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フランシス・フォード・コッポラ監督自身の同時解説(DVD特典)が興味深かった。

カンバセーション・・・盗聴・・・ .jpg カンバセーション...盗聴... VHS.jpg カンバセーション...盗聴... dvd.jpg カンバセーション...盗聴... dvd2.jpg
パンフレット「カンバセーション~盗聴~ [VHS]」「カンバセーション...盗聴... [DVD]」「カンバセーション...盗聴... [DVD]
カンバセーション・・・盗聴・・・01.jpgカンバセーション...盗聴00.jpg サンフランシスコのユニオンスクエアを散歩する一組のカップルを注視する一見ごく平凡な中年男ハリー・コール(ジーン・ハックマン)は、実はプロの盗聴屋で、彼は大企業の取締役からの依頼を受け、カップルの会話をテープに録音していたのだ。ハリーの通信傍受カンバセーション...盗聴ges.jpgの権威としての輝かしい名声とは裏腹に、その私生活は孤独であり、それは盗聴という仕事を生業にしていながら、彼が自らのプライバシーの保持に異常に気を使っていカンバセーション...盗聴04.jpgるからだ。そのためにハリーは、彼のことをより知りたがる恋人アミー(テリー・ガー)とも別れる羽目に。そんな彼にとって唯一の心の支えは、厳重に外部から隔離された自室で、ジャズの調べに合わせてサクソフォンを演奏することだった。ユニオンスクエアで密会する男女の会話を盗聴したハリーは、一見すると他愛の無い世間話にカンバセーション...盗聴 04.jpg見えた二人の会話に不審なものを感じ、依頼人の秘書マーティン(ハリソン・フォード)への録音テープの受け渡しを拒否する。依頼人のオフィスからの帰り道にハリーは、公園で盗聴したカップルに遭遇、例の二人組は、女の方は依頼人の妻(シンディ・ウィリアムズ)で、男はその会社に勤めていた社員(フレデリック・フォレスト)だった。ハリーは依頼主への疑念から、「好奇心を捨て、淡々と仕事する」とする自らのポリシーを破り、改めて録音テープを再生する。すると、「チャンスがあれば我々を殺す気だ」という事件の予兆を示す声が録音されていた。ハリーは、依頼主の重役(ロバート・デュヴァル)が二人を殺害しようとしているのではないかという疑惑を抱く―。

 1974年4月米国公開のフランシス・フォード・コッポラ監督作で、同監督の「ゴッドファーザー」('72年)と「ゴッドファーザー PART II」('74年)の間に作られた作品。映画の構想自体は、フランシス・フォード・コッポラが1960年代中盤から暖めていたものですが、「ゴッドファーザー」の成功によって映画化が実現したとのこと。当時、興行的には失敗作でしたが評論家からは高い支持を得、1974年のカンヌ国際映画祭では最高賞であるグランプリ(翌1975年から現在の正式名であるパルム・ドールに改称)を受賞しています。

カンバセーション盗聴V1_.jpg 90年代にビデオで観て今一つでしたが、最近DVDで観直してみて、なかなか面白いのではないかと思いました。自分が観たDVDには、監督のフランシス・フォード・コッポラと編集のウォルター・マーチによる字幕解説が特典付録として付いていました。2000年の時点でコッポラ監督自らがこの作品を振り返った解説が全編にわたって字幕スーパーでインポーズされていて、その内容も、映画ストーリーの進行そのものに合わせた解説や登場する俳優に関するエピソード、更には自分の生い立ちや、撮りたいと思っている作品、名作映画や自身の作品についてなど多岐にわたっていて、なかなか興味深かったです。

 それによれば、フランシス・フォード・コッポラ監督は、元々は集団劇的な大作ではなく個人を描いたオリジナル脚本の作品を撮りたかったけれども、家族を養うために、不本意ながらも原作のある作品「ゴッドファーザー」の仕事を引き受け、それが成功を収め、皆が自分の意見を聴いてくれるようになったため、この映画の製作が実現したとのことです。但し、「ゴッドファーザー PART II」('74年)から「地獄の黙示録」('79年)の間はいろいろ大変で、好きな映画を撮れなかったとも言っています(村上春樹は「地獄の黙示録」にプライベート・フィルム的要素を見て取っていた。さすがと言うべきか)。一方で、「タッカー」('88年)のような映画の撮影は楽しかったと述べています。

カンバセーション...盗聴 デュヴァル.jpgカンバセーション...盗聴 hf.jpgカンバセーション...盗聴 jk.jpg 妻に不倫された取締役を演じたロバート・デュヴァルや、すごく陰険そうな秘書を演じた「スター・ウォーズ」('77年)でブレイクする前のハリソン・フォードがこの映画に出演することになった経緯などが語られているのも楽しいし、この映画出演の数年後に癌で亡くなったジョン・カザールの人間性を絶賛し、その死を惜しんでいます。ジーン・ハックマンは本当は若々しくダンディであったため、老けていてダサい風采のオタク系男である主人公を演じるのに苦労し、イラカンバセーション...盗聴01.jpgついていたとのことです。霧の公園のシーンの撮影の際に近所の住民の通報で警察や記者の邪魔が入り、撮影を中断せざるを得なかったこと(ジーン・ハックマンはますますくイラついたらしい)、結果としてラストシーンに想定していたその場面を中盤に持って来ざるをえなかったことなどを明かしています。また、この映画は、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「欲望」('67年)やアルフレッド・ヒッチコック監督の「サイコ」('60年)などの影響を受けていることも明かしています(「サイコ」の影響を受けているのは言われなくとも分かるが、「欲望」の影響を受けているのは意外だった)。

カンバセーション...盗聴 見本市.jpg 映画公開直後に「ウォーターゲート事件」が発覚し('74年6月)、大いに驚いたとのことで、事件を無意識的に予知したのかも、とも。その他にも、映画に出てくる盗聴業者の見本市のようなものは、本物のその業界の見本市で撮影したとか、主人公が告解する神父の役と、新聞に出た事件の真相を知ろうと取締役の会社に行って警備員に追い返されるその警備員の役は、共にジーン・ハックマンの弟が演じていること、後者のシーンは「室内シーン」だが実は建物の外で撮られていること(言われてみればそんな感じ)など、色々と明かしていて楽しいです。

 ラストで、主人公ハリーは自分が勘違いしていたことに気づきますが、「チャンスがあれば我々を殺す気だ」という言葉が別の意味にも取れることを、解説でコッポラ自身が、二重の意味を持たせたことが良かったのか、もっとシンプルにした方が良かったのかどうか分からないともコメントしています。そして、ハリーは、謎の人物からの「盗聴してる」という電話に怖カンバセーション・・・盗聴・・・02.jpgれ慄きます(この電話の主は、ハリソン・フォード演じるマーティンか。ならば、マーティンは重役夫人カップルとグルなのか)。ハリーは家の中に盗聴器が仕掛けられていないか探しまくりますが(コッポラ監督自身が、盗聴器がある思って主人公が壊すビニール製のキリスト像は「壊れにくかった」とか、自分だったらサクソフォンのトラップに盗聴器が仕掛けてあると疑うとかコメントしている(笑))、結局は盗聴器は見つかりません(コッポラ監督が自分にもどこにあるか分からないとコメントしている(笑))。主人公はもともと神経質な性質なので、それが脅迫神経症に進行し、盗聴のプロが自分が盗聴される立場になって被害妄想になっていくという、たいへん皮肉な結末です。

カンバセーション盗聴 001.jpgカンバセーション 盗聴_03.jpg どこまでが現実でどこまでが主人公の妄想か、仮に妄想であれば主人公はどの辺りからその世界に入っていったのか分からないままでしたが、おそらくは主人公の同僚だったスタン(ジョン・カザール)を引っこ抜いた同業ライバルのウィリアム・P・モラン(アレン・ガーフィールド)のスパイであるコンパニオン女性メレディス(エリザベス・マックレイ)と一夜を共にした辺りからではないかと。新聞記事などから事件が現実のものであったことは間違いないのでしょう。あとは、どこまでが現実でどこまでが主人公の妄想かは、映画を観た人の間で議論してくださいという、含みを持たせた作りにしているように思いました。最初に観た時は、もやっとした印象が残るのがネックになりましたが、観直してみて、これはこれでいいと思うようになりました。フランシス・フォード・コッポラ監督自身の同時解説のお蔭で、興味と愛着が増した作品です。

カンバセーション盗聴 002.jpgジョン・カザール(スタン)/エリザベス・マックレイ(メレディス)/アレン・ガーフィールド(ウィリアム・P・モラン)/ジーン・ハックマン(ハリー・コール)
Conversation - Tôchô (1974)
Conversation - Tôchô (1974).jpg
カンバセーション...盗聴...1974.jpg「カンバセーション...盗聴...」●原題:THE CONVERSATION●制作年:1974年●制作国:アメリカ●監督・製作・脚本:フランシス・フォード・コッポラ●撮影:ビル・バトラー●音楽:デイヴィッド・シャイア●カンバセーション...盗聴 s.jpg時間:113分●出演:ジーン・ハックマン/ジョン・カザール/アレン・ガーフィールド/フレデリック・フォレスト/シンディ・ウィリアムズ/マイケル・ヒギンズ/エリザベス・マックレイ/テリー・ガー/ハリソン・フォード/ロバート・デュヴァル●日本公開:1974/11●配給:パラマウント映画=CIC(評価★★★★)

