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シニアが最初に読む「筋トレ入門書」としてはオーソドックス。

定年筋トレ (ワニブックスPLUS新書).jpg 定年筋トレ (ワニブックスPLUS新書) 2.jpg 京都大学名誉教授 森谷敏夫1.png
定年筋トレ (ワニブックスPLUS新書)』NHK-BSプレミアム「美と若さの新常識〜カラダのヒミツ〜」"実践!おサボり筋トレ"(2018年5月15日)
京大の筋肉』['15年]「RBG 最強の85才」('18年/米)ルース・ベイダー・ギンズバーグ
京大の筋肉.jpgRGB最強の85才01.jpg 60歳前後は「筋トレ適齢期」であるとともに、時間が自由に使えるようになる定年前後は、まさに「はじめどき」でもあると説いた本。シニアの運動は「ウオーキング」ばかりになりがちだが、ウオーキングばかりしていても筋肉は増えず、きちんとした知識を身につけて行えば、少々ハードな筋トレをやっても大丈夫とのことです。去年['19年]観た映画で、「RBG 最強の85才」('18年/米)という米国で最高齢の女性最高裁判事として国民的アイコンとなったRBGことルース・ベイダー・ギンズバーグを追ったドキュメンタリー映画がありましたが、その中でギンズバーグが85歳にしてパーソナルトレーナーをつけてがんがん筋トレしていたのを思い出しました。

安井友梨図1.jpg 著者は京大名誉教授であり、「京大の筋肉」のキャッチとヌード写真で一躍注目を浴びましたが(当時64歳)、個人的にどんな人か知ったのは、NHK-BSプレミアムのフットボールアワーがMCを務める「美と若さの新常識〜カラダのヒミツ〜」で"実践!おサボり筋トレ"というテーマの時にコメンテーターとして出演しているのを見たのが最初だったでしょうか。自分で実践しているので、言っていることに説得力がありました(同じ番組に出ていたフィットネスビキニの日本女王・安井友梨などにも言えることだが)。

 本書の内容も、「☓シニアの筋トレは週1で十分、◯週に6日座っていては効果はほぼ無い」「☓筋トレは毎日やるべき、◯休ませないと筋肉は育たない」といった」ように、一見常識を否定しているようで、ある程度分かっている人からすれば、極めてオーソドックスなことが書かれていると言えるのではないでしょうか。

 「筋トレをすることは脳トレになる」「筋トレ直後に20gのタンパク質を摂る」「できれば30分以内」「糖質も摂るとさらに効果的」と(過度の糖質制限には否定的な立場)。自宅でトレーニングするときは、フローリングであれば「室内用のスポーツシューズにはきかえるのがお勧めです」と親切。でも、「自重トレ」は手軽だが飽きやすいと。結局、目的に沿った適正重量を知るには(その方法が本書には分かりやすく書かれているが)、ジムに行くのが一番いいのだろうなあ。

 ジムに行く時間は「朝食を摂って数時間経った昼食前、昼食をとってて数時間経った夕方の時間帯がベター」だと。確かに、ビルダー兼インストラクターで、午前中に自分のトレーニングをして、午後に指導している人がいるなあ。一般の人は「定年後のアドバンテージを生かして、15~17時にトレーニングするのがいい」と。17時過ぎると19時頃まで仕事を終えた人がジムに来て混むためだそうです(ナルホド。自分の知っているジムで、15~17時の方が高齢者ばかりで混んでいるというケースもあったが)。

 最終章が実践編になっていて、NSCA(日本ストレングス&コンディショニング協会)のヘッドS&Cコーチ、吉田直人氏によるストレッチ、自宅筋トレ、ジム筋トレの写真入り解説が50ページ続きます。ジム筋トレの写真が少なくてアームカール(上腕二頭筋トレーニング)が無いなど物足りないですが、全体を通してシニアが最初に読む「筋トレ入門書」としてはオーソドックスであったように思います。

