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どの回も楽しく突っ込めるが、この回は"偽黒星"の黒子(ホクロ)か。

まぼろし探偵 第4巻 [DVD]5_.jpgまぼろし探偵 DVD-BOX2.jpgまぼろし探偵 Blu-ray.jpg『朝を呼ぶ口笛』.jpg
まぼろし探偵 第4巻 [DVD]」['07年]「まぼろし探偵 DVD-BOX」['09年]「まぼろし探偵 Blu-ray 【甦るヒーローライブラリー 第39集】」['21年]「<あの頃映画> 朝を呼ぶ口笛 [DVD]
まぼろし探偵 t.jpgまぼろし探偵 1.jpg 日の丸新聞社の記者・黒星十郎(花咲一平)はある日自分のことを「兄貴」と呼ぶやくざ風の青年と出会う。その事を聞いた当の"兄貴"である黒猫五郎(花咲一平、二役)はまぼろし探偵 2.jpg黒星本人に成り済まして彼の給料を前借りしたりする。図に乗った"偽黒星"は、吉野博士(カワベキミオ)からロケットの書類を奪って外国に売るという計画を立てる。しかし、その頃には、少年記者・富士進(加藤弘)に偽物の存在が見抜かれていた。ままぼろし探偵 進君.jpgまぼろし探偵 3.jpgまぼろし探偵 吉永.jpgぼろし探偵(加藤弘、二役)は本物の黒星に確実なアリバイを作ってやるため、富士警部(大平透)に黒星を明日まで警視庁で預かって欲しいと要請する。富士警部は、大塚刑事(鈴木志郎)に命じて、黒星に逮捕状を出す。ロケットの書類を奪い取った偽黒星は、吉野博士を殴って気絶させ、一緒にいた娘の吉野さくら(吉永小百合)を誘拐するが―。

「まぼろし探偵」桑田次郎 昭和33年9月 少年画報
まぼろし探偵.jpgまぼろし探偵 4.jpg 「まぼろし探偵」は1959(昭和34)年4月1日から1960(昭和35)年3月27日にかけて、全52回にわたり水曜18:15-18:45に放送されたもので(第28回から日曜の朝に変更)、原作は、1957年に『少年画報』に連載された桑田次郎(桑田二郎、1935-2020/85歳没)の漫画です(原作では「日の丸新聞社」は「少画新聞」)。また、当まぼろし探偵 コミック.jpg時14歳(中学2年生)だった吉永小百合の「赤胴鈴之助」に続くテレビ出演番組としても知られています(同じく子役時代の藤田弓子の出演している)。以前は3分の1くらいしかDVD化されていませんでしたが、その後、'07年に現存するうちの計49話を収録したがDVD化が発売され、昨年['21年]さらに50話収録の Blu-ray版(オリジナルも第24話以降は前編・後編となって、それをつなげているため全39集)が発売されています(当時はもちろんモノクロだが、最近では、彩色加工版もある)。

まぼろし探偵ま.jpg この第17話「犯人黒星十郎?」は、第1話「謎の怪電波」(武田信玄の子孫の復讐劇?)、第8話「れい迷教?」(当時流行りの新興宗教批判?)などと並んで面白いとされているエピソードですが、この回に限らず、同じKRT(現TBS)で前年スタートの「月光仮面」よりは全体的に洗練されてきているのではないでしょうか。この回で言えば、黒星記者に成りすましたチンピラのやることが、給料を前借り、かつ丼の注文、紳士服や靴、テレビの購入といったやたら生活染みたものであったりとか、依然、突っ込みどころは多いのですが、それはそれでまた別に意味での愉しみと言えるでしょう。

まぼろし探偵 新聞社.jpgまぼろし探偵 大平.jpg まぼろし探偵は第1話の時から世間に周知の存在であり、富士登警部(第1話から途中まで天草四郎、途中から大平透に交代)も全幅の信頼を置いていますが(まぼろ探偵に言われて黒星記者をほとんど人権蹂躙的に逮捕してしまうくらい(笑))、そのくせ"まぼろし探偵"の正体がさっきまで目の前にいた自分の息子・進少年であることに気がつきません(主題歌の2番に「親に心配かけまいと、あっという間の早変わり」とある)。

まぼろし探偵 吉永小百合 .jpgまぼろし探偵 まぼろし号.jpg 因みに、漫画で描かれるまぼろし探偵はバイクを操りますが、テレビ版は〈まぼろし号〉というフェアレディをベースにしたクルマが愛車で、これは探偵役の加藤弘がバイクに乗れなかったために用意されたとする説がありますが、加藤弘はまぼろし号の運転も無免許で行っていたと証言しています(バイクに乗ったスチール写真もあり、DVDカバーなどに使われまぼろし探偵じ.jpgている)。結構、撮影現場って道交法の遵守とかに関してはいい加減だったのかも(この他、飛行シーンはジェット機で、これはミニチュア特撮を駆使している。特撮は、「楢山節考」('58年/松竹)などに携わった矢島信男(1928-2019/91歳没)が、ちょうどこのこの頃は松竹から東映へ移籍する時期にあたり、松竹には内緒でアルバイトで担当、松竹から注意を受けたという)。

まぼろし探偵4枚y.jpg 吉野博士の娘、進のガールフレンドのさくら役という設定の吉永小百合は、テレビ番組放映中に人気が出て忙しくなったのか、最初の頃は進と一緒に事件について考えたりしていたのに、この頃にはスタート時ほど出ずっぱりではなく、この回にしても、中盤以降で父親の吉野博士と一緒に出てきて、あっという間に誘拐されてしまいます。誘拐グループが彼女を担ぎ上げて「わっしょい、わっしょい」と大声を出して運び(祭かいな)、すぐさま、まぼろし探偵に見つかってしまう。しかし、最後、まぼろし探偵も(博士から授かった電波ピストルを持っているのだが)徒手空拳の取っ組み合い。まあ、これは「月光仮面」も、宇宙人である「ナショナルキッド」でさえ最後はそうでしたが。それにしても少年の割には強い!

