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千石規子がいい。昭和20年代のヒューマニズムをテーマにした黒澤作品群の中では好きな方。

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静かなる決闘 野戦病院.jpg 若い軍医・藤崎(三船敏郎)は、戦時中の野戦病院で患者・中田(植村謙二郎)を手術中に、誤って自分の指に怪我をして患者の梅毒に感染してしまう。そして薬もろくにない中で病気をこじら静かなる決闘 2.jpgせてしまう。終戦を迎え、父・孝之輔(志村喬)の病院で働くようになった藤崎は、戦中から6年間彼の結婚の正式申出を待っていた婚約者の美佐緒(三條美紀)に対し、梅毒感染を隠したまま、結婚を申し出ることが出来ずにいる。一方の美佐緒は、藤崎が自分に対して距離を置いていることに苦悩する。ある日、藤崎は、梅毒の治療薬サルバルサンを自らに注射してい静かなる決闘 3.jpgるところを、見習い看護師の峯岸るい(千石規子)に見られてしまう。峯岸は元ダンサーで、妊娠して男に捨てられたところを病院に拾われたのだったが、藤崎の日頃の人道主義的な言動に反感を抱いていた彼女は、普段高潔なことを言っているのに梅毒に感染していると、理由も知らずに彼のことを誤解する。子どもを産むことを勧める藤崎に対して逆に彼を詰(なじ)るが、これを父・孝静かなる決闘 三船&志村.jpg之輔が偶然立ち聞きし、父は初めて息子が梅毒に感染していることを知る。最初は息子を詰問するつもりだった父だが、手術中の不可抗力からの感染と知って息子に同情するとともに、事実を美佐緒に話すべきだと諭す。しかし、藤崎は、完治には長い年月のかかる(当時)梅毒に感染したことを美佐緒に話せば、彼女の性格からして自分を待ち続けるだろうが、そのことは彼女の青春を犠牲にすることでもあり、それは出来ないと言う。この親子の話し合いを偶然立ち聞きした峯岸は、藤崎に対し自分が誤解をしていたことを知る―。

 「酔いどれ天使」('48年)に続く黒澤明の監督8作目で、1949(昭和24)年公開の大映作品であり、原作は菊田一夫の舞台劇「堕胎医」(1947年発表)。年齢差15歳の志村喬(1905-1982/享年76)と三船敏郎(1920-1997/享年77)が親子の役を演じているのが興味深いです。見習い看護師の峯岸るいを演じた千石規子(1922-2012/享年99)は、黒澤明作品に最も多く出演している女優です。

静かなる決闘 6.jpg 苦悩する医師を演じた三船敏郎は、彼らしからぬ抑えた演技で、それを三船らしくないとしてフラストレーションを感じるか否かがこの作品の好き嫌いの分かれ目の1つになるかもしれませんが、個人的には、この映画での三船敏郎は悪くないと思っています。但し、やはり何と言っても、見習い看護師の峯岸るいを演じた千石規子がいいです。最初は、観客の視点に立った"繋ぎ"的な役回りに見えたのが、やがて物語において重要なファクターを占めるようになり、終わってみれば、作品自体が彼女の成長物語だったようにも思えてきます。

 峯岸るいは、偶然により藤崎の梅毒感染の秘密を知り、それまでの藤崎への反感が一旦は憎悪の域に達しますが、また更に偶然によりその原因の真相を知ったことで、藤崎へのわだかまりは尊敬の念へと転じます。但し、それをストレートに藤崎に伝えることが出来ず、最初は美佐緒を通して伝えようとするところなどはいじらしかったです。

静かなる決闘 7.jpg しかし、だからと言って藤崎の考え方を完全に理解したわけではなく、相変わらず人道主義を口にする彼に対して、「男の人の肉体的な要求なんてそんなに簡単に抑制できるものなんですか」とカマをかけます。「医者だって人間でしょう」という彼女の言葉が引き金となって、藤崎は自らの悔しさと美佐緒に対しての生々しい想いを峯岸にぶちまけ、彼の苦悩をストレートに受け止めた峯岸も号泣します。その号泣の後で、またも「僕は医者なんだ。人間の良心を持って生きていかなければならないんだ」と言って"あるべき自分"に立ち返ろうとする藤崎に対して、峯岸は再度カマをかけていて、ここはある種"男と女"の会話になっています。しかもテーマは"性欲"であると言ってもよく、峯岸自身が、病院ってこういう話ができる不思議なところだと言っているぐらいです(しかも、その後、ぎこちなく事務的な会話に移るのが却ってリアリティがある)。このシーンでの千石規子の演技は、三船敏郎のそれと拮抗しているように思いました(女性を描くのが不得手だと言われた黒澤明の作品にしては、活き活きとした女性像が描かれていると思った)。

「静かなる決闘」ラスト.jpg 自らの暗い過去から人間を斜に構えてしか見ることが出来なかった見習い看護師の峯岸が、ラストでは凛とした看護師になっていて、しかも見違えるほど美しくなっています。孝之輔が、息子・藤崎が巷で"聖者"と呼ばれているということに対して、「あいつはね、ただ自分より不幸な人間の傍で希望を取り戻そうとしているだけですよ。幸せだったら案外俗物になっていたかもしれません」というのも解り易過ぎる解題のようにも思えますが、味わいのある言葉でもあり、作品全体としても感動作であるには違いないと思います。

菊田一夫.jpg 原作は菊田一夫の舞台劇「堕胎医」(1947年)で、千秋実主演で舞台でもヒットしたそうですが、藤崎と峯岸るいを軸とした話になっていて、美佐緒はほんの脇役に過ぎなかったそうです。振り返れば、映画においてもそうした見方ができますが、但し、原作では主人公の医師が梅毒を次第に悪化させ遂に発狂し、相手が誰かの判断もできなくなって精神病院へ送られるところで幕となるというもので、映画も最初のシナリオの段階ではそのような結末を想定していたのが、当時梅毒が既に「治る病気」になっており(1946年に占領軍が招聘した米国大学教授の指導の元に日本の製薬会社各社がペニシリンの生産を開始し、翌1947年から病院を通して日本中へと広まった)、GHQの圧力もあったかと思われますが、こうした希望の持てる終わり方になっています(但し、その代わりに中田の方が梅毒の病状が進行して発狂していくのだが)。

「静かなる決闘」ポスター.jpg「静かなる決闘」 三条美紀.jpg 昭和20年代の黒澤作品は、ヒューマニズムをテーマにしたものが多く、それらの評価は結構割れているようですが、この作品もその1つでしょう。それら作品群の中では個人的には好きな方です。戯曲の方が素晴らしいという映画評論家もいますが、観ていないので何とも言えません。但し、自分としては、原作以上の映画作品を作る監督の一人が黒澤明だと思っています。
三船敏郎/三條美紀(娘は紀比呂子

  千石規子
「静かなる決闘」 千石.jpg千石規子「静かなる決闘」.jpg「静かなる決闘」●制作年:1949年●監督:黒澤明●製作:本木荘二郎●脚本:黒澤明/谷口千吉●撮影:相坂操一●音楽:伊福部昭●時間:108分●出演:三船敏郎/志村喬/三條美紀/千石規子/植村謙二郎/山口勇/中北千枝子/宮島健一/佐々木正時/泉静治/伊達正/宮島城之/宮崎準之助/飛田喜佐夫/高見貫/須藤恒子/若原初子/町田博子●公開:1949/03●配給:大映●最初に観た場所:八重洲スター座(79-08-20)(評価:★★★★)●併映:「デルス・ウザーラ」(黒澤明)

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個人的な思い入れもあり、「白蛇伝」と並んで初期東宝アニメの傑作として推したい作品。

わんぱく王子の大蛇退治 dvd.jpgわんぱく王子の大蛇(おろち)退治.jpg わんぱく王子の大蛇退治 title.jpg わんぱく王子の大蛇退治 0.jpg

わんぱく王子の大蛇退治 [DVD]」['02年]「わんぱく王子の大蛇(おろち)退治 [DVD]」['13年]

わんぱく王子の大蛇退治 2.jpg 王子スサノオは両親イザナギとイザナミのもとで楽しく暮らしていたが、ある日、母イザナミが亡くなる。泣き疲れて浜辺で寝てしまったスサノオの夢に母が現れ、勾玉を与えスサノオを励ます。スサノオは黄泉の国に母を訪ねていくことを決意して舟を作り、ウサギのアカハナを供に船出する。大海原で怪魚を退治して、海の神ワダツミに感謝され、兄ツクヨミが治める夜の国へと案内される。ツクヨミに黄泉の国への道を尋ねるが教えてもらえず、火の国を訪ね、火の国の荒廃の元凶だった火の神と戦い打ち負かす。移住できる豊かな土地を望む火の国の住民の代表タイタン坊を供に加え、スサノウは姉アマテラスが治める高天原に行く。姉の勧めにより高天原で働き始めたものの、失敗が重なり、アマテラスは岩戸に隠れてしまう。日の神アマテラスが隠れて世界が真っ暗になったため、高天原の住人たちは一計を案じ、アマテラスを岩戸から連れ出すのに成功、騒動の責任を感じて反省するスサノオを見て、アマテラスはスサノオを励まし、出雲の国に送り出す。出雲の国は荒廃し、母イザナミの面影を思わせる少女クシナダ姫が怪物・八叉の大蛇(ヤマタノオロチ)の生贄にされようとしていた―。

わんぱく王子の大蛇(おろち)退治2.jpg 神話の天岩戸説話、素盞嗚尊の八岐大蛇退治に材を得た東宝動画(現東宝アニメーション)の劇場版長編アニメで、東宝動画は、「白蛇伝」('58年)を長編第1作とし、その後、「少年猿飛佐助」('59年)、「西遊記」('60年)、「安寿と厨子王丸」('61年)、「アラビアンナイト シンドバッドの冒険」('62年)と世に送り続けていて、'63年劇場公開の本作が第6作にあたります。

 監督は前作「安寿と厨子王丸」の藪下泰司(「白蛇伝」も、監督名は大川博・東宝社長になっているが、実質は藪下が監督)から、当時新人の芹川有吾(1931-2000)に交代しています(この時から正式に"演出"が"監督"になり、名実ともにその役割を全面的に担うようになった)。演出助手(助監督)として「安寿と厨子王丸」の時と同じく高畑勲がついています。

住田知仁.jpg風間 杜夫.jpg スサノオの声は住田知仁(現・風間杜夫、1949年生まれ)が担当。前作「安寿と厨子王丸」に比べて非常に躍動的で、とりわけ、八叉の大蛇と天早駒(アメノハヤコマ)に跨るスサノオの空中戦シーンは半年かけて作画されたもので、原画1万枚超、300カット、日本アニメーション史上に残る名場面とされています(アメリカでは1964年に"The Little Prince and The Eight-Headed Dragon"の題で公開)。ゴジラ映画の伊福部昭が担当した音楽も相乗効果として効いているように思います。
左から久里千春(アカハナ)、川久保潔(タイタン坊)、住田知仁(スサノオ)、岡田由起子(クシナダ姫)

わんぱく王子の大蛇退治3.jpg 個人的には、この八叉の大蛇の出てくる場面だけは、かなりはっきり記憶に残っており、これを学校課題の絵日記に書きました(鑑賞日は公開年の7月20日となっており、他の学校の生徒も劇場に来ていたと書いてあるから、学校で課外授業として観に行ったのかも)。ストーリーの根底は母子物なのですが、「おもしろかった」「ハラハラした」「おかしかった」というのが当時の主な感想で、絵の方に力が入って、感想の方はやや手抜きしたのかも(小学校低学年だとこんなものか)?