RGB最強の85才 2018.jpgRGB最強の85才02.jpg 冒頭に挙げた「RBG 最強の85才」は、米国では関連本が何冊も出版され、Tシャツやマグカップといったグッズまで作られるほどの知名度と人気を誇る、RBGことルース・ベイダー・ギンズバーグの若い頃から現在までを二人の女性監督が描いたドキュメンタリーで、85歳(映画製作時)で現役の最RGB最強の85才 ka-ta.jpg高裁判所判事として活躍する彼女は、ニューヨークのユダヤ系の家に生まれ、苦学の末に判司となり、1980年にカーター大統領によってコロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所判事に指名され、1993年にRBG 最強の85才ード.jpgはビル・クリントン大統領政権下で女性としては2人目のアメリカ最高裁判事(長官を含めて9人で構成される)に任命されています。85歳の年齢で現職にあるので保守派かというと、実はその逆で、これまでも女性やマイノリティへの差別撤廃に寄与した判決を多く出しているリベラル派です(だかRGB最強の85才 トレーニング.jpgら若者に人気がある)。映画の中でも一部解説されていますが、ドナルド・トランプは2017年1月大統領就任後、引退する連邦最高裁判事の後任として保守派の判事を次々に任命しているため、リベラル派のギンズバーグはこれ以上の連邦最高裁の保守化を食い止めるために、少なくともトランプが退陣して新たな民主党出身の大統領が現れるまでは、引退を見送ると見られているようです。現職に留まっているのには理由があり、また、職務継続のため「筋トレ」で健康を維持しているということになるかと思います(もうすぐ87歳になるなあ)。

RBG 最強の85才_0045.JPG「RBG 最強の85才」●原題:RBG●制作年:2018年●制作国:アメリカ●監督・製作:ベッツィ・ウェスト/ジュリー・コーエン●撮影:クラウディア・ラッシュク●音楽:RBG 最強の85才_0043.JPGミリアム・カトラー●時間:97分●出演:ルース・ベイダー・ギンズバーグ/ジェーン・ギンズバーグ/ジェームズ・スティーヴン・ギンズバーグ/ニナ・トテンバーグ/クララ・スペラ/グロリア・スタイネム/ブルース・マックヴィッテ/ジミー・カーター/ビル・クリントン/バラク・オバマ●日本公開:2019/05●配給:ファインフィルムズ●最初に観た場所:新宿・シネマカリテ(19-05-23)●評価:★★★★
シネマカリテ 2012年12月22日開館(新宿武蔵野館のある武蔵野ビルに入っていたミニシアターが移転)。
新宿シネマカリテ.jpg 新宿シネマカリテ0.jpg
シネマカリテ1(69席)/シネマカリテ2(78席)
新宿シネマカリテ1.jpg 新宿シネマカリテ2.jpg

《読書MEMO》
●NHK 総合 2022/07/04 「映像の世紀バタフライエフェクト#12―RBG 最強と呼ばれた女性判事 女性たち 百年のリレー」
RBG 最強と呼ばれた女性判事.png
保守的なヴィクトリア女王の葬儀 | エミリー・デイヴィソンと女性参政権運動 | 第一次世界大戦と女性の地位向上、女性参政権の認定 | アリス・ポール率いる全国女性党 | 入党したアメリア・イアハートの2度の大西洋横断飛行と太平洋横断飛行中の失踪 | ルース・ベイダー・ギンズバーグの連邦最高裁判所判事就任 | ヒラリー・クリントンがガラスの天井に挑んだ2016年アメリカ合衆国大統領選挙とトランプ政権下でのギンズバーグの逝去(語り:山田孝之)

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シニアが自立した健康生活を送るには「体幹と下半身の筋肉トレーニング」が必須と説く。

体力の正体は筋肉 (集英社新書).jpg体力の正体は筋肉.jpg 樋口 満 受賞1.jpg 
体力の正体は筋肉 (集英社新書)』第20回(2017年)「秩父宮記念スポーツ医・科学賞功労賞」表彰式

