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最初観た時はこんなのアリ?という気もしたが、観る度に良いと思えるように。意外と深いかも。

華麗なる賭け.jpg華麗なる賭けdvd.jpg 華麗なる賭け 00.jpg  
華麗なる賭け [DVD]

華麗なる賭け 01.jpg華麗なる賭け 03.jpg ハンサムで裕福な実業家でありながら、実は裏の顔を持つクラウン(スティーヴ・マックィーン)。彼は、満ち足りた生活では得られないスリルを求めて銀行強盗を計画、ボストンの自社ビル前の銀行を5人の男に襲わせて見事に成功、260万ドルの現金を手中にする。事件後、ボストン市警も手がかりを掴めずお手上げとなる中、マローン警部補(ポール・バーク)とともに捜査していた銀行の保険会社華麗なる賭け 07.jpgの調査員ビッキー・アンダーソン(フェイ・ダナウェイ)はクラウンに目をつけ、彼が黒幕であることを確信する。彼女は正体を暴こうとクラウンに近づくが、徐々に彼の大胆不敵な姿に心惹かれてしまう。こうして2人のスリリングで奇妙な関係が始まる―。

華麗なる賭け_V1_.jpgTHE THOMAS CROWN AFFAIR.jpg 監督のノーマン・ジュイソンは前作「夜の大捜査線」('67年)でアカデミー作品賞を受賞、主演のスティーヴ・マックイーンも前作「砲艦サンパブロ」('66年)でアカデミー主演男優賞候補にノミネート、フェイ・ダナウェイも前年「俺たちに明日はない」('67年)でやはりアカデミー主演女優賞にノミネートされているなど、当時脂が乗り切っていたメンバー構成。但し、クラウン役はショーン・コネリーにオファーされたのが、彼がそれを断ったためにスティーヴ・マックイーンに回ってきたものだったとか。

華麗なる賭け   マックィーン.jpg華麗なる賭け 04.jpg 世界的に有名な大実業家が、何の苦労もないのにただスリルだけのために銀行襲撃を指揮し、しかも捕まらないという贅沢極まりないお話で、最初観た時はこんなのアリ?という気もしましたが、スティーヴ・マックィーンが亡くなってからテレビで観て、これ、スティーヴ・マックィーンのファンには彼のカッコよさを堪能するには格好の作品だなあと(撮影前は「スーツを着たマックィーンなんて見たくない」との声もあったというが、公開後にはそうした声は殆ど聞かれなくなったという)。また、ラブストーリーとしても楽しめる作品ではないかと思うようになりました。
   
華麗なる賭け チェス.jpg華麗なる賭け 05.jpg 最近劇場で改めて観直して、導入部のマルチスクリーンもいいし、フェイ・ダナウェイもいいし(色香際立つチェス・シーン!)、「シェルブールの雨傘」('64年)の華麗なる賭け 06.jpgミシェル・ルグランによる音楽もいいなあと(テーマ曲「風のささやき」(唄: ノエル・ハリソン)はアカデミー主題歌賞受賞)。主人公は、グライダーで優雅に空を翔け、バギーで浜を走らせ、ゴルフをし、ボロをしとスポーティですが、フランスの街並み風のカットがあったりして、何となくヨーロッパ的な感じがしなくもなく、フェイ・ダナウェイのファッションも楽しめて、全体としてはたいへんお洒落な作りになっていると言っていいのではないでしょうか。

華麗なる賭け マっクィーン.jpg華麗なる賭け ダナウェイ.jpg こうしたストレートな娯楽映画が観る度に良いと思えるようになるのは、「目が肥えた」と言うよりも年齢がいったせいかもしれませんが、やはりスティーヴ・マックィーンとフェイ・ダナウェイという2人のスター俳優に支えられている部分は大きいのだろうと思います。ラスト、空を飛ぶスティーヴ・マックィーンと地を行くフェイ・ダナウェイという対比で捉えると、男と女の生き方の違いを描いた映画とも言えるかもしれません。意外と深いかも...。1999年には、この作品を愛するピアース・ブロスナンの製作・主演で同名(邦題は「トーマス・クラウン・アフェアー」)のリメイク版も制作されていて、フェイ・ダナウェイも客演していますが、ラストを少し変えていたように思います(終わり方としてはオリジナルの方がいい)。