 最初に観て何十年経た今も、映画の中の闇夜で暴れる八叉の大蛇のイメージが残っているということは、(今のアニメの水準からするとさほどでもないのですが)当時としてはそれだけインパクトがあったということなのでしょう。個人的な思い入れもあって、リバイヴァルで観た「白蛇伝」と並んで初期東宝アニメの傑作として推したい作品です。

 神話では、素盞嗚尊は、幼少期のマザコン、高天原での凶暴性、八岐大蛇退治での英傑ぶりと多様な側面を持ち、日本で最初に和歌を詠んだとされる文人的側面もあるキャラクターですが、素盞嗚尊って意外と身近なのかも。全国に素盞嗚神社があり、ウチの近所にある素盞雄神社も、素盞雄大神(すさのおおおかみ)を祭神としていますが、但し、明治初期の廃仏毀釈により祭神名をそのように定めたようです。

「わんぱく王子の大蛇(おろち)退治」●制作年:1963年●監督(演出):芹川有吾●製作:大川博●脚本:池田一朗/飯島敬●演出助手:高畑勲/矢吹公郎 ●撮影:石川光明/菅原英明●音楽:伊福部昭●時間:86分●声の出演:住田知仁(現・風間杜夫)/岡田由起子/久里千春/木下秀雄/篠田節夫/友部光子/山内雅人/木下秀雄/風祭修一/新道乃里子/川久保潔/巌金四郎/八木光生/山内雅人/古賀浩二●公開:1963/03/21●配給:東映(評価:★★★★)

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小松崎茂デザインのンメカニックが、子供の頃の"懐かしい未来"を想起させる。テーマ曲がいい。

宇宙大戦争 東宝 チラシ.jpg  宇宙大戦争 東宝 チラシ(アメリカ版).jpg 本多 猪四郎 「宇宙大戦争」dvd.jpg  
日本版チラシ(1959)/アメリカ版チラシ(1960)/「宇宙大戦争 [DVD]伊福部昭「宇宙大戦争」のマーチ
「宇宙大戦争」ポスター
宇宙大戦争ポスター.jpg 地球軌道上の宇宙ステーションが謎の円盤の攻撃を受けて破壊され、地球上でも世界中で鉄橋や汽船が宙に浮き、凍結した海水が舞い上がるなどの怪奇現象が発生、急遽、国際会議が開かれて調査が行われ、それらは無重力状態を生み出す冷却光線を操るナタール人の仕業であり、ナタール人は既に月面に基地を建設し地球侵略の準備をしていることが判明する。ナタール人基地を破壊するため、勝宮一郎博士(池部良)ら科学者によって編成された攻撃隊が原子力ロケット2機で月へ。ナタール人の基地を発見し、攻撃して打撃を与えるが、ナタール人に操られた岩村(土屋嘉男)が味方ロケット1機を爆破し、残る1機にも危機が迫る。しかし、ナタール人の洗脳が解けた岩村が追撃を食い止め、月からの脱出に成功、地球へ帰還する。迫り来る決戦の時に向け、地球では大気圏外でナタールの円盤を迎撃する戦闘ロケットが建造され、やがてナタール円盤群が地球へ向かって来襲、壮絶な戦いが始まる―。

宇宙大戦争 エフェクト.jpg 日本初の宇宙人の侵略をテーマにした特撮SF作品「地球防衛軍」('57年)の姉妹作で、これも原作は丘美丈二郎(1918-2003)。前作では「地上戦」乃至「地対空戦」だった宇宙人との戦いの場を、この作品では「月面戦」乃至「宇宙空間戦」に移していますが、2年間で画像のエフェクト処理も含め、特撮技術がトータルに向上しているように思えました。伊福部昭のマーチ風のテーマ曲もいい(この曲は2016年の「シン・ゴジラ」にも使われた)。評論家の評価は2年前の前作「地球防衛軍」の方が概ね若干上のようですが、おそらく先駆的要素に対する評価が加味されているのでしょう。

「宇宙大戦争」1.jpg 「絶対零度近くにまで冷却された物体は無重量となる」とか「月面の一部に希薄な大気が存在する」といった、当時の段階で既に科学的には誤りであると「宇宙大戦争」2.jpg判明していたり、当時から曖昧だった学説を援用したりするなどの乱暴な点はありますが(ホバークラフトで月面を移動する場面がある!)、ナタール人の基地があるという想定の月の裏側の様子を、ソ連の無人探査機「ルナ3号」が当時世界で初めて撮影に成功した月面裏側の写真に基づき描くなど、科学性へのこだわりは随所に見られ、月に人類が到達する10年も前にしては、月面やそこを歩行する隊員の様子をよく描いていると思います。

宇宙大戦争 土屋嘉男 .jpg 三原山で撮影されたという月面歩行する隊員の無重力状態でのふわっとした跳ね方は、出演者の一人・土屋嘉男の発案によるもので、土屋嘉男は10年後にアポロ11号の月面着陸の様子をテレビの衛星中継で観て「間違ってなかった」と思ったそうな。因みに土屋嘉男は、前作「地球防衛軍」で日本映画で初めて宇宙人を演じた俳優になりましたが、今回はまともに"人間の役"でした。

土屋嘉男(岩村幸一)

宇宙大戦争 東宝.jpg ドラマ部分が定型的なのはSF作品であるため許せるとして、宇宙人が地球侵略するにあたってわざわざ一人ひとり洗脳するかなというのはあり、壮大なタイトルの割には結末もややショボイかも。

 但し、小松崎茂のデザインを入江義雄が図面に起こし、井上泰幸らによって制作したナタール側・地球人側のメカニックは、この作品の白眉とも言える素晴らしいもので、円谷英二の特撮技術と相俟って、宇宙戦をよりダイナミックに見せている共に、個人的には、子供の頃に想い抱いた"懐かしい未来"を想起させられます。

 この作品は、制作時の6年先の将来(1965年)という時代設定で、人類で初めて月面着陸に成功したのは勝宮一郎(池部良)、白石江津子(安西郷子)ら日本人であるということになり、実際のアポロ11号による月面着陸(1969年)の4年前ということになります。
宇宙大戦争」(サントラ)

東宝「宇宙大戦争」(1959).jpg安西郷子.jpg 当時"文芸路線"俳優だった池部良(1918-2010/享年92)がSF映画に出ているのが珍しく、その池部良とのしっとりしたラブシーンもある安西郷子(1934‐2002/享年68)は、エキゾチックな面立ちの美人女宇宙大戦争007s.jpg宇宙大戦争008s.jpg優でしたが、この作品の2年後、「ガス人間第1号」('60年/東宝)で主演した三橋達也(1923-2004/享年80)と結婚して芸能界を引退しています。

安西徹子(白石江津子)と本多監督と池部良(勝宮一郎博士)/勝宮と江津子のデートシーンの撮影

「宇宙大戦争」 (1959 東宝).jpg「宇宙大戦争」3.jpg「宇宙大戦争」●制作年:1959年●製作:田中友幸●監督:本多猪四郎●特技監督:円谷英二●脚本:関沢新一●音楽:伊福部昭●原作:丘美丈二郎●時間:91分●出演:池部良安西郷子/千田是也/土屋嘉男/伊藤久哉/宇宙大戦争 安西郷子.jpg村上冬樹/ジョージ・ワイマン/レオナルド・スタンフォード/ハロルド・コンウェイ/エリス・リクター/桐野洋雄/野村浩三/エド・キーン/堤康久/加藤茂雄/沢村いき雄/旗持貴佐夫/上村幸之/高田稔/熊谷二良/手塚勝巳/津田光男/岡部正/レオナルド・ウェルチ/緒方燐作●公開:1959/12●配給:東宝(評価:★★★☆)

安西 郷子(あんざい きょうこ 1934-2002)
安西 郷子(あんざい きょうこ 1934-2002).jpg

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日本初の宇宙人の侵略をテーマにした特撮SF映画。戦闘シーンのレベルだけ高い。

地球防衛軍 チラシ.jpg 地球防衛軍 チラシ1.jpg 地球防衛軍 チラシ2.jpg 地球防衛軍 チラシ3.jpg
地球防衛軍 [DVD]」チラシ各種

地球防衛軍 1957.jpg地球防衛軍 白川由美2.jpg 天体物理学者の白川亮一(平田昭彦)が村祭りの日に謎の山火事とともに姿を消した数日後、白石の妹・江津子(白川由美)の恋人である渥美譲治(佐原健二)は白石から託されたレポート「遊星ミステロイドの研究」を中央天文台・安達博士(志村喬)に届ける。そこへ、白石が住んでいた村で山崩れが起きたとの連絡が入り、渥美は調査団の一員として村に向かうが、村からは放射能が検出される。村の異常現象を調査中に、山から金色の巨大ロボット怪獣(モゲラ)が出現し、村落を破壊しながら侵攻を開始したため、対策本部が設置され、自衛隊の攻撃部隊はモゲラに総攻撃をかける。そして、モゲラ侵攻中に謎の円盤が―。

 この「地球防衛軍」は、東宝特撮における初のシネマ・スコープ作品であり、日本映画で初めて宇宙人の侵略をテーマにした特撮SF作品で、原作は探偵小説作家の丘美丈二郎(1918-2003)。ストーリーの方は、10万年前に原水爆戦争で滅びた遊星人ミステリアンの末裔が種族の存亡をかけて地球侵略するという、攻めてくる側にも事情があるような話です(核実験批判が込められているのか)。

地球防衛軍 1957 モグラロボット.jpg地球防衛軍 白川由美.jpg 遊星人が最初に地球侵略のために送りこんだのがモグラ型ロボット「モゲラ」で(そもそも戦闘用ではなく土木用ロボット。元々は平和な星だった)、重装備が昂じてちょっと滑稽なヒヨコ体型になっているのがご愛嬌。白川由美(1936-2016)が入浴中のところへモゲラが迫るというのは、お父さん向けのサービス?

