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ユーモア・サスペンスとして楽しめる「疾風ロンド」。FⅩで見せた「海賊と呼ばれた男」。

疾風ロンド 2016 .jpg 疾風ロンド 原作.jpg  海賊と呼ばれた男  2016.jpg 海賊と呼ばれた男 2016 チラシ.jpg 海賊と呼ばれた男 原作.jpg
「疾風ロンド」チラシ/『疾風ロンド (実業之日本社文庫)』/「海賊と呼ばれた男」ポスター・チラシ/『海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)

疾風ロンドes.jpg 泰鵬大学医科学研究所では、研究員・葛原(戸次重幸)が危険な細菌を利用した生物兵器「K-55」という炭疽菌が開発してしまったことで、葛原を解雇する。葛原はその腹いせに「K-55」を研究所から持ち出し、ある場所に埋め目印として近くに木にテディベアを張り付ける。その後、所長の東郷(柄本明)宛てに3億円を要求した脅迫の内容のメールが届き、メールにはテディベアの写った写真が添付されていた。テディベア疾風ロンドges.jpgには発信機がつけられており、その受信機は葛原が持っている。研究主任の栗林(阿部寛)は警察に届けることを主張するが、所長は生物兵器を秘密裏に探すよう栗林に命じる。栗林は何の手がかりも無い中で捜索を始めるが、そこへ警察から葛原が事故で亡くなったという電話があり、葛原の遺体確認の際に荷物の中にデジカメと受信機を発見、そのデジカメのデータの中から「ある場所」がスキー場だと考える。スノーボードが好きな息子(濱田龍臣)の力を借り、そこは野沢温泉スキー場だと分かるが、野沢温泉スキー場は日本最大級の広さを持つスキー場だった―。

疾風ロンド 08.jpg 「疾風ロンド」の原作は東野圭吾の長編サスペンスで、 '13年11月実業之日本社から文庫書き下ろしで発刊され、作者の書き下ろしの文庫本での発売は17年ぶりだったそうですが、発売10日で100万部を突破したとのこと。同じく実業之日本社から'10年10月に実業之日本社文庫の創刊第1弾として、雑誌連載後これもいきなり文庫で刊行された『白銀ジャック』も発売から1か月余りで100万部を突破していますが、それを上回るスピードでの100万部達成ということになります('16年12月には雪山シリーズの3作目『雪煙チェイス』がこれもいきなり文庫で刊行された)。

疾風ロンド    s.jpg 原作はユーモア・サスペンス小説で、軽いとの批判もあったようですが、二転三転するストーリー展開の面白さを支持する声も結構あったみたいです。映画も、実写でありながらも割り切ってユーモア・サスペンス風に仕上げており(ムロツヨシとか変に可笑しい)、そのことが二転三転する展開と相俟って"軽く"楽しめるものになっていたように思います。仮に、大真面目な演出にしていたら、「炭疽菌」と言われても普通はイメージが湧かないだけに映画自体が持たなかったでしょう。因みに、原作を端折っている部分もありますが、ラストは明らかに原作を「改変」しています。


海賊と呼ばれた男 road.jpg 主要燃料が石炭だった当時から、石油の将来性を予感していた若き日の国岡鐵造(岡田准一)は、北九州・門司で石油業に乗り出すが、その前には国内の販売業者、欧米の石油会社(石油メジャー)など様々な壁が立ち塞がり、行く手を阻ぶ。しかし、鐵造は諦めず、それまでの常識を覆す奇想天外な発想と型破りな行動力、自らの店員(部下)を大切にするその愛情で、新たな道を切り拓いてく。その鐵造の姿は、敗戦後の日本において逆風にさらされても変わることはなかった。そしてついに、敗戦の悲嘆にくれる日本人の大きな衝撃を与える"事件"が発生する。石油メジャーから敵視され圧倒的な包囲網によりすべての石油輸入ルートを封鎖された国岡鐵造が、唯一保有する石油タンカー「日承海賊と呼ばれた男  .jpg丸」を、秘密裏にイランに派遣するという"狂気"の行動に打って出たのだ。イランの石油を直接輸入することは、イランを牛耳るイギリスを完全に敵に回すこと。しかし、イギリスの圧力により貧困にあえぐイランの現状と自らを重ね合わせた鐵造は、店員の反対を押し切り、石油メジャーとの最大の戦いに挑む―。

出光佐三.jpg海賊と呼ばれた男 1es.jpg 「海賊と呼ばれた男」の原作は百田尚樹による第10回本屋大賞受賞作品であり、こちらも'16年12月現在、上下巻累計で420万部というベストセラーです。出光興産創業者の出光佐三(いでみつ さぞう、1885-1981)をモデルにした歴史経済小説ですが、原作の段階から、出光佐三→国岡鐵造、出光興産→国岡商会、日章丸→日承丸、などと改変されています。映画では、60歳の鐵造を起点にそれまでの彼の歩みをカットバック風に振り返りながら、次第に60歳以降の出来事が多く描かれるようになり、その生涯を終えるまでを追っています。

海賊と呼ばれた男 07.jpg このように時系列が多少前後しますが、伝記映画としてはオーソドックスな作りになっているように思いました。ただ、一企業の草創期からの歴史を描いた作品でもあるため、その分、「プロジェクⅩ」などにおける再現映像の"拡大版"を観ているような印象も。出演者の演技が何となくワンパターンであるし、主演の岡田准一の演技も力入りすぎという感じでした(老け役になってから良くなった。助演の吉岡秀隆も、同じ山崎貴監督の「ALWAYS 三丁目の夕日」('05年/東宝)での演技の方が自然だった)。途中、やや中だるみ感がありましたが、終盤に「日章丸事件」というとっておきのエピソードが控えていたため、最後盛り返したという感じでしょうか海賊と呼ばれた男 日承丸 s.jpg。しかも、日承丸が英国艦隊とぶつかりそうになる場面とか、VFXがふんだんに使われていて、思った以上に見応えがありました(VFXは、「ALWAYS 三丁目の夕日」や、庵野秀明監督の海賊と呼ばれた男 堤.jpgシン・ゴジラ」('16年/東映)と同じく、山崎貴監督自身が所属する「白組」が担当した)。日承丸の船長を演じた堤真一(この人も「ALWAYS 三丁目の夕日」の俳優陣の1人)は、岡田准一よりも印象に残ったと言うと言い過ぎになるかもしれないですが、おいしい役どころだったかも。


疾風ロンドa.jpg「疾風ロンド」●制作年:2016年●監督:吉田照幸●脚本:ハセベバクシンオー/吉田照幸●撮影:佐光朗●音楽:三澤康広(主題歌:B'z)●原作:東野圭吾●時間:109分●出演:阿部寛/大倉忠義/大島優子/ムロツヨシ/堀内敬子/戸次重幸/濱田龍臣/志尊淳/野間口徹/麻生祐未/生瀬勝久/望月歩/前田旺志郎/久保田紗友/鼓太郎/堀部圭亮/中村靖日/田中要次/菅原大吉/でんでん/柄本明●公開:2016/11●配給:東映●最初に観た場所:TOHOシネマズ日本橋(16-12-22)(評価:★★★☆)

海賊と呼ばれた男 2016.jpg「海賊と呼ばれた男」●制作年:2016年●監督:山崎貴●脚本:山崎貴●撮影:柴崎幸三●音楽:佐藤直紀●VFX:山崎貴●原作:百田尚樹●時間:109分●出演:岡田准一/吉岡秀隆/染谷将太/鈴木亮平/野間口徹/ピエール瀧/綾瀬はるか/小林薫/光石研/堤真一/近藤正臣/國村海賊と呼ばれた男 上下.jpg隼/黒木華/須田邦裕/小林隆●公開:2016/12●配給:東宝●最初に観た場所:TOHOシネマズ日本橋(16-12-22)(評価:★★★☆)

TOHOシネマズ日本橋.jpgTOHOシネマズ日本橋
スクリーン 座席数(車椅子用) スクリーンサイズ
SCREEN 1 128+(2) 10.1×4.2m
SCREEN 2 110+(2) 9.1×3.8m
SCREEN 3 119+(2) 9.6×4.0m
SCREEN 4 119+(2) 9.6×4.0m
SCREEN 5 226+(2) 13.9×5.8m
SCREEN 6 213+(2) 13.6×5.7m
SCREEN 7 404+(2) 18.7×7.9m TCX
SCREEN 8 290+(2) 16.0×6.7m TCX
SCREEN 9 143+(2) 10.1×4.2m
9スクリーン 1,752+(18)

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東野圭吾原作。大掛かりは大掛かりだったけれど、やはりやや大味に。

天空の蜂ps.jpg 天空の蜂 .jpg 天空の蜂 dvd.jpg   天空の蜂  i.jpg
映画「天空の蜂」イメージポスター/映画「天空の蜂」ポスター/「天空の蜂 [DVD]」/東野 圭吾『天空の蜂』単行本

