Recently in アルフレッド・ヒッチコック監督作品 Category

「●海外サスペンス・読み物」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【678】 ダン・ブラウン 『ダ・ヴィンチ・コード 
「○海外サスペンス・読み物 【発表・刊行順】」の インデックッスへ 「●アルフレッド・ヒッチコック監督作品」の インデックッスへ Prev 「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ

面白かった。ミステリと言うよりサスペンス、サスペンスと言うよりホラー。
ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ 上.jpg ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ下.jpg  ヒッチコック「裏窓」1954.jpg 裏窓o2.jpg
ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ 上』『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ 下』 アルフレッド・ヒッチコック「裏窓」

ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ.jpg 神分析医のアナ・フォックスは、夫と娘と生活を別にして、ニューヨークの高級住宅街の屋敷に10カ月も一人こもって暮らしていた。広場恐怖症のせいで、そこから一歩たりとも出られないのだ。彼女の慰めは古い映画とアルコール、そして隣近所を覗き見ること。ある時、アナは新しく越してきた隣家で女が刺される現場を目撃する。だが彼女の言葉を信じるものはいない。事件は本当に起こったのか―。

 家の扉を閉ざし、社会から疎外された人間として生き、その慰めはワインとニコンD5500を使った覗き行為。不動産譲渡証書をネットで漁り、近所に越してきた新しい住人たちの出自をネットで調べる、言わば遠隔ストーカーである主人公。こんな主人公に感情移入できるかなと最初は思いましたが、巧みな筆致であるため、しっかりハマりました。

 解説によれば、作者自身もアナのように広場恐怖症とうつ病に長い間苦しめられ、2015年にはうつ病が再発し、家から出ることさえも出来なかったそうで、そんな辛い時期に思いついたのが本書のアイデアであったとのこと。編集者としての仕事を続けながら書き上げ、2018年1月に発表されたこの作者のデビュー長編は、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーリスト初登場1位の快挙を成し遂げ、その後も29週にわたりランクインしたそうです。やはり、切迫感のある描写は、それだけの苦労の賜物なのかもしれません。

ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ eiga.jpg 最後の畳み掛けるような、且つ意外な展開も良く、素直に「面白かった」と言える作品でした。ミステリと言うよりサスペンス、サスペンスと言うよりホラーでした。

 2019年に映画化され(2020年公開予定)、主人公アナを演じたのは「ザ・ファイター」('10年)や「アメリカン・ハッスル」('13年)の女優エイミー・アダムス。ゲイリー・オールドマンやジュリアン・ムーアなども出演しているようです。

Amy Adams in "The Woman in the Window"
  
ヒッチコック「裏窓」ド.jpg 主人公が古い映画を観るのが趣味で、多くの映画作品が作中に登場するのが、また楽しいです。とりわけアルフレッド・ヒッチコック作品が多く、この作品そのものがヒッチコック作品へのオマージュともとれますが、やっぱりストレートに「あれ、これってあの映画と同じかも」と言えるのが、ヒッチコック「裏窓」('54年/米)ではないかと思います。
Uramado (1954)
裏窓01.jpg 「裏窓」も、実際に殺人事件はあったのだろうかということがプロセスにおいて大きな謎になっていて、映画の中で実際には殺人が起こっていないのではないか、という仮説をもとにして論証を試みた、加藤幹郎著『ヒッチコック「裏窓」ミステリの映画学』('05年/みすず書房)という本もあったりします(加藤幹郎氏の主眼は「裏窓」そのものの読解ではなく、そこから見えてくるヒッチコック映画の計算された刷新性を見抜くことにあるかと思われるが、「裏窓」における事件が無かったとすることについては無理があるように思う)。

映画術 フランソワ トリュフォー.jpg ヒッチコックは、『映画術―ヒッチコック・トリュフォー』('81年/晶文社)でのインタビューの中で、「わたしにとっては、ミステリーはサスペンスであることはめったにない。たとえば、謎解きにはサスペンスなどはまったくない。一種の知的なパズル・ゲームにすぎない。謎解きはある種の好奇心を強く誘発するが、そこにはエモーションが欠けている」と述べており(p60)、「観客はつねに、危険にされされた人物の方に同化しておそれをいだくものなんだよ。もちろん、その人物が好ましく魅力的な人物ならば、観客のエモーションはいっそう大きくなる。「裏窓」のグレース・ケーリーがその例だ」と述べています。

ヒッチコック「裏窓」4.jpg 「裏窓」は公開当時、ジェームズ・ステュアート演じる主人公の〈のぞき〉の悪趣味ぶりを攻撃されましたが、「これこそが映画じゃないか。のぞきがいかに悪趣味だって言われようと、そんな道徳観念よりもわたしの映画への愛のほうがずっと強いんだよ」(同書P20)と答えています。ある批評家が、「『裏窓』はおぞましい映画だ、のぞき専門の男の話だ」と「吐き捨てるように書いた」のに対しても、「そんなにおぞましいものかね。たしかに、『裏窓』の主人公はのぞき屋(スヌーパー)だ。しかし、人間である以上、わたしたちはみんなのぞき屋ではないだろうか」と述べています(同署p218-219)。

 この『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』で言えば、先に書いたように(さらにヒッチコック流に言えば)、単なるサスペンスではなく、エモーショナルな部分が加わって(ホラー小説としても)成功しているように思いました。この成功のベースには、読者が主人公のアナにどれだけ感情移入できるかということにあるかと思いますが、元々作者にそうした闘病経験があったうえに、(ヒッチコックの示唆に則れば)主人公をのぞき屋(スヌーパー)にしたことで、すでに半分は成功が約束されていたのかもしれないと思った次第です。

「裏窓」DVD/Blu-ray
裏窓 dvd.jpg裏窓 br.jpg「裏窓」●原題:REAR WINDOW●制作年:1954年●制作国:アメリカ●監督・製作:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:ジョン・マイケル・ヘイズ●撮影:ロバート・バークス●音楽:フランツ・ワックスマン●原作:ウィリアム・アイリッシュ「裏窓」●時間:112分●出演:ジェームズ・スチュアート/グレース・ケリー/レイモンド・バー/セルマ・リッター/ウェンデル・コーリイ●日本公開:1955/01●配給:パラマウント映画●最初に観た場所:新宿文化シネマ2(84-02-19)(評価:★★★★)

「●た ロアルド・ダール」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒「●た 高杉 良」【437】 高杉 良 『生命燃ゆ
「●「アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)」受賞作」の インデックッスへ(「女主人」) 「○海外サスペンス・読み物 【発表・刊行順】」の インデックッスへ「●TV-M (ロアルド・ダール原作)」の インデックッスへ「●アルフレッド・ヒッチコック監督作品」の インデックッスへ(「中年夫婦のために」)「●海外のTVドラマシリーズ」の インデックッスへ(「ヒッチコック劇場」「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」)

個人的ベスト3は、①「女主人」、②「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」、③「豚」。

ダール キス・キス.jpgキスキス_0269.JPGキス・キス ダール.jpgキス・キス (異色作家短編集).jpg キス・キス (異色作家短編集) 2005.jpg
Kiss Kiss』『キス・キス (ハヤカワ・ミステリ文庫)』(田口俊樹:訳)'14年新訳版(カバーイラスト:ハッタノリカズ) 『異色作家短篇集〈1〉キス・キス (1974年)』『キス・キス (異色作家短編集)』(開高健:訳)'74年改訂新版/'05年新装版
キス・キス ダールes.jpg異色作家短編集1「キス・キス」ロアルド・ダール 旧版.jpgRoald Dahl.png 『キス・キス』はロアルド・ダール(Roald Dahl、1916-1990/享年74)の1946年刊行の第一短編集『飛行士たちの話』('81年/ハヤカワ・ミステリ文庫)、1953年刊行の第二短編集『あなたに似た人』('57年/ハヤカワ・ミステリ)に続く1960年刊行の第三短編集で、その後、1974年に第四短編集『来訪者』('89年/ハヤカワ・ミステリ文庫)が刊行されています。『キス・キス』は本邦では、1960年に早川書房より開高健(1930‐1989)の訳で「異色作家短篇集〈1〉」として刊行され('74年に改訂新版)、2005年に新装版が出ましたが、2014年にハヤカワ・ミステリ文庫で田口俊樹氏による新訳版がでました。
『異色作家短編集〈第1集〉キス・キス』ロアルド・ダール(開高 健:訳)(1960/12 早川書房)

「女主人」 "The Landlady"
 夜遅くようやく新しい赴任地に着いた17歳のビリーは、ふと目に入った『お泊りと朝食』という文字と値段の安さに惹かれてその家を滞在先に決める。そこには優しそうにみえる女主人がいた。宿帳を見るとそこに書いてある二人の名前に何となく見覚えが―。初っ端からブラック。徐々に真実が見えてくるところが怖いです。アメリカ探偵作家クラブ最優秀短編賞受賞作。この作品は、CBSで1955年から1962年に放映された「ヒッチコック劇場(Alfred Hitchcock Presents)」で第184話「ロンドンから来た男」(1961)(ヒッチコック劇場の「話数」は本邦のものを採用)として映像化されてAlfred Hitchcock 女主人01.jpgいます。原作で17歳の主人公が22歳のちょうど大学を出るか出ないかくらいの若者(ディーン・ストックウェル)に変更されていて、冒頭、彼が酒場に立ち寄り、たまたま壊れた店のレジを直してあげるというエピソード付きで、意外としっかり者という感じ。泊まることにした宿の女主人(パトリシア・コリンジ)が終始機嫌よく、その分怖さとユーモアが同居した(所謂ブラックユーモアという感じか)作品でした。原作と同じく、女主人の意図を仄めかすところで終わっていますが、このことが原作の最大の上手さのポイントであり、それを生かしていると言えます。
Alfred Hitchcock Presents - Season 6 Episode 19 #210."The Landlady"(1961)(「ロンドンから来た男」)
  
 また、BBCで1979年から1988年に放映されたドラマシリーズ「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(Tales of the Unexpected)」では、全9シリーズ112話の内の、第1シリーズ第5話(全シリーズ通し番号。以下、同)「女主人」(1979)としてドラマ化されています。女主人(シヴォーン・マケナ)の宿にやってくる青年(レオナルド・プレストン)は18歳と、原作に近い設定で、ヒッチコック劇場版より頼りない感じ。女主人公の意図を仄めかすところTales of the Unexpected- The Landlady (1979).jpgで終わっている原作に対し、こちらは、彼女がこれから「仕事」にかかろうとするところまで映像化していて、原作の"ネタ"解説的になっています(先行する二人の犠牲者も出てくる)。しっかり者に見える青年が女主人の罠に落ちるヒッチコック劇場の方が上でしょうか。ロアルド・ダール劇場版はロアルド・ダールが冒頭解説で登場しているくらいですから、仮に「原作で描かれなかったその先」を映像化するとこうなるものとみていいのでしょう。
Tales of the Unexpected - The Landlady (1979)(「女主人」)

「ウィリアムとメアリー」 "William and Mary"
オックスフォードの哲学教授ウィリアムは癌に侵され、余命いくばくもなくなったとき、医師ランディに、脳だけを生かす実験に協力するよう頼まれ、これを受け入れて死んでいく。遺書で事の次第を読んだ妻のメアリイは、ランディ医師の病院に赴く―。ラストの妻が怖いです。自分が長年押さえつけていた妻からどういう目に遭うかということも考えておかなければならなかったということか。Tales of the Unexpected' - William and Mary.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中で、第1シリーズ第3話「ウィリアムとメアリー」(1979)としてドラマ化されています。ドラマではウィリアムが既に亡くなっているところから始まって、ランディ医師がメアリーにいろいろと状況を説明するようになっていますが、基本的には原作通りです(映像化作品を観ても新たな気づきがあるという感じではない)。ちょっと不気味ですが、最後のメアリーのタバコの吸いっぷりでユーモラスに締めたという感じでしょうか。
Tales of the Unexpected - William and Mary (1979)(「ウィリアムとメアリー」)

「天国への道」 "The Way up to Heaven"
8The Way Up to Heaven.jpg10The Way Up to Heaven.jpg フォスター夫妻はニューヨークの6階建の大邸宅に住む富豪で何不自由ない暮らしに見えるが、妻は夫の底意地の悪さに辟易している。その妻がパリにいる娘に会いに出かける日、フライトの時間に間に合わないと焦る妻は、まだぐずぐず屋敷内にいる夫を呼びに玄関まで来た。そして鍵を開けかけて、中から聞こえる音に耳をすまし、瞬時ためらったものの、そのまま夫を置き去りにして空港へと急ぐ。それから3週間。妻が自邸に戻ってみると、どうやら夫は―。これって、"未必の故意"?「ロアルドダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第9話でドラマ化(「天国へのエレベーター」(1979))されていて、「エデンの東」('55年)、「刑事コロンボ/別れのワイン」('73年)Tales of the Unexpected - The Way up to Heaven.jpg8エデンの東ポスター.jpg天国へのエレベーター 000.jpgジュリー・ハリスが妻を演じています。ラストは暗示的な原作に対して、ああ、こーゆーことだったのかと"目に見える"結末となっていて、殆ど原作の"オチ"解説みたいな感じでした。つまり、彼女は、夫が乗っているはずのエレベーターが中空で停まっているのに気づいたけれど、知らない素振りをしたわけで、これは"未必の故意"以上かも。
Tales of the Unexpected - The Way up to Heaven(1979)(「天国へのエレベーター」)Julie Harris

「牧師の愉しみ」 "Parson's Pleasure"
 ロンドンの骨董商のボギス氏は、田舎の農家に掘り出し物があることを知り、怪しまれないように牧師の格好で家を訪れ、お目当ての家具を手に入れるために交渉する。今回は名人作の衣装戸棚が見つかり、これで大金持ちになり、業界での名声も得られると有頂天だったが、安く買い叩こうと「脚だけがほしいのだが...」と言ったのが運のつきで、車を取りに戻っている間に、売主は親切心から、戸棚の躯体部分を解体してしまう―。ダールの短編集でお馴染み、農家のラミンズ、バート、クロードの親子トリオが絶妙に可笑しいです。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第3シリーズ第31話でドラマ化(「アンティークの家具」(1980))されています。Parson's Pleasure 3.jpg原題タイトルは「牧師の愉しみ」ですが、骨董商ボギス氏が牧師に化けているのであっTales of the Unexpected - Parson's Pleasure.jpgて、ドラマでは、民家を訪ねたら本物の牧師が出てきて慌てるという場面が冒頭にあります。全体としては原作以上でも以下でもないですが、第6話「」にも執事役で出ていたジョン・ギールグッドの演技達者と、ラミンズ、バート、クロードの親子トリオが実写で見られるのが良いです。
Tales of the Unexpected - Parson's Pleasure(1980)(「アンティークの家具」)John Gielgud

「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」 "Mrs Bixby and the Colonel's Coat"
 ビクスビー夫人はニューヨークの歯科医の妻で、月に一度、伯母の介護という名目でボルチモアに出かけ、そこで「大佐」と呼ばれる渋い中年男との逢瀬を楽しんでいたが、やがて別れがやってきて、手切れ金代わりに高価なミンクのコートを貰う。彼女はコートを質屋に預け、質札を拾ったことにして夫への説明を切り抜けようとするが―。質屋にコートを自分で取りに行かなかったのが失敗原因ですが、夫も.........ということなのでしょう。この作品は「ヒッチコック劇場」で第193話「中年夫婦のために」(1960)としてドラマ化されています(「女性専科第一課 中年夫婦のために」)ヒッチコック劇場 中年夫婦のために 01.jpgヒッチコック劇場 中年夫婦のために 04.jpgヒッチコック劇場 中年夫婦のために tum.jpg。ヒッチコック自身が演出していて、原作がいいということもありますが、あらすじを知ったうえで観ていても楽しめました。主役のオードリー・メドウズはいかにもヒッチコックが好んで使いそうな感じの女優でした。
Alfred Hitchcock Presents - Season 6 Episode 1 #192."Mrs. Bixby and the Colonel's Coat"(1961)(「中年夫婦のために」)Audrey Meadows

Mrs Bixby and the Colonel's Coat.jpgヴィクスビー夫人と大佐のコートロード.jpgヴィクスビー夫人と大佐のコートロード  ド.jpg また、「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第1話「南部から来た男」に続く第2話「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」(1979)としてドラマ化されています。これもジュリー・クリスティ主演ですが、「ヒッチコック劇場」版と比べると弱いか。
Tales of the Unexpected - Mrs Bixby and the Colonel's Coat(1979)(「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」)Julie Harris

「ロイヤルゼリー」 "Royal Jelly"
Royal Jelly.jpgRoyal Jelly book.jpg 若き養蜂家アルバート・テイラーは、子宝に恵まれたばかりだが、乳飲み児の娘の食が細くて、妻ともどもとても心配している。そこで彼は、ミルクにロイヤルゼリーを混ぜることを思いつき、娘の食欲を回復させることに成功したが、娘は次第に女王蜂さながらになってきて―。シュSusan George.jpgールな恐怖です。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第10話でドラマ化(「新案育児法」(1980))されていて、妻を「わらの犬」('71年)のスーザン・ジョージが演じています。コレ、原作のラストはSF仕立てになっているわけではなく、「ノイロ-ゼ妻」が幻覚妄想状態になっているということなのでしょう。
Tales of the Unexpected - Royal Jelly(1980)(「新案育児法」)
Susan George
    
