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「殺し屋」シリーズ第3作は、友情物語であり、夫婦・家族の愛情物語でもあった。
AX アックスt (tankobon).jpgAX アックスAX アックス (角川文庫).jpgAX アックス (角川文庫)

 「兜」は普段、文房具メーカーの営業として働くサラリーマンだが、実は超一流の殺し屋、ただし、家では妻に頭が上がらず、人息子の克巳も呆れるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退に必要な金を稼ぐために仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない―。

「殺し屋」シリーズ.jpg 作者の『グラスホッパー』『マリアビートル』に続く「殺し屋」シリーズ第3作であり、AX、BEE、Crayon、EXIT、FINEの全5編からなる連作です(目次でDの頭文字がないのが気になる)。

 過去の作品の殺し屋も回想風に出てきますが、本編と直接的には話は繋がってはいません。前2作は、3人(3組)乃至4人(4組)の殺し屋のサバイバルを賭けたゲームのような感覚の作品で、語り手がその都度交代し、章の冒頭にその章の語り手の印鑑が押されていました。

 今回は、表向きは恐妻家のしがないサラリーマンだが、実は凄腕の殺し屋であるという(これに似たパターンは『グラスホッパー』のキャラクターの中にもあった)「兜」を中心に、前半部分は彼一人の視点から話が進む点がこれまでと違っています(したがって、途中までは章の冒頭の印鑑は「兜」が続く)。

 その「兜」が中盤で、仕事の依頼を受けたものの、ターゲットである相手は友達であったため、家族と友達を守るためにある決断をします(意外とあっさり?)。後半は「兜」の息子「克己」が語り手となりますが、かつて「兜」に助けられた友達が、今度は「克己」を助けることになります。そっか、恩返しの話だったのだなあ。殺し屋同士の友情物語でした。

 そして、一見して唐突な最後の章は、これ、「兜」と妻の最初の出会いを描いたものだったのだなあ(プロローグ的位置にエピローグ的内容を持ってきている)。つまり、息子にも揶揄されるほどの恐妻家の「兜」でしたが、実は妻をすごく愛していたのだという、夫婦、家族の愛情物語でもありました。

 5つの短編の集合体で、その物語同士が少しずつ繋がっている連作短編集のスタイルを取ることで、スリリングな殺し屋の物語としては、やや前2作に比べインパクトが弱かったでしょうか。

 それでも個人的には、『マリアビートル』の「檸檬」とか「蜜柑」とか、前作の登場人物が「兜」の回想の中に出てきたりして、結構"思い出し笑い"的に楽しめました(「檸檬」も「蜜柑」も前作で死んでしまったが)。

 ただ、この作品を単独で読んだ人にはイマイチだったのではないかという気もします。前作を読んでいることを前提とした評価は○で、読んでいないことを前提とした評価は△といったところでしょうか。まあ、前作を読んでいない人も読みたくなると思われ、そこが作者の上手いところかもしれません。

【2020年文庫化[角川文庫]】

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海外で映画化することで、ポップなハリウッドらしいアクション映画に。

「ブレット・トレイン」00.jpg
「ブレット・トレイン」(2022)ブラッド・ピット/真田広之
『ブレット・トレイン』p12.gif 東京。殺し屋の木村雄一(アンドリュー・小路)は、何者かに息子の渉(ケヴィン・アキヨシ・チン)を屋上から突き落とされ意識不明の重体になり、見舞いにやって来た父のエルダー(真田広之)に復讐する旨を伝える。一方、復帰したばかりの殺し屋のレディバグ(ブラッド・ピット)は引退したいと考えていたが、ハンドラーのマリア・ビートル(サンドラ・ブロック)により引き戻され東京発・京都行の高速列車(東海道新幹線)にあるブリーフケースを回収する任務を遂行するために乗り込むこととなる。一方、木村は、犯人であるプリンス(ジョーイ・キング)を殺そうとするも返り討ちに遭い、脅される形で彼女とブリーフケースを奪う協力をするハメになってしまう。中国マフィアから、誘拐されたホワイト・デス(マイケル・シャノン)の息子(ローガン・ラーマン)を救出したタンジェリン(アーロン・テイラー=ジョンソン)とレモン(ブライアン・タイリー・ヘンリー)は終点の京都まで彼の護衛と身代金の入ったブリーフケースの見張りをしていた。ところがレディバグがそれをこっそり盗み出し、降りようとしたところに彼に恨みを持つウルフ(ベニート・A・マルティネス・オカシオ)が乗り込んで来てしまい、戦闘に発展するも何とか彼を退けたが、この襲撃はブリーフケースとそれぞれの私情が絡む大騒動の始まりに過ぎなかった―。