 スティーヴ・マックィーンはこの年はピーター・イェーツ監督の「ブリット」('68年/米)にも出演していて、大スター・マックィーンがそのカッコよさを極めた年だったなあと思います。
The Thomas Crown Affair(1968)
The Windmills Of Your Mind(風のささやき)- Michel Legrand ミシェル・ルグラン
Karei naru kake (1968)
Karei naru kake (1968).jpg
華麗なる賭け 02.jpg華麗なる賭け ダナウェイ2.jpg華麗なる賭けAL_.jpg「華麗なる賭け」●原題:THE THOMAS CROWN AFFAIR●制作年:1968年●制作国:アメリカ●監督:ノーマン・ジュイソン●製作:ノーマン・ジュイソン●脚本:アラン・R・トラストマン●撮影:ハスケル・ウェクスラー●音楽:ミシェル・ルグラン●時間:102分●出演:スティーヴ・マックィーン/フェイ・ダナウェイポール・バーク/ジャック・ウェストン/ヤフェット・コットー/トッド・マーティン/サム・メルビル/アディソン・ポウエル●日本公開:1968/06●配給:ユナイテッド・アーチス●最初に観た場所:池袋・文芸坐(80-07-16)●2回目:北千住・シネマブルースタジオ(15-03-24)(評価:★★★★☆)●併映(1回目):「ブリット」(ピーター・イェイツ)

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マックイーンのチャレンジ度は高い。演技陣が充実しているだけに、ラストがやや惜しい。

シンシナティ・キッド パンフレット.jpg シンシナティ・キッド dvd.jpg  シンシナティ・キッド  s.jpg
シンシナティ・キッド [DVD]

シンシナティ・キッドa0-s.jpg ニューオーリンズの町に、その世界で30年も君臨するポーカー・プレイヤーの大物"ザ・マン"ことランシー・ハワード(エドワード・G・ロビンソン)がやって来た。自身もポーカーの名手であるシンシナティ・キッドことエリック・ストーナー(スティーブ・マックイーン)は、いつかランシーと手合わせをと考えていた。キッドは早速この社会の長老格シューター(カール・マルデン)にその機会を頼むが、シューターはキッドの自信過剰をたしなめる。かくしてキッドはランシーとの対戦に臨むが―。

 リチャード・ジェサップ原作の小説の映画化作品で1965年公開。監督は、後に「夜の大捜査線」('67年)やこの作品と同じくスティーブ・マックイーン(1930-1980)主演の「華麗なる賭け」('68年)「屋根の上のバイオリン弾き」('71年)や、「ジーザス・クライスト・スーパースター」('73年)、「ローラー・ボール」('75年)を撮ることになるノーマン・ジュイソン(1926年生まれ)です。

シンシナティ・キッド 02.jpg 同じく勝負事を主人公にした作品として、ポール・ニューマン(1925-2008)が英国アカデミー賞主演男優賞を受賞した「ハスラー」('61年)がありますが、、アクターズ・スタジオを経てブロードウェイにデビューしている点で両者は共通するものの、既に「熱いトタン屋根の猫」('58年)など文芸作品にも出ていたポール・ニューマンに比べ、「荒野の七人」('60年)や「大シンシナティ・キッド 03.jpg脱走」('63年)など西部劇やアクション映画への出演がそれまで多かったスティーブ・マックイーンにとっては、ポーカー・ゲームの場面が多くを占めるこの作品へのシンシナティ・キッド1ef-s.jpg出演は、演技力が試される挑戦ではなかったのではないでしょうか。しかも、相手が「キー・ラーゴ」('48年)「十戒」('57年)などで既に名優の名を欲しいままにしていたエドワード・G・ロビンソンですから、チャレンジ度は高かったと言えるのでは(緊張感を醸すため、撮影には本物の紙幣が使われたという)。