Tales of the Unexpected - Georgy Porgy.jpg「ジョージー・ポージー」 "Georgy Porgy"
 私ことジョージー・ポージーは若い牧師だが、幼い頃の母親の異常な性教育のお蔭で女性恐怖症となり、女性と付き合ったことがまだ無い。だが、劣情は人一倍強く、教区の独身女性たちの誘惑も激しいため、それらを押し留めるのに苦慮している。そんな折、珍しく清楚で溌剌としてミス・ローチと巡り会い、勧められるままアルコールの飲み物を啜り、気分が高揚して勢いで彼女に迫るも、やり方が拙かったらしく、彼女はいたくおかんむり。私は思わず彼女の口の中に飛び込み、今やその十二指腸の上に小部屋を作って、ほとぼりが醒めるまでしばらくのんびりをJoan Collins GEORGY PORGY3.jpg決め込んでいる―。ということで、これも終盤いきなりシュールになりますが、ネズミを使って雄と雌でどちらが性欲が強いか実験しているのが可笑しかったでJoan Collins GEORGY PORGY.jpgす。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第18話でドラマ化(「ママの面影」(1980)されており、牧師を誘惑するジョーン・コリンズは、第6話「」(1979)にも不倫妻役で出ていましたが、今回は母親との一人二役が楽しめます。これも映像化作品のラストからみるに、原作の終わりの方は、主人公の「ノイロ-ゼ牧師」が幻覚妄想状態になっているということなのでしょう。教会に来た女性たち全員が裸に見える(笑)というあたりが伏線でしょうか。
Tales of the Unexpected - Georgy Porgy(1980)(「ママの面影」)Joan Collins
     
「始まりと大惨事―実話―」 "Genesis and Catastrophe"
 ドイツの国境に近い町で、一人の男の子が生まれる。母親にとっては4人目の子だが、これまでは皆幼くして亡くなってしまっていた。健やかに育ってと母親は祈るような気持ちだが、様子を見に来た酔っ払いの税官吏の夫は、子供の小ささを指摘する。見るに見かねた医者がふたりの仲をとりもち、子供の未来をともに祝福するようにと諭す。さてその子とは―。最後の方になって、「実話」(邦題のみに付されている)の意味が分かります。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第21話でドラマ化(「父親になる日」(1980))されていて、酔っ払いの父親をTales of the Unexpected - Genesis and Catastrophe.jpgヘルムート・グリーム1.pngルキノ・ヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」('69年)で ナチ指揮官アッシェンバッハを演じたヘルムート・グリーム(「ルートヴィヒ」('69年)にも大佐の役で出ていた)が演じています(今回も税官吏と言うより軍人っぽい)。物語のオチは、原作以上に最後ぎりぎりまでわからないようになっています(ただ、原作を読み、オチを知っていて観るとイマイチか)。
Tales of the Unexpected - Genesis and Catastrophe(1980)Helmut Griem(「父親になる日」)

「勝者エドワード」 "Edward the Conqueror"
 ルイーザとエドワードは初老の夫婦。あるとき庭仕事をしていて、見慣れぬ猫を見つける。猫を家に入れTales of the Unexpected - Edward the Conqueror.jpgたまま、ルイーザがピアノEDWARD THE CONQUEROR.jpgを弾くと、猫はリストの曲に反応する。猫の顔にはリストと同じ位置にホクロがあり、ルイーザはこの猫がリストの生まれ変わりに違いないと思い込むが、エドワードは取り合わない。ルイーザが猫のために特別料理を用意している間、エドワードは猫を伴って庭に出て行く。料理が出来たが、肝心のリスト猫はどこなのか―。開高健は「暴君エドワード」と訳していますが、「暴君」としてしまうと、猫をリストの生まれ変わりだと思い込んで、夫そっちのけで猫に特別料理を作っている妻の方が「暴君」であるともとれるので、ここはやはり「勝者」が妥当でしょう。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中で、第1シリーズ第7話「暴君エドワード」(1979)としてドラマ化されています。夫婦を演じたのは、「旅路」('58年)、「オリエン暴君エドワード.jpgト急行殺人事件」('74年)のウェンディ・ヒラーと「市民ケーン」('41年)、「第三の男」('49年)のジョセフ・コットン。これは原作を更にひと捻りしたのか、それともこれがそのまま原作の解題なのか、どちらにもとれるラストが微妙でした。原作との関係において"傑作"と言え、第1シリーズのエピなので、ロアルド・ダール自身の案でこうなったのかもしれません。
Tales of the Unexpected - Edward the Conqueror(1979)(「暴君エドワード」)Joseph Cotten

「豚」 "Pig"
ダール キス・キス.jpg レキシントンは生後2ヶ月で孤児となり、大叔母に育てら、菜食主義者の彼女の手ほどきで料理を習い、腕前をめきめき上げた。その叔母が死ぬと、遺言に従いニューヨークに行って、さらに料理修行に励むつもりだった。ところが、菜食しかしていないレキシントンは、はじめて食べた豚肉の旨さにとりつかれる。豚肉の仕入先を求めて、屠殺場に赴くが、どうしたことか豚を絞め殺すためのベルトコンベアーに乗せられてしまう―。最後、やはりシュールでした。

Kiss Kiss

「世界チャンピオン」 "The Champion of the World"
ダニーは世界チャンピオン.jpg ガソリンスタンドの共同経営者クロードとゴードンは、ミスター・ヘイゼル所有の森で密猟をすることする。ミスター・ヘイゼルは成金で、上流階級に入り込むための手段として、年に一度、自分の森でキジの狩猟会を催している。その前に、睡眠薬入りのレーズンを使った狩猟法でごっそりキジをせしめ、ヘイゼルの鼻を明かしてやろうというわけだ。ことは予定通り進んだはずだったが―。開高健訳では「ほしぶどう作戦」。「クロードの犬」のクロードとゴードンがまたも登場し、何か企みをするのも同じですが、「クロードの犬」の時は金儲けのためでしたが、今回は成金の鼻を明かすため。そして、今回も失敗でした(おそらく逃げたキジは森に帰るのだろう)。因みに、この話はロアルド・ダール自身によって児童文学として翻案されていて、『チョコレート工場の秘密』などのロアルド・ダールの児童文学作品の代表的挿画家であるクェンティン・ブレイクの挿絵入りで子どもが読めるものとなっています。
ダニーは世界チャンピオン (ロアルド・ダールコレクション 6)

"Landlady(全文)
Roald Dahl The Landlady 2.jpgMrs Bixby and the Colonel's Coat cover.jpg 全体の中で個人的には「女主人」「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」「豚」が良かったでしょうか。順位をつければ、①「女主人」、②「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」、③「豚」。「女主人」「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」はヒッチコック劇場版の映像化作品(それぞれ「ロンドンから来た男」「中年夫婦のために」)も良かったです(映像化作品では「中年夫婦のために」が一番か)。好みはおそらく人によって違ってくると思いますが、「ウィリアムとメアリー」「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」「天国への道」に見られるように夫婦物は押しなべてブラックで、訳者あとがきで「O・ヘンリーの名短編集『賢者の贈り物』に出てくるような中睦まじくも麗しい夫婦とは言えない夫婦ばかりで、そのあたりがいかにもダールである」(笑)とあり、まさにその通りでした。
     
        
         
        
The Landlady
ロンドンから来た男()_.jpg
ロンドンから来た男 02.jpg「ヒッチコック劇場(第184話)/ロンドンから来た男●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 6 E 19-#210)THE LANDLADY●制作年:1961年●制作国:アメリカ●本国放映:1961/02/21●監督:ポール・ヘンリード●脚本:Robert Bloch●原作:ロアルド・ダール「女主人」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/パトリシア・コリンジ/ディーン・ストックウェル/Laurie Main●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
          
The Landlady  imdb.jpgロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 dvd.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第5話)/女主人●原題:Tales of the Unexpected -THE LANDLADY●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/21●監督:ハーバート・ワイズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「女主人」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/シヴォーン・マケナ/レオナルド・プレストン●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
予期せぬ出来事 3枚組BOX [DVD] JVDD1157」(「南から来た男」「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」「ウィリアムとメリー」「おとなしい凶器」「女主人」「首」「暴君エドワード」「海の中へ」「天国へのエレベーター」)
      
ウィリアムとメアリー メアリー.jpgウィリアムとメアリー ドクター.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第3話)/ウィリアムとメアリー●原題:Tales of the Unexpected -WILLIAM AND MARY●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/07●監督:ドナルド・マクウィニー●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「ウィリアムとメアリー」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/エレイン・ストリッチ/マリウス・ゴーリング/リチャード・ハンプトン/ジミー・マック●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)

The Way Up to Heaven h.jpgThe Way Up to Heaven 5.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第9話)/天国へのエレベーター●原題:Tales of the Unexpected -THE WAY UP TO HEAVEN●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/05/19●監督:サイモン・ラングトン●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「天国への道」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジュリー・ハリス/ローランド・カルヴァー/アンガス・マッケイ/ジェレミー・ロングハースト●日本放映:1980/06●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
     
Parson's Pleasure s.jpgParson's Pleasureード.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第31話)/アンティークの家具●原題:Tales of the Unexpected -PARSON'S PLEASURE●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第三集.jpg放映:1980/11/30●監督:ジョン・ブルース●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「牧師の愉しみ」●時間:27分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョン・ギールグッド/バーナード・マイルズ/リー・モンタギュー/ゴッドフリー・ジェームス●DVD発売:2006/09●発売元:JVD(評価★★★☆)
ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第三集 [DVD]」(「負け犬」「動かぬ証拠」「最高の同居人」「死者の悪口にご用心」「隠された悪意」「アンティークの家具」「音響捕獲機」「満ち潮」「望みすぎた女」「パーティ」「妻の遺産」「おとり捜査」)

Mrs. Bixby and the Colonel's Coat
ミセス・ビクスビーと大佐のコート 1960.jpg中年夫婦のために (1).jpg「ヒッチコック劇場(第193話)/中年夫婦のために●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 6 E 1-#192)MRS. BIXBY AND THE COLONEL'S COAT●制作年:1960中年夫婦のために   (1).jpg年●制作国:アメリヒッチコック劇場 第ニ集 バリューパック.jpgカ●本国放映:1960/09/27●監督:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:Halsted Welles●原作:ロアルド・ダール「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/オードリー・メドウズ/レス・トレメイン/ステファン・チェイス/サリー・ヒューズ/ハワード・ケイン●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
ヒッチコック劇場 第ニ集 バリューパック [DVD]」【Disc1】「兇器」「亡霊の見える椅子」「女性専科第一課 中年不夫婦のために」所収

ヴィクスビー夫人と大佐のコート32.jpgヴィクスビー夫人と大佐のコート33.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第2話)/ヴィクスビー夫人と大佐のコート●原題:Tales of the Unexpected -MRS. BIXBY AND THE COLONEL'S COAT●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/03/31●監督:サイモン・ラングトン●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジュリー・ハリス/マイケル・ホーダーン/リチャード・グリーン/フレデリック・ファーリー/サンドラ・ペイン●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
Julie Harris/Sandra Payne
Susan George
10 新案育児法 Tales of the Unexpected  Royal Jelly.jpg10 新案育児法  Royal Jelly.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第10話)/新案育児法●原題:Tales of the Unexpected -ROYAL JELLY●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/03/01●監督:ハーバート・ワイズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「ロイヤルゼリー」●時間:26分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ティモシー・ウェスト/スーザン・ジョージ/アンドリュー・レイ●日本放映:1980/07●放映局:東京12チャンネル(現テレビ予期せぬ出来事 第二集 BOX.jpg東京)(評価★★★☆)

予期せぬ出来事 第二集 BOX [DVD]」(「永遠の名作」「見知らぬ乗客」「ママの面影」「或る夜の事件」「新案育児法」「ヒッチハイク」「父親になる日」「男の夢」「疑惑」「ハエとり紙」「骨董屋の結婚」「太りすぎに注意」)
       
ママの面影.png18ママの面影Georgy Porgy.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第18話)/ママの面影●原題:Tales of the Unexpected -GEORGY PORGY●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/26●監督:グレアム・エヴァンズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「ジョージー・ポージー」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョーン・コリンズ/ジョン・アルダートン/ラリー・バウワーズ/マーガレッタ・ス>コット●日本放映:1980/07●放映局:東京12Joan Collins  pin-nap.jpgチャンネル(現テレビ東京)(評ジョーン・コリンズ  001.jpgGeorgy Porgy Joan Collins.jpgジョーン・コリンズ 002.jpg価★★★☆)

Joan Collins(pin-up/1980 in GEORGY PORGY/2012.Age79)

           
21 父親になる日 Genesis and Catastrophe.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第21話)/父親になる日●原題:Tales of the Unexpected -EDWARD THE CONQUEROR●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/05/17●監督:ハーバート・ワイズ●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「始まりと大惨事―実話―」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ヘルムート・グリーム/Zhivila Roche/ハナ・マリア・プラブダ/Alastair Llewellyn/グラハム・シード●日本放映:1980/08●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)

暴君エドワード EDWARD THE CONQUEROR.jpg07暴君エドワード Edward the Conqueror.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第7話)/暴君エドワード●原題:Tales of the Unexpected -EDWARD THE CONQUEROR●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/05/05●監督:サイモン・ラングトン●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「勝者エドワード」●時間:30分●出ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 dvd.jpg演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ウェンディ・ヒラー/ジョゼフ・コットン/フィル・ブラウン●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★★)

予期せぬ出来事 3枚組BOX [DVD] JVDD1157」(「南から来た男」「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」「ウィリアムとメリー」「おとなしい凶器」「女主人」「首」「暴君エドワード」「海の中へ」「天国へのエレベーター」)
 
  

Alfred Hitchcock Presents.jpgヒッチコック劇場00.jpgヒッチコック劇場01.jpgヒッチコック劇場_0.jpg■TVシリーズ「ヒッチコック劇場」Alfred Hitchcock Presents (CBS 1955.10.2~62.7.3)○日本での放映チャネル:日本テレビ(1957~63)声:熊倉一雄(アルフレッド・ヒッチコック)
 Alfred Hitchcock Presents  

Tales of the Unexpected  1979.jpgTales of the Unexpected.jpgロアルド ダール劇場 予期せぬ出来事 第二集 全4巻.jpg■TVシリーズ「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」Tales of the Unexpected (BBC 1979.3.24~88.5.13)○日本での放映チャネル:東京12チャンネル(現テレビ東京)(1980)/ミステリチャンネルなど
●「ロアルド ダール劇場 予期せぬ出来事」東京12チャンネルで1980年放映時のラインアップ(本国での全9シリーズ112作中)()内は放映時タイトル。
1 南から来た男 Man From the South [#1]
2 ヴィクスビー夫人と大佐のコート Mrs Bixby and the Colonel's Coat [#2]
3 ウィリアムとメリー(永遠の結婚) William and Mary [#3]
4 おとなしい凶器 Lamb to the Slaughter [#4]
5 女主人 The Land lady [#5]
6 首 Neck [#6]
7 暴君エドワード Edward the Conqueror [#7]
8 海の中へ(イチかバチか) A Dip in the Pool [#8]
9 天国へのエレベーター The Way Up to Heaven [#9]
10 永遠の名作 Skin [#11]
11 見知らぬ乗客 Galloping Foxley [#12]
12 ママの面影 Georgy Porgy [#18]
13 或る夜の事件 Poison [#14]
14 新案育児法 Royal Jelly [#10]
15 ヒッチハイク The Hitch-Hiker [#13]
16 父親になる日 Genisis and Catastorophe [#21]
17 男の夢 Mr Botibol's First Love [#22]
18 疑惑 The Umbrella Man [#20]
19 ハエとり紙 The Flypaper [#26]
20 骨董屋の結婚 The Ordery World of Mr. Appleby [#24]
21 太りすぎにご注意 Fat Chance [#15]
22 顔役 The Man at the Top [#25]
23 クリスマスに帰る Back for Christmas [#23]
24 風景画 A Picture of a Place [#27]
25 負け犬 The Stinker [#32]
26 動かぬ証拠 Shattorproof [#40]
27 最高の同居人 The Best of Everything [#38]
28 死者の悪口にご用心 Never Speak Ill of the Dead [#42]

【1960年単行本・1974年改訂新派版[早川書房・異色作家短編集〈1〉(開高健:訳)]・2005年新装版[早川書房(開高健:訳)]/2014年文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫(田口俊樹:訳)]】

《読書MEMO》
●早川書房・異色作家短篇集(新装版刊行年/写真は旧・改訂新版)
異色作家短編集.jpg1.ロアルド・ダール『キス・キス』開高健訳、2005年
2.フレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』星新一訳、2005年
3.シオドア・スタージョン『一角獣・多角獣』小笠原豊樹訳、2005年

4.リチャード・マシスン『13のショック』吉田誠一訳、2005年
5.ジョルジュ・ランジュラン『蠅』稲葉明雄訳、2006年
6.シャーリイ・ジャクスン『くじ』深町眞理子訳、2006年
7.ジョン・コリア『炎のなかの絵』村上啓夫訳、2006年
8.ロバート・ブロック『血は冷たく流れる』小笠原豊樹訳、2006年
9.ロバート・シェクリイ『無限がいっぱい』宇野利泰訳、2006年
10.ダフネ・デュ・モーリア『破局』吉田誠一訳、2006年
11.スタンリイ・エリン『特別料理』田中融二訳、2006年
12.チャールズ・ボーモント『夜の旅 その他の旅』小笠原豊樹訳、2006年
13.ジャック・フィニイ『レベル3』福島正実訳、2006年

14.ジェイムズ・サーバー『虹をつかむ男』鳴海四郎訳、2006年
15.レイ・ブラッドベリ『メランコリイの妙薬』吉田誠一訳、2006年
16.レイ・ラッセル『嘲笑う男』永井淳訳、2006年
17.マルセル・エイメ『壁抜け男』中村真一郎訳、2007年

「●た ロアルド・ダール」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【2568】 ロアルド・ダール 『キス・キス
「●「アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)」受賞作」の インデックッスへ 「○海外サスペンス・読み物 【発表・刊行順】」の インデックッスへ「●TV-M (ロアルド・ダール原作)」の インデックッスへ「●アルフレッド・ヒッチコック監督作品」の インデックッスへ(「兇器」「賭」「毒蛇」)「●あ行外国映画の監督」の インデックッスへ「●スティーブ・マックイーン 出演作品」の インデックッスへ「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ 「●海外のTVドラマシリーズ」の インデックッスへ(「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」「ヒッチコック劇場」「新・ヒッチコック劇場」)

