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波頭・茂木両氏のある種「職業的対談」みたいで、それほど心に響いてこない。

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突き抜ける人材 (PHPビジネス新書)

 NHKスペシャルの「シリーズ日本新生」の今年('11年)1月21日放送分で、「リーダー」をテーマとして取り上げ、この日本という国の難局を打開できるリーダーを生むためには何が必要なのかという議論がされていました。

NHKスペシャル 生み出せ 危機の時代のリーダー.jpg 番組のおおまかな落とし処が、強いリーダーの出現を受け身的に待つのではなく、一人ひとりが先ず自ら"小さなリーダー"となるべく一歩を踏み出そう的な感じで、これは、東日本大震災で被災住民の支援にあたるNPOボランティアの印象などがある程度影響しているのではないかと。

NHKスペシャル リーダー.jpg 主演者の面々に、姜尚中、田坂広志、古賀茂明の各氏らがいて、途中、日本の官僚と政治家の関係の問題が話題になったりし、現在の一律的な教育の問題も若干扱っていましたが、ややモヤっとした感じの議論の展開。デーブ・スペクター氏が受験教育の弊害にストレートに言及すると、それはその場で言っても詮無いことと思われたのか(パネリストの中に若手官僚などもいたせいか)、司会者にほ無視されたような...。

NHKスペシャル・シリーズ日本新生「生み出せ!危機の時代のリーダー」
                           
 本書は「突き抜ける人材」とは何か、どこがフツーと違うのか、そうした人材を生み出すにはどうすればいいのかを、波頭・茂木両氏が、直接対談ではありませんが、対談を模したようなリレー・エッセイの形で綴ったものです。

 必ずしも組織リーダーに限らず、ビジネスやイノベーションの分野での「突き抜ける人材」の輩出を模索したものと言えますが、教育の問題も一応はちゃんと扱っており、落とし処は「私塾」に対する期待のようなものになっています、

 2人とも話題は豊富と言うか、世相評論的な纏めは上手で、「海外ではこうしている」といった出羽守(ではのかみ)的な発言が少なからずあるものの、議論を更に進めており、現代教育の在り方への批判から、それではどうすればよいかということで、「私塾」というのが浮かんできたようです。

 但し、そこに至る1つ1つのテーマについての突っ込みがそれほど深くなく、どことなく既知感のある内容の評論風に流れていくため、危機感を煽りながらも"言い放っし"になっているような印象もあり、「お気楽対談」とまでは言いませんが、ある種「職業的対談」みたいで、それほど心に響いてきません(じゃあホントに「茂木塾」開くのかなあ)。

 NHKの「シリーズ日本新生」でもケーススタディとしてスティーブ・ジョブズが取り上げられていましたが、茂木氏が本書の中で、ジョブズ、ジョブズと連発するのにはやや辟易させられました(「ジョブズ追悼番組」にも出演していたし、この人のジョブズ崇拝は相当なもののようだ。番組ではWindowsは嫌いだと発言して、西和彦・元マイクロソフト副社長と喧嘩になったようだが)。
 
 ジョブズには個人的にも関心があり、学ぶ面も多いけれども、傑出した才能だけでなくキャラクターの激しさも含め、常人の域を超えているようなところがあるから(それでジョブズ自身も何度か大きな失敗をしているし)、彼自身をそのまま手本にするはちょっとキツいのではないかなあ(フェイスブックのマーク・ザッカーバーグについても同じ)。

 茂木氏って今やオールマイティ(専門分野不明)みたいな感じですが、こういうことを広く浅くスラスラ語れるのがまさにこの人の才能? 意図してやっているのではなく"天然"なのでしょう。

《読書MEMO》
●若くして頭角を現すための共通項(波頭氏)
「アメリカの経営学者であるジョン・コッターの調査によると、若くして頭角を現した人には、二つの共通項があるそうです。一つは、アジェンダを持っていること、もう一つは、ネットワークを持っていることです。アジェンダとは、日本ではよくミーティングで「その場での主要テーマ」といった意味で使われますが、ジョン・コッターのいうアジェンダは、「その人がつねに抱くこだわり」、つまり「執着するテーマ」のことです。(中略)コッターが指摘しているもう一つの共通事項のネットワークとは、社内や取引先、あるいはまったく無関係な外部にも、何かやろうとしたときにお願いできる人がいることです」

