Recently in デザイン・建築 Category

「●デザイン・建築」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 「●映画」 【2337】 『世界の映画作家9 イングマル・ベルイマン

世界のANDOの"中期"作品群。見て楽しめるだけでなく、資料としても貴重か。

GA ARCHITECT TADAO ANDO 12.png GA ARCHITECT TADAO ANDO 16.png  GA ARCHITECT TADAO ANDO 8.png GA ARCHITECT TADAO ANDO.jpg
GAアーキテクト (12) 安藤忠雄 1988-1993―世界の建築家 (GA ARCHITECT Tadao Ando Vol.2)』['93年]『GAアーキテクト (16) 安藤忠雄 1994-2000―世界の建築家 (GA ARCHITECT Tadao Ando Vol.3)』['00年]  『GAアーキテクト (08) 安藤忠雄 1972-1987―世界の建築家 (GA ARCHITECT Tadao Ando Vol.1)』['87年]『GA ARCHITECT 安藤忠雄 2001-2007』['07年]

tadao ando12.JPG安藤忠雄五輪.jpg 2020年五輪の新国立競技場問題で一部世間からバッシングを浴びた安藤忠雄氏ですが、最大のネックは文科省と日本スポーツ振興センター(JSC)にあっ安藤忠雄 五輪.jpgたと思われ(特にJSC)、安藤氏に非難される余地が全く無かったのかと言えば必ずしもそうと言い切れないとは思いますが、彼はデザイン選定の責任者(審査委員長)であって、予算管理の責任者ではないでしょう。文科省、JSCの"罪"の大きさを思うに、相対的にみて、安藤氏に対しては個人的には同情的な考えでいます(顔が見えにくいところが非難を逃れ、顔が見えやすい人がバッシングを受けるのは世の常か)。

tadao ando127.JPG 今回の騒動はともかく、安藤氏が世界的な建tadao ando128.JPG築家であることは論を待たないと思いますが、この人の、プロボクサーから建築家に転じ(しかも殆ど独学で建築学を学んで)、工業高校卒の最終学歴で東大の教授にまでなったというその経歴がこれまたスゴ過ぎます(現在は東大名誉教授)。

tadao ando129.JPG
[上]兵庫県立こどもの館(1987-89年)
[上右]国際花と緑の博覧会「名画の庭」(1990年)
[右]セビリア万博日本館(1992年)

黒川 紀章 - コピー.jpg そうした異色ぶりもあって安藤氏のファンも結構多いと思いますが、その安藤氏も現在['15年12月]74歳、願わくば、晩年ちょっと箍(たが)が外れてしまった黒川紀章(1934-2007/享年73)の二の舞にはならないで欲しいと思います(まあ大丈夫だとは思うが)。

tadao ando16.JPG 本書は80年代から刊行が続いている建築家シリーズ「GAアーキテクト」の一環を成すものですが、このうち、安藤忠雄の作品集は1972年から1987年の作品を収めた第8巻('87年刊行)、1988年から1993年の作品を収めた第12巻('93年刊行)、1994年から2000年の作品を収めた第16巻、('00年刊行)の3巻がありましたが、'07年に2001年から2007年までの42作品を収録ものが刊行されています。
tadao ando162.JPG
 このシリーズで4巻も占めているのは安藤忠雄のみで、この外にも「安藤忠雄ディテール集」が'96年から'07年にかけて4巻刊行されていたりもしますが(とにかく群を抜く頻度の取り上げられ方)、取り敢えず上記4巻で、現時点での安藤忠雄作品集といった感じでしょうか。勿論、安藤氏は現在も活動中ですが、この第12巻と第16巻で1988年から2000年の作品を網羅していることになり、"中期"作品集と言ってもいいように思います。

[右]シカゴの住宅(1992-1997年)
[下]FABRICA(伊ベネトン・アートスクール)(1992-2000年)

tadao ando163.JPG 初期作品にも「住吉の長屋」('76年)など有名なものがありますが、やはり"中期"においてスタイルが確立したように思われ、また、セビリア万国博覧会日本政府館('92年)などは偶々自分が行ったこともあって懐かしく、淡路夢舞台の百段苑('00年)なども家族と旅行に行った思い出があり、これもまた懐かしいです(百段苑はスケールの大きさに圧倒される)。大判の写真に加え、詳細な図面や安藤氏自身のコメントも含む作品解説もあって、見て楽しめるだけでなく、資料としても貴重かと思います。