天空の蜂G.jpg 1995年8月8日、最新鋭の超巨大ヘリ《ビッグB》が、突然動き出し、子供を一人乗せたまま、福井県にある原子力発電所「新陽」の真上に静止した。遠隔操縦によるハイジャックという手口を使った犯人は〈天空の蜂〉と名乗り、"全国すべての原発の破棄"を要求、従わなければ、大量の爆発物を搭載したヘリを原子炉に墜落させると宣言する。機内の子供の父天空の 蜂W1.jpg親であり《ビッグB》を開発したヘリ設計士・湯原(江口洋介)と、原子力発電所の設計士・三島(本木雅弘)は、上空に取り残された子供の救出と、日本消滅の危機を止めるべく奔走するが、政府は原発破棄を回避しようとする。燃料が尽きてヘリが墜落するまで残された時間は8時間―。その頃愛天空の蜂C.jpg知県では、《ビッグB》と原発を開発した錦重工業本社に、家宅捜索が入っていた。総務課に勤める三島の恋人・赤嶺(仲間由紀恵)は、周囲に捜査員たちが押し寄せる中、密かに恋人の無事を祈る。一方、事件現場付近で捜査にあたる刑事たちは、《ビッグB》を奪ったと思われる謎の男・雑賀(綾野剛)の行方を追う―。

 原作は東野圭吾が20年前に発表した書き下ろし長編で('95年講談社刊)で、作者にとっては最も思い入れのある作品であるとのこと。これまで映画化されていなかったのは、映像化が困難であったためとのことですが、まあ、それだけスケールの大きな作品であることには違いないのかも。その分、大味なのではないかと勝手に決め込んで、こういうのは原作を読み返すより映画を観てしまった方がよいのではないかと思い、先に劇場に行きました。

 CGも使ってはいますが(こうした作品はもうCG無しでは作れないみたいになっているなあ)、大掛かりは大掛かりでした。その分逆に、東野圭吾らしい捻ったプロットは見られないのかなあと思ったら、一応、ストーリー上はありました。ただ、この"二重構造の犯人"はちょっと天空の蜂 ehara.jpg天空の蜂 motoki.jpg分かりにくかったように思われ、138分は少し長く感じられたでしょうか。全部アクションシーンで撮るわけにもいかないでしょうが、ドラマ部分がちょっとダルく感じられ、むしろ、三島と雑賀の繋がりなど、プロットに関わる部分をもっとしっかり描いて欲しかったように思います(結果として、やはり、やや大味だったというところか)。

天空の蜂 amino.jpg天空の蜂 D1.jpg 江口洋介、本木雅弘は初共演ということで、まずまずの"競演"ぶりでしたが、ややオーバーアクション気味のところもあって、逆にイマイチ胸に響かない面も。更には、綾野剛、仲間由紀恵などの演技も何となくワンパターンに感じられ、むしろ、刑事役の手塚とおる、落合モトキなどの"脇の脇"の演技が光ったかも。ラストで、湯原の子供が自衛官(向井理)になっていて2011年3月13日、東日本大震災の2日後に現地で支援活動任務に服しているという設定は、当然のことながら原作には天空の蜂E.jpg天空の蜂T70.jpg天空の蜂 向井.jpgありません。自衛隊のリクルートも兼ねたシーンかと思いきや、自衛隊はこの映画には協力していないようです。自衛隊どころか、川崎重工業 富士重工業といった国産ヘリコプター・メーカーも協力しておらず(協力はエアバス社)、やはり、国からの受注企業は原発は危険というイメージが伴う作品には協力出来ないのでしょう(原発で頑張っている人も描いているのだけど)。

天空の蜂 ビッグB.jpg ラスト近くで、仮に《ビッグB》が原子炉建屋に墜落して建屋が壊れても格納容器までは壊れないだろうという犯人の読みが明かされていたように思いましたが(その理屈に従って、緊急時の格納容器内への避難を提案している場面が既にあった)、むしろ、使用済み核燃料庫の上に墜落する方が危険であるならば、ヘリ落下の際にリモコンで位置をずらすのも、落下に要する時間が数秒しかないということからみて、それなりに危険なのではないでしょうか。

 また、超巨大ヘリの後部ハッチが、缶コーヒーの缶と懐中電灯を挟んだだけで閉まらなくなるというのもどうかとか、こういのって、テクニカルな部分にケチをつけ始めると際限が無くなるのかも。

天空の蜂 cast.jpg「天空の蜂」●制作年:2014年●監督:堤幸彦●製作:大角正/木下直哉/古川公平/坂本健/宮本直人●脚本:楠野一郎●撮影:唐沢悟●音楽:リチャード・プリン●原作:東野天空の蜂 文庫.jpg圭吾「天空の蜂」●時間:138分●出演:江口洋介/元木雅弘/仲間由紀恵/綾野剛/國村隼/柄本明/石橋蓮司/竹中直人/手塚とおる/松島花/石橋けい/落合モトキ/向井理/佐藤二朗/光石研/やべきょうすけ/永瀬匡●公開:2015/09●配給:松竹●最初に観た場所:シネマサンシャイン池袋(15-09-22)(評価:★★★)天空の蜂 新装版
  
           
サンシャインシネマ池袋47.jpg池袋シネマサンシャイン 1985年7月6日池袋サンシャイン60通りに「池袋シネマサンシャイン」オープン、2009年5月1日「シネマサンシャイン池袋」に改称(6館体制)。
サンシャインシネマ池袋 tizu.png1番館:234席
2番館:176席
3番館:135席
4番館:264席
5番館:409席
6番館:139席

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謎解きの面白さと人間の情(業)を描いた部分の重さが適度に均衡。松本清張っぽい?

祈りの幕が下りる時1.jpg祈りの幕が下りる時

 2014(平成26)年・第48 回「吉川英治文学賞」受賞作。2013年「週刊文春ミステリーベスト10」第2位。2014年「このミステリーがすごい!」第10位。

 小菅のアパートで滋賀県在住の40代女性・押谷道子の腐乱遺体が発見され、アパートの住人の越川睦夫という男性は消息を絶っていた。捜査一課の松宮は殺害時期や現場が近い新小岩での河川敷で発生したホームレス焼死事件との関連を感じながらも、道子の住む滋賀県での捜査で道子が中学の同級生で演出家の浅居博美を訪ね上京したことを突き止める。しかも博美は松宮の従兄で日本橋署の刑事・加賀の知り合いだった。松宮から博美についての意見を求められ、初めは管轄違いということもあり助言する程度だった加賀だったが、アパートで見つかった日本橋にある橋の名前を月毎に書き込んだカレンダーの存在が、この事件を思わぬ形で加賀の中で燻っていた失踪した母に関する謎と直結させることとなる―。

 "加賀恭一郎シリーズ"の『赤い指』『新参者』『麒麟の翼』に続く作品で、このシリーズの第10作となる書き下ろし作品。そっか、もう第10作になるのかあという感じで、"ガリレオシリーズ"('14年時点で8作)より多いのが意外に感じるのは、個人的には『赤い指』より前の作品を読んでいないせいかも。TVドラマ化などで注目を集めたのも阿部寛主演の「新参者」以降ではないかなあ。

 今回は面白かったです。『新参者』のような連作でもその持ち味を発揮している作者ですが、やはりこうしたストレートな長編はハマれば面白い。本作は、書き下ろしということもあってか、その"ハマった"例でしょう。謎解きの面白さと人間の情を描いた部分の重さが適度に均衡していて、特に「情」の部分は人間の「業」を描いた部分であるとも言え、社会性のある背景なども相俟って、松本清張の作品などを想起させられました。

 実際、評論家の川本三郎氏は本作を「犯罪の背後に犯人の経済的苦境が浮かび上がる松本清張の世界を思わせる古典的ミステリー」と評し、『砂の器』との類似を指摘しているほか、書評家の岡崎武志氏も「東野版『砂の器』ともいえる」と評しているとのことで、同じような印象を抱いた人は結構いるようです(『ゼロの焦点』を連想させる部分もある)。

 そうした「昭和的」雰囲気を醸しながらも、原発作業員など今日的テーマに繋がるモチーフを織り込んでいて、それがそう不自然でないのが旨いと思いました。日本橋川に架かる12の橋をモチーフに用いているところがやや凝り過ぎの印象もありますが、まあ、下町の地理や文化を作品に織り込むのは"加賀恭一郎シリーズ"のお約束事と見るべきでしょうか。

 やはりプロットがよく出来ているというのが一番だと思います。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』('12年/角川書店)で「中央公論文芸賞」、『夢幻花(むげんばな)』('13年/PHP研究所)で「柴田錬三郎賞」受賞、そして本作で「吉川英治文学賞」と、既にミステリ界の第一人者でありながら、何だかここにきて更に"賞"づいている感じですが、本作の吉川賞の受賞は個人的には納得できました。

【2016年文庫化[講談社文庫]】

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「2時間ドラマ」みたいな感じの話。ヤングアダルト・ミステリー?

