証言119eb.jpg松本清張サスペンス「黒い画集・証言」.jpg「黒い画集・証言」(TV)●演出:松原信吾●制作:斎藤守恒/浜井誠/林悦子●脚本:大藪郁子●音楽:茶畑三男●原作:松本清張「証言―黒い画集」●出演:渡瀬恒彦/岡江久美子/有森也実/佐藤B作/段田安則/高樹澪/山口健次/高松いく/志水季里子/渡辺いっけい/須藤雅宏/高山千草/住若博之/宮崎達也/小林勝彦/布施木昌之/梶周平/太田敦之/中江沙樹/児玉頼信/森富士夫/三上剛仙/安威宗治/桝田徳寿/武田俊彦/岩永茂/小林賢二/下川真理子/黒田国彦●放映:1992/10(全1回)●放送局:TBS

008005001360.jpg天城越え03.png「天城越え」(TV)●演出:大岡進●脚本:金子成人●原作:松本清張「天城越え」●出演: 田中美佐子/蟹江敬三/二宮和也/風間杜夫/室天城越え ドラマ 田中美佐子5.jpg田日出男/柳沢慎吾/余貴美子/斉藤洋介/寺島しのぶ/長塚京三/松金よね子/六平直政/遠藤憲一/不破万作/松蔭晴香/中丸新将/佐戸井けん太/温水洋一/河原さぶ/佐久間哲/都家歌六●放映:1998/1(全1回)●放送局:TBS

黒い画集・紐2.png黒い画集 紐.jpg「黒い画集~紐」(TV)●演出:松原信吾●制作:小川治彦●脚本:田中晶子●音楽:川崎真弘●出演:余貴美子/大地康雄/内藤剛志/真野響子/石橋蓮司/萩原流行/山田純大/小沢真珠/田中隆三/根岸季衣●放映:2005/01(全1回)●放送局:BSジャパン/テレビ東京

 【1959年単行本・2005年新装版[光文社]/1960年ノベルズ版[光文社]/1971年文庫化・2003年改版[新潮文庫]】

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