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久しぶりに劇場で観直してみてもやはり解らず、それでも解らないままに圧倒される映画。

地獄の黙示録2017.jpg 地獄の黙示録 特別完全版2017.jpg   地獄の黙示録01ヘリ .jpg
地獄の黙示録 [DVD]」(2017)/「地獄の黙示録 特別完全版 [DVD]」(2017)

地獄の黙示録02 でゅばる.jpg 米国陸軍・ウィラード大尉(マーティン・シーン)に、カーツ大佐(マーロン・ブランド)暗殺の命令が下る。ウィラードと同行者は、哨戒艇でメコン河を上り、やがて、ジャングルの奥地にあるカーツ大佐の王国へとたどり着く―。

 1979年公開のフランシス・フォード・コッポラ監督作品(原題:Apocalypse Now)で(日本公開は1980年)、4年の歳月と3100万ドルの巨費地獄の黙示録03 pm.jpgをかけて作られた大作であり、カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作でもあって、鳴り物入りで日本公開されましたが、当時テアトル東京に観に行って、解らないままに圧倒されたという印象でした。こうした映画って、観てから時間が経つうちに、ああ、あれってこういことだったんだなあとか解ってくることがありますが、この映画に関してそれが無く、ずっと解らないままでした(先日ちょうど37年ぶりに劇場で観たが、今観ても解らず、解らないままに圧倒される?)。そのうち、この映画が"ワースト1"映地獄の黙示録05 kingdom.jpg画に選ばれたりするような時期があり、例えば『大アンケートによる洋画ベスト150』('88年/文春文庫)の際のアンケートでは"ワースト10"のトップに選ばれています。この結果を受けて、『洋・邦名画ベスト150 〈中・上級篇〉』('92年/文春文庫)で故・田中小実昌2.jpg田中小実昌が映画評論家の北川れい子氏との対談で、「ぼくはそんなに気に入らないことはないですね」とし、ワーストに選ばれる作品はみんな大作なんですよ」と言っていて、ナルホドなあと思いました。

長谷川和彦s.jpg地獄の黙示録06 かーつ.jpg 映画の公開前に映画監督の長谷川和彦氏がコッポラ監督にインタビューしていて、この映画のテーマは何かと質問したら、コッポラは「撮っていて途中で分からなくなった」と答えたとのこと。完成作に寄せた序文でもコッポラは、「撮影の間に映画が徐々にそれ自体で一人歩きを始めた」としていて、映画製作のプロセスをウィラード大尉が奥深いジャングルの河を上って行く旅に重ね合わせています。

地獄の黙示録s.jpg 簡単に言ってしまえば戦争の狂気を描いた映画ということになり、ゆえに「地獄の黙示録 ロ.jpg反戦映画」ということになるのかもしれませんが、多くの戦争映画がそうであるように、同時に戦争と人間の親和性を描いた映画でもあるように思います。特にこの映画は、ロバート・デュヴァル演じるサーフィンをするために敵方の前哨基地を襲撃するビル・キルゴア中佐などに、その部分がよく表象されているように思います。もちろんマーロン・ブランド演じるカーツ大佐にも狂気と戦争への親和性は見られ、むしろカーツ大佐は戦争に過剰に適地獄の黙示録07 s.jpg応してしまい、王国を築いて自分でも壊せなくなってしまったため、マーティン・シーン演じるウィラード大尉に「殺される」運命を選んだのかもしれません。立花 隆 2.jpg評論家の立花隆氏は、ギリシャ神話を隠喩的に織り込んでいると述べていますが、ウィラード大尉によるカーツ大佐殺害は、「父親殺し」の暗喩ととれなくもないでしょう。

村上春樹 09.jpg 村上春樹氏が評論『同時代としてのアメリカ』(単行本化されていない)の中でこの映画について、「いわば巨大なプライヴェート・フィルムであるというのが僕の評価である。大がかりで、おそろしくこみいった映画ではあるが、よく眺めてみればそのレンジは極めて狭く、ソリッドである。極言するなら、この70ミリ超大作映画は、学生が何人か集まってシナリオを練り、素人の役者を使って低予算で作りあげた16ミリ映画と根本的には何ひとつ変りないように思えるのだ」と述べていて、コッポラ監督の談話などから映画製作自体が何か自分探しみたいになっていることが窺えることからも、村上氏の指摘はいいところを突いているように思いました。

 この映画は脚本の段階から紆余曲折あり、原作はジョゼフ・コンラッド(1857‐1924)の『闇の奥』ですが、内容はベトナム戦争に置き換えられ、最初にストーリーを書き下ろしたのは、「ビッグ・ウェンズデイ」('78年)のジョン・ミリアス監督で、その第一稿をコッポラ監督が大幅に書き換えています。また、ウィラード大尉は当初ハーヴェイ・カイテルが演じる予定だったのが、契約のトラブルで降板し、ハリソン・フォードの起用地獄の黙示録 ハリソン・フォード.JPG地獄の黙示録 ハリソン・フォード2.jpgも検討されましたが、「スター・ウォーズ」('77年)の撮影があって無理となり、最終的にマーティン・シーンに落ち着いています。ハリソン・フォードは、撮影の見学に来たときに、映画の序盤部分に端役として出演しており、その時の役名は「ルーカス大佐」となっています。

Jigoku no mokushiroku (1979) フレデリック・フォレスト(哨戒艇乗組員シェフ)全米映画批評家協会賞助演男優賞
Jigoku no mokushiroku (1979).jpgフレデリック・フォレスト.jpg「地獄の黙示録」●原題:APOCALYPSE NOW●制作年:1979年●制作国:アメリカ●監督・製作:フランシス・フォード・コッポラ●脚本:ジョン・ミリアス/フランシス・フォード・コッポラ/マイケル・ハー(ナレーション)●撮影:ヴィットリオ・ストラーロ●音楽:カーマイン・コッポラ/フランシス・フォード・コッポラ●原作:ジョゼフ・コンラッド「地獄の黙示録 デニス・ホッパー_11.jpg闇の奥」●時間:153分(劇場公開版)/202分(特別完全版)●出演:マーロン・ブランド/ロバート・デュヴァル/マーティン・シーン/フレデリック・フォレスト/サム・ボトムズ/ローレンス・フィッシュバーン/アルバート・ホール/ハリソン・フォード/G・D・スプラドリン/デニス・ホッパー/クリスチャン・マルカン/オーロール・クレマン/ジェリー・ジーズマー/トム・メイソン/シンシア・ウッド/コリーン・キャンプ/ジェリー・ロス/ハーブ・ライス/ロン・マックイーン/スコット・グレン/ラリー・フィッシュバーン(=ローレンス・フィッシュバーン)●日本公開:1980/02●配給:日本ヘラルド映画●最初に観た場所:銀座・テアトル東京(80-05-07)●2回目:高田馬場・早稲田松竹(17-05-07)(評価★★★★)●併映(2回目):「イージー・ライダー」(デニス・ホッパー)

テアトル東京 1955 七年目の浮気3.jpgテアトル東京2.jpg

テアトル東京内.jpg

テアトル東京
1955(昭和30)年11月1日オープン (杮落とし上映:「七年目の浮気」)
1981(昭和56)年10月31日閉館 (最終上映」マイケル・チミノ監督「天国の門」)

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ハリソン・フォードよりトミー・リー・ジョーンズが印象的か。
逃亡者 1993   01.jpg逃亡者 1993_dvd.jpg 逃亡者 1993 00.jpg 逃亡者 THE FUGITIVE_19.jpg
逃亡者 [DVD]」ハリソン・フォード/TVドラマシリーズ「逃亡者」デビッド・ジャンセン

逃亡者 (1993年の映画)03.jpg シカゴ記念病院の有能な血管外科医リチャード・キンブル(ハリソン・フォード)がある夜帰宅すると、妻のヘレン(セーラ・ウォード)が家の中で何者かに襲われて死に瀕していた。キンブルは犯人と思しき「片腕が義手の男」を撃退するも、妻は既に致命傷を負っており手遅れであった。キンブルは自分が取り逃がした義手の男について捜査するよう警察に懇願するが、警察は死の間際のヘレンの通報内容を誤解し、キンブル本人が妻殺しの濡れ衣を着せられ逮捕されてしまう。キンブルは裁判で無実を証明することができず、死刑判決を受けて刑務所へと移送されることになるが、その最中に他の囚人たちが逃亡を企てたことにより、護送車が列車と衝突し爆発炎上するという事故が発生する。事故を間一髪で生き延びた逃亡者 (1993年の映画)01.jpgキンブルは混乱に乗じ、妻を殺害した真犯人を自らの手で見つけて汚名をすすぐため、事故現場から逃亡してシカゴへと向かう。一方、いち早く脱走した囚人がいることを突き止めた連邦保安官補サミュエル・ジェラード(トミー・リー・ジョーンズ)とその部下達はキンブルを追跡する。時には持ち前のヒューマニズムが仇となって窮地に陥りつつも、執拗なジェラードの追跡を振り切りながら、キンブルはシカゴに帰り着いて証拠を辿り、同僚であり親友でもあるチャールズ・ニコルズ(ジェローン・クラッベ)からの援助も受けながら、自分が目撃した「片腕が義手の男」の名前を突き止める―。