個人的ベスト3は、①「南から来た男」、②「おとなしい凶器」、③「プールでひと泳ぎ」。

あなたに似た人Ⅰ .jpg あなたに似た人Ⅱ .jpg あなたに似た人hpm(57).jpg あなたに似た人hm(76)文庫.jpgあなたに似た人 (ハヤカワ・ミステリ文庫.jpg
あなたに似た人〔新訳版〕 I 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕』『あなたに似た人〔新訳版〕 II 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕』『あなたに似た人 (1957年) (Hayakawa Pocket Mystery 371)』『あなたに似た人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 22-1))』(カバーイラスト・和田誠)
南から来た男 指.jpg「ヒッチコック劇場(第136話)/指」('60年)スティーブ・マックイーン/ニール・アダムス/ピーター・ローレ
「新・ヒッチコック劇場(第15話)/小指切断ゲーム」('85年)スティーヴン・バウアー/メラニー・グリフィス/ジョン・ヒューストン/ティッピ・ヘドレン
New York: Alfred A. Knopf(1953)
Alfred A. Knopf 1st edition.jpgRoald Dahl2.jpg 『あなたに似た人(Someone Like You)』はロアルド・ダール(Roald Dahl、1916-1990/享年74)の1953年刊行の第二短編集で、1954年の「アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)」受賞作です(短編賞)。因みに第一短編集は1946年刊行の『飛行士たちの話』('81年/ハヤカワ・ミステリ文庫)、第三短編集は1960年刊行の『キス・キス』('74年/早川書房)になります(『キス・キス』所収の「女主人」で再度「エドガー賞」(短編賞)を獲っている)。また、この作家は、1964年に発表され映画化もされた『チョコレート工場の秘密』('05年/評論社)など児童小説でも知られています。

ハヤカワミステリ文庫創刊 あなたに似た人.png 『あなたに似た人』は、田村隆一訳で1957年にハヤカワ・ポケットミステリで刊行され、その後1976年にハヤカワ・ミステリ文庫で刊行(創刊ラインアップの一冊)されましたが、その際には、「味」「おとなしい兇器」「南から来た男」「兵隊」「わがいとしき妻よ、わが鳩よ」「海の中へ」「韋駄天のフォックスリイ」「皮膚」「毒」「お願い」「首」「音響捕獲機」「告別」「偉大なる自動文章製造機」「クロウドの犬」の15編を所収していました。そして、この田口俊樹氏による〔新訳版〕は、「Ⅰ」に「味」「おとなしい凶器」「南から来た男」「兵士」「わが愛しき妻、可愛あなたに似た人Ⅰ.jpgあなたに似た人Ⅱ.jpgい人よ」「プールでひと泳ぎ」「ギャロッピング・フォックスリー」「皮膚」「毒」「願い」「首」の11篇、「Ⅱ」に「サウンドマシン」「満たされた人生に最後の別れを」「偉大なる自動文章製造機」「クロードの犬」の4編と、更に〈特別収録〉として「ああ生命の妙なる神秘よ」「廃墟にて」の2篇を収めています。

  
「Ⅰ」所収分
「味」 "Taste"
 私はある晩餐会に妻を連れて参加していた。客の1人は有名な美食家リチャード・プラットで、招いた側のマイク・スコウフィールドは、銘柄を見せずにワインを出し、いつどこで作られたワインか当てられるか、プラットに尋ねる。君にも絶対わからないと自信満々のマイクに対し、プラットは絶対に当てると余裕の表情。そこで、2人は賭けをすることにし、賭けの対象となったのはマイクの娘。プラットが勝てば娘を嫁にもらい、逆にマイクが勝てば、プラットから家と別荘をもらうという約束が取り交わされる。プラットは、ワインの入ったグラスをゆっくりと持ち上げて―。面白かったですが、わりかしオーソドックスにあるパターンではないかなあ。

Tales of the Unexpected  1979.jpgTales of the Unexpected.jpg この作品は、BBCで1979年から1988年に放映された、ロアルド・ダール自身がシリーズ番組で毎回案内役を務める「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(Tales of the Unexpected)」の中では、全9シリーズ・112話の内の、第2シリーズ第16話(全シーズン通し番号。以下、同じ。)「ワインの味」(1980)(日本での放映時またはソフト化時の邦題。以下、同じ。)としてドラマ化されています。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」は日本では1980年、東京12チャンネル(現テレビ東京)で土曜夜10時30分の時間帯に28作品が初放送されていますが、「ワインの味」はそのラインアップには無く、後にCS放送(ミステリチャンネル)で放映されたりTales of the Unexpected - Taste(1979).jpgDVD化されたりしています(このように当時放映されず後にDVD化されたエピソードや、今も本邦未ソフト化のエピソードもあるため、ロアルド・ダール劇場の「話数」は原則通り本国のものを採用。ドラマ版は原作をどう表現しているかを観る楽しみもあり、この原作のドラマ化作品「ワインの味」に関して言えば、まずまず楽しめました(緊迫感のあとのスッキリした気分は、ドラマの方が効果大だったかも)。
Tales of the Unexpected -Roald Dahl、Season 2 #16."Taste"(1980)(「ワインの味」)

「おとなしい凶器」"Lamb to the Slaughter"
松本清張11.jpg 料理の支度をしながら愛する夫の帰りを待っている妻メアリ。しかし、帰ってきた夫からもたらされたのは別れの言葉だった。彼女は絶望して、とっさに夫を殺害するが、凶器の仔羊の冷凍腿肉を解凍して調理し、それを刑事たちにふるまう。刑事たちは何も知らずに殺人の凶器となった証拠を食べてしまう―。松本清張の短編集『黒い画集』('60年/カッパ・ノベルズ)の中に「凶器」という作品があって、殺人の容疑者は同じく女性で、結局、警察は犯人を挙げることは出来ず、女性からぜんざいをふるまわれて帰ってしまうのですが、実は凶器はカチンカチンの「なまこ餅」で、それを刑事たちが女性からぜんざいをふるまわれて食べてしまったという話があり、松本清張自身が「ダールの短篇などに感心し、あの味を日本的なものにヒッチコック劇場傑作選「兇器 vhs.jpgAlfred Hitchcock Presents - Lamb to the Slaughter.jpgAlfred Hitchcock Presents Lamb to the Slaughter 兇器.jpg移せないかと考えた」(渡辺剣次編『13の凶器―推理ベスト・コレクション』('76年/講談社))と創作の動機を明かしています。この作品は次に述べる「南から来た男」と同じく、CBSで1955年から1962年に放映された「ヒッチコック劇場(Alfred Hitchcock Presents)」で第84話「兇器」(1958)ヒッチコック劇場の「話数」は邦順を採用として映像化されています。映像化してどれくらいリアリティがあるかと思われるプロットですが、そこはさすがにヒッチコックでした。作品の核であるユーモアは、リアティによって支えられているのだなあと。ラストの主人公の笑みは、2年後に撮られる「サイコ」('60年)を想起させます。
Alfred Hitchcock Presents - Season 3 Episode 28 #106."Lamb to the Slaughter"(1958)(「兇器」)

Lamb to the Slaughter 1979 2.jpglamb to the slaughter 1979.jpg 因みに、「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第4話でドラマ化(「おとなしい凶器」(1979))されていますが(主演は「わらの犬」('71年)のスーザン・ジョージ)、最初に実際に外部の者の犯行であったような映像を見せていて、観る者に対するある種"叙述トリック"的な造作になっています。好みはあると思いますが、個人的には、実際に無かったことを映像化するのはどうかなと思いました。
Tales of the Unexpected: Lamb to the Slaughter(1979)(「おとなしい凶器」)Susan George

「南から来た男」 "Man from the South"
ダール 南から来た男 ド.jpgダール 南から来た男.jpg プールそばのデッキチェアでのんびりしている私は、パナマ帽をかぶった小柄な老人が、やって来たのに気づく。アメリカ人の青年が、老人の葉巻に火をつけてやる。いつでも必ずライターに火がつくと知って、老人は賭けを申し出、あなたが、そのライターで続けて十回、一度もミスしないで火がつけzippo.gifられるかどうか、自分はできない方に賭けると。十回連続でライターに火がついたら、青年はキャデラックがもらえ、その代り、一度でも失敗したら、小指を切り落とすと言う。青年は迷うが―。この作品は、金原瑞人氏の訳で『南から来た男 ホラー短編集2』('12年/岩波少年文庫)にも所収されています。
 
●ヒッチコック劇場(第136話)「指」(1960)スティーブ・マックイーン/ピーター・ローレ(老人)/ニール・アダムス Alfred Hitchcock Presents - Season 5 Episode 15 #168."The Man from the South"(1959)
南から来た男.JPGダール 南から来た男es.jpg この「南から来た男」は「ヒッチコック劇場」で1960年にスティーブ・マックイーンニール・アダムス(当時のマックイーンの妻)によって演じられ((第136話「指」)、監督はノーマン・ロイド(ヒッチコックの「逃走迷路」('42年)で自由の女神から落っこちる犯人を演じた俳優でもあり、「ヒッチコック劇場」で19エピソード、「ヒッチコック・サスペンス」で3エピソードを監督している)、"南から来た男"を演じたのはジョン・ヒューストン監督の「マルタの鷹」('41年)でカイロという奇妙な男を演じたピーター・ローレでした。更に1985年に「新・ヒッチコック劇場」スティーヴン・バウアーメラニー・グリフィス主演でリメイクされ(第15話「小指切断ゲーム」)新・ヒッチコック劇場の話数は邦順を採用。「小指切断ゲーム」は本国ではパイロット版として放映された)、メラニー・グリフィスの母親ティッピ・ヘドレンも特別出演しています。"南から来た男"を演じたのは「マルタの鷹」の監督ジョン・ヒューストン、最後に出てくる"女"を演じたのは「めまい」('58年)のム・ノヴァクでした。共に舞台はカジノに改変されていますが、出来としてはマックイーン版がかなり良いと思いました。スティーブ・マックイーンはテレビシリーズ「拳銃無宿」('58-'61年)で人気が出始めた頃で、この年「荒野の七人」('60年)でブレイクしますが、この作品はアクションは無新・ヒッチコック劇場 小指切断ゲーム.jpg南部から来た男 11.jpg南部から来た男 ジョン・ヒューストン.jpgく、マックイーンは怪優ピーター・ローレを相手に純粋に演技で勝負しています。但し、マックイーンが演じるとどこかアクション映画っぽい緊迫感が出るのが興味深く、緊迫感においてスティーヴン・バウアー版を上回っているように思います(IMDbのスコアもマックイーン版は8.7とかなりのハイスコア)。
●新・ヒッチコック劇場(第15話)「小指切断ゲーム」(1985)メラニー・グリフィス/キム・ノヴァク/スティーヴン・バウアー/ジョン・ヒューストン(老人)/ティッピ・ヘドレン
●ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第1話)「南から来た男」ホセ・フェラー(老人)/マイケル・オントキーンTales of the Unexpected - Season 1 #1."The Man from the South"(1979)
The Man from the South 1979.jpgTales of the Unexpected - The Man from the South.jpg 「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では第1シリーズ第1話として1975年に、ホセ・フェラー(老人)、マイケル・オントキーン(青年)主演でドラマ化(邦題も「南から来た男」)されています。舞台は原作通りリゾートになっていて、老人はちゃんとパナマ帽を被っています。派手さは無いけれど原作にほぼ忠実です(IMDbのスコアは7.3)。映画化作品では、オムニバス映画「フォー・ルームス」('95年/米)の第4話「ペントハウス ハリウッドから来た男」(クエンティン・タランティーノ監督、ティム・ロス主演、ブルース・ウィリス共演)があります(内容はかなり翻案されている)。

吉行 淳之介.jpg 吉行淳之介はこの短編の初訳者である田村隆一との対談で、あのラストで不気味なのは「老人」ではなく「妻」の方であり、夫の狂気に付き合う妻の狂気がより強く出ていると指摘しています。そう考えると、結構"深い"作品と言えるかと思います。


「兵士」 "The Soldier"
 戦争で精神を病んでしまい、何もかもが無感覚になってしまった男。足を怪我しても気がつかず、物に触っても触っている感触が無い。女と暮らしているが、その女が誰なのかも分からなくなってしまう―。ホラー・ミステリですが、ミステリとしての部分は、女が妻であることはかなり明確であり、ホラーの方の色合いが濃いかもしれません。

「わが愛しき妻、可愛い人よ」 "My Lady Love, My Dove"(旧訳「わがいとしき妻よ、わが鳩よ」)
Tales of the Unexpected - My Lady Love, My Dove.jpg 私と妻はブリッジをやるためにスネープ夫妻が来るのを待っている。私も妻も夫妻のことはあまり好きではないが、ブリッジのために我慢する。妻はふと、いったい、スネープ夫妻が2人きりの時はどんな様子をしているのか、マイクを取り付けて聞いてみようと言う。そいて、それを実行に移し、聞こえてきた2人の会話は、ブリッジにおけるインチキの打ち合わせだった。それを聞いた妻は―。夫婦そろって悪事に身を染める場合、妻主導で、夫は妻の尻に敷かれていたという状況もあり得るのだなあ(「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第17話でドラマ化(1980)されているが、日本でDVD化はされていない)。
Tales of the Unexpected - My Lady Love, My Dove (1980)

「プールでひと泳ぎ」 "Dip in the Pool"(旧訳「海の中へ」)
 船旅中のミスター・ウィリアム・ボディボルは、ある時間帯までに船がどのくらいの距離を進むか賭ける懸賞Dip In The Pool 01.jpg(オークション・プール)に参加する。嵐が来ているので、ミスター・ボディボルは有り金全部を短い距離につぎ込むが、朝起きると嵐は収まり、船は快走していて、彼は大いに嘆く。しかし、ある作戦を思いつき、それは、船から人が落ちれば船は救助のため遅れるはずだというもので、自分が落ちた現場を目撃するのに最適な人を探し始める―。ブラックでコミカルと言うか、悲喜劇といった感じ。他人を突き落とすことを考えないで、自分で飛びこんだ分、悪い人ではないのでしょうが。この作品も「ヒッチコック劇場」で第103話「賭」(1958)として映像化されていて、「兇器」と同じく、ヒッチコックDip In The Pool 02o.jpg自身が監督しています。クルDip in the Pool.jpgーズ船は借り切ったのかなあ。主役の俳優は、この体形で海に飛び込んで大丈夫かな思ったけれど、見事な飛込みぶりでした。スタントだとは思いますが、「落ちる」のではなく「飛び込み」をしていました。老婦人が見ていない隙に落ちるのだから、これでもいいのかも(でも、アスリートぽかった)。
Alfred Hitchcock Presents - Season 3 Episode 35 #113."A Dip in the Pool"(1958)(「賭」)

ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事/海の中へ01.jpg この作品は「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第8話「海の中へ」(1979)としてドラマ化されていて、やはり主人公は太っていますが、こちらは「落ちて」いました。こちらも立派なクルーズ船を使っていましたが、ヒッチコック版の方がモノクロフィルムの強みと言うか、重厚感がロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事/海の中へ03.pngあったように思います。この映像化作品単独で観ても面白いのですが、それは原作の面白さに依るものであり、ヒッチコック版と比べると、同じ短編でありながら、ヒッチコック自身が演出したことで醸されている重厚感には及ばないでしょうか。繰り返しになりますが、コメディ映画は、リアルかつシリアスに作り込めが作り込むほど、ユーモアが映えるように思います(因みに原題が "Dip in the Sea"でなく"Dip in the Pool"となっているのは、"Dip in the Sea"だと「海水浴」になってしまうのと、"Dip"とすることで「賭場(Pool)に浸る」という意味に懸けたのではないか)。
Tales of the Unexpected - Dip in the Pool(1979)(「海の中へ」)
   
「ギャロッピング・フォックスリー」 "Galloping Foxley"(旧訳「韋駄天のフォックスリイ」)
 ある日私は、電車に乗ろうとした時、ホームに知った顔を見つける。"ギャロッピング・フォックスリー"と呼ばれ少年の頃に私を苛めていた相手ブルース・でフォックスリーだった。私は彼が自分にした仕打ちを一つ一つ思い出していき、彼にどんな復讐をしてやろうかと考える―。子どもの頃に苛められた記憶って大人になっても消えないのだろうなあ。苛められたことが無い人でも、主人公の気持ちは分かるのでは。それにしても、名乗り合ったら、相手の方がより名門校(イートン校)の出身で、しかも9つも年下だったというのが可笑しいです。こGalloping Foxley.jpgれもドラマシリーズ「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出01見知らぬ乗客.jpg来事」の中で第2シリーズ第12話「見知らぬ乗客」(1980)として映像化されています。主演のジョン・ミルズ(「ライアンの娘」('70年/英・米)のオスカー俳優でサーの称号が与えられている)はさすがの演技達者ぶりで、若き日のフォックスリーを演じたジョナサン・スコット=テイラー(前年に「オーメン2」('79年/米)でダミアン少年を演じている)のいじめっ子ぶりも強烈でした。
Tales of the Unexpected - Galloping Foxley (1980)(「見知らぬ乗客」)

「皮膚」"Skin"
 ドリオリという老人は、ある画廊でシャイム・スーチンの絵が飾られているのを見つける。それは自分がかつて可愛がっていた少年の描いた絵だった。画廊にいる人々かTales of the Unexpected' - Skin(1980).jpgら追い払われそうになったドリオリは、自分はこの絵描きの描いたものを持っていると叫ぶ―。タイトルから何となくどういうことか分かりましたが、さすがにラストはブラックで、ちょっと気持ち悪かったです。とは言え、同時に、主人公の哀れさも滲みます。これも「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中で第2シリーズ第11話「永遠の名作」(1980)として映像化されています。カンヌには画商が老人を住まわせると言っていたホテルは存在しないというところまではよく分からなかったですが、ラストの額縁に入った一枚の絵を見せられれば、それだけで充分でした。
Tales of the Unexpected - Skin(1980)(「永遠の名作」)