『ブレット・トレイン』p22.jpg『マリアビートル』t.jpg 2022年公開のデヴィッド・リーチ監督作で、伊坂幸太郎の原作は、『グラスホッパー』('04年)、『マリアビートル』('10年)、『AX(アックス)』('17年)から成る作者の「殺し屋シリーズ」の第2作『マリアビートル』。先に映画化された作品「グラスホッパー」('15年/松竹)がイマイチだったことから、作者自身は国内での映画化は絶対にしないと決めて、映画化の話を断っていたところ、エージェントが海外に紹介したら(2022年「英国推理作家協会・インターナショナル・ダガー賞(外国語作品賞)」の候補作になった)ハリウッドで映画化したいということになって、それではということだったようです。

『ブレット・トレイン』3.jpg『ブレット・トレイン』4.jpg 原作の東北新幹線が東海道新幹線に変わったり、原作で中学生の男の子だった〈王子〉が少女に変わったり、原作では二人組の殺し屋の両方が死ぬのに映画では片方が生き残ったりしていますが、何よりも全体の雰囲気がポップなハリウッド調のアクション映画になっていて、ハリウッドスタイルに改変するとこうなるのか、という見方で鑑賞できて興味深かったです。

 監督がスタントマン出身ということもあって、アクションの9割をスタントマンを使わず、役者自らが監督の指導のもと演技していて、58歳のブラッド・ピットも頑張っていました(真田広之はさらにその3つ年上なのだが)。

 ただ、終盤、原作のストーリーから外れてくるとともに、CGを多用するようになって、作品全体大味になったように思われ、それまでせっかく身体を張って演技していた俳優陣の努力が霞んでしまった感じもあります。

『ブレット・トレイン』d.gif.jpg 観終わった瞬間はまあそれでも面白かったなあという印象でしたが、時間の経過とともに印象が薄れていく映画(要するに"残らない映画")でもあるように思いました。でも、こうした映画は、観る側も、観ているときに楽しいかどうかで観に来ていると思うので、本来ならば星3つくらい(△評価)ですが、オマケで星3つ半(何とか○)にしました(子どもと一緒に観に行ったというのもある)。

 現地の批評家の一致した見解は「『ブレット・トレイン』のカラフルなキャストとハイスピードなアクションは、物語の脱線後もほぼ十分に場を持たせている」となっているそうです。まあ、そんなところでしょう(物語が脱線してているというのは共通認識だった(笑))。

『ブレット・トレイン』真田.jpg 因みに、原作では登場人物は全て日本人ですが、この映画では、木村の家族以外の登場人物は全て外国人で、米国では、所謂「ホワイトウォッシング」であるとの批判が出たそうです。背景は原作通り日本であるという設定を維持しつつ、登場人物は外国人ばかりで主要な配役を占めていることがそうした非難を強めたようで、配役一つとっても、米国ではなかなか難しい問題があるのだなあと思いました(この映画を観た日本人の多くは、真田広之とかが出ているので、むしろ一定の配慮がされていると思うのではないか)。


ブラッド・ピット/サンドラ・ブロック
『ブレット・トレイン』5.jpg「ブレット・トレイン」●原題:BULLET TRAIN●制作年: 2022年●制作国:アメリカ・日本・スペイン●監督:デヴィッド・リーチ●製作:ケリー・マコーミック/デヴィッド・リーチ/アントワーン・フークア●撮影: ジョナサン・セラ●音楽:ドミニク・ルイス●時間:126分●出演:ブラッド・ピット/ジョーイ・キング/アーロン・テイラー=ジョンソン/ブライアン・タイリー・ヘンリー/アンドリュー・小路/真田広之/マイケル・シャノン/サンドラ・ブロック/ベニート・A・マルティネス・オカシオ/ローガン・ラーマン/ザジー・ビーツ/マシ・オカ/福原かれん●日本公開:2022/09●配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント●最初に観た場所:TOHOシネマズ日比谷(22-09-26)(評価:★★★☆)