樋口 満 受賞2.jpg 今やスポーツジムのメインの利用者はシニア世代だと言われるのは、ジムにもよりますが、行ってみるとその通りだなあとも思わされます。このことは増田晶文 著『50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ』('14年/SB新書)のエントリーでも取り上げましたが、今もその傾向は続いているようです。

樋口 満 先生11.jpg樋口 満 先生2.jpg 早稲田大学スポーツ科学学術院教授で、2017年・第20回「秩父宮記念スポーツ医・科学賞功労賞」を受賞した著者による本書では、シニアにとって自立した健康な生活を送るために必須なものは「体幹と下半身の筋肉トレーニング」であると言い切っています。この"言い切り"ぶりが分かりやすいですが、体力とはなにか、体力をつけるのに筋肉はなぜ重要なのかを科学的にきちんと説明しているところはさすが専門家であり、また、誰でも簡単に自宅でもできる「ローイング」(ボート漕ぎ運動)というトレーニング法を紹介するとともに、筋肉にとって最適な食生活についても紹介しています。 

「稲士会」 第13期定期総会(講演会:早稲田大学スポーツ科学学術院・樋口満教授 「ミドル&シニア・エイジのための食楽&動楽」(2017年9月23日)
 
 「アンチ・エイジング」という言葉に対して、アンチ・エイジングが「抗・老化」であるのに対し。「ウィズ・エイジング」(「共・老化」)、「アクティブ・エイジング」(「脱・老化」)という言葉を紹介しており、啓発的であると思いました。年齢を重ねても、運動習慣や食生活といったライフスタイルを見直し、健康を保ち、閉じこもらずにさまざまな社会活動に参加する―それによって背活の質(QOL)を高め、自立寿命を延ばさなければならないとのことです。

 全体を通して、ものすごい"新説"が登場するわけではないですが、データに基づいて科学的に解説されており、その分、著者が「最強」と推す「ローイング」の効用にも納得してしまいます。ただし、それ一辺倒ではなく、ウォーキングやスロージョギング、スイミングなどの効用も説くとともに、効率的かつ安全に楽しむにはどうすればよいか解説しています。また、「椅子を使った筋トレ」など、自宅で手軽にできる運動も、イラスト解説しています。

 要するに、有酸素運動もレジスタンス運動(筋トレ)もどちらも大事で、「ローイング」などはその両方を兼ね添えているのだなあと。とにかく、筋肉は動かさないとすぐに委縮し、その機能も著しく低下する"怠け者(サボリ屋)"でり、使えば必ず機能が向上するだけでなく、他の臓器・器官など全身に好影響を与える"働き者(頑張り屋)"であることを改めて認識させられました。

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分かり易く基本を押さえているが、「筋トレ」の本と言うより「ストレッチ」の本みたい。

20歳若返る筋トレ.jpg 『20歳若返る筋トレ (小学館新書)』 やってはいけない筋トレ.jpgやってはいけない筋トレ (青春新書インテリジェンス)

 著者の前著『やってはいけない筋トレ』(2012年/青春新書INTELLIGENCE)同様、分かり易く基本を押さえて書かれています。入門書としては悪くないと思いますが、ある程度、この分野の読書経験がある人にはややもの足りないでしょうか。特に、前著『やってはいけない筋トレ』を読んでしまった人には...。

 「毎日の筋トレは百害あって一利なし」とか「10回3セットで必要十分」とか言い切っているのも分かり易さの1要因でしょうが、求めるレベルやケースによってはそうと言い切れない面もあるのでは。但し、「有酸素運動は筋トレの後に」とか「下半身→上半身→体幹の順で」とかは、基本と言えば基本でしょう。「就寝前のトレーニングはNG」というのも正しいと思います。

 トレーニングをする時間帯は、1日の中で最も体温が高いのは16時前後と言われているが、一般的なビジネスパーソンにとって適切なのは、夕食を食べてからしばらくした後の21時から22時くらいが現実的とあり、但し、社会人がスポーツジムなどに通う場合は、17時くらいにおにぎりやパンを食べて血糖値を上げておき、会社帰りの19時から20時前後に運動し、帰宅して先に摂った炭水化物を除いた夕食を摂るのがベストとあります。時間帯はともかく、会社で5時になったらおにぎりを食べるというのもちょっとねえ。でも、今の塾通いの子どもなどは、これに似たようなサイクルだったりもするかも(勉強もエネルギーを使うからなあ)。