逃亡者  the fugitive 1963.jpg逃亡者 the fugitive 1963 .jpg オリジナルは1963年から1966年にかけて、デビッド・ジャンセン主演で放映され、アメリカ国内で平均視聴率45%という驚異的な数字を叩き出したTVドラマです。日本でも、1964(昭和39)年から1967(昭和42)年までTBS系列(関西地区は朝日放送)で放送されて人気を博し、最終話の放送時刻には銭湯が空になったと言われています(TVドラマ版は当初モノクロだったが、最後の方はカラーになった)。映画では、妻殺しの濡れ衣を着せられ死刑を宣告された医師リチャード・キンブルが、連邦保安官補サミュエル・ジェラードの追跡を逃れながら逃げまくるという枠組みは、TV版をそのまま逃亡者 1993 06.jpg踏襲しています。

 但し、元々120話あった話を2時間ちょっとの映画にしてしまうということは、やはり質的な変化も大きいかと思われ、TV版のデビッド・ジャンセン演じるリチャード・キンブルが際限なく全米を逃げまくっている印象があっただけに、逃亡劇が2時間強で決着してしまうというのは、映画だから仕方がないとは言え、何となくあっさりし過ぎる感じがしました。映画では、逃げているエリアはシカゴ市内及び近郊に限定されているし、病院で善意から治療(指示)をするのも1度きりだし...(TV版では結構あちこちで治療していたのではなかったか)。

Frantic/The Fugitive/Presumed Innocent.jpg逃亡者 1993ges.jpg ハリソン・フォードは、「フランティック」('88年)で妻を誘拐されたが誰にも信じてもらえない外科医役を演じ、また、「推定無罪」('90年)で妻殺しの容疑を着せられた検察官を演じており、サスペンスドラマ、それも追い詰められてパニックになりながらも独り(或いは女性に助けられながら)奮闘する役がすっかり板についた感じですが、この「逃亡者」での役柄は、考えてみれば「フランティック」と「推定無罪」を掛け合わせたような役でもあり、「フランティック」の頃は、それまでのタフガイのイメージを覆す印象があって目新しかったのですが、流石にこれだけ続くとややマンネリ感も。その分、ジェラード連邦保安官補を演じたトミー・リー・ジョーンズの方が新鮮だったでしょうか(オリジナルとキャラクターは若干違ってるが)。

逃亡者 1993es.jpg ハリソン・フォードより4つ年下のトミー・リー・ジョーンズ(当時46歳)は、この作品で'93年のアカデミー助演男優賞を受賞し、以降は「メン・イン・ブラック」('97年)、「逃亡者」のスピンオフ作「追跡者」('98年)などのlove story Tommy Lee Jones.jpg出演作に恵まれるようになります。高校卒業後、家計を助けるために働きながら独学で勉強して、奨学金でハーバード大学英米文学部に進学した苦労人で、「ある愛の詩」('70年)で映画デビューしますが、その後は顔つきのキツさから出演依頼が来ず、下積みがすごく長かったようです(ハリソン・フォードも「カンバセーション...盗聴...」('74年)に出てた頃は滅茶苦茶暗かったが、「スター・ウォーズ」('77年)で人気の出たため、トミー・リー・ジョーンズよりはずっと若くしてブレイクしたことになる。と言うより、トミー・リー・ジョーンズが遅咲きなのだが)。

メン・イン・ブラック0.jpg 「メン・イン・ブラック」のバリー・ソネンフェルド監督はトミー・リー・ジョーンズのことを、「彼は大真面目に演じていてもどこかコミカルだ」と評していますが、確かにそうかも(「逃亡者」におけるトミー・リー・ジョーンズの中にも「メン・イン・ブラック」に通じるコミカル要素があるともとれる)。'06年から続くサントリー缶コーヒーBOSSのCM「宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ」も、誰か慧眼の宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ01.jpg宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ02.jpg持ち主が彼のそうした特性に着眼して起用したのでしょう(因みにトミー・リー・ジョーンズは親日家であり、大の歌舞伎ファンであるとともに浮世絵の収集家でもある。「メン・イン・ブラック3」('12年/米)のキャンペーンでも、プロモーションワールドツアーで唯一日本ツアーにだけ参加した)。

逃亡者 (1993年の映画) 02.jpg トミー・リー・ジョーンズの"活躍"もあって、映画としては悪くはないのですが(初めて観た時の評価は星4つ)、改めて観直してみると、アクションのヤマ場が中盤のキンブルのダム底へのダイビングであり、あとはやや流れが緩慢な印象も受けます。電車内での「片腕が義手の男」との対決もある種お決まりのパターンであれば、最後に真犯人を追い詰めて銃撃戦になる展開もこれまたパターンであるように思えたため、星半個減の3つ半としました。

逃亡者 1993s.jpg 映画に出始めた頃のジュリアン・ムーア(左)が(前年に「ゆりかごを揺らす手」('92年)に出演しているが、その作品ではレベッカ・デモーネイが怖すぎて、彼女の印象は薄かった)、キンブルが「片腕が義手の男」が装着していた義手の手がかりを求め、清掃員に扮して病院に忍び込んだ際、彼に「男の子の患者を運んで!」と頼み、その後男の子にちゃんと独自の処置がされているのを不審に思って警察に通報する女医役で出ていますが、キネ旬をはじめ多くの映画データべースで、「元同僚のアン・イーストマン医師(ジュリアン・ムーア)の協力で、病院の中にある義手を持つ人のリストを調べあげ...」などJulianne Moore.jpgjane lynch the fugitive.jpgとあり、ジェーン・リンチ(右)が演じたキャシー・ワーランド医師の役との混同が見られます(キンブルに協力するのはキャシー・ワーランド医師)。これも、ジュリアン・ムーアが後に有名になったためでしょうか(最近では、2014年公開の「アリスのままで」でゴールデングローブ賞の主演女優賞(ドラマ部門)とアカデミー賞の主演女優賞を受賞している)。
Julianne Moore

ER 緊急救命室12.jpg 因みに、「片腕の男」の義手の資料を集めるためにキンブルが潜り込んだ病院は、本作の1年後に放送が開始されたTVドラマ「ER 緊急救命室」の舞台にもなっているシカゴのクック郡病院であり、ジュリアン・ムーアが演じたイーストマン医師のセリフやシカゴの聖パトリック祭の様子は「ER」の第1話でも使われたとか(共に配給元はワーナー・ブラザーズ)。


THE FUGITIVE s.jpg「逃亡者」●原題:THE FUGITIVE●制作年:1993年●制作国:アメリカ●監督:アンドリュー・デイヴィス●製作:アーノルド・コペルソン●脚本:デヴィッド・トゥーヒー/ジェブ・スチュアート●撮影:マイ逃亡者 (1993年の映画) last.jpgケル・チャップマン●音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード●原作:ロイ・ハギンズ●130分●出演:ハリソン・フォード/トミー・リー・ジョーンズ/ジェローン・クラッベ/セーラ・ウォード/ジュリアン・ムーア/アンドレアス・カツーラス/ジョー・パントリアーノ/ダニエル・ローバック/L・スコット・カードウェル/トム・ウッド/ジェーン・リンチ●日本公開:1993/09●配給:ワーナー・ブラザーズ(評価:★★★☆)

the fugitive 1963 dvd.jpgTHE FUGITIVE_0.jpg逃亡者1963   .jpg「逃亡者」(The Fugitive) (ABC 1963~1967) ○日本での放映チャネル:TBS(関西地区は朝日放送)(1964.5~1967.9)/AXNミステリー

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当時としては新鮮だったハリソン・フォードの役作り。

フランティック ちらし.jpgフランティック dvd.jpgフランティック [DVD]「フランティック」1988年5.jpg
映画チラシ 「フランティック」監督 ロマン・ポランスキー 出演 ハリソン・フォード

フランティック05.jpg 米国人外科医リチャード・ウォーカー(ハリソン・フォード)は、学会で講演するために妻サンドラ(ベティ・バックリー)と共にパリを訪れていた。新婚旅行以来のパリに心を弾ませていた彼だったが、ホテルにチェックインした後、「フランティック」1988年 4.jpgスーツケースが空港で誰かのものと取り違えてしまったことに気づく。明日にでも取り替えてもらうよう妻に言ってシャワーを浴びるが、その間に妻はホテルの部屋から忽然と姿を消してしまう。幾つかの関係先に問い合わせるも本気で取り合ってもらえず、逆に妻の浮気を疑われるという不本意な状況の中、ある目撃情報から妻の装身具を路上で発見、彼は妻は誘拐されたと確信し単身で捜索に乗り出す―。

Frantic 1988.jpg ロマン・ポランスキー監督(左写真)の1988年作品で、タイトルの「フランティック」(frantic)とは、「気が狂ったような」という意味であり、妻の誘拐事件にパニックになる主人公の姿を指しています。ハリソン・フォードはプライベートで妊娠中の当時の妻メッリサ・マシスンとパリ旅行に行った際にポランスキー監督と出会い、その時にこの作品の企画を打ち明けられ、異郷のパリで主人公の心情に近い立場だったこともあって喜んで出演をOKしたという裏話があります。