 自衛隊が何とか怪獣をやっつけた後に出てくる遊星人の姿が、フルフェイスのヘルメットを被った地球人にしか見えないのも難(顔は見えないが、メットの下に鼻が覗いている。ミステリアン統統役の土屋嘉男によると、ミステリアンのマスクはアイスクリームの容器の改造だという)。但し、それでもこの作品が一般に高い評価を得ているのは、円谷英二の特撮による遊星人と地球人との砲撃戦、空中戦の迫力のためでしょう。

地球防衛軍 ロケット.jpg 昭和32年制作という古さをあまり感じさせないのは、全体のモダンなトーンもさることながら、この戦闘シーンのレベルの高さによるもので、戦争中に作られた戦意昂揚映画での戦闘機の空中戦シーンなどの際に円谷英二自身が駆使した技術や創意工夫の蓄積が、ここに開花したという感じでしょうか。

 それ以外の部分は、平田昭彦(この人、陸軍士官学校の出身)が遊星人側に与(くみ)してしまうといったドラマ部分も含め、個人的にはイマイチですが、作品の位置付けとしては、「宇宙大戦争」('59年)など、その後の「宇宙モノ」「宇宙怪獣モノ」映画の基盤を作ったという意味で、画期的な作品ということになるのでしょう。

土屋嘉男(ミステリアン総領(左))と本多猪四郎監督/本多監督と志村喬(安達謙治郎博士)・佐原健二(渥美譲治)
地球防衛軍 s.jpg 地球防衛軍 4s.jpg

ミステリアン.jpg

地球防衛軍 1957 dvd.jpg「地球防衛軍」●制作年:1957年●製作:田中友幸●監督:本多猪四郎●特技監督:円谷英二●脚本:木村武●音楽:伊福部昭●原作:丘美丈二郎●潤色:香山滋●時間:88分●出演:佐原健二/平田昭彦/白川由美/河内桃子/土屋嘉男藤田進/伊藤久哉/小杉義男/志村喬/村上冬樹/山田巳之助/中村哲/大川平八郎/笈川武夫/加藤春哉/大村千吉/佐田豊/三原秀夫/三条利喜江/生方壮児/津田光男/今泉廉/大友伸/熊谷二良/草間璋夫/広瀬正一/中丸忠雄●公開:1957/12●配給:東宝(評価:★★★)地球防衛軍 [DVD]
平田昭彦/河内桃子/白川由美/佐原健二  藤田進(森田防衛軍司令)/志村喬(安達謙治郎(天体物理学博士))
映画「地球防衛軍」1.jpg地球防衛軍 f s.jpg

「美女と液体人間」の白川由美.jpg「美女と液体人間」の白川由美e.jpg白川由美 in「美女と液体人間」(1958年)

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谷口千吉の初監督作だが「黒澤明」色が濃い。三船敏郎のデビュー作だが「志村喬」の映画。

銀嶺の果て 大.jpg銀嶺の果て dvd.jpg『銀嶺の果て』.jpg銀嶺の果て1.jpg 志村 喬/三船敏郎

 
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 北アルプスの雪山に逃げ込んだ銀行強盗の野尻(志村喬)、江島(三船敏郎)、高杉(小杉義男)の3人組だが、雪渓を行くうち、高杉は雪崩に巻き込まれて姿を消す。残った野尻、江島の2人は、吹雪に苦しみながらも小さな盆地に辿り着き、雪に埋もれた山小屋を発見、そこには老人(高堂国典)とその孫娘(若山セツ子)が暮らしており、本田(河野秋武)という登山家の男が逗留していた。野尻は彼らの暖かい人情に心を動かされるが、江島は周囲の全てに反抗するが如く更に粗暴になっていく―。

銀嶺の果て01.bmp '47(昭和22)年公開の日本初の本格的山岳アクション映画であり、骨太のヒューマンドラマでもあるこの作品は、谷口千吉の監督デビュー作であり、三船敏郎の実質的デビュー作でもありますが、この2人のデビューが重なったのは、'46年から'48年まで間歇的に続いた東宝大争議(ストライキ)で多くのスターが東宝を離れ、新人監督及びニューフェイス俳優に出番が廻って来たという事情があります(三船敏郎の東宝採用については、高峰秀子が周囲の反対を押し切って強く推したことが知られている)。

 脚本は、当時37歳の黒澤明が、当時35歳の谷口千吉と共に僅か20日間で書き上げたもので、当初のタイトルは「山小屋の三悪人」。脚本もさることながら、演出など映画全体に(特に中盤以降)"黒澤色"を強く感じるのは、三船敏郎、志村喬という後の黒澤作品に欠かせない俳優が出演しているということによるばかりではなく、当時の映画作りが、監督・脚本家・俳優らのまさに共同作業であったことにもよるのでしょう(三船敏郎自らも、雪山への撮影機材の運搬を手伝ったという)。

銀嶺の果て00.bmp 江島役の三船敏郎の不敵な面構えもさることながら、野尻役の志村喬の強盗グループのリーダーも重厚な存在感があり、野尻が山小屋の純朴な人達に接するうちに人間らしい気持ちを取り戻し始めるのに対し、江島はあくまで冷徹非情で、本田に山越えの道案内をさせて逃走を図ろうとし、本田が滑落した自分達を救うために腕を骨折して重態となると、あっさり彼を見捨てようとする―この両者の態度変容のシンプルな対比のさせ方が、この作品を、人間ドラマとして分かり易く、また厚みのあるものにしているように思いました。

 後に「ゴジラ」映画の音楽で名を馳せる伊福部昭も、これが映画音楽デビュー作で、スティーヴン・フォスターの「懐かしきケンタッキーの我が家」が、野尻の心象風景にマッチさせて旨く使われている一方で、河野秋武と若山セツ子のカップルでスキーをするシーンで、谷口千吉が「スケーターズ・ワルツ」のような楽しい曲をオーダーしたのに対し、伊福部昭が重々しい曲をということで譲らず、黒澤明が仲裁に入ったとう逸話があります(結局、伊福部昭の当初案通りとなり、ここで流れた曲は後に「三大怪獣 地球最大の決戦」('64年/東宝)でも使われることに。この作品のメインテーマ自体も「空の大怪獣 ラドン」('54年/東宝)に流用されている)。

 一般的には三船敏郎(1920-1997)のデビュー作であることが注目されがちですが、実際に作品を観れば、やはりこれは志村喬(1905-1982)の映画であると思われ、志村喬はかつて日活映画の脇役として活躍していましたが、'42(昭和17)年に、興亜映画(松竹)に、'43(昭和18)年に東宝へ移籍、以降、黒澤作品の常連となります。

銀嶺の果て2.jpg この作品撮影時、志村喬は41歳、本田を殺そうとする江島と揉み合いなったり、重態の本田を背負って雪中行するなど、身体を張った演技が随所に見られる(やや"もっさい"ながらも目一杯アクションしている)一方で、山小屋のレコードから流れる「懐かしきケンタッキーの我が家」に聴き入る姿には、後の「生きる」('52年/東宝)などの演技を想起させるものがありました。

「銀嶺の果て」●制作年:1947年●監督:田谷口千吉●製作:田中友幸●脚本:黒澤明/谷口千吉●撮影:瀬川順一●音楽:伊福部昭●時間:89分●出演:三船敏郎/志村喬/河野秋武/小杉義男/若山セツ子/高堂国典/深見泰三/坂内栄三郎/浅田建三/石島房太郎/登山晴子/岡村千鶴子/笠井利夫/石田鉱/花沢徳栄●公開:1947/08●配給:東宝●最初に観た場所:池袋・文芸地下(評価:★★★★)

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ストーリーが良く、特撮水準も高かった「サンダ対ガイラ」。マジ恐かった「海底大戦争」。

サンダ対ガイラ.jpg サンダ対ガイラ dvd縦.jpg 海底大戦争.jpg 海底大戦争2.jpg キイハンター(TVドラマ).jpg
フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ [DVD]」/「海底大戦争 [DVD]」(千葉真一/ペギー・ニール)/「キイハンター BEST SELECTION BOX [DVD]

 ある嵐の夜、三浦半島沖を航行する漁船が大ダコに襲撃される。ただ1人生き残った操舵手の男は、「仲間は全員、大タコに続いて海から現れたフランケンシュタインらしき怪物に襲われ、喰われてしまった」と証言し、引き揚げられた乗組員の衣服は噛み砕かれて吐きだしたかのような状態だった―。

海外版予告編

サンダ対ガイラ4.jpgサンダ対ガイラ3.jpg 山に住む優しいフランケンシュタイン「サンダ」と、海に住む凶暴なフランケンシュタイン「ガイラ」の兄弟対決で(実際には"兄弟"ではなく同じ遺伝子を持つ"分身"。今で言うところの「クローン」)、古事記の海幸彦・山幸彦神話がベースになっていることはすぐに分かるのですが、それでも観ていてぐっとのめり込むぐらいストーリーはよく出来ています。   「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」(1966/07/東宝)

「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」.jpg 兄サンダが弟ガイラを"叱る"(?)のは、ガイラが人間を喰ってしまったからで、小さい頃に人間に育てられたサンダには(この作品は、前年に公開された「フランケンシュタイン対地底怪獣」('65年)のの姉妹編となっている)、人間への恩義があるのか。とは言え、兄弟の情もあったりして...不肖の弟を持ったサンダは悩ましいところです。