TOHOシネマズ日比谷.jpgTOHOシネマズ日比谷(2018年オープン)
スクリーン 座席数(車椅子用) スクリーンサイズ デジタル音響
SCREEN 1 456+(3) 19.8×8.3m TCX® カスタムオーダーメイドスピーカー
SCREEN 2 98+(2) 8.2×3.4m デジタル5.1ch
SCREEN 3 98+(2) 8.1×3.4m デジタル5.1ch
SCREEN 4 339+(2) IMAX®レーザー イマーシブ・サウンド
SCREEN 5 395+(2) 16.5×6.9m TCX® DOLBY ATMOS(対応作品のみ) VIVEオーディオ
SCREEN 6 98+(2) 6.3×2.6m スカルプトサウンド
TOHOシネマズ日比谷2.jpgSCREEN 7 151+(2) 11.8×4.9m VIVEオーディオ
SCREEN 8 120+(2) 8.8×3.7m VIVEオーディオ
SCREEN 9 257+(2) 12.9×5.4m スカルプトサウンド
SCREEN 10 98+(2) 8.5×3.6m デジタル5.1ch
SCREEN 11 98+(2) 9.1×3.8m デジタル5.1ch
SCREEN 12 489+(2) 15.0×6.2m VIVEオーディオ
SCREEN 13 106+(2) 7.1×4.1m デジタル5.1ch
13スクリーン 2,803+(27)

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舞台は「走行中の新幹線」。まずまず面白かったが、シリーズ前作を超えるには至らす。

『マリアビートル』単行本.jpg『マリアビートル』文庫.jpg 「ブレッドトレイン」0.jpg
マリアビートル』『マリアビートル (角川文庫)』映画「ブレッドトレイン」(2022)ブラッド・ピット主演

『マリアビートル』文庫帯.jpg 2014(平成26)年・第7回「大学読書人大賞」受賞作。

 元殺し屋の木村雄一は、幼い息子を遊び半分でアパートの屋上から突き落とし、意識不明の重体にした中学生・王子慧に復讐するため、東京駅にて彼が乗った盛岡行き東北新幹線「はやて」に乗る。ところが王子は木村が自分を殺そうとしていることはおろか、元殺し屋という過去も知っており、木村をスタンガンで気絶させる。自信家の王子は大人を翻弄することが好きで、今回も遊び半分で木村を誘い出したとし、自分の知り合いが密かに木村の息子の命を狙っていると教え、彼をコントロール下に置く。殺し屋コンビの蜜柑と檸檬は、裏社会の大物・峰岸良夫の依頼を受けて誘拐された彼の息子を救出し、支払われた身代金の回収を行った。それらを盛岡に運ぶため新幹線に乗るが、身代金の入ったトランクを紛失してしまう。さらに2人が目を離した隙に峰岸の息子も殺されていた。途中の各駅には任務確認のために峰岸の部下も配置されており、このままでは峰岸に粛清されるため、2人は慌てる。ツキのない殺し屋である七尾は、仲介屋で仕事のパートナーである真莉亜より、「簡単な仕事」として東京駅から新幹線に乗り、トランクを奪って上野駅で降りる仕事を受ける。いざ上野で降りようとすると、偶然にも因縁ある殺し屋・狼と鉢合わせしてしまう。狼が邪魔をして上野で降りられず、その彼とは車内で揉み合いとなって殺してしまう。狼の死体を隠し、次の大宮で降りようとするが再び不運が訪れ、降車に失敗する。それぞれ3組の殺し屋たちは自分たちの危機を脱するため、王子は大人たちを翻弄するため、身動きの取れない新幹線内で行動を起こす―。

 『グラスホッパー』('04年)に続く作者の「殺し屋シリーズ」の第2作で、『グラスホッパー』の続編として描かれ、前作の登場人物(木村、鈴木、槿(あさがお))も登場しますが、前作とストーリーはシンクロしておらず、まったく別の話として読めるものでした。

 「疾走する東北新幹線の車内」という限られた時空間が舞台で、その中で、息子の復讐に燃える酒好きの元殺し屋「木村」、サイコパスの中学生「王子」、腕利きの殺し屋二人組「蜜柑」「檸檬」(果物)、何かと運の悪い殺し屋「七尾」(天道虫)と、前作より多くの登場人物が入り乱れ、普通だったら前作より面白くなるはずでしたが、個人的には、まずまず面白かったけれど前作『グラスホッパー』を超えるまでには至らなかったという印象です。

 前作『グラスホッパー』と同様に書き下ろし作品ですが、前作が文庫で345ページなのに対し、こちらは592ページと部厚く、ただ、『グラスホッパー』を読んでからこちらを読むと、"引き伸ばし感"があって、『グラスホッパー』ほどテンポは良くなかったように思いました。

 最後に木村の両親が出向いてくるのはおかしかったです(クリスティのおしどり諜報員"トミーとタペンス"みたいだなあ)。そこからコメディになったけれど、愉しめました。むしろ、サイコパスの中学生「王子」のキャラの方が、ここだけ漫画的キャラで、自分の中では浮いていたように思います。