「フランティック」1988年 ミシェル.jpg 主人公が誤って持ち帰ったスーツケースは、運び屋の女ミシェル(エマニュエル・セニエ)が米国から持ち込んだ核兵器の起爆装置が隠されたもので、彼女に行き着いた主人公は、その起爆装置の争奪に躍起になるアラブ人グループとそれを阻止せんとするイスラエル側の攻防の中、ミシェルを救ったりしながら自らも妻の捜索にあたる―。

フランティック07.jpg この映画は、公開時に結構評価が割れたような気がします。ロマン・ポランスキーにしてはクセが無いオーソドックスなサスペンスですが、ストレートにサスペンスとして見「フランティック」1988年 Hフォード.jpgるとやや盛り上がりに欠け、ヒッチコック作品ほどの完成度にも至っていないといのがマイナス評価の理由でしょうか。大掛かりな仕掛けが出てこないこともあって、TVのミステリードラマを見ているような印象もあります。しかしながら、パリの街の雰囲気を自らがエトランゼになった気分で味わえ、ハリソン・フォードの好演もあって、個人的評価としては「○」です。特にハリソン・フォードが、主人公の医師が不測の事態にキリキリ舞いさせられる様を見事に演じていたように思います。

Frantic 1988 06.jpg ハリソン・フォードは当時、「インディ・ジョーンズ」シリーズからのイメージ・チェンジを図っており、既に「刑事ジョン・ブック 目撃者」('85年)といったサスペンスに出演したりもしていましたが、やはり、この「フランティック」が1つエポックになったのではないかと思われます。後の主演作品で、愛人殺害容疑をかけられた地方検事補ラスティ・サビッチを演じたスコット・トゥロー原作の「推定無罪」('90年)や、妻殺害容疑をかけられた医師チャード・キンブルを演じた「推定無罪」「逃亡者」「目撃者」.jpg古典的TVシリーズのリメイク「逃亡者」('93年)といった作品におけるキャラクター造型は、この「フランティック」の時の役作りがベースになっているように思います。「推定無罪」や「逃亡者」におけるハリソン・フォードの演技を知った上でこの作品における彼の演技に接すると、そう目新しい感じではないかも知れないけれど、リアルタイムで初めてこの作品を観た時の彼の演技は新鮮に映ったものでした(役者が自身の新境地を開拓した作品というのはやはり注目に値する)。

「フランティック」1988年.jpg「フランティック」●原題:FRANTIC●制作年:1988年●制作国:アメリカ●監督:ロマン・ポランスキー●製作:ティム・ハンプトン/トム・マウント●脚本:ロマン・ポランスキー/ジェラール・ブラッシュ/ロバート・タウン/ジェフ・グロスン●撮影:ヴィトルド・ソボチンスキ●音楽:エンニオ・モリコーネ●時間:120分●出演:ハリソン・フォード/エマニュエル・セニエ/ベティ・バックリー/ジョン・マホーニー/ジミー・レイ・ウィークス/ジェラール・クライン/パトリス・メレネク/イヴ・レニエ/リシャール・デュー/ドミニク・ピノン/ジャック・シロン//パトリック・フラールシェン/新宿ミラノ座内2.jpg新宿ミラノ座 1959.jpgマルセル・ブリュワル/デヴィッド・ハドルストン/アレクサンドラ・スチュワート/トーマス・M・ポラード/アルトゥ・ドゥ・ペンゲルン●日本公開:1988/07●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場ミラノ座 1983年.jpg新宿ミラノ.jpg新宿ミラノ座 内部.jpg所:新宿ミラノ座(88-07-10)(評価:★★★★) [上写真:「新宿ミラノ座」オープン当初 (1959年)]
新宿ミラノ座 1956年12月、歌舞伎町「東急文化会館(後に「東急ミラノビル」)」1Fにオープン(1,288席)、2006年6月1日~「新宿ミラノ1」(1,064席)2014(平成26)年12月31日閉館。

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シリーズの中で一番面白かった「魔宮の伝説」。この頃は"手作り"感があった。

インディージョーンズ 魔宮の伝説 dvd.jpg インディジョーンズ 魔宮の伝説 パンフレット.jpg インディジョーンズ魔球の伝説4298.JPG
インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説 [DVD]」「映画パンフレット 「インディ・ジョーンズ-魔宮の伝説-」

インディジョーンズ魔球の伝説4299.JPG 「インディ・ジョーンズ シリーズ」の最初の3作のうち、個人的には最初の「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」('81年)は名画座に降りてくるのを待って観ましたが、この「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」('84年)はロード館で観ました。第3作「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」('89年)もロードで観ましたが、結局、一番面白かったのは「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」だったように思います。

「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」パンフレット

 日本でも、前作を上回るヒットを記録しましたが、年間興業収入では「ゴーストバスターズ」の69.7億円に次いで2位でした。因みに'82年本邦公開の「レイダース」は年間5位で、その年のトップは同じくスピルバーグ監督の「E.T.」の163.5億円(これは15年興行収入.jpg後に「タイタニック」('97年公開)に抜かれるまで1位の記録だった)、'89年公開の「最後の聖戦」も、同年公開の「バック・トゥ・ザ・フューチャー パート2」の94.0億円に及ばず2位と、このシリーズ作は何れも年間トップを取ってはいなかったんだなあと、やや意外な思いもします。「最後の聖戦」公開時に「シリーズ最終作」と銘打っていたように思いますが、その後「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」('08年)が作られています(2008年の年間興業収入57.1億円で第3位。この年の第1位は「崖の上のポニョ」の155億円)。

 シリーズ全体の原案はジョージ・ルーカスとスティーブン・スピルバーグ、製作には何れもはジョージ・ルーカス(ルーカス・フィルム)が噛んでいて、第1作「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」の原作は、後に「ライト・スタッフ」「存在の耐えられない軽さ」「ライジング・サン」などを監督することになるフィリップ・カウフマン、脚本は「白いドレスの女」を監督することになるローレンス・カスダンと、第1作から才人が集まっていたことになります。

インディジョーンズ魔球の伝説4300.JPG 「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」の3年後に作られた第2弾「魔宮の伝説」の時代設定は前作の1年前(1935年)ということになっていて、トロッコやつり橋の使い方が上手く、アニメをそのままのスピード感で実写化したという感じでした。今だったらCGに委ねるところをセットやミニチュア模型でやっている、この"手作り"感がいいのかもしれません。

 50年代、60年代のミュージカル映画のようなオープニングから始まって、物語の舞台が、上海 → メイアプール → パンコットとテンポよく移り変わり(メイアプールは実在するインドの小村、パンコットは架空の宮殿)、ピンチを脱したと思ったらまたピンチの連続で、何も考えずにただただ楽しめます。

インディジョーンズ魔球の伝説4301.JPG 冒頭のシーンは「ザッツ・エンターテインメント」('74年)へのオマージュでもあるのでしょうか。007映画やディズニーインディジョーンズ魔球の伝説4302.JPG映画、スピールバーグが好きな「フラッシュ・ゴードン」('36年)など様々な映画へのオマージュが随所込められており、ラストの大洪水シーンは、前作「レイダース」のパロディになっているなど、トリビアな見所も多いです。

 この作品を撮った時、ジョージ・ルーカス39歳、スティーブン・スピルバーグ37歳と、共に30代で、しかも、それでいてシリーズ2作目。二人とも若かったのだなあと改めて思います(シリーズ第1作の時は更にそれぞれ3歳若かったわけだが)。

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 dvd.jpg 5年後に作られた「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」('89年)は、時代設定は1938年で第1作「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」の2年後という設定。ジョーンズ博士の少年時代を演じたのはリバー・フェニックスで(当時19歳)、この作品の4年後に麻薬死しています。
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インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 husi2.jpg 物語は聖杯伝説をベースにしており、手に入れれば願いはすべて叶うという聖杯を巡ってのナチス連中とインディたちの争奪戦。ナチスに誘拐された考古学者である父親(ショーン・コネリー)を救出に向かったインディも捉えられ...と、本来ならばもっとハラハラドキドキさせられるような展開になるところが、ハリソン・フォード演じるインディのおとぼけぶりに輪をかけるようなショーン・コネリー演じる父親のおとぼけぶりで、コメディ映画みたいになっていました。

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 husi.jpg インディは馬に乗って軍用列車を追いかけたり、ナチスの一味と殴り合い、撃ち合いしたりと相変わらずアクション面でも頑張っていますが、前作に比べると派手さがなく、テンポもイマイチ。最後は、聖杯の守り主みたいな騎士が出てきiインディ・ジョーンズ/最後の聖戦.jpgてなかなかシュールに盛り上げてくれましたが(それにしてはその手前の仕掛けがやたらメカニックだったりもする)、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」のラストと被ってしまい、結果的に「ショーン・コネリーがとぼけた父親役をやっている映画」という印象インディ・ジョーンズ/最後の聖戦s.jpgのみが強く残ってしまった気がします。但し、ショーン・コネリーはこの作品における「007シリーズ」のジェームズ・ボショーン・コネリー   .jpgンドのパロディ的要素を含む役どころを気に入っていたようで(敵か味方か途中までよく分からないボンドガール的な女性が出てくるのは007へのオマージュか)、2006年に俳優業を引退宣言していますが、もし映画界に戻ってくるとしたら「インディ・ジョーンズ」に出られるときだけとも語っています。
 