シンシナティ・キッド 01.jpg ストーリー展開は、ポール・ニューマン演じる主人公が最初は全然歯が立たなかったベテランの相手を最後に破る「ハスラー」とはちょうど真逆で、スティーブ・マックイーン演じる自信に満ちた若手の主人公が、最後にベテランを追い詰め勝利と栄光を手にするかと思いきや―というもの。これ、封切時に初めて観た人は、スティーブ・マックイーンが演じてきた役柄の全能感のあるイメージもあって、すとーんと落とされたようなギャップがあっただろうなあと思われます。

シンシナティ・キッド 04 (2).jpg エドワード・G・ロビンソンは余裕綽々の名演という感じですが、スティーブ・マックイーンの演技もそれに拮抗すると言っていいのではないでしょうか。キッドを誘惑しようとするシューターの妻メルバを演じたアン・マーグレットも、キッドが自分にはクリスチャン(チューズデイ・ウェルド)という恋人がありながら、ふらっとそっちへ靡いてしまうのが分からなくもないような蠱惑的ムードを醸し、レディ・フィンガーズを演じたジョーン・ブロンデルも名演で、演技が手な下手な人は殆ど出ていなかったような映画のように思えました。

シンシナティ・キッド es.jpg 但し、最後、勝負に敗れ全てを失ったキッドの前に、キッドとメルバの関係を目の当たりにして一旦はキッドの下を去っていたクリスチャンが再び現れるのは、やや甘い結末と言えるでしょうか。一旦すとーんと落としておいて、救ってしまっているので、衝撃緩衝剤みたいになってしまった感じがするなあと思っていたら、これは監督の意向ではなく、スタジオの意向でそうしたシーンが付け加えられたとのことで、ちょっと勿体ない気もします。クリスチャンは安定志向なので、仮にキッドが財政面で彼女に助けてもらうならば、引き換えに勝負師として生きる道は閉ざされるのかなとか、余計な憶測を生む結果にもなっているように思いました(ラストの落ち着きが悪い。子供にも賭けで負けてしまうところで終わっていた方が良かった)。ノーマン・ジュイスン自身も、後に「無用で有害ですらあるセンチメンタルなラストが追加されているのは申し訳ない」と述べているそうです。まだ、当時はそれほど実績が無く、スタジオの意向を聞かざるを得なかったのでしょうが、惜しい気がします。

 エドワード・G・ロビンソンは「キー・ラーゴ」でもカードをやっていたなあ(その時の相手はハンフリー・ボガートだった)。

The Cincinnati Kid (1965).jpgThe Cincinnati Kid (1965) .jpgシンシナティ・キッド poster.pngThe Cincinnati Kid (1965) 「シンシナティ・キッド」●原題:THE CINCINNATI KID●制作年:1965年●制作国:アメリカ●監督:ノーマン・ジュイソン●製作:マーティン・ランソホフ●脚本:リング・ラードナー・ジュニア/テリー・サザーン●撮影:フィリップ・H・ラスロップ●音楽:ラロ・シフリン(主題歌:レイ・チャールズ)●原作:リチャード・ジェサップ●103分●出シンシナティ・キッド s.jpg演:スティーブ・マックイーン/エドワード・G・ロビンソン/アン=マーグレット/カール・マルデン/チューズデイ・ウェルド/チューズデイ・ウェルド/ジョーン・ブロンデル/ジェフ・コーリー/リップ・トーン/ジャック・ウェストン/キャブ・キャロウェイ●日本公開:1965/10●配給:MGM映画(評価:★★★☆)


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チャールズ・ブロンソンやジェームズ・コバーンの演じたバイプレーヤー的な役柄も良かった。