「毒」"Poison"
 真夜中のベンガル。私がバンガローに戻って来ると、ベッドで寝ていたハリーの様子が変で、「音をたてないでくれ」と言い、汗びっしょり。本を読んでいたら毒蛇がやってきて、今も腹の上に乗っていると言うので、私は医者のガンデルバイを呼び、どう刺激しないように毒蛇を毒 alfred hitchcock presents poison.jpg動かすか、万が一噛まれた時の処置はどうするか等々、様々な作戦を立てるが―。ハリーのインド人医師に対する人種差別意識と重なり、風刺っぽい皮肉が効いています。この作品もまた「ヒッチコック劇Alfred Hitchcock Presents - S 4 E 1 poison.jpg場」で第124話「毒蛇」として映像化されていますが、原作をいくつか変えています。大きなものとしては、ハリーと"ティンバー"(原作の「私」)の一人の女性をめぐる微妙な関係と、結末のドラマ独自のどんでん返しがあります。普通、原作をいじるとダメになることが多いですが(特に結末)、ヒッチコック自身が演出しているこの作品は原作とはまた違った"味"がありました。
Alfred Hitchcock Presents - Season 4 Episode 1 #118."Poison"(1958)(「毒蛇」)

Tales of the unexpected Poison 2.jpgTales of the unexpected Poison.jpg また、「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では第2シリーズ第14話「或る夜の事件」(1980)としてドラマ化されていて、こちらもハリーの妻と"ティンバー"の不倫などを織り込んで話を膨らませていますが、その部分をここまで"見える化"してしまったのはどうだったかなと思いました(同じく改変はしているが、ヒッチコック版の方がいいか)。
Tales of the Unexpected - Poison(1980)(「或る夜の事件」)

「願い」"The Wish"
 絨毯の上にいる少年は想像を膨らませる。絨毯の赤い所は石炭が燃えている固まりで、黒い所は毒蛇の固まり、黄色の所だけは歩いても大丈夫な所。焼かれもしないで、毒蛇に噛まれもしないで向こうへ渡れたら、明日の誕生日にはきっと仔犬がもらえるはず。少年はおそるおそる黄色の所だけを歩き始めて―。子供の他愛の無い空想遊びの話ですが、最後の一行で、本当に空想に過ぎなかったのか不安が残ります。

「首」 "Neck"
故ウィリアム・タートン卿所蔵の芸術品に興味のある私は、バシル・タートン卿の招待を受けて屋敷へ行く。執事の口ぶりから察するに、レディ・タートンとジャック・ハドック少佐はただならぬ関係らしい。庭園には様々な芸術品があるが、中でもヘンリイ・ムーアの木製の彫刻が素晴らしい。彫刻には穴がいつかあり、レディ・タートンがふく第6話「首」 .jpgざけて穴に頭を突っ込んで抜けなくなってしまう。バジル卿は、鋸と斧を持ってくるよう執事に命じるが、彼が手にしたのは斧だった―。芸術至上06 首 ジョン・ギールグッド.jpg主義の本分からして、実際、斧で妻の首を切落としかねない感じでしたが...。浮気妻への"心理的"復讐と言ったところだったでしょうか。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第6話でドラマ化(「首」(1979))されています。実際に広大な庭にムーアっぽい彫刻を幾つも据えていました。ラストは、斧を振り下ろすところでストップモーションになっています。
Tales of the Unexpected - Neck (1979)(「首」)John Gielgud Joan Collins


「Ⅱ」所収分 
「サウンドマシン」 "The Sound Machine"(旧訳「音響捕獲機」)
 クロースナーは人間の耳では聞くことの出来ない音をとらえる機械を作った。早速、イヤホンをしてダイヤルを回すと、ミセス・ソーンダースの庭から、茎が切られる時のばらの叫び声が聞こえてきて―。昔、サボテンが、傍でオキアミを第41話 サウンドマシン  The Sound Machine 1.jpg茹でたりすると電磁波を発信するという話がありましたが、最近は園芸店やホームセンターで、「電磁波を吸収する効果があるサボテン」というのが売られています。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第4シリーズ第41話でドラマ化(「音響捕獲機」(1981))されていますが、 ハリー・アンドリュースが演じるクロースナーは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」('85年/米)でクリストファー・ロイドが演じた"ドグ"っぽい感じのマッドサイエンティストぶり(でも、こっちの方が4年早い)。ただ、映像化したからと言って何か新たな発見があるような内容でもなかったです。
Tales of the Unexpected - The Sound Machine (1979)(「音響捕獲機」)Harry Andrews

「満たされた人生に最後の別れを」 "Nunc Dimittis"
 私はある婦人からジョン・ロイデンという画家の話を聞く。ロイデンは素晴らしい肖像画を描くのだが、まず裸の絵を描いて、その上に下着を描いて、さらにその上に服を重ねて描くという手法を使っているらしい。その婦人から、恋人のジャネット・デ・ペラージアが自分のことを影では嘲笑っていると聞き、ある復讐を思いつく。ロイデンにジャネットの肖像画を描かせた私は、脱脂綿に液体をつけて、少しずつドレスの絵の具をこすっていく―。旧訳のタイトルは「告別」で、原題の意はシメオンの賛歌から「今こそ主よ、僕を去らせたまわん」。陰険な独身男の主人公はキャビア大好き男でもあり、復讐相手から和解の印にキャビアを贈られて...。

「偉大なる自動文章製造機」 "The Great Automatic Grammatizator"
大型自動計算器を開発しているアドルフ・ナイプは、自分の好きな物語を作ることのできる機械を発明する。ちょっとしたアイディアだけで、素敵な文章の面白い小説を作ることができるのだ。ナイプはミスター・ボーレンと組んで小説を次々と作り、既存作家の代作まで始めることに。リストアップされた作家の7割が契約書にサインし、今も多くの作家たちがナイプと手を組もうとしている―。2016年に、AI(人工知能)が書いた小説が文学賞で選考通過というニュースがあり(「星新一文学賞」だったと思う)、まったくのSFと言うより、今や近未来小説に近い感じになっているかも。

「クロードの犬」 "Claud's Dog " 
 「ねずみ捕りの男」 "The Ratcatcher"
 私とクロードのいる給油所に保健所の依頼を受けたねずみ捕りの男がやって来る。彼は、ボンネットの上に年老いたドブネズミをくくりつけ、私たちに手を使わずにねずみを殺せるということについて賭けを持ちかける―。このねずみ捕りの男、何者じゃーって感じです。
 「ラミンズ」 "Rummins"
 ラミンズと息子のバードが草山を束に切っていると、ナイフの刃がなにか硬いものをこするようなガリガリいう音を立てる。ラミンズは「さあ、続けろ!そのまま切るのだ、バート!」と言う。それを見ていた私は、みんなで乾草の束を作っていた時のことを思い出す。これって、純粋に事故なのでしょうか。
 「ミスター・ホディ」 "Mr. Hoddy"
 クラリスと結婚することを決めたクロードは、クラリスの父親のミスター・ホディに会いに行きく。どうやって生計を立てて行くか聞かれたクロードは、自信満々に、蛆虫製造工場を始める計画を語る―。こりゃ、破談になるわ。
 「ミスター・フィージィ」 "Mr. Feasey"
私とクロードは、ドッグレースで儲ける作戦を思いつく。クロードは走るのが速いジャッキーという犬を飼っているが、そのジャッキーとそっくりの走るのが全然早くない犬をも飼っていた。そこで、参加するドッグレースに初めはその偽ジャッキーを出しておいて、レベルの低い犬として認定されるようにし、本番の大勝負では、本物のジャッキーを参加させれば大穴になり、大儲けができるという作戦だった。この作戦はうまく行ったかに見えたが―。やっぱりズルはいけないね、という感じしょうか。

 (追加収録)
「ああ生命の妙なる神秘よ」北を向いてすれは雌が生まれる? 人間にも応用できるのかあ(笑)。

「廃墟にて」食料も無くなった未来の廃墟で、自分の脚を切って食べる男。それを見つめていた少女にも分けてやるが―。何となく、どこかで読んだことがあるような気がします。

 因みに、最後の2篇は、邦訳短編集としては初収録ですが、「ああ生命の妙なる神秘よ」は「ミステリマガジン」1991年4月号、「廃墟にて」は同誌1967年3月号に掲載されたことがあるとのことです。

 個人的ベスト3は、①「南から来た男」、②「おとなしい凶器」、③「プールでひと泳ぎ」でしょうか。とりわけ「南から来た男」は、吉行淳之介の読み解きを知った影響もありますが◎(二重丸)です。「ギャロッピング・フォックスリー」「首」もまずまずでした。

「人喰いアメーバの恐怖」 [VHS]/「マックイーンの絶対の危機 デジタル・リマスター版 [DVD]
マックィーンの絶対の危機_9.jpg人喰いアメーバの恐怖 .jpgマックィーンの絶対の危機(ピンチ)dvd.jpg 因みに、スティーブ・マックイーンの初主演映画は、「ヒッチコック劇場」の「指」に出演した2年前のアービン・S・イヤワース・ジュニア監督の「マックイーンの絶対の危機(ピンチ)」('58年)で、日本公開は'65年1月。日本での'72年のテレビ初放送時のタイトルは「SF人喰いアメーバの恐怖」で、'86年のビデオ発売時のタイトルも「スティーブ・マックィーンの人喰いアメーバの恐怖」だったので、「人喰いアメーバの恐怖」のタイトルの方が馴染みがある人が多いのではないでしょうか。宇宙生物マックィーンの絶対の危機_1.jpgが隕石と共にやって来たという定番SF怪物映画で、怪物は田舎町を襲い、人間を捕食して巨大化していきますが、これ、"アメーバ"と言うより"液体生物"でしょう(原題の"The Blob"はイメージ的には"スライム"に近い?)。この液体生物に立ち向かうのがマックイーン(当時、クレジットはスティーブン・マックイーンで、役名の方がスティーブになっている)らが演じるティーンエイジャーたちで、スティーブン・マックイーンは実年齢27歳で高校生を演マックィーンの絶対の危機_2.jpgじています(まあ、日本でもこうしたことは時々あるが)。CGが無い時代なので手作り感はありますが、そんなに凝った特撮ではなく、B級映画であるには違いないでしょう。ただそのキッチュな味わいが一部にカルト的人気を呼んでいるようです。スティーブ・マックイーン主演ということで後に注目されるようになったことも影響しているかと思いますが、「人喰いアメーバの恐怖2」(ビデオ邦題「悪魔のエイリアン」)('72年)という続編や「ブロブ/宇宙からの不明物体」('88年)というリメイク作品が作られています。
       


ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第四集.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第16話)/ワインの味●原題:Tales of the Unexpected -TASTE●制作年:1980年●制作ワインの味.jpg国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/12●監督:アラステア・リード●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「味」●時間:26分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ロン・ムーディー/アントニー・キャリック/Mercia Glossop/デビー・ファーリントン●DVD発売:2008/01●発売元:JVD(評価★★★☆)
ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第四集 BOX [DVD]」(「ワインの味 /Taste」「風景画 /Picture of a place」「盗み聴き /The Eavesdropper」 「動物と話す少年 /The Boy who talked with Animals」「 かも /There's One Born Every Minute」 「ブルー・マリーゴールド /Blue Marigold」 「確実な方法 /The Way to do it」「顔役 /The Man at tha Top」「クリスマスに帰る /Back for Christmas」)

Alfred Hitchcock Presents Lamb to the Slaughter. (1958) f.jpg「ヒッチコック劇場(第84話)/兇器●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 3 E 28-#106)LAMB TO THE SLAUGHTERヒッチコック劇場 第ニ集 バリューパック.jpg●制作年:1958年●制作国:アメリカ●本国放映:1958/04/13●監督:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:ロアルド・ダール●原作:ロアルド・ダール「やさしい凶器」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/バーバラ・デル・ゲデス/ハロルド・J・ストーン●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
ヒッチコック劇場 第ニ集 バリューパック [DVD]」【Disc1】「兇器」「亡霊の見える椅子」「女性専科第一課 中年不夫婦のために」所収

ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 dvd.jpgLamb to the Slaughter 1979 1.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第4話)/おとなしい凶器●原題:Tales of the Unexpected -LAMB TO THE SLAUGHTER●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/04/14●監督:アラン・ピックフォード●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「おとなしい凶器」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/スーザン・ジョージ/マイケル・バーン/ブライアン・ブレスト●日本放映:1980/05/10●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)
予期せぬ出来事 3枚組BOX [DVD] JVDD1157」(「南から来た男」「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」「ウィリアムとメリー」「おとなしい凶器」「女主人」「首」「暴君エドワード」「海の中へ」「天国へのエレベーター」)

マっクィーン 指.jpg「ヒッチコック劇場(第136話)/●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 5 E 15-#168)MAN FROM THE SOUTH●制作年:1959年●制作国:アメリカ●本国放映:1960/01/03●監督:ヒッチコック劇場 第四集.jpgノーマン・ロイド●製作:ジョーン・ハリソン●脚本:ウィリアム・フェイ●音楽:ジョセフ・ロメロ●原作:ロアルド・ダール「南から来た男」●時間:26分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/スティーブ・マックイーンニール・アダムス/ピーター・ローレ/キャサリン・スクワイア●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放ヒッチコック劇場 マックイーン版 南から来た男.jpgヒッチコック劇場 マックイーン版 南から来た男 2.jpg映局:日本テレビ(評価★★★★)
ヒッチコック劇場 第四集2 【ベスト・ライブラリー 1500円:第4弾】 [DVD]」(「脱税夫人(The avon emeralds)」「悪徳の町(The crooked road)」「指(Man from the south)」「ひき逃げを見た(I saw the whole thing)」)
      
スティーヴン・バウアー/ティッピ・ヘドレン/メラニー・グリフィス(背)/ジョン・ヒューストン
小指切断ゲーム2.jpg小指切断ゲーム3.jpg小指切断ゲーム4.jpg「新・ヒッチコック劇場(第15話)/小指切断ゲーム●原題:Alfred Hitchcock Presents - MAN FROM THE SOUTH●制作年:1985年●制作国:アメリカ●本国放映:1985/05/05●監督:スティーブ・デ・ジャネット●製作:レビュー・スタジオ●脚本:スティーブ・デ・ジャネット/ウィリアム・フェイ●音楽:ベイジル・ポールドゥリス●原作:ロアルド・ダール「南から来た男」●時間:24分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/スティーヴン・バウアー(青年)/メラニー・グリフィス(若い女)/ジョン・ヒューストン(カルロス老人)/キム・ノヴァク(女)/ティッピ・ヘドレン(ウェートレス)●日本放映:1988/01/07●放映局:テレビ東京●日本放映(リ小指切断ゲーム1.jpg小指切断ゲーム6.jpg小指切断ゲーム5.jpg新・ヒッチコック劇場 5.jpgバイバル):2007/07/08●放映局:NHK-BS2(評価★★★☆)
ヒッチコック(ストーリーテラー)/メラニー・グリフィス/キム・ノヴァク(特別ゲストスター) 「新・ヒッチコック劇場 5 日本語吹替版 3話収録 AHP-6005 [DVD](「誕生日の劇物」「ビン詰めの魔物」「小指切断ゲーム」)

新・ヒッチコック劇場 小指切断ゲーム.jpg新・ヒッチコック劇場「南部から来た男」(1985)"Man From The South"(日本放送時のタイトル「小指切断ゲーム」)  

The Man from the South
ロアルド・ダール劇場The Man from the South.jpg「The Man from the South」1.jpg「The Man from the South」2.jpg「The Man from the South」3.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第1話)/南から来た男●原題:Tales of the Unexpected -MAN FROM THE SOUTH●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/03/24●監督:マイケル・タクナー●脚本:ケビン・ゴールドスタイン・ジャクソン●原作:ロアルド・ダール「南から来た男」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ホセ・フェラー/マイケル・オントキーン/パメラ・スティーヴンソン/シリル・ルッカム/ケティ・フラド●日本放映:1980/04/19●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)

Dip In The Pool 02.jpg「ヒッチコック劇場(第103話)/●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 3 E 35-#113)A DIP IN THE POOL●制作年:1958年●制作国:アメリカ●本国放映:1958/06/01●監督:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:フランシス・コックレル●原作:ロアヒッチコック劇場 第一集 バリューパック.jpgヒッチコック劇場1-25_.jpgルド・ダール「プールでひと泳ぎ」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/キーナン・ウィン/フィリップ・バーネフ/ルイーズ・プラット/フェイ・レイ/ドゥリーン・ラング●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
「ヒッチコック劇場 第一集 バリューパック」「生と死の間」「ペラム氏の事件」「酒蔵」「もうあと1マイル」「賭」「神よ許し給え」所収
        
ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 dvd.jpgロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事/海の中へ02.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第8話)/海の中へ●原題:Tales of the Unexpected -A DIP IN THE POOL●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/05/19●監督:マイケル・タクナー●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「賭」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジャック・ウェストン/グラディス・スペンサー/マイケル・トラウトン/ジャナ・シェルドン/ポーラ・ティルブルック●日本放映:1980/06●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)
   
「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第12話)/見知らぬ乗客●原題:Tales of the Unexpected -GALLOPING FOXLEY●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/03/15●監督:クロード・ウィーサム●脚本:ロビ予期せぬ出来事 第二集 BOX.jpgン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「ギャ02見知らぬ乗客.jpgロッピング・フォックスリー」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョン・ミルズ/アンソニー・スティール/ポール・スパリアー/ジョナサン・スコット・テイラー●日本放映:1980/06●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
      
予期せぬ出来事 第二集 BOX [DVD]」(「永遠の名作」「見知らぬ乗客」「ママの面影」「或る夜の事件」「新案育児法」「ヒッチハイク」「父親になる日」「男の夢」「疑惑」「ハエとり紙」「骨董屋の結婚」「太りすぎに注意」)
        