東野 圭吾 『夢幻花』 .jpg夢幻花(むげんばな).jpg夢幻花(むげんばな)』(2013/04 PHP研究所)装丁:川上成夫

 2013(平成25)年度・第26回「柴田錬三郎賞」受賞作。

 大阪の大学院生の蒼太は、父の三回忌で江東区木場の実家に帰っていた。兄の要介は、父の三回忌よりも仕事を優先して出かけてしまっていた。蒼太は、その要介を訪ねて来た秋山梨乃と知り合う。職業を偽ってまで梨乃に接近し、ブログから「黄色い花」の写真を直ちに削除するようにと忠告した要介の真意は何なのか? 梨乃の祖父・周治が殺害された事件に、謎の「黄色い花」が少なからず関係していると考えた蒼太と梨乃は、二人で「黄色い花」の謎と事件の解明に向けて行動を起こす。一方、西荻窪署の早瀬亮介は、息子・裕太の窮地を救ってくれた正義感の強い老人・秋山周治が、所轄の殺人事件の被害者だと知って驚く。手掛かりが少なくとも絶対に迷宮入りにはさせないと、犯人逮捕に向けて一人捜索を続けていた―(「ウィキペディア」より)。

 2002年から2004年までPHP研究所刊行の月刊誌「歴史街道」に連載された後、約10年を経て2013年にPHP研究所から単行本刊行と、この作者の作品にしては発表から単行本化までの期間が長いです。そのため、科学情報が古くなるなどし、お蔵入りは避けたいとしてストーリーに大幅に手を入れるなどしたそうですが、発表誌がマイナーなこともあるでしょうが、読んでみて連載時にさほど話題にならなかったのが分かるような気もする作品でした(近年「脱法ハーブ事件」などが報道されていることを思うと、時代に先行していた面もあった?)。

 話が「2時間ドラマ」もみたいな感じだったかな。これくらいのプロットなら、この作者であればさらさら書けてしまうのではないでしょうか。「黄色い朝顔」というモチーフや人物構成などはやや凝っているものの、珍しいとされる「黄色い朝顔」が同時に"夢幻花"でもあったというのはややご都合主義的であるし、何よりも殺人事件のその誘因となった動機がしょぼいし(シャブ欲しさ)、殺人そのものが全く突発的な「無計画殺人」であるというのもねえ(推理不可能)。

黄花イポメア.jpg 大学生が主人公で、同年代の女性との出会いが会って...と、どちらかというとヤングアダルト・ミステリーといった感じでしょうか。「歴史街道」の読者層とあまり重ならない気もしますが、当時から「歴男」「歴女」って相当数いた?

 因みに、「黄色い朝顔」は一般的な日本の朝顔と同じイポメア種に「黄花イポメア」があり、西洋朝顔にも黄花を咲かせるものがあるようです。

我が家の朝顔
「ベランダ園芸と変化朝顔」(By 花メダカさん)

渡辺 淳一.jpg それにしても、10年前の小説を書き直した作品が「柴田錬三郎賞」かあ。新人賞ではないから別に構わないのですが、人気作家という意味で東野氏は、選考委員と変わらないかそれ以上では(選考委員:浅田次郎・伊集院静・長部日出雄・津本陽・林真理子・渡辺淳一)。

 作者が5回も「直木賞」の稿補になりながら落選した(6回目で受賞)、その何度も落選させた張本人とも言われている渡辺淳一氏あたりが今回も反対しそうな気がしたけれど...。その渡辺淳一氏も先月['14年4月]亡くなり、これが選考委員としての最後の仕事となりました。

 渡辺氏の直木賞選考委員としての仕事の方は、'14年1月の第150回選考会を欠席しており(おそらく前立腺がん末期にあったと思われる)、この回から新たに選考委員になった東野氏が渡辺氏と直木賞選考委員会で同席するという状況は結局実現することのないものとなりました。 

【2016年文庫化[PHP文芸文庫]】

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やや出来過ぎた話もあるけれど、ファンタジーと割り切れば楽しめ、ほろっとさせられもした。

ナミヤ雑貨店の奇蹟2.jpgナミヤ雑貨店の奇蹟1.jpgナミヤ雑貨店の奇蹟』(2012/03 角川書店)

 2012(平成24)年・第7回「中央公論文芸賞」受賞作。

 コソ泥をして逃亡中の敦也・翔太・幸平は突然盗んだ車が動かなくなり、仕方なく以前翔太が見つけた廃屋「ナミヤ雑貨店」に逃げ込み夜が明けるのを待つことに。三人が店を物色していると、突然シャッターにある郵便口に手紙が投げ込まれ、そこには月のウサギと名乗る者からの悩み相談が書かれていた。店に残っていた雑誌によると、ナミヤ雑貨店はかつて店主が投函された相談に一生懸命答えてくれる事で有名だった。敦也は放っておこうというが、翔太と幸平は返事を書く事を決意する―(第1章「回答は牛乳箱に」)。

 タイムスリップをモチーフにした連作スタイルの作品で、第1章 の「回答は牛乳箱に」で、廃屋となっている「ナミヤ雑貨店」及びそこにある牛乳箱を介在した、主人公たちと過去の人物との、悩み相談の手紙とその回答の遣り取り―という、この連作を貫く構図が示されます。

 作者自身の談によれば、最初にこの"システム"を思いついて、次に、なぜ「悩み相談」のようなことがそこで行われているかを考え、その上で、「人生の岐路に立った時に人はどうすべきか」ということを年頭に置きつつ、各物語の世界を構築していったとのことです。

 以下、「夜更けにハーモニカを」「シビックで朝まで」「黙祷はビートルズで」「空の上から祈りを」と続き、『新参者』('09年/講談社)もそうでしたが、各章で独立した話をもってきながらも、章と章のストーリーや登場人物の関係のさせ方が上手いなあと思いました(その絡ませ方の妙は『新参者』以上かも)。

 ファンタジー系はあまり自分には向いていない気もしていますが、この作品については、割にスンナリ入り込めて思いの外に楽しめ、「夜更けにハーモニカを」とか「黙祷はビートルズで」の最後の方あたりは、結構ほろっとさせられもしました。

 ちょっと出来過ぎた話もあるけれど、ファンタジーだと割り切って読めば、あとは突っ掛かることなく読めたという印象。最後、自分たちが助けた女性を、そうと知らずに縛り上げてしまったのはご愛嬌でしょうか。

 映画「レット・イット・ビー」('70年/英)の海賊版って、何だかありそうな気がしてくるね。

【2014年文庫化[角川文庫]】

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"ミッシングリンク"自体をトリックとしたメタ構造。「推理小説のための犯行」みたいで"軽い"。

東野 圭吾 『マスカレード・ホテル』3.JPGマスカレード・ホテル 東野圭吾.jpg 『マスカレード・ホテル』(2011/09 集英社)

 3件連続した殺人事件で、それぞれに共通する残されたメモを手掛かりに、警察は次の犯行は都内のある超一流ホテルで行われる予測、潜入捜査のためホテルに送り込まれた新田刑事は、ホテルのスタッフに扮し、ホテル従業員・山岸尚美の下で業務に当たりながら犯人を捜す―。

 作者の「作家生活25周年記念」の特別刊行ということで、その第1弾が『麒麟の翼』(講談社)、第2弾が『真夏の方程式』(文藝春秋)、そして、完結版である第3弾がこの作品だそうです(オリジナルは「小説すばる」'08年12月号から'10年9月号に連載)。

 『麒麟の翼』は「加賀恭一郎」刑事シリーズで、TVドラマ化された「新参者」の阿部寛のイメージが、『真夏の方程式』は「湯川学」の"ガリレオ"シリーズで、やはりTVドラマ化された同シリーズや映画化された「容疑者χの献身」の福山雅治のイメージがあり、その点、この作品は「新田浩介」刑事という、東野作品における"ニューフェイス"登場ということもあり、先行イメージに捉われることなく読めました(新田刑事をサポートする所轄の能勢刑事というのがいい味出しているが、この人も東野作品で初登場なのだろうか。何となく既知感がある)。

ホテル 上巻.jpgホテル下巻.jpg 前半部分は、職業ものドラマみたいで、それなりに面白かったけれども、こうしたホテルを舞台にした作品では、これもテレビドラマ化された石ノ森章太郎の『HOTEL』(昭和62年度・第33回「小学館漫画賞」受賞作)などの作品があり、海外でも、ビジネス小説家のアーサー・ヘイリーの『ホテル』(新潮文庫)といった先行作品があるため、それほど新味を感じませんでした。

 とは言え、刑事がホテルマンに扮するという、その職務性質のギャップが面白く、また、プロット的にも、終盤まで面白く読めました。
 所謂"ミッシングリンク"を探るものですが、作者が自ら「想像力の限りを尽くしたという実感があります」(帯より)と述べているのは、この"ミッシングリンク"自体をトリックとしたメタ構造になっていることを指しているのでしょう。