まぼろし探偵 宗教.jpg 花咲一平のシーリーズ唯一の一人二役の作品で、この人の演技、観ていて楽しいです。黒星十郎のキャラクターは、後の「ウルトラQ」の戸川一平(西條康彦)に引き継がれているのではないでしょうか。黒星はよく敵方に捕まって縛られている印象があり(第8話「れい迷教?」もそうだった)、進も敵方に捕まったりしていますが(第13話「金塊輸送車」など)、さくらが敵方につかまって縛られたというイメージは浮かびません。実際のところどうだったのでしょう。
第8話「れい迷教?」

まぼろし探偵 北tpy.jpg どの回も楽しく突っ込めますが、この回の最大の突っ込みどころは、花咲一平が演じる黒星十郎が、"偽黒星"の時は右頬にマジックでつけたような大きな黒子(ホクロ)がある点ではないでしょうか。観ていて今本物が出ているのか偽物が出ているのか分かりやすくしたのでしょうが、この黒子のことを誰も気づかないというのが、進行上の"お約束"ということなのでしょう。普通だったら「黒星さん、顔にマジックがついてますよ」って誰か言うだろうけれどね(笑)。

「朝を呼ぶ口笛」1.jpg「朝を呼ぶ口笛」2.jpg 因みに、吉永小百合はラジオのデビュー作がラジオ東京(現・TBSラジオ)の「赤胴鈴之助」('57年1月-'59年2月)であるのに対し、テレビのデビュー作がこの「まぼろし探偵」('59年4月-'60年3月)だと思っていたという人がいましたが、テレビのデビュー作もKRテレビ版の「赤胴鈴之助」('57年10月-'59年3月)です。一方、映画デビューは、「まぼろし探偵」の放映が始まる前月の'59年3月に公開の松竹映画「朝を呼ぶ口笛」でした。これは新聞配達を続けながら、夜間高校へ進学することを目指している中学生の少年が、母親が病気入院したところに父親の手術が重なって、両親と幼「朝を呼ぶ口笛」4.jpgい弟妹がいる家計を支えるために、学校も新聞配達も辞めて町工場で働くことにし、夢が消え落ち込んではいたところ、新聞販売店の仲間たちの力添えや配達先の少女の励ましに支えられ、再び以前の生活に戻ることができたというもの。その主人公の少年を励ます少女役が吉永小百合で、少年は少女に淡い想いを抱くも、最後、少女は父親の転勤で大阪に行くことになるという、言わば"ボーイ・ミーツ・ガール"&"別れ"というストーリーですが、この少年を演じていたのが「まぼろし探偵」こと富士進役の加藤弘でした。映画の方では、当時14歳の吉永小百合の方が加藤弘より大人びて見え、加藤弘の方は吉永小百合に励まされる役どころということもあってか、子供っぽく見えるので、加藤弘は「まぼろし探偵」で大変身を遂げたように思いました。

まぼろし探偵 藤田.jpg藤田弓子.jpg「まぼろし探偵(第17話)/犯人黒星十郎?」●制作年:1959年●監督:近藤竜太郎●企画:神山雄二●脚本:柳川創造●原作:桑田次郎(桑田二郎)●音楽:大塚一男●出演:加藤弘/吉永小百合/大平透/利根はる恵/花咲一平/カワベキミオ/藤田弓子●放送局:KRT(現TBS)●放送日:1959/07/22(評価:★★★☆)