 第1章がこうしたトレーニングに関する"常識"編で、第2章で「自重トレ」について、第3章で身近な道具を使った筋トレについて、それぞれ写真入りで解説しており、入門者向けと言えば入門者向けですが、「自重トレ」などは結構コツがあって、効かせようと思うとジムマシンを使った筋トレより難しかったりもするのではないでしょうか。

 第4章では有酸素運動について解説し、第5章ではトレーニング後のストレッチについて解説していますが、写真入りで解説しているストレッチの方が詳しく解説されていたでしょうか。第6章では、食事や睡眠を考えて若さを保つ方法が説かれていて、ここでもストレッチが出てきます。「筋トレ」の本と言うより、何だか「ストレッチ」の本みたいでした。

 乃至は、自重筋トレの本か? 前著『やってはいけない筋トレ』でも自重筋トレが写真入りで解説されていたのに対し、ジムトレーニングについては写真が無く、マシントレーニングの経験が無い全くの初心者にはやや厳しいかと思われたのですが、今度はマシントレーニングの解説そのものを割愛してしまっています。タイトルの「筋トレ」とややイメージが一致しない気もしますが、「20歳若返る」とあることから、中高齢者向けの日常生活の中で出来るトレーニングの本、といった感じになるのかと思います。

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ミドル、シニアエイジ向けの筋トレ入門書・啓発書として良い。

50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ.jpg50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ (SB新書)』 腹が凹む!体脂肪が減る!40歳からのジム・トレーニング.jpg 井上健二 『腹が凹む!体脂肪が減る!40歳からのジム・トレーニング (ソフトバンク新書)

 井上健二氏の『腹が凹む!体脂肪が減る!40歳からのジム・トレーニング』('11年/ソフトバンク新書)に続く(?)、ミドル、シニアエイジ向けの筋トレ入門書です。この本も、ターゲットが絞れていて良いと思いました(筋トレ本は数多いが、シニア向けに複数出している新書はSB新書(旧ソフトバンク新書)だけか?)。

フィットネスクラブ会員年齢構成1.jpg 今回の著者は、ボディビルダーたちを主人公にした著書『果てなき渇望』で「文藝春秋Numberスポーツノンフィクション新人賞」を受賞した作家であり、1960年生まれの著者自身、1968年から本格的に筋トレを始め、20代、30代の若い頃にボディビルの大会に出場していたとのこと。しかし、34歳で会社を辞めて文筆の世界に入ってから運動不足になり、2000年40歳の時に奮起して筋トレを再開、現在('14年2月)体重60㎏、体脂肪率5.9%だそうです。そうした"筋トレ歴"を持つ著者らしい入門書になっているように思いました。

 本書によれば、近年、中高年のフィットネス参加率はめざましくアップしており(この点は経産省の統計からも窺える)、但し、"筋トレフィフティーズ"は意外と少ないとのこと、筋肉量のピークは20代で、その後、徐々に減っていき、40歳くらいからは年に0.5%ずつ減少、65歳以降に減少率が急増、80歳だと全盛期の30%から40%にまでに減少し、それを阻止するには筋トレを継続するのが得策で、50代ミドル以降は筋肉への投資がシルバーエイジを左右するとのことです。

 第1章・第2章で、ウェイトトレーニングのメリットを説き、50代で鍛えないと筋肉は減り続けるため、アラフィフこそトレーニングすべきだとして、筋トレが効果を発揮する理由からスポーツクラブの選び方まで、自身の体験や利用者の体験談を交え解説しています(スポーツクラブにおいて人間関係で消耗することは避けたいとか、結構リアルだなあ)。

