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どちらかというと大人になってからの「ボケ防止」にいいのでは?

ちびまる子ちゃんの音読暗誦教室.jpg 『ちびまる子ちゃんの音読暗誦教室』 声に出して読みたい日本語.bmp 『声に出して読みたい日本語

子ども版声に出して読みたい日本語.jpg 齋藤孝氏の『声に出して読みたい日本語』('01年/草思社)(2002(平成14)年・第56回「毎日出版文化賞」特別賞受賞)がミリオンセラーとなって第5巻まで刊行され、それに続いた『子ども版 声に出して読みたい日本語』('04年/草思社)は12巻まで刊行、但し、版元の草思社は民事再生法を適用申請するに至り、出版社の経営が今いかに厳しいかということなのか、1つのヒットに頼りすぎるのはよろしくないということの教訓なのか...。
 本書は、『子ども版』シリーズの前に出たもので(版元は集英社)、「大人・子ども共用版」みたいな感じです。
 石川啄木、夏目漱石、宮沢賢治」、中原中也、太宰治、シェークスピア、ランボーから落語の寿限無、徒然草、枕草子までの多彩な名文を収録、引用文については大活字を使用していて、「齋藤メソッド」セミナーでは、本書がそのままテキストになっているそうです(三色ボールペン持参で受講するらしい)。

誤読日記.jpg 『声に出して読みたい日本語』に対し一部に疑問を投げかける人もいて、斎藤美奈子氏などは『誤読日記』('05年/朝日新聞社)の中で、「こんなのに束になって押し寄せられたら『参りました』というしかない」と認めつつ、「あえて因縁をつけてみたい」として、カール・ブッセのような翻訳詩の類がないことなどを挙げていました。しかし、『声に出して読みたい日本語2』にはしっかり収録されていて、本書にもありました―「山のあなた」が。

陰山英男.jpg川島 隆太.jpg "音読"は多くの小学校でこぞって採用され、齋藤孝氏は、NHK教育の「にほんごであそぼう」の監修もしている―。ではホントに学習上の効果があるのかというと、その点では、東北大の川島隆太教授が、「音読や単純計算をしているときは脳が活性化している」ことを実験的に証明していて、これが、斎藤孝氏の"音読"と陰山英男氏の「百ます計算」の"科学的"根拠になっている?

 個人的には、私立・公立を問わず全ての学校が、誰かが提案したものを一斉に採り入れる、その風潮が、やや気味悪いなあと。
 効果のほどはよくわかりませんが、「子どもたちとすべての大人のために」と副題があり、齋藤孝氏自身、「小学校の時に名文を覚えておくと、七十や八十になって思い出した時、大きな楽しみになる」と本書に書いています。
 だとすれば、どちらかというと大人になってからの「ボケ防止」にいいのでは?

 斎藤美奈子氏は、棒読みでよし、とする齋藤式暗誦は、音声言語を平板化するのではないかとの疑問も呈していましたが、逆に、本書を読んで、小学唱歌「あおげば尊し」の歌詞の意味を一部誤解して覚えていたことに気づきました(「あおげば尊し」の場合、歌詞の教え方が"棒読み"的と言えるかも)。
 向田邦子のエッセイ集に「眠る盃」とか「夜中の薔薇」というのがありましたが、何れも「荒城の月」「野ばら」の歌詞を彼女が勘違いして覚えていたことからとったタイトルで、それとほぼ同じだなあ。

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親にもセンスが求められるかも。読んでいて楽しい本でもある。

わが子に教える作文教室.jpgわが子に教える作文教室 (講談社現代新書)』〔'05年〕

 作家であり、10年以上にわたり小学生に作文指導を行っている著者による本。作文指導でまず大事なのは「褒める」ということ、褒めてやる気を出させ、そのうえで、ポイントを絞ってアドバイスするのが効果的とのことですが、どこを褒め、どこをどのように指導するか、親にもセンスが求められる(?)と思いました。

 上手な作文だけでなく、一見"下手くそ"な作文も多く紹介されていますが、著者に導かれてそれらをよく分析してみると、行間に生き生きとした感性や感情が込められていて味わいがあったりする、なのに大人はついついそうした良さを見落とし、言葉使いや句読点の正誤に目がいったり、「そのとき君はどう思ったの」と無理やり感想めいたことを書かせがちであると(確かに)。