荒野の七人07.jpg荒野の七人 チラシ.jpg IMG_1891.JPG 荒野の七人 dvd.jpg
「荒野の七人」チラシ・パンフレット(1976年版)/「荒野の七人 アルティメット・エディション [DVD]

 ジョン・スタージェス監督の1960年作品で、黒澤明監督の「七人の侍」('54年/東宝)を翻案した作品であることは知られていますが、「七人の侍」がなかなかロードにかからず、名画座にも降りてこないIMG_1889.JPG時期があったので、個人的には、まだ見ぬ「七人の侍」への期待を高める契機となった作品です(エルマー・バーンスタインのテーマ曲も良かった)。

 ユル・ブリンナーが黒澤監督の「七人の侍」にすっかり惚れこみ、翻訳映画化権を買い取ったのが事の始まりだそうですが、「七人の侍」を観た後で再見すると、大まかなあらすじや登場人物の設定・台詞などを「七人の侍」へのオマージュを込めて再現しているのが窺荒野の七人 輸入版ポスター.jpgえ(黒澤監督はこの作品を観て、スタージェス監督に日本刀を贈ったとの逸話がある)、一方で、「七人の侍」の「七人」と、「荒野の七人」の「七人」を無理に重ねることはしていないのが分かりました。例えば、クリス(ユル・ブリンナー)は勘兵衛(志村喬)がモデルであるにしても多少キャラクターは異なるし、ビン(スティーブ・マックイーン)は五郎兵衛(稲葉義男)と七郎次(加東大介)の、チコ(ホルスト・ブッフホルツ)は勝四郎(木村功)と菊千代(三船敏郎)の、オレイリー(チャールズ・ブロンソンは平八(千秋実)と菊千代の、それぞれ"混合型"のキャラクターになっているそうですが、そう言われてもピンとこないようなキャラクターもいます(ビンには"菊千代"も入っているのではないか)。リー(ロバート・ヴォーン)やハリ―(ブラッド・デクスター)のようにオリジナルに無いキャラクターが造られている一方で、ナイフの名手ブリット(ジェームズ・コバーン)のように、久蔵(宮口精二)がモデルであることが比較的わかり易いものもあります(因みに、久蔵のモデルは宮本武蔵だそうな)。

『荒野の七人』(1960).jpg『荒野の七人』(1960)0.jpg 映画公開時の出演俳優らの知名度は、ユル・ブリンナーが断トツで、ホルスト・ブッフホルツがそれに続くものだったそうですが、同じくジョン・スタージェスが監督し、スティーブ・マックイーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンが共演した「大脱走」('63年)でスティーブ・マックイーンがIMG_1895.JPG先ず一気に抜け出て、チャールズ・ブロンソンが「さらば友よ」('68年)などで、ジェームズ・コバーンが「電撃フリント」シリーズなどで、それぞれ後に続いたという感じでしょうか(「荒野の七人」のパンフレットやチラシは、途中からスティーブ・マックィーンがメインまたは筆頭格のレイアウトになった)。

IMG_1900.JPG この作品でチャールズ・ブロンソンやジェームズ・コバーンの演じたバイプレーヤーチャールズ・ブロンソン .jpg的な役柄も良かったように思い、チャールズ・ブロンソンは村の子供に慕われる優しいオジさんという感じで(オレイリーの最期はややコミカルに描かれている。この人、日本では「マンダム」のコマーシャルでおコバーン「ラーク」 .jpg馴染みになった)、一方のジェームズ・コバーンは撃たれた後もナイフを投げて...こちらは渋い死に方でした(「ラーク」のコマーシャル においてもナイフ投げたりしていたなあ)。「電撃フリント」シリーズのほか、ダシール・ハメット原作のTVドラマ「The Dain Curse」(CBS 1978)に出たり、ロバート・アルトマン監督の「ザ・プレイヤー」('92年/米)にも本人役でカメオ出演していました。

