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寺山色が薄まった「サード」、寺山と羽仁進とのコラボがうまくいっていない「初恋・地獄変」。

サード ちらし.jpgサード.jpg 帰らざる日々.jpg 桃尻娘 竹田かほり.jpg 初恋・地獄篇.jpg
サード [DVD]」/ 「帰らざる日々 [DVD]」/ 「ピンクヒップガール 桃尻娘 [DVD]」 /「初恋・地獄篇 [DVD]」ポスターデザイン:宇野亜喜良
「サード」チラシ

サード4.jpgサード 78.jpg 「サード」('78年3月/ATG)は、少年院にいる"サード"という少年の、大人達から浮ついた励ましの言葉をかけられたところで決して満たされることのない鬱々とした日々を描いた作品。彼は元々、「大きな町へ行く」ことを夢見る高校生男女の4人組の1人で、資金稼ぎに始めた売春がもとで事件を起こし少年院へ送られてきたのだった―。

サード3.jpgサード  .jpg 寺山修司(1935‐1983)の脚本で(原作は軒上泊の「九月の町」)ATG映画の中でも評価の高い作品ですが(第52回キネマ旬報ベスト・テン第1位)、その脚本をまた撮影段階で大幅に変更したとのことで、寺山修司自身が監督した作品と比べれば当然ですが、この作品単体で見ても寺山の色をあまり感じませんでした。

サード1.jpg ただ、"オシ"という無口な少年をはじめ、"トベチン"、"アキラ"、"漢字"、脱走を試みる"ⅡB"といった少年達は皆、自閉的ながらもユニークで、こういうキャラは寺山の半自伝的作品にもあったかも(そう言えば"短歌"と呼ばれている少年もいた)。

 野球少年だったサードはひたすらホームベースの見えないグランドをぐるぐる走り続ける―ちょっとアラン・シリトーの『長距離走者の孤独』を想い出しますが、少年院の大人達に対するサード達の抵抗は、教育会で講師が語っているときにオナラをしたり、褒め言葉に対して暴言で返したりする程度で、ボランティアで慰問に訪れた女の子を暴行するのは、彼らの夢想の世界でのことでしかなく、今観れば、ああ、ここにも70年代の"閉塞感"があるなあと...。

永島敏行ド.jpgサード2.jpg 永島敏行(1956年生まれ。現在、俳優兼「農業コンサルタント」?)は、この作品が映画初出演でしたが、演技はそれほど悪くないけれども良くもないと言うか、あまり陰が感じられず、同年に主演した藤田敏八(1932‐1997/享年65)監督の「帰らざる日々」('78年8月/日活)でのキャバレーのボーイをしながら作家を志している青年役の方が、まだ演技らしい演技だったかも。  

森下愛子.jpgサード1978年森下.jpg 「サード」は、主人公を演じた永島敏行よりも、主人公の女友達役の森下愛子(1958年生まれ、この作品が映画初出演。吉田拓郎と結婚し、いったん芸能活動を休止したが、その後また復帰し、宮藤官九郎脚本の作品の常連に)の陰のある演技が良く、「帰らざる日々」で主人公の青年が高校時代に思いを寄せた喫茶店のウェイトレス役の浅野真弓(1957年生まれ)や、中学時代の同級生役の竹田かほり(1958年生まれ、同年の「桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール」('78年4月/日活)が映画初主演)などの演技も良かったように思います(橋本治原作の「桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール」は思春期の女の子をヴィヴィッドに描いていて単純に面白かった)。
森下愛子(「サード」)            

森下愛子2.jpg サード 森下愛子.jpg   帰らざる日々2.jpg 浅野真弓.jpg
森下愛子(「サード」)                    浅野真弓(「帰らざる日々」)
帰らざる日々 竹田.jpg     竹田かほり.jpg 竹田かほり ピンク・ヒップ.jpg
竹田かほり(「帰らざる日々」)      竹田かほり(「桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール」)