ジャングル大帝・サンダ対ガイラ.gif 個人的には、田舎の小学校に転校した頃、学校の体育館で(所謂"体育座り"して)観せられたのが「フランケンシュタイン対地底怪獣」で、その姉妹編であるこの作品はちゃんと(?)劇場でを観た記憶がありますが(「ジャングル大帝」('66年)と併映だった)、当時はストーリー展開よりも、山からぬっと現われた巨大フランケンシュタインの迫力や、羽田空港の滑走路をゴム毬が弾むように駆けていく2匹の躍動感が印象に残りました。

i水野久美.jpg水野久美02.jpg水野久美1.jpg 今顧みても、特撮の水準は歴代怪獣映画の中ではなかなかのものではなかった思われ、この日米合作映画はアメリカでは今でもカルト的な人気があるそうです。古事記神話のことは彼らはおそらく知らないと思いますが、水野久美についてはアメリカにも熱烈なファンがいると聞きます。
   
フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ3.jpgラス・タンブリン.jpg 「ウエスト・サイド物語」('61年)でジェット団の首領リフを演じたラス・タンブリンが科学者ポール役で出ていたりしますが、タンブリンはいつも定時の撮影後は共に来日した妻とホテルへ直帰し、食事の交歓の誘いも一切断るなど、「怪獣大戦争」('65年)などに出演したニック・アダムスがスタッフや俳優たちと積極的に交わり溶け込もうとしたのとは対照的な態度をとり、撮影現場でもまったく演技を合わせようとせず、土屋嘉男によれば、共演した水野久美はタンブリンの態度に怒ってヒステリーを起こしたこともあったとのことです。
  
「海底大戦争」(1966/07 東映)千葉真一/ペギー・ニール           
海底大戦争 1966 2.jpgペギー・二ール.jpg 同じ頃に、 「海底大戦争」('66年)海底大戦争3.jpgいうのも"観せられ"、これは東宝ではなく東映映画で、原案はSF作家の福島正実(1929-1976/享年47)、監督は佐藤肇(1929-1995)。これも日米合作映画であり、出演者は外国人の方が多いのですが、主演は千葉真一でした。 

海底大戦争 1966e2.jpg これはマジ恐かったあ。特にマッドサイエンティストに捕まったペギー・ニール演じるヒロインの外国人女性記者が半魚人にされかけるところ。皮膚が半分ウロコ状になってもうだめかと...。

 この作品を観せられちょっとトラウマ気味になった生徒もいたみたいで、自分自身もその後大人になって「大井武蔵野館」あたりでだと思いますが観る機会はあったものの、あまり再見する気にならなかったのは、当時その1人だったからかもしれません(今、予告編などを見るとそれほどでもなく、正直、ちょっとクエンティン・タランティーノ.jpg評価不能という感じか)。これもまた、クエンティン・タランティーノ監督など海外にも熱烈なファンが多い作品なのですが...。

 その後、同年代の人と昔学校で課外授業の一環として観た映画の話になったことがあり、自分がフランケンシュタインものや「海底大戦争」を学校の体育館で観ていた時期と同じ頃には、「サウンド・オブ・ミュージック」とかを、ちゃんとした映画館で観たとのことでした。

 同じ"課外授業"としての映画鑑賞でありながら、内容は随分違うなあと思い、田舎の学校の先生の教育的意図は何だったのかなあと不思議に思ったりしましたが、ビクトル・エリセ「ミツバチのささやき」('73年/スペイン)でも、子供らが集まる公民館で「フランケンシュタイン」を上映する場面があったから、あれはあれで、日本のビクトル・エリセの「ミツバチのささやき」1.bmpビクトル・エリセの「ミツバチのささやき」2.bmpミツバチのささやき.jpg一田舎に限ったものではなく、ある種の"世界標準"だったのでしょうか。
ミツバチのささやき HDマスター [DVD]

 
キ―ハンター 2.jpgキーハンター 千葉真一.bmp 因みに、千葉真一は、この「海底大戦争」に出ていた頃まではアクション映画やヤクザ映画への出演が主で、出演本数の割には一般にはそれほど知名度の高い俳優ではありませんでしたが、「海底大戦争」出演の2年後の'68(昭和43)年からスタートしたテレビドラマ「キイハンター」に主演、一躍人気スター俳優となり、番組自体も視聴率は30パーセントを超え、当初1年の放送予定だったのが5年も続き、放映回数は262回にまで達しました(これ、丹波哲郎の代表的な作品でもあると思うのだが)。

 野際陽子の歌うテーマ曲「非常のライセンス」が懐かしいですが、この曲、千葉真一も歌っていなかったかなあ。
ウフン ラムール(愛)
アー ラモール(死)
ああ あの日愛した人の
墓に花をたむける明日
ああ 昨日恋して燃えて
今日は敵と味方の二人
恋も夢も希望も捨てて
命かける非情の掟
ああ だから 
ああ もっと
もっと愛して
(作詞:佐藤純彌/作曲:菊池俊輔)
                             
フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ  03.jpgサンダ対ガイラ ワイドポスター.jpg「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」 ●制作年:1966年●監督:本多猪四郎●特撮監督:円谷英二●製作:田中友幸/角田フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ0.jpg健一郎●脚本:馬淵薫/本多猪四郎●撮影:小泉一●音楽:伊福部昭●時間:88分●出演:ラス・タンブリン(スチュワート博士)/佐原健二(間宮雄三)/水野久美(戸川アケミ)/伊藤久哉(泉田課長)/田島義文(平井)/田崎潤(橋本陸将補)/中村伸郎(喜田教授)/大川平八郎(医師)/桐野洋雄(風間二佐)/山本廉(亀田三郎)/堤康久/岡部正(記者)/勝部義夫(記者)/伊藤実(記者)/岡豊(記者)/渋谷英サンダ対ガイラ .jpg男(記者)/橘正晃(記者)/関田裕(サンダ)/中島春雄(ガイラ)/小宮康弘(子供のフランケンシュタイン)/森今日子(看護婦)/沢村いき雄(年配の漁夫)/広瀬正一(山のガイド)/伊原徳(潜水夫)/堤康久(士官)●公開:1966/07●配給:東宝 (評価:★★★☆)

中村伸郎(喜田教授)・佐原健二(間宮雄三)・本多猪四郎監督

海底大戦争 19661.jpg「海底大戦争」 ●制作年:1966年●監督:佐藤肇●企画:亀田耕司/吉野誠一●脚本:大津皓一●撮影:下村海底大戦争 tiba.jpg海底大戦争 ビデオ.jpg和夫●音楽:菊池俊輔 ●原案:福島正実●時間:84分●出演:千葉真一/ペギー・ニール/フランツ・グルーバー/アンドリュー・ヒューズ/エリック・ニールセン/マイク・ダーニン/ビバリー・ケラー/ブラウン・ガン/三重街恒二/室田日出男/菅沼正●公開:1966/07●配給:東映 (評価:★★★?)
                       「キイハンター BEST SELECTION BOX [DVD]
キイハンター主題歌 「非情のライセンス」.jpgキイハンター①.jpgキイハンター dvd.jpgキーハンター.jpg「KEY HUNTER キイハンター」●監督:井上昭/堀長文/深作欣二/佐藤肇ほか●制作:小野耕人/近藤キイハンター 野際陽子.jpg野際陽子.jpg照男●脚本:深作欣二/池内金男/小山内美江子ほか●音楽:菊池俊輔(主題歌:野際陽子「キイハンター 非情のライセンス」●原作:都筑道夫●出演:千葉真一/野際陽子/丹波哲郎/谷隼人/大川栄子/川口浩/安岡力也/松岡きっこ/川地民夫/野添ひとみ●放映:1968/04~1973/04(全262回)●放送局:TBS

第1回放送:1968年4月6日
(吹雪一郎(川口浩)は第60回放送から加入)

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地上で繰り広げられるドタバタ劇はともかく、宇宙怪獣ドゴラはなかなかいい。若林映子も...。

宇宙大怪獣ドゴラ.jpg ドゴラ vhs.jpg 宇宙大~4.JPG  007は二度死ぬ ps.jpg 若林映子.jpg
ポスター/「宇宙大怪獣 ドゴラ [VHS]」「宇宙大怪獣ドゴラ [DVD]」「007は二度死ぬ [DVD]」/若林映子(あきこ)

宇宙大怪獣 ドゴラ ポスター.jpg  日本上空を周回中のテレビ中継衛星が突然消え、時を同じくして世界各国の宝石店が襲われて多量のダイヤモンドが盗まれる事件が頻発し、警視庁は宝石強盗団一味の仕業として捜査を開始、警視庁の駒井刑事(夏木陽介)は、ダイヤの研究を行なっている宗方博士(中村伸郎)のもとを訪れるが、マークという謎の外国人(ダン・ユマ)に襲撃されてダイヤを奪われ、そのマークも強盗団にダイヤを奪われる。一方の強盗団も、盗んだダイヤを積んだトラックが突如浮遊して落下するという異常事態に見舞われる―。

宇宙怪獣ドゴラ2.jpg 1960年代半ばの東宝映画は、「ゴジラ」シリーズの全盛期でドゴラ 夏木陽介.jpgしたが、この頃東宝はゴジラを主役にした映画ばかりではなく、こんなのも撮っていました。こんなのと言ってもどう言えば良いのか。クラゲのお化けみたいな巨大宇宙生物が出てくる作品です。

夏木陽介/ダン・ユマ

 この巨大クラゲ、エネルギー補給のために炭素を必要とし、そのためダイヤや石炭を地上から吸い上げるようにして補給するということで、この「ドゴラ」と命名された巨大クラゲが、ボタ山から石炭を吸い上げるシーンはなかなか見応えがあります(今観れば、水槽に落とした黒い粉末の塊が拡散していく様を、逆モーションで撮っていたのが分かるが、それにしても大した創意工夫)。

宇宙大怪獣ドゴラ  サントラ.jpg宇宙第怪獣ドゴラ 若戸大橋.jpg クラゲの全体像がなかなか見えないのもイマジネーションを駆りたてるし、実はこのクラゲ、ビニール製だそうですが、CGの無い時代にジェームズ・キャメロンの「アビス」('89年/米)顔負けの映像作りをしているなあと感心しました(「ドゴラ」の原案イメージは小松崎茂)。

宇宙大怪獣ドゴラ」サントラ

 映画公開の前年に完成したばかりの「東洋一の吊り橋」若戸大橋を破壊するなど、その"活躍"は派手ですが、結局、終盤になってもドゴラがあまり画面に出てこなかったのがやや残念か。