 著者によれば、こうした"心模様"を書かせようとすることは、作文に文学性を持たせようとしていることの表れであるけれども、多くの子どもはそう指導されても戸惑うことが多く、そうした文章を書くのが得意な子もいれば、観察文的な文章において能力を発揮する子もいるわけです。
 小学校高学年になると、書いたもの立派な調査報告文になっているケースもあって、それらを、気持ちが描かれていないとして貶したり、無理やり直させるのはマズイと。

 著者が良くないとしていることのもう1つは、作文に道徳を持ち込むことで、それをやると国語教育ではなく道徳教育になってしまい、作文から生気が失われてしまうわけですが、学校教育の場においては、知らず知らずのうちにその傾向があるかもしれません。

 著者はテクニックを否定しているわけではなく、接続詞の使い方をきちんと教えること、比喩表現や擬人法などを遊び感覚で用いることを推奨していて、そうした著者の指導のもとで書かれた子どもの作文には、独特の勢いやリズムがあったり、思わず微笑んでしまうような楽しいものが多いですが、文体を強制したりユーモアを強要するのではなく、子ども自身にセンスが育つのを待つことが肝要であると。

 「週刊現代」に連載されていたものを1冊の新書にしたもので、「教える」側として父親を意識して書かれていますが、母親や教師が読んでも参考になると思われます。
 子どものセンスがストレートに発揮された場合、こんな面白い文章が出来上がるのかと感心させられる箇所が多く、読んでいて楽しい本でもありました。

《読書メモ》
●作文指導でまず大事なのは「褒める」ということ。褒めてやる気を出させる
●"心模様"を書かせること(作文に文学性を持たせること)を強要しない
●作文に道徳を持ち込むと、国語教育ではなく道徳教育になってしまう

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中学入試国語読解問題を気鋭の国文学者とともに解く。

秘伝 中学入試国語読解法.jpg     パパは塾長さん.jpg    中学受験で子供と遊ぼう.jpg
石原 千秋『秘伝 中学入試国語読解法 (新潮選書)』/三田誠広 『パパは塾長さん―父と子の中学受験』〔'93年増補版〕/高橋秀樹『中学受験で子供と遊ぼう (文春文庫)』 〔03年〕

 中学受験を親子で乗り切った体験記というのは多いのですが、中学受験率が20パーセントに迫る昨今、売れ筋の本というのは毎年出ています。
 その中で一定の評価が定まっているものに、
 ◆三田誠広 著 『パパは塾長さん―父と子の中学受験』('88年('93年増補版)河出書房新社)、
 ◆高橋秀樹 著 『中学受験で子供と遊ぼう』('00年/日本経済新聞社)、
 ◆石原千秋 著 『秘伝 中学入試国語読解法』('99年/新潮社)
 があります。
 三田本、高橋本、石原本などと呼ばれていますが、いずれも父親が書いている点が共通していて、子どもは目出たく志望校に合格します。
 私立"御三家"と呼ばれるのが開成・麻布・武蔵ですが、これらの本での合格校は、順に駒場東邦、武蔵、桐朋となっています(ただし、駒場東邦も桐朋も"新御三家"と呼ばれる難関校)。
 個人的には、芥川賞作家の書いた「三田本」や大学教授の書いた「石原本」より、テレビ局社員の書いた「高橋本」に親近感を覚えました。

 3冊とも、受験教育の現状を無批判に肯定しているわけではないのですが、まず子どもを希望のところへ入れてやりたいという親心は伝わってきます。
 ただしこの「石原本」には大きな特徴があって、約400ページある本の後半230ページが、中学入試国語読解問題の例題を気鋭の国文学者(夏目漱石研究などで有名)である著者が解いていくという内容になっているのです。
 これが結構スリリング。読みながら一緒に解いてみて、たいへんいい読解訓練になりました。ホントに。
 中には、解答が特定できないものもあります。
 また出題者の意図を読むうちに、国語教育が子どもに求めているものも朧気ながら見えてきます。
 その辺りの画一性が著者の言いたいポイントなのですが、同時に試験問題を解くカギにもなっています。
 読者は試験問題のあり方を「批判」するよりも、子どもを「順応」させることを先ず考えるのではないでしょうか。

 それにしても難問揃い! 専門分野の大学教授さえ四苦八苦するものを小学生に解かせているのが、有名校の受験問題の実態です。

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