 但し、結末から振り返ると、犯人の犯行方法は、そうしたメタ構造を作者が小説として描いて見せるためのものだったように思われ、「推理小説のための犯行」みたいになってしまっている印象を受けました。
 こうしたことは"本格派推理"では珍しくないことかも知れませんが、結果として作品が"軽く"なってしまった感じがします("第4の犯行"のターゲットが誰だったかということも含め)。

 大体この犯人のやり方は回りくどいばかりでなく、却って犯人にとっての危険度を増すものであったように思われ、なぜ、そうした犯行手口を選んだのかを、犯人自身が被害者を殺害しようする前に滔々と喋っているのも、その点の説明を要することの裏返しではないかと。

 そして、殺害しようとする相手にではなく読者に向けに長広舌を揮っている間に、救い手が現れて―というのも、これまでの小説(乃至は映画やドラマ)などで繰り返されてきたパターンであるように思いました(逆に、スンナリ映像化し易いのかもしれないけれど)。

【2014年文庫化[集英社文庫]】

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「手軽に楽しめる」と言えなくもない作品だが、東野作品としては物足りない。

プラチナデータ.jpg 『プラチナデータ』(2010/07 幻冬舎) プラチナデータ 文庫.jpg 『プラチナデータ (幻冬舎文庫)【2012年文庫化[幻冬舎文庫]】

 犯罪防止のため国民のDNA情報の管理が可能となる法案が可決され、警察庁はDNA捜査システムを導入、警察庁特殊解析研究所の神楽龍平が操るこのシステムは、現場の刑事を驚愕させるほどの精度で犯人を特定するが、そうした中、ある連続殺人事件が発生し、警視庁捜査一課の浅間は、神楽のもとへ訪れ遺留品のDNA解析を依頼するも、解析の結果は「Not Found」と出る―犯人はこの世に存在しないのか?

 まずは、前提となるDNA解析から犯人の詳細なプロファイルを割り出すということが、静的なDNA情報と各々の遺伝子モジュールがいつどのような形で作用するかという動的な実態は別物であるため、科学的には考えにくい"漫画チック"な話であり、このあたりはあまりこだわらず読むしかないのかと。

マイノリティ・リポート06.jpg システムの開発に携わった天才数学者・蓼科早樹とその兄・耕作が殺され、システムが割り出した犯人像が神楽自身であったというのは、スティーヴン・スピルバーグ監督の「マイノリティ・リポート」('02年/米)で、犯罪予測システムの使い手(トム・クルーズ)自身が、システム側から"将来の犯人"とされ、逃避行をしながら真相を探ろうとするのと似ているように思いました。
Minority Report (2002)

 神楽の「多重人格」性は、ダニエル・キイスの『24人のビリー・ミリガン』(小説的とも言える作品だが、ベースはあくまでもノンフィクション)を想起させましたが、神楽のもう一方の人格であるリュウと謎の少女スズランの関係などは読めてしまう部分もあるし、安易にいろんなものを鏤め過ぎて(しかも、その元ネタが割れていたりして)、もともと"軽い"系統の作品ではあるものの、それがますます軽くなってしまった感じがしました。

 情報統制に対する風刺ともとれますが、"プラチナデータ"に込められた国家的陰謀というものの影が薄く、結末も、やや拍子抜けするような犯人と犯行動機で、作者自身、国家的陰謀とか犯人のことはどうでもよくて、一番書きたかったのは「多重人格」についてではなかったのかと思えるような作品でした(同じ作者の『秘密』('98年)も憑依現象(多重人格)を扱った作品だった。確かに、興味深いモチーフではあるが)。

 意外と"萌え"系だった? 「手軽に楽しめる」と言えなくもない作品でしたが、もともと力量がある作家だけに、書き過ぎで、あくまでこの作家の力量水準に照らすとですが、「粗製濫造」気味ではないかなあという気も。
 その結果、手抜きと言うより、構想が中途半端なまま着手している印象を受け、出版社によって作品の質にムラがあるような気もします。

【2012年文庫化[幻冬舎文庫]】 
プラチナデータ 映画 01.jpgプラチナデータ 映画 02.jpg「プラチナデータ」2013年映画化(大友啓史:監督/二宮和也・豊川悦司:主演)

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最後は、「さて、誰を犯人にしようかな」みたいな感じで決まったような終わり方?

カッコウの卵は誰のもの.jpg 『カッコウの卵は誰のもの』(2010/01 光文社)

 かつてスキー選手であり、オリンピックに何度も出たことがある緋田宏昌は、同じくスキー選手である娘の風美を、オリンピックでメダルを獲れるような、自分を超えるトップスキーヤーにすることを目指しており、一方、風美の所属チームの研究者は、2人の遺伝子パターンを調べてスポーツ選手の育成・強化に繋げたいと考えていたが、緋田には、19年前の娘の出生に纏わる誰にも言えない秘密があり、そのため、遺伝子研究チームの申し出を断り続けてきた―。

 相変わらずスラスラ読めてしまう東野作品ですが、それにしても、途中まではややダラダラした印象を受け、それが終盤に入って、やっとギアが入ったかなという感じでした。

 そのため、一時(いっとき)は「さすが」と期待したのですが、結局、終盤バタバタした感じで事件は落着、その後、"お約束"のもう一捻りがあって、これがこの人の作品にしては期待外れ。
 結局、2時間ドラマみたいなプロットをここまで引っぱるだけ引っぱって、最後は、「さて、誰を犯人にしようかな」みたいな感じで決まったような終わり方だったなあと。

 通して振り返れば、テーマは最初からミエミエのありきたりなものだし、骨髄移植などのモチーフも使い古されているものだし、人物の描き方も浅いし―と、今回はあまり振るわなかったように思いました。

 細部を見ても、事件の契機となった事故の詳細が描かれていなかったり、同一人物の呼称が途中で変わったりと、不満な点やおかしな点はあるけれども、何よりも、犯人の犯行動機の論拠があまりに脆弱。こんな理由で、そこまでやるかねえ(そのため、「とってつけたような」という印象が拭いきれない)。

 それでも一応は最後まで一気に読ませてくれたので、評価は△としますが、但し、東野作品の中での相対評価だと×に近いかも。一時(いちどき)に何本も書き過ぎているんじゃないかなあ。

【2013年文庫化[光文社文庫]】

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江戸の匂いの残る日本橋を背景にした人情話を堪能。ベースにある推理作家としての力量。

新参者 東野.jpg 新参者.jpg新参者』['09年] 新参者 ドラマ.jpg ドラマ「新参者」

 日本橋のマンションで、三井峯子という45歳の女性が絞殺死体で見つかった事件で、日本橋署に着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、今もって江戸の匂いの残る日本橋・人形町の店々を、丹念に聞き込みに歩き回る―。

 加賀恭一郎シリーズの8作目で、宝島社の「このミステリーがすごい!(2010年版)」と週刊文春の「2009ミステリーベスト10(国内部門)」の両方で1位になった作品。

 加賀にとって日本橋は未知の土地であり、よって「新参者」ということなのですが、加賀が聞き込みに回った先々の様子が、「煎餅屋の娘」「料亭の小僧」「瀬戸物屋の嫁」...とオムニバス構成になっていて、下町の情緒やそこで暮らす人々の人情の機微がふんだんに織り込まれているのが楽しかったです。

 更に、聞き込みを通して浮き彫りになる親子間、夫婦間の齟齬や、表向きは反目しあっているようで実は互いに通じ合っている親子、嫁姑の関係などを加賀が鋭く嗅ぎ取り、事件の核心に迫りつつ、そうした溝も埋めていくという、加賀刑事がちょっと出来すぎという感じもなくもしなくはないですが、心にじわっとくる仕上がりになっています。

 核心となる事件の方が大したトリックもなく凡庸であるため、むしろそちらの人情譚の方ににウェイトが置かれていると言ってもいい感じですが、この作者の近作は、「理屈」より「情」に訴えるものの方が個人的には合っているような気がして、この作品もその1つ、大いに堪能できました。

 それにしても、1つの町を背景にした各シークエンスにこれだけの登場人物を配して整然と章立てし、しかも、加賀が登場人物たちの人間関係をも修復してしまう過程もミニ推理仕立てになっているという構成は、やはり作者の推理作家としての技量が並々ならぬものであることを感じさせます。

新参者 日曜劇場.jpg '10年4月からTBSの日曜劇場で連続ドラマ化されましたが、原作に比較的忠実に作られているように思いました。

 役者陣の演技力にムラがあるように思いましたが(ムラがあると言うより、黒木メイサだけが下手なのか)、所謂、新進俳優をベテランが脇で支えるといったパターンでしょうか。原作の良さに救われている感じでした。ただ、阿部寛が演じる加賀恭一郎は、ちょっとスマート過ぎるような気がしました。原作の加賀は、もっと泥臭くてあまり目立たない感じではないかなあ。まあ、阿部寛は何を演じても阿部寛であるようなところはありますが。


