Recently in 物理一般 Category

「●物理一般」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 「●相対性理論・量子論」【859】猪木 正文『宇宙時代の常識

解説が素人には難しいものが多かった。もう少し分かり易く書けるはず。

知っておきたい物理の疑問55.jpg日常の疑問を物理で解き明かす.jpg 『日常の疑問を物理で解き明かす 東京スカイツリーの展望台からどこまで見える?携帯電話をアルミホイルで包むとどうなる? (サイエンス・アイ新書)』['11年]

知っておきたい物理の疑問55―物理の基本知識を問う「疑問中の疑問」 (ブルーバックス)』['11年]

 先に『日常の疑問を物理で解き明かす』('11年/サイエンス・アイ新書)を読んで、「日常の疑問」と言っても、実験室の中で起きることに限定されるものが幾つかあるなあとは思いましたが、こちらはブルーバックスということもあって、「物理の基本知識を問う」としながらも、より専門的なのかなあと。

 読んでみたらやはりそうで、個々には面白かったQ&Aが少なからずありましたが、全体としては素人には分かりにくかったものも多かったように思いました。高校生から寄せられた疑問、と言っても、その高校生にかなりレベル差があるよね(どうやら、高校の物理部のレベルらしい...)。

 それにしても、例えばQ13の「エレベーターが下り始めるとフワッとするのはなぜか」で、「質量mのAくんが、加速度aで下降するエレべーターで下降するとき、Aくんがエレベーターの床に及ばす力はm(g-a)で...動き始める前ではmgであったので...」といった具合に、いきなり数式から説明し始めるのもどうかと。

 Amazon.comのレビューを見たら、回答の仕方が良くない、というのもありましたが、確かにそうかも。質問に対して答えをズバッと言わず、前フリの解説ばかりが長く(Q15「リニアモーターカーの最高速度はどのくらいですか」などは、確かに「581km/hです」って先に書けばいいのに)、しかもその中で専門用語が何の解説もなく出てくる―といったものが幾つかありました。

 編者は「日本物理学会」で、結局、各分野の専門家の共著になるわけですが、ノーベル賞物理学者の益川敏英氏から推薦の言葉を取り付けるのも別にいいけれど、内容のチェック(分かり易さのチェック、回答のレベル揃え)もしっかりとやって欲しかったように思います。

「●物理一般」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1808】 日本物理学会 『知っておきたい物理の疑問55

物理というものを身近に感じさせてくれる。テーマを日常に結びつけるのにやや苦労している?。

日常の疑問を物理で解き明かす.jpg
   
   
   
     
    
             東野圭吾.jpg 東野 圭吾 氏(大阪府立大学工学部電気工学科卒)
日常の疑問を物理で解き明かす 東京スカイツリーの展望台からどこまで見える?携帯電話をアルミホイルで包むとどうなる? (サイエンス・アイ新書)』['11年]

 「洗い立ての髪にドライヤーで風を当てるとすぐに乾くのはなぜ?」といった各種日常的な疑問を物理学の観点から解説していて、気軽に手に取れて解説もまあまあ分かり良く(この新書の特長であるフルカラーの図説が効いている)、何となく小難しいイメージのある「物理(学)」というものを身近に感じさせてくれます。

 各章に「日常の物理―熱に関する疑問」といったタイトル付けがされているように、熱、光、音、力と運動、電気と磁気の5つのジャンル分けがされていて、体系的・網羅的であると言えばそうとも言えるし、その分、先にテーマがあって、それを日常の現象に置き換えているようなところも(まあ、日常の疑問と言っても、あくまでも対象となるのは物理現象であるわけだし)。

東京スカイツリー.jpg サブタイトルの「東京スカイツリーの展望台からどこまで見える?」というのは、ナルホド、地球の中心から地表までの距離(地球の半径)にスカイツリーの展望台の高さ(450m)を足した直線と、地球の中心と展望台から見える最遠方の地点(地表)を結んだ直線(地球の半径)と、スカイツリーの展望台とそこから見える最遠方の地点を結んだ直線(求めるx)の、3辺から成る直角三角形を描いて「三平方の定理」で求めるわけだ。
 計算結果は76kmになるとのことで、これが富士山の山頂(標高3,776m)からだと220kmになるそうです。高さの違い程には見える距離の差が無いような印象を受けますが、三平方の定理から逆算すれば、地表からの高さの「平方根」に比例することになるわけで、「平方根」に比例するというのが高さの違い程には見える距離の差が無い結果につながるわけです。これを読んで、1つ基準値を覚えておけば地球の半径が分からなくとも計算できるなあと思いました(あるウェブサイトでは「d(km)=3.57√ ̄h(m)」となっていた。高さ1mのところからは3.57km先まで見えるということである本書もこのように最終公式まで書いてもらえるとより良かったかも)。
 でも、これ、「日常の疑問」であるには違いないにしても、「物理の疑問」と言うより、純粋に「数学」じゃないかなあ。「虹」のテーマと複合させて、表紙カバーの図案にもなってるけれど。