「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第11話)/永遠の名作●原題:Tales of the Unexpected -SKIN●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:●1980/04/28●監督:ハーバート・ワイズ11 皮膚 Tales of the Unexpected - Skin(1980).jpg●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「首」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/デレク・ジャコビ/ルーシー・ガッテリッジ/ボリス・イザロフ/ドナルド・ピカリング/Teris Hebrew●日本放映:1980/06●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
Derek Jacobi/Lucy Gutteridge/Boris Isarov/Donald Pickering/Teris Hebrew
Derek Jacobi.jpgLucy Gutteridge.jpgBoris Isarov.jpgDonald Pickering.jpgTeris Hebrew  Tales of the Unexpected'(1980).jpg
                                  
ヒッチコック劇場 第二集 (2).jpgPoison_AL_.jpg「ヒッチコック劇場(第124話)/毒蛇●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 4 E 1-#118)POISON●制作年:1958年●制作国:アメリカ●本国放映:1958/10/05●監督:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:ケイシー・ロビンソン●原作:ロアルド・ダール「毒」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/ウェンデル・コーリー/ジェームズ・ドナルド/アーノルド・モス/ドゥリーン・ラング●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
ヒッチコック劇場 第二集 (2) (ユニバーサル・セレクション2008年第5弾) 【初回生産限定】 [DVD]」【Disc2】「毒蛇」「殺人経験者」「バアン ! もう死んだ」
  
Tales of the Unexpected  poison 009.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第14話)/或る夜の事Tales of the Unexpected  poison 00.jpg●原題:Tales of the Unexpected -POISON●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/28●監督:グレアム・エヴァンズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「毒」●時間:23分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/アンドリュー・レイ/アンソニー・スティール/ジュディ・ギーソン/サイード・ジャフリー●日本放映:1980/07●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)
   
06首ジョン・ギールグッド01.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第6話)/●原題:Tales of the Unexpected -NECK●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/28●監督:クリストファー・06首ジョン・ギールグッド02.jpgマイルズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「首」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョーン・コリンズ/マイケル・オルドリッジ/ピーター・ボウルズ/ジョン・ギールグッド●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)

第41話 音響捕獲機The Sound Machine.jpg第41話 サウンドマシン  The Sound Machine 2.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第41話)/音響捕獲機●原題:Tales of the Unexpected -THE SOUND MACHINE●制作年:1981年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第三集.jpg放映:1981/05/17●監督:ジョン・ゴリエ●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「サウンドマシン」●時間:30分●出演:ハリー・アンドリュース/ジェームズ・ワーウィック●DVD発売:2006/09●発売元:JVD(評価★★★)
ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第三集 [DVD]」(「負け犬」「動かぬ証拠」「最高の同居人」「死者の悪口にご用心」「隠された悪意」「アンティークの家具」「音響捕獲機」「満ち潮」「望みすぎた女」「パーティ」「妻の遺産」「おとり捜査」)

The Blob
The Blob (1958).jpgマックィーンの絶対の危機_.jpg「マックイーンの絶対の危機(ピンチ)(人喰いアメーバの恐怖)」●原題:THE BLOB●制作年:1958年●制作国:アメリカ●監督:アービン・S・イヤワース・ジュニア●製作:ジャック・H・ハリス●脚本:ケイト・フィリップス/セオドア・シモンソン●撮影:トーマス・スパルディング●音楽:ラルフ・カーマイケル●原案:アービン・H・ミルゲート●時間:86分●出演:スティーブ・マックイーン/アニタ・コルシオ/アール・ロウ/ジョージ・カラス/ジョン・ベンソンTHE BLOB 1958es.jpgTHE BLOB 1958  .jpg/スティーヴン・チェイス/ロバート・フィールズ/アンソニー・フランク/ジェームズ・ボネット/オーリン・ハウリン●日本公開:1965/01●配給:アライド・アーティスツ(評価★★★)


Alfred Hitchcock Presents.jpgヒッチコック劇場00.jpgヒッチコック劇場01.jpgヒッチコック劇場_0.jpg■TVシリーズ「ヒッチコック劇場」Alfred Hitchcock Presents (CBS 1955.10.2~62.7.3)○日本での放映チャネル:日本テレビ(1957~63)声:熊倉一雄(アルフレッド・ヒッチコック)
Alfred Hitchcock Presents  

新・ヒッチコック劇場 dvd amazon.jpg新・ヒッチコック劇場 5.jpg新・ヒッチコック劇場 4.jpg■TVシリーズ「新・ヒッチコック劇場」Alfred Hitchcock Presents (NBC 1985.4.5~89.6.22)○日本での放映チャネル:テレビ東京(1985~87)声:熊倉一雄(アルフレッド・ヒッチコック)
           
Tales of the Unexpected  1979.jpgTales of the Unexpected.jpgロアルド ダール劇場 予期せぬ出来事 第二集 全4巻.jpg■TVシリーズ「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」Tales of the Unexpected (BBC 1979.3.24~88.5.13)○日本での放映チャネル:東京12チャンネル(現テレビ東京)(1980)/ミステリチャンネルなど

●「ロアルド ダール劇場 予期せぬ出来事」東京12チャンネルで1980年放映時のラインアップ(本国での全9シリーズ112作中)()内は放映時タイトル。
1 南から来た男 Man From the South [#1]
2 ヴィクスビー夫人と大佐のコート Mrs Bixby and the Colonel's Coat [#2]
3 ウィリアムとメリー(永遠の結婚) William and Mary [#3]
4 おとなしい凶器 Lamb to the Slaughter [#4]
5 女主人 The Land lady [#5]
6 首 Neck [#6]
7 暴君エドワード Edward the Conqueror [#7]
8 海の中へ(イチかバチか) A Dip in the Pool [#8]
9 天国へのエレベーター The Way Up to Heaven [#9]
10 永遠の名作 Skin [#11]
11 見知らぬ乗客 Galloping Foxley [#12]
12 ママの面影 Georgy Porgy [#18]
13 或る夜の事件 Poison [#14]
14 新案育児法 Royal Jelly [#10]
15 ヒッチハイク The Hitch-Hiker [#13]
16 父親になる日 Genisis and Catastorophe [#21]
17 男の夢 Mr Botibol's First Love [#22]
18 疑惑 The Umbrella Man [#20]
19 ハエとり紙 The Flypaper [#26]
20 骨董屋の結婚 The Ordery World of Mr. Appleby [#24]
21 太りすぎにご注意 Fat Chance [#15]
22 顔役 The Man at the Top [#25]
23 クリスマスに帰る Back for Christmas [#23]
24 風景画 A Picture of a Place [#27]
25 負け犬 The Stinker [#32]
26 動かぬ証拠 Shattorproof [#40]
27 最高の同居人 The Best of Everything [#38]
28 死者の悪口にご用心 Never Speak Ill of the Dead [#42]
       

 【1957年新書化[ハヤカワ・ポケットミステリ(田村隆一:訳)]/1976年文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫(田村隆一:訳)]/2013年再文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫(田口俊樹:訳)(Ⅰ・Ⅱ)]】

「●アルフレッド・ヒッチコック監督作品」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 「●フランシス・フォード・コッポラ監督作品」【2578】 フランシス・フォード・コッポラ 「カンバセーション...盗聴...
「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ

ヒッチコック唯一のアクション・サスペンス映画。筋立ての旨さで飽きさせない。

北北西に進路を取れ ps.jpg北北西に進路を取れ チラシ.jpg北北西に進路を取れ7.jpg 北北西に進路を取れ dvd.jpg
北北西に進路を取れ 特別版 [DVD]

北北西に進路を取れ 022.jpg 広告会社の重役ロジャー・ソーンヒル(ケーリー・グラント)は、ホテルのロビーでの会合中、偶然別の人物に間違えられて誘拐され、広壮な邸宅に連れていかれる。そこにいたタウンゼントと名乗る男(ジェームズ・メイソン)は彼の事をキャプランというスパイだと決めつけ、ロジャーが否定すると、今度は泥酔運転に見せかけて殺されそうになる。窮地を脱したロジャーは、翌日、タウンゼントが国連で演説することを知り、真相を確かめようと国連ビルへ赴くが、そこに現れたタウンゼントは全くの別人だった。そして、タウンゼントの背中にナイフが突き立てられ、容疑はロジャーにかかってしまう。政府のスパイ機関の会議室では、教授(レオ・G・キャロル)と呼ばれる男を中心に、予想外の事態への対応を協議していた。タウンゼントに成りすました男は、実はヴァンダムという敵のスパイ一味の親北北西に進路を取れ auction.jpg玉で、教授たちは彼らヴァンダム一味の中に自分たちの側のスパイを送り込んでいた。キャプランは教授たちが創造した架空のスパイで、ヴァンダムの注意をキャプランに引き付けることで、味方のスパイを守ろうという作戦だった。スパイ合戦に巻き込まれたロジャーに対し教授たちは同情しつつも、味方のスパイの安全のHokuhokusei ni shinro wo tore (1959).jpgため敢えて何もしないことに決める。架空の人物とも知らずキャプランを追い求めるロジャーは、彼がシカゴに向かったと知ると駅から特急寝台列車に乗る。その車内でイヴ・ケンドール(エヴァ・マリー・セイント)という女性と親しくなる。彼女はロジャーがお尋ね者であることを知りながら、彼を自室に招き入れて匿う。ところが同じ列車にヴァンダム一味も乗っていて、実はイヴは彼らと通じていた―。
Hokuhokusei ni shinro wo tore (1959)

北北西に進路を取れ 09.jpg 1959年のアルフレッド・ヒッチコック作品で、小麦畑でのセスナシーンやラシュモア山のシーンなどで知られるように、ヒッチコック唯一のアクション・サスペンスムービーとも言われています。こうした作品は大味になりがちなところを、筋立てとその運びの旨さで飽きさせず、さすがアカデミー賞の脚本賞にノミネートされただけのことはあります。個人的には、アクションもさることながら、ラシュモア山麓に建っている敵のモダンな別荘だとか、ロジャーがオークション会場で敵に囲まれた際に、わざと無茶苦茶な値を付けて警備員に連れ出されることで難を逃れるといったシーンなどが意外と印象に残っていたりします。

北北西に進路を取れ 00.jpgジェームズ・ステュアート.jpg 主演のケーリー・グラント(1904-1986/享年82)は、ジェームズ・ステュアート(1908-1997/享年89)と並ぶヒッチコック映画の代表的俳優であり、「断崖」('41年)、「汚名」('46年)、「泥棒成金」('55年)でヒッチコック映画のまさに"顔"となりましたが、その後、「裏窓」('54年)、「知りすぎていた男」('56年)、「めまい」('58年)でジェームズ・ステュアートが台頭し、立場が逆転した印象もあったところにこの作品に出演し、再びジェームズ・ステュアートに並ぶか、或いは抜き返したという感じではないでしょうか。

北北西に進路を取れ 03.jpg ジェームズ・ステュアートはこの作品のロジャー役を熱望していたそうですが、フランソワ・トリュフォーのヒッチコックに対するインタビュー集『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』(山田宏一・蓮實重彦訳、'81年/晶文社)によれば、ヒッチコックは、「めまい」がヒットしなかったのはジェームズ・ステュアートがラヴ・ストーリーを演じるには年を取り過ぎていたからと考えていたようで、「北北西に進路を取れ」はスパイ・アクション映画ではあるが、ラヴ・ストーリーが大きな位置を占めているため、ジェームズ・ステュアートよりもその外見が若々しいケーリー・グラントを選んだのだろうとト映画術80.JPG映画術78.JPGリュフォーは推察しています(実際にはケーリー・グラントの方がジェームズ・ステュアートより3つ年上なのだが)。因みに、当時ヒットしなかったという「めまい」は、"Sight & Sound"誌映画批評家による「オールタイム・ベスト250」の2012年版で第1位に選出されています(「北北西に進路を取れ」は52位)。

定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー』('90年/晶文社)

北北西に進路を取れ エヴァ・マリー・セイント.jpg 一方、謎の女性を演じている女優はエヴァ・マリー・セイント(1924- )で、当時すでに「波止場」('54年)でアカデミー助演女優賞を受賞していましたが(因みに「波止場」はグレースー・ケリー北北西に進路を取れ 05.jpgが「裏窓」出演のために役を断り、そのためエヴァ・マリー・セイントに役が回ってきた)、ヒッチコックはこの作品でしかエヴァ・マリー・セイントを使っていません。おそらく、従来のヒッチコ北北西に進路を取れ 06.jpgック作品のヒロイン像と違って、「007シリーズ」のボンドガールのような役回りであることも関係しているのでしょう。ラストのロジャーと2人で寝台車のベッドで抱き合うシーンなども「007シリーズ」の北北西に進路を取れ 07.jpgエンディングっぽいですが、「007シリーズ」の第1作「007 ドクター・ノオ」('62年)の公開は本作の3年後です。ロジャーとイヴが寝台車の中で抱き合った後、列車がトンネルの中に入っていくシーンについて先ほどの『映画術』の中でヒッチコックは、「あれはこれまで私が撮った映画のなかでも一番猥褻なショットだ...列車は男根のシンボルだ」とトリュフォーに語っています。

北北西に進路を取れ hichi.jpg 因みに、恒例のヒッチコック自身のカメオ出演は、この作品では冒頭のクレジットタイトルの最後に出てくるバスに乗り遅れる男性であり、探す上ではかなり分かりやすい部類ではないでしょうか(「裏窓」も分かりやすかったが、それ以上か)。
   
北北西に進路を取れ 英文ps.jpg「北北西に進路を取れ」●原題:NORTH BY NORTHWEST●制作年:1959年●制作国:アメリカ●監督・製作:北北西に進路を取れ 02.jpgアルフレッド・ヒッチコック●脚本:アーネスト・レーマン●撮影:ロバート・バークス●音楽:バーナード・ハーマン●時間:136分●出演:ケーリー・グラントエヴァ・マリー・セイント北北西に進路を取れe8.jpgNorth_by_Northwest.jpgジェームズ・メイソンマーティン・ランドー/ジェシー・ロイス・ランディNorth_by_Northwest__James_Mason.jpgス/レオ・G・キャロル/ジョセフィン・ハッチンソン/フィリップ・オバー/エドワード・ビンズ/アダム・ウィリアムズ/ロバート・エレンシュタイン●日本公開:1959/09●配給:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー●最初に観た場所:高田馬場・ACTミニシアター(88-07-10)(評価:★★★★)●併映:「暗殺者の家」(アルフレッド・ヒッチコック)

「●た‐な行の外国映画の監督」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【2590】 J・ドゥミ 「天使の入江
「●アルフレッド・ヒッチコック監督作品」の インデックッスへ「●ハリソン・フォード 出演作品」の インデックッスへ(「ワーキング・ガール」)「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ「○都内の主な閉館映画館」の インデックッスへ(三軒茶屋映画劇場/歌舞伎町シネマ1)インデックッスへ(俳優座シネマテン)インデックッスへ(新宿アカデミー)

「裏窓」×「めまい」+α。B級と言う人も多いが、個人的には好きな「ボディ・ダブル」。

ボディ・ダブル2.jpg 『ボディ・ダブル』(1984)2.jpg  殺しのドレス.jpg めまい.jpg 
ブライアン・デ・パルマ「ボディ・ダブル [DVD]」「殺しのドレス スペシャル・エディション [DVD]」  アルフレッド・ヒッチコック「めまい (ユニバーサル・セレクション2008年第5弾) 【初回生産限定】 [DVD]

BODY DOUBLE.jpgBODY  DOUBLE.jpg B級映画俳優のジェイク(クレイグ・ワッソン)は、ドラキュラ映画の主演で棺に入るシーンで閉所恐怖症の発作を起こしてクビになり、失意のまま帰宅したところ、同棲中の恋人が男と情事にふけっているという散々な有様。家は彼女のものであり、意気消沈のまま家を出た彼は、あるオーディション会場で、サム(グレッグ・ヘンリー)という男と知り合い彼の家へ招かれる。そこはモBODY DOUBLE● 1984 3.jpgBODY DOUBLE● 1984 1.jpgダンな豪邸で、サムはジェイクに留守中の家の管理を頼むとともに、望遠鏡越しに見える魅惑的な隣人(デボラ・シェルトン)の存在を教える―。

 ヒッチコックの「裏窓」('54年)と「めまい」('58年)を足して2で割ったような作品ですが、そうしたこともあって評価の割れる作品かも。

DRESSED TO KILL Angie Dickinson.jpg  ブライアン・デ・パルマ監督の同系統のサスペンス作品では「殺しのドレス」('80年)が知られてますが、確かに面白い作品で、美術館でのなめまわすようなカメラワークや、「サイコ」を意識したアンジー・ディキンソンのシャワーシーン(「サイコ」同様、ボディショットは代役らしい)などが印象的でしたが、但し、観ている間はすごくのめり込まされるのですが、その分、終わってみるとな〜んだみたいな面もややありました(評価は星4つ。映画全体としては決して悪くなく、むしろ佳作の部類)。
殺しのドレス スペシャル・エディション [DVD]

 ただ個人的には、「ボディ・ダブル」の方が、観終わったあとの印象も含めると「殺しのドレス」より良かったように思え、他の同監督の作品と比べても、最も自分の好みに近い作品です。意図的にあまり有名ではない俳優を使って撮っていて(メラニー・グリフィスMelanie Griffith.jpgも当時デビュー10年ながらいまだに"売り出し中"の身)、エロチックなシーンもふんだんにあり、この映画全体がB級の雰囲気を醸していますが、そのキッチュ感が却ってでいいです。内容的にも、ヒッチコックへのオマージュを込めながらも、ミステリとしてのオリジナリティは十分にあるように思われ、個人的には「裏窓」×「めまい」+アルファという評価ですが、観る人によっては、最後が"マイナス"になる人もいるかもしれません。

Melanie Griffith in「ボディ・ダブル」(全米批評家協会賞「助演女優賞」受賞)