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行った場所(コスタリカ)が良かった? 写真が美しく、書き下ろしの文章も悪くない。

茂木 健一郎 『熱帯の夢』.jpg 熱帯の夢.jpg 『熱帯の夢 (集英社新書ヴィジュアル版)』 ['09年] 

コスタリカ共和国.bmp 脳科学者である著者が、'08年夏、著者自身が碩学と尊敬する動物行動学者の日高敏隆氏らと共に、中米・コスタリカを11日間にわたって巡った旅の記録。

 著者は子供の頃に昆虫採集に没頭し、熱帯への憧憬を抱いていたとのことですが、コスタリカには蝶だけでも1千種を超える種類が棲息していて、その他にも様々生物の多様性が見られるとのことで、本書の旅も、熱帯の昆虫などを著者自身の目で見ることが主目的の旅と言えるかと思います。

 中野義樹氏の写真が素晴しく、珍しい生態で知られるハキリアリや、羽の美しいことで知られるモルフォチョウといった昆虫だけでなく、ハチドリやオオハシ、世界一美しいと言われるケツァールなどの鳥類も豊富に棲息し、何だか宝石箱をひっくり返したような国だなあ、コスタリカというのは。イグアナとかメガネカイマン(ワニ)、ナマケモノまでいる。

 中米諸国の中においては、例外的に治安がいいというのがこの国の良い点で(1948年に世界で初めて憲法で軍隊を廃止した)、その分、野生生物の保護に国の施策が回るのだろうなあ。勿論、観光が国の重要な産業となっているということもあるでしょうが。

茂木健一郎/日高敏隆.jpg そうした土地を、コスタリカ政府から自然調査の許可を名目上は取り付けた動物学者らと10人前後で巡っているわけで、"探検"と言うより"自然観察ツアー"に近い趣きではありますが、部外者がこういう所へいきなり行くとすれば、こうしたグループに帯同するしかないのかも。

 著者にしても、この本を書くこととのバーターの"お抱え旅行"とも取れなくもないですが、最近の著者の新書に見られる語り下ろしの「やっつけ仕事」ではなく、本書は書き下ろし(一部は集英社の文芸誌「すばる」に掲載)。

 この人、ちゃんと"書き下ろし"たものは、"語り下ろし"の本とは随分トーンが異なるような(いい意味で)感じで、"語り下ろし"はテレビで喋っているまんま、という感じですが、本書を読むと、エッセイストとして一定の力量はあるのではないかと(コスタリカという"素材"や美しい写真の助けも大きいが)。

 クオリア論はイマイチだけど(これも日高氏と同様に著者が尊敬する人であり、また、同じく昆虫好きの養老孟司氏から、クオリア論は「宗教の一種」って言われていた)、多才な人であることには違いないと思います。
 もじゃもじゃ頭で捕虫網を持って熱帯に佇む様は、「ロココの天使」(と体型のことを指して友人に言われたらしい)みたいでもありますが。
 
 

著者と日高敏隆 氏 (撮影:中野義樹/本書より)  
  
                                

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理論解説より、人となりにウェイト。新書創刊に合わせた"名前貸し"?

あなたにもわかる相対性理論.jpg 『あなたにもわかる相対性理論』.jpg 『あなたにもわかる相対性理論 (PHPサイエンス・ワールド新書)』 ['01年]

 相対性理論の解説も一応はされていますが、どちらかと言うと、アインシュタインという人がいかに偉大であったかを、個人の思いいれたっぷりに語った本で、テレビ出演等で忙しいのに、よくこんな専門分野でもはない本を書いている時間があるなあと思ったら、著者の喋ったことを編集者が文章化した「語り書き」でした。やっぱり。

 個人的には、著者は(話の内容や最近とみに目立つ通俗的な方向性はともかく)プレゼンテーション能力は高い人だと思っており、本書に関してもそれは感じられなくもないですが、文章が文語調であるにも関わらず、内容が「喋り」のトーンと同じになっていて、文章にすると意外と深みを感じなかったりして...。
 脳科学に関連づけた解説も、著者がよくやるテレビ番組のコメントを再生しているような感じ。