「新参者」 tbs.jpg新参者s.jpg「新参者」●演出:山室大輔/平野俊一/韓哲/石井康晴太●制作:伊與田英徳/中井芳彦●脚本:牧野圭祐/真野勝成●音楽:菅野祐悟●出演:阿部寛/黒木メイサ/向井理/溝端淳平/三浦友和/木村祐一/泉谷しげる/笹野高史/原田美枝子●放映:2010/04~06(全10回)●放送局:TBS

【2013年文庫化[講談社文庫]】

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『白夜行』かこの作品で直木賞をあげるべきじゃなかったのかな。

幻夜 東野圭吾.jpg 『幻夜』 [単行本/'04年] 幻夜 東野圭吾 文庫1.jpg 『幻夜 (集英社文庫 (ひ15-7))』 [' 07年]

東野 圭吾 『幻夜』文庫.JPG 雅也は工場の資金繰りに窮し首を吊った父親の通夜の翌朝、阪神淡路大震災に遭遇し、工場の瓦礫の中で父の借金の借用書を持っている叔父俊郎を発見、俊郎の頭の上に石を振り下ろして殺害し、懐から借用書を抜き去るが、その一部始終を、新海美冬という娘が見ていたようだ。美冬は両親をたまたま訪れていたが、2人とも死んだと言い、雅也の犯罪に口をつぐみ一緒に東京へ行こうと誘う―。

 阪神淡路大震災の2カ月後に起きた地下鉄サリン事件の衝撃が収まらない中、銀座の宝飾店「華屋」で異臭事件が発生し、美冬たち従業員へのストーカー行為と関連があると疑われた上司が失脚するが、これは美冬が上司の宝石デザインを自分のものにするために仕組んだことだった。その後カリスマ美容師を発掘し美容院の経営に乗り出し成功した美冬は、手に入れたデザインをもとに雅也が加工した指輪を利用して「華屋」の社長夫人の座に。雅也は美冬と結ばれることを信じて美冬に協力していく―。

白夜行.jpg 『白夜行』の続編という気持ちで読んでしまうためか、美冬が登場したとたんに、ああ、何か色々悪事をやりそうだなあと―、しかし、そうと分かっていても、読んでいて飽きることはなく、よくまあ次から次へと利用できるものを利用し、自分にとって害となる人間を陥弄する計略を思いつくものだなあと、半ば感心させられます。

 『白夜行』で亮司が魔性の女性・雪穂の指示に沿って動くのと同じパターンですが、『白夜行』では亮司と雪穂が接触する場面の描写は無く、2人の話が別々に進行しながらも、亮司が雪穂の手先となって動いていることが示唆されているという形だったのに対し、この作品では、美冬と雅也の2人が打ち合わせをする場面が頻繁に出てきて、その手口が分かり易いといえば分かり易いですが、女性主人公の方の神秘性は弱まったと思われます。

 『白夜行』における雪穂のトラウマ体験のようなものは、この作品の美冬については描かれておらず、彼女の過去が殆ど明かされていないために、『白夜行』のような重厚さは感じられません。
 一方で、もしかして美冬=雪穂(或いは、雪穂の経営する高級品店「ホワイトナイト」に勤務し、雪穂を尊敬していた女性)なのかという、もう1つの"推理"を巡らせる楽しみが、読む側に提供されています。

 この作品は直木賞候補になりましたが、『白夜行』が候補になった時に強く推した田辺聖子氏でさえ、「推理小説としての出だしは、快調」であるものの、「複雑な伏線、期待も昂まるのだが、ヒロインの印象がどんどん変ってゆき、最後に到って作品自体も変調する。読者は深い混乱のまま、うっちゃられる...という、印象だった」と"竜頭蛇尾"を指摘していて、確かにそうした面もあるかも知れません。

 個人的には、同じく直木賞に推さなかった理由であるにしても、平岩弓枝氏が、「主人公が何故、本当の自分を抹殺し、他人に化けて生きねばならなかったかという主人公の過去が殆んど書かれていない。その理由はこの作品がすでに作者が発表されているもう1つの作品の続篇の要素を強く持っているからで、ならば2作をまとめて候補にしなければ作品の評価は出来ないと思う」としてるのが、2作の関係性をよく把握していて、しっくりきました。

幻夜 テレビ.jpg  しかしながら、直木賞を獲った『容疑者χの献身』もシリーズものの中の1作であり、選考委員の多くがこの作品を絶賛しましたが、この受賞は何となく、それまでの候補作が東野作品の中での相対評価になってしまっていた("東野作品"馴れしてしまっため、結果として「決定打」となり得ないとかいった厳しめの評価が続いた)ことの反動のようなものを感じました。

 個人的にはこの作品『幻夜』は、『白夜行』に及ばずともピカレスク・ロマンとして一級品であることには変りが無いように思え、今年('10年)で刊行され6年になりますが、WOWOWでのテレビドラマ化が決定してします(全8話、主演:深田恭子)。
 『容疑者χの献身』よりはどう見ても上であり、やはり『白夜行』か『幻夜』で直木賞をあげるべきじゃなかったのかなと思うけれど...。

 【2007年文庫化[集英社文庫]】

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危なっかしさのあるトリックと、そのための無理を孕んだプロット。

聖女の救済.jpg 『聖女の救済』  (2008/10 文藝春秋)

 会社社長の真柴義孝が自宅で倒れているところをその愛人・若山宏美に発見され、自分で淹れたコーヒーに毒が含まれていたことが死因と分かり、離婚を切り出されていた妻の綾音が容疑者として浮上するが、真柴が自宅で死んだ時、綾音は北海道の実家にいたという鉄壁のアリバイが在り、草薙刑事と部下の女性刑事・内海薫は、意見を違えつつもそれぞれに捜査を進める―。

  「探偵ガリレオシリーズ」の第5弾、『容疑者χの献身』('05年/文藝春秋)に続くシリーズ2作目の長編作品で、ここに来ていよいよ"本格推理"っぽくなってきたかなと途中まで期待を持たせましたが、謎解きに臨む"ガリレオ"こと湯川自身が「虚数解」と言っているように、トリックとしてはかなり現実離れしていると言うか、あり得ないもののように思えました(蓋然性への依存度が高くて危なっかしいとでも言うか)。

 それでは心理的な踏み込み度はどうかと言うと、「結婚から1年経って子供を授からなければ離婚する」という夫からの約束を逆手に取った綾音の情念には確かに滲み出るような凄まじさがあり、またこれが1年間の"救済"期間ということでタイトルともリンクしているわけですが、どうして"救済"期間を置かなければならないのか自分にはよく分かりませんでした。

 綾音に惹かれるところがあって事件の推理にバイアスがかかる草壁と、女性の立場から女性心理を冷静に読み解く内海薫の対比という点では面白く描かれているようには思いましたが、作品全体としては、トリックのための無理を孕んだプロットという印象が拭い切れませんでした。

SPring-8 (「高輝度光科学研究センター」のサイトより)
SPring-8.png 相変わらず読み易く、ずんずん入り込めて最後まですらすら読めてはしまうのですが、周辺ネタについて言えば、兵庫・播磨科学公園都市内にある「SPring-8」を用いての毒物分析も、和歌山毒物カレー事件('98年)で砒素の同定に使用されたのは記憶に新しいところであり、時代の流れには沿っていますが、時代の先を行くものではありません。理系出身ならば、新聞ネタを超えるような何かが欲しいところ。

 実力ある作家の話題作ということで並み以上の期待をしてしまう分、「こんな程度の作家ではないはず」、「ちょっと最近書き過ぎているのではないか」(この作品も短編小説集『ガリレオの苦悩』と同時出版)と、見方がややシビアになってしまうのは仕方がないかも。

【2012年文庫化[文春文庫]】

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ミステリとしては△だが、小説としては○。「理屈」よりも「情」に訴える?