 今年['22年]、デヴィッド・リーチ監督、主演で映画化され、原作の七尾に相当する役をブラッド・ピット、木村の父親に相当する役を真田広之が演じ、「王子」に相当する役はジョーイ・キングという22歳の女優が演じたようですが、原作とどれくらい違ったものになっているかなあ。126分に収めることで、テンポは良くなっているのかもしれません。

「ブレット・トレイン」 (22年/米) (2022/09 ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント) ★★★☆
「ブレット・トレイン」00.jpg

【2013年文庫化[角川文庫]】

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話の展開がスピーディで、状況が目まぐるしく変化していくのが面白かった。

『グラスホッパー』t.jpg『グラスホッパー』b.jpg
グラスホッパー』『グラスホッパー (角川文庫) 』2015年映画化(鈴木―生田斗真、鯨―浅野忠信、蝉―山田涼介)

 2年前に妻を轢き逃げされた中学校教師の鈴木は、犯人が違法薬物を売る悪徳会社「フロイライン」の社長・寺原の長男だと知る。復讐のため「フロイライン」に入社して機会を窺うが、上司の比与子に、会社への忠誠を示すために捕まえた無関係の若いカップルを殺すように命じられる。その様子を確認するため寺原の長男もやって来るが、鈴木と比与子の目の前で道路を横断しようとした彼は車に轢かれる。それは「押し屋」と呼ばれる業界でも有名かつ正体不明な殺し屋の仕業だった。比与子に、押し屋の行方を追うよう命令された鈴木は、槿(あさがお)という男を見つけ、鈴木は槿が押し屋か正体を探るため、彼の息子の家庭教師として一家に近づく。
 催眠のような力で相手を自殺させる殺し屋・は、今まで自分が殺してきた者たちの幻覚に悩まされていた。元カウンセラーと名乗るホームレス仲間から、やり残したことを清算すれば悩みから解放されるとの助言を得、仕事を先取りされた押し屋を殺すことを決める。また、疑心暗鬼に陥った依頼人・梶が、自分の暗殺を何者かに依頼したことを知り、梶を自殺に見せかけて殺す。
 殺し屋を斡旋する岩西の部下で、ナイフ使いの殺し屋青年・に、鯨の暗殺依頼が届く。蝉は、梶に会いに行くが、彼は自殺していた。情報通の桃より、「フロイライン」の社員(鈴木)が押し屋を見つけたという話を聞く。そこで蝉は押し屋を殺すことで岩西から独立しようとする。
 鈴木は比与子に呼び出され、押し屋の進捗状況を尋ねられるが、警戒心から槿のことは黙っている。しかし、睡眠薬を盛られて拉致される。押し屋の正体を知るため、鈴木の行方を探していたは、鈴木が拉致されたことを知らされ、彼が運ばれた廃ビルに向かう。岩西の事務所にやってきたは、岩西を自殺させようとする。意識が朦朧となった岩西は、鯨に蝉と対決して欲しいと頼む。偶然、蝉から電話が掛かり、岩西は蝉に頑張れと声をかけて電話を切ると鯨に、蝉が押し屋の行方を知っている男(鈴木)の行方を追って寺原が所有する廃ビルに向かったことなどを教え、飛び降り自殺する。
 寺原の廃ビルに潜入したは、鈴木を拷問しようとしていた男たちを殺害し、彼を助け出す。蝉から押し屋を殺そうとしていることを伝えられた鈴木は、彼には家族がいるからと止めるよう説得しようとするが、蝉は一家ごと殺すのは慣れていると言う。鈴木は蝉の車に乗せられ拘束されるが、後部座席に潜んでいたが、蝉を後ろから羽交い締めにし、車外に引きずり出して雑木林の奥の方へと向かう。
 車内に取り残された鈴木は、それを槿に助け出され、彼の家に向かう。鈴木は槿が押し屋だと確信するが、槿ははぐらかす。鈴木は槿一家を助けるため、逃げるように言うが、これも槿は取り合わない。さらには槿の息子がこっそり鈴木の携帯電話を盗み、比与子に住所を送ってしまったことを知り焦る。
 と対峙したは、突然の幻覚で危機に陥るも、岩西から奪った拳銃で蝉を射殺して危機を脱する。ビルから出てきた比与子を見つけ、強引に彼女から押し屋と目される槿の自宅住所を聞き出す。彼女とその場所に向かったが、そこはただのシール工場だった。
 槿の自宅に着いた鈴木はそこで、槿が押し屋であること、槿一家が偽の家族で、彼の妻や息子らも「劇団」の一員だと教えられる。実は「劇団」は「フロイライン」と揉めており、そのために押し屋に寺原親子の殺害を依頼し、さらに押し屋に全面協力していた。寺原は強敵のため、今回は押し屋も手の込んだ計画を練り、そこに偶然鈴木が巻き込まれたという話だった。さらには別件で寺原が殺された情報が届く。鈴木は一家に別れを告げるが、亡き妻との思い出のある結婚指輪を亡くしたことに気づき、これを探すため槿に雑木林に送ってもらう。
 手掛かりを失っただったが、蝉の亡霊が、鈴木は指輪を探して林に戻ってくると囁く。実際に鯨は蝉の死体をそばで指輪を見つけ、さらには道路の向こうに鈴木と思わしき男がいることに気づく。一方の鈴木は指輪が見つからず、諦めて道路に出てきたところ道の向こう側に鯨の姿を確認し、途端に鈴木は死にたくなり道路に飛び出そうとするが、亡き妻の声が聞こえ踏みとどまる。その瞬間に道に飛び出した鯨が車に轢かれる光景を目にし(槿に押された?)、鈴木は睡魔に襲われて意識を失う―。