藤田弓子(日の丸新聞社の給仕・みち子)当時13歳
     
●「まぼろし探偵」(全52話)放映ラインアップ(関東圏)
01 まぼろし探偵カラー版 「二人のまぼろし探偵」.jpg1959- 4- 1 水 18:15-18:45 謎の怪電
02 1959- 4- 8 水 18:15-18:45 時限爆弾
03 1959- 4- 15 水 18:15-18:45 透明人間の恐怖
04 1959- 4- 22 水 18:15-18:45 狙われた408列車
05 1959- 4- 29 水 18:15-18:45 二人のまぼろし探偵
06 1959- 5- 6 水 18:15-18:45 オリオン王国の秘密
07 1959- 5- 13 水 18:15-18:45 海王星から来た少年
08 「まぼろし探偵」編集長.jpg1959- 5- 20 水 18:15-18:45 れい迷教?
09 1959- 5- 27 水 18:15-18:45 進君危うし
10 1959- 6- 3 水 18:15-18:45 山火編集長おそわる
11 1959- 6- 10 水 18:15-18:45 怪人黒マント
12 1959- 6- 17 水 18:15-18:45 日本から逃がすな
13 1959- 6- 24 水 18:15-18:45 金塊輸送車
14 1959- 7- 1 水 18:15-18:45 怪盗紅バラ男爵
15 1959- 7- 8 水 18:15-18:45 青銅の仮面
16 1959- 7- 15 水 18:15-18:45 消えた花売娘
17 1959- 7- 22 水 18:15-18:45 犯人黒星十郎?
18 1959- 7- 29 水 18:15-18:45 ニセ札団
19 「まぼろし探偵」暗殺団.jpg1959- 8- 5 水 18:15-18:45 ゆうれい島
20 1959- 8- 12 水 18:15-18:45 白狐の挑戦
21 1959- 8- 19 水 18:15-18:45 暗殺団を倒せ
22 1959- 8- 26 水 18:15-18:45 海底魔人
23 1959- 9- 2 水 18:15-18-45 まだら蜘蛛の復讐・前篇
24 1959- 9- 9 水 18:15-18-45 まだら蜘蛛の復讐・後篇
25 1959- 9- 16 水 18:15-18:45 ウランの秘密・前篇
26 1959- 9- 23 水 18:15-18:45 ウランの秘密・後篇
27 1959- 9- 30 水 18:15-18:45 Xマン?・前篇
28 1959-10- 11 日 9:00- 9:30 Xマン?・後篇
29 1959-10- 18 日 9:00- 9:30 ダイヤの秘密・前篇
30 1959-10- 25 日 9:00- 9:30 ダイヤの秘密・後篇
31 1959-11- 1 日 9:00- 9:30 クラーク東郷・前篇
32 「まぼろし探偵」七色真珠.jpg1959-11- 8 日 9:00- 9:30 クラーク東郷・後篇
33 1959-11- 15 日 9:00- 9:30 ミイラ武者の復讐・前篇
34 1959-11- 22 日 9:00- 9:30 ミイラ武者の復讐・後篇
35 1959-11- 29 日 9:00- 9:30 七色真珠・前篇
36 1959-12- 6 日 9:00- 9:30 七色真珠・後篇
37 1959-12- 13 日 9:00- 9:30 国際密輸団・前篇
38 1959-12- 20 日 9:00- 9:30 国際密輸団・後篇
39 1959-12- 27 日 9:00- 9:30 謎の仮面博士・前篇
40 1960- 1- 3 日 9:30-10:00 謎の仮面博士・後篇
41 1960- 1- 10 日 9:00- 9:30 スパイ?・前篇
42 1960- 1- 17 日 9:00- 9:30 スパイ?・後篇
「まぼろし探偵」妖鬼.jpg43 1960- 1- 24 日 9:00- 9:30 謎のジョーカー・前篇
44 1960- 1- 31 日 9:00- 9:30 謎のジョーカー・後篇
45 1960- 2- 7 日 9:00- 9:30 妖鬼現わる・前篇
46 1960- 2- 14 日 9:00- 9:30 妖鬼現わる・後篇
47 1960- 2- 21 日 9:00- 9:30 黒星故郷へ帰る・前篇
48 1960- 2- 28 日 9:00- 9:30 黒星故郷へ帰る・後篇
49 1960- 3- 6 日 9:00- 9:30 仙人沼のせむし男・前篇
50 1960- 3- 13 日 9:00- 9:30 仙人沼のせむし男・後篇
51 1960- 3- 20 日 9:00- 9:30 邪魔者は倒せ・前篇
52 1960- 3- 27 日 9:00- 9:30 邪魔者は倒せ・後篇


まぼろし探偵   吉永小百合.jpgまぼろし探偵 1シーン.jpg「ぼろし探偵」●演出:近藤龍太郎●制作:近藤栽/松村あきお●脚本:柳川創造●音楽:大塚一男/渡辺浦人/渡辺岳夫●特撮:矢島信男(ノンクレジット)●原作:桑田次郎●出演:加藤弘/天草四郎/吉永小百合/大平透/利根はる恵/花咲一平/カワベキミオ/大宮敏/藤田弓子/ウィリアム・ロス●放映:1959/04~1960/03(全52回)●放送局:KRT(現TBS)

「朝を呼ぶ口笛」3.jpg「朝を呼ぶ口笛」●制作年:1959年●監督:生駒千里●製作:桑田良太郎●脚本:光畑碩郎●撮影:篠村荘三郎●音楽:鏑木創●原作:吉田稔「新聞配達」(全国中小学生綴り方コンクール文部大臣賞受賞)●時間:62分●出演:加藤弘/織田政雄/井川邦子/鳥居博也/羽江マリ/田村高廣/瞳麗子/山内明/殿山泰司/沢村貞子/吉永小百合/田村保/吉野憲司/田中晋二/真塩洋一/土紀洋兒/井上正彦/人見修/後藤泰子/村上記代/秩父晴子●公開:1959/03●配給:松竹(評価:★★★☆)
「朝を呼ぶ口笛」v.jpg

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やや"べた"だが、ラストの吟子(吉永小百合)が涙ぐむシーンにはほろっときた。