ドゴラ 若林.jpg 映画の大部分は、地上で繰り広げられる警察と強盗団のダイヤ争奪・奪回戦に費やされ、盗んだのがダイヤだと思ったら氷砂糖だったとか、ドタバタ喜劇調でもあります。主演の夏木陽介や、3年後に「007は二度死ぬ」('67年)でボンドガールとなる若林映子(あきこ)(警官をして「動くベッド」と言わしめる妖艶さ)などの演技陣は真剣に演じているのですが...。

Uchû daikaijû Dogora(1964).jpg宇宙大怪獣ドゴラ.jpg 今観ると、ストーリー映画としては星3つに届くか届かないですが、ドゴラだけはなかなかいいと思います。この作品を最初に観たのは学校の「課外授業」としてで、併映は家城巳代治監督、池田秀一主演の「路傍の石」('64年/東映)でしたが、その後の授業で感想文を書けと言われて「路傍の石」ではなく「ドゴラ」の方の感想文を書きました。 
Uchû daikaijû Dogora(1964)
 特撮映画としてもユニークだし、スタジオセット撮影と併せて実際に筑豊産炭地区でもロケをしているため、石炭産業華やかなりし頃の当地の様子や石炭積出港であった若松港の様子を収めた貴重な記録映像としても鑑賞できます。
007は二度死ぬ ニューオータニ.jpg007は二度死ぬ チラシ.jpg 因みに、「007は二度死ぬ」('67年)も、そのロケ地は都内では旧蔵前国技館、銀座四丁目交差点、ホテルニューオータニなど、地方では神戸港、 姫路城、鹿児島県坊津町などに及び、昭和40年代前半の日本各所の風景を映し出しているという点では貴重かもしれません。

藤山陽子(昌代(宗方博士の秘書))・中村伸郎(宗方博士)/若林 映子(女スパイ・夏井浜子)
宇宙大怪獣ドゴラ 藤山陽子.jpg 宇宙大怪獣ドゴラ 若林映子.jpg

若林 映子
「宇宙大怪獣ドゴラ」若林映子.jpg若林映子5.jpgドゴラ 夏木.jpg「宇宙大怪獣ドゴラ」●制作年:1964年●監督:本多猪四郎●特撮監督:円谷英二●製作:田中友幸/田実泰dogora 中村・藤田.jpg良●脚本:関沢新一●撮影:小泉一●音楽:伊福部昭●時間:81分●出演:夏木陽介/ダン・ユマ/小泉博/藤山陽子/若林映子藤田進中村伸郎/河津清三郎/田島義文/天本英世/田崎潤/加藤春哉/桐野洋雄/若松明/篠原正記/堤康久/岩本弘司/津田光男/熊谷卓三/当銀長太郎/広瀬正一/中山豊/上村幸之●公開:1964/08●配給:東宝 (評価:★★★☆)●併映:「路傍の石」(家城巳代治)

ドゴラ vhs.jpg

007は二度死ぬ 若林映子.jpg「007は二度死ぬ」●原題:YOU ONLY LIVE TWICE」●制作年:1967年●監督:ルイス・ギルバート●製作:ハリー・サルツマン/アルバート・R・ブロッコリ●脚本:ロアルド・ダール●撮影:フレディ・ヤング●主題歌:You Only Live Twice(唄:ナンシー・シナトラ)●原作:イアン・フレミング●時間:117分●出演:ショーン・コネリー/丹波哲郎/若林映子/浜美枝/ドナルド・プレザンス/島田テル/ カリン・ドール/チャールズ・グレイ/ツァイ・チン/ロイス・マクスウェル/デスモンド・リュウェリン/バーナード・リー●公開:1967/06●配給:ユナイテッド・アーティスツ (評価:★★★☆)
007は二度死ぬ」 若林映子

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写真が豊富(数千点)かつ鮮明。生活費を切り詰め集めた"執念のコレクション"。

東宝特撮怪獣映画大鑑(増補版).jpg 東宝特撮怪獣映画大鑑 増補版.jpg ゴジラ.jpg モスラ対ゴジラ1964.jpg
東宝特撮怪獣映画大鑑』(1999/03 朝日ソノラマ) 「ゴジラ」(1954)/「モスラ対ゴジラ」(1964)

 朝日ソノラマの旧版('89年刊行)の「増補版」。553ページにも及ぶ大型本の中で、'54年の「ゴジラ」から'98年の「モスラ3」までのスチールや撮影風景の写真などを紹介していますが、とにかく写真が充実(数千点)しているのと、その状態が極めてクリアなのに驚かされます。

浅野ゆう子.jpg 怪獣映画ファンサークル代表竹内博氏が、仕事関係で怪獣映画の写真が手元に来る度に自費でデュープして保存しておいたもので(元の写真は出版社や配給会社に返却)、当時の出版・映画会社の資料保管体制はいい加減だから(そのことを氏はよく知っていた)、結局今や出版社にも東宝にもない貴重な写真を竹内氏だけが所持していて、こうした集大成が完成した、まさに生活費を切り詰め集めた"執念のコレクション"です(星半個マイナスは価格面だけ)。

水野久美2.jpg若林映子2.jpg やはり、冒頭に来るのは「ゴジラ」シリーズですが、スチールの点数も多く、ゴジラの変遷がわかるとともに、俳優陣の写真も豊富で、平田昭彦、小泉博、田崎潤、佐原健二、藤木悠、宝田明、高島忠夫、女優だと水野久美若林映子(後のボンドガール)、根岸明美、さらに前田美波里や、ゴジラものではないですが浅野ゆう子('77年「惑星大戦争」)なども出ていたのだなあと。

モスラ対ゴジラ.jpgモスラ.jpgゴジラ ポスター.jpg 「ゴジラ」('54年)は、東宝の田中友幸プロデューサーによる映画「ゴジラ」の企画が先にあって、幻想小説家の香山滋が依頼を受けて書いた原作は原稿用紙40枚ほどのものであり、現在文庫で読める『小説ゴジラ』は、映画が公開された後のノヴェライゼーションです。

ゴジラ 1954.jpgゴジラs29.jpg  自分が生まれる前の作品であり(モノクロ)、かなり後になって劇場で観ましたが、バックに反核実験のメッセージが窺えたものの、怪獣映画ファンの多くが過去最高の怪獣映画と称賛するわりには、自分自身の中では"最高傑作"とするまでには、今ひとつノリ切れなかったような面もあります。やはりこういうのは、子供の時にリアルタイムで観ないとダメなのかなあ。ゴジラ 1954.jpg初めて「怪獣映画」というものを観た人たちにとっては、強烈なインパクトはあったと思うけれど。昭和20年代終わり頃に作られ、自分がリアルタイムで観ていない作品を、ついつい現代の技術水準や演出などとの比較で観てしまっている傾向があるかもしれません。但し、制作年('54年)の3月にビキニ環礁で米国による水爆実験があり、その年の9月に「第五福ゴジラ_.jpg竜丸」の乗組員が亡くなったことを考えると、その年の12月に公開されたということは、やはり、すごく時代に敏感に呼応した作品ではあったかと思います。

宝田明(南海サルベージKK所長・尾形秀人)/河内桃子(山根恭平博士の娘・山根恵美子)/平田昭彦(科学者・芹沢大助)

Gojira (1954) .jpg菅井きん ゴジラ.jpg 菅井きん(1926-2018/享年92)(小沢代議士)
Gojira (1954)
「ゴジラ」●制作年:1954年●監督:本多猪四郎●製作:田中友幸●脚本:村田武雄/本多猪四郎●撮影:玉井正夫●音楽:伊福部昭●特殊技術:円谷英二ほか●原作:香山滋●時間:97分●出演:宝田明/河内桃子/平田昭彦/志村喬/堺左千夫/村上冬樹/山本廉/榊田敬二/鈴木豊明 /馬野都留子/菅井きん/笈川武夫/林幹/恩田清二郎/高堂国典/小川虎之助/手塚克巳/橘正晃/帯一郎/中島春雄/川合玉江/東静子/岡部正/鴨田清/今泉康/橘正晃/帯一郎●公開:1954/11●配給:東宝●最初に観た場所(再見):新宿名画座ミラノ (83-08-06)(評価:★★★☆)●併映:「怪獣大戦争」(本多猪四郎)

モスラ_0.jpg 作品区分としてはゴジラ・シリーズではないですが、中村真一郎、福永武彦、堀田善衛の3人の純文学者を原作者とする「モスラ」('61年)の方が、今観ると笑えるところも多いのですが、全体としてはむしろ大人の鑑賞にも堪えうるのではないかと...。まあ、「ゴジラ」と「モスラ」の間には7年もの間隔があるわけで、その間に進歩があって当然なわけだけれど(そう言えば、大映の「ガメラ」('60年)も第一作はモノクロで、かなり子供向けの内容だった)。

「モスラ」('61年)予告

モスラ51.jpg ザ・ピーナッツ(伊藤エミ(1941-2012)、伊藤ユミ(1941-2016))のインドネシア風の歌も悪くないし、東京タワー('58年完成、「ゴジラ」の時「モスラ」(61年).jpgはまだこの世に無かった)に繭を作るなど絵的にもいいです。原作「発光妖精とモスラ」では繭を作るのは東京タワーではなく国会議事堂でしたが、60もののけ姫のオーム.jpg年安保の時節柄、政治性が強いという理由で変更されたとのこと、これにより、モスラは東京タワーを最初に破壊した怪獣となり、東京タワーは完成後僅か3年で破壊の憂き目(?)に。繭から出てきたのは例の幼虫で、これが意外と頑張った? 宮崎駿監督の「もののけ姫」('97年)の"オーム"を観た時、モスラの幼虫を想起した人も多いのではないでしょうか。
モスラ_1.jpg「モスラ」●制作年:1961年●監督:本多猪モスラ4S.jpg四郎●製作:田中友幸●脚色:関沢新一●撮影:小泉一●音楽:古関裕而●特殊技術:円谷英二●イメージボード:小松崎茂●原作:中村真一郎/福永武彦/堀田善衛「発光妖精とモスラ」●時間:101分●出演:モスラ111 .jpgフランキー堺小泉博香川京子/ジェリー伊藤 /ザ・ピーナッツ(伊藤エミ、伊藤ユミ)/上原謙/志村喬/平田昭彦/佐原健二/河津清三郎/小杉義男/高木弘/田島義文/山本廉/加藤春哉/三島耕/中村哲/広瀬正一/桜井巨郎/堤康久●公開:1961/07●配給:東宝●最初に観た場所(再見):新宿シアターアプル (83-09-04)(評価:★★★☆)●併映:「三大怪獣 地球最大の決戦」(本多猪四郎)