 第3章は約100ページほど費やして筋トレでの工夫やメソッドを説き、ベンチプレスから始まって、全身、胸、背中、のトレーニング、肩こり対策、腰痛防止のトレーニング、足、肩、腕、腹のトレーニングを、マシントレーニングだけでなくストレッチやアイソメトリックスを含め種目別に解説しています(各写真入りで、著者もモデルを務める)。この部分は"実用マニュアル"といった感じでしょうか。

 第4章で再び啓発的解説に戻って、ミドルとシニアに最適なのは無理しないダイエットであることを説いていますが、この中では、著者自身が「炭水化物ダイエット」、段階的な「脂質オフダイエット」を経験してみて最後に「筋トレダイエット」にたどり着いた経緯が興味深かったです。"筋トレダイエット"といのは、ダイエットが本来は食事制限に近い意味であることからすると言葉の矛盾のようにも思われますが、「お腹が減るまで食べない」「本当に食べたいものだけ食べる」ということのようです。

 第5章は更に啓蒙的で、ウェイトトレーニングとは己の肉体、更には精神との対話であるとしています。この中で個人的に関心を持ったのは、著者がトレーニングするときは、レップ数(何回やったか)を原則カウントせず、「もう効いている」か「まだ効いていないか」で判断しているということと、セット間の休憩は40秒程度としていることでした。ベンチプレスの例で、ベンチ1種目で7セットやっています(但し、レップ数は何れも10回を下回る)。

 最終第6章では、"筋トレフィフティーズが気を付けることについて書かれていて、効果が出る人とでない人の違いや筋肉痛への対処法、パーソナルトレーナーの選び方などを述べています。また、プロテインは普通のミドルやシニアには必要ないとしています。

あなたもこんなマッチョボディになれる!.jpegシニアでもマッチョでいたい。.jpg 本書は基本的に、50歳を過ぎても細マッチョやスレンダー体系の理想に近づけるということを説いた本であることを冒頭に謳っていますが、最後に、50代ミドル、60代シニアが筋トレをするのは、人生の道のり半ばにあって体力や筋力の衰えを自覚するところからスタートし、衰えた分を取り返し、プラスに転じていけるから中年のトレーニングは面白しい、味わい深いと。老いと正面衝突したり、老いから逃げ回るのではなく、さらりといなすのが50代、60代の筋トレの極意であるという本書の結語は、なかなか奥深いように思いました。

出典:kin-100.com
出典:plaza.rakuten.co.jp

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手軽に自宅でできるトレーニング。写真が豊富で分かり易い。

人生を変える筋トレ.jpg人生を変える筋トレ (新書y)』['12年] もっと人生を変える筋トレ (新書y).jpgもっと人生を変える筋トレ (新書y)』['14年]

 新書ですが、読み物としての文章だけでなく、写真や図解も多く取り入れています。「人生を変える」というのはやや大袈裟な気もしますが、「さあ、これから始めよう」という人たちの気持ちには呼応するのかもしれません。

 文章の部分は啓発と理論のバランスはほどよく、写真は豊富で分かり易いです。ただ、コレ見て分かりますが、ストレッチや自重を使った運動、有酸素運動を含め「自宅(でできる)トレーニング」が中心であり、著者自身も本書が刊行された際に自身のブログで、「判型からしても、メインターゲットはビジネスパーソンになるだろうと考え、スキマ時間を活用して自宅で手軽にできる自重トレーニング種目はもちろん、 ストレッチや有酸素効果の高いトレーニングになどもふんだんに紹介しています」と書いています。

 であれば、「自宅トレーニング」とか「自宅でできる」とか、どこかサブタイトルにでもあった方が分かり良い気もしますが、まあ、それは、ぱらぱらとめくって見れば、マシンを使った写真は出てこないので、大体の方向性は分かるだろうということなのでしょう。

 一般論で言えば、著者の言うように手軽に出来るものばかりでハードルはそう高くないけれど、ジムに行って気持ちを切り替えてマシントレーニングなどをする方が向いているという人にとっては、逆に自宅トレーニングの方がハードルが高かったり、継続することが難しかったりすることもあるのではないでしょうか。ただ、別に自宅でなくとも、同じことをジムのマットレスなどでやってもいいわけです(そうした意味も含めて、敢えてタイトルでは「自宅トレーニング」と謳わなかったのか)。

