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頭の体操  〈第7集〉122.jpg パズルの基本は、時代を経てもあまり変わっていないのかも。

頭の体操 第11集.jpg     頭の体操1-6.jpg
頭の体操〈第11集〉夢のスーパー・ベースボール・パズル (カッパ・ブックス)』(カバーイラスト:松下進) 『頭の体操〈第1集〉~〈第6集〉』(カバーイラスト:伊坂芳太良(第1~4集)/水野良太郎(第5~6集))『頭の体操 (第7集) (カッパ・ブックス)』(カバーイラスト:水野良太郎)
[下]『頭の体操 第1集』['66年]より(イラスト:水野良太郎)

頭の体操 〈第7集〉.jpg頭の体操 水野良太郎.jpg 多湖輝氏の『頭の体操』は正規シリーズで23集までありますが、第1集が'66(昭和41)年12月刊行で、翌'67年に第2集から第4集が刊行され、その後約10年のブランクがあって、'77(昭和52)年とその翌'78年に第5集と第6集が、更に7年の間隔が空いて'85(昭和60)年に第7集が刊行されています(第7集のカバー裏の推薦文はプロスキーヤーの三浦雄一郎氏が書いている)。'86(昭和51)年刊行の第8集以降はカバーイラストが水野良太郎(1936-2018)(第1集から第4集までのカバーイラストは伊坂芳太良、本文イラ『頭の体操』第7集うら12.pngストは水野良太郎が永らく描いていた)から松下進に交替し、以降15年間ほぼ毎年刊行されて2001年刊行の第23集までいき、そこでようやっと「打ち止め」―という感じでしょうか)。

『頭の体操〈第1集〉~〈第7集〉』(カバーイラスト:伊坂芳太良(第1~4集)/水野良太郎(第5~7集))
2『頭の体操』第1~7集1.jpg
                                                                                                                         
 全23集のうちの後半の方は、刊行が続いていたこと自体あまり印象が無いのですが、ちょうど真ん中あたりに当たるこの第11集は'89(平成元)年の刊行で、このシリーズは第10集まで文庫化されていますが、この第11集以降は文庫化されていないようです。振り返ってみれば、この頃にはもうプロのクイズ作家が作問したり、一般公募して寄せられた問題の中から選んだりしていたのだなあと(「あるなしクイズ」の考案者として知られるクイズ作家の芦ヶ原伸之(1936-2004)が第5集から参画し、また、第5集刊行時から一般に問題を公募している)。
       
 著者・多湖輝氏(この年に千葉大の「名誉教授」になっている。シリーズ最初の頃は「助教授」だった)のカラーがちょっと見えにくくなっているかなあ。テーマは「ベースボール」だけど、あまり"野球繋がり"が感じられない問題が多いように思います。

 中には屁理屈問題も無くは無いですが、概ね1つ1つのパズルの質自体は落ちていないと思われ、今テレビでやっているクイズ番組(ブームと言ってもいいくらい、いっぱいやっているなあ)で出されているような問題と同レベルかそれよりはやや難しいかも。

 「犬⇔神」「壺⇔頂上」「十⇔網」の3つのグループにある法則を探せとか、「(A)3、4、7、8」「(B)1、1、9、9」の各4つの数字を1回ずつ使って、+-×÷の記号と()の組み合わせで、それぞれ答えを「10」にしなさいとか。

 前者の問題は、単語を英語に置き換えてみればわかります(こういうのは最近のテレビのクイズ番組などでもよく見かける)。後者の問題は、これが出来れば算数の天才と思っていいとのこと。分数(割り算)を使うのがミソですが、ヒントをもらったとしても解けなかったと思います。
 
頭の体操 1-162.jpg そう言えば、有名進学校の数学研究会か何かで、予めミッション数を定め、トランプを順番にめくっていき、四則記号との組み合わせでミッション数になる組み合わせを早く見つけ出すことを競うパズルを、日頃からやっているのをテレビで見たことがあります。

 最近の「脳トレ」とかを見ても(今はみんなDSでやるんだなあ)、パズルの基本は、時代を経てもあまり変わっていないような気がします。問題が解ける人よりも、問題を作っている人の方が頭いい?