[下右]淡路夢舞台(1993-2000年)
tadao ando164.JPG 個人的には、安藤氏の作品は、作品によってはそのスケールの大きさから、建築と言うより「土木」っぽいところがあるものもあるように思います。そう言えば、このシリーズ、2020年五輪の新国立競技場デザイン案のコンペで安藤氏が推して一旦はその案の採用が決まっていたイラク出身の建築家ザハ・ハディッド女史の作品集も第5巻にありますが(今回の件で復刻印刷された)、この人の作品も何となく「建築」というより「土木」という感じがするなあ(競技場をあの原案の通り造ろうとしたら、技術的には建築工学より土木工学の技術が必要になるのでは)。


 「世界の最先端デザイン建築○○選」などといったサイトがありますが、そういうの見るにつけ建築の世界ってどんどん進化しているなあと思います。何年か経てば、安藤忠雄の作品であっても「これ、安藤忠雄が設計した」と言われて初めて何となくそのユニークさを感じるくらいになっているかも(ル・コルビュジエの建築などは今日ではそういう感じではないか)。一時、世海底都市0.jpg動くビル ドバイ.jpg界中の建設重機の半分が集まったとムンバイパンドラオーム.jpgムンバイパンドラオーム2.jpg言われたドバイ(世界一高い超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」もここにある)とかはスゴイことになっているし(リーマンショックの前ぐらいまではSFに出てくるような「海底都市」や、回転して変形し、まるで生き物みたい動く(動いて見える?)ビルを造る構想もあり、「動くビル」構想は今も生きているらしい)、インドのムンバイでは、全室プール付マンションの建設計画があるというし...(2009年には既に、マレーシアのクアラルンプールに全室プール付マンションが完成している)。

 建築家って、最先端辺りにいる人たちは、フツーの建造物では飽き足らず、いつも夢みたいにスゴイことを考えているんだろなあ。2020年における世界の建築イノベーションの進み具合ということを考えた場合、安藤氏がザハ・ハディッド氏の案を推した気持ちが理解できるような気がします(ザハ案は東京での開催誘致の際のプレゼンに織り込まれ、実際に東京への誘致と相成った訳だかザハ・ハディド.jpg北京・銀河SOHO  ザハ・ハディド_1.jpgアル・ワクラ・スタジアム.jpgら、ザハ案を選んだ安藤氏は誘致に貢献したとも言えるかと思うのだが...)。

ザハ・ハディド(1950-2016.3.31)/北京・銀河SOHO(設計:ザハ・ハディド)/アル・ワクラ・スタジアム[2022年FIFAワールドカップ(カタール大会)会場スタジアム完成予想図](設計:ザハ・ハディド)

「●民俗学・文化人類学」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【900】 鶴見 太郎 『民俗学の熱き日々
「●美学・美術」の インデックッスへ 「●デザイン・建築」の インデックッスへ

デザイナー用の資料集として使えるが、図鑑としても楽しめた。

サイン・シンボル事典2.jpgサイン・シンボル事典.jpgサイン・シンボル事典

 宗教関係、太陽や月、樹木や花や虫や鳥から、人間の手足など人体の部位や楽器、帽子や仮面など衣服・装身具、象形文字や占星術、人の身振りまで、様々なサインやシンボルの意味やそれらに隠されたメッセージを解説した本で、フルカラーの写真とイラストが2,000点以上と数は豊富です。

サイン・シンボル事典3.jpg 神話と宗教、自然、人間象徴体系といった具合に大分類されていて、その中でさらに例えば宗教であれば古代宗教、ユダヤ教、キリスト教といったようにカテゴライズされているため、それぞれの分野の傾向というものが何となく掴めるものとなっています。
 
 読んでいても面白く、個人的にも気に入っているのですが、絵入りとしては点数が多い分、各アイテムの一つ一つの解説はそれほど深くなく、一通り読んでもそんなに頭の中に残らないかも。
 全部頭に入れば、文化人類学上、かなりの博識にはなるのだろうけれど...(繰り返し読んでも面白いということは、前に読んだのを忘れているということか)。

 「事典」とあるように、基本的には資料集的な使い方になるかな。広告デザイナーなどは必携かも。
 自分の使ったモチーフに自分も知らなかったネガティブな意味があったりすると、後でたいへんなことになったりするかも知れないから。

サイン・シンボル事典4.jpg  手元にあるのは初版本ですが、'10年に『サイン・シンボル大図鑑』として同じ版元(三省堂)から改訳刊行されています(そっか、自分は図鑑として楽しんでいたわけだ。一応、文化人類的関心から読んだのが)。