モスラ対ゴジラ ポスター2.jpgモスラ対ゴジラ ポスター.jpg この「ゴジラ」第1作を観ると、ゴジラが最初は純粋に"凶悪怪獣"であったというのがよくわかります。「ゴジラシリーズ」の第4作「モスラ対ゴジラ」('64年)(下写真)の時もまだモスラの敵役モスラ対ゴジラ 02.jpgでした。この作品はゴジラにとって怪獣同士の闘いにおける初黒星で、昭和のシリーズでは唯一の敗戦を喫した作品でもあります。因みに、「ゴジラシリーズ」の第3作「キングコング対ゴジラ」('62年)は両者引き分け(相撃ち)とされているようです。それが、'64年12月に公開された('64年12月公開予定だった黒澤明監督「赤ひげ」の撮影が長引いたため、正月興行用に急遽制作された)「ゴジラシリーズ」の第5作「三大怪獣 地球最大の決戦」('64年)(下写真)「三大怪獣 地球最大の決戦」('64年)3.jpgになると、宇宙怪獣キングギド三大怪獣 地球最大の決戦.jpgラを倒すべく力を合わせようというモスラ(幼虫)の"呼びかけ"にラドンと共に"説得"されてしまいます。この怪獣たちが極端に擬人化された場面のバカバカしさは見モノでもあり、ある意味、珍品映画として貴重かもしれません。ともかく、ゴジラはこの作品以降、昭和シリーズではすっかり"善玉怪獣"になっています(「三大怪獣 地球最大の決戦」には、後にボンドガールとなる若林映子が、キングギドラに滅ぼされた金星人の末裔であるサルノ王女(の意識が憑依した女性)役で出ていたが、王女の本名はマアス・ドオリナ・サルノ(まあ素通りなさるの!)だった)。この作品、「四若林映子 サルノ王女.jpg三大怪獣 地球最大の決戦 (1964年)-s.jpg大怪獣」ではないかとも言わましたが、モスラ、ゴジラ、ラドンの地球の3匹がを力を合わせて宇宙怪獣キングギドラ戦に挑むことから、「地球の三大怪獣」にとっての最大の決戦という意味らしいです。

若林映子(サルノ王女)/夏木陽介・星由里子・志村喬 in「三大怪獣 地球最大の決戦」
Mosura tai Gojira(1964)
Mosura tai Gojira(1964).jpgモスラ対ゴジラ hujita .jpgモスラ対ゴジラ2.jpg「モスラ対ゴジラ」●制作年:1964年●監督:本多猪四郎●製作:田中友幸●脚色:関沢新一●撮影:小泉一●音楽:伊福部昭●特殊技術:円谷英二●時間:89分●出演:宝田明星由里子小泉博/ザ・ピーナッツ(伊藤エミ、伊藤ユミ)/藤木悠/田島義文/佐原健二/谷晃/木村千吉/中モスラ 小美人用に作られた巨大セット.jpgモスラ .jpg山豊/田武謙三/藤田進/八代美紀/小杉義男/田崎潤/沢村いき雄/佐田豊/山本廉/佐田豊/野村浩三/堤康久/津田光男/大友伸/大村千吉/岩本弘司/丘照美/大前亘●公開:1964/04●配給:東宝(評価:★★★☆)
小泉博・宝田明・星由里子・ザ・ピーナッツ/小美人用に作られた巨大セット(本多監督とザ・ピーナッツ)
「モスラ対ゴジラ」('64年)予告

「三大怪獣 地球最大の決戦」('64年)予告

San daikaijû Chikyû saidai no kessen(1964)                 
三大怪獣・地球最大の決戦 パンフレット.jpgSan daikaijû Chikyû saidai no kessen(1964).jpg三大怪獣 地球最大の決戦2.jpg「三大怪獣 地球最大の決戦」●制作年:1964年●監督:本多猪四郎●製作:田中友幸●脚本:関沢新一●撮影:小泉一●音楽:伊福部昭●特殊技術:円谷英二●時間:97分●出演:夏木陽介/小泉博/星由里子若林映子「三大怪獣 地球最大の決戦」.png三大怪獣 地球最大の決戦 星百合子e.jpgザ・ピーナッツ/志村喬/伊藤久哉/平田昭彦/佐原健二/沢村いき雄/伊吹徹/野村浩三/田島義文/天本英世/小杉義男/高田稔/英百合子/「三大怪獣 地球最大の決戦」6.jpg加藤春哉●時間:93分●公開:1964/12●配給:東宝●最初に観た場所(再見):新宿シアターアプル (83-09-04)(評価:★★☆)●併映:「モスラ」(本多猪四郎)
夏木陽介・若林映子(サルノ王女) in「三大怪獣 地球最大の決戦」

怪獣大戦争.jpg怪獣大戦争01.jpg 更に、ゴジラシリーズ第6作「怪獣大戦争」('65年)は、地球侵略をたくらむX星人がキングギ怪獣大戦争 土者.jpgドラ、ゴジラ、ラドンの3大怪獣を操り総攻撃をかけてくるというもので、X星人の統制官(土屋嘉男)がキングギドラを撃退するためゴジラとラドンを貸して欲しいと地球人に依頼してきて(土屋嘉男は「地球防衛軍」('57年)のミステリアン統領以来の宇宙人役か)、その礼としてガン特効薬を提供すると申し出るが実はそれは偽りで...という、まるで人間界のようなパターンの詐欺行為。「シェー」をするゴジラなど、怪獣のショーアップ化が目立ち、"破壊王"ゴジラはここに至って、遂に自らのイメージをも完全粉砕してしまった...。

怪獣大戦争011.jpg 本書にはない裏話になりますが、この作品に準主役で出演した米俳優のニック・アダムスは、ラス・タンブリンなど同列のSF映画で日本に招かれたハリウッド俳優達が日本人スタッフと交わろうとせずに反発を受けたのに対し、積極的に打ち解け馴染もうとし、共演者らにも人気があったそうで、土屋嘉男とは特に息が合い、土屋にからかわれて女性への挨拶に「もうかりまっか?」と言っていたそうで、仕舞には、自らが妻帯者であるのに、水野久美に映画の役柄そのままに「妻とは離婚するから結婚しよう」と迫っていたそうです(ニック・アダムスは当時、私生活では離婚協議中だったため、冗談ではなく本気だった可能性がある。但し、彼自身は、'68年に錠剤の過量摂取によって死亡している(36歳))。

怪獣大戦争ges.jpgニック・アダムス2.jpg「怪獣大戦争」●制作年:1965年●監督:本多猪四郎●製作:田中友幸●脚本: 関沢新一●撮影:小泉一●音楽:伊福部昭●特殊技術:円谷英二●時間:94分●出演:宝田明/ニック・アダムス/久保明/水野久美/沢井桂子/土屋嘉男/田崎潤/田島義文/田武謙三/、村上冬樹/清水元/千石規子/佐々怪獣大戦争 土屋嘉男.jpg怪獣大戦争2.jpg木孝丸●公開:1965/12●配給:東宝●最初に観た場所(再見):新宿名画座ミラノ (83-08-06)(評価:★★☆)●併映:「ゴジラ」(本多猪四郎)
中央:X星人統制官(土屋嘉男

水野久美.jpg 怪獣の複数登場が常となったのか、「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」('66年)などというのもあって(「ゴジラ」シリーズとしては第7作)、監督は本多猪四郎ではなく福田純で、音楽は伊福部昭ではなく佐藤勝ですが、これはなかなかの迫力だった印象があります(後に観直してみると、人間ドラマの方はかなりいい加減と言うか、ヒドいのだが)。

ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘ps.jpg水野久美 in「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」('66年)

ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘2.jpg シリーズ第6作「怪獣大戦争」に"X星人"役で出ていた水野久美が今度は"原住民"の娘役で出ていて、キャスティングの変更による急遽の出演で、当時29歳にして19歳の役をやることになったのですが、今スチール等で見ても、妖艶過ぎる"19歳"、映画「南太平洋」('58年/米)みたいなエキゾチックな雰囲気もありましたが、何せ観たのは子供の時ですから、南の島の島民たちが大壷で練っている黄色いスープのような液体の印象がなぜか強く残っています(何のための液体だったのか思い出せなかったのだが、後に観直して"エビラ除け"のためのものだったと判り、スッキリした)。

「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」.jpg「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」●制作年:1966年●監督:福田純●製作:田中友幸●脚本:関沢新一●撮影:山田一夫●音楽:佐藤勝●特殊技術:円谷英二●出演:宝田明/渡辺徹/伊吹徹/当銀長太郎/砂塚秀夫/水野久美/田崎潤/平田昭彦/天本英世/佐田豊/沢村いき雄/伊藤久哉/石田茂樹/広瀬正一/鈴木和夫/本間文子/中北千枝子/池田生二/岡部正/大前亘/丸山謙一郎/緒方燐作/勝部義夫/渋谷英男●時間:87分●公開:1966/12●配給:東宝(評価:★★★☆)●併映:「これが青春だ!」(松森 健)

大怪獣ガメラgamera_1.jpg この辺りまで怪獣映画は東映の独壇場ともいえる状況でしたが、'65年に大映が「大怪獣ガメラ」、'67年に日活が「大巨獣ガッパ」でこの市場に参入します(本書には出てこないが)。このうち、「大怪獣ガメラ」('65年/大映)は、社長の永田雅一の声がかりで製作されることとなり(永田雅一の「カメ」で行けという"鶴の一声"で決まったようで、湯浅憲明(1933-2004)監督はじめスタッフは苦労したのではないか)、これがヒットして、ガメラ・シリーズは'71年に大映が倒産するまでに7作撮影されましたが、本作はシリーズ唯一のモノクロ作品です(「ゴジラ」の第1作を意識したのかと思ったが、予算と技術面の都合だったらしい)。大怪獣ガメラ 船越英二.jpgあらすじは、砕氷調査船・ちどり丸で北極にやってきた東京大学動物学教室・日高教授(船越英二)らの研究チームが、国大解呪ガメラ 1965es.jpg籍不明機を目撃、その国籍不明機には核爆弾が搭載されており、その機体爆発の影響で、アトランティスの伝説の怪獣ガメラが甦るというもの。「ガメラ」の命名者でもある永田雅一の「子供たちが観て『怪獣がかわいそうだ』とか哀愁を感じないといけない。子供たちの共感を得ないとヒットしない」との考えの大怪獣ガメラ _.jpg大怪獣ガメラ 1965_.jpgもと、ガメラは子供には優しく、特にカメを大事に飼っている主人公の少年には優しいのですが、いくら何でも擬人化し過ぎたでしょうか(永田雅一は「ガメラを泣かせろ」と指示したそうな)。特撮自体は悪くなく、逃げ惑う人々のシーンの人海戦術も効いているだけに、お子様仕様になってしまったのが惜しまれます(出来上がった作品を観て永田雅一は「面白い」と言ったそうだが、映画はヒットしたわけだから、商売人としての感性はあった?)。