 '14年に続編『もっと人生を変える筋トレ』が出ました。正編が、第6章に "「筋トレ」で人生を変えた男たち"といった読み物があったりしたのに比べると、そうした章は無くなって、紹介しているトレーニングの種類を32種類から42種類に増やしており、より、実践・実用的になったという感じでしょうか(よりマニュアル的)。どちらから読んでも、どちらか一方だけ読んでも別に全く問題ないと思います。

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オーソドックス。一般的な理論の確認にはいいが、経験者、初心者両方にとっての物足りなさも。

やってはいけない筋トレ3.jpgやってはいけない筋トレ.jpgやってはいけない筋トレ (青春新書インテリジェンス)

 タイトルからこれまでの常識を覆すようなことが多く書かれているような印象を受けますが、「やってはいけない」というのはこの新書のタイトルの慣用的キャッチフレーズのようなものであり、著者はNSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリストとのことで、本書について言えば、内容的にはオーソドックスでした。

 筋トレは、最初1~2ヵ月の導入期間は週に1~2回のペースで良く、体が慣れてきたら週2~3回の頻度に増やすとか、1セットだけやっても約30%の筋繊維しか収縮しないため意味が無く、2セットで約60%、3セットやって初めて100%効くとか、ジョギングと筋トレを両方行い、双方の効果を最大に引き出したいのであれば 筋トレ → 有酸素運動 の順番でやるとか、基本知識をしっかり伝える一方で、ある程度このジャンルの本を読んで実践している人にとっては、目新しい知見はそれほどなかったかも。

 最近はネットでもいろいろ調べられるし、Amazon.com のレビューでも、「当たり前過ぎてわざわざ読む価値がない」という声もありました。但し、筋トレ理論は"専門家"と言われる人の中にも色んなことを言う人がいて幅があり、読む本によって真逆のことが書いてあったりもするので、基本(マジョリティ)を押さえるうえでは、いろいろ読んでみるのもいいかもしれません。

 一例を挙げれば、最近読んだものに、筋トレをやるのに適した時間帯として、寝る直前がいいというのがありましたが(本書でもそれを1つの"説"として紹介している)、しかし本書では、就寝後に成長ホルモンの分泌が盛んになるというので相乗効果が得られるというのがこの説の根拠であり、確かにそうした見方もあるものの、寝る直前は体温が下がっており、運動には適さないとあり、こっちがオーソドックスと見るべきでしょう。

 人間は16時前後が体温が最も高く、交感神経がよく働いているため、運動するのはその時間帯がベストだが、この時間帯に筋トレをするのは多くの社会人にとっては難しいため、現実的な方法の1つとして、19時頃に夕食を食べて休養した後、21~22時くらいにやる方法を挙げています。でも、これだと結局、寝る時間に結構近い時間帯ということになるのではないかな。本によっては、18時~20時にやることを勧めている本もあるし、詰まるところ、その人の1日の生活リズムによるのでしょう。毎日夕方5時半頃には仕事が終わって、通勤経路から通いの便のいい所に行きつけのフィットネスジムがある人ならば18時~19時でもいいし、ほぼ毎日残業があってそうもいかない人も多くいるでしょうし。フィットネスジムのヨガやティラピスのクラスなどは、平日は20時、21時頃が結構人が多かったりするようにも思います。

 後半、最終章の前の第4章に「部位別筋トレ10種目」というのが写真入りであって実用的である一方で、そこにあるのは全て自宅で出来る"自体重筋トレ"であり、次の最終章で、ジムやパーソナルトレーナーの活用方法が書かれています。新書的・解説的内容でありながら、こちらでも、「全身を鍛える11種目」という実用的項目がありますが、こちらでは、レッグ・エクステンションとかレッグ・カールなどをやる際のポイントについては書かれていますが、写真やイラストは一切無し(マシントレーニングの経験が無い全くの初心者にはやや厳しいか)。