東野 圭吾 『流星の絆』.jpg 東野 圭吾 『流星の絆』2.jpg


流星の絆 tv.jpg TBSドラマ「流星の絆」(2008)
出演:二宮和也/錦戸亮/戸田恵梨香
流星の絆』(2008/03 講談社) 

 14年前のペルセウス流星群の日、それを見るため夜中にこっそり家を抜け出した功一、泰輔、静奈の洋食屋の3人兄妹が、店に帰り着いたときには両親が殺されていた。彼らは自分たちの親の復讐を果たすべく、詐欺師稼業を営みながらも、時効前になんとか犯人を探し求めようとする―。

白夜行 単行本.gif 不条理な運命から社会の底辺へ突き落とされ、そこから這い上がってくる少年たちの生き様は、『白夜行』('99年/集英社)の系譜かと思ったけれども、前半の詐欺師家業のテクニック紹介とかは、やや軽めの感じ。

 犯人と思しき人物を突き止めるも、「静奈」が「功一」に...辺りから、彼らの復讐計画がすんなりとは行かないであろうことは大方の予想がつきましたが(そもそも帯の文句が既にネタばらし気味)、最後にどんでん返しがあって、やはりこの人の書くものは一筋縄ではないなあと。但し、プロット自体はあちこちに相当無理があるのではないかと―。どんでん返しも、読者を「拍子抜け」させるような側面が大いにあるように思いました。

 でも、読後感は悪くなかったように思え、今回は「理屈」よりも「情」に訴える作品だったなあと。作者の『容疑者χの献身』('05年/文芸春秋)が2006年の「このミス」に選ばれた際に、これは本格ミステリと言えるのかという議論がありましたが、むしろ、この作家は、もともと読者の「情」に訴える部分で優れているように思います。

ドラマ「流星の絆」07.jpg この作品も、個人的には、ミステリとしては△だけれども、小説としては○といったところ。2008年10月にはTBSでテレビドラマ化されていますが、原作をいじくり回す傾向にある脚本家が手掛けていて、最初から外れたトーンになっているようなので、あまり関心が湧かないなあ。

TVドラマ「流星の絆」2008年 10~12月 TBS
出演:二宮和也/錦戸亮/戸田恵梨香

【2011年文庫化[講談社文庫]】

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「純愛」というより「偏愛」。直木賞作品としては軽すぎる。

容疑者χの献身.jpg容疑者Xの献身.jpg     容疑者Xの献身 dvd.jpg 容疑者Xの献身 映画.jpg
容疑者Xの献身』['05年/文藝春秋] 「容疑者Xの献身 スタンダード・エディション [DVD]」福山雅治/柴咲コウ

 2005(平成17)年下半期・第134回「直木賞」受賞作。2005 (平成17) 年度「週刊文春ミステリー ベスト10」(国内部門)第1位。2006 (平成18) 年「このミステリーがすごい」(国内編)第1位。2006(平成18)年版「本格ミステリベストテン」第1位。2006(平成18)年・第6回「本格ミステリ大賞」(小説部門)も受賞。

 以前に水商売をしていて今は弁当屋に勤める子持ち女性・靖子は、自分につきまとう前夫・富樫が自分のアパートに押しかけてきたために思わず絞殺してしまうが、現場に駆けつけたアパートの隣に住む「石神」という高校の数学教師は、「私の論理的思考に任せてください」と言って事件の事後処理を請け負う―。

NUMBERS 天才数学者の事件ファイル.jpg 作者の「物理学者湯川シリーズ」の第3弾で、TVドラマ化されている「ガリレオ」('07年放映開始)を見て海外ドラマ「NUMBERS 天才数学者の事件ファイル」('05年米国放映開始)を想起しましたが、実は、オリジナルである「物理学者湯川シリーズ」の第1弾『探偵ガリレオ』('98年/文藝春秋)の刊行は「NUMBERS」の放映より7年も早い。
 「NUMBERS 天才数学者の事件ファイル」(FOX)

 今回の第3弾では、この「石神」という数学教師が湯川学の大学時代の同窓で、実は天才的な数学者であり、物理学者・湯川学と"論理対決"をすることになるという構図で、敢えて天才数学者を敵役にしたのは、数学者が探偵役である「NUMBERS」を意識したということでもないでしょうけれど。

 さらっと読めて、トリックも奇想天外で、シリーズものの1編としてはまあまあの出来の小品だと思いましたが、これが直木賞作品だと思うと、同じ作者の『秘密』('98年)や『白夜行』('99年)に比べてどう見てもインパクト不足で、ついついケチをつけたくなってしまう...。

 天才と呼ばれる数学者の考えたトリックというのが、こんな危なっかしくて非効率なものなのかとか、警視庁の科学捜査というのはずいぶん手抜きだなあとか、プロットに対する不満もいろいろありますが、個人的には「石神」という人物にあまり共感できないし、それ以前に、その人物像にリアリティが感じられないのが一番の不満な点でした。

 帯に「純愛」とありますが、むしろ「偏愛」と言った方がよく、その心理構造がよく見えない分、作品として軽いものになってしまっている気がしました。

 これが直木賞か...。シリーズものの1品としては、可もなく不可もないといったところですが。
 
容疑者x スチール.jpg 「県庁の星」('06年/東宝)の西谷弘監督によって映画化されましたが、探偵役の物理学者・湯川(福山雅治)の主たる相方が、同窓の草薙刑事ではなく、柴咲コウ演じる部下の女性刑事になっていて、「県庁の星」で西谷監督と相性が良かったのかなと思ったら、テレビドラマ「ガリレオ」からこのパターンになっていたようです(テレビ版を見ていないので知らなかった)。

 原作にない雪山登山シーンとかあって面喰いましたが、数学教師「石上」役の堤真一(本来は二枚目であってはならないのだが)と「靖子」役の松雪泰子は、どちらもベテランらしい手堅い演技で(松雪泰子は好演と言っていいかも)、その分、映画化作品にありがちなことですが、ミステリよりも人情ものの要素が強くなっているように思いました。

容疑者Xの献身 2008フジテレビジョン.jpgYôgisha X no kenshin (2008).jpg 前日ベンチに座っていたはずの浮浪者が翌日消えているのが、同じカメラワークを反復させることで分かり易くなっていますが、浮浪者に対する「石上」の排他的・優越的な考え方(愛する人のためなら浮浪者1人の命なんぞ...という)などは映画では説明されておらず、そのあたり、一体、親切なのか不親切なのか...。

Yôgisha X no kenshin (2008)

「容疑者Xの献身」●制作年:2008年●監督:西谷弘●製作:亀山千広●脚本:福田靖●撮影:山本英夫●音楽:福山雅治/菅野祐悟●原作:東野圭吾「容疑者Xの献身」●時間:1289分●出演:福山雅治/柴咲コウ/堤真一/松雪泰子/北村一輝/ダンカン/長塚圭史/金澤美穂/益岡徹/林泰文/渡辺いっけい/品川祐/真矢みき/リリー・フランキー(友情出演)/八木亜希子/石坂浩二(特別出演)/林剛史/葵/福井博章/高山都/伊藤隆大●公開:2008/10●配給:東宝●最初に観た場所:台シネマメディアージュ.jpgシネマメディアージュ2.jpgシネマメディア-ジュ「容疑者Xの献身」zj.jpeg場・シネマメディアージュ(08-11-01)(評価:★★★) シネマメディアージュ 2000年4月22日アクアシティお台場のメディアージュ1階にオープン。13スクリーン3034席を有するシネマコンプレックス。2017年2月23日閉館

天才数学者の事件ファイル2.jpgNUMBERS 天才数学者の事件ファイル 5 dvd.jpg「NUMBERS~天才数学者の事件ファイル」Numbers (CBS 2005/01~ ) ○日本での放映チャネル:FOX CRIME (2006~)

 【2008年文庫化[文春文庫]】

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少年法と復讐殺人。テーマのための人物造形とプロットになった?

さまよう刃.jpg       ロサンゼルス.jpg チャールズ・ブロンソン「ロサンゼルス」.jpg
さまよう刃』 (2004/12 集英社)   映画「ロサンゼルス」('82年/米) チャールズ・ブロンソン

新潮文庫 映画タイアップカバー(2009年映画化)
さまよう刃 映画.jpg 花火大会の夜、長峰は一人娘の絵摩の帰りを待っていた。同じ頃、中井誠はアツヤとカイジの命令で父の車を運転していたが、浴衣姿で独り歩いている娘に目をつけた2人は、娘にクロロホルムを嗅がせて車に引き摺り込む。中井は、車を返せという父からの電話で自宅へ帰る。数日後、長峰の元に刑事が来て荒川に浮かんでいた死体を確認してくれと言われ、それは娘の無惨な姿だった。悶絶する長峰の元に、「絵摩さんはトモザキアツヤとスガノカイジの2人に殺されました」という密告電話が入り、アツヤの住所と合鍵の場所も教える。長峰はそのマンションに向かい、部屋に忍び込みアツヤにレイプされた絵摩の映像を見つける。絵摩はレイプ後、覚醒剤の大量摂取で死んだのだ。長峰は、マンションに帰ってきたアツヤを近くにあった包丁で泣きながら何度も刺し、彼の死に際に、相棒のカイジが長野のペンションに逃げていると聞き出すと、今度はカイジの行方を追うために長野に向かう。自分が逮捕されることを厭わない長峰は、警察に思いの丈をぶつけた手紙を送り、それはニュースでも報道され、世間と警察を大きく揺るがすことになった―。

  娘をレイプされ殺された父親が、犯人の1人の少年を殺害し、残りの1人を追う―。「少年法」の保護により重い裁きを免れるだろう彼を生かしてはおけないという父親の行動と、「復讐殺人」に対する世間やマスコミの賛否のなかで、逃亡する少年と父親の双方を追う刑事たち―という構図です。

DeathWish21982.jpgロサンゼルス ポスター.jpg 昔、チャールズ・ブロンソン主演の映画で「ロサンゼルス」('82年/米)という、愚連隊(ちょっと言葉が旧いか)に娘をレイプされ殺された父親が、単独で犯人達に復讐を図るというものがありましたが、彼こそ「自衛市民」だと世間の評判が高まり警察が苦慮するところなども少し似ていて、つい思い出しました。