大怪獣ガメラ [Blu-ray]」「大怪獣ガメラ デジタル・リマスター版 [DVD]

「大魔神」(1966)青山良彦/高田美和/月宮於登女/藤巻潤
大魔神 1966.jpg大魔神77.jpg 「ガメラ」のヒットを受け、翌年「ガメラシリーズ」の第2作として総天然色による「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン大魔神1.jpg」('66年/大映)が作られましたが、併映の「大魔神」('66年/大映)の方が"初物"としてインパクトがあったかも。ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の「巨人ゴーレム」('36大魔神2.jpg年/チェコスロバキア)で描かれたゴーレム伝説に材を得たそうですが、戦国時代に悪人が陰謀を巡らせて民衆が虐げられると、穏やかな表情の石像だった大魔神が復活して動き出し、破壊的な力を発揮して悪人を倒すというストーリーは分かりやすいカタルシスがありました。大映映画ですが、音楽は東宝ゴジラ映画の伊福部昭(1914-2006/享年91)が担当しています(同じく大映映画で伊福部昭が音楽を担当した作品に、黒澤明監督が大映で撮った「静かなる決闘」('49年)がある)。「大魔神」は、ほぼ同じパターン内容で同年にシリーズ第2作「大魔神怒る」、第3作「大魔神逆襲」が公開されています(3作で終わったのは、やや飽きられたためか)。

「大怪獣ガメラ」●制作年:1965年●監督:湯浅憲明●製作:永田秀雅(製作総指揮:永田雅一)●脚本:高橋二三●撮影:宗川信夫●音楽:山内正●時間:78分●出演:船越英二/山下洵一郎/姿美千子/霧立はるみ/北原義郎/左卜全/浜村純/北城寿太郎/吉田義夫/大山健二/小山内淳/藤山浩二/大橋一元/高田宗大怪獣ガメラ 船越英二  2.jpg彦/谷謙一/中田勉/森矢雄二/丸山修/内田喜郎/槙俊夫/隅田一男/杉森麟/村田扶美子/竹内哲郎/志保京助/中原健/森一夫/佐山真次/喜多大八/大庭健二/荒木康夫/井上大吾/三夏伸/清水昭/松山新一/岡郁二/藤井竜史/山根圭一郎/村松若代/沖良子/加川東一郎/伊勢一郎/佐原新治/宗近一/青木英行/萩原茂雄/古谷徹/中条静夫(ナレーション)●時間:87分●公開:1965/11●配給:大映(評価:★★★)
船越英二・霧立はるみ

「大魔神」(1966)  高田美和(当時19歳)
大魔神 blu-ray.jpg大魔神 高田美和.jpg「大魔神」●制作年:1966年●監督:安田公義●製作総指揮:永田雅一●脚本:吉田哲郎●撮影:森田富士郎●音楽:伊福部昭●時間:84分●出演:高田美和/青山良彦/二宮秀樹/藤巻潤/五味龍太郎/島田竜三/遠藤辰雄/杉山昌三九/伊達三郎/月宮於登女/出口静宏/尾上栄五郎/伴勇太郎/黒木英男/香山恵子/木村玄/橋本力(大魔神)●時間:87分●公開:1966/04●配給:大映(評価:★★★☆)
大魔神 Blu-ray BOX


ゴジラvsキングギドラ.jpgゴジラvsビオランテ.gif 一方、話を「大映」から「東宝」に戻して、'75年で一旦終了した「ゴジラ」シリーズは9年ぶりに再開されます。久々に作られた第16作「ゴジラ」('84年)では、ゴジラを原点の"凶悪怪獣"に戻したようですが、第17作あたりから、また少しおかしくなってくる...。

「ゴジラ vs ビオランテ」vhs.jpg 第17作「ゴジラ vs ビオランテ」('89年)は、バイオテクノロジーによってゴジラとバラの細胞を掛け合わせて造られた超獣ビオランテが登場し、一般公募ストーリー5千本から選ばれたものだそうですが(選ばれたのは「帰ってきたウルトラマン」第34話「許されざるいのち」の原案者である小林晋一郎の作品。一般公募と言ってもプロではないか)、確かに植物組織を持った怪獣は、「遊星よりの物体x」('51年/米)(「遊星からの物体x」('82年/米)のオリジナル)の頃からあるとは言え、随分と荒唐無稽なストーリーを選んだものだと...。

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ゴジラ vs キングギドラ 1991.jpg 第18作「ゴジラ vs キングギドラ」('91年)は、南洋の孤島に生息していた恐竜が核実験でゴジラに変身したという新解釈まで採り入れており(ここに来てゴジラの出自を変えるなんて)、ゴジラが涙ぐんでいるような場面もあって、また同じ道を辿っているなあと(この映画、敵役の未来人のUFOが日本だけを攻撃対象とするのも腑に落ちないし、タイム・パラドックスも破綻気味)。

ゴジラvsキングギドラ tutiya2.jpg 第17、第18作は大森一樹監督で、いくらか期待したのですが、かなり脱力させられました(第18作「ゴジラ vs キングギドラ」で怪獣映画の中で土屋嘉男を見たのがちょっと懐かしかったくらいか)。この監督は商業映画色の強い作品を撮るようになって、はっきり言ってダメになった気がします。大森一樹監督の最高傑作は自主映画作品「暗くなるまで待てない!」('75年/大森プロ)ではないでしょうか。神戸を舞台に大学生の若者たちが「暗くなるのを待てないで昼間から出てくるドラキュラの話」の映画を撮る話で、モノクロで制作費の全くかかっていない作品ですが、むしろ新鮮味がありました(今年['08年]3月に、大森監督によってリメイクされた)。

 結局、ゴジラ・シリーズは'04年の第28作をもって終了しますが、「ゴジラ」シリーズ全体での観客動員数は9,925万人で、「男はつらいよ」シリーズ全48作の合計観客動員数7,957万人を上回り、歴代で最も観客動員数多い劇場映画シリーズとされています。

ゴジラ vs ビオランテ  .jpg「ゴジラ vs ビオランテ」●制作年:1989年●監督・脚本:大森一樹●製作:田中友幸●音楽:すぎやまこういち(ゴジラテーマ曲:伊福部昭)●時間:97分●出演:三田村邦彦/田中好子/小高恵美/峰岸徹/高嶋政伸/沢口靖子/高橋幸治●公開:1989/12●配給:東宝 (評価:★☆)

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「ゴジラ vs キングギドラ」●制作年:1991年●監督・脚本:大森一樹●製作:田中友幸●音楽:伊福部昭●特技監督:川北紘一●原作:香山滋●時間:103分●出演:中川安奈/豊原功補/小高恵美/西岡徳馬/土屋嘉男/原田貴和子/小林昭二/佐々木勝彦/チャック・ウィルソン/ロバート・スコットフィールド●公開:1991/12●配給:東宝 (評価:★☆)
  
暗くなるまで待てない!47.jpg「暗くなるまで待てない」のサウンドトラックm.jpg「暗くなるまで待てない!」●制作年:1975年●監督:大森一樹●脚本:大森一樹/村上知彦●音楽:吉田健志/岡田勉/吉田峰子●時間:30分●出演:稲田夏子/栃岡章/南浮泰造/村上知彦/森岡富子/磯本治昭/塚脇小由美/大森一樹/鈴木清順●公開:1975/04●配給:大森プロ●最初に観た場所:高田馬場パール座 (80-12-25) (評価:★★★★)●併映:「星空のマリオネット」(橋浦方人)/「青春散歌 置けない日々」(橋浦方人)

「暗くなるまで待てない」サウンドトラック(吉田健志)

日本誕生.jpg ゴジラ・シリーズ以外で、役者だけで見れば何と言っても凄いのが「日本誕生」('59年)で、ヤマタノオロチが出てくるため確かに"怪獣映画"でもあるのですが、三船敏郎、乙羽信子、司葉子、鶴田浩二、東野英治郎、杉村春子、田中絹代、原節子など錚々たる面々、果ては、柳家金語楼から朝汐太郎(当時の現役横綱)まで出てくるけれど、「大作」転じて「カルト・ムービー」となるといった感じでしょうか(観ていないけれど、間違いなくズッコケそうで観るのが怖いといった感じ)。 

「日本誕生」 アメノウズメノミコ (乙羽信子)

マタンゴ.jpg 初期の「透明人間」('54年)やガス人間第1号」('60年)など"○○人間"モノや天本英夫の「マタンゴ」('63年)といった怪奇モノ、地球防衛軍」('57年)宇宙大戦争」('59年)などの宇宙モノから中国妖怪モノ、"フランケンシュタイン"モノまで、シリーズごとのほぼ全作品を追っていて、作品当りのスチール数も豊富な上に、一部については、デザイン画や絵コンテなども収められています。

 この頃東宝はゴジラ映画だけを作っていたわけではなく、クラゲの化け物のような怪獣が登場する宇宙大怪獣ドゴラ」('66年)といった作品もありました。個人的には、"フランケンシュタイン"モノでは、フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」('66年)などが印象に残っています。
 
水野久美 in 「フランケンシュタイン対地底怪獣」('65年)/根岸明美 in「キングコング対ゴジラ」('62年)
東宝特撮怪獣映画大鑑1.jpg 東宝特撮怪獣映画大鑑2.jpg

根岸明美 アナタハン.jpg根岸明美 マタンゴ.jpg赤ひげ 根岸明美 .jpg
根岸明美(1934.3.26-2008.3.11/享年73) in 「アナタハン」('53年)、「キングコング対ゴジラ」('62年)、「赤ひげ」('65年)