『おとうと』2010.jpg 「おとうと」0.jpg 「おとうと」40.jpg
あの頃映画 松竹DVDコレクション おとうと」笑福亭鶴瓶/吉永小百合

「おとうと」蒼2.jpg 結婚してすぐに夫を亡くし、小さな薬局を営みながら、女手一つで娘の小春(蒼井優)を育てた姉・吟子(吉永小百合)と、役者としての成功を夢み、無為に歳を重ねてしまった風来坊の弟・鉄郎(笑福亭鶴瓶)。鉄郎は姉・吟子の夫の十三回忌の席で酔っ払って大暴れし、親類中の鼻つまみ者となっていた。以後10年近く吟子との連絡も途絶えていたが、娘のように可愛がっていた姪の小春が結婚することをたまたま知り、披露宴に駆けつけた。歓迎されざる客を追い返そうとする親類「おとうと」 1.jpgを吟子は取りなし、鉄郎に酒は一滴も飲まないと約束させて披露宴に参加させた。しかし鉄郎は目の前に置かれた酒の誘惑に抵抗できず、あっさりと約束を破ったばかりか酔っぱらって大騒ぎを演じ、披露宴を台無しにしてしまう。その事件は、後に小春の結婚が破綻する一因ともなる。結婚式での乱行に激怒した親類らが次々と絶縁を決め込む中、ただ一人、吟子だけは鉄郎の味方だったが、その吟子も、ある事件をきっかけについに鉄郎に絶縁を言い渡してしまう。鉄郎は悪態を吐いて出て行くが、 このときすでに鉄郎は死の病に取り付かれていた―。
山田洋次監督in 第60回ベルリン国際映画祭(2010年2月20日) photo:KAZUKO WAKAYAMA
「おとうと」山田監督ベルリン.jpg「おとうと」山田吉永ベルリン.jpg 山田洋次(1931年生まれ)監督の2010年1月30日公開作で、同年2月11日開催の第60回ベルリン国際映画祭でクロージング上映されて、この時、山田洋次監督は特別功労賞に当たるベルリナーレ・カメラ賞を受賞しています(日本人では過去、2000年に市川崑監督、2001年に熊井啓監督の2名が受賞)。前作「母べい」('08年)が第58回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品され、受賞を逃したものの好評だったことが伏線としてあるのかもしれません(この映画祭では後に「小さいおうち」('14年)で黒木華が最優秀女優賞(銀熊賞)を取ることになる)。

市川崑監督「おとうと」('60年/大映)岸惠子
「おとうと」kisi.jpg 「おとうと」('60年/大映)を撮った市川崑監督に捧げられた作品となっていて、病に倒れた弟に姉が鍋焼きうどんを食べさせるシーンや、二人がリボンで手をつないで眠るシーンがオマージュとして反復されていると言われていますが、これは共に幸田文による原作『おとうと』にある場面です。ただし、原作は17歳の姉から見た14歳の弟を描いたものであり、市川崑版は岸惠子が28歳で姉を演じたということはあるものの、一応原作をベースとしているのに対し、この山田洋次版は原作とはうんと年齢差があり、時代背景や家庭環境も異なるので、ほとんどこの二つのモチーフだけを原作から借りてきたと言ってもいいくらいではないかと思います。

「おとうと」末後.jpg 映画は、前作「母べい」よりもっと"べた"になった感じがしなくもないですが、昔はこういう映画をあまり評価しなかったけれど、最近はいいなあと思うようになって、これは年齢のせいでしょうか? 批判しようと思ったらいくらでもできるのですが、山田洋次監督に山田洋次的でないものを求めても仕方がないという気がするといのもあります。

「おとうと」 l1.jpg.png でも、鉄郎が亡くなった後のラストで、小春(蒼井優)の亨(加瀬亮)との結婚式を前にして、加藤治子(1922-2015)演じる母のボケからくる「あの変わり者の弟を呼んであげないとかわいそうだ」という言葉に絡めて、小春の結婚式に鉄郎はもう来ることないという現実が吟子を涙ぐませる場面にはさすがにほろっときました(このシーンが一番。笑福亭鶴瓶もラッシュうを観て「涙が出ましたわ」「あのラストは最高」と言っている)。小春の最初の結婚式に鉄郎がきて、式をぶち壊しにしてしまったこととの対比で、上手いなあと思いました。亡くなった人って、こういう時にふっと今そこにいるかのように目に浮かぶのだろなあ。

 考えてみれば、夢破れたもののそれなりに好き勝手やって、本来なら野垂れ死にしてもおかしくないところ(笑福亭鶴瓶は前作「母べい」では、同じ叔父さん役でも野垂れ死する役だった)、最期は最愛の肉親に看取られて死ねるというのは、ある意味ハッピーエンドなのかも。

 そのハッピーエンドを生み出したものとして、身寄りのない人のための民間ホスピス「みどりのいえ」とそこで働く所長の小宮山進(小日向文世)、小宮山千秋(石田ゆり子)ら親切な人々の存在があったわけで、そういう施設や人々にフォーカスしている点はいいと思いました。実在の施設を取材しているそうですが、ただし、在阪ではなく台東区の山谷にある「きぼうのいえ」だそうです。

「おとうと」1蒼.jpg 吉永小百合は、33歳の女性をやつれ感を出しながら演じた「母べえ」の時よりもさらに綺麗になっている感じ。笑福亭鶴瓶は、最後の方は、朝7時に起きてサウナスーツで走って、サウナに1時間くらい入って、水も飲まずにボクシングを9ラウンドまでやって減量したそうですが、その努力もさることながら、演技の方で魅せることも忘れてなかったように思います。