 本書もテーマは重いのですが、登場人物の描き方にやや厚みがなく、テーマを浮き立たせるために単純化しちゃったのかなあという感じでした。長編ですが、何のひっかかりもなくスラスラ読めるのは、文体が平易簡潔なだけでなく、先の行動が読めてしまうということもあったかも。

 それでも終盤で緊迫した見せ場をつくりところは、やはり東野作品であり、また密告電話の主は誰なのかということでも関心を引きます。しかしラストは、読者のカタルシスよりもテーマを重視したという感じで、総じて「少年法」「復讐殺人」というテーマのために用意された登場人物とプロットだったという印象です。

DEATH WISH 2.jpg 因みに映画「ロサンゼルス」の方は、犯人が次々とブロンソンおやじに殺されていきますが、1人だけは警察によって逮捕され精神鑑定で無罪になります。しかしブロンソンは諦めず、医者に化けて精神病院に潜入し、最後の1人を射殺するというものでした(カタルシス重視でいくならば、ここまでやっちゃっていいのかも)。
 
 同じ「復讐に憑かれた男」でも、肉食動物と草食動物ぐらい違いますが、途中で警官が犯人に殺られて、死に際にブロンソンに「必ずお前が奴を殺れ」みたいなことを言っており、ここが『さまよう刃』と一番違う点だったかも知れません(強いて言えば、密告電話の主がこれに近いか。映画自体は、冒頭の娘が殺される場面があまりに残虐で、評価△)。
 

Charles Bronson.jpgチャールズ・ブロンソン/マンダム.jpg チャールズ・ブロンソン(Charles Bronson、1921‐2003)はリトアニア系移民の子として生まれ、タタール人の血をひく俳優であり(確かにアジア系っぽい感じも少しある)、家庭は貧しくて、少年の頃から炭鉱夫として働いていたこともある苦労人。

 ジョン・スタージェス監督の「荒野の七人」(60年/米)の7人のガンマンの1人として売り出した後、日本では、映画の他に、男性用化粧品「マンダム」のCMでも知名度が上がり(「う〜ん、マンダム」というのが決め台詞のこのCMのディレクターは、現在は映画監督として活躍している大林宣彦)、CM並びに商品のヒットにより、化粧品会社はそれまでの社名「丹頂」を商品名だった「マンダム」に改めた(1972年)という経緯もありました。
Charles Bronson(1921‐2003/享年81)

DeathWish2_B2-1-500x693.jpg「ロサンゼルス」●原題:DEATH WISH 2●制作年:1981年●制作国:アメリカ●監督:マイケル・ウィナー●製作:メナハム・ゴーラン/ヨーラン・グローバス●脚本:デヴィッド・エンゲルバック/マイケル・ウィナー●撮影:リチャード・H・クライン●音楽:Jill Ireland DEATH WISH 2.gifジミ-・ペイジ●時間:92分●出演:チャールズ・ブロンソン/ジル・アイランド/ビンセント・ガーディア/マイケル・プリンス/ベン・フランク/ロビン・シャーウッド/アンソニー・フランシオサ/J・D・キャノン/ケヴィン・メイジャー・ハワード/新宿西口パレス3.jpgラリー・フィッシュバーン(ローレンス・フィッシュバーン)●日本公開:1982/03●配給:コロムビア映画●最初に観た場所:新宿西口パレス新宿三葉ビル.bmp(82-09-18)(評価★★★)●併映「シャーキーズマシーン」(バート・レイノルズ)
新宿(西口)パレス 新宿西口小田急ハルクそば「新宿三葉ビル(三葉興行ビル〈現・三葉興業本社ビル〉)」内。1986(昭和61)年11月閉館。

 【2008年文庫化[角川文庫]】

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殺人犯を兄に持つ弟が受ける偏見を描く。読者ツボは心得ている感じ。

手紙.jpg  『手紙』 (2003/03 毎日新聞社)  手紙2.jpg 『手紙 (文春文庫)』 〔'06年〕

 弟を大学に入れてやりたいという思いから盗みに入った家で、思わず老婦人を殺してしまい懲役15年の刑に服する兄と、その兄の罪のために、好きな音楽を諦め、恋人との結婚も諦めざるを得なかった弟―。

繋がれた明日.jpg 犯罪者の肉親の立場から、兄が殺人犯であるということで社会的偏見を受ける苦しみを描いていて、犯罪者が仮釈放されたときに受ける社会的偏見を描いた真保裕一の『繫がれた明日』('03年/朝日新聞社)と同時期に、ともに直木賞候補になりましたが、テーマがダブったせいか?どちらも受賞を逃しました(受賞は石田衣良と村山由佳)。

 テーマがダブると言っても、犯罪者自身とその肉親とでは描く視点が大いに違ってく来るので、あまり比較しても仕方がないかなという感じですが...。ただし、『繋がれた明日』の方がシリアスな状況を描いてリアリズムに徹しようとして、逆に個々のキャラクターはどこかで見た映画の登場人物のような人物造詣になっているのに対し、『手紙』の方は、自分の場合は最初から"ストーリーテラー・東野圭吾"という文脈で読んでしまうせいなのか、「ウソ臭い」のに作品としては違和感がないという、ある意味皮肉な結果になりました。

映画版「手紙」.jpg エンターテインメントとしての手順をきっちり踏んでいて、読者を主人公の味方にし、考えさせながら感動もさせる...技巧派というか手馴れているなあという感じで、このあたりが逆に、直木賞選考委員にはアザトいと見られたのかなという気もします。それでも、作者なりにひとつの考え方を、"手紙"という小説における小道具を使って示していて、それはある意味逆説的で意表を突くものであり、すべてのケースでこの考え方が当てはまるなどと安易には言えないでしょうが、なるほどなあと思わせる部分はありました。
映画「手紙」(2006 『手紙』 製作委員会) 監督:生野慈朗 出演:山田孝之/玉山鉄二/沢尻エリカ/吹石一恵

 【2006年文庫化[文春文庫]】

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ラストは一方で哀しく、一方でさらに惹かれるような魔性を帯びて見える。

白夜行 単行本.gif白夜行(東野圭吾).gif   白夜行2.jpg白夜行.jpg
白夜行』['99年]  『白夜行 (集英社文庫)』 '02年〕

 1999(平成11)年度「週刊文春ミステリー ベスト10」(国内部門)第1位。

 1973年、大阪の建設途中で放置された廃ビルで、質屋の主人・桐原の刺殺死体を、そこを遊び場にしていた小学生で桐原の息子・亮司が発見。捜査にあたった刑事・笹垣は、当日の桐原の足取りを追うが、容疑者は、桐原の年齢に釣り合わない派手な妻、一癖ありそうな店長の松浦と次々に変わり、やがて、桐原の客の西本文代に疑いの目が向けられ、小学生の娘・雪穂と貧しい暮らしをしていた彼女には、桐原の愛人として彼と最後に会っていた疑いがあった。しかしアリバイが認められ、代わりにその文代の勤めるうどん屋にしばしば顔を見せていた寺崎という男が容疑者として浮上するが、寺崎は交通事故で死亡、文代も自宅のアパートでガス中毒死を遂げ、事件は迷宮入りに―。

 文代の娘・雪穂は母の死の後、裕福な親戚の養女となり、大学のダンス部で知り合った東西電装株式会社のエリート社員と結婚し、離婚後は自分で高級ブティックを経営して大成功させ、大金持ちの後妻に、一方、桐原の息子・亮司は、高校生時代に売春斡旋まがいのことをし、海賊版パソコンソフトで荒稼ぎをし、人を騙し、殺し、金を稼ぐ、雪穂とは対照的な裏街道を歩いていた。美しく品のある雪穂は男性を操りながら自分の才を発揮していき、亮司もその特異な才能を生かしつつ、しかし徐々に世間の表舞台から姿を隠すようになる。しかし、亮司と雪穂が成長していく過程で、様々な犯罪が起きていることの気付いた笹垣により、約15年前の事件の真相が少しずつ明らかになる―。

 デーモニッシュな人物が登場するミステリーは多くありますが、これだけ犯人の登場と内面描写を抑え、出来事の状況だけでその魔性を描いた作品というのは少ないのではないでしょうか。宮部みゆきの『火車』('92年/双葉社)を一瞬想起しましたが、『白夜行』の方は、亮司と雪穂という2人を書き分けているからさらにスゴイ。

 亮司と雪穂が直接に接触するシーンはなく、この2人の男女の話が別々に進行していくという字縄(あざなわ)を縫うような展開です。ただし、ミステリーとしての構築力もさることながら(犯人推理、あるいはトリックを見破る類のミステリーではなく、主人公2人の関係そのものが"謎"であると言えますが)、不思議なのは2人の関係が徐々に浮き彫りになるにつれ、読むうちに2人をどこか応援しているような気分になることです。それだけにラストは一方で哀しく、一方でさらに惹かれるような魔性を帯びて見えるのです。