荒野の七人」.jpg スティーブ・マックイーンが'80年に癌で50歳で亡くなり、ユル・ブリンナーも'85年に肺癌で65歳で亡くなった後、'02年から'03年にかけての僅か1年の間に、ジェームズ・コバーン(心筋梗塞)、ブラッド・デクスター(肺気腫)ロバート・ボーン    .jpg、ホルスト・ブッフホルツ(肺炎)、チャールズ・ブロンソン(肺炎)と「七人」のうち4人が相次いで亡くなったのが寂しかったです。現時点[2011年2月時点]で存命しているのはロバート・ヴォーンのみになってしまっています(2016年11月11日急性白血病のため逝去。これで「荒野の七人」にガンマン役で出演した7人の男優全員がこの世を去ったことになった))。


荒野の七人」ps.jpg「荒野の七人」002.jpg「荒野の七人」●原題:THE MAGNIFICENT SEVEN●制作年:1960年●制作国:アメリカ●監督・製作:ジョン・スタージェス●脚本:ウイリアム・ロバーツ●撮影:チャールズ・ラング●音楽:エルマー・バーンスタイン●原作:黒澤明/橋本忍/小国英雄(映画「七人の侍」)●時間:128分●出演:ユル・ブリンナー/スティーブ・マックイーン/チャールズ・ブロンソン/ロバート・ヴォーン/ジェームズ・コバーン/ホルスト・ブッフホルツ/ブラッド・デクスター/イーライ・ウォラック/ウラジミール・ソコロフ/ジョン・アロンゾ/ロゼンダ・モンテロス/ヨルグ・マルティネス・デ・ホヨス/リコ・アラニス●日本ジョン・スタージェス(John Sturges).jpg中野武蔵野ホール.jpg公開:1961/05●配給:ユナイテッド・アーティスツ●最初に観た場所:中野武蔵野館(78-01-19)(評価:★★★★)●併映「ビッグ・アメリカン」(ジョン・スタージェス)  中野武蔵野ホール
ジョン・スタージェス(John Sturges)
新宿ミラノ座 荒野の七人.jpg「荒野の七人」(1961年)公開中の新宿ミラノ座
 

「荒野の七人」(1961年).jpg

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逆境からスターになったマックイーンに相応しい作品。肉食系人種の強さを感じた。

パピヨン ポスター.jpgパピヨン 半券.jpgパピヨン パンフレット2.jpgパピヨン dvd.jpgパピヨン  タイムライフ社 1974 .jpg
映画ポスター/チケット/「映画パンフレット 「パピヨン」監督フランクリン・J・シャフナー 出演スティーブ・マックイーン」/「パピヨン-製作30周年記念特別版- [DVD]」/『パピヨン (1970年) (タイムライフブックス)

パピヨン縦1.JPG 実在の脱獄囚アンリ・シャリエール(1906-1973)が自らの数奇な半生を綴ったベストセラー小説のフランクリン・J・シャフナー監督による'73年の映画化作品。

 脚本はダルトン・トランボ(1905-1976)の遺作で、ハリウッドの赤dalton trumbo.jpg狩りで映画界から干され、「ジョニーは戦場へ行った」('71年/米)を匿名で書いたという気骨の脚本家兼映画監督ですが(「ローマの休日」('53年/米)の原作者・脚本家でもある)、映画の冒頭でDalton Trumbo PAPILLON.jpgギアナに送られる囚人達に「お前たちは祖国に見捨てられたのだ!」と威圧的に訓示する刑務所長役で出演しています(極めてアイロニカルな"お遊び"か)。

パピヨン1シーン.jpg パピヨン(スティーブ・マックイーン)が護送船上で債権偽造犯ドガ(ダスティン・ホフマン)に接近したのは、脱獄資金が要ると考えたためで(この時からもう脱獄を考えていた)、ドガは金を金属筒に入れて直腸内に隠し持っており、それを狙ってドガを殺そうとした囚人達からドガを救ったことで両者の絆は強まります。