 「母べえ」とどちらが上か人によって意見は分かれるかと思いますが、個人的には、全体を通して「母べえ」が良かったけれど、最後で「おとうと」が追いついたという感じでしょうか。ああ、年齢と共に山田作品への評価がどんどん甘くなってくる(笑)。

「おとうと」syutuen.jpg「おとうと」●制作年:2010年●監督:山田洋次●脚本:山田洋次/平松恵美子●撮影:近森眞史●音楽:冨田勲●原作:幸田文●時間:126分●出演:吉永小百合/笑福亭鶴瓶/蒼井優/加瀬亮/小林稔侍/森本レオ/芽島成美/ラサール石井/佐藤蛾次郎/池乃めだか/田中壮太郎/キムラ緑子/笹野高史/小日向文世/横山あきお/近藤公園/石田ゆり子/加藤治子●公開:2010/01●配給:松竹(評価:★★★★)

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「みんな死んでしまった」という映画だが良かった。「忍ぶ恋」映画でもあった。

母べえ dvd.jpg母べえ 0.jpg 母べえ 単行本.jpg 野上 照代.jpg
あの頃映画 松竹DVDコレクション 母べえ」『母べえ』['07年/中央公論新社]野上照代氏
母べえ 6.jpg 昭和15年(1940年)の東京、野上家ではユーモアを愛する父・滋(坂東三津五郎)の考えからか家族に「べえ」をつけるのが習慣になっていて、母親・佳代(吉永小百合)のことを「母(かあ)べえ」父親のことを「父(とお)べえ」と呼んでいた。娘の初子(初べえ)(志田未来)と照美(照べえ)(佐藤未来)は、その二人の愛に包まれて育ち、家庭は平穏だった。だが日中戦争の激化とともに国情は変化し、帝国大学出身のドイツ文学者で反戦思想をもっていた父が治安維持法違反の思想犯として投獄され、暮らしが一変する。残された三人はそれでも父を信じ、陰膳をして待っている。やがて母の故郷・山口から警察署長をしている祖父・久太郎(中村梅之助)が上京してきて「恥をかかせた」と、佳代を厳しく罵る。それでも、彼女らの家を温かい目で見つめる人々が去来する。父のかつての教え子で小さな出版社に勤めていた山崎徹(浅野忠信)は、不器用だが優しい性格で初子と照美に親しまれ、「山ちゃん」の愛称で野上家に欠かせない存在となる。父がいつ帰れるか見通しが立たないため、母は隣組長の世話で小学校の代用教員として一家の家計を支え始める。帰宅すれば深夜まで家の雑事に追われる。時折、父の妹で画家を目指す叔母・久子(檀れい)が手伝いにきてくれる。夏休みの間だけ、「招かれざる客」叔父の仙吉(笑福亭鶴瓶)が奈良から上京してくる。変わり者の仙吉はデリカシーのない発言をして思春期を迎えた初子に嫌われるが、自由奔放な姿は佳代の心を癒し、金の指輪を母にと山崎に託して帰る(戦後、自身の予言通り吉野の山で野垂れ死にしていた)。ふみ(左時枝)と再婚した久太郎が上京してきて、思想犯となった父との離婚を命じ、できなければ自害しろ、勘当だと迫るが母の心は少しも揺るがない。母が倒れ、山崎が飛んでくるが、疲労からの病気だった。夏になり、海水浴に行くが山崎が溺れそうになり、母が助ける。秋になり、久子に山崎と結婚しないの?と尋ねる佳代に、山崎は佳代に恋心を抱いていることを告げて故郷に帰る。昭和16(1941)年12月8日、太平洋戦争が勃発。昭和17年の正月に父が獄死という電報が来て、その後にクリスマスに書いた父の手紙が届く。追い打ちをかけるように、近眼で左の耳が聞こえない山崎にも赤紙が届く。3年後に終戦。久子は広島で被爆して亡くなっていた。山崎の戦友がきて、南方の海に消えた山崎の最後の言葉を伝える。美術教師となった照美(戸田恵子)が初子(倍賞千恵子)が医師として勤める病院に入院している母の容態が悪化したと聞いて駆けつける。「もうすぐ父べえに会えるね」というと、母は「あの世でなんか会いたくない、生きている父べえに会いたい」と悲痛な言葉を呟く―。

母べえ 出演者.jpg 山田洋次(1931年生まれ)監督の2008年監督作で、第58回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門出品作。原作は映画スクリプターの野上照代(1927年生まれ)。黒澤明監督の「羅生門」にスクリプターとして参加し、以降、全黒澤作品に関わった人です。1984年の読売女性ヒューマン・ドキュメンタリー大賞に「父へのレクイエム」という題名で応募され(当初は57歳になって54歳で亡くなった父のことを書いたので「年下の父へ」という題だった)、優秀賞を受賞。山路ふみ子功労賞も併せて受賞しています。2007年12月、翌年の映画公開を前に、中央公論新社から『母べえ』として、単行本として刊行されています。