ワーキング・ガール チラシ.jpgワーキング・ガール 86米.jpgメラニー・グリフィス in  ワーキング・ガール.jpg 映画後半に出てくるポルノ女優を演じたメラニー・グリフィスは、ヒッチコック監督作品「鳥」('63年)のヒロイン役を演じたティッピ・ヘドレンの娘であり(この作品の翌年にTV番組「新・ヒッチコック劇場」で親子共演したりしている)、この「ボディ・ダブル」で彼女は演技開眼し、マイク・ニコルズ監督の「ワーキング・ガール」('88年)では、シガニー・ウィーバー、ハリソン・フォードらに伍する演技で、アカデミー主演女優賞にノミネートされています。
ワーキング・ガール [DVD]

ワーキング・ガール 2.jpg 「ワーキング・ガール」は、ウォール街の投資銀行のM&A部門で働く秘書(メラニー・グリフィス)が、尊大な女性上司(シガニー・ウィーバー)がスキー休暇中に骨折し職場復帰するまでの間に、上司の愛人(ハリソン・フォード)と共に進行中の合併話を期せずして進行させることになるというサクセス・ストーリーですが(当時のアメリカではM&Aの嵐が吹き荒れていたようだ)、メラニー・グリフィス、シガニー・ウィーバー共にいい味出していて、映画自体もまあまあ楽しめました。冒頭にワールドトレードセンター(WTC)の空撮が出てきますが、この作品自体WTCで撮影されています。因みに、"ワーキング・ガール"というタイトルには「キャリア・ウーマン」の他に「娼婦」という意味もあります。

ヒチコック監督「めまい」より
『めまい』.jpgKim Novak2.jpg映画「めまい」1958 より.jpg 「ボディ・ダブル」の作品ベースとなっているヒッチコックの「裏窓」('54年)「めまい」('58年)のうち「めまい」「めまい」.jpg「めまい」では、カメラワークにおいてズームアウトしながらカメラを前方へ動かすことで被写体のサイズが変わらずに広角になる映し方(逆ズーム)で墜落感を表す手法や、カメラが被写体の周りを回る映し方(360°パン)でキスシーンなどの陶酔感を表す手法などが用いられていることでも有名で、デ・パルマ監督もこの作品でそうした技法をしっかり採り入れています。キム・ノヴァクの妖しげな魅力が印象に残った映画でもありました。 
 

BODY DOUBLE● 1984 F.jpgBODY DOUBLE.jpg「ボディ・ダブル」●原題:BODY DOUBLE●制作年:1984年●制作国:アメリカ●監督・製作:ブライアン・デ・パルマ●脚本:ロバート・J・アヴレッチ/ブライアン・デ・パルマ●撮影:スティーヴン・H・ブラム●音楽:ピノ・ドナッジオ●時間:114分●出演:クレイグ・ワッソン/グレッグ・ヘンリー/デボラ・シェルトン/メラニー・グリフィス/ガイ・ボイド/デヴィッド・ハスケル/デニス・フランツ/アル・イズラエル/レベッカ・ スタンリー/ダグラス・ワーヒット/B・J・ジョーンズ/ラス・マリン/レーン・デイヴィース●日本公開:1985/02●配給:コロムビア映画●最初に観た場所:三軒茶屋映劇 (85-09-15)(評価:★★★★☆)●併映:「聖女アフロディーテ」(ロバート・フュースト)/「ブレスレス」(ジム・マクブライド)
三軒茶屋映劇 2.jpg三軒茶屋シネマ/中央劇場.jpg三軒茶屋付近.png三軒茶屋映画劇場 1925年オープン(国道246号沿い現サンタワービル辺り)。1992(平成4)年3月13日閉館(左写真左)。菅野 正 写真展 「平成ラストショー hp」より 同系列の三軒茶屋中央劇場(上右写真中央並びに下写真)は1952年、世田谷通りの裏通り「なか三軒茶屋中央劇場0.jpg三軒茶屋中央劇場入口s.jpgみち街」にオープン。 ①三軒茶屋東映(→三軒茶屋シネマ)2014(平成26)年7月20日閉館 ②三軒茶屋映劇(映画劇場)(現サンタワービル辺り)1992(平成4)年閉館 ③三軒茶屋中劇(中央劇場))2013(平成25)年2月14日閉館


三軒茶屋中央劇場入口:桑原甲子雄の写真集より

三軒茶屋中央劇場:「東京遺産な建物たち」より


『殺しのドレス』(1980) 2.jpg「殺しのドレス」●原題:DRESSED TO KILL●制作年:1980年●制作国:アメリカ●監督・脚本:ブライアン・デ・パルマ●製作:ジョージ・リットー●撮影:ラルフ・ボード●音楽:ピノ・ドナッジオ●時間:114分●出演:マイケル・ケイン/アンジー・ディキンソン/ナンシー・アレン/キース・ゴードン/デニス・フランツ/デヴィッド・ マーグリーズ/ブランドン・マガート●日本公開:1981/04●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:六本木・俳優座シネマテン(81-04-03)●2回目:テアトル吉祥寺 (86-02-15)(評価:★★★★)●併映(2回目):「デストラップ 死の罠」(シドニー・ルメット)/「日曜日が待六本木駅付近.jpg六本木・俳優座シネマテン2.jpg俳優座劇場.jpgち遠しい!」(フランソワ・トリュフォー)/「ハメット」(ヴィム・ヴェンダース)
俳優座シネマテン(六本木・俳優座劇場内) 1981年3月20日オープン。2003年2月1日休映(後半期は「俳優座トーキーナイト」として不定期上映)。


ワーキング・ガール .jpg「ワーキング・ガール」●原題:WORKING GIRL●制作年:1988年●制作国:アメリカ●監督:マイク・ニコルズ●製作:ダグラス・ウィック●脚本:ケヴィン・ウェイド●撮影:ミハエル・バルハウス●音楽:カーリー・サイモン●時間:115分●出演:ハリソン・フォード/シガニー・ウィーバー/メラニー・グリフィス/アレック・ボールドウィン/オリバー・プラット/ケヴィン・スペーシー/ジョーン・キューザック●新宿アカデミー.jpg新宿アカデミー劇場内.JPG日本公開:1989/05●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:新宿アカデミー (89-07-08)(評価:★★★☆) 新宿アカデミー 1975年12月「第一東亜会館」新装に伴い2Fにオープン。2009(平成21)年11月30日閉館。
 

キム・ノヴァク4.jpgめまい パンフ.jpg「めまい」●原題:VERTIGO●制作年:1958年●制作国:アメリカ●監督・製作:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:アレック・コペル/サミュエル・テイラー●撮影:ロバート・「めまい」●vertigob.jpgバークス●音楽:バーナード・ハーマン●原作:ピエール・ボワロー/トマ・ナルスジャック「死者の中から」●時間:128分●出演:ジェイムズ・スチュアート/キム・ノヴァク(Kim Novak)/バーバラ・ベル・ゲデス/トム・ヘルモア/ヒューマックスパビリオン 新宿歌舞伎町.jpgヘンリー・ジョーンズ/レイモンド・ベイリー/エレン・コービイ/リー・パトリック●日本公開:1958/10●配給:パラマウント映画●最初に観た場所:歌舞伎町シネマ1(84-03-31)(評価:★★★★) 
歌舞伎町シネマ1・歌舞伎町シネマ2 1985年、コマ劇場左(グランドオヲデオンビル隣り)「新宿ジョイパックビル」(現「ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町」)2Fにオープン→1995年7月~新宿ジョイシネマ3・新宿ジョイシネマ4。1997(平成9)年11月閉館。

《読書MEMO》
"Sight & Sound"誌映画批評家によるオールタイム・ベスト50 (The Top 50 Greatest Films of All Time)(2012年版)[姉妹版:映画監督による選出トップ10 (Director's Top 10 Films)(2012年版)の上位100作品)
めまい_m.jpg 1.『めまい』"Vertigo"(1958/米) 監督:アルフレッド・ヒッチコック 191票
 2.『市民ケーン』"Citizen Kane"(1941/米) 監督:オーソン・ウェルズ 157票
 3.『東京物語』"Tokyo Story"(1953/日) 監督:小津安二郎 107票
 4.『ゲームの規則』"La Règle du jeu"(1939/仏) 監督:ジャン・ルノワール 100票
 5.『サンライズ』"Sunrise: A Song of Two Humans"(1927/米) 監督:F・W・ムルナウ 93票
 6.『2001年宇宙の旅』"2001: A Space Odyssey"(1968/米・英) 監督:スタンリー・キューブリック 90票
 7.『捜索者』"The Searchers"(1956/米) 監督:ジョン・フォード 78票
 8.『カメラを持った男』"Man with a Movie Camera"(1929/ソ連) 監督:ジガ・ヴェルトフ 68票
 9.『裁かるゝジャンヌ』"The Passion of Joan of Arc"(1927/仏)  監督:カール・ドライヤー 65票
 10.『8½』"8½"(1963/伊) 監督:フェデリコ・フェリーニ 64票
 11.『戦艦ポチョムキン』"Battleship Potemkin"(1925/ソ連) 監督:セルゲイ・エイゼンシュテイン 63票
 12.『アタラント号』"L'Atalante"(1934/仏) 監督:ジャン・ヴィゴ 58票
 13.『勝手にしやがれ』"Breathless"(1960/仏) 監督:ジャン=リュック・ゴダール 57票
 14.『地獄の黙示録』"Apocalypse Now"(1979/米) 監督:フランシス・フォード・コッポラ 53票
 15.『晩春』"Late Spring"(1949/日) 監督:小津安二郎 50票
 16.『バルタザールどこへ行く』"Au hasard Balthazar"(1966/仏・スウェーデン)監督:ロベール・ブレッソン49票
 17.『七人の侍』"Seven Samurai"(1954/日) 監督:黒澤明 48票
 17.『仮面/ペルソナ』"Persona"(1966/スウェーデン) 監督:イングマール・ベルイマン 48票
 19.『鏡』"Mirror"(1974/ソ連) 監督:アンドレイ・タルコフスキー 47票
 20.『雨に唄えば』"Singin'in the Rain"(1951/米) 監督:スタンリー・ドーネン & ジーン・ケリー 46票
 21.『情事』"L'avventura"(1960/伊) 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ 43票
 21.『軽蔑』"Le Mépris"(1963/仏・伊・米) 監督:ジャン=リュック・ゴダール 43票
 21.『ゴッドファーザー』"The Godfather"(1972/米) 監督:フランシス・フォード・コッポラ 43票
 24.『奇跡』"Ordet"(1955/ベルギー・デンマーク) 監督:カール・ドライヤー 42票
 24.『花様年華』"In the Mood for Love"(2000/香港) 監督:ウォン・カーウァイ 42票
 26.『羅生門』"Rashomon"(1950/日) 監督:黒澤明 41票
 26.『アンドレイ・ルブリョフ』"Andrei Rublev"(1966/ソ連) 監督:アンドレイ・タルコフスキー 41票
 28.『マルホランド・ドライブ』"Mulholland Dr."(2001/米) 監督:デイヴィッド・リンチ 40票
 29.『ストーカー』"Stalker"(1979/ソ連) 監督:アンドレイ・タルコフスキー 39票
 29.『SHOAH』"Shoah"(1985/仏) 監督:クロード・ランズマン 39票
 31.『ゴッドファーザー PartⅡ』"The Godfather Part II"(1974/米) 監督:フランシス・フォード・コッポラ 38票
 31.『タクシー・ドライバー』"Taxi Driver"(1976/米) 監督:マーティン・スコセッシ 38票
 33.『自転車泥棒』"Bicycle Thieves"(1948/伊) 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ 37票
 34.『キートンの大列車追跡』"The General"(1926/米) 監督:バスター・キートン&クライド・ブラックマン35票
 35.『メトロポリス』"Metropolis"(1927/独) 監督:フリッツ・ラング 34票
 35.『サイコ』"Psycho"(1960/米) 監督:アルフレッド・ヒッチコック 34票
 35."Jeanne Dielman, 23 quai du Commerce 1080 Bruxelles"(ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン)(1975/ベルギー・仏) 監督:シャンタル・アケルマン 34票
 35.『サタンタンゴ』"Sátántangó"(1994/ハンガリー・独・スイス) 監督:タル・ベーラ 34票
 39.『大人は判ってくれない』"The 400 Blows"(1959/仏) 監督:フランソワ・トリュフォー 33票
 39.『甘い生活』"La dolce vita"(1960/伊) 監督:フェデリコ・フェリーニ 33票
 41.『イタリア旅行』"Journey to Italy"(1954/伊) 監督:ロベルト・ロッセリーニ 32票
 42.『大地のうた』"Pather Panchali"(1955/印) 監督:サタジット・レイ 31票
 42.『お熱いのがお好き』"Some Like It Hot"(1959/米) 監督:ビリー・ワイルダー 31票
 42.『ガートルード』"Gertrud"(1964/デンマーク) 監督:カール・ドライヤー 31票
 42.『気狂いピエロ』"Pierrot le fou"(1965/仏・伊) 監督:ジャン=リュック・ゴダール 31票
 42.『プレイタイム』"Play Time"(1967/仏) 監督:ジャック・タチ 31票
 42.『クローズ・アップ』"Close-Up"(1990/イラン) 監督:アッバス・キアロスタミ 31票
 48.『アルジェの戦い』"The Battle of Algiers"(1966/伊・アルジェリア) 監督:ジッロ・ポンテコルヴォ 30票
 48.『映画史』"Histoire(s) du cinéma"(1998/仏) 監督:ジャン=リュック・ゴダール 30票
 50.『街の灯』"City Lights"(1931/米) 監督:チャーリー・チャップリン 29票
 50.『雨月物語』"Ugetsu monogatari"(1953/日) 監督:溝口健二 29票
 50.『ラ・ジュテ』"La Jetée"(1962/仏) 監督:クリス・マルケル 29票