「初恋・地獄篇」 ('68年/ATG)
初恋・地獄変2.png初恋・地獄変.gif 寺山修司は「サード」以前にも、羽仁進監督の「初恋・地獄変」('68年/ATG)の脚本を羽仁進と共同で書いていて、これは、救護院にいた少年が彫金師に引き取られて成長する様を、少年の過去と現在を交互に織り交ぜ、そこにインタビューや隠し撮りなどのドキュメンタリーの手法も入れて描いたものですが、こちらは「サード」と違って、寺山の色が薄いと言うより、どの部分が寺山修司でどの部分が(多分ゴダールの影響を受けたらしい)羽仁進の部分かということが、観ていて何となく分かってしまう―その点では、必ずしも成功したコラボだったようには思えませんでした。

 一方、「サード」の監督・東陽一の手掛けた初の劇映画は「やさしいにっぽん人」('71年/東プロ)でした(この作品は新宿紀伊國屋ホールで観て、監督・出演者らの舞台挨拶があった。紀伊國屋ホールは緑魔子が70年代にリサイタルをやった会場でもあった)。沖縄で起きた集団自決から生き延びた赤ん坊が、そのことを何も覚えていないまま成長し、恋人や友人たちと一緒に真の「ことば」を求めて遍歴する姿を描く―という、今観るといかにも「70年代」といった感じの作品ですが、主人公・謝花(シャカ)の解放の道筋の合間に、育児ノイローゼの母親、ベトナム反戦デモなど当時の日本の世相が織り込まれ、出演陣も、河原崎長一郎、緑魔子、伊丹十三、伊藤惣一、石橋蓮司、蟹江敬三、渡辺美佐子と今観ると多彩で、「東京物語」('53年)のお婆さん・東山千栄子や、「ウルトラマン」('66-'67年)のフジ・アキコ隊員・桜井浩子も出演しています。
                
「やさしいにっぽん人」主題歌(詞:東陽一/曲:海老沼裕・田山雅光)
やさしいにっぽん人 dvd.jpg伊丹十三 .jpg 出演俳優の1人だった伊丹十三は、「このスタッフの無謀さに賭ける」という言葉を残していますが、当時の「時代の雰囲気」が出過ぎていて、遅れてきた世代には逆に中に入り込みにくいかも。そうしたの中で、別に説明的であるわけではなく、ただ存在として最も「時代の雰囲気」を分かり易く感じさせるのは、当時、石橋蓮司の内縁の妻だった緑魔子でしょうか(後に結婚)。東陽一監督は、「日本妖怪伝サトリ」('73年/青林舎)でも緑魔子を使っていました。 「やさしいにっぽん人 [DVD]」 2013年発売(販売元: 紀伊國屋書店)

やさしいにっぽん人7.jpgやさしいにっぽん人_o2.gif 日本妖怪伝 サトリ (1973).jpg日本妖怪伝サトリ [DVD]
「やさしいにっぽん人」映画チラシ/パンフレット表4

サード atg.jpgサード ≪HDニューマスター版≫ [DVD]」['17年]
サード ≪HDニューマスター版≫ [DVD].jpg「サード」●制作年:1978年●監督:東(ひがし)陽一●製「サード」永島.jpg作:前田勝弘●脚本:寺山修司●撮影:川上皓市/小林達比古●音楽:田中未知●原作:軒上泊「九月の町」●時「サード」森下.jpg間:103分●出演:永島敏行/吉田次昭/森下愛子/志方亜紀子/片桐夕子/峰岸徹/内藤武敏/島倉千代子/西塚肇/根本豊/池田史比古/佐藤俊介/鋤柄泰樹/若松武 /飯塚真人/宇土幸一/渋谷茂/尾上一久/藤本新吾/岡本飯田橋ギンレイホールes.jpgギンレイホール.jpg弘樹/穂高稔/市原清彦/今村昭信/杉浦賢次/清川正廣/津川泉/小林悦子/大室温子/秋川ゆか/関口文子/角間進/北原美智子/品川博●公開:1978/03●配給:ATG●最初に観た場所:飯田橋ギンレイホール(78-07-25)(評価:★★★)●併映:「祭りの準備」(黒木和雄)
飯田橋ギンレイホール 1974年1月3日オープン