ザ・ロック s.jpgザ・ロック 1996.jpg 因みに、ショーン・コネリーがジェームズ・ボンドのパロディ的要素を含む人物設定の役柄として出演している作品の代表的なものとしては、アメリカ海兵隊員の英雄率いるテロリストと、制圧する特殊部隊との攻防を描いたマイケル・ベイ監督によるアクション映画「ザ・ロック」('96年/米)があります。かつて敵に包囲された末に救援も得られずに部下を見殺しにされ、それに対して何の補償もない国に憤りを抱くハメル准将(エド・ハリス)が、14人の部下と共に化学兵器を奪取して、ザ・ロックと呼ザ・ロック アルカトラズ.JPEGばれるかつての刑務所島アルカトラズ島に観光客・ガイド計81人を人質にとって立て籠り、サンフランシスコを化学兵器の標的にして莫大な補償金を要求、化学兵器のスペシャリストであるグッドスピード(ニコラス・ケイザ・ロック ケイジ コネリー 2.jpgジ)がアメリカ海軍特殊部隊SEALsに同行して島に潜入することになりますが、潜入にあたってアルカトラズ島からの唯一の脱獄成功者で、現在は刑務所に幽閉中の元イギリス情報局秘密情報部(SIS)部員・兼SAS大尉のメイソン(ショーン・コネリー)の協力を得るというもの。結局、SEALsは敵の前に全滅し、残されたのは元脱獄囚メイソンと化学兵器オタクのグッドスピードのみという、まあアクション映画のパターナルな展開ですが、ショーン・コネリー演じるメイソンが元SIS(SISの中にMI6がある)ということで、ジェームズ・ボンドが意ザ・ロックL.jpgアリエール ジェルボール.jpg識されていることは明白でした。この映画公開の前年にサンフランシスコに行き、ゴールデン・ゲート・ブリッジからアルカトラズ島を観てきたところだったので懐かしかったですが、映画自体はやや大味でした。エド・ハリスの叛乱はかなり理不尽であるし(最後、自分でも作戦変更した)、FBIでありながら戦闘経験のない化学兵器オタクであるはずのニコラス・ケイジ(アクション映画の主役は初)が、カーチェイスをはじめ結構アクションしていました。化学兵器である毒ガスの溶剤が洗濯用の洗剤に見えてしまったのが難でした。
「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」 ('84年) 
インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説es.jpg インディ・ジョーンズ シリーズ3作の個人的評価は、第1作「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」が★★★☆、第2作「魔宮の伝説」が★★★★、第3作「最後の聖戦」が★★★といったところです(第3作が星3つと厳しいのは、絶対評価と言うより、ややシリーズの中での相対評価になっているためで、普通の娯楽映画としてみれば十分楽しめる作品であると言える)。因みに「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」は、2000年代に入って、ソフト化作品のタイトルに"インディ・ジョーンズ"と付けるようになっており、これはこの作品がインディ・ジョーンズ シリーズの第1作であることを知らない年代層が増えてきたためでしょうか。
  
レイダース/失われたアーク vhs.jpgレイダース/失われたアーク<聖櫃>(字幕 [VHS]」「インディ・ジョーンズ レイダース 失われたアーク《聖櫃》 [DVD]
レイダース/失われたアーク dvd.jpg「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」●原題:RAIDERS OF THE LOST ARK●制作年:1981年●制作国:アメリカ●監督:スティーヴン・スピルバーグレイダース/失われたアーク《聖櫃》.jpg●製作:フランク・マーシャル●脚本:ローレンス・カスダン●撮影:ダグラス・スローカム●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原案:ジョージ・ルーカス/フィリップ・カウフマン●時間:115分●出Reidâsu Ushinawareta âku (1981).jpg演:ハリソン・フォードカレン・アレン/ジョン・リス=デイヴィス/デ飯田橋佳作座.jpgンホルム・エリオット/ポール・フリーマン/ロナルド・レイシー/ヴォルフ・カーラー/ジョージ・ハリス/アルフレッド・モリーナ/ビック・タブリアン/アンソニー・ヒギンズ●日本公開:1981/12●配給:パラマウント映画/CIC●最初に観た場所:飯田橋佳作座(82-07-11)(評価:★★★☆)●併映:「スター・ウォーズ」(ジョージ・ルーカス)
飯田橋佳作座(神楽坂下外堀通り沿い) 1988(昭和63)年4月21日閉館
Reidâsu/Ushinawareta âku (1981)
Indi Jônzu - Makyû no densetsu (1984)
Indi Jônzu - Makyû no densetsu (1984).jpg
インディジョーンズ魔球の伝説4303.JPG「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」●原題:INDIAN JONES AND THE TEMPLE OF DOOM●制作年:1984年●制作国:アメリカ●監督:スティーヴン・スピルバーグ●製作:ロバート・ワッツ●脚本:ウィラード・ハイク/インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説2.jpgグロリア・カッツ●撮影:ダグラス・スローカム●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原案:ジョインディ・ジョーンズ/魔宮の伝説ges.jpgージ・ルーカス●時間:118分●出演:ハリソン・フォード/ケイト・キャプショー/キー・ホイ・クァン/アムリッシュ・プリ/ロイ・チャオ/ロシャン・セス/リック・ヤン/デヴィッド・ヴィップ/チュア・カー・ジョー/フィリップ・タン/ダン・エイクロイド/フィリップ・ストーン●日本公開:1984/07●配給:パラマウント・ピクチャーズ●最初に観た場所:歌舞伎町・新宿プラザ劇場(84-07-08)(評価:★★★★)

新宿プラザ8.jpg新宿プラザ 閉館上映チラシ.jpg新宿プラザ劇場200611.jpg 新宿プラザ劇場 1969年10月31日オープン、歌舞伎町・コマ劇場隣り(1,044席) 2008(平成20)年11月7日閉館
新宿プラザ劇場内.jpg
1981年「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」/1984年「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」/1989年「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦ド.jpg「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」●原題:INDIAN INDIANA JONES AND THELAST CRUSADE●制作年:1989年●制作国:アメリカ●監督:スティーヴン・スピルバーグ●製作:ロバート・ワッツ●脚本:ジェフリー・ボーム●撮影:ダグラス・スローカム●音楽:ジョン・ウィリアムズ●製作総指揮:ジョージ・ルーカス●時間:127分●出演:ハリソン・インディ・ジョーンズ/最後の聖戦e.jpgフォード/ショーン・コネリー デン/ホルム・エリオット/アリソン・ドゥーディ/ジョン・リス=デイヴィス/ジュリアン・グローヴァー/インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 リバー・フェニックス.jpgリヴァー・フェニックス/マイケル・バーン/ケヴォルク・マリキャン/リチャード・ヤング/ロバート・エディスン●日本公開:1989/07●配給:パラマウント・ピクチャーズ●最初に観た場所:歌舞伎町・新宿プラザ劇場(89-07-30)(評価:★★★)
リヴァー・フェニックス(1970-1993)in 「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」

The Rock (1996)
The Rock (1996).jpg
ザ・ロック 01.jpg「ザ・ロック」●原題:THE ROCK●制作年:1996年●制作国:アメリカ●監督:マイケル・ベイ●製作:ドン・シンプソン/ジェリー・ブラッカイマー●脚本:デヴィッド・ウェイスバーグ、他●撮影:ジョン・シュワルツマン●音楽:ハンス・ジマー、他●時間:135分●出演:ショーン・コネリー/ニコラス・ケイジ/エド・ハリス/ジョン・スペンサー/ウィザ・ロック ケイジ コネリー.jpgリアム・フォーサイス/デヴィッド・モース/マイケル・ビーン/ザンダー・バークレー/ラルフ・ペデュート/デヴィッド・ボウ/ヴァネッサ・マーシル/ジェームズ・カヴィーゼル/ドワイト・ヒックス/ジョン・C・マッギンリー/ジョン・ラフリン/アンソニー・クラーク/デヴィッド・グラント/トニー・トッド/ボキーム・ウッドバイン/ダニー・ヌッチ/ショーン・スケルトン/スティーヴ・ハリス/インゴ・ノイハウス/グレゴリー・スポールダー/ブレンダン・ケリー/レイモンド・クルス/マーシャル・R・ティーグ/フィリップ・ベイカー・ホール/スタンリー・アンダーソン/スチュアート・ウィルソン/ハワード・プラット/ハリー・ハンフリーズ/レオナルド・マクマハン/クレア・フォーラニ/トッド・ルイーゾサム・ホイップル●日本公開:1996/09●配給:ブエナ・ビスタ・インターナショナル・ジャパン(評価:★★★)

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美しく見せるという思惑がないところでの"キレイさ"。その"意外性"が面白いのかも。