パピヨン横2.JPG パピヨンが何度も逃亡を図って重禁固刑になる一方、ドガは隠し金を用いて一時は刑務所長代理のような立場にも就きますが、パピヨンの脱獄を助けようとした際に看守を殴ったため、成り行き上パピヨンと共に脱獄をすることになり、結局は捕まってしまい、パピヨンと同じく悪魔島に送られます。パピヨンの悪魔島からの最後の脱出では、ドガは土壇場で彼と行動を共にすることを躊躇し、そこに2人の生き方の違いが浮き彫りになっていますが、2人が強い友情で結ばれていることには変わりありません。

 ラストでパピヨンを見送るドガの、ダスティン・ホフマンの演技が良かったですが、実在のドガは1度も脱獄には参加することなく、悪魔島で15年の刑期を終えたそうです(しかし、アンリ・シャリエールの特赦活動をするなど、実際に友情関係にあった)。

パピヨン横3.JPG 一方、映画で2人と共に脱獄に加わったゲイの美男子マチュレットは、実際に1933年のアンリ・シャリエールの9度目の脱獄に、クルジオ(映画の中では看守との格闘に斃れる)と共に参加したそうで、映画ではマチュレットはその後の独房生活で獄死したことになっていますが、実際に獄死したのはクルジオであり、マチュレットは1944年のアンリ・シャリエールの悪魔島からの脱出(10度目)にも同行し成功しているので、ドガ、マチュレット、クルジオのそれぞれの役回りが部分的に置き換えられていることになります。

アンリ・シャリエール.jpg 原作にはこの他にもアンリ・シャリエールと友情関係にあり、彼を助ける多くの人物が登場し、アンリ・シャリエールという人はかなり律儀と言うか粘着気質ではなかったのかと思わせる記述の細かさで(単行本で上下巻2段組み各300ページ超、悪魔島から脱出する場面でまだ全体の3分の1を残している)、一方で、夢の中での審問官との遣り取りやインディオの部落での幻想的な体験がシュールに描かれていて、この部分は"小説"的な印象を受けますが、映画ではその部分も含め映像化されています(インディオの娘との恋物語とか、話を膨らませている部分もある。一夜にしてインディオ達がいなくなってしまうという話は原作には無く、こうした改変を加えるということは、原作に元々"小説"的要素があることを示唆しているのではないか)。

アンリ・シャリエール夫妻とスティーブ・マックイーン夫妻

Papillon (1973).jpgパピヨン _.jpgパピヨン縦2.JPG 貧しく不幸な家庭に生まれ、逆境から這い上がって大物スター俳優になったスティーブ・マックイーンに相応しい作品であり(この作品への彼の出演料は6億円!)、また、暗く狭い重禁固監獄で、腕立て伏せをして体力を保ち、ムカデやゴキブリまでスープに入れて栄養を摂って生き延びる主人公に、日本人とは異質の肉食系人種的な強さが感じられた作品でもありました。

 音楽はジェリー・ゴールドスミス。テーマ曲も良かったなあと思います(昔、学校の音楽の教科書に載っていた)。

Papillon (1973)            

「パピヨン」●原題:PAPILLON●制作年:1973年●制作国:アメリカ●監督:フランクリン・J・シャフナー●製作:ロベール・ドルフマン/フランクリン・J・シャフナー●脚本:ダルトン・トランボ/ロレンツォ・センプル・ジュニア●撮影:フレッド・J・キーネカンプ●音楽:ジェリー・ゴールドスミス●原作:アンリ・シャリエール●時間:150分●出演:スティーブ・マックイーン/ダスティン・ホフマンパピヨンのテーマ.jpg/ロバパピヨン3.jpgート・デマン/ウッドロー・パーフリー/ドン・ゴードン/アンソニー・ザーブ/ヴィクター・ジョリー/ラトナ・アッサン/ウィリアム・スミザーズ/バーバラ・モリソン/ドン・ハンマー●日本公開:1974/03●配給:東宝東和●最初に観た場所:高田馬場パール座(77-12-10)(評価:★★★★☆)●併映「ゲッタウェイ」(サム・ペキンパー)
"パピヨン"がココナッツ筏に乗っているのを下から安定させているダイバーが見える。