 「Yahoo!オークション」に第1集から第16集までまとめて出点されていました。一部現在自分の手元にあるものもあるためわざわざ買わないけれど。

《読書MEMO》
水野 良太郎 2018年10月30日死去
水野 良太郎.jpg

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『頭の体操』シリーズ"第1期"4冊の最終弾。ここまでの4冊で売り尽くした?

頭の体操2872.JPG 頭の体操4.bmp頭の体操〈第4集〉.jpg  頭の体操 パズル・クイズで脳ミソを鍛えよう 多湖輝.jpg頭の体操第1集.jpg
頭の体操〈第4集〉―これがカラー・テレビ式パズルだ (1967年) (カッパ・ブックス)』『頭の体操〈第1集〉―パズル・クイズで脳ミソを鍛えよう (カッパ・ブックス)』(カバーデザイン:田中一光//カバーイラスト:伊坂芳太良

頭の体操 〈第1―4集〉.JPG頭の体操 第2集・第3集.jpg 『頭の体操』の第1集「パズル・クイズで脳ミソを鍛えよう」は'66(昭和41)年刊行で、この第1集だけで250万部発行されたそうで、昭和のベストセラーの中でも、最も短期間で100万部に達した本の1冊でもあります。刊行が12月だったため、翌'67(昭和42)年のベストセラーランキングで第1位となっており、この年には、第2集「百万人の脳ミソに再び挑戦する」、第3集「世界一周旅行をパズルでやろう」も、それぞれベストセラーランキングの第3位と第6位に入っています。

頭の体操 第2集 百万人の脳ミソに再び挑戦する (カッパ・ブックス)』『頭の体操〈第3集〉―世界一周旅行をパズルでやろう (1967年) (カッパ・ブックス)』(カバーイラスト:伊坂芳太良) 

 この第4集「これがカラー・テレビ式パズルだ」('67年刊行)は、翌'68(昭和43)年のベストセラーランキング第5位。結局、『頭の体操』の正規シリーズとしては第23集('01年)まで出されていて、累計で1200万部売れたそうですが、この第4集までの勢いがとにかく凄かったようです。

 第4集の刊行と第5集の刊行の間に約10年もの間隔があり(新海均著『カッパ・ブックスの時代』('13年/河出ブックス)によれば、著者の多湖輝にドクターストップがかかったとのこと)、第4集までが、このシリーズの言わば"第1期"と言っていいのではないでしょうか(第1集から第4集までの表紙イラストは:伊坂芳太良(いさか・よしたろう))。この4冊で売り尽く頭の体操 第6集 2.jpg頭の体操 第5集 - 2.jpgしたと言う感じで、それに比べると、シリーズ再開後の第5集・第6集まではまだ個人的にも何となく「こんな問題、あったなあ」という印象がありますが、表紙カバーイラストが水野良太郎(1936-2018)から松下進に交替した第8集以降は記憶の影が薄いか、或いはそもそも読んでいないかも(本文イラストは水野良太郎が永らく描いていた)。
頭の体操〈第5集〉―天才のパーティに参加しよう (1977年) (カッパ・ブックス)』『頭の体操 第6集 (カッパ・ブックス)』(カバーイラスト:水野良太郎)

頭の体操 多湖明 文庫.jpg頭の体操1-6.jpg '66年から'78年の間に刊行された第1集から第6集までは後に文庫化もされ(最終的には第10集まで文庫化された)、'09年には過去問から抜粋した「BEST」集も出されていて、ニンテンドーDS用にソフト化されているし、時々ぶり返すようにブームになっているみたいです。こうした根強い人気の背景には、「パズル」の基本を押さえたオーソドックスな問題が数多く採り入れられていたということがあるのかもしれません。