 アインシュタインの人となりを表すエピソードが多く紹介されているのが取り柄でした。
 「A(成功)=X(仕事)+Y(遊び)+Z(口を開かぬこと)」というのがアインシュタインの成功信条だったとのことで、「口を開かぬこと」というのは、口を開いてしまうと、どうしても他人の評価を気にしたり、他人のために何かをすることのなるからとのこと。

 相対性理論の解説そのものには、著者のオリジナル的な表現が殆ど見られず(タイトルからそれを期待して本書を手にしたのだが)、ホントに概略のみ。
 「喋り」とは別に著者が後で書き加えたのか、アインシュタインの経歴等と併せて編集者が文献を引き写しながら書いたのか、何れにせよ、全体のトーンに一貫性がないような気がしました。
 
 解説がちょっと細部にわたると、いきなり活字が小さくなって(この部分は明らかに編集者が資料をもとに書いたのだろう)、全体を通して平易な割には必ずしも読み易いとは言えず、最後にいきなり、難易度の上がる「第二論文」が出てくるのも唐突な印象。
 
アインシュタイン丸かじり.jpg 新書創刊に合わせた"名前貸し"的な側面があることは否めないのでは。
 手近でいいから(或いは、手近であることを条件として)アインシュタインの人柄だけでなく理論そのものをざっくり学んでみたいという人には、志村史夫氏の『アインシュタイン丸かじり-新書で入門』('07年/新潮新書)の方をお奨めします。

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人間とは何か。それは脳と遺伝子に尽きる!(養老孟司)

脳+心+遺伝子.jpg                            脳とサムシンググレート 5次元文庫.jpg
脳+心+遺伝子VS.サムシンググレート―ミレニアムサイエンス 人間とは何か』('00年/徳間書店)/『脳とサムシンググレート』 ['09年/5次元文庫(徳間書店)]

 村上和雄(分子生物学)・茂木健一郎(脳科学)・養老孟司(解剖学)の3人の学者の遺伝子・心・脳などについての自説展開と対談をまとめたもので、何だか全員の考えを取り込んだようなタイトル。

 村上氏が遺伝子以外の情報で遺伝子のスイッチがON/OFFとなると言っているのは今や通説です。
 ただ、その遺伝子を支配するものを〈サムシンググレート〉としていることに対して、養老氏は、神を考えたがるのは人間の脳の癖だと冷ややか(?)。
 茂木氏の〈クオリア説〉にも、養老氏は「皆さん、これ納得できる?」みたいな感じです。
 人間を神経系(脳)と遺伝子系という2つの情報系に分けて捉える養老氏の考えが、比較的すっきりしているように思えました。

 随所に興味深い話が多く、公務員であるため上限規制があるという国立大学の学長の給料の話(独立行政法人化され事情は変わった?)なども個人的にはそうだったのですが、話題を拡げすぎて全体にまとまりを欠いた感じもします。

《読書MEMO》
●村上和雄(分子生物学者・筑波大名誉教授)...サムシンググレート(遺伝子を支配している何かがある)。遺伝子以外の情報で遺伝子のスイッチがON/OFに。
●茂木健一郎(脳科学者)...クオリア(脳という物質になぜ感覚が宿るか?)
●養老孟司...人間は神経系(脳)と遺伝子系(免疫系など)の2つの情報系を持つ。当面は2つは違うものとすべき。ヒトゲノムや遺伝子操作の研究は、実は「脳一元論」「脳中心主義」。脳は脳に返せ。
●〔養老〕サムシンググレートは神の類似概念。それを考えるのは「脳のクセ」
●〔村上〕東大や京大の学長の給料なんて知れている。公務員だから(135p)
●〔茂木〕永井均、池田晶子が面白い(242p)
●〔養老〕人間とは何か。それは脳と遺伝子に尽きる(330p)/脳は遺伝子が作ったが、遺伝子から独立しかかっている(338p)

 【2009年文庫化[5次元文庫(『脳とサムシンググレート』)]】

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