携帯電話をアルミホイルで包むとどうなる.jpg もう一つのサブタイトルである「携帯電話をアルミホイルで包むとどうなる?」というのは、週刊誌(「週刊文春」)に出ていた、着信があると自動的に電源が入ってしまう「キッズケータイ」を巡っての特急電車の優先席での子どもとお爺さんとの間のトラブル話に材を得たもので、これを見ていた物理学者らしい男が、子どもが食べたおにぎりを包んでいたアルミホイルを使って―。
 これ書いていたの、作家の東野圭吾氏だったそうで、やっぱり電気工学科卒だけのことはある。創作っぽい感じもするけれど、実話なのかな。それとも小説の中の話なのかな(映画を観た人の話によると『真夏の方程式』の中でのガリレオ・湯川の行動らしいが)。

 冒頭の「洗い立ての髪にドライヤーで風を当てるとすぐに乾くのはなぜ?」にはナルホドと思わされ、「バスがかけているメガネ?」(バスの後部ウィンドウのガラスが外端方向に厚くなっていてワイドビュー(視野拡大)レンズの役割を果たしているという話)など、著者ら自身が見つけた「日常の疑問」の話もありますが、全体としては、結構テーマを日常に結び付けるのに苦労している印象も。
 「日常」と言うより、いきなり「実験室」的な設定になっているケースも少なからずあり、ドライヤーの話もバスの話も各章の冒頭にきていて、それだけ「日常」に近いという意味で"自信作"ということなのかも。

「●物理一般」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1805】 原 康夫/右近 修治 『日常の疑問を物理で解き明かす
「●雑学・クイズ・パズル」の インデックッスへ

「三十数年の歳月を経ても、内容は古くなっておらず」と著者自身が言った通りに新鮮。

パズル・物理入門.jpg新装版 パズル・物理入門―楽しみながら学ぶために』〔'02年〕 パズル・物理入門(旧).gif 旧版〔'68年〕

パズル・物理入門_0.jpg ブルーバックスに多くの著作がある都築卓司(1928-2002)の物理学入門シリーズのうちの1冊の新装版で、83問から成るパズル形式のものですが、中学生ぐらいから充分理解できる内容で、それでいて奥が深いです。

 オリジナルの初版が'68年で(56刷34万部売れたとか)、40年近く経て1問もいじらずにそのまま"新装版"として出版し、今読んでもそれなりに新鮮で、かつ面白いというのは、文学作品ならともかく、「物理」の入門書としては何か意外な気もしますし、やはりスゴイことではないかと思います。

 本書の続編『新・パズル物理入門』のほか、『四次元の世界』『マックスウェルの悪魔』『不確定性原理』『タイムマシンの話』なども、みんな新装版になりました。

 本書の「新装版刊行にあたって」という著者の小文の執筆年月が、'02年7月になっていますが、著者が亡くなった月です。亡くなったことは残念な気もしますが、「三十数年の歳月を経ても、内容はけっして古くなっておらず、物理パズルの醍醐味を味わっていただけると思う」と結語した著者には、それなりの自負と確かな充実感、満足感があったのではと思われます。

「●物理一般」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【345】 都筑 卓司 『パズル・物理入門
「●宇宙学」の インデックッスへ「●相対性理論・量子論」の インデックッスへ  「●み 三田 誠広」の インデックッスへ 

"文系人間"のための物理入門書。"物質と反物質の対生成"などの説明が詳しい。

宇宙の始まりの小さな卵.jpg  『宇宙の始まりの小さな卵―ビッグバンからDNAへの旅』 (2002/03 文春ネスコ )

 帯に「数式なしでも宇宙はわかる!」とあるように、"文系人間"のための物理入門書で、話は原子物理学から熱力学、宇宙学、生命学にまで及んでいますが、語りかけるような口調でやさしく書かれています。