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
●52位以降250位(235位)まで
 52.『北北西に進路を取れ』"North By Northwest"(1959/米) 監督:アルフレッド・ヒッチコック
 53.『裏窓』"Rear Window"(1954/) 監督:アルフレッド・ヒッチコック
 53.『レイジング・ブル』"Raging Bull"(1980/米) 監督:マーティン・スコセッシ
 56.『M』"M"(1931/独) 監督:フリッツ・ラング
 57.『山猫』"The Leopard"(1963/伊・仏) 監督:ルキノ・ヴィスコンティ
 57.『黒い罠』"Touch Of Evil"(1958/米) 監督:オーソン・ウェルズ
 59.『キートンの探偵学入門』"Sherlock Jr"(1924/米) 監督:バスター・キートン
 59.『バリー・リンドン』"Barry Lyndon"(1975/英・米) 監督:スタンリー・キューブリック
 59.『ママと娼婦』"La Maman et la putain"(1973/仏) 監督:ジャン・ユスターシュ
 59.『山椒太夫』"Sansho Dayu"(1954/日) 監督:溝口健二
 63.『野いちご』"Wild Strawberries"(1957/スウェーデン) 監督:イングマール・ベルイマン
 63.『モダン・タイムス』"Modern Times"(1936/米) 監督:チャーリー・チャップリン
 63.『サンセット大通り』"Sunset Blvd."(1950/米) 監督:ビリー・ワイルダー
 63.『狩人の夜』"The Night of the Hunter"(1955/米) 監督:チャールズ・ロートン
 63.『スリ』"Pickpocket"(1959/仏) 監督:ロベール・ブレッソン
 63.『リオ・ブラボー』"Rio Bravo"(1958/米) 監督:ハワード・ホークス
 69.『ブレードランナー』"Blade Runner"(1982/米) 監督:リドリー・スコット
 69.『ブルー・ベルベット』"Blue Velvet"(1986/米) 監督:デイヴィッド・リンチ
 69.『サン・ソレイユ』"Sans Soleil"(1982/仏) 監督:クリス・マルケル
 69.『抵抗( レジスタンス)/死刑囚の手記より』"A Man Escaped"(1956/仏) 監督:ロベール・ブレッソン
 73.『第三の男』"The Third Man"(1949/英) 監督:キャロル・リード
 73.『太陽はひとりぼっち』"L'eclisse"(1962/伊・仏) 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
 73.『天井桟敷の人々』"Les enfants du paradis"(1945/仏) 監督:マルセル・カルネ
 73.『大いなる幻影』"La Grande Illusion"(1937/仏) 監督:ジャン・ルノワール
 73.『ナッシュビル』"Nashville"(1975/米) 監督:ロバート・アルトマン
 78.『チャイナタウン』"Chinatown"(1974/米) 監督:ロマン・ポランスキー
 78.『美しき仕事』"Beau Travail"(1998/仏) 監督:クレール・ドゥニ
 78.『ウエスタン』"Once Upon a Time in the West"(1968/伊・米) 監督:セルジオ・レオーネ
 81.『偉大なるアンバーソン家の人々』"The Magnificent Ambersons"(1942/米) 監督:オーソン・ウェルズ
 81.『アラビアのロレンス』"Lawrence Of Arabia"(1962/英) 監督:デイヴィッド・リーン
 81.『ミツバチのささやき』"The Spirit of the Beehive"(1973/西) 監督:ヴィクトル・エリセ
 84.『ファニーとアレクサンデル』"Fanny and Alexander"(1984/スウェーデン) 監督:イングマール・ベルイマン
 84.『カサブランカ』"Casablanca"(1942/米) 監督:マイケル・カーティス
 84.『ざくろの色』"The Colour of Pomegranates"(1968/ソ連) 監督:セルゲイ・パラジャーノフ
 84.『グリード』"Greed"(1925/米) 監督:エーリッヒ・フォン・シュトロハイム
 84.『クーリンチェ少年殺人事件』"A Brighter Summer Day"(1991/台湾) 監督:エドワード・ヤン
 84.『ワイルドバンチ』"The Wild Bunch"(1969/米) 監督:サム・ペキンパー
 90.『ピクニック』"Partie de campagne"(1936/仏) 監督:ジャン・ルノワール
 90.『アギーレ 神の怒り』"Aguirre, Wrath of God"(1972/西独) 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
 90.『天国への階段』"A Matter of Life and Death"(1946/英) 監督:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
 93.『第七の封印』"The Seventh Seal"(1957/スウェーデン) 監督:イングマール・ベルイマン
 93.『アンダルシアの犬』"Un chien andalou"(1928/仏) 監督:ルイス・ブニュエル
 93.『イントレランス』"Intolerance"(1916/米) 監督:D・W・グリフィス
 93.『ヤンヤン 夏の想い出』"A One and a Two"(1999/台湾・日) 監督:エドワード・ヤン
 93.『老兵は死なず』"The Life and Death of Colonel Blimp"(1943/英) 監督:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
 93.『トゥキ・ブゥキ / ハイエナの旅』"Touki Bouki"(1973/セネガル) 監督:ジブリル・ジオップ・マンベティ(Djibril Diop Mambéty)
 93.『不安と魂』"Fear Eats the Soul"(1974/西独) 監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
 93.『悲しみは空の彼方に』"Imitation of Life"(1959/米) 監督:ダグラス・サーク
 93.『たそがれの女心』"Madame de..."(1953/仏・伊) 監督:マックス・オフュルス
 102."Wavelength"(1967/カナダ・米) 監督:マイケル・スノウ(Michael Snow)
 102.『暗殺の森』"The Conformist"(1970/伊・仏・西独) 監督:ベルナルド・ベルトルッチ
 102.『旅芸人の記録』"The Travelling Players"(1975/ギリシャ) 監督:テオ・アンゲロプロス
 102.『午後の網目』"Meshes of the Afternoon"(1943/米) 監督:マヤ・デレン、アレクサンダー・ハミッド
 102.『彼女について私が知っている二、三の事柄』"Two or Three Things I Know About Her..."(1967/仏・伊) 監督:ジャン=リュック・ゴダール
 102.『ツリー・オブ・ライフ』"The Tree of Life"(2010/米) 監督:テレンス・マリック
 102.『イワン雷帝』"Ivan the Terrible"(1945/ソ連) 監督:セルゲイ・エイゼンシュテイン
 102.『去年マリエンバードで』"Last Year At Marienbad"(1961/仏・伊) 監督:アラン・レネ
 110.『レディ・イヴ』"The Lady Eve"(1941/米) 監督:プレストン・スタージェス
 110.『忘れられた人々』"Los Olvidados"(1950/メキシコ) 監督:ルイス・ブニュエル
 110.『赤ちゃん教育』"Bringing Up Baby"(1938/米) 監督:ハワード・ホークス
 110.『パフォーマンス』"Performance"(1970/英) 監督:ドナルド・キャメル、ニコラス・ローグ
 110.『さすらいの二人』"The Passenger"(1974/米) 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
 110.『ビリディアナ』"Viridiana"(1961/西・メキシコ) 監督:ルイス・ブニュエル
 110.『黄金時代』"L' Age d'Or"(1930/仏) 監督:ルイス・ブニュエル
 117."A Canterbury Tale"(1944/英) 監督:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
 117.『少女ムシェット』"Mouchette"(1966/仏) 監督:ロベール・ブレッソン
 117.『博士の異常な愛情』"Dr. Strangelove"(1964/米・英) 監督:スタンリー・キューブリック
 117.『吸血鬼ノスフェラトゥ』"Nosferatu"(1922/独) 監督:F・W・ムルナウ
 117.『赤い靴』"The Red Shoes"(1948/英) 監督:マイケル・パウエル & エメリック・プレスバーガー
 117.『極楽特急』"Trouble in Paradise"(1932/米) 監督:エルンスト・ルビッチ
 117.『悲情城市』"A City Of Sadness"(1989/台湾) 監督:ホウ・シャオシェン
 117.『フェリーニのアマルコルド』"Amarcord"(1973/伊・仏) 監督:フェデリコ・フェリーニ
 117.『リバティ・バランスを射った男』"The Man Who Shot Liberty Valance"(1962/米) 監督:ジョン・フォード
 117.『天国の日々』"Days of Heaven (1978/米) 監督:テレンス・マリック
 127.『小城之春』"Spring in a Small Town"(1948/中) 監督:費穆(Fei Mu)
 127.『ドゥ・ザ・ライト・シング』"Do The Right Thing"(1989/米) 監督:スパイク・リー
 127.『アウト・ワン』"Out 1"(1990/仏) 監督:ジャック・リヴェット
 127.『トロピカル・マラディ』"Tropical Malady"(2004/タイ・仏・伊・独) 監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
 127.『河』"The River"(1951/米) 監督:ジャン・ルノワール
 127.『突然炎のごとく』"Jules Et Jim"(1962/仏) 監督:フランソワ・トリュフォー
 127.『パルプ・フィクション』"Pulp Fiction"(1994/米) 監督:クエンティン・タランティーノ
 127.『若草の頃』"Meet Me In St. Louis"(1944/米) 監督:ヴィンセント・ミネリ
 127.『ラルジャン』"L' argent"(1983/仏・スイス) 監督:ロベール・ブレッソン
 127.『生きる』"Ikiru"(1952/日) 監督:黒澤明
 127.『トリコロール/青の愛』"Three Colors Blue"(1993/仏・ポーランド) 監督:クシシュトフ・キェシロフスキ
 127.『赤い影』"Don't Look Now"(1973/英・伊) 監督:ニコラス・ローグ
 127.『セリーヌとジュリーは舟で行く』"Celine and Julie Go Boating"(1974/仏) 監督:ジャック・リヴェット
 127.『アニー・ホール』"Annie Hall"(1977/米) 監督:ウディ・アレン
 127.『アパートの鍵貸します』"The Apartment"(1960/米) 監督:ビリー・ワイルダー
 127.『最後の人』"The Last Laugh"(1924/独) 監督:F・W・ムルナウ
 127.『二十四時間の情事』"Hiroshima Mon Amour"(1959/日・仏) 監督:アラン・レネ
 144.『欲望』"Blow Up"(1966/英) 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
 144.『独裁者』"The Great Dictator"(1940/米) 監督:チャーリー・チャップリン
 144.『低開発の記憶 -メモリアス-』"Memories of Underdevelopment"(1968/キューバ) 監督:トマス・グティエレス・アレア
 144.『田舎司祭の日記』"Diary of a Country Priest"(1951/仏) 監督:ロベール・ブレッソン
 144.『恋する惑星』"Chungking Express"(1994/香港) 監督:ウォン・カーウァイ
 144.『生きるべきか死ぬべきか』"To Be Or Not To Be"(1942/米) 監督:エルンスト・ルビッチ
 144.『こわれゆく女』"A Woman Under the Influence"(1974/米) 監督:ジャン・カサヴェテス
 144.『ナポレオン』"Napoleon"(1927/仏) 監督:アベル・ガンス
 144.『女と男のいる舗道』"Vivre sa vie"(1962/仏) 監督:ジャン=リュック・ゴダール
 144.『オズの魔法使い』"The Wizard of Oz"(1939/米) 監督:ヴィクター・フレミング
 154.『マルケータ・ラザロヴァ』"Marketa Lazarová"(1967/チェコスロヴァキア) 監督:フランチシェク・ヴラーチル
 154.『隠された記憶』"Hidden"(2004/仏・オーストリア・伊・独) 監督:ミヒャエル・ハネケ
 154.『シャイニング』"The Shining"(1980/英) 監督:スタンリー・キューブリック
 154.『惑星ソラリス』"Solaris"(1972/ソ連) 監督:アンドレイ・タルコフスキー
 154.『オーソン・ウェルズのフォルスタッフ』"Chimes at Midnight"(1966/西・スイス) 監督:オーソン・ウェルズ
 154.『黄金狂時代』"The Gold Rush"(1925/米) 監督:チャーリー・チャップリン
 154.『忘れじの面影』"Letter From an Unknown Woman"(1948/米) 監督:マックス・オフュルス
 154.『逢びき』"Brief Encounter"(1945/英) 監督:デイヴィッド・リーン
 154.『孤独な場所で』"In a Lonely Place"(1950/米) 監督:ニコラス・レイ
 154.『黒水仙』"Black Narcissus"(1947/英) 監督:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
 154.『となりのトトロ』"My Neighbour Totoro"(1988/日) 監督:宮崎駿
 154.『コンドル』"Only Angels Have Wings"(1939/米) 監督:ハワード・ホークス
 154.『吸血鬼』"Vampyr"(1932/仏・独) 監督:カール・ドライヤー
 154.『炎628』"Come And See"(1985/ソ連) 監督:エレム・クリモフ
 154.『遠い声、静かな暮らし』"Distant Voices, Still Lives"(1988/英) 監督:テレンス・デイヴィス
 154.『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』"Once Upon A Time In America"(1984/米) 監督:セルジオ・レオーネ
 154.『叫びとささやき』"Cries and Whispers"(1957/スウェーデン) 監督:イングマール・ベルイマン
 171.『キング・コング』"King Kong"(1933/米) 監督:メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シェードザック
 171.『ヴェルクマイスター・ハーモニー』"The Werckmeister Harmonies"(2000/ハンガリー・独・仏) 監督:タル・ベーラ
 171.『スター・ウォーズ』"Star Wars"(1997/米) 監督:ジョージ・ルーカス
 171.『汚名』"Notorious"(1946/米) 監督:アルフレッド・ヒッチコック
 171.『ヒズ・ガール・フライデー』"His Girl Friday"(1940/米) 監督:ハワード・ホークス
 171.『グッドフェローズ』"Goodfellas"(1990/米) 監督:マーティン・スコセッシ
 171.『シェルブールの雨傘』"The Umbrellas of Cherbourg"(1964/仏・西独) 監督:ジャック・ドゥミ
 171.『月世界旅行』"A Trip to the Moon"(1902/仏) 監督:ジョルジュ・メリエス
 171.『成功の甘き香り』"Sweet Smell of Success"(1957/米) 監督:アレクサンダー・マッケンドリック
 171.『カインド・ハート』"Kind Hearts and Coronets"(1949/英) 監督:ロバート・ハーメル
 171.『タブウ』"Tabu"(1931/米) 監督:F・W・ムルナウ
 171.『大地』"Earth"(1930/ソ連) 監督:アレクサンドル・ドヴジェンコ
 183.『奇跡の海』"Breaking the Waves"(1996/デンマーク) 監督:ラース・フォン・トリアー
 183.『怒りの葡萄』"The Grapes of Wrath"(1940/米) 監督:ジョン・フォード
 183.『パリ、テキサス』"Paris, Texas"(1984/西独・仏) 監督:ヴィム・ヴェンダース
 183.『E.T.』"E.T."(1982/米) 監督:スティーヴン・スピルバーグ
 183.『無防備都市』"Rome Open City"(1945/伊) 監督:ロベルト・ロッセリーニ
 183.『フェイシズ』"Faces"(1968/米) 監督:ジョン・カサヴェテス
 183.『音楽サロン』"The Music Room"(1958/インド) 監督:サタジット・レイ
 183.『残菊物語』"The Story of the Late Chrysanthemums"(1939/日) 監督:溝口健二
 183.『侠女』"A Touch of Zen"(1969/台湾) 監督:キン・フー
 183.『英国に聞け』"Listen to Britain"(1942/英) 監督:ハンフリー・ジェニングス、Stewart McAllister
 183.『怒りの日』"Day of Wrath"(1943/デンマーク) 監督:カール・ドライヤー
 183.『シン・レッド・ライン』"The Thin Red Line"(1998/米) 監督:テレンス・マリック
 183.『イレイザーヘッド』"Eraserhead"(1976/米) 監督:デイヴィッド・リンチ
 183.『悪魔のいけにえ』"The Texas Chainsaw Massacre"(1974/米) 監督:トビー・フーパー
 183.『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』"The Discreet Charm Of The Bourgeoisie"(1972/仏) 監督:ルイス・ブニュエル
 183.『カンバセーション...盗聴...』"The Conversation"(1974/米) 監督:フランシス・フォード・コッポラ
 183.『過去を逃れて』"Out of the Past"(1947/米) 監督:ジャック・ターナー
 183.『生まれてはみたけれど』"I Was Born, But..."(1932/日) 監督:小津安二郎
 183.『うずまき』"I Know Where I'm Going!"(1945/英) 監督:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
 202."The Death of Mr Lazarescu"(2005/ルーマニア) 監督:Cristi Puiu
 202.『赤い砂漠』"Red Desert"(1964/伊・仏) 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
 202.『チェルシー・ガールズ』"Chelsea Girls"(1966/米) 監督:アンディー・ウォーホル、ポール・モリセイ
 202.『地獄の逃避行』"Badlands"(1973/米) 監督:テレンス・マリック
 202.『さすらい』"Kings of the Road"(1976/西独) 監督:ヴィム・ヴェンダース
 202.『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』"There Will Be Blood"(2007/米) 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
 202.『ウォーリー』"WALL-E"(2008/米) 監督:アンドリュー・スタントン
 202.『ベルリン・アレクサンダー広場』"Berlin Alexanderplatz"(1980/伊・西独) 監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
 202.『ヴィデオドローム』"Videodrome"(1983/カナダ) 監督:デイヴィッド・クローネンバーグ
 202.『ひなぎく』"Daisies"(1966/チェコスロヴァキア) 監督:ヴェラ・ヒティロヴァ
 202.『ブンミおじさんの森』"Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives"(2010/タイ・英・仏・独・西) 監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
 202.『マンハッタン』"Manhattan"(1979/米) 監督:ウディ・アレン
 202.『5時から7時までのクレオ』"Cleo from 5 to 7"(1962/仏) 監督:アニエス・ヴァルダ
 202.『鉄西区』"West of the Tracks"(2002/中・オランダ) 監督:ワン・ビン
 202.『エルミタージュ幻想』"Russian Ark"(2002/ロシア・独) 監督:アレクサンドル・ソクーロフ
 202.『話の話』"A Tale of Tales"(1979/ソ連) 監督:ユーリ・ノルシュテイン
 202.『千と千尋の神隠し』"Spirited Away"(2001/日) 監督:宮崎駿
 202.『道』"La Strada"(1954/伊) 監督:フェデリコ・フェリーニ
 202.『戦火のかなた』"Paisà"(1946/伊) 監督:ロベルト・ロッセリーニ
 202.『街角/桃色(ピンク)の店』"The Shop Around the Corner"(1940/米) 監督:エルンスト・ルビッチ
 202.『三つ数えろ』"The Big Sleep"(1946/米) 監督:ハワード・ホークス
 202."Killer of Sheep"(1977/米) 監督:チャールズ・バーネット
 202.『ワンダ』"Wanda"(1970/米) 監督:バーバラ・ローデン
 202.『ドイツ零年』"Germany Year Zero"(1948/伊) 監督:ロベルト・ロッセリーニ
 202.『西鶴一代女』"The Life of Oharu"(1952/日) 監督:溝口健二
 202.『影の軍隊』"Army of Shadows"(1969/仏) 監督:ジャン=ピエール・メルヴィル
 202.『ソドムの市』"Salo, or The 120 Days of Sodom"(1975/伊・仏) 監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
 202.『我輩はカモである』"Duck Soup"(1933/米) 監督:レオ・マッケリー
 202.『たぶん悪魔が』"The Devil Probably"(1977/仏) 監督:ロベール・ブレッソン
 202.『ニーチェの馬』"The Turin Horse"(2011/ハンガリー・仏・スイス・独) 監督:タル・ベーラ
 202.『ラブ・ストリームス』"Love Streams"(1984/米) 監督:ジャン・カサヴェテス
 202.『皆殺しの天使』"The Exterminating Angel"(1962/メキシコ) 監督:ルイス・ブニュエル
 202.『浮雲』"Floating Clouds"(1955/日) 監督:成瀬巳喜男
 235.『ピアノ・レッスン』"The Piano"(1992/オーストラリア) 監督:ジェーン・カンピオン
 235.『風と共に去りぬ』"Gone with the Wind"(1939/米) 監督:ヴィクター・フレミング
 235.『メランコリア』"Melancholia"(2011/デンマーク・スウェーデン・仏・独) 監督:ラース・フォン・トリアー
 235.『あの家は黒い』"The House is Black"(1962/イラン) 監督:フォルーグ・ファッロフザード(Forough Farrokhzad)
 235.『カリガリ博士』"The Cabinet of Dr Caligari"(1919/) 監督:ローベルト・ヴィーネ
 235.『赤い河』"Red River"(1947/米) 監督:ハワード・ホークス、アーサー・ロッスン
 235.『時計じかけのオレンジ』"A Clockwork Orange"(1971/米) 監督:スタンリー・キューブリック
 235.『断絶』"Two-Lane Blacktop"(1971/米) 監督:モンテ・ヘルマン
 235.『秋刀魚の味』"An Autumn Afternoon"(1962/日) 監督:小津安二郎
 235."The Thin Blue Line"(1989/米) 監督:エロール・モリス
 235.『大樹のうた』"The World of Apu"(1958/インド) 監督:サタジット・レイ
 235.『怪人マブゼ博士』"The Testament of Dr Mabuse"(1933/独) 監督:フリッツ・ラング
 235.『荒野の決闘』"My Darling Clementine"(1946/米) 監督:ジョン・フォード
 235.『ふたりのベロニカ』"The Double Life of Veronique"(1991/仏・ポーランド) 監督:クシシュトフ・キェシロフスキ
 235.『ケス』"Kes"(1969/英) 監督:ケン・ローチ
 235.『トリコロール/赤の愛』"Three Colors Red"(1994/仏・ポーランド) 監督:クシシュトフ・キェシロフス

「●海外サスペンス・読み物」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【679】 アーサー・ヘイリー 『ホテル
「○海外サスペンス・読み物 【発表・刊行順】」の インデックッスへ「●アルフレッド・ヒッチコック監督作品」の インデックッスへ「●さ行の外国映画の監督①」の インデックッスへ 「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ 「○都内の主な閉館映画館」の インデックッスへ(銀座テアトル西友)

オリジナルな着想は素晴らしいが、ミステリとしての「掟破り」が瑕疵となり、映画に劣る。

気ちがい〔サイコ〕.png  サイコ  ロバート・ブロック.jpg サイコ ハヤカワ文庫.jpg     PSYCHO2.jpg
気ちがい (1960年) (世界ミステリシリーズ)』『サイコ (ハヤカワ文庫)』 ['82年旧版/新装版] 映画「サイコ」