 野上照代の父・野上巖(映画では滋)は、戦前から新島繁のペンネームで活躍したドイツ文学者、芸術研究者で、作品とは異なり、1940年に転向したため保釈されています。したがって、原作で父親が最後に拘置所で37歳で急死するのはフィクションであり、応募規定の中にも「多少のフィクションは許される」とあり、なるべく当選するようにと、やや事実を変えてドラマチックな最後にしたそうで、野上巖は、戦後は神戸大学教授などを歴任しています。ただし、原作に挿入されている拘置所内の父親と妻子との往復書簡などは、父・巖が戦後、散逸しないように大学ノートに書き写していたものだそうです。

母べえ dvd.jpg 原作にある作者による挿画は、映画化が決まってから母べいのイメージや出来事の状況を可視化するものとして描かれたのでしょうが、これがいい味を出していて、映画でもその通りのシーンがいくつも出てきます。映画は、1940(昭和15)年から翌年、昭和16年までの太平洋戦争開戦前までの1年間の、思想統制が強まっていく時代の流れと市井の人々の生活の変化がよく描かれていて、昭和16年12月8日にいきなり"戦時"になったわけではないことが伝わってきました。

 といっても、必ずしもすべてが原作通りではなくて、いちばん大きく異なるのは、主人公の母子を見守る青年・山崎の温かい視線が前面に出されていることでしょう(原作では山本という名前になっている)。父親が獄中にいるために代理の男親の役割を果たしている点で疑似家族的とも言えるし、山崎が恋人(叔母・久子)がいながら佳代に恋心を抱いている点も含め、後の「小さいおうち」('14年)に連なるモチーフでもあるように思いました。山崎の戦友が語った彼の最後の言葉「僕はもうこの世にはいないけれど、魂はいつまでもあなた方といて護ってあげる」という言葉には泣かされますが、原作の"山ちゃん"は映画の久子の相当する女性に恋をしており、戦争に行って船が沈められて死ぬという結末も用意されていません。

母べえ うみ.jpg 吉永小百合(1945年生まれ)の配役は、山田洋次監督がすぐに思い浮かび、吉永小百合も原作を読んでこの役をとても演りたいと思ったものの年齢的に躊躇していたところ、当時の母親はみな疲れていたんだという山田洋次監督の説得で決まったようです。それにしても、62歳で33歳の役、しかも浅野忠信(当時35歳)演じる山崎青年に恋心を抱かせるという設定が見ていてそう不自然でないのがスゴイ。原作にはない山崎の戦死(彼は泳げないので泳ぎが得意な戦友に先ほどの言葉を託す)の伏線として、山崎が母子と海水浴に行って溺れる場面がありますが、それを泳いで助けにいくのが吉永小百合演じる母べいでした(さすが2000年・第1回「ベストスイマー賞」受賞者! 着衣水泳でも本領発揮! )。

吉永小百合 ベルリン.jpg 第58回ベルリン国際映画祭の公式上映を前に赤じゅうたんを歩く吉永小百合。奥は山田洋次監督と原作者の野上照代(2008年2月13日)(スポニチ)

母べい t.jpg 父べえの獄死は原作通りで、羽振りの良かった叔父の仙吉(笑福亭鶴瓶)が自らの予言通り吉野の山で野垂れ死にしたというエピソードは原作通りですが、叔母・久子(壇れい)も帰郷後に原爆死、山崎も戦死し、しかも映画の最後に後日譚として母べいの死をもってきているので、「みんな死んでしまった」という、「死」の色合いが濃い映画になっていたようにも思います(山崎の「忍ぶ恋」の映画でもあった)。でも、(母べいの最期の言葉も含め)個人的にはそれで良かったように思います。
戸田恵子(大人になってからの照美(照べえ))・倍賞千恵子(大人になってからの初子(初べえ))/吉永小百合(佳代(母べえ))
母べい r.jpg

 俳優陣で、今観ると、亡くなっている人が多いのが寂しいです。父べいの野上滋を演じた坂東三津五郎が2015年に59歳で亡くなっているほか、祖父・久太郎を演じた中村梅之助が2016年に85歳で、野村医師を演じた大滝秀治が2012年に82歳で亡くなっています。
坂東三津五郎(滋(父べえ))/中村梅之助(久太郎(佳代の父・山口の警察署の署長))/大滝秀治(野村医師)
母べえ 3.jpg
坂東三津五郎(1956-2015/59歳没)
母べえ 出演者2.jpg坂東三津五郎.jpg「母(かあ)べえ」●制作年:2008年●監督:山田洋次●製作:松本輝起●脚本:山田洋次/平松恵美子●撮影:長沼六男●音楽:冨田勲●原作:野上照代「母(かあ)べえ」●時間:132分●出演:吉永小百合/浅野忠信/檀れい/志田未来/佐藤未来/笹野高史/でんでん/神戸浩/近藤公園/中村梅之助/赤塚真人/吹越満/左時枝/鈴木瑞穂/倍賞千恵子/戸田恵子/大滝秀治/笑福亭鶴瓶/坂東三津五郎●公開:2008/01●配給:松竹(評価:★★★★)

【2010年文庫化/中公文庫】

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部分部分の描写に研ぎ澄まされたものがある。主人公は「ストーカー」且つ「ロリコン」?