工場萌え.jpg 工場萌えカレンダー.jpg 超高層ビビル.jpg ブレードランナー2.jpg
工場萌え』['07年]『工場萌えカレンダー 2008』『超高層ビビル 日本編 (Skyscrappers Vol 1)』['08年]/映画「ブレードランナー」より

 「工場」と言うより「コンビナート」のタンクやパイプ、煙突群の「構造美」を捉えた写真集で、「工場萌え」とは工場の景観を愛好する行為だそうですが、著者(石井氏)のmixiのブログに端を発して、ちょっとしたブームになっているらしく、カレンダーやDVDまで出ています。

ダム.jpg 高層ビルや吊り橋など人工の建造物を写真に収めることを趣味とする人は結構いるようで、最近では中谷幸司氏の『超高層ビビル 日本編』('08年/社会評論社)という写真集が刊行され、更には全国のダムを撮った萩原雅紀氏の『ダム』('07年/メディアファクトリー)などというのもあります(こちらも続編『ダム2(ダムダム)』('08年)が刊行され、DVDも出された)。

中谷 幸司 『超高層ビビル 日本編』.JPG この内、『超高層ビビル 日本編』は、日本全国の高さ100メートル超の高層ビルを写真に撮って並べたもので(但し、トップにきているのはビルでなく「東京タワー」。次に「六本木ヒルズ」)、キャプションとしては高さ・階数・建設年月・所在地が記されているだけですが、このカタログ的な並べ方が逆にいいです。

 写真も、変に意匠をこらさず、それぞれビルの全体像が分かるような(主に正面から見た)撮られ方になって、この本はある建築家がお薦めとしていまいしたが、建築・建設関係者の間では密かに人気を得ているようです(著者=撮影者はJavaのプログラマーであるとのことで、あくまで趣味の世界からスタートしている)。

 こうした写真集はある種の「機能美」を追ったものであり、とりわけ高層ビルや吊り橋に関しては、そうした「外見上の美しさ」というものが予め設計段階で織り込まれている―それに対し、「コンビナート」が美しく見えるというのは、そうした思惑がないところでのことで、その"意外性"が面白いのかも(但し、個人的には『超高層ビビル』の方が若干好みだが)。

 ただそれだけに、「鑑賞スポット」とでも言うか、見るポイントが限定されてくるわけで、本書の後半では、そうした撮影ポイントを地図と写真入りで紹介しており、更に"鑑賞"のための基礎知識として、「歩きやすい靴で」とか、近くにコンビニさえ無いことが多いから「飲み物を忘れずに」とか、色々な注意点が親切に書かれているのが、普通の「趣味ガイド」みたいで何となく面白い。

ブレードランナー チラシ.jpg 最後に「おすすめ工場コンテンツ」というのがあり、工場を知るための入門書や、工場のイメージを効果的に使った映像作品、工場に親しめる小説などが紹介されています。その中にはリドリー・スコット監督の映画「ブレードラブレードランナー(Blade Runner).jpgンナー」('82年/米)笙野頼子氏の『タイムスリップ・コンビナート』('94年/文藝春秋)(これ、芥川賞作ブレードランナーF.jpg品の中ではかなり異色ではないか)などがあったりして、"系譜"と言えるかどうかは別として、「コンビナート」的な「構造美」に惹かれる部分は意外と多くの人が持っていて、ただそれが、無機的であるとか、大気汚染とイメージリンクしてしまうとかで、隠蔽されてきた面もあるかもしれません。
映画「ブレードランナー」より
ブレードランナー.jpg また、映画「ブレードランナー」に関して言えば、'82年の公開時は大ヒット作「E.T.」の陰に隠れて興業成績は全く振るわなかったのが、後になってジワジワと人気が出てきたという経緯があり、当初カルトムービー的に扱われてたものが、やがてSF映画のメジャー作品としての市民権を得たという点や、ファンの多くが、映画のストーリーだけでなく、或いはそれ以上に、視覚的な背景などの細部に関心を持ったという点で、「工場萌え」ブームに共通するものを感じなくもありません。

『ブレードランナー』(1982).jpgBLADE RUNNER.jpg 「ブレードランナー」という映画の妙というか、観客に視覚的に強いインパクトを与えた部分の一つは(個人的にはまさにそうだったのだが)、未来都市にもダウンタウンがあり、ネオン塔やブレードランナー5.jpg筆字体の看板などがあって、そこに様々な人種が入り乱れて生活したり商売したりしている"生活感"、"人々の蠢(うごめ)き感"みたいなものがあった点ではなかったかと思います(80年代にシンガポールで見た高層ビルの谷間の屋台群を思い出した。シンガポールまで行かなくとも、新大久保のコリアン街でも似たような雰囲気は味わえるが)。

 但し、「工場」にはそうした生活感のようなものが全くない(とりわけ夜の工場には)―その、"純粋"機能美が、それはそれでまたウケるのかも知れませんが。『工場萌え』というタイトルが面白いし、効いていると思います。「萌え」というのは、本来はキャラクター的なものを対象としていることからすれば、ある意味パロディでしょう。確かに、視点や時間帯で様々な景観を示すコンビナートは、未来都市の一角のようで美しい(特に夜景が"妖しく"キレイ)と思ったけれども、個人的には、「こんなのが好きな人も結構いるんだ」という珍しさが先に立って、自分自身が「萌える」というところまではいかなかったでしょうか。

Blade Runner (1982)  
「ブレードランナー」('82年/米).jpg『ブレードランナー』.jpg 映画「ブレードランナー」より

『ブレードランナー』2.jpg 『ブレードランナー』3.jpg 『ブレードランナー』4.jpg
 
二子東急(昭和50年代)
二子東急(昭和50年代) .jpg「ブレードランナー」●原題:BLADE RUNNER●制作年:1982年●制作国:アメリカ●監督:リドリー・スコット●製作:マイケル・ディーリー ●脚本:ハンプトン・フィンチャー/デイヴィッド・ピープルズ●撮影:ジョーダン・クローネンウェス●音楽: ヴァンゲリス●時間:116分(劇場公開版、ディレクターズ・カット)/117分(ファイナル・カット)●出演:ハリソン・フォード/ルトガー・ハウアー/ショーン・ヤング/ダリル・ハンナ/ブライオン・ジェイムズ/エドワード・ジェイムズ・オルモス/M・エメット・ウォルシュ/ウィリアム・ サンダーソン/ジョセフ・ターケル/ジョアンナ・キャシディ/ジェームズ・ホン/モーガン・ポール/ハイ・パイク/ロバート・オカザキ(ダウンタウンのスシバーの主人)●日本公開:1982/07●配給:ワーナー・ブラザース二子東急 1990.jpg●最初に観た場所:二子東急(83-06-05)●2回目:三軒茶屋東映(84-07-22)●3二子東急.gif回目:三軒茶屋東映(84-12-22)(評価:★★★★☆)●併映(2回目):「エイリアン」(リドリー・スコット)/「遊星からの物体x」(ジョン・カーペンター)●併映(3回目):「遊星からの物体x」(ジョン・カーペンター) 二子東急(1990年)

二子東急のミニチラシ.bmp二子東急 場所.jpg二子東急 1957年9月30日 開館(「二子玉川園」(1985年3月閉園)そば) 1991(平成3)年1月15日閉館            
三軒茶屋シネマ.jpg
三軒茶屋シネマ/中央劇場.jpg三軒茶屋シネマ 内.jpg三軒茶屋東映 1955年世田谷通りの裏通り「なかみち街」にオープン、1973年建て替え、1997年~三軒茶屋シネマ (右写真:三軒茶屋シネマ/三軒茶屋中央劇場/サンタワービル(三軒茶屋映画劇場跡地)/左写真:現「三軒茶屋シネマ」内) 2014(平成26)年7月20三軒茶屋シネマ ラストしおり2.JPG日閉館

三軒茶屋東映予定表.bmp

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名脇役たちを通して'60‐'70年代が一気に甦ってくる本。

傍役グラフィティ.jpg傍役グラフィティ2.gif  Roy Scheider.jpg Peter Boyle.jpg Marty Feldman.jpg John Cazale.jpg Ed Lauter.jpg Charles Martin Smith.jpg
傍役グラフィティ―現代アメリカ映画傍役事典 (1977年)』/Roy Scheider /Peter Boyle/Marty Feldman/John Cazale/Ed Lauter/Charles Martin Smith

 今年('08年)2月に「JAWS/ジョーズ」でお馴染みのロイ・シャイダーが亡くなりましたが、TVドラマ「サード・ウォッチ」にロシア・マフィア役で出ていて、何だか凄みが増した感じだったけれども、既にその時はガン闘病中だったのか。エルモア・レナード原作の「デス・ポイント/非情の罠」(『五万二千ドルの罠』)に主演していますが、「ジョーズ」とか「デス・ポイント」みたいに、ちょっとビクついている感じの役の方が似合っていた気もします。

 ロイ・シャイダーを思い出したついでに、「ニューシネマ以降10年のアメリカ映画に登場した愛すべきバイプレーヤー200人」をとりあげたという本書を取り出してパラパラめくっていると、旧知に再会したような感じで、結構ノスタルジックな気分になりました。 個人的に"好み"のところでは―、           