Psycho.jpgPSYCHO 3.jpg 1959年発表のアメリカ人作家ロバート・ブロック Robert Bloch(1917‐1994/享年77)の『気ちがい(Psycho)』('60年4月/ハヤカワ・ミステリ)は、アルフレッド・ヒッチコック監督(1899‐1980/享年80)の映画「サイコ」('62年)の原作として有名になり、同じ福島正実訳のものがハヤカワ文庫に納められたとき('82年5月)に、『サイコ』という表題に改変されています(この小説や映画のお陰で、他の映画の字幕などでも「この"サイコ野郎"め」といった翻訳表現が使われるようになった)。

 ロバート・ブロックは、エド・ケインという男が起こした実際の犯罪事件をヒントにこの作品を書いており、父と兄に続いて母親を亡くしたエドは、とりわけ絶対的な影響力を占めていた母親が死んでから、オカルトや解剖、屍体への性的執着、カニバリズムに耽溺、1957年に女性殺害容疑で逮捕されて家宅捜索を受けた際に、自宅から全部で15人の女性の死体が見つかりましたが、死体はどれも細かく解体されており、その一部は上着や食器・家具に加工され、また一部は食用として保存されていたといいます(裁判では精神障害(性的サイコパス)として無罪に)。

 小説の主人公ノーマンの人格造型に、今で言う"解離性障害"のようなものを持ち込んだのは作者のオリジナルだと思われ、その着想は素晴らしいものの、「ノーマンは母さんを面と向かって見られなかった」とか「彼は母さんのスカートに頭をうずめ、しゃくりあげながら、話しはじめた」、「母さんは窓のほうに行くと、降りしきる雨足をじっと眺めた」などといった表現は、ミステリとしては所謂「掟破り」になるかと思われます。

映画術 フランソワ トリュフォー.jpg 映画監督のフランソワ・トリュフォーもこの点を批判していて、『映画術―ヒッチコック・トリュフォー』('81年/晶文社)でのヒッチコックへのインタビューにおいて、こうした"禁じ手"を使わずに原作を映像化したヒッチコックの技法を讃えています。

ユージュアル・サスペクツ.jpg 例えば、アカデミー賞脚本賞受賞映画の「ユージュアル・サスペクツ」('95年/米)なども、傑作ミステリ映画と言われながらも、途中で実在しない人物を映像化するという"禁じ手"を用いて自ら瑕疵を生じせしめているように思います。コカインの密輸船が爆破され大量のコカインと金が消えた事件の黒幕と目される大物ギャング、カイザー・ソゼとは何者なのかを巡る心理サスペンスで、ラストもさることながら、その少し前の尋問場面で、観ていてアッと言わせる、確かに傑作でした。本来なら星5つ乃至4つ半ぐらい献上したい、にもかかわらず、この"禁じ手"を用いていることで、個人的には星1つ分は減らさざるを得ない...まさに「残念な映画」と言えます(そこにこだわるどうかは個人の勝手だが、自分はこだわってしまった)。 「ユージュアル・サスペクツ [DVD]

Psycho (1960).jpg 『映画術』ではこの外に、「サイコ」においてヒッチコックがいかに緻密な計算の上に、セオリー通りの手法やセオリーを外れた実験的手法を用いサイコ7.jpgて効果を上げているかを、トリュフォーが本人から巧みに聞き出していて、例えば後者(セオリー外)で言えば、最初の被害者にジャネット・リーを起用した点などもそうです(ヒッチコック映画で女優がブラジャー姿で出てくるのはこの作品だけ。因みにジャネット・リーは、ポスターを見ると、特別出演のような扱いに)。
Psycho(1960)

 自らがこの作品の監督だとして、普通は映画の半ばで殺される女性に有名女優を用いようとは思わないでしょう。物語の最後まで観客の興味を牽引していくと思われた主演クラスの女優が演じる役を途中で被害者にしてしまい、観客の感情移入に見事に肩透かしを食わせ、アンソニー・パーキンスが演じる孤独な青年に一気に感情移入の対象を移行させる―やはり、こうした計算され尽くした「映画術」から見ても、ヒッチコックの映画監督としての才能が原作の名を高めたというべきでしょう。

『サイコ』(1960) 0.jpg『サイコ』(1960).jpg ヒッチコックがこの小説の映画化に踏み切った理由は、ただ1つ、「シャワーを浴びていた女性が突然に殺されるという悲惨さ」にショックを受けたからとのことで(匿名で、極めて安値で原作の映画化権を買い取っている)、45秒のシャワーシーンに200カット詰めみ7日間もかけて撮ったという話は有名。但し、このシーンの撮影の際にアンソニー・パーキンスは舞台出演中で撮影現場にはいなかったことを、映画公開の20年後にアンソニー・パーキンス自身が告白しています。

サイコ1.jpg その外にも、ジャネット・リーの手と肩と顔だけが本物で、あとは全てスタンドインのモデルを使っているとか、エロティックかつ残酷な場面という印象があるにも関わらず、女性の乳房さえ映っておらず、ナイフが肉に刺さるショットも無い(そうした印象は全てモンタージュ効果によるものである)とか、このシーンだけでもネタは尽きません。

Janet Leigh2.jpgジャネット・リー(Janet Leigh、本名:Jeanette Helen Morrison、1927年7月6日 - 2004年10月3日)は、カリフォルニア州マーセド出身。アメリカの女優。15歳で駆け落ちしたが4ヶ月で破局、19歳で大学の同級生と再婚した。休暇中、写真のモデルとして写った写真を、女優ノーマ・シアラーが偶然見て、「この顔は絶対映画に出るべきよ」と映画関係者にスカウトを勧めたという。20歳で当時若く素朴な田舎の少女を捜していたメトロ・ゴールドウィン・メイヤーと契約する。彼女の最も有名な出演作は、アルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』(1960年)である。同作での演技でアカデミー主演女優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞を受賞した。また、有名なシャワーシーンの演技から、今日では「絶叫クイーン」の1人として挙げられることがある。娘のジェイミー・リー・カーティスもまた、『ハロウィン』(1978年)での演技が評価され、同様に称される。(「音楽映画関連没年データベース」より)

Psycho (1960) Theatrical Trailer - Alfred Hitchcock Movie
サイコ dvd.jpg「サイコ」●原題:PSYCHO●制作年:1960年●制作国:アメリカ●監督・製作:アルフレッド・ヒッチコック●音楽:バーナード・ハーマン●原作:ロバート・ブロック「気ちがい(サイコ)」●時間:108分●出演:アンソニー・パーキンス/ジャネット・リー/ベラ・マイルズ/マーチン・バルサン/ジャン・ギャヴィン●日本公開:1960/09●配給:パラマウント●最初に観た場所:六本木・俳優座シネマテン(97-09-19) (評価★★★★)

ユージュアル・サスペクツ2.jpg「ユージュアル・サスペクツ」●原題:THE USUAL SUSPECTS●制作年:1995年●制作国:アメリカ●監督:ブライアン・シンガー●製作:ハンス・ブロックマン他●脚本:クリストファー・マッカリー●撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル●音楽:ジョン・オットマン●時間:106分●出演:ケヴィン・スペイシー/ガブリエル・バーン/スティーヴン・ボールドウィン/ベニチオ・デル・トロ/ケヴィン・ポラック/チャズ・パルミンテリ/ピート・ポスルスウェイト●日本公開:1996/04●配給:アスミック●最初に観た場所:銀座テアトル西友(96-04-29) (評価★★★☆)
ル テアトル銀座1.jpgル テアトル銀座2.jpg銀座セゾン劇場・銀座テアトル西友/ル テアトル銀座・銀座テアトルシネマ
1987年7月「銀座テアトルビル」3階に「銀座セゾン劇場」、5階に「銀座テアトル西友」オープン。1999年一時閉館。2000年4月~「ル テアトル銀座」(座席数770席)(2007年3月~「ル テアトル銀座 by PARCO」)、「銀座テアトルシネマ」(座席数150席) 。2013年5月31日共に閉館。

 【1982年文庫化[ハヤカワ文庫 NV (『サイコ』(福島正実訳))]/1999年再文庫化[創元推理文庫(『サイコ』(夏来健次訳))]】
  

「●映画」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1776】 E・ルケィア 『ハリウッド・スキャンダル
「●講談社現代新書」の インデックッスへ 「●アルフレッド・ヒッチコック監督作品」の インデックッスへ 「●ショーン・コネリー 出演作品」の インデックッスへ 「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ

多少マニアックな映画ファンが楽しんで読めるヒッチコック入門書。 

ヒッチコック.jpg  ヒッチコック2.jpg 白い恐怖 チラシ.jpg
ヒッチコック』 講談社現代新書 〔'86年〕/筈見 有弘 (1937-1997/享年59)/「白い恐怖 [DVD]」チラシ
ヒッチコック2.jpg
 ヒッチコックぐらい、その多くの作品が日本で見られる外国の監督はいないのではないでしょうか。例えば双葉十三郎『外国映画ぼくの500本』('03年/文春新書)でも、結果として作品数的にはヒッチコック作品が最も多く取り上げられていたし、自分自身も、劇場で見たものだけで20本を超えます(しかもハズレが少ない)。本書はそうしたヒッチコック映画の数々を、ストーリーや状況設定、小道具や出演女優など様々な角度から分析し、よく使われる「共通項」をうまく抽出しています。

『白い恐怖』(1945)2.jpgsiroikyouhu3.jpg  例えば、白と黒の縞模様を見ると発作を起こす医師をグレゴリー・ペック、彼を愛し発作の原因を探りだそうとする精神科医をイングリッド・バーグマンが演じた「白い恐怖」(原作はフランシス・ヒーディングの『白い恐怖』、本国での発表は1927年)では、グレゴリー・ペックの見る夢のシーンで用いられたサルバドール・ダリによるイメージ構成にダリの実験映画と同じような表現手法が見出せましたが(これにテルミンの音楽が被る)、この部分はあまりにストーレートで杓子定規な精神分析的解釈で、個人的にはさほどいいとは思えず、著者も「本来のヒチコックの映像造形とはかけ離れている」としています。

「白い恐怖」より(イメージ構成:サルバドール・ダリ)
    
白い恐怖 イングリッド・バーグマン.jpg  一方、イングリッド・バーグマンがはじめはメガネをかけていたことにはさほど気にとめていませんでしたが、他の作品では眼鏡をかけた女性が悪役で出てくるのに対し、この映画では、一見冷たさそうに見える女性が、恋をすると情熱的になることを効果的に表すために眼鏡を使っているとのことで、ナルホドと(イングリッド・バーグマンはこの作品で「全米映画批評家協会賞」の主演女優賞を受賞)。

 同じ小道具へのこだわりでも、その使い方は様々なのだなあと感心させられました(ただし、眼鏡をかけたイングリッド・バーグマンもまた違った魅力があり、ヒッチコックという人は、元祖「眼鏡っ子」萌え―だったかもと思ったりもして...。

マーニー 01.jpgマーニー 02.jpg 一方、「白い恐怖」と同様に精神分析の要素が織り込まれていたのが「マーニー」('64年)でした(日本では「マーニー/赤い恐怖」の邦題でビデオ発売されたこともある)。ある会社の金庫が破られ、犯人は近頃雇い入れたばかりの女性事務員に違いないとういうことになるが、当の彼女はその頃ホテルでブルネットの髪を洗って黒い染髪料を洗い流すとブロンドに様変わり。よって、その行方は知れない―幼児期の体験がもとで盗みを繰り返し、男性やセックスにおびえる女性マーニーを「鳥」('63年)のティッピ・ヘドレンが演じ(彼女も血筋的にはバーグマンと同じ北欧系)、彼女と結婚して彼女を救おうとする夫を「007 ロシアより愛をこめて」('63年)のショーン・コネリーが演じていますが、夫が妻を過去と対峙させてトラウマから解放する手法が精神分析的でした(夫は単なる金持ちの実業家で、精神分析ではないのだが)。

マーニー bul.jpg 著者はこの映画を初めて観たとき、ブルネットのときは盗みを働き、ブロンドの時は本質的に善であるマーニーから、ヒッチコックのブロンド贔屓もずいんぶん露骨だと思ったそうです。「裏窓」('54年)のグレース・ケリー、「めまい」('58年)のキム・ノヴァクも確かにブロンだしなあ。今まで観たことのある作品もナルホドという感じで、次にもう一度観る楽しみが増えます。
"Spellbound by Beauty: Alfred Hitchcock and His Leading Ladies (English Edition)"
Spellbound by Beauty.jpg 本書179pに、ティッピ・ヘドレンはグレース・ケリーをしのぐほどにクールなブロンド美女で、「生来の内気さを失ったヒッチコックは、彼女に言いよったが、彼女の方では相手にしなかったという噂もある」とありザ・ガール ヒッチコックに囚われた女.jpgますが、実際セクハラまがいのこともしたようです(ヒッチコックによるヘドレンへのセクハラを描いたドナルド・スポトの『Spellbound by Beauty: Alfred Hitchcock and His Leading Ladies』が、2012年に米・英・南アフリカ合作のテレビ映画「ザ・ガール ヒッチコックに囚われた女」としてトビー・ジョーンズ、シエナ・ミラー主演で映像化されていて、2013年にスター・チャンネルとWOWOWで放送されたようだが、個人的には未見)。
     
ヒッチコック アートプリント(Alfred Hitchcock Collage)
ヒッチコック アートプリント.jpg 著者なりの作品のテーマ分析もありますが、「すべてエンターテイメントのために撮った」というヒチコックの言葉に沿ってか、それほど突っ込んで著者の考えを展開しているわけではありません。

 むしろ映像として、あるいは音として表されているものを中心に、ヒッチコックのこだわりを追っていて、映画ファンというのは誰でも多少マニアックなところがあるかと思うのですが、そうしたファンが楽しんで読めるヒチコック入門書になっています。

映画術 フランソワ トリュフォー.jpg 因みに、映画監督のフランソワ・トリュフォーによるヒッチコックへのインタビュー集『映画術―ヒッチコック・トリュフォー』('81年/晶文社)では、ヒッチコックは、「バーグマンは私の演出を好まなかった。私は議論が嫌だったから、"イングリッド、たかが映画じゃないか"と言った。彼女は名作に出ることだけを望んだ。製作中の映画が名作になるかならないかなんて誰がわかる?」とボヤいています。ヒッチコックは当初バーグマンに特別な感情を抱いていたため、バーグマンとイタリア人監督ロベルト・ロッセリーニとの不倫劇はヒッチコックを大いに失望させたそうで、その辺りがこうしたコメントにも反映されているのかもしれません。ヒッチコックはバーグマンを「白い恐怖」('45年)、「汚名」('46年)、「山羊座のもとに」('49年)の3作で使っていますが、バーグマンとロッセリーニが正式に結婚した1950年以降は使っていません(ヒッチコックがバーグマンに"たかが映画じゃないか"と言ったのは「山羊座のもとに」撮影中のことだが、これはヒッチコックの口癖でもあったらしく、「サイコ」('60年)の主演女優のジャネット・リーにも同じことを言い、「そう、たかが映画よね。たった45秒のシーンのために、監督は8日間カメラを回し、70回カメラアングルを変えたわ」と切り返されたそうだ)。

 しかし、ともあれ、あのヒッチコックが"たかが映画じゃないか"と言ったというのが面白く、この言葉は、山田宏一、和田誠両氏の共著のタイトルになっています(『たかが映画じゃないか』('78年/文藝春秋))。

白い恐怖 [DVD]
白い恐怖 イングリッド・バーグマン/グレゴリー・ペック.jpg白い恐怖.jpg 「白い恐怖」●原題:SPELLBOUND●制作年:1945年●制作国:アメリカ●監督:アルフレッド・ヒッチコック●製作:デヴィッド・O・セルズニック●脚本:ベン・ヘクト/アンガス・マクファイル●撮影:ジョージ・バーンズ●音楽:ミクロス・ローザ●原作:フランシス・ビーディング(ジョン・パーマー/ヒラリー・エイダン・セイント・ジョージ・ソーンダーズ)●時間:111分●出演:イングリッド・バーグマン/グレゴリー・ペック/レオ・G・キャロル/ロンダ・フレミング/ジョン・エメリー/ノーマン・ロイド/ビル・グッドウィン ●日本公開:1951/11●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:三鷹オスカー (83-10-22) (評価:★★★☆)●併映:「めまい」「レべッカ」(アルフレッド・ヒッチコック)
マーニー [DVD]
マーニー 1964.jpgマーニー 05.jpg「マーニー(マーニー/赤い恐怖)」●原題:MARNIE●制作年:1964年●制作国:アメリカ●監督・製作:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:ジェイ・プレッソン・アレン●撮影:ロバート・バークス●音楽:バーナード・ハーマン●原作:ウィンストン・グレアム「マーニー」●時間:130分●出演:ショーン・コネリー/ティッピー・ヘドレン/マーティン・ガベル/ダイアン・ベイカー/ルイーズ・ラサム/ブルース・ダーン●日本公開:1964/08●配給:ユニバーサル・ピクチャーズ(評価:★★★☆)

《読書MEMO》
●ヒチコックは「間違えられた男」の話が好き...暗殺者の家・三十九夜・弟3逃亡者・断崖・間違えられた男・泥棒成金・北北西に進路を取れ・フレンジー...
●偏執狂的小道具演出法...
・チキン料理(断崖・ロープ・知りすぎていた男)
・眼鏡をかけた女(弟3逃亡者・北北西に進路を取れ・三十九夜・断崖・白い恐怖・知りすぎていた男)
・イニシャル入りライター(見知らぬ乗客)など

About this Archive

This page is an archive of recent entries in the アルフレッド・ヒッチコック監督作品 category.

アンドレイ・タルコフスキー監督作品 is the previous category.

キャロル・リード監督作品 is the next category.

Find recent content on the main index or look in the archives to find all content.

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1