 『グラスホッパー』('04年)、『マリアビートル』('10年)、『AX(アックス)』('17年)から成る作者の「殺し屋シリーズ」の第1作書き下ろし作品で、2004年に角川書店から出版され、作者自身が「今まで書いた小説の中で一番達成感があった」と語っている作品です(第132回「直木賞」候補作)。

 自分で直接手は下さず、相手を自殺させるプロ「鯨」、ナイフを使うことを得意とした殺し屋の若者「蝉」、妻を殺した男に復讐しようとしている一般人「鈴木」―この3人を軸とする話の展開がスピーディで、状況が目まぐるしく版化していくのが面白かったです。

 そして、線路の上や車道に相手を「ぽんっ」と押して、殺害するのを仕事としている謎の人物「押し屋」。冒頭、鈴木が妻を殺した男に相まみえるかと思いきや、目の前で「押し屋」にその男を殺されてしまいますが、鈴木はその押し屋と思しき人物「槿」に迫るも、なかなか確証が得られないでいます。

 敢えて不満を言えば、鈴木は結局、あるトラブルに偶然巻き込まれただけだったというオチに、やや拍子抜けの印象も。さらに、細かいことで言えば、鯨は自殺させるのが専門の殺し屋とのことですが、本当にそのようなことが可能なのか(暗示効果はかける人の技術よりもかかる人の"資質"の方が大きく影響し、また、人間は深い暗示下にあっても防衛本能や生存欲求はあると言われている)、誰もかれもが自殺していくのがややご都合主義的に思えました。

 まあ、ケチばかりつけていると愉しめませんが、実際、読んでいる間は大いに愉しめました。これらに不満点や疑問点は、星5つ評価ではなく、星4つに止めた言い訳的な(笑)理由です。

 2015年に瀧本智行監督により映画化され、鈴木―生田斗真、鯨―浅野忠信、蝉―山田涼介、槿―吉岡秀隆という配役ですが、未見です(何となく、イメージと配役が合わない)。

【2007年文庫化[角川文庫]】

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面白かった〜。特に後半は息もつかせぬという感じ。現時点での作者の集大成的作品。

ゴールデンスランバー1.jpgゴールデンスランバー.jpg  ゴールデンスランバー3.jpg 
ゴールデンスランバー』(2007/11 新潮社) 2010年映画化(東宝) 

 2008(平成20)年・第21回「山本周五郎賞」受賞作、並びに第5回「本屋大賞」の大賞(1位)受賞作。2009 (平成21) 年「このミステリーがすごい!」(国内編)第1位。 2009(平成21)年・第2回「ミステリが読みたい!」(早川書房主催)国内編・第1位(他に、「週刊文春」2008年度ミステリーベスト10(国内部門)で第2位)。

 仙台で金田首相の凱旋パレードが行われている時、旧友の森田森吾に何年かぶりで呼び出された青柳雅春は、「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」「金田はパレード中に暗殺される」「逃げろ!オズワルドにされるぞ」といきなり言われ、その時遠くで爆音がして、折しも現れた警官は青柳に向かって拳銃を構えた―。