『伊豆の踊子』.JPG伊豆の踊子 新潮文庫 旧版.jpg 伊豆の踊子 新潮文庫.gif   伊豆の踊子 集英社文庫.jpg
新潮文庫新版・旧版『伊豆の踊子 (新潮文庫)』『伊豆の踊子 (集英社文庫)』(カバー絵:荒木飛呂彦)


川端 康成2.jpg初版本複刻 伊豆の踊子.jpg 1926(大正15)年、川端康成(1899- 1972)が26歳の時に発表された作品で、主人公は数え年二十歳の旧制一高生ですが、実際に作者が、1918(大正7)年の旧制第一高2年(19歳)当時、湯ヶ島から天城峠を越え、湯ヶ野を経由して下田に至る4泊5日の伊豆旅行の行程で、旅芸人一座と道連れになった経験に着想を得ているそうです。

1927(昭和2)年『伊豆の踊子』金星堂['85年復刻版]

 個人的には最初にこの作品を読んだのは高校生の時で、川端作品では『掌の小説』や『眠れる美女』なども読んでいましたが、この作品については何となく手にするのが気恥ずかしいような気がして、それらより読むのが若干ですがあとになったのではなかったかと思います。当時は中高生の国語の教科書などにもよく取り上げられていた作品で、既にさわりの部分を授業で読んでしまっていたというのもあったかも知れません。

オーディオブック(CD) 伊豆の踊子.jpg この作品について、作者は三島由紀夫との座談の中で、「作品は非常に幼稚ですけれどもね、(中略)うまく書こうというような野心もなく、書いていますね。文章のちょっと意味不明なところもありますし、第一、景色がちょっとも書けていない。(中略)あれは後でもう少しきれいに書いて、書き直そうと思ったけれども、もう出来ないんですよ」と言っていますが、全体構成においての完成度はともかく、部分部分の描写に研ぎ澄まされたものがあり、やはり傑作ではないかと。
[オーディオブックCD] 川端康成 著 「伊豆の踊り子」(CD1枚)

 一高生の踊子に対する目線が「上から」だなどといった批判もありますが、むしろ、関川夏央氏が、この小説は「純愛小説」と認識されているが、今の時代に読み返すと、ずいぶん性的である、主人公の「私」は、踊子を追いかけるストーカーの一種である、というようなことを書いていたのが、言い得ているように思いました(主人公と旅芸人や旅館の人達との触れ合いもあるが、彼の夢想のターゲットは踊子一人に集中していてるように思う)。

 読後、長らくの間、踊子は17歳くらいの年齢だといつの間にか勘違いしていましたが、主人公が共同浴場に入浴していて、踊子が裸で手を振るのを見るという有名な場面で(この場面、かつて教科書ではカットされていた)、主人公自身が、踊子がそれまで17歳ぐらいだと思っていたのが意外と幼く、実は14歳ぐらいだったと知るのでした(「14歳」は数えだから、満年齢で言うと13歳、う~ん、ストーカー気味であると同時にロリコン気味か?)。

 日本で一番映画化された回数の多い(6回)文芸作品としても知られていますが、戦後作られた「伊豆の踊子」は計5本で(戦後だけでみると三島由紀夫の「潮騒」も5回映画化されている。また、海外も含めると谷崎潤一郎の「」も戦後5回映画化されている)、主演女優はそれぞれ美空ひばり('54年/松竹)、鰐淵晴子('60年/松竹)、吉永小百合('63年/日活)、内藤洋子('67年/東宝)、山口百恵('74/東宝)です。

  1933(昭和8)年 松竹・五所平之助 監督/田中絹代・大日方伝
  1954(昭和29)年 松竹・野村芳太郎 監督/美空ひばり・石浜朗
  1960(昭和35)年 松竹・川頭義郎 監督/鰐淵晴子・津川雅彦
  1963(昭和38)年 日活・西河克己 監督/吉永小百合・高橋英樹(a)
  1967(昭和42)年 東宝・恩地日出夫 監督/内藤洋子・黒沢年男
  1974(昭和49)年 東宝・西河克己 監督/山口百恵・三浦友和(b)

 今年('10年)4月に亡くなった西河克己監督の山口百恵・三浦友和主演のもの('74年/東宝)以降、今のところ映画化されておらず、自分が映画館でしっかり観たのは、同じ西河監督の吉永小百合・高橋英樹主演のもの('63年/日活)。この2つの作品の間隔が11年しかないのが意外ですが、山口百恵出演時は15歳(映画初主演)だったのに対し、吉永小百合は18歳 (主演10作目)でした(つまり、2人の年齢差は14歳ということか)。

伊豆の踊子 1963.jpg(a) 伊豆の踊子 1974.jpg(b)

伊豆の踊子 吉永小百合.jpg伊豆の踊子 吉永小百合主演 ポスター.jpg 吉永小百合(1945年生まれ)・高橋英樹版は、宇野重吉扮する大学教授が過去を回想するという形で始まります(つまり、高橋英樹が齢を重ねて宇野重吉になったということか。冒頭とラストでこの教授の教え子(浜田光夫)のガールフレンド役で、吉永小百合が二役演じている)。

伊豆の踊子 十朱幸代.jpg 踊子の兄で旅芸人一座のリーダー役の大坂志郎がいい味を出しているほか、新潮文庫に同録の「温泉宿」(昭和4年発表)のモチーフが織り込まれていて、肺の病を得て床に伏す湯ケ野の酌婦・お清を当時20歳の十朱幸代(1942年生まれ)が演じており、こちらは、吉永小百合との対比で、こうした流浪の生活を送る人々の蔭の部分を象徴しているともとれます。西河監督の弱者を思いやる眼差しが感じられる作りでもありました。