 タイトルにも繋がる宇宙の原初における"物質と反物質の対生成"などはかなり詳しく書かれていますが、しかしそこでも、宇宙空間の真空をゴルフボールが敷きつめられたグリーンに喩え、
 「何もない空間ではなく、実は、隙間なく粒子がつまっているようなものなのです。そこから電子をはぎとると、穴があきます。その穴は、ちょうど電子の反対の性質をもった粒子としてふるまいます」
 といった感じの説明の仕方で、わかりやすいです。

 今から何十億年後に太陽が現在より大きくなったときに、「小惑星」を地球のそばを通過させ地球の軌道を太陽から離す―そんな人類延命策を今から考えている人がいるなんて、ちょっと面白い。

 著者は芥川賞作家ですが、相対性理論や仏教の入門書を書いていたり、『パパは塾長さん』('88年/河出書房新社)などという中学受験本も書いていて、「芥川賞作家って何」と言いたくなったりもしますが、小説もちゃんと書いています(本書の中に、著者の小説を想起させるような文体や言い回しがところどころ見られるのが面白い)。

 ジャーナリスト的素養もある人と見るべきか。あるときはサイエンス・ライターで、あるときは受験ジャーナリストになる...。

《読書MEMO》
●地球は、ウランが発する熱が鉄流動を起こし、磁気を発生させている(144p)
●宇宙背景放射により晴れ上がり(ビッグバン後50万年)が観測できる(166p)
●ゼロ時間から0.01秒の間に何が起きたか=陽子・中性子の生成前(166p)
●電子と陽電子が真空から対生成した、というのが宇宙の始まり。電子と陽電子は宇宙のゆらぎで消滅、そこにクオーク・反クオークの対生成が起き、陽電子はクオーク・反クオークに囲まれてⅩ粒子を経て陽子になった...(189p)

「●物理一般」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【344】 三田 誠広 『宇宙の始まりの小さな卵
「●相対性理論・量子論」の インデックッスへ 「●日本の絵本」インデックッスへ 「○現代日本の児童文学・日本の絵本 【発表・刊行順】」の インデックッスへ 「●「菊池寛賞」受賞者作」の インデックッスへ

アイデアがいい科学絵本。最後に辿り着いた一番小さなものは「宇宙」。

小さな小さなせかい.jpg 『小さな小さなせかい―ヒトから原子・クォーク・量子宇宙まで』 (1996/03 偕成社)

 1996(平成8)年3月に刊行された科学絵本ですが、1ページめくるごとに10分の1ずつに小さい世界になり、微生物、DNAの世界を経て、分子、原子、素粒子の世界へ入っていくというアイデアがいいです。
 小学生向けの本ということですが、例えば〈中性子〉〈中間子〉〈ニュートリノ〉を大きい順に並べよと言われて、わかる大人はどれぐらいの割合でいるでしょうか。

 最後に辿り着いた一番小さなものが(原始の)「宇宙」だったという〈逆説〉も、ロマンがあっていいです。
 10の-34乗m の"量子宇宙"こそ最小のものだというのは、宇宙発生論において〈事実〉とされていることでもありますが。

大きな大きなせかい.jpg 本書は『大きな大きなせかい-ヒトから惑星・銀河・宇宙まで』('96年/偕成社)と対になっていて、こちらも楽しく学べます。

 著者の加古里子(かこさとし)氏は、『からすのパンやさん』('73年/偕成社)『どろぼうがっこう』('73年/偕成社)などで知られる絵本作家で(幼稚園や保育園の発表会の演目としてよく採用されている)、1975年に『遊びの四季』で第23回「日本エッセイスト・クラブ賞」を受賞、2008年には第56回「菊池寛」賞を受賞するなどしていますが、もともとは東京大学工学部応用化学科に学んだ工学博士でもあり、こうした科学絵本も多く手がけています。

《読書MEMO》
●原子>原子核>陽子、中性子
●重粒子(パリオン)→陽子、中性子、ラムダ粒子、シグマ粒子ほか
●>中間子→(陽子と中性子を結びつける)π中間子、ケーオンほか
●ハロドン(重粒子と中間子)>クォーク→重粒子(陽子・中性子等)、中間子を構成する)(反クォークもある)
●>軽粒子(レプトン)→電子、ミューオン(宇宙線が空気に衝突してπ中間子ができ、それが壊れてできる)、ニュートリノ(中性子が陽子に壊れるとき電子とともにできる)など(反レプトンもある)

About this Archive

This page is an archive of recent entries in the 物理一般 category.

化学 is the previous category.

相対性理論・量子論 is the next category.

Find recent content on the main index or look in the archives to find all content.

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1