 面白かった〜。特に後半は息もつかせぬという感じ。エンタテイメントに徹することを試みた書き下ろし作品ということですが、ということは、これまでの作者の作品は"純文学"が入っていたということ?
 それはともかくとして、本作品が直木賞候補になった時点で作者はそれを辞退してしまいましたが、"幻の直木賞候補作" と言うより"幻の直木賞作"そのものと言えるかも。

 日本を舞台としながらも、架空の政治背景を設定し、年代も近未来と過去が混ざったような曖昧なものにしていることで、却ってフィクションの世界に入り込み易かったです。
一方で、細部の描写がキッチリしているし、監視社会の姿や警察・マスコミの対応にもリアリティがあることが、作品の面白さを支えているように思えます。

 逃亡する主人公を助ける面々が、それぞれ立場は異なるものの、ある種の義侠心のようなものに突き動かされて行動していて、古風と言えば古風なパターンですが、いいんじゃないかなあ、この"熱い"雰囲気。

 個人的評価は「星5つ」ですが、強いて難を言えば、後半で或る人物が主人公を導くために現れ、この男のやっていることの事件性の方も考えてみれば本題に劣らずかなり大きいものであることが気になったのと、主人公がマスコミを利用した2つの狙い(「無実の疎明」と「身の安全の確保」)のうち、結局1つしか利用目的を果たしておらず、カタルシス効果としては十全なものになっていないことかなと。

 それでも、これまでの作者の作品の集大成的作品であるとの評判には自分としても全く異論は無く、「星5つ」の評価は変わりません。

「ゴールデンスランバー」映画.jpg映画「ゴールデンスランバー」('10年/東宝)監督:中村義洋 
出演:堺雅人/竹内結子/吉岡秀隆/劇団ひとり/香川照之

 【2010年文庫化[新潮文庫]】

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シュール且つ軽めの純文学的な匂い。テーマも含めて全部モチーフ?

『オーデュボンの祈り』.JPGオーデュボンの祈り 文庫.jpg     オーデュボンの祈り.jpg
オーデュボンの祈り (新潮文庫)』['03年] 『オーデュボンの祈り (新潮ミステリー倶楽部)』['00年]

 2000(平成12)年・第5回「新潮ミステリー倶楽部賞」受賞作で、1996年から2000年までしか続かなかった一般公募による同賞の最後の受賞作。

 コンビニ強盗に失敗し、警察から逃げる途中で気を失った伊藤は、気づくと見知らぬ孤島にいたが、江戸時代より外界から遮断されているというその島には、島の預言者として崇められている優午という名の喋るカカシがいて、その優午は、伊藤が島に来た翌日に死体となって発見される―。

 島には、嘘のことしか喋らない画家の園山や、処刑が"島の法律"として許されている桜、太って動けないウサギという女、島で唯一外界との行き来をして商売をする轟という熊のような風体の男等々、変わった人物が住んでいて、出だしはミステリーと言うよりファンタジーという印象を強く受けました(ウサギ穴に落っこちたアリスみたい、この主人公は)。

 やや村上春樹っぽい感じで、出てくる人や生き物が皆何かのメタファーなのかと思い、そういう謎解きみたいなことを考えさせられながら、この訳の解らん夢見のような世界に付き合わされるのかと最初はややゲンナリさせられながらも、読んでいると自然とその中に入り込めてしまい、最後まで読めてしまうのが不思議でした。

 まあ、ラストは予定調和という感じでしたが、途中は作家が描きたい世界を好きに書いているような感じでありながらも、それまで鏤(ちりば)めてきた様々な要素を、(大体においては)ミステリとして収斂させているのは巧みと言うか立派と言うべきか、読後感も悪くなく、デビュー作にして既に作者がストーリーテラーとしての才覚を存分に発揮していたということかも知れません(単行本刊行時にはそれほど話題になったという記憶が無いのだが)。

 但し、やはりこの作品の特徴は、シュール且つ軽めの純文学的な匂いと言うか、前衛演劇を見ているような現実浮遊感のようなものではないかと思われ、結局、テーマも含めて全部モチーフであるという(リョコウバトにしろ音楽にしろ)そんな印象を受けました(才能だけで書いていて、テーマ性が弱い? そう感じるのは、読み手である自分自身のコンセプチュアル・スキルが弱いためだと言われれば、そうなのかも知れないが)。

 【2003年文庫化[新潮文庫]】

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1篇1篇は旨くまとめているなあという気がしたが...。「デッドゾーン」を思い出した。

死神の精度.jpg  死神の精度 文庫.jpg     デッドゾーン dvd.jpg ビデオドローム.jpg ザ・フライ dvd.jpg
死神の精度』 ['05年] 『死神の精度 (文春文庫)』 ['08年]/デヴィッド・クローネンバーグ「デッドゾーン デラックス版 [DVD]」「ビデオ・ドローム [DVD]」「ザ・フライ (特別編) [DVD]