「●映画」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1777】 江藤 努 (編) 『映画イヤーブック 1991
「●黒澤 明 監督作品」の インデックッスへ「●「ヴェネツィア国際映画祭 銀獅子賞」受賞作」の インデックッスへ(「七人の侍」)「●小国 英雄 脚本作品」の インデックッスへ「●橋本 忍 脚本作品」の インデックッスへ 「●早坂 文雄 音楽作品」の インデックッスへ(「七人の侍」)「●伊福部 昭 音楽作品」の インデックッスへ(「十三人の刺客」)「●志村 喬 出演作品」の インデックッスへ「●三船 敏郎 出演作品」の インデックッスへ「●東野 英治郎 出演作品」の インデックッスへ 「●加東 大介 出演作品」の インデックッスへ「●土屋 嘉男 出演作品」の インデックッスへ 「●仲代 達矢 出演作品」の インデックッスへ「●か行の日本映画の監督」の インデックッスへ「●嵐 寛寿郎/片岡 千恵蔵 出演作品」の インデックッスへ(「十三人の刺客」)「●丹波 哲郎 出演作品」の インデックッスへ(「十三人の刺客」)「○日本映画 【制作年順】」の インデックッスへ

シリーズ中では充実した内容。回答者のコメントが楽しい。中上級編の注目は「十三人の刺客」。

大アンケートによる日本映画ベスト150 0_.jpg 七人の侍 志村喬.jpg  洋・邦名画ベスト1501.JPG
大アンケートによる日本映画ベスト150 (文春文庫―ビジュアル版)』/「七人の侍」/『洋・邦名画ベスト150〈中・上級篇〉』 (表紙イラスト:共に安西水丸

 『大アンケートによる日本映画ベスト150』は、同じ「文春文庫ビジュアル版」の『大アンケートによる洋画ベスト150』('88年)の続編で、この映画シリーズはこの後、

大アンケートによるわが青春のアイドル女優ベスト150  .jpg ◆『大アンケートによるわが青春のアイドル女優ベスト150』 〔'90年〕
 ◆『洋画・邦画ラブシーンベスト150』 〔'90年〕
 ◆『大アンケートによるミステリー・サスペンス洋画ベスト150』 〔'91年〕
 ◆『ビデオが大好き!365夜―映画カレンダー』 〔'91年〕
 ◆『洋・邦名画ベスト150 中・上級篇』 〔'92年〕
 ◆『大アンケートによる男優ベスト150』 〔'93年〕
 ◆『戦後生まれが選ぶ洋画ベスト100』 〔'95年〕

映画イヤーブック1994.jpgと続いています。これらの内の何冊かは、'90年代に毎年刊行されていた現代教養文庫(版元の社会思想社は倒産)の『映画イヤーブック』と共に愛読・活用させてもらいました。角川文庫にも『日本映画ベスト200』('90年)などのアンケート・シリーズがありますが、「ビジュアル版」と謳っている文春文庫のシリーズの方が、掲載されているスチール、ポートレート、ポスターの量と質で、角川文庫のものを上回っています。

Shichinin no samurai(1954).jpg七人の侍 パンフ.jpg7samurai.jpg 本書『邦画ベスト150』には、赤瀬川順・長部日出雄・藤子不二雄A氏らの座談会や、映画通が選んだジャンル別のマイベスト、井上ひさしの「たったひとりでベスト100選出に挑戦する!」といった興味深い企画もありますが、メインの「ベスト150」は、1位が「七人の侍」で、以井上ひさしs.jpg下「東京物語」「生きる」「羅生門」「浮雲」と続く"まともな"ラインアップとなっています(因みに、井上ひさしの「たったひとりでベスト100選出に挑戦する!」も、第1位が「七人の侍」で、あと「天国と地獄」「生きる」と黒澤作品が続く)。
Shichinin no samurai(1954)  「七人の侍」('63年/東宝)

七人の侍 1954.jpg「七人の侍」.jpg 「七人の侍」の「1位」には、個人的にもほぼ異論を挟む余地が無いという気がします。先にジョン・スタージェス監督の「荒野の七人」('60年/米)を観てオリジナルであるこの作品も早く観たいと思っていたですが、観るのなら絶対に劇場でと思い、リヴァイバル上映を待ちに待って、結局'90年代にニュープリント、リニューアル・サウンドの完全オリジナル版が15年ぶりに公開されたのを機にやっと観ました。渋谷のロードショーシアターへ、休日の昼間ではおそらく行列に並ぶことになるだろうと思い、冬の日の朝一番なら多少すいているかもしれないと思って観にいったら、観客多数のため上映館が急遽変更されていて、渋谷の街中(まちなか)を走った思い出があります。

『七人の侍』(1954) .jpg 「荒野の七人」もいい映画ではあるものの、やはりオリジナルは遥かにそれを七人の侍n.jpg凌ぐレベルの作品だったことを実感しました。アクション映画としても傑作ですが、脚本面でも思想性という面でも優れた作品だと思います。

三船敏郎(菊千代)/土屋嘉男(利吉)

 『洋画ベスト150』もそうですが、映画通と言われる特定の映画にこだわりを持った人々からアンケートをとっても、それらを全部を集計してしまうと、一般の映画ファンのアンケート結果とそう変わらないものになるということ、「人目にふれにくい傑作」にテーマを絞った『洋・邦名画ベスト150 中・上級篇』が企画されたのは「むべなるかな」という感じがします。

Jûsan-nin no shikaku (1963).jpg十三人の刺客.jpg 『中・上級篇』の方では、「日本映画ベスト44」の1位が工藤栄一(1929‐2000)監督の「十三人の刺客」、「外国映画ベスト109」の1位は「マダムと泥棒」となっていて、「七人の侍」が(前述の通り、個人的にも大傑作だと思うが)これほど賞賛されるならば「十三人の刺客」はもっと注目されるべきであるし、ヒッチコック(個人的は好きな監督だが)の作品に人気が集まるならば、「マダムと泥棒」も見て!という感じは確かにします。
「十三人の刺客」
Jûsan-nin no shikaku (1963)

 「十三人の刺客」は、将軍の弟である明石藩主というのが実は異常性格気味の暴君で、事情を知らない将軍が彼を老中に抜擢する話が持ち上がったために、筆頭老中が暴君排除を決意し、暗殺の密命を旗本島田新左衛門に下すというもの。

「十三人の刺客」 ('63年/東映)
十三人の刺客s.jpg十三人の刺客dvd.jpg 片岡千恵蔵演ずる島田新左衛門が集めた刺客は12人で、参勤交代の道中の藩主を襲うが、対する明石藩士は53名。この、2勢力の武士が、何か2匹の生き物のように画面狭しと動き回って、時代劇というよりまさにアクション映画。そうした点では「七人の侍」と見比べると、また違った味があります(脚本の「池上金男」は今年['07年]5月に亡くなった、後に『四十七人の刺客』で新田次郎文学賞を受賞する池宮彰一郎(1923-2007/享年83)。音楽は「ゴジラ」の伊福部昭!)。

十三人の刺客 工藤栄一.jpg 本書にもあるように、アクション映画は、シチュエーションを単純にしてディテールに凝ったほうが面白いと言うその典型で、ラストの30分にわたるリアルな決戦シーンとそこに至るまでの作戦の積み重ねは、「早すぎた傑作」と呼ばれるにふさわしく、公開当時はあまり評価されなかったとのこと。大体、時代物に疎く、かなり後になってビデオで観たのですが、劇場でみたら星5つだったかも(オールド・プリントで、ちょっと画面が暗い。DVDの方はどうなのだろうか)。

木村功・土屋嘉男・志村喬       志村喬・加東大介 in「七人の侍」
「七人の侍」 志村喬 土屋嘉男 木村功.jpg七人の侍 加東大介.jpg「七人の侍」●制作年:1963年●監督:黒澤明●製作:本木莊二郎 ●脚本:黒澤明/橋本忍/小国英雄●撮影:中井朝一●音楽:早坂文雄 ●時間:207分●出演: 志村喬/三船敏郎/木村功/稲葉義男/加東大介/千秋実/宮口精七人の侍 仲代達矢ekisutora .jpg二/藤原釜足/津島恵子/土屋嘉男/小杉義男/左卜全/高堂国典/東野英治郎/島崎雪子/山形勲/渡辺篤/千石規子/堺左千夫/千葉一郎/本間文子/安芸津広/多々良七人の侍f.jpg純/小川虎之/熊谷二良/上田吉二郎/谷晃/中島春雄/(以下、エキストラ出演)仲代達矢(右写真)/宇津井健/加藤武●公開:1954/04●配給:東宝 ●最初に観た場所:渋谷東宝(渋東シネタワー4)(91-12-01)(評価:★★★★★

東野英治郎(百姓の子供を人質にとって小屋に立て籠った盗人)

Shibutoh_Cine_Tower.JPG渋東シネタワービル(シネタワー1・2・3・4)

渋東シネタワー 1991(平成3)年7月6日、「渋谷東宝会館」を「渋東シネタワー」と改称し、4スTOHOCINEMAS_Shibuya.JPGクリーンに増設して再オープン。シネタワー1(606席)、シネタワー2(790席)、シネタワー3(342席)、シネタワー4(248席)。2011(平成23)年、上層TOHOシネマズ渋谷 .jpg階にあったシネタワー1と2を閉鎖・改装し、同年7月15日、TOHOシネマズ渋谷スクリーン1・2・3・4がオープン。次いで下層階のシネタワー3・4を改装し、同年11月30日にTOHOシネマズ渋谷スクリーン5・6がオープン。

「十三人の刺客」●制作年:1963年●監督:工藤栄一●製作:東映京都撮影所●脚本:池上金男●撮影:鈴木重平●音楽:伊福部昭●時間:125分●出演:片岡千恵蔵/里見浩太朗/嵐寛寿郎/阿部九州男/加賀邦男/汐路章/春日俊二/片岡栄二郎/和崎俊哉/西村晃/内田十三人の刺客 片岡.jpg十三人の刺客 嵐.jpg良平/山城新伍/丹波哲郎/月形龍之介/菅貫太郎/水島道太郎/沢村精四郎丘さとみ/藤純子/河原崎長一郎/三島ゆり子/高松錦之助/神木真寿雄●公開:1963/12●配給:東映 (評価:★★★★)

片岡千恵蔵 in「十三人の刺客」

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