 ジムトレーニングの写真が無いのは、あまりに実用書そのものになってしまい、新書らしくなくなるのを避けたのか、紙数が尽きたのか(全体で200ぺージほどなのだが)、それともホントの初心者に向けた入門書なので、ジムトレーニング系は他の本でということなのか(初心者だからといって、必ずしも自宅トレから始めるとは限らない。その意味では、ジムトレーニングから入りたいと思っている初心者にも物足りないとも言えてしまう)、その辺り、著者の意図がよく分からなかったです。

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ジムに通いを前提とし、体系的、理論的、網羅的(ジムでのマナーも含め)に纏まっている。

腹が凹む!体脂肪が減る!40歳からのジム・トレーニング.jpg『40歳からのジム・トレーニング』.jpg
腹が凹む!体脂肪が減る!40歳からのジム・トレーニング (ソフトバンク新書)

 序章「40歳からのジム・ライフ」で、運動不足だと30代以降、下半身の筋肉は年1%のペースで減り、その結果、太腿の筋肉は70歳になると30歳の半分ほどに減ると書かれています。40歳から始まる所謂"中年太り"のバックグラウンドにあるのは、この筋肉の減少であり、運動することは将来への投資であって、アンチエイジングには運動しかない、運動をしないと骨は強くならないし、有酸素運動でスタミナアップが図れると―。

 そこで、目標を決めてから運動を始めようということで、第1章「ジム・トレを続ける技術」では、「続ける」にはどうしたらよいかということが書かれていて、週3回ジムに通うことを目標とし、結果的に2回いければOKとしています。また、行きたくない日でも敢えて行ってみると、ロッカールームで着替えてウォーミングアップしているうちに、意欲が湧いてくることがあるとしていますが、個人的にはその通りだなあと思います。

 第2章「失敗しないジム・トレの原則」では、「過負荷の原則」「漸進性の原則」「反復性の原則」「意識性の原則」「個別性の原則」など、トレーニング効果を効率よく上げるために知っておくべき原則について解説しています。その上で更に第3章「効果を高める3大トレーニング」で、筋トレ、有酸素運動、ストレッチの3大トレーニングを取り上げ、中でも本書の中核テーマである筋トレの効果アップ術について解説しています。

 更に第4章「実践・ジムの作法」で、「ジムエリア」「カーディオエリア」「スタジオエリア」「プール&アクアエリア」の4大エリアごとのマナーを解説し、例えばジムエリアであれば、マシンゾーン以外のフリーウェイトゾーンやストレッチゾーンにおけるマナーなども解説し、カーディオエリアであれば、トレッドミドルとステーショナリーバイク、或いはステップマシンとエリプティカルトレーナーといった具合に、それぞれにおける使い方のマナーを説明しているのが丁寧です。

 最終第5章「40歳からの悩み解消プログラム」で、運動プログラムを作る際の原則を解説していますが、「40歳から」に限らず幅広い層にとって参考になるものであり、それはこの章に限らず、本書全体に言えることかと思います。まあ、ソフトバンク新書であるということに加え、運動不足が気になり始めるのがその年代だろうということで、「40歳から」としたのでしょう。

 もう一つは、理論解説がしっかりしているというのも、若さの勢いで筋トレをやりがちな(それでいてそれなりに効果が出てしまったりもする)若年層に比べ、論理的な体系を理解し、自分なりに納得したうえで、限られた時間の中で効果を出したいと考える中年層には向いているかもしれません。

 タイトルに「腹が凹む!」とありますが、腹筋のやり方が書いてある本ではありませんし、ベンチプレスやスクワットといった一つ一つの種目のやり方が書いてある本でもありません。但し、ジムに通って、そこのジム(マシンやウェト、ストレッチゾーン)やカーディオ、スタジオエリアやプールなどの施設を使うということを前提とし、その前提に特化して、心構えや続けるコツを説いた本だと思います。体系的、理論的に纏まっていて、ジムでのマナーなどにも触れられていることから。網羅的でもあると思います。