 2004(平成16)年・第57回 「日本推理作家協会賞」(短編部門)受賞作(連作の第1部「死神の精度」に対する授賞)。

 人の死の1週間前に派遣され、その死について「可」または「見送り」の判断をすることを仕事とする死神の千葉は、クールでちょっとズレている雨男だが、その彼が、大手電機メーカーの苦情係の女性、兄貴分を守ろうとするヤクザ、吹雪でホテルに雪隠詰めになった宿泊客たち、近隣女性に恋するブティックの男性店員、逃走中の殺人犯、美容院店主の老婆の前にそれぞれ現れる連作。

 死という重いテーマを敢えて軽いタッチで扱っていて、最初は星新一のショートショートでも読んでいるような感じでしたが、千葉の冷静さを鏡として登場人物の心の機微もそれなりに描かれていて、結構突飛な(?)状況設定の割には、1篇1篇は旨く纏めているなあという気がしました。ゴダールの影響は引用フレーズなどでの面でのことであり、モチーフとしては、握手した相手の未来が見えるというスティーブン・キング『デッド・ゾーン』('87年/新潮文庫(上・下))に近いのでは...。

 作者が直木賞候補になったのは'03年『重力ピエロ』、'04年の『チルドレン』『グラスホッパー』に続き本作が4回目で、この時は東野圭吾氏の『容疑者χの献身』が受賞していますが、個人的には『死神の精度』の方がやや面白いかなあと(『グラスホッパー』の対抗馬が角田光代氏の『対岸の彼女』だったのはいたしかたないが)。この後'06年に『砂漠』でも直木賞候補となっていますが、'08年に『ゴールデンスランバー』が候補になったとき、ノミネート辞退をしています。

 ただ、この作品に関しても、「吹雪に死神」がいきなり本格推理調だったり(パロディなのか?)、最後の「死神対老女」が必ずしもそれまでの5話を収斂し切れているように思えなかったりし、全体構成において少し不満も残りました。

 直木賞の選考委員の何人かが、時には死神の精度が狂って失敗するケースも加えた方が良かったのではないかと言っていましたが(渡辺淳一、井上ひさし両氏)、仮にそうするならばそれはモチーフ自体の改変であり、かなり違った展開になってしまうような...。但し、タイトルはそうしたこともあるのかなあと思わせるタイトルなので紛らわしい気もしました(読んでみれば"精度100%"で、あとは死神が「可」の判断をするかどうかということだけではないか)。その最終判断にも、もう少し「見送り」の作品があってもよかったのではとの意見もありましたが(平岩弓枝氏)、それは言えているような気がします。

 「恋愛で死神」なども読後感は悪くなかったですが、ややメルヘンっぽい。阿刀田高氏さえ、「もっと深い思案があってよかったのではないか」と言っているぐらいで、この人が「△」では、他の直木賞選考委員も引いてしまうのではないかと個人的にも思ったりして...。― 殆ど、「選評」評になってしまいましたが。

 因みに、スティーブン・キングの『デッド・ゾーン』は、当時無名のデヴィッド・クローネンバーグ監督が「デッドゾーン」('83年/米・カナダ)として映画化し、'84年のアボリアッツ・ファンタスティック映画祭で批評家賞受賞、'85年6月の東京国際映画祭の"ファンタスティック映画祭"で観ましたが、キング原作の映画化作品の中ではいい方だったのではないかと。

ヴィデオドローム パンフ.jpgVideodrome [1982].jpg 当時の評判も良かったみたいで、同月には渋谷ユーロスペースで同監督の前作「ヴィデオドローム」('82年/カナダ)が上映され、ジェームズ・ウッズ主演のこの作品は見た人の性格を変える暴力SMビデオによって起きる殺人を描いたもので(鈴木光司原作の日本映画「リング」はこれのマネか?)、この2作でクローネンバーグの名は日本でも広く知られるようになりました(「ヴィデオドローム」は、ちょっと気持ち悪いシーンがあり、イマイチ)。
Videodrome [1982] /パンフレット