YOUNG FRANKENSTEN.jpg『ヤング・フランケンシュタイン』(1974) 2.jpg『ヤング・フランケンシュタイン』(1974).jpg ピーター・ボイルは、「タクシードライバー」('76年/米)でトラビス(デ・ニーロ)を気遣う先輩タクシー運ちゃんぶりが良かったけれど(この映画にはハーヴェイ・カイテルもポン引き役で出ていた)、その前のメル・ブルックジーン・ワイルダー1.jpgス監督、ジーン・ワイルダー主演(脚本も務めた)の「ヤング・フランケンシュタイン」でボイルが演じたのは、何とボリス・カーロフ顔負けのフランケンシュタイン(この映画の奇妙な執事、ギョロ目のマーティ・フェルドマンの怪演も印象的)。ボイルは、「X‐ファイル」にもゲスト出演していましたが、この人も最近亡くなった...。

「ヤング・フランケンシュタイン」2.jpg この映画はシェリイ夫人の原作及び古典的ホラー映画のパロディですが、アインシュタインに似た博士(ジーン・ワイルダー)やその助手(テリー・ガー)も快演(怪演)しているほか、オリジナルの「フランケンシュタイン」にも出てくる小屋に住む盲ヤング・フランケンシュタイン ジーン・ハックマン.jpg目の老人役は、ラストに小さくクレジットされているだけで大概の人は気づかないのですがジーン・ハックマンであるという遊びもありました。

ジーン・ハックマン(右)

ヤング・フランケンシュタイン.gif「ヤング・フランケンシュタイン」●原題:YOUNG FRANKENSTEN●制作年:1975年●制作国:アメリカ●監督:メル・ブルックス●製作:マイケル・グラスコフ●脚本:ジーン・ワイルダー/メル・ブルックス●撮影:ジェラルド・ハーシュフェルド●音楽:ジョン・モリス●原作:メアリー・シェリイ●時間:108分●出演:ジーン・ワイルダー/ピーター・ボイル/マーティ・フェルドマン/テリー・ガー/マデリーン・カーン/クロリス・リーチマン/リチャード・ヘイドン/ジーン・ハックマン●日本公開:1975/10●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:飯田橋ギンレイホール (78-12-14) (評価:★★★★)●併映:「サイレントムービー」(メル・ブルックス)

狼たちの午後7.bmp狼たちの午後8.bmp狼たちの午後 ポスター.gifDog Day Afternoon.jpg狼たちの午後2.jpg "おでこのジョン"ことジョン・カザール「狼たちの午後」での鬱々とした演技が良く(アル・パチーノが上手いのはさすがだが、この映画でのチャールズ・ダーニングもいい)、「ディア・ハンター」('78Meryl Streep and John Cazale 2.jpg年)に起用された際に、彼がガン宣告を受けたため出演させることを渋った製作側に対し、降板に反対するロバート・デ・ニーロらに口説かれ、治療を受けながら演じたという、その「ディア・ハンター」が彼の遺作となりました(無名時代に共演したメリル・ストリープと婚約中だった)。

dog_day_afternoon_9.png狼たちの午後.jpg この「狼たちの午後」は、実際にあった銀行強盗をモチーフに作られた作品ですが、撮影のかなりの部分はアドリブで撮られていて、アル・パチーノの演技の旨さもさることながら、その"妻"を演じたクリス・サランドンは、冒頭の僅か10分そこそこの登場で(銀行に押し入ったとたんに怖くなって逃げ出してしまう)アカデミー助演男優賞候補になったというオマケも付きました(犯人の内2人が同性婚していたのは事実らしい)。

アル・パチーノ(第1回ロサンゼルス映画批評家協会賞「主演男優賞」受賞)
「狼たちの午後」●原題:DOG DAY AFTERNOON●制作年:1975年●制作国:アメリカ●監督:シドニー・ルメット●製作:マーティン・ブレグマンほか●脚本:「狼たちの午後」.jpgフランク・ピアソン●撮影:ジヴィクター・J・ケンパー●時間:125分●出演:アル・パチーノ/ジョン・カザール/チャールズ・ダーニング/クリス・サランドン/キャロル・ケイン/ランス・ヘンリクセン/ジェームズ・ブロデリック/ペニー・アレン/サリー・ボイヤー●日本公開:1976/03●配給:ワーナー・ブラザース●最初に観た場所:池袋文芸坐 (77-12-14) (評価:★★★★)●併映:「セルピコ」(シドニー・ルメット)

『ロンゲスト・ヤード』(1974).jpg『ロンゲスト・ヤード』(1974)2.jpgEd Lauter.jpg ド・ローターは「ロンゲスト・ヤードの鬼看守役で、バート・レイノルズと拮抗した演技を見せていましたが(「X‐ファイル」にも出ていた)、この人や「十二人の怒れる男」のリー・J・コップなどは、"脇役"の域を超えているかも。ジャック・ウォーデンも、「十二人」の1人でしたが、「ジャスティス」で判事役をやったほか、「評決」でポール・ニューマンと組む弁護士役をやるなど、裁判絡みの役が結構あったなあと。

Burt Reynolds THE LONGEST YARD.jpgロンゲスト・ヤード.jpg 「ロンゲスト・ヤード」は看守対囚人のフットボールの試合を描いた男臭い映画でしたが(主演のバート・レイノルズはフットボール選手出身。三鷹オスカーで観たレイノルズ主演の3本立てでは、この作品の役が一番ハマっていた)、007の敵役ジョーズ役リチャード・キールなんていうのも出ていました(この作品は'05年にリメイクされた)。

「ロンゲスト・ヤード」●原題:THE MEAN MACHINE (THE LONGEST YARD)●制作年:1974年●制作国:アメリカ●監督:ロバート・アルドリッチ●製作:ロバートエヴァンスほか●撮影:ジョセフ・F・バイロック●音楽:フランク・デ・ヴォル●原案:アルバート・S・ラディ ●時間:121分●出演:バート・レイノルズ/エディ・アルバート/マイケル・コンラッド/リチャード・キール/エド・ローター/ジム・ハンプトン/ハリー・シーザー/ジョン・スティードマン/アルバート・S・ラディ/トレイシー・キーナン・ウィン/バーナデット・ピーターズ●日本公開:1975/05●配給:パラマウント映画●最初に観た場所:三鷹オスカー (78-07-20) (評価:★★★★)●併映:「トランザム7000」(ハル・ニーダム)/「デキシー・ダンスキングス」(ジョージ・G・アビルドセン)

アメリカン・グラフィティ.jpg  ボー・ホプキンスなどは、ジョージ・ルーカス監督の「アメリカン・グラフィティ」のファラオ団のリーダーでしたが、すでに「ワイルドバンチ」で、ペキンパー一家の1人だったわけか。

アメリカン・グラフィティ [DVD]

 「アメリカン・グラフィティ」では、少しひ弱な感じのチャールズ・マーティン・スミスも印象に残りました。
アメリカン・グラフィティAmerican Graffiti.jpgアメリカン・グラフィティ チラシ.jpgCharles Martin Smith.jpgCharles Martin Smith

 彼はラストで、ベトナムで戦死したことになっていたなあ。リチャード・ドレイファスら演じた4人組の内の1人、ロン・ハワードが演じたスティーヴは"事故死"になっていましたが、ロン・ハワード自身は後に監督となり「アポロ13」「ダビンチ・コード」を撮ります。この映画撮影当時、プロの役者として活動しいたのは実はロン・ハワードのみで、但し、当時はまだ無名です。リチャード・ドレイファス、ハリソン・フォード、チャールズ・マーティン・スミスらは、役者としての実績すら殆どありませんでした。チャールズ・マーティン・スミスは、「アンタッチャブル」でも死んでいく役で、どこまでも"脇"でした。

『ワイルドバンチ』(1969).jpgワイルドバンチ.jpg 因みに「ワイルドバンチ」は、本書が最も注目する脇役"宝庫"の映画であり、主役級のウィリアム・ホールデンのほかに、アーネスト・ボーグナイン、ローバート・ライアン、ウォーレン・オーツ、エドモンド・オブライエン、ベン・ジョンソン、ジェイミー・サンチェス、エミリオ・フェルナンデスらが、プロデューサーとの衝突でハリウッドを干されていたサム・ペキンパーのもとに集結して作った西部劇作品(これだけ出ていれば、ボー・ホプキンスが出ていたことをすぐに思い出せないのも無理ない)。無法者たちの織り成す殺戮劇はヤクザ映画に通じるところがありますが、ペキンパーは本来は「滅びの美学」というより「暴力の虚しさ」を説きたかったのではないかと思います(深作欣二の「仁義なき戦い」も一応はそういうことになっているのだが)。