パール座入口(写真共有サイト「フォト蔵」)①②高田馬場東映/高田馬場東映パラス ③高田馬場パール座 ④早稲田松竹
高田馬場パール座2.jpg高田馬場パール座 地図.pngパール座.jpg高田馬場パール座4.JPGパール座1.jpg高田馬場パール座(高田馬場駅西口、早稲田通り・スーパー西友地下) 1951(昭和26) 年封切館としてオープン。1963(昭和38)年の西友ストアー開店後、同店の地下へ。1989(平成元)年6月30日閉館。

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多くの人が犠牲となった原因を浮き彫りに。2つの"The Tower"を思い出した。
World trade centers attack Here is a diagram showing where the planes hit and the times of impact and collapse.gif
9.11生死を分けた102分 崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言.jpg 『9・11生死を分けた102分 崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言』 ['05年]

9.11 生死を分けた102分.jpg ニューヨークタイムズの記者が、2001年に起きた世界貿易センター(WTC)の9.11事件後、生存者・遺族へのインタビューや警察・消防の交信記録、電話記録などより、その実態を詳細にドキュメントしたもので、"102分"とは、WTC北タワーに旅客機が突入してからビルが2棟とも崩壊するまでの時間を指していますが、その間の北タワー、南タワーの中の状況を、時間を追って再現しています。

 380ページの中に352人もの人物が登場するので混乱しますが(内、126人は犠牲者となった。つまり、犠牲者の行動は、残りの生存者の目撃談によって記されていることになる)、米国の書評でも、この混乱こそ事件のリアリティを伝えている(?)と評されているとのこと。

 WTCは、大型旅客機が衝突しても倒れないように設計されたとかで、確かに、旅客機が「鉛筆で金網を突き破る」形になったのは設計者の思惑通りだったのですが、その他建築構造や耐火性の面で大きな問題があったとのこと(建材の耐火試験をしてなかった)、それなのに、人々がその安全性を過信していたことが、犠牲者の数を増やした大きな要因であったことがわかります。

航空機の衝突で炎上する世界貿易センタービル.jpg 旅客機衝突50分後にやっと南タワーに救出に入った多くの消防隊員たちは、その時点で、旅客機が衝突した階より下にいた6千人の民間人はもう殆ど避難し終えていたわけで、本書にあるように、上層階に取り残された600人を助けにいくつもりだったのでしょうか(ただし内200人は、旅客機衝突時に即死したと思われる)。ビルはゆうにあと1時間くらいは熱に耐えると考えて、助けるべき民間人が既にいない階で休息をとっている間に、あっという間にビル崩壊に遭ってしまった―というのが彼らの悲劇の経緯のようです。

航空機の衝突で炎上する世界貿易センタービル

崩壊した世界貿易センタービル.jpg 一方、北タワーに入った消防隊員たちには、南タワーが崩壊したことも、警察ヘリからの北タワーが傾いてきたという連絡も伝わらず(元来、警察と消防が没交渉だった)、そのことでより多くが犠牲になった―。

 亡くなった消防隊員を英雄視した筆頭はジュリアーニ市長ですが、本書を読み、個人的には、こうした人災的問題が取り沙汰されるのを回避するため、その問題から一般の目を逸らすためのパーフォーマンス的要素もあったように思えてきました。

崩壊した世界貿易センタービル

 事件後、消防隊員ばかり英雄視されましたが、ビル内の多くの民間人が率先して避難・救出活動にあたり、生存者の多くはそれにより命を落とさずに済んだことがわかります。

 それでも、北タワーの上層階では、避難通路が見つけられなかった千人ぐらいが取り残され犠牲となった―、そもそも、110階建てのビルに6階建てのビルと同じ数しか非常階段が無かったというから、いかにオフィススペースを広くとるために(経済合理性を優先したために)安全を蔑ろにしたかが知れようというものです。