ヴィデオドローム01.jpg ヴィデオドローム02.jpg Videodrome
 
蠅.jpgザ・フライ.jpg その後、クローネンバーグは、ジョルジュ・ランジュラン原作、カート・ニューマン監督の「ハエ男の恐怖(The Fly)」('58年/米)のリメイク作品「ザ・フライ」('86年/米)を撮り(ホント、"気色悪い"系が好きだなあ)、ジェフ・ゴ「蝿男の恐怖」(1958).jpgールドブラムが変身してしまった「ハエ男」が最後の方では「カニ男」に見えてしまうのが難でしたが(と言うより、何が何だかよくわからない怪物になっていて、オリジナルの「ハエ男の恐怖」の方がスチールを見る限りではよほどリアルに「蠅」っぽい)、ただしストーリーはなかなかの感動もので、ラストはちょっと泣けました。

「ハエ男の恐怖」(1958)                   

デッドゾーン パンフ.jpgデッドゾーン 映画.jpg 「デッドゾーン」ではクリストファー・ウォーケンが演じる何の前触れもなく突然に予知能力を身につけてしまった主人公の男(スティーヴン・キングらしい設定!)は、将来大統領になって核ミサイルの発射ボタンを押すことになる男(演じているのは、後にテレビドラマ「ザ・ホワイトハウス」で合衆国大統領役を演じることになるマーティン・シーン)に対して、彼の政治生命を絶つために犠牲を払って死んでしまうのですが(未来を変えたということか)、これならストーリー的にはいくらでも話が作れそうな気がして、これきりで終わらせてしまうのは勿体無いなあと思っていたら、約20年を経てTVドラマシリーズになりました(テレビドラマ版の邦題は「デッド・ゾーン」と中黒が入る)。
The Dead Zone [1983] /パンフレット

アンソニー・マイケル・ホール 「デッドゾーン」s.jpg「デッドゾーン」    ドラマ.jpg テレビドラマ版「デッド・ゾーン」で主役のアンソニー・マイケル・ホールを見て、雰囲気がクリストファー・ウォーケンに似ているなあと思ったのは自分だけでしょうか。意図的にクリストファー・ウォーケンと重なるイメージの俳優を主役に据えたようにも思えます。

                      
'85年東京国際映画祭"ファンタスティック映画祭"カタログより
コデッドゾーン20761.jpgデッドゾーン dvd.jpg「デッドゾーン」●原題:THE DEAD ZONE●制作年:1983年●制作国:アメリカ・カナダ●監督:デヴィッド・クローネンバーグ●製作:デブラ・ヒル●脚本:ジェフリー・ボーム●撮影:マーク・アーウィン●音楽:マイケル・ケイメン●原作:スティーヴン・キング●時間:103分●出演:クリストファー・ウォーケン/マーティン・シーン/ブルック・アダムス/トム・スケリット/ハーバート・ロム/アンソニー・ザーブ●日本公開:1985/06●配給:ユーロスペース●最初に観た場所:渋谷パンテオン (85-06-06)(評価★★★☆)

ビデオドローム.jpg「ヴィデオドローム」●原題:VIDEODROME●制作年:1982年●制作国:カナダ●監督・脚本:デヴィッド・クローネンバーグ●製作:クロード・エロー●撮影:マーク・アーウィン●音楽:ハワード・ショア ●時間:87分●出演:ジェームズ・ウッズ/デボラ・ハリー/ソーニャ・スミッツ/レイ・カールソン/ピーター・ドゥヴォルスキー●日本公開:1985/06●配給:欧日協会(ユーロスペース)●最初に観た場所:渋谷ユーロスペース (85-07-21)(評価★★★)
ヴィデオドローム5.jpgヴィデオドローム04.jpgヴィデオドローム03.jpg
David Cronenberg & James Woods

ザ・フライ dvd.jpgザ・フライges.jpg「ザ・フライ」●原題:THE FLY●制作年:1986年●制作国:アメリカ●監督・脚本:デヴィッド・クローネンバーグ●製作:スチュアート・コーンフェルド●撮影:マーク・アーウィン●音楽:ハワード・ショア ●原作:ジョルジュ・ランジュラン「蠅」●時間:87分●出演:ジェフ・ゴールドブラム/ジーナ・デイヴィス/ジョン・ゲッツ/ジョイ・ブーシェル/レス・カールソン/ジョージ・チュヴァロ/マイケル・コープマン●日本公開:1987/01●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所:大井武蔵野舘 (87-07-19)(評価★★★★)●併映:「未来世紀ブラジル」(テリー・ギリアム)


デッド・ゾーン tv.jpgデッドゾーン」.jpg「デッド・ゾーン」The Dead Zone (USA 2002~2007) ○日本での放映チャネル:AXN(2005~2010)
デッド・ゾーン シーズン5 コンプリートBOX [DVD]


 【2008年文庫化[文春文庫]】

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