アメリカン・グラフィティ図1.jpgチャーリー・マーチン・スミス2.jpg「アメリカン・グラフィティ」●原題:AMERICAN GRAFFITI●制作年:1973年●制作国:アメリカ●監督:ジョージ・ルーカス●製作:フランシス・フォード・コッポラ/ゲイリー・カーツ●脚本:ジョージ・ルーカス/グロリア・カッツ/ウィラード・ハイク●撮影:ロン・イヴスレイジ/ジョン・ダルクイン ●時間:110分●出演:ハリソン・フォード アメリカン・グラフィティ.jpgリチャード・ドレイファス/ロン・ハワード/チャーリー・マーチン・スミス/キャンディ・クラーク/ポール・ル・マット/シンディ・ウィリアムズ/ ウルフマン・ジャック/ボー・ホプキンス/ハリソン・フォード/ケイ・レンツ/マッケンジー・フィリップス/キャスリーン・クインラン●日本公開:1974/12●配給:ユニバーサル●最初に観た場所:早稲田松竹 (77-11-05) (評価:★★★★)●併映:「タクシードライバー」(マーチン・スコセッシ)
Shop Around-The Miracles-original song 1960(American Graffiti 使用曲46曲メドレー)

THE WILD BUNCH_02.jpgTHE WILD BUNCH.jpg「ワイルドバンチ」●原題:THE WILD BUNCH●制作年:1969年●制作国:アメリカ●監督:サム・ペキンパー●製作:フィル・フェルドマン●脚本:ウォロン・グリーン/サム・ペキンパー/ロイ・N・シックナー●撮影:ルシアン・バラード●音楽:ジェリー・フィールディング●時間:110分●出演:アーネスト・ボーグナイン/ローバート・ライアン/ウォーレン・オーツ/エドモンド・オブライエン/ベン・ジョンソン/ジェイミー・サンチェス/エミリオ・フェルナンデス/ストローザー・マーティン/L・Q・ジョーンズ/アルバート・デッカー/ボー・ホプキンス●日本公開:1969/08●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:池袋文芸坐 (88-03-13) (評価:★★★★)●併映:「リオ・ブラボー」(ハワード・ホークス)

William Shatner&Candice Bergen in Boston Legal.jpgボストン・リーガル1.jpgウィリアム・シャトナー.jpg 挙げていくとキリがありませんが、脇役から主役級になった人、TVドラマで活躍している人もいるし、映画からテレビに移って役柄のイメージが変わった人もいます。

ウィリアム・シャトナー2.jpgWilliam Shatner&Candice Bergen in Boston Legal

 何せ、「スター・トレック」(元々はテレビシリーズだったわけだが)のカーク船長、ウィリアム・シャトナーが「ボストン・リーガル」で法律事務所長をコメディタッチで演じているぐらいだから...(共演は、キャンディス・バーゲン!それと、ジェームズ・スペイダー演じるアラン・ショアが役どころとしてはいい。彼はこのシリーズで、プライムタイム・エミー賞の最優秀主演男優賞を2度獲っている)。

「ボストン・リーガル」 Boston Legal (ABC 2004~2008) ○日本での放映チャネル:FOX CRIME(2007~2011)

 亡くなった人もいれば、まだまだ頑張っている人もいるし、ロン・ハワードのように監督になった人も...。'60年-'70年代が一気に甦ってくる本です。

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"実務寄り?"のリーガル・サスペンス。興味深い「司法取引」の様。

推定無罪 上.jpg  推定無罪下.jpg     推定無罪 ポスター.jpg Presumed Innocent m.jpg  映画「推定無罪」
推定無罪〈上〉 (文春文庫)』『推定無罪〈下〉 (文春文庫)』〔'91年〕

Presumed Innocent.jpg 1987年「英国推理作家協会(CWA)賞」シルバー・ダガー賞受賞作。1988 (昭和63) 年度「週刊文春ミステリー ベスト10」(海外部門)第1位(同年度「このミステリーがすごい」(海外編)第2位)。

 1987年発表の本作品『推定無罪-プリジュームド・イノセント』(Presumed Innocent)は、もともと連邦検察局の検事補だったスコット・トゥローが在職中に執筆したもので、彼の処女作。

 作家になった後も彼は弁護士として活動していて、死刑廃止論者でもあり、何度か法廷で死刑判決をひっくり返しているヤり手だそうです(同じ弁護士作家のジョン・グリシャムが、作家になるまでは地方で傷害事件訴訟などに主に関与していたのに比べると、法律家としてのキャリアの華々しさはこちらの方が圧倒的に上)。

 女性検事補が自宅で全裸の絞殺死体となって発見され、優秀で堅物の首席検事補として知られていた主人公は、地方検事の命令でこの事件を担当することになるが、実は事件の被害者が、自分の部下で愛人の女性だと知って驚く―。

 疑惑が自分に向けられてくる主人公の"追い詰められ感"がうまく描けていて(検察官だった人間が被告人の立場に追いやられていく訳だから、焦るのは当然だが)、面白く読めました。事件に潜む政治的な背景はともかくとして、何よりも作者が、バリバリの弁護士ということで、並みのリーガル・サスペンスよりずっと"実務寄り"な印象を受けます(自分が実務に使うわけではないけれど)。

 興味深かったのは、「公判前の評議」において「有罪答弁取引」をして公判によらない解決を図るというシステムで、所謂「司法取引」というものがどのように行われるのかが分ります(アメリカにおける刑事事件裁判の9割は司法取引で処理され、純粋に陪審員制度によって判決が下されるのは5%ぐらいだという)。日本の司法制度とか日本人の感覚とは随分違うなあという感じです。

推定無罪04.jpg '90年にシドニー・ポラック製作、アラン・J・パクラ監督で映画化され、検察官を演じたハリソン・フォードは、女性に助けられるちょっと情けない男って感じで、「インディ・ジョーンズ」シリーズからのイメージ・チェンジ作にもなりました。既に「刑事ジョン・ブック 目撃者」('85年/米)や「フランティック」('88年/米)などに出演しており、この作品以降、「逃亡者」('93年/米)などサスペンス物への出演がますます多くなるハリソン・フォードですが、この作品ではラウル・ジュリアほか女優陣の方が元気がいいです。
映画「推定無罪」 ('90年/米)

 司法取引の場面だけはキッチリと描かれていて、そこは気に入りましたが、とは言え原作はかなり長くて専門的な記述も多く、映画にするとどうしても細部は端折らざるを得ない...。ジョン・グリシャムよりは通好みの作風だと思うけれども、映画で見ると、「ああ、これもまた映画的なストーリーなのだなあ」という気がしてしまうのは、その辺りに原因があるのかも。

THE BURDEN OF PROOF 1991  .jpgTHE BURDEN OF PROOF 1991.jpg '91年には『推定無罪』の続編とも言える『立証責任』(The Burden of Proof,1990)がTV映画化(ミニ・シリーズ)されていて(日本でも'93年にビデオ販売された)、『推定無罪』の主人公ラスティ・サビッチの弁護をつとめた弁護士サンディ・スターンが原作でも映画でも前作からのスピンオフの形をとって主人公になっています。シカゴへの2日間の出張からスターンが帰宅すると妻のクララがガレージの車の中で自殺していて、31年間も連れ添った愛妻がなぜ自殺したのか、さっぱり理由がわからないスターンは、妻宛の病院からの請求書を手がかりにクララの死の真相を探り始めるというもの。おそらく原作は面白いのだろうけれど、ドラマは162分の長尺ながらもやや物足りなかったでしょうか。主人公スターンは56歳で、演じたのはヘクター・エリゾンド(「刑事コロンボ(第33話)/ハッサン・サラーの反逆」('75年)の犯人役だった)、共演は「推定無罪」にも出ていたブライアン・デネヒーで、共演者の方が存在感があったかも(ブライアン・デネヒーはこの作品でエミー賞最優秀助演男優賞にノミネートされた)。スコット・トゥローらしい法律の専門知識は生かされているように思いましたが、ややマニアックか。加えてこうした中年期の危機みたいなものを描いた作品となると、やはり映画よりもテレビドラマになってしまうのでしょうか。

推定無罪09.jpg「推定無罪」●原題:PRESUMED INNOCENT●制作年:1990年●制作国:アメリカ●製作:シドニー・ポラック/マーク・ローゼンバーグ●監督:アラン・J・パクラ●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原作:スコット・トゥロー「推定無罪-プリジュームド・イノセント」●時間:127分●出演:ハリソン・フォード/ラウル・ジュリア/ブライアン・デネヒー/ボニー・ベデリア/グレタ・スカッキ/ジョン・スペンサー/ポール・ウィンフィールド●日本公開:1991/06●配給:ワーナー・ブラザース (評価★★★)

立証責任 1993 tv 映画.jpg「立証責任」●原題:THE BURDEN OF PROOF●制作年:1991年●制作国:アメリカ●監督:マイク・ローブ●製作:ジョン・ペリン・フリン●脚本:ジョン・ゲイ●撮影:キース・ヴァン・オーストラム●音楽:クレイグ・セイファン●音楽:ジョン・ウィリアムズ●原作: スコット・トゥロー「立証責任」●時間:162分●出演:ヘクター・エリゾンド/ブライアン・デネヒー/メル・ハリス/エイドリアン・バーボー/ステファニー・パワーズ/アン・ボビー/ヴィクトリア・プリンシパル/ゲイル・ストリックランド/ジェフリー・タンバー/コンチータ・トメイ●VHS日本発売:1993/04●販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ (評価★★★) 「立証責任 [VHS]

 【1991年文庫化・2012年新装改定版[文春文庫(上・下)]】

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