 改訳版も内容は大体同じではないかと思われるのですが、Amazon.comの「よく一緒に購入されている商品」で旧版と改訳版がセットになっているなあ。

 改訳版は『図鑑』と呼ぶに相応しく、ページ数が128ページから352ページに大幅増となっています(内容も変わったのか?)。
 今買うなら、新しい方だろうなあ。

【2010年改訳[『サイン・シンボル大図鑑』]】

「●写真集」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【890】 ホンマ タカシ 『NEW WAVES
「●デザイン・建築」の インデックッスへ 「●さ行の外国映画の監督②」の インデックッスへ「●ハリソン・フォード 出演作品」の インデックッスへ 「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ 「○都内の主な閉館映画館」の インデックッスへ(二子東急)インデックッスへ(三軒茶屋東映)

美しく見せるという思惑がないところでの"キレイさ"。その"意外性"が面白いのかも。

工場萌え.jpg 工場萌えカレンダー.jpg 超高層ビビル.jpg ブレードランナー2.jpg
工場萌え』['07年]『工場萌えカレンダー 2008』『超高層ビビル 日本編 (Skyscrappers Vol 1)』['08年]/映画「ブレードランナー」より

 「工場」と言うより「コンビナート」のタンクやパイプ、煙突群の「構造美」を捉えた写真集で、「工場萌え」とは工場の景観を愛好する行為だそうですが、著者(石井氏)のmixiのブログに端を発して、ちょっとしたブームになっているらしく、カレンダーやDVDまで出ています。

ダム.jpg 高層ビルや吊り橋など人工の建造物を写真に収めることを趣味とする人は結構いるようで、最近では中谷幸司氏の『超高層ビビル 日本編』('08年/社会評論社)という写真集が刊行され、更には全国のダムを撮った萩原雅紀氏の『ダム』('07年/メディアファクトリー)などというのもあります(こちらも続編『ダム2(ダムダム)』('08年)が刊行され、DVDも出された)。

中谷 幸司 『超高層ビビル 日本編』.JPG この内、『超高層ビビル 日本編』は、日本全国の高さ100メートル超の高層ビルを写真に撮って並べたもので(但し、トップにきているのはビルでなく「東京タワー」。次に「六本木ヒルズ」)、キャプションとしては高さ・階数・建設年月・所在地が記されているだけですが、このカタログ的な並べ方が逆にいいです。

 写真も、変に意匠をこらさず、それぞれビルの全体像が分かるような(主に正面から見た)撮られ方になって、この本はある建築家がお薦めとしていまいしたが、建築・建設関係者の間では密かに人気を得ているようです(著者=撮影者はJavaのプログラマーであるとのことで、あくまで趣味の世界からスタートしている)。

 こうした写真集はある種の「機能美」を追ったものであり、とりわけ高層ビルや吊り橋に関しては、そうした「外見上の美しさ」というものが予め設計段階で織り込まれている―それに対し、「コンビナート」が美しく見えるというのは、そうした思惑がないところでのことで、その"意外性"が面白いのかも(但し、個人的には『超高層ビビル』の方が若干好みだが)。

 ただそれだけに、「鑑賞スポット」とでも言うか、見るポイントが限定されてくるわけで、本書の後半では、そうした撮影ポイントを地図と写真入りで紹介しており、更に"鑑賞"のための基礎知識として、「歩きやすい靴で」とか、近くにコンビニさえ無いことが多いから「飲み物を忘れずに」とか、色々な注意点が親切に書かれているのが、普通の「趣味ガイド」みたいで何となく面白い。

ブレードランナー チラシ.jpg 最後に「おすすめ工場コンテンツ」というのがあり、工場を知るための入門書や、工場のイメージを効果的に使った映像作品、工場に親しめる小説などが紹介されています。その中にはリドリー・スコット監督の映画「ブレードラブレードランナー(Blade Runner).jpgンナー」('82年/米)笙野頼子氏の『タイムスリップ・コンビナート』('94年/文藝春秋)(これ、芥川賞作ブレードランナーF.jpg品の中ではかなり異色ではないか)などがあったりして、"系譜"と言えるかどうかは別として、「コンビナート」的な「構造美」に惹かれる部分は意外と多くの人が持っていて、ただそれが、無機的であるとか、大気汚染とイメージリンクしてしまうとかで、隠蔽されてきた面もあるかもしれません。
映画「ブレードランナー」より
ブレードランナー.jpg また、映画「ブレードランナー」に関して言えば、'82年の公開時は大ヒット作「E.T.」の陰に隠れて興業成績は全く振るわなかったのが、後になってジワジワと人気が出てきたという経緯があり、当初カルトムービー的に扱われてたものが、やがてSF映画のメジャー作品としての市民権を得たという点や、ファンの多くが、映画のストーリーだけでなく、或いはそれ以上に、視覚的な背景などの細部に関心を持ったという点で、「工場萌え」ブームに共通するものを感じなくもありません。