江藤潤・永島敏行
「帰らざる日々」1978.jpg帰らざる日々00.jpg「帰らざる日々」●制作年:1978年●監督:藤田敏八●製作:岡田裕●脚本:藤田敏八/中岡京平●撮影:前田米造●音楽:アリス●原作:中岡京平●時間:99分●出演:江藤潤/永島敏行/朝丘雪路/根岸とし江(根岸季衣)/浅野真弓/竹田かほり/中村敦夫/中尾彬/吉行和子/小松方正/草薙幸二郎/丹波義隆/加山麗子/阿部敏郎/高品正広/深見博/日帰らざる日々takeda.jpg夏たより●公開:1978/08●配給:日活●最初に観た場所:飯田橋ギンレイホール(79-05-23)(評価:★★★☆)●併映:「八月の濡れた砂」/「赤い鳥逃げた?」(藤田敏八)

竹田かほり in「帰らざる日々」


桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガールpf.jpg桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガールvhs.jpg竹田かほり4.jpg「桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール」●制作年:1978年●監督:小原宏裕(おはらこうゆう)●製作:岡田裕●脚本:金子成人●撮影:森勝●音楽:長戸大幸●原作:橋本治「桃尻娘」●時間:87分●出演:竹田かほり/亜湖/高橋淳/野上祐二/桑崎晃男/森川麻美/清水国雄/佐々木梨里/片桐夕子/内田裕也/遠山牛/大竹智子/一谷伸江/関悦子/岸部シロー●公開:1978/04●配給:にっかつ●最初に観た場所:池袋文芸地下(79-06-03)(評価:★★★☆)●併映:「ふりむけば愛」(大林宣彦)

初恋・地獄篇 ≪HDニューマスター版≫ [Blu-ray]」['17年]
初恋・地獄篇 ≪HDニューマスター版≫.jpg『初恋・地獄篇』(羽仁進監督)1.bmp『初恋・地獄篇』(羽仁進監督)2.bmp「初恋・地獄篇」●制作年:1968年●監督:羽仁進●脚本:脚本:寺山修司/羽仁進●撮影:奥村祐治●音楽:武満徹/矢代秋雄●時間:107分●出演:高橋章夫/石井くに子/満井幸治/福田知子/宮戸美佐子/湯浅実/額村喜美子/木村一郎/支那虎/湯浅春男●公開:1968/05●配給:ATG●最初に観た場所:有楽町・日劇文化(80-07-17)(評価:★★☆)●併映:「書を捨てよ町へ出よう」(寺山修司)

やさしいにっぽん人.jpgやさしいにっぽん人 vhd.jpg「やさしいにっぽん人」●制作年:1971年●監督:東陽一●製作:高木隆太郎●脚本:東陽一/前田勝弘●撮影:池田伝一●音楽:東陽一/田山雅光●時間:112分●出演:河原崎長一郎/緑魔子/伊丹十三/伊藤惣一/石橋蓮司/蟹江敬三/渡辺美佐子/寺田柾/横山リエ/大辻伺郎/平田守/東山千栄子/桜井浩子/秋浜悟史/陶隆司●公開:1971/03●配給:東プロ●最初に観た場所:●最初に観た場所:●最初に観た場所:新宿・紀伊國屋ホール(82-03-27)(評価:★★★☆)●併映:「日本妖怪伝サトリ」(東陽一)
東陽一監督「やさしいにっぽん人」('71年)/「日本妖怪伝サトリ」('73年)
「やさしいにっぽん人」「日本妖怪伝サトリ」.jpg
「やさしいにっぽん人」パンフレット
やさしいにっぽん人754.jpg
やさしいにっぽん人 813.jpg