 本書を読んで、2つの"The Tower"を思い出しました。

The Tower SP.gifThe Tower.jpg 1つは、ビル経営シミュレーションゲームの"The Tower"(当初は「タワー」というPCゲーム、現在は「ザ・タワー」というゲームボーイ用ソフト)で、収入を得るために賃貸スペースばかり作っていると、初めは儲かるけれどもだんだん建物のあちこちに不具合が出てくるというものでした(オートモードにして、ちょっと外出して戻ってみると、空き室だらけなっていた...)。 

タワーリング・インフェルノ3.jpgtowering.gif もう1つは、"The Tower"というリチャード・マーティン・スターンが'73年に発表した小説で(邦訳タイトル『そびえたつ地獄』('75年/ハヤカワ・ノヴェルズ))、これを映画化したのが「タワーリング・インフェルノ」('74年/米)ですが、映画ではスティ―ブ・マックィーンが演じた消防隊長が、ポール・ニューマン演じるビル設計者に、いつか高層ビル火災で多くの死者が出ると警告していました。

 この作品はスティーブ・マックイーンとポール・ニューマンの初共演ということで(実際にはポール・ニューマン主演の「傷だらけの栄光」('56年)にスティーブ・マックイーンがノンクレジットでチンピラ役で出ているそうだ)、公開時にマックイーン、ニューマンのどちらがクレジットタイトルの最初に出てくるかが注目されたりもしましたが(結局、二人の名前を同時に出した上で、マックイーンの名を左に、ニューマンの名を右の一段上に据えて対等性を強調)、映画の中で2人が会話するのはこのラストのほかは殆どなく、映画全体としては豪華俳優陣による「グランド・ホテル」形式の作品と言えるものでした。スペクタクル・シーンを(ケチらず)ふんだんに織り込んでいることもあって、70年代中盤期の「パニック映画ブーム」の中では最高傑作とも評されています。双葉十三郎氏も『外国映画ぼくの500本』('03年/中公新書)の中で☆☆☆☆★(85点)という高い評価をしており、70年代作品で双葉十三郎氏がこれ以上乃至これと同等の評点を付けている作品は他に5本しかありません。

 因みに、映画の中での「グラスタワー」ビルは138階建て。そのモデルの1つとなったと思われるこの「世界貿易センター(WTC)」ビルは110階建て二棟で、映画公開の前年('73年)に完成して、当時世界一の高さを誇りましたが(屋根部分の高さ417m(最頂部:528m))、翌年に完成した同じく110階建てのシカゴの「シアーズ・タワー」(現ウィリス・タワー)に抜かれています(シアーズ・タワーは屋根部分の高さ442m(アンテナ含:527m))。

タワーリング・インフェルノ dvd.jpg『タワーリング・インフェルノ』(1974) 2.jpg「タワーリング・インフェルノ」●原題:THE TOWERING INFERNO●制作年:1974年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・ギラーミン●製作:アーウィン・アレン●脚色:スターリング・シリファント●撮影:フレッド・J・コーネカンプ●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原作:リチャード・マーティン・スターン「ザ・タワー」●時間:115分●出演:スティーブ・マックイーン/ポール・ニューマン/ウィリアム・ホールデン/フェイ・ダナウェイ/フレッド・アステア/スーザン・ブレークリー/リチャード・チェンバレン/ジェニファー・ジョーンズ/O・J・シンプソン /ロバート・ヴォーン/ロバート・ワグナー/スーザン・フラネリー/シーラ・アレン/ノーマン・バートン/ジャック・コリンズ●日本公開:1975/06●配給:ワーナー・ブラザース映画)(評価:★★★☆)
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