 「実用新書」というより、本来の新書らしい作りになっていると思いました。
_____________________________________________________
井上 健二(いのうえ・けんじ)
1963年生まれ。九州大学経済学部卒。フィットネスエディター。20年前から雑誌『Tarzan』(マガジンハウス)の編集と執筆に関わる。
これまで医師、運動生理学者、管理栄養士など数百名のフィットネス&健康専門家への取材とインタビューを行う。
『MISS』(世界文化社)、『美的』(小学館)、『ar』(主婦と生活社)、『an・an』(マガジンハウス)など女性誌での健康関連の連載、
香取慎吾、SHIHO、草刈民代ら著名人のトレーニング本の編集にも関わる。

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「●幻冬舎新書」の インデックッスへ

タイトルは胡散臭いが、"トレーニングのための実践的な知識"を含んだ啓発本としてはまとも。

仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか ph.jpg仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか 紫.jpg
仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか (幻冬舎新書)

 刊行時、このジャンルの本としては珍しく10万部以上を売り上げベストセラーとなったもので、新書で購入しやすいというのもあったかと思いますが、タイトルも効いているのかなあ。自分のように却って胡散臭さを感じて手にするのが遅くなったり結局読むのを避けたりした人もいたのではないかと思いますが...。

 読んでみたら、第1章「筋肉はビジネススキル」とかあって、やっぱりなあという感じも。第2章は「目的は『続けること』」とあり、ずっとこのまま"自己啓発"調でいくのかと思ったら、第3章以降は意外と、「トレーニングの原理原則」「トレーニングの常識・非常識」「トレーニングがうまくいく人、いかない人」...と続いて結構"実践的"な解説になっていて、最終第9章で「筋トレで学ぶ成功法則」とまた"自己啓発"調に戻って締め括るものの、全体としては概ねオーソドックスでした。

 どちらかというと具体的なトレーニング方法よりもトレーニングそのものに対する考え方について述べられていて、トレーニングの手法にまで過度に踏み込まず、また、あるメッソドを強硬に押しつけているわけでもないので、自身のトレーニング環境や現状の身体的条件などに関わらず、幅広い読者にとって参考になるのではないでしょうか。

 その分、知識的にはそれほど高度なレベルでもないのですが、個人的には幾つか参考になる部分がありました。読んでいて、自分のやり方で良かった思われた点は、「時間帯によって効果が異なる」(129p)で、本当は寝る1時間前にトレーニングするのがいいのだが、夜6時から8時の間でもいいだろうと書かれていることで、自分の場合これにぴったり当て嵌ります(但し、寝る直前はダメで、むしろ夕方の方がベストだとする説があり(坂詰真二『やってはいけない筋トレ』(青春新書INTELLIGENCE)33p)、こちらの方が有力説なのではないか)。

 一方、ちょっとヤバいと思ったのは、「カロリーオフだったらどんなに飲んでも大丈夫?」(85p)で、スポーツ飲料などでも100ミリリットルあたり15キロカロリーなどと書いてあり、500ミリリットルで75キロカロリー、これを運動で消費するのはたいへんであり、20キロカロリー未満なら「カロリーオフ」の表示が認められているので気をつけようという話で、う~ん、ウェイトトレーニングもさることながら、走ったりした後は結構"アクエリアス"とか飲んでるなあ(因みに"アクエリアス"は100ミリリットルあたり15キロカロリー。但し、"アクエリアスゼロ"はゼロキロカロリー)。

 もうかなり前に出された本ですが、「ピラティスで腹筋は割れるか?」とか(今流行りの"ライザップ"ではないが)「パーソナルトレーナーの費用対効果」などといった項目もあり、結構先のトレンドを読んでいたなあ。

 "トレーニングのための実践的な知識"を含んだ啓発本としてはまともであり、これからトレーニングを始める人がこの著者の本の中で1冊読むとすれば本書ということになるのかも。

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