竹田かほり in 探偵物語.jpg盲獣 midori .jpg 緑魔子 in「盲獣」('69年/東映)
竹田かほり in「探偵物語(TVドラマ)」(1979/09~1980/04(全27回)/TBS)

紀伊國屋書店.jpg紀伊国屋ホール.jpg紀伊國屋ホール 1964年、紀伊國屋書店本店4階にオープン。2003年、第51回菊池寛賞受賞。


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初読は土俗的な暗いイメージ、再読でみずみずしい情感と神話的な虚構性を。

誰か故郷を想はざる―自叙伝らしくなく.jpg誰か故郷を想はざる53.JPG誰か故郷を想はざる.jpg  誰か故郷を想はざる2.jpg
誰か故郷を想はざる―自叙伝らしくなく (角川文庫)』 ('73年初版・改訂版/表紙イラスト:林 静一)/角川文庫 新装版('05年)
自叙伝らしくなく誰か故郷を想はざる (1968年)』('68年/芳賀書店/表紙イラスト:辰巳四郎)

現代の青春論―家族たち・けだものたち.jpgの『家出のすすめ』('72年/角川文庫).jpg 寺山修司(1935‐1983)の『家出のすすめ』('72年/角川文庫)を読んで実際に家出したという人がいたとかいないとか言われていますが、直接の原因とならなくても、20代後半から大学の文化祭などで"家出のすすめ"を説いていた彼の言葉は、当時の多くの若者にとって強いインパクトがあったのではないでしょうか。特に地方の若者にとっては、都会への"脱出"を図る潜在的誘因にはなったりしたのではないかと...(因みに、『家出のすすめ』はその9年前に刊行された『現代の青春論』('63年/三一書房)の改題)。
家出のすすめ―現代青春論 (角川文庫)』('72年)(表紙イラスト:林 静一)/『現代の青春論―家族たち・けだものたち (1963年) (三一新書)』(表紙イラスト:和田 誠)
         
書を捨てよ、街に出よう 角川文庫1.jpg書を捨てよ、町へ出よう .jpg 一方、本書『誰か故郷を想はざる―自叙伝らしくなく』は、寺山修司30代前半の自叙伝的エッセイ集で、第1章「誰か故郷を想はざる」と第2章「東京エレジー」から成りますが、初読の際には「誰か故郷を想はざる」の土俗的な暗いイメージに馴染めませんでした。最初に読んだ時は、『書を捨てよ、街に出よう』('67年/芳賀書店)などの方が良かったという印象でした(タイトルからして何か能動的ではないか)。
書を捨てよ,街へ出よう (1967年)』(芳賀書店)(カバー・表紙・目次:横尾忠則)/『書を捨てよ、町へ出よう』('75年/角川文庫)(表紙イラスト:林 静一)
                                      
 「草迷宮」.jpg『草迷宮』.bmp『迷宮譚』.bmp

img_03_02.jpgimg_03_03.jpg「草迷宮」 「迷宮譚」「マルドロールの歌」「一寸法師を記述する試み」

 しかしその後、寺山修司の映画、自伝的作品「田園に死す」('74年)や「草迷宮」('78年)(母がいつも口ずさんでいた手毬唄のルーツを探そうと青年が各地を回り、情報を捜し求めていくうちに巡り逢う数々の女性との関わりの中で成長していく青年の話)、実験映画「迷宮譚」('75年)、「二頭女」「マルドロールの歌」「一寸法師を記述する試み」('77年)などに触れて(何れも新高恵子や蘭妖子という不思議なムードを醸す女優が出ていた)、その上で改めて本書を読むと、映像作品と意外にと言うかかなりイメージ的に重なり、エッセイの一篇一篇が抒情詩のようなみずみずしい情感をもって伝わってきました。ああ、これって散文詩なのだ、この中にいる寺山少年というのは神話の登場人物みたいだなあと。