「頭の体操」4 多胡輝.jpg この第4集は、「これがカラー・テレビ式パズルだ」というなんだか時代を感じさせるサブタイトルですが、当時のテレビ番組をモチーフとして番組の放送時間順にクイズが構成されています(モノスコープのテストパターンが時代を感じさせる)。因みに、当時のカラーの世帯普及率は'68(昭和43)年で4.4%、'69(昭和44)年で10.9%、'70(昭和45)年で40.2%であり、短期間で急速に普及したものの、取り上げられている番組は当然のことながら本書刊行年('67(昭和42)年)以前から放映されていたものであり、後にカラー化されたものもありますが、当時はほぼすべてモノクロ番組と言っていいかと思います。

七人の刑事2.jpgザ・ガードマン.jpg 出てくる番組が、「モーニングショー」「ロンパールーム」「ローハイド」「ウルトラセブン」「シャボン玉ホリデー」「意地悪ばあさん」「コンバット」「七人の刑事」「ザ・ガードマン」「ルーシー・ショー」「八十七分署」「ワイオミングの兄弟」「三匹の侍」等々であり、今見ると懐かしいなあという感じ(この懐かしさで、星半個オマケ)。

ローハイド3.bmp 「ローハイド」なんて、話は覚「ローハイド」イーストウッド.jpgえてなかったけれど('06年にNHK-BSで再放映されたのを観てクリント・イーストウッドが出ていたことを思い出したぐらい)、フランキー・レインが唄うテーマソングだけは忘れられず、いつローハイド1.jpgの間にか口ずさんでいたりするメロディです。

「ローハイド」(Rawhide) (CBS 1959~1965) ○日本での放映チャネル:NET(現テレビ朝日)(1959~1965)

 
 論理パズルや頓知クイズなど、このシリーズにおけるパズルの種類は多岐に渡りますが、本書を再読してみると意外と数学パズルが多かったのだなあ。本書では、設問ごとに、当時の大学生(青山学院大学)200人の正答率が出ていますが、そのため、こんなの解けるはずないよ~と思っても、学生が一定率の正解をしているとなると、あまり文句が言えなくなる? 当時の学生の成績はなかなか優秀で、自分としては完全に負けている...。

 印象に残っている問題は、「ある朝受け取った2日前の消印がある封書の中に、今朝の新聞が入っていた」ことのカラクリを考えさせるもので、これ、有名な推理小説のトリックでも使われているそうですが、かつて実際に、"地震予言者"と称する人が、「2日後に地震があります」と書いたハガキをご近所さんに出していた、その2日前の消印のハガキをご近所さんが受け取った日の朝、実は地震があった―という話がありましたねえ(このトリックを成すには、自分宛の宛名を鉛筆下記したハガキを毎日出すようにしていなければならないのだが。ご苦労さん、と言うか...)。

【2005年文庫化[知恵の森文庫]】

《読書MEMO》
●1967年(昭和42年)ベストセラー
1.『頭の体操(1)』多湖 輝(光文社)
2.『人間革命(3)』池田大作(聖教新聞社)
3.『頭の体操(2)』多湖 輝(光文社)
4.『華岡青洲の妻』有吉佐和子(新潮社)
5.『英単語記憶術』岩田一夫(光文社)
6.『頭の体操(3)』多湖 輝(光文社)
7.『姓名判断』野末陳平(光文社)
8.『捨てて勝つ』御木徳近(大泉書店)
9.『徳川の夫人たち』吉屋信子(朝日新聞社)
10.『道をひらく』松下幸之助(実業之日本社)

●1968年(昭和43年)ベストセラー
1.『人間革命(4)』池田大作(聖教新聞社)
2.『民法入門―金と女で失敗しないために』佐賀 潜(光文社)
3.『刑法入門―臭い飯を食わないために』佐賀 潜(光文社)
4・『竜馬がゆく(1~5)』司馬遼太郎(文藝春秋)
5.『頭の体操(4)』多湖輝(光文社)
6.『どくとるマンボウ青春記』北杜夫(中央公論社)
7.『商法入門―ペテン師・悪党に打ち勝つために』佐賀 潜(光文社)
8.『愛(愛する愛と愛される愛) 』御木徳近(ベストセラーズ)
9・『道路交通法入門―お巡りさんにドヤされないために』佐賀 潜(光文社)
10.『Dの複合』松本清張(光文社)

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