 この小説は、東野作品では今のところ最高傑作の部類に入るのではないかと思いますが、直木賞の選考で、積極的に推したのが田辺聖子氏だけだったというのが不可解。個人的な評価は、田辺聖子氏の選評(「これまた快作、そして怪作であった。」「周到な伏線が張りめぐらされ、読んでいるあいだは、これまた息もつかせず面白かった。しかし読後感のあと味わるさも相当なもの。これは人間の邪気が全篇を掩っているので、それに負けてしまう、ということであろう。」)とほぼ一致するのですが、他の選考委員が、「人間が描けていない」という理由で落としてしまった...(同じく前面に姿を見せない主人公を描いた宮部みゆきの『火車』のときもそうだった)。

 直木賞に選ばれなかった理由を他に推察すれば、主人公たちの救いの無さでというのもあったかも。しかし、まず"善人"であるとは言い難く、しかもなかなか表に出てこない主人公に対し、読んでいて相当にシンパシーを感じるということ自体が、この作品の力を示しているように思います。
 
白夜行 TBS.jpg白夜行(ドラマ).jpg 宮部みゆきの『火車』は、'94年にテレビで2時間ドラマとして放映されていますが、ラストシーン以外は主人公が出てくる場面はほとんどなく、原作の持ち味を生かしていたのに対し、'06年に連続ドラマ化された『白夜行』は、かなり早い段階で亮司と雪穂の関係性を明らかにしてしまっていて、読者の関心は原作とは違う方向へ行かざるを得ず、その段階で原作とはまったく別の物になったように思いました。主演の山田孝之、綾瀬はるかも、亮司、雪穂のイメージとはちょっとずれているような気がしました。
「白夜行」●演出:小林俊一●制作:石丸彰彦●脚本:森下佳子●音楽:河野伸●原作:東野圭吾●出演:山田孝之/綾瀬はるか/渡部篤郎/柏原崇/西田尚美/田中幸太朗/小出恵介/八千草薫/武田鉄矢●放映:2006/01~03(全11回)●放送局:TBS
 
白夜行 映画ポスター.jpg
映画「白夜行」日本版(2011年1月)主演:堀北真希/高良健吾


 【2002年文庫化[集英社文庫]】

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"感動ストーリー"だが、色々考えさせられるという意味で面白かった。

秘密.jpg  映画 秘密.jpg 秘密DVD.jpg秘密 [DVD]
秘密』(1998/09 文藝春秋) 1999年映画化(監督:滝田洋二郎、主演:広末涼子/小林薫)

 1999(平成11)年度・第52回「日本推理作家協会賞」受賞作。 

 愛する妻と11歳の娘に囲まれ満ち足りた生活を送る杉田平介。だがある日、 妻・直子と娘・藻奈美が乗ったスキーバスが崖から転落する。妻は亡くなってしまうが、意識を取り戻した娘の方に妻の意識が宿ってしまい、残された平介は「娘の姿をした妻」と生活することになる―。

 某編集者の結婚披露宴の挨拶で、自らのことを「キャリアは20年だが、14年間売れなかった」と言ったという作者の、そうした状況を脱する契機となったとされる出世作。主人公は、世間に対しては「娘が実は妻であること」は伏せていて、そのことがまずこの物語の第一の「秘密」。そして、第二の「秘密」は―。

天国から来たチャンピオン.jpgゴースト ニューヨークの幻.jpg これ以上は何を書いてもネタバレになってしまいますが、アメリカ映画の「天国から来たチャンピオン」('79年)や「ゴースト/ニューヨークの幻」('90年)などのスピリチュアル・ファンタジーの系譜と同種のプロットかと思って読んでいました。
天国から来たチャンピオン [DVD]」/「ゴースト ニューヨークの幻 [DVD]

 そうしたら「憑依」という言葉が出てきて、この作品では心霊学的な「憑依」ではなく、超心理学的な「憑依現象」(心理学的には「多重人格」)としてのそれが扱われているので、「娘の姿をした妻」は実は「妻の意識を持った娘」であることがはっきりします。

 それでも読者を、「妻の人格」に感情移入させて読ませるところが、著者の力量でしょうか。夫の妻に対する想いを描き、「妻」の夫に対する想いを描きますが、後者は「娘の人格により投射された妻の像」であるはず。娘と妻の関係を直接的には描写せず、更に夫をセンチメンタリズムの中に埋没させ事実を直視させないことで、"科学的"ファンタージーとして成立しているように思えました。

 作者はそれでも不充分だと思ったのか、最後に"指輪"を巡る第二の「秘密」を用意していましたが、それさえも、「霊」を持ち出さなくとも超心理学的には説明できてしまうことだと思います(ただしこの辺りにくると、真実はもうどうでもよくなっているような感じ)。

 亡くなった人の自我や個性が別の人の脳にコピーされた場合、その「別の人」が「亡くなった人」になり、状況的には「亡くなった人」が生きているというのと同じことになるのでしょうか。妻が娘にかけた、自分が死んだときに自動起動する「後催眠暗示」というふうにとれなくもないし、娘がそれを逆手にとって、夫の心の中での妻の座を占めようとしているようにとれなくもないない場面もあるからややこしい。

 "感動ストーリー"仕立てですが、著映画「秘密」.jpg者は当初、コメディ仕立てでいこうかと考えたとのこと、自分にとっては、色々な見方ができて考えさせられるという意味での"面白さ"がありました。

滝田洋二郎 秘密.jpg 映画化もされましたが、話が途中から始まっているし、設定も細部において異なっているものの(娘の事故当時の年齢設定が11歳から17歳に引き上げられている)、物語の本筋の部分は生かされていたように思います。 映画「秘密」(1999年・東宝)

 ベテランの役者陣が周りをしっかり固めているということもありましたが、広末涼子の演技も悪くなかったです(う~ん、この演技力でワセダにAO入学したわけか。中退しちゃったけれど)。

幽霊紐育を歩く.jpg 因みに、先にあげた「天国か天国から来たチャンピオン23.jpgら来たチャンピオン(Heaven Can Wait)」は、「幽霊紐育を歩く(Here Comes Mr. Jordan)」('41年)のリメイク作品で、前途有望なプロ・フットボール選手(ウォーレン・ベイティ)が交通事故で即死するが、それは天使のミスによるものだったため、困った天界は彼の魂を殺されたばかりの若き実業家の中に送り込み、その結果全く新しい人物となった彼は、再びフットボールの世界に乗り出す―というもの。

 ボクシングのチャンピオンだった男を主人公としたオリジナルのリメイク作品だと分かるように、わざわざ邦題に"チャンピオン"と入れたのでしょうか(アメフトで個人を指してチャンピオンとはあまり言わないのでは)。今観ると、天国へ行く人々が乗るジェット機が〈コンコルド〉風だったりして時代を感じさせますが、「感動作」であることには違いなく、"自分とは何か"を考えさせら天国から来たチャンピオン  ジェット機.jpgれる部分もありました。一方で個人的に今ひとつノリ切れなかったのは、映像上のウソ天国から来たチャンピオン2.jpgがあるためで、つまり、死んだウォーレン・ベイティの魂が身体を借りた実業家兼フットボール選手を、やはりウォーレン・ベイティが演じているという点。これは致し方ないことであり、あまりこだわる人もいないのかも知れませんが、このウソを克服しないと映画が楽しめないような気もしました(オリジナル作品では、ボクシング選手の魂が実業家にのり移るのだがそれなりに実業家に見える。その点、ウォーレン・ベイティはどこから見てもウォーレン・ベイティ)。                                 

映画 秘密3.jpg これに比べると、映画「秘密」は、こうした「お約束」を観る者に強いるほどではない分、その点に関して言えば旨く出来ているようにも思いました(原作がいいということか)。 

「秘密」●制作年:1999年●監督:滝田洋二郎●撮影:栢野直樹●音楽:宇崎竜童●原作:東野圭吾●時間:119分●出演:広末涼子/小林薫/岸本加世子/金子賢/石田ゆり子/伊藤英明/大杉漣/山谷初男/篠原ともえ/柴田理恵/斉藤暁/螢雪次朗/國村隼/徳井優/並樹史朗/浅見れいな/柴田秀一●劇場公開:1999/09●配給:東宝 (評価★★★☆)

天国から来たチャンピオン チラシ.jpg「天国から来たチャンピオン」●原題:HEAVEN CAN WAIT●制作年:1978年●制作国:アメリカ●監督:ウォーレン・ベイティ/バック・ヘンリー●製作:ウォ天国から来たチャンピオン  .jpgーレン・ベイティ●脚本:エレイン・メイ/ウォーレン・ベイティ●撮影:ウィリアム・A・フレイカー●音楽:デーヴ・グルーシン●原作:ハリー・シーガル●時間:101分●出演:ウォーレン・ベイティ/ジュリー・クリスティ/ジェームズ・メイソン/ジャック・ウォーデン●日本公開:1979/01●配給:パラマウント映画●最初に観た場所:新宿パレス(83-02-04)(評価:★★★☆)

 【2001年文庫化[文春文庫]】

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