『ブレードランナー』(1982).jpgBLADE RUNNER.jpg 「ブレードランナー」という映画の妙というか、観客に視覚的に強いインパクトを与えた部分の一つは(個人的にはまさにそうだったのだが)、未来都市にもダウンタウンがあり、ネオン塔やブレードランナー5.jpg筆字体の看板などがあって、そこに様々な人種が入り乱れて生活したり商売したりしている"生活感"、"人々の蠢(うごめ)き感"みたいなものがあった点ではなかったかと思います(80年代にシンガポールで見た高層ビルの谷間の屋台群を思い出した。シンガポールまで行かなくとも、新大久保のコリアン街でも似たような雰囲気は味わえるが)。

 但し、「工場」にはそうした生活感のようなものが全くない(とりわけ夜の工場には)―その、"純粋"機能美が、それはそれでまたウケるのかも知れませんが。『工場萌え』というタイトルが面白いし、効いていると思います。「萌え」というのは、本来はキャラクター的なものを対象としていることからすれば、ある意味パロディでしょう。確かに、視点や時間帯で様々な景観を示すコンビナートは、未来都市の一角のようで美しい(特に夜景が"妖しく"キレイ)と思ったけれども、個人的には、「こんなのが好きな人も結構いるんだ」という珍しさが先に立って、自分自身が「萌える」というところまではいかなかったでしょうか。

Blade Runner (1982)  
「ブレードランナー」('82年/米).jpg『ブレードランナー』.jpg 映画「ブレードランナー」より

『ブレードランナー』2.jpg 『ブレードランナー』3.jpg 『ブレードランナー』4.jpg
 
二子東急(昭和50年代)
三軒茶屋シネマ.jpg二子東急(昭和50年代) .jpg「ブレードランナー」●原題:BLADE RUNNER●制作年:1982年●制作国:アメリカ●監督:リドリー・スコット●製作:マイケル・ディーリー ●脚本:ハンプトン・フィンチャー/デイヴィッド・ピープルズ●撮影:ジョーダン・クローネンウェス●音楽: ヴァンゲリス●時間:117分●出演:ハリソン・フォード/ルトガー・ハウアー/ショーン・ヤング/ダリル・ハンナ/ブライオン・ジェイムズ/エドワード・ジェイムズ・オルモス/M・エメット・ウォルシュ/ウィリアム・ サンダーソン/ジョセフ・ターケル/ジョアンナ・キャシディ/ジェームズ・ホン●日本公開:1982/07●配給:ワーナー・ブラザース二子東急 1990.jpg二子東急.gif●最初に観た場所:二子東急(83-06-05)●2回目:三軒茶屋東映(84-07-22)●3回目:三軒茶屋東映(84-12-22)(評価:★★★★☆)●併映(2回目):「エイリアン」(リドリー・スコット)/「遊星からの物体x」(ジョン・カーペンター)●併映(3回目):「遊星からの物体x」(ジョン・カーペンター) 二子東急(1990年)

二子東急 場所.jpg二子東急のミニチラシ.bmp二子東急 1957年9月30日 開館(「二子玉川園」(1985年3月閉園)そば) 1991(平成3)年1月15日閉館
三軒茶屋シネマ/中央劇場.jpg
  
  
 
  
 
 
   
三軒茶屋シネマ 内.jpg三軒茶屋東映 1955年世田谷通りの裏通り「なかみち街」にオープン、1973年建て替え、1997年~三軒茶屋シネマ (右上写真:三軒茶屋シネマ/三軒茶屋中央劇場/サンタワービル(三軒茶屋映画劇場跡地)) 

現「三軒茶屋シネマ」内 2014(平成26)年7月20日閉館
三軒茶屋東映予定表.bmp

About this Archive

This page is an archive of recent entries in the デザイン・建築 category.

写真集 is the previous category.

映画 is the next category.

Find recent content on the main index or look in the archives to find all content.

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1