0バス通り裏toayuki1.jpgバス通り裏.jpg「バス通り裏」岩下・十朱.jpg 因みに、十朱幸代のデビューはNHKの「バス通り裏」で当時15歳でしたが、番組が終わる時には20歳になっていました。また、岩下志麻(1941年生まれ)も'58年に十朱幸代の友人役としてこの番組でデビューしています。

      
「バス通り裏」岩下志麻 / 米倉斉加年・十朱幸代・岩下志麻 / 十朱幸代
バス通り裏_-岩下志麻2.jpg バス通り裏 米倉・十朱.jpg バス通り裏 十朱幸代.jpg

「バス通り裏」テーマソング.jpg 「バス通り裏」テーマソングレコード

「サンデー毎日」1963(昭和38)年1月6日号 「伊豆の踊子 [DVD]
正月(昭和38年)▷「サンデー毎日」の正月.jpg伊豆の踊子 (吉永小百合主演).jpg「伊豆の踊子」●制作年:1963年●監督:西河克己●脚本:三木克己/西河克己●撮影:横山実●音楽:池田正義●原作:川端康成●時間:87分●出演:高橋英樹/吉永小百合/大川端康成 伊豆の踊子 吉永小百合58.jpg坂志郎/桂小金治/井上昭文/土方弘/郷鍈治/堀恭子/安田千永子/深見泰三/福田トヨ/峰三平/小峰千代子/浪花千栄子/茂手木かすみ/十朱幸代/南田洋子/澄川透/新井麗子/三船好重/大倉節美/高山千草/伊豆見雄/瀬山孝司/森重孝/松岡高史/渡辺節子/若葉めぐみ/青柳真美/高橋玲子/豊澄清子/飯島美知秀/奥園誠/大野茂樹/花柳一輔/峰三平/宇野重吉/浜田光夫●公開:1963/06●配給:日活●最初に観た場所:池袋・文芸地下(85-01-19)(評価:★★★☆)●併映:「潮騒」(森永健次郎)
川端&吉永.jpg川端&吉永2.jpg
映画「伊豆の踊子」の撮影現場を訪ねた川端康成。川端康成は自作の映画化の撮影現場をよく訪ね、とりわけ「伊豆の踊子」の吉永小百合がお気に入りだったという。

バス通り裏.jpgバス通り裏2.jpg「バス通り裏」●演出:館野昌夫/辻真先/三浦清/河野宏●脚本:筒井敬介/須藤出穂ほか●音楽:服部正(主題歌:ダーク・ダックス)●出演:小栗一也/十朱幸代/織賀邦江/谷川勝巳/武内文平/露原千草/佐藤英夫/岩下志麻/田中邦衛/米倉斉加年/水島普/島田屯/宮崎恭子/本郷淳/大森暁美/木内三枝子/幸田宗丸/荒木一郎/伊藤政子/長浜『グラフNHK』創刊号の表紙.jpg藤夫/浅茅しのバス通り裏 yonekura iwashita.jpgぶ/高島稔/永井百合子/鈴木清子/初井言栄/佐藤英夫/松野二葉/溝井哲夫/津山英二/西章子/稲垣隆史/山本一郎/大森義夫/鈴木瑞穂/三木美知子/原昴二/蔵悦子/高橋エマ/網本昌子/常田富士男●放映:1958/04~1963/03(全1395回)●放送局:NHK

米倉斉加年/岩下志麻

十朱幸代「グラフNHK」1960(昭和35)年5月1日号(創刊号)

『伊豆の踊子』 (新潮文庫) 川端 康成.jpg伊豆の踊子・禽獣 (角川文庫クラシックス) 川端康成.jpg 【1950年文庫化・2003年改版[新潮文庫]/1951年再文庫化[角川文庫(『伊豆の踊子・禽獣』)]/1952年再文庫化・2003年改版[岩波文庫(『伊豆の踊子・温泉宿 他四篇』)]/1951年再文庫化[三笠文庫]/1965年再文庫化[旺文社文庫(『伊豆の踊子・花のワルツ―他二編』)]/1972年再文庫化[講談社文庫(『伊豆の踊子、十六歳の日記 ほか3編』)]/1977年再文庫[集英社文庫]/1980年再文庫[ポプラ社文庫]/1994年再文庫[ポプラ社日本の名作文庫]/1999年再文庫化[講談社学芸文庫(『伊豆の踊子・骨拾い』)]/2013年再文庫化[角川文庫]】

伊豆の踊子・禽獣 (1968年) (角川文庫)
伊豆の踊子 (新潮文庫)

伊豆の踊子 [VHS]木村拓哉.jpg日本名作ドラマ『伊豆の踊子』(TX)
1993年(平成5年)6月14日、21日(全2回) 月曜日 21:00 - 21:54
脚本:井手俊郎、恩地日出夫/演出:恩地日出夫/制作会社:東北新社クリエイツ、TX
出演:早勢美里(早瀬美里)、木村拓哉、加賀まりこ、柳沢慎吾、飯塚雅弓、大城英司、石橋蓮司

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