草迷宮 ちらし.bmp草迷宮 (DVD).jpg 因みに「草迷宮」は、フランスのプロデューサー、ピエール・ブロンベルジュが製作したオムニバス映画「プライベート・コレクション」の1話として製作された中編。寺山の死後、日本で公開された作品で、原作は泉鏡花の同名小説です。

新宿東映パラス2.jpg 「草迷宮」●制作年:1978年(日本公開:1983年)●制作国:フランス・日本●監督:寺山修司●製作:ピエール・ブロンベルジュ●脚本:寺山修司/岸田理生●撮影:鈴木達夫●音楽:J・A・シーザー●助監督:相米慎二/ピエール・ブロンベルジェ●原作:泉鏡花「草迷宮」●時間:40分●出演:三上博史/若松武/新高恵子/伊丹十三/中筋康美/福家美峰/末次章子/蘭妖子/根本豊/サルバドール・タリ●公開:1983/11●配給:東映●最初に観た場所:新宿東映ホール (83-11-12)(評価:★★★☆)●併映:「迷宮譚」(寺山修司)/「消しゴム」(寺山修司)/「質問 (寺山修司へのインタビュー記録映画)」(田中未知) 新宿東映ホール (1972年、新宿東映の2階席を分割して「新宿日活」開館、1978年〜「新宿東映ホール」→「新宿東映パラス2」2004年1月9日閉館

kan.gif 寺山修司の自叙伝的作品の虚構性については既に多く論じられているところで、映画「田園に死す」については、寺山修司自身がはっきり、「これは一人の青年の自叙伝の形式を借りた虚構である」(演出ノート)と述べていますが、同じことが文章において端的に表れているのが、この「誰か故郷を想はざる」ではないでしょうか。

 私生児の母、自殺した級友のエピソード(これ、かなり強烈)など、すべてが虚構というわけではないでしょうが、成人した彼が、映画を作るようにして、或いは自らの神話を編むようにして、自分史を脚色しているという感じがします。

カルメン・マキ(当時18歳)「時には母のない子のように」
('69年第20回NHK紅白歌合戦(紅組司会:伊東ゆかり)
カルメン・マキ 時には母のない子のように.jpg 47年間の生涯に様々なことを成し遂げ寺山修司.jpgたものだなあと改めて思います。「天井桟敷」に新人女優として入団したカルメン・マキのデビュー曲「時には母のない子のように」('69年)の作詞者でもあり、詩や演劇、実験的な映画ばかりでなく、一般向けに公開された映画「初恋・地獄篇」('68年/ATG)や「サード」('78年/ATG)の脚本なども手掛けています。今も各芸術分野に多くの影響を残している寺山修司『初恋・地獄篇』(羽仁進監督)1.bmpサード 79.jpgですが(かつて、自分の少し上の世代に、"テラヤマ"と亡くなった友人の名前を呼ぶような感じで呼ぶ人がいた)、虚構を通して構築しようとした彼のアイデンティティとはどのようなものだったのでしょうか。ちょっとだけ、三島由紀夫のことを思い出しました。

羽仁 進監督「初恋・地獄篇」('68年/ATG)/東 陽一監督「サード」('78年/ATG)
 
現代の青春論 家族たち・けだものたち.jpg誰か故郷を想はざる7.JPG 【1968年単行本[芳賀書店(『自叙伝らしくなく―誰か故郷を想はざる』])/1973年文庫化・2005年改版[角川文庫]】

現代の青春論―家族たち・けだものたち (1963年) (三一新書)
(表紙イラスト:和田 誠

誰か故郷を想はざる―自叙伝らしくなく (角川文庫)』 ('73年初版/表紙イラスト:林 静一)

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